エレクトロニクス分析専門家が見るルネサス

本ブログに開発者の立場で何度かルネサスエレクトロニクス批判(本心は応援?)をしましたが、エレクトロニクス分析専門家、大山 聡氏(グロスバーグ代表)がEE Times Japanに寄稿された「なぜルネサスは工場を停止しなければならないのか ーー 半導体各社のビジネスモデルを整理する」で、数値分析結果を示され、明確な危機感・不安感に変わりました。

NXP、STMと大きく異なるルネサスのSG&A

SG&A(selling, general and administrative expenses)は、販売費及び一般管理費のことで、顧客に対するサポート負担経費を示します。売り上げ11%が業界平均なのに、ルネサスは19%と吐出しています。原因は、Intersil買収。巨額IDT買収は、今後の負担としてさらに悪化する方向になるようです。

関連投稿:ルネサスのIDE買収とリスク分散ルネサスエレクトロニクス、IDE買収

詳しくは、寄稿内にあるグロスバーグ作成の「主な半導体メーカーのR&Dおよび、SG&A比較」図を見ると一目瞭然です。

個人開発者としてルネサスの統合開発環境や評価ボードの価格の高さは、いかがなものか(でもルネサスを贔屓するバイアスはありました)と思ってきましたが、この寄稿を読んで国産MCUの先行きに不安感が大きくなりました。

技術的に勝っていてもビジネスでは成功しない例は、日本では多い歴史があります。

日立、三菱、NECの統合・融合したルネサス、日本全体の地盤沈下が見え隠れするなか、国産MCU技術力も同じ歴史をたどるのでしょうか?
もし自分がルネサスMCU研究開発担当なら、このままでライバルと競えると考えるでしょうか?

STM32G0x専用Edge MCUテンプレート開発

本稿は、STマイクロエレクトロニクス(以下STM)のSTM32G0xデバイス(Cortex-M0+/60MHz)が、汎用MCUのSTM32Fx(F0/Cortex-M0/48MHz、F1/Cortex-M3/72MHz)と異なり、IoT向きの新世代Edge MCUであること、そのテンプレート開発も汎用STM32Fxテンプレートと異なること、これら理由を説明します。

まとめ

はじめに内容をまとめた表1と表2、図1を示し、次章からその詳細理由を説明します。

要するに、STM32G0xデバイスのIoT Edge MCU向きの広いハードウェア性能を活かすには、LL(Low Layer)APIを利用したSTM32G0x専用Edge MCUテンプレート開発が得策だということです。

表1 STM32G0xデバイスとSTM32F0/F1デバイスのハードウェア差
デバイス名 製造プロセス コア 最大動作周波数 Edge MCU向き周辺回路
STM32G0x
デバイス
70nm Cortex-M0+ 60MHz 2.5Msps 12ビットADC、USB Type-C、暗号化処理
STM32F0/F1
デバイス
120nm Cortex-M0/M3 48/72MHz 特になし(汎用MCU)
表2 STM32G0x Edge MCUテンプレートとSTM32Fxテンプレートの違い
テンプレート名 使用API 流用性 動作確認評価ボード IoTサービス 重点ポイント
STM32G0x Edge MCU
テンプレート
LL(+HAL) 低い STM32G071RB 今後決める(TBD) STM32G0x性能発揮
STM32Fx
テンプレート
HAL 高い STM32F072RB
STM32F103RB
特になし(汎用) デバイス間移植・流用性
テンプレート開発の方向性
図1 テンプレート開発方向性。同じメインストリームMCUでもSTM32G0xデバイスは専用性、STM32Fxデバイスは汎用性重視。

STM32G0xデバイス(Cortex-M0+/60MHz)の特徴

STMの場合、新世代Edge MCUと従来MCUの最も異なる点は、製造プロセスです。STM32G0xは70nm、STM32Fxは120nmの製造プロセスです。

製造プロセスによる性能差は、Intelプロセサでお馴染みだと思います。ごく簡単に言うと、製造プロセスを小さくすると、全く同じMCUでも、動作周波数が上がり、消費電力は下がる、販売コストも下がるなど、良いこと尽くめの効果が期待できます。

さらにSTM32G0xは、Cortex-M0の電力消費を改良しCortex-M3の良さを取り入れたCortex-M0+コアを採用しています。つまり、コアと製造プロセスの両方でCortex-M0のSTM32F0デバイスを上回り、動作周波数をCortex-M3のSTM32F1デバイス72MHzに近い60MHzとしたことで、STM32F1と同程度の高性能なのに超低電力動作します。まさに新世代のIoT MCUです。

