MCU:マイコン,Cortex-M33コアテンプレート,IoTマイコン,semaphore,FreeRTOS,セキュリティ,TrustZone,RAファミリ,Cortex-M33,RA4E1 Fast Prototype Board,REファミリ

RA4E1 Fast Prototype BoardへFreeRTOSを適用
RA4E1 Fast Prototype BoardへFreeRTOSを適用

RAファミリ評価ボードRA4E1 Fast Prototype Board (Cortex-M33/100MHz、Flash/512KB、RAM/128KB)(以降FPB)の、スイッチS1でLED2を点灯するFreeRTOS適用例を示します。RAファミリビギナーズガイド9章記載のEK-RA6M4評価キットを使った処理内容と同じです。

e2 studio 2021-10は、Project>Change Deviceで対象MCUデバイス変更機能がありますが動作しません。そこで、ガイド掲載のEK-RA6M4を手動でRA4E1へ変更し、FPBでFreeRTOSのセマフォを利用し、S1押下げ割込みとLED2トグル点灯を同期させるFreeRTOSサンプルコードを示します。

このコードを使い、前稿よりも具体的にFPBとFlexible Software Package(以降FSP)の使い方、今回は使わないTrustZoneのメリットを示すのが、本稿の目的です。

RA4E1 Fast Prototype Board(FPB)のRTOSとTrustZone

IoT MCUをクラウド接続するには、RTOSが必要です。AWS(Amazon Web Services )接続にはFreeRTOSライブラリ、Microsoft Azure接続にはAzure RTOSライブラリの利用が前提だからです。

また、クラウド接続には、TrustZoneなどハードウェアによるセキュリティ対策も要求されますので、RTOSとTrustZoneは、IoT MCUの必須2技術です。

今回はTrustZone未使用ですが、ハードウエアセキュリティは、開発後、簡単に追加することが困難です。IoTプロトタイプ開発にTrustZone内蔵Cortex-M33を用いるのは、例え未使用でも製品セキュリティ処理の具体的検討ができるなど、IoTセキュリティを開発初期から考慮した設計となるからです。

これが使わないTrustZoneのメリットです(TrustZone使用例も、いずれ投稿予定)。

本稿は、先ずFreeRTOSをFPBへ適用します。FreeRTOS新規プロジェクト作成、API生成ツールFSP設定、FSP生成ファイルへのタスク追記の順に説明します。

Step1:FreeRTOS新規プロジェクト作成

最新版e2 studio(2021-10)の新規FreeRTOSプロジェクトは、File>New>C/C++Projectとクリックし、①~⑥の手順で作成します。

FreeRTOS新規プロジェクト作成
FreeRTOS新規プロジェクト作成

②プロジェクト名は、任意です。③Boardは、PFB-RA4E1を選択します。

④TrustZone未使用時のプロジェクトを、“Flat”と呼びます。これは、TrustZone使用、セキュアと非セキュアの2プロジェクト並存が必要で、メモリ領域を分割することに対する、平坦なメモリ使い方に起因していると思います。

⑤FreeRTOSを選択します。ベアメタル(No RTOS)とAzure RTOSも選択可能です。⑥Minimalを選択し、FinishクリックでFreeRTOS(TrustZone未使用)新規プロジェクトが完成です。

各選択肢を変えると、前稿で説明した多種類の新規プロジェクトが作成できることが解ります。

Step2:Flexible Software Package(FSP)設定

Flexible Software Package (FSP)設定
Flexible Software Package (FSP)設定

新規プロジェクト作成のFinishクリックで、FSPパースペクティブオープンを聞いてきますので、開きます。

①プロジェクトSummaryが表示されます。Stacksタブを選択、②New Stackをクリックし、External IRQ Driver on r_icuを選択します。新しい外部割込みドライバがStackに追加され、③プロパティが表示されます。

FPBのユーザスイッチS1は、P205(IRQ1)に接続済みです。そこで、③プロパティのirq0をirq1、TriggerをFalling、Digital FilteringをEnable、Callbackをexternal_irq1_callbackに変更します。

次にセマフォ追加のため、④ObjectsのNew Objectsをクリックし、Binary Semaphoreを選択します。⑤プロパティSymbolをg_s1_semaphoreに変更します。

RA4E1 Fast Prototype BoardのSW1 P205(IRQ1)の確認
RA4E1 Fast Prototype BoardのSW1 P205(IRQ1)の確認

最後に、⑥pinsタブをクリックし、ユーザスイッチS1:P205(IRQ1)とIOピン割当てをGUIで確認します。

以上でFSP設定は完了です。Generate Project Contentをクリックすると、APIや割込みコールバック関数、関連ファイルが自動生成されます。

Step3:FSP生成ファイルへタスク追記

FreeRTOSセマフォ同期処理
FreeRTOSセマフォ同期処理

FSPが生成したファイル:led_thread_entry.cに上記コードを追加します。このコードは、LED初期化と無限ループ処理から構成されます。RAビギナーズガイド掲載のirq10をirq1へ変更したLEDタスクです。

コールバック関数external_irq1_callbackは、Developer AssistanceのLED Threadを開くと一番下に割込みコールバック関数が生成済みですので、これをドラッグ&ドロップして追加します。

LEDタスク追加後、ビルドしFSBへダウンロード、デバッガ起動後、再開を2回クリックして実行中の様子が上図です。FSBのS1クリックでLED2がトグル点灯します。

FreeRTOS Queueサンプルコード

前章は、RAファミリビギナーズガイド9章のEK-RA6M4評価キットFreeRTOSセマフォサンプルコードを、RA4E1 Fast Prototype Board(FPB)へ流用したコードです。変更箇所は、irq10をirq1へ変えただけです。

FSPには、FreeRTOS Queueサンプルコード:freertos_fpb_ra4e1_epも付属しています。これら2つのサンプルコードを理解すれば、セマフォとQueueを使う基本的なFreeRTOSソフトウェア開発が可能です。

FreeRTOS待合せ手段としては、セマフォ/Queue以外にもMutexやイベントグループなどの手段もあります。弊社ではFreeRTOS基礎固めを目的として、Hardware Independent FreeRTOS Exampleを応用したセマフォ/Queue活用のFreeRTOSテンプレート化を目指しています。RA/REテンプレートもこの方針で開発する予定です。

この方針で開発したNXP版FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、コチラから概要がダウンロード可能です。

まとめ

RA4E1 Fast Prototype Board(FPB)へ、RAファミリビギナーズガイド掲載FreeRTOSサンプルコードを流用し、ユーザスイッチS1とLED2点灯をセマフォで同期させました。

FreeRTOS新規プロジェクト作成、Flexible Software Package(FSP)設定、FSP生成ファイルへのタスク追記の具体的操作手順を示しました。

ガイド9章には、更に詳細な説明がありますので、参考になります。例えば、スイッチ割込み優先度12を利用する理由、systick優先度15が予約済みであるなどです。

TrustZoneは未使用ですが、プロトタイプ開発初期からIoTセキュリティを考慮した設計ができるメリットがあります。

FSP付属Queueサンプルコードと本セマフォコードを使ってFreeRTOS基礎固め目的のRA/REテンプレート開発を進めます。

MCU:マイコン,Cortex-M33コアテンプレート,IoTマイコン,TrustZone,超低電力動作,RAファミリ,Cortex-M33,低電力動作,RA4E1 Fast Prototype Board,REファミリ

