守備範囲が広いSTM32G0

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2018年12月のSTM32マイコンマンスリー・アップデートのトップページに、先日投稿した新汎用MCU STM32G0の概要とブロック図が記載されました。また、12月18日のEDN JapanにもIoT機器を小型化効率化する32ビットマイコンとしてSTM32G070(48ピン/ROM128KB)が約69セントと安価であることが紹介されています。

STM32G0シリーズブロック図
STM32G0シリーズブロック図(出典:マンスリー・アップデート2018年12月トップページ)

本稿は、これら新MCU STM32G0記事を整理し、開発ベースとして最適なアクセス・ライン製品STM32G71と評価ボードの入手性、価格について示します。

3製品:バリュー・ライン、アクセス・ライン、アクセス・ライン&エンクリプション

STM32G0の説明がある時、3製品のどれを説明しているかを区別、意識する必要があります。というのは、STM32G0のアプリケーション守備範囲が、とても広いからです。3製品の特長をまとめたのが下表です。

STM32G0の3製品特徴
製品ライン 型番例 特徴
バリュー・ライン STM32G70 コスト最重視のエントリクラス製品
アクセス・ライン STM32G71 ハードウェアセキュリティ搭載の標準製品
アクセス・ライン&エンクリプション STM32G81 アクセス・ラインに暗号化機能搭載製品

EDN Japan記事のSTM32G070(48ピン/ROM128KB)の69¢は、バリュー・ラインのことです。マンスリー・アップデートのブロック図は、3製品機能をAND表示したものです。

3製品差を理解するには、STMサイトのSTM32G0製品シリーズと、オンライントレーニング資料STM32G0 Series Presentation P2が役立ちます。

STM32G0製品シリーズ
STM32G0製品シリーズ(出典:STMサイト)
STM32G0の3製品差
STM32G0の3製品差(出典:STM32G0 Series Presentation P2)

現在供給中の3製品差と、今後のラインナップを整理すると以下になります。

供給中デバイスと開発予定ラインナップ
供給中デバイスと開発予定ラインナップ(出典:STM公式ブログ)

バリュー・ライン(灰色)
アナログフロントエンド向きのアプリケーションに特化した2.5Mspsの高速12ビットADC実装のバリュー・ライン(STM32G070)は、価格最重視のエントリ製品でEDN Japan記事のように1$以下の調達ができます。また、供給中と今後のラインナップの図から、8/20ピンなどの小ピン&小ROM製品が予定されていることも解ります。

アクセス・ライン(水色)
バリュー・ラインと同様小ピン&小ROM製品に加え、100ピン&大ROM製品の予定もあります。アプリケーションに応じてDAC、USB-PO、CAN FDなどの周辺回路が実装可能です。さらに、1.65-3.6Vと他製品より低電圧側への広い動作も特徴です(Presentation P2参照)。

これらの仕様の幅広さから、STM32G0の最も標準的なベースMCUと言えます。アクセス・ラインでプロトタイプ開発しておけば、内蔵周辺回路が同じシリーズのバリュー・ラインやアクセス・ライン&エンクリプションへそのまま応用・適用できるからです。

アクセス・ライン&エンクリプション(紺色)
IoTアプリケーションでは必須になるハードウェア暗号化機能をアクセス・ラインに追加しています。

STM32G0の幅広いMCUコア性能

これも先の投稿で示したSTM32FxとSTM32G0の違い図から、STM32G0はSTM32F0より低い消費電力と、STM32F1並みの高性能をハイブリッドしたMCUであることが解ります。つまり、STM32G0(Cortex-M0+/64MHz)で、F0~F1のMCUコア性能範囲をカバーできるのです。

STM32G0のGは、アプリケーション守備範囲の広さを示すGlobal、またはGeneral(汎用性)を表しているのかもしれません。STM32FxのFは、Flexibilityでしょうか?

STM32G0のサンプルソフトウェア

アクセス・ラインSTM32G071RB(64ピン/ROM128KB)実装の評価ボードNUCLEO-G071RBは、STMの公式サンプルソフトウェア数が159個(AN5110参照)と現在最も多く、STM32G0のアプリケーション開発に適していると思います。

この評価ボードとサンプルソフトを活かして開発したソフトは、バリュー・ラインやアクセス・ライン&エンクリプションへも同じシリーズですので、容易に応用・流用が可能です。

また、暗号化機能搭載のアクセス・ライン&エンクリプションSTM32G081RB搭載の評価ボードSTM32G081B-EVAL board:$382を使えば、暗号化認証手順や鍵管理などのセキュリティ関連が効率的に習得できるハズ(?)です。
※セキュリティ関連は、ホストとスレーブの2役が必要など、筆者自身不明な点も多いため、今後別途調査したいと考えています。

STM32G0の入手性と価格

ネット通販が盛んになったおかげで、近頃は新発売後1ヶ月も経っていない最新デバイスであっても、個人で1個から入手できます。

2018年12月24日現在、Mouser(マウサー日本)のアクセス・ラインSTM32G071RB(64ピン/ROM128KB)と、評価ボードNUCLEO-G071RBの価格表です。もちろん代理店経由なら、この価格よりも安く入手できるでしょう。

STM32G0の価格(2018年12月調査)
Mouser入手の場合 数量 価格(JPY
STM32G071RB 1 398
10 360
100 298
1000 213
NUCLEO-G071RB 1 1,203

STM32G0は、たとえ個人でも、入手性良く低価格で入手できると言えるでしょう。

まとめ

新発売STM32G0は、従来メインストームSTM32F0~STM32F1で開発していた広いアプリケーション範囲をカバーできる汎用MCUです。またIoTエッジMCUに必要になる暗号化機能をハードウェアで実装済みの製品もあります。

3種ある製品のうち、アクセス・ラインのSTM32G071RB(64ピン/ROM128KB)実装の評価ボードNUCLEO-G071RB は、STM公式サンプルソフトウェア数が現時点で最も多く、STM32G0の汎用性、広範囲アプリケーション対応性を活かした開発のベースに最適と評価しました。

これら評価ボードとSTM32G071RBデバイスは、個人でも比較的安価に入手できることも分かりました。