また、2.5Mspsの12ビットADC、USB Type-C、暗号化処理などEdge MCUに相応しい周辺回路を実装しています(3タイプあるデバイスで実装周辺回路を変え、低価格供給中)。

STM32G0xデバイスとSTM32F0/F1デバイスのハードウェア差をまとめたのが表1です。STM32G0x出現で、STM32F1/F0デバイスで開発する意味は、低下したとも言えるでしょう。
※但し、他デバイスへの移植性・流用性を重視した開発ならSTM32F1/F0デバイスを使い汎用STM32Fxテンプレート使う意味は依然として大きいです。

現在はSTMから何のアナウンスもありませんが、STM32G0xと同じ70nm製造プロセスでCortex-M3/≦100MHzの上位デバイスSTM32G1xが発売されれば、なおさら低下します。

関連投稿に上記特徴の出典などがあります。
関連投稿:守備範囲が広いSTM32G0
関連投稿:STM新汎用MCU STM32G0

STM32G0x専用Edge MCUテンプレートと汎用STM32Fxテンプレートの違い

STM32Fxテンプレートは、ハードウェア差を隠蔽するHAL(Hardware Abstraction Layer)APIを使い、万一性能不足などでデバイスを変える事態が生じても、同じソフトウェアを使えます。従って、STM32F0とSTM32F1の両デバイスで動作するアプリケーションが、ほんの少しの修正で素早く作成できます。

これは、HALのおかげです。HALがデバイスや周辺回路差を吸収するため、アプリケーション側は移植性の高いシンプルな記述ができるのです。その副作用として、アプリケーション記述コードは少なくてもコンパイル後のコードサイズは、周辺回路を直接制御するLL(Low Layer)に比べ大きくなります。

関連投稿:STM32CubeMXの使い方、STM32CubeMXの2種ドライバライブラリの章参照

HALを使うと言うことは、たとえデバイスが変わっても開発したソフトウェアとその労力を無駄にせず、流用・応用できることが最大のメリットです。

汎用「STM32Fxテンプレート」は、この流用・応用に適したテンプレートです。動作確認評価ボードは、STM32F072RBとSTM32F103RBのみですが、全ての汎用STM32Fxデバイスへ応用できます。勿論、ここで示したSTM32G0xデバイスにもこのHALを使う手法は適用可能です。

一方、「STM32G0x専用Edge MCUテンプレート」は、LL APIを使います。つまり、STM32G0x専用のテンプレートです。※LL APIは、使用デバイスにより異なるので専用テンプレートになります。

STM32G1xデバイスが持つCortex-M0からCortex-M3までをカバーする広い適用力と超低電力動作を活かすには、ソフトウェア開発にHAL比60~80%の高速処理のLLを使った方が得策と判断しました。

つまり、STM32G0xデバイスをEdge MCUと認め、そのSTM32G0xの性能や能力を十分に発揮する専用テンプレートがSTM32G0x専用Edge MCUテンプレートです。
※但し、流用性が高い一部機能には、HAL活用も考慮中です。LLとHALは混在可能です。

STM32G0x専用Edge MCUテンプレートと汎用STM32Fxテンプレートの違いをまとめたのが表2、テンプレート開発の方向性を示したのが図1です。

STM32G0x Edge MCU評価ボード選定

STM32G0x専用Edge MCUテンプレートの動作確認評価ボードには、Nucleo-G071RB(¥1,203)を予定しています。

前投稿で示したEdge MCUテンプレート評価ボードの3要件を再掲します。

  • R1. 低価格、入手先豊富なEdge MCU評価ボード <¥3,000
  • R2. 最新Edge MCU使用(2018年後半の新しいIoTトレンドに沿って開発されたEdge MCUであること)
  • R3. 何らかのIoTサービス例を簡単に示せる

これら3要件のうち、R3:何らかのIoTサービス例を示す要件がNucleo-G071RB 単独ではNGですが、Arduinoコネクタに何らかのIoTサービスシールドを追加することで満たす予定です。

評価ボードNucleo-G071RB
評価ボードNucleo-G071RB。64ピンパッケージでも電源供給が2本のみのなのでアートワーク担当者が喜ぶ。

※STM32G0xデバイスの評価ボードで、IoTのUSB Type-Cサービスを示すSTM32G0 Discovery Kitや、暗号化処理サービスを示すSTM32G081B-EVALは、両方ともR3要件を満たしますが、価格要件R1<¥3,000を満たさないので利用を断念しました。