前稿のRAファミリ評価ボードRA4E1 Fast Prototype Board(以降FPB)を入手、RA/REテンプレート検討に着手しました。

FPB開発に用いるルネサスIDE:e2 studio(以降e2)とAPI生成ツール:Flexible Software Package(以降FSP)は、NXPやSTマイクロなどのEclipseベースIDEの利用者が?に思う箇所があると思います。

ルネサスIDE:CS+ユーザでも、同様にこの?を感じると思いますので、対策と評価ボードFPBの使い方を示します。

RA4E1 Fast Prototype Boardとe2 studio
RA4E1 Fast Prototype Boardとe2 studio

e² studio

Eclipse IDEをベースとしたRAファミリ統合開発環境:IDEが、e2、API生成ツールが、FSPです。

e2は、ARMコアを含む全てのルネサスMCU開発用の新世代IDEで、古くからあるRL78ファミリやRXファミリなどのルネサス独自コア専用統合開発環境CS+の後継IDEとして登場しました。但し、CS+は、現在でもRL78/RXファミリ開発に使えます。

e2は、MCUファミリ毎にコンパイラを切替えることにより、全ルネサスMCUの共通IDEとして動作します。MCUファミリのコンパイラは、普通1種類です。ところが、RAファミリには、GNUとARM Compiler V6の2種類が用意されており、どちらも無償です。

GNUとARM Compiler V6?

e2インストール時、デフォルトでインストールされるコンパイラは、GNUです。ARM Compiler V6は、後から追加インストールが必要です。最初の?は、両コンパイラの“違いは何か”です。

次章で示すFSPやTrustZone利用に差が生じるのであれば、問題です。

ルネサス資料を探しましたが、結局、コンパイラ差は分かりません。最近では殆ど行わないアセンブラデバッグが無ければ、コンパイラはどちらでも構いませんので、デフォルトGNUで当面はOKとします。

Flexible Software Package (FSP)?

RAファミリ専用のAPI生成ツールが、FSPです。動画:Generating Your First RA FSP Project(8:25)で使い方が分かります。

Flexible Software Package構成
Flexible Software Package構成

簡単に説明すると、スタックと呼ぶ開発プロジェクトで使用するHALドライバやRTOSなどのミドルウェアパタメタをGUIで設定後、e2のGenerate Project Contentをクリックすると、Developer Assistance内に全てのAPIが自動生成され、その中から使用するAPIを、ユーザ自身でソースコード任意場所にドラッグ&ドロップする使い方です。

ソースコード任意場所にAPIを配置できるのは、親切とは言えません。NXPやSTマイクロのコード生成ツールでも、API追加箇所にコメント付きのソースコードが生成されます。しかし、FSPは、ソースコード上のどこにでもAPIを設置できます。

API使用順序、設置場所、パラメタの意味が予め解ってないと、適切なコーディングは困難でしょう。後述する多くの公式サンプルコード(スタック利用例)がありますので、これらを参考に習得する必要があります。

hal_entry.c?

e2 studioのra_genとsrcフォルダ
e2 studioのra_genとsrcフォルダ

Generate Project Contentのクリックで生成されるのがAPI本体、つまり、ra_genフォルダ内のmain.cを含むスタックのドライバ関数群です。ra_genフォルダは、FSPが生成するコードの格納場所です。

これらとは別のsrcフォルダ内に見慣れないhal_entry.cファイルがあります。srcフォルダは、ユーザが追加するコードの格納場所です。

FPB出荷時にインストール済みのquickstart_fpb_ra4e1_epプロジェクトを読むと、main.c→hal_entry.c→user_main.cとコールされ、結局、user_main.cに一般的なIDEでユーザが追記する初期設定と無限ループを記述するのが、FSPでのユーザソースコード記述作法のようです。

※一般的なIDEでユーザが追記する初期設定と無限ループについては、基本のキ3章まとめを参照してください。

quickstart_fpb_ra4e1_epのuser_main処理
quickstart_fpb_ra4e1_epのuser_main処理

readme.txt?

公式サンプルコードをe2へインポート後、readme.txtでサンプル動作内容やFPB追加配線の必要性が分かります。バグだと思いますがe2(2021-07)は、サンプルコード付属readme.txtがプロジェクト内へインポートされません。

筆者は、手動でインポートしました。例えば、sci_uart_fpb_ra4e1_epプロジェクトは、追加配線無しではTera Term動作確認ができませんので、readme.txtを読み、追加配線が必須です。

RA4E1 Fast Prototype Board(FPB)の使い方

IoT MCUの機能と消費電力を最適化したRAファミリのRA4E1グループ評価ボード:RA4E1 Fast Prototype Board(FPB)の特徴は、以下2点です。

  • TrustZone
  • 低電力動作(Sleep > Snooze > Software Standby > Deep Software Standby)
RA4E1ブロック図
RA4E1ブロック図

TrustZoneの使い方は、RAファミリビギナーズガイドの11章が参考になります。

FreeRTOS利用を含むサンプルコードはコチラ、低電力動作サンプルコードはコチラからダウンロードできます。前章のquickstart_fpb_ra4e1_epやsci_uart_fpb_ra4e1_epプロジェクトは、初めのサンプルコード内にあります。

RTOSは、IoT接続先クラウドに応じてFreeRTOSかAzure RTOSの2種から選択可能です。また、通常の低電力動作:Sleepに加え、SnoozeやDeep Software Standbyなど超低電力動作モードも備えています。

プロジェクトは、ベアメタルまたはRTOS、TrustZone利用または非利用、の各選択肢がありますので4種類、FreeRTOSかAzureの選択を加えると、合計6種類の新規プロジェクト作成方法が可能です。

つまり、IoT MCUエッジ開発で必要となる様々なプロジェクト開発に、FPBだけで対応可能です。応用範囲の広い評価ボードで、IoTプロトタイプ開発に適しています。サンプルコード内容も豊富です。

まとめ

ユーザ視点からのベンダ各社がEclipse IDEをベースIDEに使うメリットは、IDEインタフェースがEclipseに似てくるので、ベンダが変わっても同じIDE操作性が得られることです。各社IDEで異なる部分は、周辺回路設定やAPI/コード自動生成の部分に限られるのが一般的です。

これら部分に加え、RAファミリ開発に使うe2 studioとFlexible Software Package は、無償コンパイラ選択、生成APIのソース追加方法、hal_entry.cなど、一般的なEclipseベースIDE利用者にとって?が生じる箇所が多数ありました。

ルネサス資料は多いのですが、肝心の?ポイントが解りにくいとも感じました。RAファミリ開発着手時は、これらに対し慣れが必要かもしれません。そこで、備忘録として本稿を作成しました。

なお、同じく前稿で示したREファミリについては、非常に良くまとまったREマイコンの使い方がルネサスサイトより入手できます。

RA4E1 Fast Prototype Board(Cortex-M33/100MHz、Flash/512KB、RAM/128KB)は、低価格で入手性もよくTrustZoneやRTOS、低電力動作など、幅広い知識や技術が要求されるIoT MCU開発の素材として優れています

現状RAファミリ資料の纏まりは、REファミリと比べると今一歩ですが、改善されると思います。開発に必要となる技術レベルが少し高いのですが、e2 studioとFlexible Software Package (FSP)、RA4E1 Fast Prototype Board(FPB)と豊富なサンプルコードを使ったIoT MCU開発は、好奇心を満たすIoT MCU習得へ向けたお勧めの開発環境と評価ボードと言えるでしょう。

