STM32FxテンプレートV2発売

STマイクロエレクトロニクス統合開発環境STM32CubeIDEのHAL APIを利用し開発したSTM32FxテンプレートVersion2を発売します。

上記サイトよりテンプレート説明資料P1~P3が無料ダウンロードできますので、ご検討ください。本稿は、この「ダウンロード以外」の資料項目を簡単に示します。

全ツールビルトインSTM32CubeIDE

STM32CubeIDEは、従来は別ツールとして提供してきたSTM32CubeMXがビルトイン済みです。しかも開発ツール全てが自動的に最新版へ更新します。もちろんHelp>Check for Updatesで手動更新も可能です。

2020年5月15日現在のブログ関連STM32MCUに関係するSTM32CubeIDE状況が下図です。

STM32CubeIDE状況(2020年5月15日現在)
STM32CubeIDE状況(2020年5月15日現在)

STM32FxテンプレートV2は、HAL(Hardware Abstraction Layer)API利用アプリケーション開発用テンプレートですので、MCU性能過不足時、他のSTM32MCUコアへも開発アプリケーションが流用可能で、プロトタイプ開発に最適です。

STM32FxテンプレートV2ダウンロード説明資料以外の概略

以下、単語の頭に付くSTM32は省略して記述します。また、付属説明資料も同様にSTM32を省略記述していますので、ご注意ください。

AN記載CubeMXプロジェクトが読めない時の対策

アプリケーション開発の出発点となるビルトインツール:CubeMXが最新版へ自動更新されるのは、次々に発売される最新STデバイスを直ぐに開発できるメリットがあります。しかし、逆に開発者が参照するアプリケーションノート(AN)記載のCubeMXプロジェクトとの版数差が大きくなるデメリットもあります。

この版数差が大きくなると、AN記載CubeMXプロジェクトが、ビルトインCubeMXで読めない場合があります。特にF0/F1シリーズなど古くから提供されてきたデバイスのANに顕著です。STM32FxテンプレートV2付属説明資料で、この対策を示しています。

CubeIDE新規プロジェクト作成(1)/(2)/(3)の違い

STM32CubeIDEの3新規プロジェクト作成の差
STM32CubeIDEの3新規プロジェクト作成の差

CubeIDEユーザマニュアル:UM2553には、本日時点で新規プロジェクト作成説明は(1)/(3)のみです。未説明の最新版新規プロジェクト作成(1)/(2)/(3)の違いなど、開発をスムースに進める様々なTipsも説明資料に加えています。

CubeMX変更箇所、別資料化

STM32FxテンプレートVersion1では、CubeMX周辺回路の設定をテンプレート説明資料内に記載しておりました。ご購入者様からのご質問も、このCubeMX設定に関するものが多く、このツールの重要性が判ります。

そこでVersion2は、このCubeMX設定をCubeMX変更箇所.pdfとして別資料化し、CubeIDEプロジェクト内に添付しました。CubeMXプロジェクト編集時に、同時参照ができます。

STM32CubeIDEプロジェクト内添付のSTM32CubeMX変更箇所説明資料
STM32CubeIDEプロジェクト内添付のSTM32CubeMX変更箇所説明資料

例えば、ベースボードテンプレートのLCD接続に利用したSTM32F0評価ボード:Nucleo-F072RBのGPIOピン設定方針なども記載しています。CubeMXピン配置は、MCUパッケージで選択しますので、評価ボード利用のCubeMX使用ピン設定時に、下図は便利だと思います。

ベースボードと評価ボード接続時のSTM32CubeMX使用ピン設定方針
ベースボードと評価ボード接続時のSTM32CubeMX使用ピン設定方針

STM32FxテンプレートV2と添付説明資料を使うと、STM32汎用MCU開発をスムースに進められます。

STM32FxテンプレートV2のご購入、お待ちしております。

STM32CubeMX使い方刷新STM32Fx/G0xテンプレートV2発売5/15、5/30

サードパーティ仏)AC6社の統合開発環境SW4STM32で開発したSTM32FxテンプレートとSTM32G0xテンプレートを、新しいSTマイクロエレクトロニクス純正STM32CubeIDE対応のVersion2:V2へ更新し販売開始します(STM32Fxテンプレートは2020/05/15、STM32G0xテンプレートは2020/05/30)。