MCUパラメタ設定を改善したSTM32CubeMX version 5

2018年12月STマイクロエレクトロニクス(以下STM)のMCUコード生成ツール:STM32CubeMXがversion 5にメジャー更新しました。本稿は、このSTM32CubeMX version 5について主に旧version 4をご利用中の方を対象に説明します。初めてSTM32CubeMXを利用される方は、インストール方法などは旧version 4で示したコチラの関連投稿と同じですのでご覧ください。

STM32CubeMX version 5への更新方法

STM32CubeMXは、スタンドアロンアプリケーションとして動作させる場合と、Eclipse IDEのプラグインとして動作させる場合があります。更新が簡単なのは、先に説明するスタンドアロン版です。Eclipse IDEは、SW4STM32を例にプラグイン更新方法を示します。

スタンドアロン版STM32CubeMXの更新方法

デフォルト設定を変えてなければ、STM32CubeMX起動時に自動的に更新を検出しInstall Nowクリックで最新版がダウンロードされます。ダウンロード後、一旦STM32CubeMXを終了し、再起動でversion 5への更新が始まります。

STM32CubeMX version 5への更新(スタンドアロン版)
STM32CubeMX version 5への更新(スタンドアロン版)

スタンドアロンの場合は、更新開始時Access Errorが表示されることもあります。この時は、「管理者として実行」で更新プロセスが始まり、STM32CubeMX version 5の初期画面になります。

STM32CubeMX version 5初期画面
STM32CubeMX version 5初期画面

Eclipse IDE(SW4STM32)プラグイン版STM32CubeMXの更新方法

Eclipse IDEのプラグインでSTM32CubeMX機能を追加した場合は、旧プラグインを削除した後にversion 5プラグインをインストールします。SW4STM32のプラグイン削除は、Help>About EclipseからInstallation Detailsボタンをクリックし、Installed Softwareタブから旧STM32CubeMXを選択、Uninstallまたは、Updateクリックで行います。

旧版STM32CubeMXプラグイン削除
旧版STM32CubeMXプラグイン削除

Uninstallの方が確実です。削除後、新しいSTM32CubeMX version 5プラグインを再インストールすれば、スタンドアロンと同じ初期画面が示されます。SW4STM32のUpdate checkでは、STM32CubeMXの更新を検出できませんので、手動でプラグイン削除、更新された新プラグインのインストールが必要です。

STM32CubeMX version 5改善点

version 5のユーザマニュアルUM1718 Rev 27から、以下の点がversion 4から改善されました。
関連投稿:MCU更新情報取得方法と差分検出ツール、の “2PDF資料を比較するDiffPDF” の章参照

・MCUパラメタ設定にマルチパネルGUI採用(UM1718、5章)
・CMSIS-Packサポート(UM1718、7章)
・X-Cube-BLE1ソフトウェアパック(UM1718、14章)
・ST-TouchGFX追加(UM1718、17章)

一言で言うと、5章:カラフルになったパラメタ設定、7章:CMSIS-Pack追加が可能、14章と17章:2チュートリアル追加です。CMSIS-Packとチュートリアルは、必要に応じて理解すれば良いでしょう。

そこで、基本操作の5章STM32CubeMX version 5のパラメタ設定を、弊社STM32F0シンプルテンプレートで用いたSTM32CubeMX version 4プロジェクトファイルを使って説明します。
※STM32F0シンプルテンプレート(¥1,000販売中)をご購入頂いてない方のために、上記プロジェクトファイルのみをコチラから無料でダウンロードできます(zipファイルですので解凍してご利用ください)。

マルチパネルGUIによるMCUパラメタ設定改善の実例

Open Existing Projectsで上記STM32F0シンプルテンプレートプロジェクトファイル:F0SimpleTemplate.iocを選択すると、旧versionで作成されていること、FWも更新されていて、最新環境へ更新(Migrate)するか、FWはそのままSTM32CubeMXのみ更新(Continue)かの選択肢が表示されます。
※MigrateとContinueの差は後述します。