弊社ブログは、RA/REテンプレート開発を目指し、継続して関連情報を投稿します。

Windows 11アップグレード可能通知:FYI

Windows 11を実行できます
Windows 11を実行できます

10月5日リリースWindows 11アップグレード可能通知が弊社PCへ届きました。今月リリースWindows 10 21H2で運用し、1年程度の11評価結果を見てアップグレードを予定しております。ご参考まで。

MCU:マイコンテンプレート,IoTマイコン,RTOS,ベアメタル,ISR,基本のキ

IoT MCUソフトウェア/ハードウェア開発者向け基本のキ、今回は、組込み処理の「ポーリング」、「割込み」、「低消費電力動作」とMCU開発の秘訣(コツ)を示します。ベアメタル開発でもRTOS開発でもこれらは同じです。これら基本を知ると、サンプルコードの読み方、利用法も解ります。

ポーリング と 割込み

「ポーリング」とは、無限ループを周る度に例えばSWが押されたかどうかのフラグ相当をポーリング(polling)し、フラグが立ったら、その処理を実行することです。

ポーリング
ポーリング

「割込み」は、割込み発生時に周辺回路が自動で呼出すISR(Interrupt Service Routine)を開発します。

ISRは、出来るだけ軽く(小さく)することが重要です。別周辺回路の割込みもできるだけ取込むためです。そこでISRでは、周辺回路が割込み発生時に立てた割込み発生フラグをリセット、このフラグとは別の割込み処理待ちフラグを立ててコード化するのが常套手段です。

この割込み処理待ちフラグを無限ループでポーリング、ブラグが立っていれば実際の割込み処理を実行します。

つまり、割込み処理の前段階にISRがあり、ポーリングのフラグ相当が割込み処理待ちフラグに変るだけ、結局、ポーリングに帰着します。

割込み
割込み

ベアメタル開発でもRTOS開発でも上記は同じです。RTOS時は、タスク間のセマフォ/Queueによる処理待ちが差分として追加されます(これら以外にも処理待ちはありますが、セマフォ/Queueで当面賄えます)。

低消費電力動作

無限ループをそのまま連続で回し続けると消費電力が増加します。そこで、間欠的にループを回し、ループを回さない時間は、最も電力を消費するMCUを停止するのが「低消費電力動作」です。

低消費電力動作
低消費電力動作

例えば1秒毎に1回ループを回すなど、低電力化を図りつつループ連続回しの時と大差なく処理する、つまり、どの程度間欠動作させるかが開発者の腕の見せ所です。

まとめ:ポーリング、割込み、低消費電力動作の3Tipsと開発秘訣

IoT MCUで開発するのは、MCUを含む周辺回路の初期設定と、無限ループ内の処理です。

初期設定とは、内蔵周辺回路を動作させるための設定です。周辺回路は、初期設定が終わると直に動作を開始します。そこでMCUは、動作中の周辺回路を監視し、必要に応じて処理を行います。このMCU監視が、無限ループ内の処理です。「組込み処理の中身」は、このように初期設定とループ内処理の2種類です。

初期設定の前にRAMクリアなどのスタートアップ処理もありますが、ここはIDEが自動生成し、通常、開発者が手を加えることは殆どありません。

初期設定は、サンプルコードの初期設定をそのまま流用する部分です。サンプルコードに使用例がない特殊(!?)な周辺回路の使い方をする時は、データシートやユーザマニュアルの当該周辺回路部分を熟読すればコード化できます。

次の開発部分が、無限ループ内です。ループ内処理をまとめた本稿の3Tipsが下記です

  1. 無限ループ内は、「ポーリング」か「割込み」のどちらか
  2. 割込みは、ISRで「割込み発生フラグ」を「割込み処理待ちフラグ」へ事前変換しポーリングへ帰着
  3. 無限ループの間欠動作と、間欠中のMCU停止が、「低消費電力動作」
組込み処理の3Tips、ポーリング、割込み、低消費電力動作
組込み処理の3Tips、ポーリング、割込み、低消費電力動作

組込み処理の中身とこれら3Tipsを知らずに組込み開発を始めるは、非効率です。中身と3Tipsを習得するには、紆余曲折、結構な時間と実務(失敗)経験が必要だからです。

例を挙げると、技術背景が少ない初心者にとっては、関連情報が多いため消化不良を起こします。また、初心者でなくても、開発自由度が高い(≒無いに等しい)ので、開発を上手く収束させには、Tipsやコツが必要になるなどです。

全てを網羅的に記述しているデータシートやユーザマニュアルは、既にこれらコツや技術背景を習得済みの中級者以上には役立ちますが、それ以外の人が読んでも実質の理解はできません。いきなり六法全書を読んで弁護士をする様なものです😂。

MCU開発の秘訣(コツ)は、先ず、3Tipsを基にプロトタイプを開発し、次に、実際に動作するプロトタイプを使って、開発自由度の高さを活かし動作チューニングすることです。

実働プロトタイプがあれば、データシート実質理解も進みますし、チューニング結果で変な動作になっても元のプロトタイプへ戻れますので、安心して色々な試行錯誤ができ、開発者スキルアップも容易です。

サンプルコード利用法

主要MCUベンダは、多くのサンプルコードを提供中です。

サンプルコードの目的は、“1つ”の周辺回路の基本動作を解り易く示すことです。基本動作は、初期設定と無限ループ内の2つに分けて読みます。無限ループ内は、Tips1/2から処理内容が理解できます。割込みの時は、ISRがあります。

初期設定は、開発に使う使用例と同じかどうかを添付コメントなどから判断します。使用例が同じ、または、近いなら、そのままコピーして流用します。内容を理解したい時は、”その周辺回路のデータシートのみ”を読めば十分です。

もちろん、サンプルコード無限ループ内のポーリング/割込み処理もそのままコピーして流用可能です。

但し、サンプルコードは、一般的にTips3:低消費電力動作への配慮がありません。また、サンプルコードを、“複数”集めて動作させる作り方ではありません。1周辺回路の動作コードを、シンプルに解り易く示すためです。

弊社マイコンテンプレートは、複数サンプルコードを利用する仕組みを予め持っています。また、無限ループの間欠動作と停止MCUを復帰させる仕組みも、テンプレートへ組込み済みです。

テンプレートのサンプルコード利用法
テンプレートのサンプルコード利用法

つまり、初めから複数サンプルコードの活用・流用が即座に出来るようテンプレート化、主要ベンダの汎用MCUに対応し、適用例と詳しい説明資料付き(一部ダウンロード可)で販売中です(ベアメタル開発用:1000円、RTOS開発用:2000円、テンプレート一覧と価格はコチラ)。

本稿3Tipsを知っていれば、サンプルコードを分析しながら読むことができ、必要に応じて各部分を自分のソフトウェアや弊社テンプレートへ組込むことも可能です。

プロトタイプ開発に最適なのが、弊社テンプレートです。テンプレートを使って早期にプロトタイプ開発を実現すれば、開発者の効率的スキルアップ、要求仕様に対するMCU性能過不足なども明らかとなり、お役に立てると思います。

テンプレートご購入、お待ちしております。

MCU:マイコン,LPCマイコン,Cortex-M4コアテンプレート,FreeRTOS,MCUXpresso IDE,MCUXpresso SDK,LPCXpresso Config Tools,Azure RTOS,アプリケーションテンプレート