V2では、V1ご購入者様から頂いたご意見ご感想を反映し、新しいSTM32CubeIDEやビルトインSTM32CubeMX使い方説明に工夫を加え、開発トラブル回避、既存アプリケーション資産活用方法などの新たなTipsも添付解説資料に加えました。

テンプレートと合わせてスムースなSTM32MCUアプリケーション開発にお役に立てると思います。

本稿は、説明を工夫したSTM32CubeIDEビルトインSTM32CubeMX使い方の一部を紹介します。

STM32CubeMX使い方:コツ

※以下、用語の頭に付く「STM32」は省略して記述します。

MCU周辺回路の初期化コードを自動生成するCubeIDEビルトインCubeMXも、以前投稿したスタンドアロンCubeMXの使い方と同じです。

CubeMXはSTM32MCU開発の出発点となるツールですので、十分理解した上で着手したいものです。テンプレートV2では、ビルトインCubeMXが生成するファイルに着目し、説明に以下の「使い方のコツ」と「簡単な順位」を追加しました。

CubeMXは、生成するファイル数が多い上に、使用するMCU周辺回路が増えると、生成コード量も多くなり、初めての方には少し解りにくいツールです。弊社テンプレートV1も、このCubeMXに関する質問を多く頂きました。それでも、コツを知っていれば十分使いこなせます。

そのコツとは、以下2点です。
・チェックが必要な自動生成ファイルは、main.hのみ
・main.cに自動追加される周辺回路ハンドラと、初期化コードが分かれば使える

F1シリーズSTM32F103RBの評価ボード:Nucleo-F103RBに弊社テンプレートを応用した例で説明します。

STM32CubeMX生成のF1BaseboardTemplateファイル構成
STM32CubeMX生成のF1BaseboardTemplateファイル構成

CubeMXが自動生成するファイルが、赤:CubeMX生成欄の9個です。このうち注目すべきは、太字赤☑で表示したmain.hとmain.cです。

main.hは、CubeMXで設定したユーザラベル、評価ボードならばB1[Blue PushButton]やUSART_TX/RX、LD2[GreenLed]などを定義した生成ファイルです(※[ ]内は、自動生成時に削除されますので覚え書きなどに使えます)。

main.hのコメント:Private definesの後にこれらの定義が生成されます。これら定義をチェックしておくと、「CubeMX自動生成コードを読むときに役立ち」ます。

main.cは、CubeMXが生成するメイン処理で、評価ボードのCubeMXデフォルトでコード生成:(Alt+K)した場合には、main.cのコメント:Private variablesの後にUSARTハンドラ:huart2と、コメント:Private function prototypesの後にUSART2の初期化コード:MX_USART2_UART_Init()と、その「初期化コード本体がmain.cソースの後ろの方に自動生成」されます。

その他の7個ファイルは、当面無視しても構いません。CubeMXデフォルトのHAL (Hardware Abstraction Layer)APIを利用し、割込みを使わない限り、ユーザコードには無関係だからです(※7個ファイルを知りたい方は、関連投稿:STM32CubeMX生成ファイルのユーザ処理追記箇所を参照してください)。

CubeMXが周辺回路:USART2初期化コードとそれに使う定義を自動生成済みなので、後は、main.cの無限ループ内の指定区間:USER CODE BEGIN xyz~USER CODE END xyzに、Usart2やLD2を使ったHAL APIユーザコードを追記すれば、アプリケーションが完成します。

追記したユーザコードは、再度CubeMXでコード生成しても、指定区間のまま引き継がれます。

ちなみに、アプリケーションで使用可能なHAL APIは、Ctrl+Spaceでリスト表示されます(Content Assist)。そのリストから使用するHAL APIを選択すれば、効率的なユーザコード追記が可能です。
※Content Assistの賢いところは、「ソースコード記述の周辺回路ハンドラを使ってHAL APIをリスト化」するところです。記述なしハンドラのAPIはリスト化されません。

つまり、CubeMXのPinout & Configurationタブで周辺回路を設定後コード生成しさえすれば、直ぐにユーザコードを追記できるファイルが全て自動的に準備され、これらファイルの指定区間へユーザコードを追記すれば、アプリケーションが完成する、これがCubeMXの使い方です。