旧版プロジェクトファイルを開いた時のメッセージ
旧版プロジェクトファイルを開いた時のメッセージ

今回は、Migrateを選択すると、見慣れたPinout & Configuration画面が現れます。

STM32F0シンプルテンプレートのプロジェクトを開いた画面
STM32F0シンプルテンプレートのプロジェクトをversion 5で開いた画面

Connectivity >を開くと、STM32F0シンプルテンプレートで使用中USART2の各種パラメタ設定値がマルチパネルで表示されます。

STM32F0シンプルテンプレートプロジェクトのUSART2マルチパネル画面
STM32F0シンプルテンプレートプロジェクトのUSART2マルチパネル画面

このマルチパネル表示がversion 5で最も改善された機能です。従来版では、複数タブで分離表示されていた設定が、1画面のユーザインタフェース:UIに集約されました。より解りやすく、より簡単にMCUパラメタ設定ができます。

その他の機能は、カラフルな見た目になってはいますが、旧versionと殆ど同じと考えて良いと思います(開発元には失礼ですが…😅)。不明な点は、HelpでUM1718が直に表示されるので調べられます。

また、販売中の弊社STM32Fxテンプレート付属説明資料のSTM32CubeMXは、version 4で説明しておりますが、この程度の改版ならば、説明資料をversion 5用に作り直さなくても、ご購入者様に内容をご理解頂けると思います。

旧版プロジェクトファイルを開いた時のMigrateとContinueの差

STM32CubeMXは、UIをつかさどる共通部分と、STM32MCUファミリ毎の個別ファームウエア:FW部分の2つから構成されています。本稿は、UI共通部分の更新を説明しました。FWもバグとりや、ファミリへの新MCU追加などで更新されます。周辺回路の初期化CコードやHAL:Hardware Abstraction Layer library 、LL: Low-Layer library利用のAPI生成は、FW部分が担います。

Migrateは、このUIとFWを同時に最新版へ更新します。一方、Continueは、UI部分のみ更新しFWは既存のままです(安全側更新とも言えます)。FW更新で既製ソフトウェアへ悪影響がでる場合には、Continueを選択することもあるでしょう。しかし、基本的にはUI、FWともに最新版へ更新するMigrateが本来の更新方法です。

万一FW更新でトラブルが発生した時は、デフォルトでSTM32Cube>Repositoryフォルダに新旧FWがzipファイルで保存されていますので、FWのみ元に戻すことも容易です。

*  *  *

Postscript:24日午前3時~午前4時5分に実施されたSTM32G0 and STM32CubeMX 5.0ウェブナーどうでしたか? 解りやすいスライドが豊富で、STM32G0の良さがより理解できました。全機能無償のKeil uVision5対象デバイスにSTM32L0、STM32F0とSTM32G0も加わりました。STM32CubeMX 5.0と評価ボードNUCLEO-G071RBを使ったLチカコード生成も解りやすかったですね😃。
※タイムリーなことに、1月25日STM公式ブログ上で上記一連の処理がYouTubeに投稿されました。

さて、ウェブナー参加で目から鱗が落ちたのは、STM32G0の広い応用範囲と低電力動作を活かすには、デバイス間移植に優れるHAL APIよりも、デバイス最適化のLL API利用が適してかもしれない点です。
HAL利用のSTM32Fxテンプレートとは異なるアプローチ、例えば、STM32Gxテンプレートの新開発が必要になりそうです👍。

関連投稿:HALとLLの違いは、STM32CubeMXの使い方、“STM32CubeMXの2種ドライバライブラリ”の章参照
関連投稿:STM32Fxテンプレートのアプローチは、STM32評価ボードNUCLEO-F072RB選定理由参照

LibreOffice更新

2020年10月サポート終了のOffice 2010代替アプリケーションとして評価中のLibreOffice。このLibreOfficeは、十分に使えると結論しました。本稿は、LibreOfficeの更新を示します。

関連投稿:カテゴリー:LibreOffice参照

LibreOffice更新

LibreOfficeの更新は、MicrosoftのOfficeやWindowsの更新方法とは異なります。

2018年11月5日のLibreOfficeマイナー更新で、セキュリティ更新や不具合修正後の版数が下表です。

LibreOffice版数(2018/11/10現在)
パッケージ 想定ユーザ 2018/11/5版数
最新版(stable 技術マニア、新しいもの好き、パワーユーザ 6.1.3.2
安定版(stable ビジネス組織、法人企業、慎重なユーザ 6.0.7

最新版とは、文字通り最新機能を盛り込んだstable=安定リリース版、安定版は、機能更新を最小限にし、より安定志向のstable=安定リリース版です。どちらも64ビット版(x64)と32ビット版(x86)がありますので、合計4種類のパッケージがコチラから無償ダウンロードできます。