MCUXpresso suite of software and tools
MCUXpresso suite of software and tools

2021年7月15日、NXPの統合開発環境MCUXpresso IDEが、11.3.1から11.4.0へ更新されました。
新たに追加されたAzure RTOS、弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートの新環境での動作確認を示します。

Azure RTOS追加

FreeRTOSに比べ未だ12個と少数ですが、LPCXpresso55S06などCortex-M33コアのAzure RTOS 対応評価ボードとSDK v2.10.0が追加されました。Microsoft AzureのAWS追随が、統合開発環境に現れました(関連投稿:多様化MCU RTOS)。

Azure RTOS Boards
Azure RTOS Boards

これに伴い、IDEのRTOSメニューにAzure RTOSの Message QueuesやSemaphoresなどのViewが追加されました。Azure RTOSデバッグユーザガイトは、MCUXpressoIDE_11.4.0_6224インストールフォルダ内にありますので参照してください。

RTOSメニューに追加のAzure RTOS View
RTOSメニューに追加のAzure RTOS View

FreeRTOSアプリケーションテンプレートの新環境動作確認

Config Toolsもv10.0へ更新されましたので、新IDE更新後、旧11.3.1開発プロジェクトのPinパースペクティブで再度Update Codeのクリックが必要です。Updateクリック後、Develop画面に戻り再ビルドします。(Config Toolsの使い方は、コチラの関連投稿を参照してください)。

MCUXpresso Config ToolsのUpdate Code
MCUXpresso Config ToolsのUpdate Code

再ビルドは正常に終了し、新MCUXpresso IDE 11.4.0とFreeRTOS対応評価ボードLPCXpresso54114で、FreeRTOSアプリケーションテンプレートの動作確認をしました。

FreeRTOSアプリケーションテンプレートと付属資料も、11.4.0対応版へ更新します。

新MCUXpresso IDE 11.4.0で旧プロジェクト動作確認。LPCXpresso54114のSDK更新はなし。
新MCUXpresso IDE 11.4.0で旧プロジェクト動作確認。LPCXpresso54114のSDK更新はなし。

補足1:新旧統合開発環境併存

NXPの統合開発環境は、PC上で新旧環境が同時併存可能です。

環境が併存しますのでストレージ容量は必要です。また、ターゲットボードのSDK改版が無くても再度新IDEへのインストールが必要など手間もかかりますが、新環境構築が安心してできます。但し、新環境下でターゲットプロジェクト開くと、新環境用に変更され旧環境に戻せません。

ターゲットプロジェクトは、新旧環境で別々にすることを忘れないでください。

補足2:STM版CMSIS-RTOSアプリケーションテンプレート構想状況

FreeRTOSやAzure RTOSなど開発者が対応すべきMCU RTOSは、今後増える傾向です。RTOSが変わっても同じ開発アプリケーションを活用・流用できるのがCMSIS-RTOSメリットです。STM版RTOSアプリケーションは、このCMSIS-RTOSを使って構想中で、この状況を示します(詳細は、STM32RTOS開発3注意点(後編)などを参照してください)。

FreeRTOSとCMSIS-RTOSのセマフォAPI比較
FreeRTOSとCMSIS-RTOSのセマフォAPI比較

上側がFreeRTOSセマフォ送受、下側がCMSIS-RTOSセマフォ送受ソースです。どちらも殆ど同じです。

IDEにContent Assist機能(Ctrl+Space表示のAPI候補一覧)があるので、ソース記述は簡単で、基本的なRTOS手段(上記はタスク同期セマフォ)を理解済みなら、FreeRTOSに比べ情報が少ないCMSIS-RTOS開発でも、当初思ったより障壁は低いと感じています。

CMSIS-RTOSメリット/デメリットを比較して、メリットの大きさを感じた今回のNXP IDE更新でした。STM版CMSIS-RTOSアプリケーションテンプレート構想は、近日中に投稿予定です。


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FreeRTOSアプリケーションテンプレート動作中
FreeRTOSアプリケーションテンプレート動作中

ARM Cortex-M4コア動作のFreeRTOSアプリケーションテンプレート第一弾、NXP)LPCXpresso54114対応版(税込2000円)を本日より発売します。概要、要点、FreeRTOSアプリケーションテンプレートとは、に関する説明資料は、コチラから無料ダウンロードできますのでご覧ください。

開発背景

IoT MCUのクラウド接続には、AWSならAmazon FreeRTOS、Microsoft AzureならAzure RTOSなどのRTOSが必要です。クラウド側からは、1つのRTOSライブラリを使って様々なMCUハードウェアを接続するための手段、これがRTOSです。

一方、IoT MCU側からは、接続先サービスに応じたRTOSライブラリ利用に加え、従来のベアメタル開発からRTOS上でのアプリケーション開発へ発展する必要もあります。IoT化に伴うこのような変化に対し、開発者個人が手間なく対応するためのツール、これが弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートです。

MCU RTOS多様化対策のFreeRTOSアプリケーションテンプレート
MCU RTOS多様化対策のFreeRTOSアプリケーションテンプレート

目的

FreeRTOSアプリケーションテンプレートの目的は、「RTOS基礎固め」と「FreeRTOSプロトタイプ開発のスタートプロジェクトとなること」の2点です。

RTOS開発は、ベアメタル開発とは異なります。

RTOS Kernelが、開発した処理(タスクやThread)と他タスクの優先順位により、処理実行/待機を決めます。開発タスク単体の流用性は高まりますが、タスク間同期や通信に、セマフォやQueueなどのRTOS独特の手段が必要です。

IoTにより全てのモノ(MCU)がクラウドへ接続する時代の基盤は、RTOSです。

ベアメタル開発経験者が、このRTOSの早期基礎固め、Kernelと自身で開発したタスクの並列処理を理解するには、個々にRTOS手段を説明するサンプルソフトよりも、具体的なRTOSアプリケーションの方が実践的で役立ちます。

RTOSアプリケーションがあれば、優先順位を変えた時のタスク動作変化や、その他経験に基づいたRTOS実務開発で知りたい事柄を手間なく試し、新たな知見・見識を得られるからです。これらは、サンプルソフトや、説明文から得ることは困難で、実際のRTOSアプリケーションで開発者自身が試行するのがベストです。

そこで、各FreeRTOS手段を説明した弊社MCU RTOS習得ページを理解した次の段階として、最初の図に示したプロトタイプ開発着手に必須となるADC/LCD/SW/LED/VCOM処理を、NXP)LPCXpresso54114(Cortex-M4/150MHz、Flash/256KB、RAM/192KB)とBaseboard、Arduinoプロトタイプシールドに実装し、動作確認済みRTOSプロジェクトが、FreeRTOSアプリケーションテンプレートです。

FreeRTOS Application Template (NXP Version)
FreeRTOS Application Template (NXP Version)

※上記プロジェクトは、クラウド接続は行っておりません。RTOS基礎固めとFreeRTOSプロトタイプ開発に適すことが目的ですので、クラウド接続RTOSライブラリは未実装です。

FreeRTOSを選んだのは、現在MCU RTOSシェア1位だからです(関連投稿はコチラ)。RTOS手段は、各RTOS共通技術であるSemaphoreとQueueの2つを用いております。LPCXpresso54114のFlashやRAM使用量にはまだ十分余裕がありますので、より高度なミューテックスやイベントグループなどの手段を適用するのも容易です。