このCubeMX使い方理解に最低限必要なファイルが、簡単順位:0のmain.hとmain.cの2個です。CubeMX生成ファイル数は9個ありますが、先ずはこの2個だけを理解していれば十分です。

LD2を点滅させるアプリケーションなどを指定区間へ自作すると、具体的に理解が進みます。

STM32CubeMX使い方:周辺回路のファイル分離

評価ボードのCubeMXプロジェクトファイル(*.ioc)は、デフォルトでB1[Blue PushBotton]とUSART2、LD2[GreenLed]を使っています。これらは、評価ボード実装済み周辺回路です。

これら評価ボード実装済み周辺回路へ、弊社テンプレートを適用したのが、シンプルテンプレートです(表:シンプル追加の欄)。

例えば、B1スイッチ押下げ状態をSW_PUSH、USART送信タイムアウトをUSART2_SEND_TIMEOUTなどソースコードを読みやすくする定義の追加は、CubeMX生成main.hの指定区間へ追記することでもちろん可能です。

しかし、他MCUコアへの移植性や変更のし易さを狙って、あえて別ファイル:UserDefine.hへこれらを記述しています。

同じ狙いで、LD2とB1、USART2のユーザ追記制御部分を、Led.cとSw.c、Usart2.cへファイル分離しています。ファイル分離により、HAL API利用のためMCUコア依存性が無くなり、例えば別コアのF0やG0評価ボードで同じ周辺回路を使う場合は、そのファイルのまま流用可能になります。

これらファイル分離した周辺回路の追記制御部分を、main.cの無限ループと同様に起動するのが、Launcher.cです。

つまり、シンプルテンプレートは、評価ボード実装済み周辺回路に、何も追加せずに弊社テンプレートを適用したシンプルな応用例です。その理解に必要なファイルが、緑:シンプル追加欄の☑で、簡単な順に1~5の番号を付けています。

CubeMXのそのままの使い方で周辺回路を追加すると、生成ファイル数は、赤:9個のままですが生成コード量が増えます。周辺回路の初期設定コード増加は当然ですが、この部分はCubeMX自動生成のためミス発生はありません。

しかし、ユーザコード指定区間へ、追加した周辺回路の制御コードを追記するのは、ユーザ自身です。様々な周辺回路制御が混在し追記量が増えてくると、バグやケアレスミスの元になります。

この対策に、周辺回路毎にファイルを分割し、この分割したファイルへ制御コードを記述するのが、シンプルテンプレートです。1周辺回路の制御コードが1ファイル化されていますので、簡単順位1~5の内容は、どれもとても簡単です。

さらに、ADC制御やLCD制御など、殆どの組込アプリケーションで必要になる周辺回路を追加し、Baseboardと評価ボードを結線、デバッグ済みのアプリケーションがベースボードテンプレートです(橙:ベースボード追加欄の3個)。

ユーザ追加ファイルは、全てMCUコア依存性がありません。CubeMXのHAL APIコード生成を行えば、コアに依存する部分は、CubeMX生成ファイル内に閉じ込められるからです。つまり、ユーザ追加ファイルは、全てのSTM32MCUへ流用できる訳です。

これらシンプルテンプレート、ベースボードテンプレートから新たなSTM32MCUアプリケーション開発を着手すれば、新規にアプリケーションをゼロから開発するよりも初期立上げの手間を省け、さらに機能追加や削除も容易です。

STM32CubeMX使い方:周辺回路プロパティ、既存AN利用法

CubeMXへ追加した周辺回路のプロパティ設定値やその理由、更に、既存アプリケーションノート利用方法など、新しいSTM32CubeIDE開発トラブルを回避し、スムースに開発着手できる様々なTipsをテンプレート添付説明資料へ加えています。

マイコンテンプレートサイトでSTM32Fxテンプレートは2020/05/15、STM32G0xテンプレートは2020/05/30発売開始です。ご購入をお待ちしております。
※STM32Fx/G0xテンプレートV1ご購入後1年以内の方は、後日V2を自動配布致しますのでお待ちください。

STM32CubeMonitor

STマイクロエレクトロニクスのSTM32MCU純正開発環境STM32Cubeツールファミリに新に追加されたSTM32CubeMonitorを解説します。

STM32CubeMonitor特徴1:変数リアルタイムモニタ

STM32MCUアプリケーション開発フローと、純正開発環境STM32Cubeツールファミリ:STM32CubeMX、STM32CubeIDE、STM32CubeProgrammer、 STM32CubeMonitorの機能配分が下図です(以下、各ツールの頭に付くSTM32は省略して記述します)。