全てstableであり、WindowsのFast/Slowリングのように不具合を含む可能性があるリリース版ではないので安心です。

メジャー/マイナー更新

注意が必要なのは、既にLibreOfficeをインストール済みでも、ヘルプ(H)>更新のチェック(C)でチェックされるのが、メジャー更新時だけという点です。11月5日更新は、マイナー更新ですので、更新チェックしても下記のように「LibreOfficeは最新版です」と表示されるだけです。

LibreOfficeの更新のチェック(C)
メジャー更新のみ確認するLibreOfficeの更新のチェック(C)

マイナー更新を確認するには、ヘルプ(H)>LibreOfficeについて(A)で表示されるダイアログでウェブブサイト(W)をクリックし、LibreOfficeサイトでのバージョン版数の目視確認が必要です。

マイナー更新確認
マイナー更新確認にはウェブサイトで現行版とのバージョン目視確認が必要

このマイナー更新の確認→手動更新が手間と感じるか、または、OfficeやWindowsのように勝手に自動更新される方が良いと感じるかは、意見の分かれるところです。

LibreOfficeや本ブログ読者がMCU開発で使う統合開発環境(IDE)の更新方法は、更新の確認後、その更新をインストールするか否かは、ユーザ自身が決定します。一方、OfficeやWindowsの更新方法は、更新インストールが自動です。

万一、自動でインストールした更新版に不具合がある場合には、更新前の貴重な既存開発データが壊れる可能性があります。IDE更新を自動にしない理由は、この重大リスクを避けるためです。
※Windows 10 1809では、Documentsデータが壊れる不具合が発生し、更新一時停止の経緯があるのは周知の事実です。

不具合更新>セキュリティ更新>機能更新

重要度に応じた更新方法が必要です。

重要度が高いセキュリティや不具合の更新は、ユーザへの更新通知と「自動更新インストールでも良い」と思います。しかし、重要度が低い機能更新や新機能追加は、「ユーザ自身が更新可否を判断」すべきです。

重要度判定が困難な場合やユーザに依存する場合には、安全側対策としてLibreOfficeやMCU IDEのように「ユーザの主体性に任せる方が良い」と私は思います。

Office、Windows 10 1809更新

コチラの記事によると、Officeのリボンが、Windows 10 1809更新に伴って、機能は変わらずに見た目が変わったそうです。
※弊社Office 2010リボンは変化なしなので、2010以降のOfficeのことだと思います。

Officeリボン(出典:記事)
Windows 10 1809に伴って変更されたOfficeリボン(出典:記事)

見た目の変更で生産性がどれ程上がるかは不明ですが、ユーザへの告知不足では、混乱のみが生じるでしょう。OfficeやWindows 10 1809は、機能的に過飽和状態なので見た目を変えたがる傾向にあります。

例えば、1809新機能のスマホ同期は、同様の無償アプリケーションが既にあり、わざわざ新機能を使わなくても十分です。WSL(Windows Subsystem for Linux)のように機能有効/無効のスイッチがあれば、それでも良いのですが、スイッチが無い場合には、新機能追加はトラブルの原因です。

Windows 10 1809のDocumentsデータ消失の発生率は、0.01%だそうです。もし、セキュリティ更新と新機能追加を分離して配布していたら、今秋から今も続く1809トラブルは発生したのでしょうか?

技術者、開発者、研究者の更新

最後に、アップデート:更新繋がりで、興味深い記事を見つけたので紹介します。我々も、自ら更新が必要かもしれません。

投稿記事の表示、検索方法

本ブログは、マイコン:MCU関連情報をWordPressというソフトウェアを使って投稿しています。今回は、WordPressブログ投稿記事を効率的に表示、検索する方法を3つ示します。

※WordPressは、ブログサイト制作時に便利なツール。機能追加が容易なプラグインや、外観を簡単に変更できるテーマが多数あるので、カスタマイズも容易で、運営者が投稿のみに専念できる。

カテゴリ選択

各投稿の下には、カテゴリとタグ(キーワード)が表示されています。

投稿カテゴリーとタグ
各投稿の下に表示されるカテゴリーとタグ

カテゴリ選択は、1つのMCU投稿をピックアップして表示する最も簡単な方法です。

例えば、カテゴリのRL78マイコンをクリックすると、日付の新しい順にRL78関連投稿のみが表示されます。PCなどの大画面表示の時は、左端にカテゴリ一覧が表示されるので選択が簡単になります。