特徴

本テンプレートには、上記FreeRTOSプロジェクトと同じ動作確認済みのベアメタル開発プロジェクトも添付しております。これは、ベアメタル開発に慣れた方が、FreeRTOSとベアメタルの差分をより明確に理解し、比較や評価をするためです(比較・評価は、ご購入者ご自身で行って頂きます)。

本テンプレート付属説明資料は、主にベアメタル開発者視点から見たFreeRTOSプロジェクトを解説しており、ベアメタルプロジェクトに関する説明は、ソースコードを読めばご理解頂けるとして省略しております。

従って、FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、ベアメタル開発経験者を対象といたします。ベアメタル初心者の方は、先ずは各MCUベンダCortex-M0+/M3コア対応の従来マイコンテンプレートをご購入ください。従来テンプレート付属説明資料には、ベアメタル動作の詳しい説明が付いています。

※本テンプレートのベアメタルプロジェクトは、従来テンプレートCortex-M0+/M3コアをCortex-M4コア対応へ発展させたものです。ベアメタルプロトタイプ開発着手時に適すプロジェクトです。

FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、ベアメタル開発経験者が、手間なく直にRTOSとベアメタルの差を理解・実感し、かつ、IoT基盤RTOSの効率的な基礎固めができるツールです。

なお、既に従来マイコンテンプレートご購入者様は、50%OFF特典があり、税込1000円にて本FreeRTOSアプリケーションテンプレートをご購入頂けます。弊社での確認ミスを防ぐため、ご購入時に従来テンプレート購入者様である旨、お知らせください。

勿論、従来テンプレートとFreeRTOSアプリケーションテンプレートの同時購入でも、この特典は適用されます。

まとめと今後

ベアメタル開発経験者が、IoT MCUクラウド接続に必要となるRTOSの効率的な基礎固め、FreeRTOSプロトタイプ開発着手プロジェクトとして使えることを目的に、NXP)LPCXpresso54114、Baseboard、Arduinoプロトタイプシールドを使ったFreeRTOSアプリケーションテンプレートを発売しました。

本テンプレートは、Amazon FreeRTOSのHardware Independent FreeRTOS Exampleを原本としています。第1弾はNXP)LPCXpresso54114へ適用しましたが、今後、STマイクロエレクトロニクス)STM32G4やCypress)PSoC 6など他社Cortex-M4コアの対応版も開発予定です。

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組込み開発全般に参考となる英語ブログを紹介します。特にRTOS関連記事は、内容が濃く纏まっていて、実践開発時の示唆に富んでいます。

JACOB's Blog
JACOB’s Blog

RTOSカテゴリー

組込み開発コンサルティングも行うBeningo Embedded社は、高信頼の組込みシステム構築と低コスト・短時間での製品市場投入を目標としています。この目標に沿って、複雑な組込み開発概念を、シンプルに解り易く解説しているのが、同社ブログです。

特に、RTOSカテゴリーは、FreeRTOS開発方法を整理する時、参考になります。最新RTOSの3投稿をリストアップしたのが下記です。

2021年5月4日、A Simple, Scalable RTOS Initialization Design Pattern
2020年11月19日、3 Common Challenges Facing RTOS Application Developers
2020年10月29日、5 Tips for Developing an RTOS Application Software Architecture

Data flow diagram for a smart thermostat(出展:JACOB'S Blog)
Data flow diagram for a smart thermostat(出展:JACOB’S Blog)

開発中の弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、「ベアメタル開発経験者が、FreeRTOS基礎固めと、基本的FreeRTOSアプリケーション着手時のテンプレートに使えること」が目的です。従って、必ずしも上記お勧めブログ指針に沿ったものではなく、むしろ、ベアメタル開発者視点でFreeRTOSを説明しています。

弊社テンプレートを活用し、FreeRTOSを理解・習得した後には、より実践的なRTOS開発者視点で効率的にアプリケーションを開発したいと思う方もいるでしょう。もちろん、弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートからスタートすることを弊社は推薦しています。

しかし、Windows上でアプリケーション開発する時は、初めからWindows作法やGUIを前提として着手するように、RTOS上でMCUアプリケーションを開発する時も、従来のベアメタル開発に固執せず、RTOSオリエンテッドな手法で着手するのも1方法です(ベアメタル経験が少ないWindows/Linux世代には、親和性が高い方法かもしれません)。

推薦ブログは、この要望を満たすRTOS手法が豊富に掲載されています。

また、上記RTOS関連3ブログを(掲載図を「見るだけでも良い」ので)読んで、ピンとこなければ、RTOS理解不足であると自己判断、つまり、リトマス試験紙としても活用できます。

問題整理と再構築能力

ベアメタル開発経験者が、RTOSを使ってMCUアプリケーション開発をするには、従来のBareMetal/Serial or Sequential動作からRTOS/Parallel動作へ、考え方を変えなければなりません。弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、この考え方を変えるための橋渡しに最適なツールです。

橋を渡りきった場所が、RTOSの世界です。RTOS環境での組込み開発問題を整理し、シンプルに解決策を示すには、知識や経験だけでなく、問題再構築能力が必要です。JACOB’S Blogをご覧ください。RTOSに限らず組込み関連全般の卓越した問題再構築能力は、掲載図を見るだけでも良く解りますよ😄。

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FreeRTOSアプリケーションテンプレートのQueue利用タスク間データ送受信を説明します。これは、テンプレートのベースとしたMCUXpresso SDK付属FreeRTOSサンプルプロジェクトfreertos_generic解説の後半に相当します。

FreeRTOSアプリケーションテンプレートのベースプロジェクト(まとめ図参照)は、本稿で全て説明済みとなります。下記1~3が、関連投稿です。1~3の順にお読み頂くと、内容が解り易いと思います

  1. FreeRTOSアプリケーションテンプレート構想
  2. FreeRTOS新規プロジェクト作成からアプリケーションテンプレートまで
  3. テンプレートベース:freertos_generic前半(ソフトウェアタイマ関連)

freertos_genericのQueueによるデータ送受信

freertos_genericのQによるデータ送受信
freertos_genericのQによるデータ送受信

FreeRTOSでは、送信タスクと受信タスクの2つに分離しデータ送受信処理を開発します。

送信タスクは、自分の都合の良いタイミングで、いつでもデータ送信を始めます。受信タスクは、いつ始まるか判らないデータ送信に対し、常時受信できるように待機中です。但し、受信タスクの受信開始タイミングは、その他のタスク優先度により変動します。

この受信開始変動があっても送信データを取りこぼし無く受信するために、送受タスク間で一時データを格納するFIFOバッファが必要で、これがQueue(以下Q)です。マルチタスクによる副作用と言えます。

もちろん、データ溢れが生じないようQには複数データを蓄える深さも必要です。受信タスクは、データのQ完了イベントで、FreeRTOSが受信開始を起動します。また、送信タスクよりも、受信タスクの方が優先度が高いのは、Qデータ溢れ防止策です。

1データ長、データ送信タイミング、その他のタスク数やその優先度にも影響されるQの深さは、十分な検討が必要です。

freertos_genericでは、Qの深さを1データ、送信タスク優先度を1、受信タスク優先度を2とし、データを100固定値にして1バイトデータ長の送受信を行い、送信開始タイミングは、vTaskDelayUntil(後述)で作成しています。その他のタスクが、freertos_generic前半で説明したソフトウェアタイマタスク、この優先度が4です。

同一優先度のタスクが無く、他のタスク数もタイマタスク1個で高優先、1バイトデータ長のため、深さ1のQでも送受信データは溢れません。

少ないタスク数と同一優先度無しのシンプルなサンプルプロジェクトですが、簡単に説明しても上記のように長くなります。

ベアメタル開発経験者であれば、RTOS個々の文章説明(=Serial or Sequential動作)は、理解できます。しかし、RTOSによりシングルコアMCUであっても各タスクが時分割Parallel動作しますので、途端に解り難くなります。

BareMetal/SerialからRTOS/Parallelへ、従来の設計手法をステップアップする必要がありそうです。

vTaskDelayUntil対vTaskDelay

vTaskDelayUntilとvTaskDelay比較
vTaskDelayUntilとvTaskDelay比較

freertos_genericは、データ送信タイミングの作成に、他のサンプルでよく見かける待ち処理:vTaskDelayではなく、vTaskDelayUntilを使っている点に注意が必要です。

vTaskDelayは、指定待ち「時間」後、RTOSにより優先度に応じて次処理が実行されます。ゆえに、高優先の他タスクやその状況により、次処理実行までの待ち時間が変動します。

vTaskDelayUntilは、指定待ち「周期」後、次処理が実行されます。仮に2周期よりも長い待ちが発生した時は、次処理はスキップされます。つまり、vTaskDelayよりもデータ送信の(スキップも含めると)定間隔、周期性に優れています。

サンプルプロジェクトの場合、Qの深さが最小の1のため、vTaskDelayUntilの方が、Q溢れ対策として効果があります。vTaskDelayだと、変動を考慮し、より深いQが必要になりそうです。但し、vTaskDelayUntilのRAM使用量は、vTaskDelayよりも増えます。

つまり、vTaskDelayUntil 利用か、それとも、vTaskDelayとQの深さ利用か、どちらにRAM資源を割当てる方が、よりQ溢れ対策として効果的か、これが検討ポイントの1つです。freertos_genericでは、前者を選択した、と筆者は解釈しました。

参考資料:Kernel > API Reference > Task ControlのvTaskDelayUntilとvTaskDelay

本稿まとめとFreeRTOSアプリケーションテンプレート目的

FreeRTOSアプリケーションテンプレートのQ利用タスク間データ送受信を説明しました。Qにより、送信タスクと受信タスクを分離して開発できますが、Qの深さは、送受タスク以外の他タスク優先度など多くの要因にも関係するため、設計に注意が必要です。

FreeRTOS利用メリットは、ベアメタル開発に比べ、独立性や流用性が高いタスク開発ができることです。反面、優先度に応じたマルチタスク環境では、ベアメタル開発には無かったスキルも必要になります。

本稿説明のSDK付属FreeRTOSサンプルプロジェクトfreertos_genericをベースにした、Cortex-M4コア最高速150MHz動作LPCXpresso54114対応のFreeRTOSアプリケーションテンプレートは、6E目標に開発中です。

FreeRTOS Application Template (NXP Version)
FreeRTOS Application Template (NXP Version)

同じ動作のアプリケーションを、FreeRTOSとベアメタル、それぞれで開発した2つのプロジェクトを添付します。

FreeRTOSアプリケーションテンプレートの目的は、FreeRTOS特有スキルを、ベアメタルと比較し、具体的に理解・習得すること、基本的なFreeRTOSアプリケーション開発テンプレート(=スタートプロジェクト)としても使えること、の2点です。

なお現行のLPCXpresso54114開発SDKツールデフォルトコア速度100MHzを150MHz動作へ変える方法は、前稿を参照してください。

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MCUコア動作速度設定は、一般的にプログラミングの冒頭、main関数の各種初期設定よりも前で行い方法は2つあります。

LPCXpresso54114の150MHz動作
LPCXpresso54114の150MHz動作

1つがソフトウェアで明示的にコア速度を設定する方法(左側の橙下線)、もう1つがConfig ToolsでGUIを使って設定する方法(右側の橙囲い)です。ソフトウェア設定方法は、代表的な設定値のみがAPIで提供され、GUI利用方法は、細かな速度設定や周辺回路毎へのクロック供給設定ができるなど柔軟性があります。

弊社は、アプリケーション開発後の低消費電力チューニング時にもソースコード不変で柔軟性メリットがあるConfig ToolsのGUI利用方法を推薦します。

現状の開発ツールでは、コア速度がデフォルト96MHzですので、これを150MHzへ変える方法を示します。

開発ツール

前稿最後に示したLPCXpresso54114最新データシートで発見(!)したCortex-M4コア最大動作周波数150MHzは、最新SDKの新規プロジェクト作成時でも旧データシート記載の100MHz(=96MHz)のままです。

そこで、2021年4月2日投稿の新規FreeRTOSプロジェクト作成方法のStep1~Step5に、本稿の動作クロック150MHz化をStep6として追加します。

本稿で示す開発ツールは、本日時点の最新版で以下です。

・MCUXpresso IDE v11.3.1 [Build 5262] [2021-04-02]
・LPCXpresso54114 SDK Version 2.9.0
・LPC5411x データシートRev. 2.6

これを示した理由は、今後の開発ツール更新によりデフォルト動作クロック値が150MHzへ変わる可能性もあるからです。

Config Tools利用MCU動作速度150MHz設定

新規プロジェクト作成直後のConfig Tools Clocks Diagramが下図です。コア速度のSystem clockは96MHzです。150MHzへの変更手順が以下です。

SDK新規プロジェクト作成直後のClock Diagram
SDK新規プロジェクト作成直後のClock Diagram

1. PLL Modeを、Fractional/Spread spectrumからNormalへ変更。
2. クロック選択肢をクリックすると、下図のように供給クロックのルート変更ができます。最初に示したクロックルートになるよう各選択肢やPLL設定を変更し、System clockを150MHzにします。

クロック選択肢をクリックして供給クロックルート変更
クロック選択肢をクリックして供給クロックルート変更

3. Config ToolsのUpdate Codeをクリックし、GUI変更結果をソースコードへ反映させます。

※全般的なConfig Toolsの使い方は、コチラの関連投稿を参照ください。

初期設定後に下記のようなソースコードを追加しておくと、コア動作クロックが設定値に変わったか確認ができます。

コア動作クロック速度を示すソースコード
コア動作クロック速度を示すソースコード

Config Tools MCUコア速度設定メリット

例えば、初期設定したusart通信速度115200bpsやMRT:マルチレートタイマ満了時間は、コア速度を変えたとしても不変です。各ドライバ内で、コアから独立した速度/満了時間設定を行うからです(※厳密には、設定誤差などが多少変わります)。

MCUの中で消費電力が最も大きいコアの動作速度を下げるのは、アプリケーション開発後の低電力動作チューニングに最も効果があります(※アプリケーション開発中にコア速度を下げるのは、より厳しい動作条件で開発することに相当しますのでお勧めしません)。

ソフトウェアで直接コア速度を記述した場合、この低電力化検討時に記述変更が必要になります。しかも、代表的な速度のみ設定可能なため、変更幅が大きくなる欠点があります。

一方、本稿で示したConfig Toolsによるコア速度設定の場合は、ソフトウェア設定に比べ細かな設定が可能で、記述ソフトウェアも不変です。更に、周辺回路動作も個別に制御できるため、コアだけでなく電力消費が大きい周辺回路の特定などにも役立ちます。