PCのカテゴリ表示
MCU毎の投稿を簡単にピックアップできるPCのカテゴリ表示

カテゴリ選択でブログを表示すると、興味のあるMCU投稿がまとまるので便利です。投稿数が多い時は、複数ページに渡りピックアップされます。表示ページ一番下に複数ページへのリンクが表示されます。

複数ページのリンク
カテゴリ投稿数が多い時に表示される複数ページのリンク

ページ番号が大きい、つまり日付の古い投稿は、そのMCUの選択理由や、IDE:統合開発環境インストール方法など最も基本的でMCU開発初期に必要となる情報が記載されています。古い順に読むとより容易にMCU理解が進むかもしれません。

タグ選択

カテゴリとは別に、投稿下にタグと呼ばれる、いわゆるキーワードが示されています。

投稿のタグ(キーワード)
各投稿の下に表示されるタグ(キーワード)

投稿内容で興味が湧いたキーワード(例:リアルタイムOS)がこのタグ内にある場合は、タグをクリックすると、キーワードにより投稿記事がまとめられます。タグ検索は、複数カテゴリに跨った横断的な検索方法です。

自分の興味があるMCUと他社MCU比較などに使うと便利です。

検索窓

ブログ右上にあるSearch:検索窓を使っても投稿の検索ができます。

検索窓
検索窓による投稿記事検索

タグに無いキーワードや、2018年4月など時期を検索窓に入力してクリックすると関連投稿が表示されます。

まとめ

ブログ投稿記事を効率的に表示、検索する方法を3つ示しました。

  1. カテゴリ選択:MCU毎の投稿まとめに最適
  2. タグ選択:キーワードでの横断的な複数MCU比較や理解に適す
  3. 検索窓:タグ以外のキーワードや、投稿時期での検索に適す

本プログは、複数MCUの内容を、時系列で投稿するので、興味ある対象が様々な雑音で読みにくくなる可能性はあります。この場合には、上記3方法で投稿をまとめると読み易くなると思います。

また、手動で関連する投稿を添付する場合もあります(関連投稿を自動選択するWordPressプラグインもありますが使っていません)。

但し、技術者リスク分散の点からは、雑音も耳に入れておくのも良いと思います。どの投稿もチョットした空き時間で読めるように、A4で1~2ページの文章量です。本ブログをご活用いただき、MCU情報整理やプロトタイプ開発に役立つマイコンテンプレートに興味を持っていただければ幸いです。

関連投稿:ルネサスのIDE買収とリスク分散:技術者個人のリスク分散必要性の章参照

MCU市場予測:2018年出荷数306億個、2022年438億個予測

米)市場調査会社IC InsightsのMCU市場予測記事、“マイコン市場、IoTを追い風に安定成長”が、EE Times Japanに掲載されました(2018年9月19日)。

MCU市場予測(出典:IC Insighs、EE Times Japan記事)
MCU市場予測(出典:IC Insighs、EE Times Japan記事)

2022年までの5年間世界MCU市場は、販売額は年平均成長率7.2%続伸、出荷数は年平均成長率11.1%続伸、平均価格は年平均成長率3.5%下落と予測しています。センサー普及やIoT台頭で安定成長の見込みとの結論です。

我々MCU開発者は、ますます忙しくなるでしょう (^^♪。

MCU販売額予測(Markets)

2018年販売額は、前年比11%増加で過去最高186億米ドルと見込み、2019年は9%増で204億米ドルと予測。
今後5年間、年平均成長率7.2%で続伸し、2022年は239憶米ドルと予測。

MCU出荷数予測(Units)

2018年出荷数は、前年比18%増加の306億個の見込み。
今後5年間、年平均成長率11.1%で続伸し、2022年は438億個と予測。

MCU平均価格予測(ASP)

2017年に過去最低に落ち込み、2018年も同じペースで下落するが、過去5年間の年間下落率は、その前の10年間に比べ緩やかになったと分析。
2017年から2022年は、年平均成長率3.5%で下落と予測。

※1$以下のMCU平均価格内訳を知りたいところです。下記、過去関連投稿内容ともほぼ合致しています。

関連投稿:2018年IoT市場予測
関連投稿:IoTマイコン市場規模予測

MCU統合開発環境の後方互換性検証

MCU統合開発環境は、後方互換が重要です。数年前に開発したプロジェクトを改良・改版する際には、最新の開発環境(IDE)でも開発当時と同じ動作が求められるからです。