つまり、Config Toolsコア速度設定方法は、より効果的できめ細かいMCU低電力動作チューニングが可能でメリットが大きいと言えます。

評価ボード消費電流測定方法

評価ボードLPCXpresso54114には、0Ωチップ抵抗:JS11の取外しが必要ですが、消費電流測定用の端子:JP4が用意されています。これを使うと、前章で示したコア速度変更や周辺回路を動作停止した時の実消費電流が測れます(測定誤差ガイドラインもデータシートFig. 5に掲載中)。

LPCXpresso54114消費電流計測回路
LPCXpresso54114消費電流計測回路

あとがき

LPC5411x データシートRev. 2.6は、コア速度96MHzまでのCoreMark消費電力しか記載されておらず、しかも、96MHz以降急激な上昇傾向があるなど、気になる点もあります。

CoreMark power consumption
CoreMark power consumption

現在のSDK新規作成プロジェクトがデフォルト96MHzなのは、この辺りが妥当なクロック速度のせいかもしれません。今後のデータシート改版で状況を見たいと思います。

但し、開発中のCortex-M4 LPCXpresso54114向けFreeRTOSアプリケーションテンプレートは最高動作周波数の150MHz動作、比較用ベアメタルアプリケーションも150MHzで開発します。

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前稿の弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートのベースとなったMCUXpresso SDK付属FreeRTOSサンプルプロジェクトfreertos_genericの詳細、主にソフトウェアタイマ関連とその用途を説明します。

freertos_genericのHook関数とFreeRTOSConfig.h

Step5:FreeRTOS低電力動作
Step5:FreeRTOS低電力動作

前稿Step5でOSアイドルタスクの「Hook関数」にWFI()を追記し、FreeRTOSに低電力動作を追加しました。ベアメタル開発者には馴染みの少ないHook関数とは、MCU開発者がOSに独自処理を追加する仕組み(Wikipedia)です。ハッカーに悪用される危険性もありますが、元のOSソースはそのままで動作を変更できる便利な機能です。

freertos_genericは、このアイドルタスクの他に、スタックオーバーフロー、マロックエラーと、ソフトウェアタイマの周期割込みに後述のHook関数を用いています。スタックオーバーフローやマロックエラー発生時は、Hook関数内でMCUが動作停止しますので、対策検討の手始めになります。

これらソースコード内に記述したHook関数を有効にするには、FreeRTOSConfig.h内のマクロ設定が必須です。試しに、Step5で追記したWFIへブレークポイントを設定し、FreeRTOSConfig.hのconfigUSE_IDLE_HOOKマクロを1以外に設定するとWFIでブレークしません。configUSE_IDLE_HOOKを1に戻すと、当然ですがブレークします。

このように、ソースファイル記述よりも「FreeRTOSConfig.hのマクロが優先」されます。これが、前稿でFreeRTOSConfig.hを最重要ファイルとした理由です。

万一FreeRTOSConfig.hに記述ミスがあると、開発者が所望処理をソースへ加えても、何も無かったかのようにFreeRTOSは処理します。

そこで前稿新規プロジェクトのStep4で示したfreertos_genericのFreeRTOSConfig.hを上書きコピー後、オリジナルと内容一致を確認するのが良いと思います。但し、MCUXpresso IDEのColors&Fontを、例えばメイリオ11Pへ変えると、インデントやタブ表示なども変わるため見易く修正を加えた場合、Consolas利用のオリジナルと完全一致では無くなります。

Notepad++のCompareプラグイン実行結果。スペースが異なっても内容同じなら黄色、異なれば赤表示。
Notepad++のCompareプラグイン実行結果。スペースが異なっても内容同じなら黄色、異なれば赤表示。

そんな時に役立つツールが、Notepad++のCompareプラグイン機能です。コード内容が一致していれば挿入スペース数などが異なっても黄色、内容自体が異なれば赤で表示されるので、一目でソースコード内容差が判ります。筆者は、この機能を使ってFreeRTOSConfig.h記述ミスを回避しています。

freertos_genericソフトウェアタイマISRのHook関数

ソフトウェアタイマは、tick間隔2msの周期割込みを発生し、このISRがvExampleTimerCallback関数、このHook関数がvApplicationTickHookです。

vApplicationTickHookで2ms割込み発生を500回カウント後、イベントセマフォをprvEventSemaphoreTaskへ送出、イベントセマフォを取得したprvEventSemaphoreTaskが1秒毎に”Event task is running”をコンソールへ出力します。

freertos_genericソフトウェアタイマ処理の流れ
freertos_genericソフトウェアタイマ処理の流れ

vExampleTimerCallbackへのコード記述を少なくするのは常套手段で、ベアメタル開発でもFreeRTOSでも同じです。通常は割込みフラグクリアなどを行いますが、リロードタイマですのでvExampleTimerCallbackはカウンタインクリメントのみを行っています。

Hook関数vApplicationTickHookの500回カウント判断を変更すれば、2ms分解能で任意間隔のイベントセマフォ送出が可能です。これは、SWチャタリングやADCノイズ対策などの周期処理同期に最適です。

イベントドリブンが基本のFreeRTOSですが、割込み処理によりSWチャタリング対策を行うよりも、ソフトウェアタイマとそのHook関数を利用した周期ポーリング処理で行う方が簡単なのが判ります。

freertos_genericの原本

freertos_genericは、FreeRTOS DemoのHardware Independent FreeRTOS exampleがその原本です。原本には、より詳しい英文解説が付いています。また、前章のイベントセマフォによるタスク同期に比べ、45%高速でRAM使用量も少ないタスク通知方法など、FreeRTOS機能強化やTipsなど開発者向け情報も満載です。

6E販売開始予定の弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートを入手後、この開発者向け情報を活用し、FreeRTOSの更なる基礎固めと習得をお勧めします。

なお原本とfreertos_genericには、異なる動作箇所もあります。例えば、FRO:Free Run Oscillator=12MHz、System Clock=96MHzなどです。これはHardware Independentな原本を、LPCXpresso54114動作用にポーティングした結果、生じた箇所です。この部分が、freertos_genericに明記されていない場合もありますので、参照時には注意してください。

弊社は、NXP以外のMCUベンダCortex-M4クラス向けFreeRTOSアプリケーションテンプレートにも、このベンダ非依存のHardware Independent FreeRTOS exampleをベースとして使う予定です。

同一アプリケーションによるベアメタルとFreeRTOS比較が出来る特徴に加え、同一ベース利用によりベンダ間(例えば、STマイクロエレクトロニクスやCypressとNXP)のFreeRTOSアプリケーション開発比較も可能となると考えています。

freertos_genericソフトウェアタイマまとめ

開発中のNXP)LPCXpresso54114向けFreeRTOSアプリケーションテンプレートのベース、MCUXpresso SDK付属FreeRTOSサンプルプロジェクトfreertos_genericのソフトウェアタイマを説明しました。

ソフトウェアタイマのISRフック関数により任意周期イベントセマフォ送出が可能で、イベントドリブンが基本のFreeRTOSにおいて、SWチャタリングやADCノイズ対策などの周期ポーリング処理を行うのに適しています。

ソースコードに記述したフック関数は、FreeRTOSConfig.hのマクロ設定で有効になります。設定ミスを避けるため、オリジナルとの設定内容比較にNotepad++のCompareプラグイン機能を使いました。