ベンダー各社もこの点に留意してIDE改版を行っているハズです。ただ、リリースノートにも具体的な互換性説明などは見当たりません。そこで、MCU最新IDEの後方互換性を検証します。

本稿は、ルネサスエレクトロニクス(以下、ルネサス)の最新IDE:CS+に、弊社2015年開発のRL78/G1xテンプレートプロジェクトを適用し、発生するメッセージなどを示し、開発当時と同じ動作をするかを確認します。もちろん、これはあくまでも一例にすぎませんが、開発中にIDE更新に遭遇した際などの安心材料になれば幸いです。

ルネサス統合開発環境CS+

2018年9月最新ルネサスIDE CS+は、Ver.: V7.00.00(2018/07/20リリース)です。CS+は、業界標準のEclipseベースIDEではなくルネサス独自開発のIDEです。

好都合なことにWindows 10 1803をクリーンインストールしたので、まっさらなWindows 10へ最新CS+をインストールした条件で検証ができます(1803クリーンインストール顛末はコチラを参照)。

CS+ダウンロードサイトでカテゴリ:無償評価版を選び、分割ダウンロードか一括、CS+ for CCかCS+ for CA,CX のどれかのパッケージをダウンロード後、実行すれば必要なツール全てがWindowsへインストールされます。

統合開発環境CS+パッケージ
統合開発環境CS+パッケージ(一括ダウンロードの例)

関連投稿:CS+ for CCとCS+ for CA,CXの違い

既存プロジェクトを新しいCS+で開いた時のメッセージ

以下CS+ for CCの例で示しますが、CS+ for CA,CXでも同じです。

既存のプロジェクトを開く
既存のプロジェクトを開く。BB-RL78G13-64.mtpjをクリック。

CS+ for CCを起動し、既存のプロジェクトを開くでRL78/G1xテンプレートプロジェクトのCC-RLを選択すると、最初に警告メッセージが表示され、出力パネルにその内容、プロジェクト開発当時と新しいCS+での「プロジェクトの差分情報」が表示されます。

既存プロジェクトを開いた時に表示されるメッセージとその内容
既存プロジェクトを開いた時に表示されるメッセージとその内容

※“プロジェクト差分情報”は、新規CS+をインストールした時だけでなく、プロジェクト開発中にCS+更新に遭遇した際にも表示されます。

黒字の “デバイス・ファイルが更新……”は、CS+がサポートするMCUデバイスが増えたために発生します。あまり気にする必要はありません。

青字の “プロジェクト差分情報”は、新しいCS+を用いた結果、既存プロジェクトに生じた差分、影響のことです。

例えば、CS+のCC-RLコンパイラが改良・改版され、開発当時のコンパイル・オプションには無かった [間接参照を1バイト単位で行う] 選択肢が発生し、これに関しては、「いいえ」を選択したことなどが解ります。

これらの選択は、基本的に既存プロジェクトに影響が無い(少ない)方をデフォルトとしてCS+が選びます。このデフォルト選択が、CS+の後方互換を実現している鍵です。

後方互換の検証:プロジェクトビルド成功と評価ボードの動作確認

そのままビルド(B)>ビルド・プロジェクト(B)を実行すると、サブプロジェクトを含め全プロジェクトがリビルドされます。出力パネル青字は警告:Warring、赤字はエラー:Errorを示します。

全プロジェクトビルド結果
全プロジェクトビルド結果

出力パネルに赤字が出るのは問題ですが、青字内容に問題がなければ、新規CS+でもプロジェクトが正常にビルドできたことを示します。

そこで、ターゲット評価ボードへビルド出力をダウンロード、既存プロジェクト開発当時の動作確認ができ、最新CS+で後方互換が検証できました。

CS+の便利機能

ルネサスCS+には、プロジェクトと開発ツールをパックして保存する便利な機能があります。

CS+の便利機能
CS+の便利機能。プロジェクト開発時の環境を丸ごとそのまま保存できる。

この開発ツールとは、使用中の統合開発環境のことで、文字通りプロジェクトとCS+、デバイス・ファイル情報などのプロジェクト開発時の環境を丸ごとそのまま保存し、復元もできます。
但し、当然OS:Windowsまでは保存しなので、年2回の大規模OS更新やWindows 7サービス終了などには開発者自ら対応する必要があります。