なお、freertos_genericのQによるデータ送受信機能は、後半部分として別稿で説明する予定です。

あとがき

MCU開発初心者~中級の方が対象の販売中Cortex-M0/M0+/M3コアMCUテンプレートとは異なり、本稿Cortex-M4コア利用FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、ベアメタルMCU開発経験を既にお持ちの方を対象としています。
※投稿内容と対象MCUは、コチラの一覧表を参照してください。

そこで本稿は、ベアメタルとFreeRTOS開発の差分などに関する説明は加えますが、ベアメタルは既知の内容として説明を省略しています(筆不精で、すいません😌)。

投稿内容が判りにくい場合やご質問などは、customerservice@happytech.jpへお寄せください。

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NXP)LPCXpresso54114(Cortex-M4/100MHz、Flash/256KB、RAM/192KB)で動作するFreeRTOSアプリケーションテンプレート開発に着手しました(関連投稿:FreeRTOSアプリケーションテンプレート構想)。

FreeRTOS Application Template (NXP Version)
FreeRTOS Application Template (NXP Version)

この開発で用いる新規FreeRTOSプロジェクト作成方法、新規作成プロジェクトとMCUXpresso SDK付属FreeRTOSサンプルプロジェクトとの違いを示し、FreeRTOSアプリケーションテンプレートのベースプロジェクトを解説します。

まとめ:新規FreeRTOSプロジェクト作成方法とFreeRTOSベースプロジェクト

新規NXP FreeRTOSプロジェクト作成方法をまとめました(詳細は、次章サンプルプロジェクト留意点の後に説明)。

Step1:MCUXpresso SDKで評価ボード選択
Step2:FreeRTOS選択(デフォルト:ベアメタル)
Step3:FreeRTOSドライバ選択(デフォルト+ユーザ追加ドライバ)し、新規プロジェクト作成
Step4:新規プロジェクトへ、サンプルプロジェクトのfreertos_generic.cとFreeRTOSConfig.hを上書き
Step5:アイドルタスクへ低電力動作WFI()を追記し、FreeRTOSベースプロジェクト完成

Step3までが、一般的なFreeRTOSプロジェクト作成方法、Step4と5が、弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレート向け工夫箇所です。

弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、Step5で作成したFreeRTOSベースプロジェクトへ、例えばADC.cやLCD.cなど制御対象毎のソースファイルを追加して開発します(最初の図)。LCDを使わないアプリケーションの場合は、LCD.cをベースプロジェクトから除外すればそのまま使えるなどポータビリティも考慮しています。

Step3で、ユーザ未追加ドライバ、例えばFreeRTOSメールボックスドライバを、SDKを使わずにベースプロジェクトへ手動で追加するのは、手間やケアレスミスが発生します。

最初から全てのドライバをベースプロジェクトへ追加しておくのも1つの方法ですが、弊社は、必須ドライバでアプリケーションを開発し、追加が必要な時には、再度SDK新規プロジェクト作成からドライバを追加する方法を推薦します。

必須ドライバは、SDKサンプルプロジェクト:freertos_genericで使用中のドライバとADC、VCOMです。これらドライバを追加したベースプロジェクトであれば、FreeRTOSアプリケーションテンプレート構想3章で示したアプリケーション動作に必要十分だと現時点では考えています。

※サンプルプロジェクト:freertos_genericの詳細は、後日、別途投稿を予定しています。freertos_generic名称から判るように、キューやセマフォなど汎用FreeRTOS処理実装のサンプルプロジェクトです。サンプルプロジェクトの概略は、関連投稿を参照してください。

SDK FreeRTOSサンプルプロジェクトと新規作成プロジェクトの違い

MCUXpresso SDK付属のFreeRTOSサンプルプロジェクトと、前章の新規作成FreeRTOSプロジェクトは、ファイル構成が異なります。

FreeRTOSサンプルプロジェクトと新規作成プロジェクトの構成差(FreeRTOSConfig.hの場所が異なる)
FreeRTOSサンプルプロジェクトと新規作成プロジェクトの構成差(FreeRTOSConfig.hの場所が異なる)

構成が異なる理由は、サンプルプロジェクトがFreeRTOS個別技術の説明に重点を置いており、これに都合が良いファイル構成になっているからです。

つまり、左側のsourceフォルダ内にあるfreertos_サンプル.c とFreeRTOSConfig.hの2ソースコードさえ読めば、提供処理が判るように全てのサンプルプロジェクトが作成されています。
※FreeRTOSConfig.h は、FreeRTOS全体動作を決める最重要ファイルです。後日freertos_generic投稿時に説明を加えます。

右側新規作成FreeRTOSプロジェクトと比べると、ポータビリティなどは犠牲になっています。SDKやFreeRTOS自身もバージョンアップしますので、開発済みアプリケーションのポータビリティは重要です。

新規作成ファイル構成で開発したアプリケーションであれば、バージョンアップした環境でも開発済みアプリケーションの移設は容易です。

FreeRTOSサンプルプロジェクトは、機能理解専用と考えれば良いでしょう。なお、FreeRTOS基本機能は、弊社特集サイトを参照ください。

Step1:評価ボード選択

以降は、1章:まとめで示した新規FreeRTOSプロジェクト作成方法とFreeRTOSベースプロジェクトの詳細を示します。

Step1:評価ボード選択
Step1:評価ボード選択

MCUXpresso IDEのNew projectをクリックし、SDK Wizardで評価ボード:lpcxpresso54114を選択、Nextをクリックします。

Step2:FreeRTOS選択

Step2:FreeRTOS選択
Step2:FreeRTOS選択

ComponentsウインドのOperating Systemタブで、デフォルトbaremetalをFreeRTOS kernelへ変更します。

Step3:FreeRTOSドライバ選択

Step3:FreeRTOSドライバ選択
Step3:FreeRTOSドライバ選択

Driversタブでデフォルトドライバに加えadcとusart_freertosを追加します。Components selection summaryウインドのDriversを開くと、実装ドライバが一覧表示されます。Finishクリックで新規FreeRTOSプロジェクトを作成します。

Step4:freertos_generic.cとFreeRTOSConfig.h上書きコピー

Step4:FreeRTOS_generic.cとFreeRTOSConfig.hの上書きコピー
Step4:FreeRTOS_generic.cとFreeRTOSConfig.hの上書きコピー

作成した新規FreeRTOSプロジェクト(Project0)のsource>Project0.cとfreertos>template>ARM_CM4F>FreeRTOSConfig.hを、サンプルプロジェクトlpcxpresso54114_freertos_genericのsource>freertos_generic.cとFreeRTOSConfig.hで上書きします。

Step5:FreeRTOS低電力動作追記

Step5:FreeRTOS低電力動作
Step5:FreeRTOS低電力動作

FreeRTOSアイドル時に低電力動作させるため、上書きしたProject0.cのvApplicationIdelHook()へ、WFI()を追記します。BuildしFreeRTOSベースプロジェクトが完成です。

あとがき:ダークモードと日本語コメント

Step4と5の図は、MCUXpresso IDEのAppearanceをデフォルト:ClassicからDarkに変更しています。

流行のDarkの方が、コード自体は見易いがコメントの方は今一歩に感じます。弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、Colors and Fontsにメイリオ11Pを使い、追記日本語コメントを文字化け無しに表示する方針で開発します。ClassicかDarkかは、お好みで選択してください。