後方互換とプロジェクト開発方針

IDEの後方互換は、開発者にとっては当然のことです。ただし、改良・改版された最新コンパイラ性能を、既存プロジェクトで最大限引き出しているかは疑問を持つ方もいるでしょう。個人的には、この点について以下のように考えます。

  • プロジェクト開発時、使用する統合開発環境のコンパイル・オプションは、最適化も含めてデフォルト設定で開発。
  • サイズ優先や速度優先の設定は、開発の最終段階で必要性がある時にのみ最小限設定し、その設定をソースに明記。

例えば、弊社マイコンテンプレートは、1つを除いて全て上記方針で開発しています。除いた1点とは、NXPのLPC8xxテンプレートのLPC810(ROM 4KB/RAM 1KB)の小ROMデバイスの1段最適化のみです。テンプレート(ひな形)の性質上、いろいろなプロジェクトへの適応性が高いのもこの方針の理由です。また、デフォルト設定と最小限設定なので、結果的に最新統合開発環境への後方互換も取りやすいと言えます。

経験上、コンパイル・オプションを操作して開発したトリッキーなプロジェクトは、設計段階(MCU選択やプログラム構成)の失敗だと考えています。個人的には、デフォルト設定で十分余裕(50%程度)がある設計がお勧めです。これを確かめるためにも、プロトタイプ開発は重要だというのが私の考えです。

MCU統合開発環境、後方互換のまとめ

MCU統合開発環境(IDE)とWindows環境の年間メジャー更新スケジュールは下図です(2018年7月9日投稿の再掲)。

主要開発環境の年間更新スケジュール
主要開発環境の年間更新スケジュール

プロジェクト開発中にこれら更新に遭遇することは少なくないでしょう。本稿は、ルネサスCS+を例に最新IDEの後方互換性を確認しました。EclipseベースのIDEでも同様です。まとめると、

  • IDE更新後、最初に既存プロジェクトを開く時の差分情報で、プロジェクトに生じた差分、影響を分析し、後方互換を検証
  • コンパイル・オプションはデフォルト設定が、更新された統合開発環境の後方互換を取りやすい

ことを示しました。

似通るBluetoothと無線LAN

Bluetooth 5と無線LANの類似性が増し、互いの領域に滲出、相互補完が薄れていくという記事、両規格の生立ちと規格の方向性が良く解ります。

Bluetoothと無線LANの領域

本ブログ掲載のMCUとMPU/SCB間の無線規格のページの下図で見ると、両規格の違いは、バッテリー消費量です。

Bluetooth(BLE)とLPWAの違い
Bluetooth(BLE)と無線LANの領域

記事要旨を表にしました。Bluetooth 5の機能強化点が、無線LAN側を浸食していきつつあるのが解ります。

Bluetooth 5と無線LANの生立ちと規格の方向性
  Bluetooth 5 無線LAN
生立ち RS-232C代替無線規格、シンプルなネットワークスタックで低消費電力 IPネットワークの無線化
周波数(Hz 2.4G 2.4G/5G
通信速度/距離 複数デバイス間の低速少量データ 数100Mbps~数Gbps、100m(max)
機能強化点 速度:2Mbps
通信範囲:4倍
ブロードキャスト容量:8倍
コネクションレス通信サポート
暗号化サポート
セキュリティ規格WEP:Wired Equipment PrivacyからWPA:Wi-Fi Protected Accessへ

無線LAN側は、スリープモード利用で省電力強化の方向ですが、実用化には時間がかかるそうです。

この規格の見通しが立つまでは、無線機能搭載MCUの選定が、しづらいです。結果、CypressのPSoCアナログ特化製品のような、無線規格変更に柔軟に対応できるコプロセサ化も必要かもしれません。

※本時期内容は、MCUとMPU/SCB間無線規格ページへ追記しました。

計算能力とIO速度によるポジショニング・マップ

トラ技2016年6月号は、MPU/SCBデバイスのRaspberry Pi特集号でOSにLinuxのRaspbianを適用し、

  1. IoT開発環境Node-REDによるMCUとMPU/SCBの垣根を超えたブログラミング
  2. PythonによるMPU/SCBのIO制御

などが楽しめる内容です。P45にコンピュータデバイスのポジショニング・マップが記載されています。本ブログの対象デバイスMCUとMPU/SCBの特性差が解りやすいので引用させていただきました。

IoT制御デバイスの固定ページへも同図を追加しました。特性詳細は、このページをご覧ください。

MCU & MPUSBC Poisoning Map
MCU & MPUSBC Poisoning Map(トラ技2016年6月号 P45より)