STM純正 4 Software Development Toolsと機能(出典:STMサイト)
STM純正 4 Software Development Toolsと機能(出典:STMサイト)

この1~4段階の開発フローを繰返すことでアプリケーション完成度が上がります。CubeMX、CubeIDE、CubeProgrammerの機能には重複部分がありますが、Monitoring機能を持つのは、CubeMonitorだけです。

通常のMCU開発は、CubeMXがビルトインされた4段階全てをカバーする統合開発環境:CubeIDEを使えば事足ります(CubeMXビルトインCubeIDEの詳細は、関連投稿の3章をご覧ください)。

CubeProgrammerは、MCUオプションバイト設定などCubeIDEではできないBinary Programmingの+α機能を提供します。例えば、STM32G0/G4のRoot of Trust(3)の投稿で示したSBSFU書込みや消去などがこの機能に相当します。

CubeIDEでも、デバッガ上でアプリケーションの変数モニタは可能です。しかし、あくまでDebugging MCUの(開発者向け)変数モニタです。CubeMonitorは、アプリケーションを通常動作させたまま、変数をリアルタイム(ライブ)モニタができる点が、CubeIDEとは異なるMonitoring機能です。

STM32CubeMonitor特徴2:データ可視化

リアルタイムで取得したデータは、下図のようにPCダッシュボードに予め準備済みのChartや円グラフにして可視化することができます。しかも、これら表示が、PCだけでなく、スマホやタブレットへも出力可能です。

STM32CubeMonitorのデータ可視化(出典:DB4151)
STM32CubeMonitorのデータ可視化(出典:DB4151)

つまり、CubeMonitorを使えば、開発したアプリケーションのライブ動作を、あまり手間をかけずにビジュアル化し、エンドユーザの顧客が解るように見せることができる訳です。これが、一押しの特徴です。

文章で説明するよりも、コチラの動画を見ていただくと一目瞭然です。

組込みアプリケーションのビジュアル化

組込みアプリケーション開発も、自動車のADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)のおかげでビジュアル化がトレンドです。

組込みアプリケーションのビジュアル化
組込みアプリケーションのビジュアル化

もちろん、超高性能MCUやデュアルコアMCUで実現するアプローチが本流です。が、本稿で示した2020年3月発表のCubeMonitorを使えば、産業用MCUでも案外簡単にビジュアル表示出力が可能になりそうです。

組込みアプリケーションは、MCUで結構大変な処理を行っていても、外(顧客)からは単にMCUデバイスしか見えません。CubeMonitorで処理データを可視化するだけでも、複雑さや大変さを顧客へ示すツールにもなります。

SW4STM32からSTM32CubeIDE移設

STマイクロエレクトロニクス(以下STM)MCUの統合開発環境(IDE)を、従来のSW4STM32から新しいSTM32CubeIDEへ移設するのは簡単です。STM32CubeIDE初期画面に、SW4STM32からSTM32CubeIDEへのプロジェクト変換機能があるからです。

しかし、本稿はSTM社自身による新しいSTM32CubeIDE発表を、STM32MCU純正開発ツールラインナップの完成ととらえ、SW4STM32で開発したSTM32FxテンプレートSTM32G0xテンプレートを、STM32CubeMX起点のSTM32CubeIDE移設方法とそのメリットを示します。

SW4STM32/TrueSTUDIOからSTM32CubeIDE移設背景

IDE開発元の買収&消滅、C/C++コンパイラ改版、Eclipse改版、WindowsなどのOS改版等々、IDE移設が生じる原因は、様々です。IDEは、MCU開発者と最も長い付合いをするツールで、しかも顧客先で稼働中ソフトウェアの変更手段ですので、IDE移設はできれば避けたい出来事です。

SW4STM32は、STM32MCU向けコードサイズ制限なしの無償IDEで、サードパーティAC6社が提供してきました。また、サードパーティAtollic社のTrueSTUDIOも同じくSTM32MCU向け無償IDEとして人気がありましたが、Atollic社をSTMが買収し、TrueSTUDIOはDiscontinue、代わりにSTM自社開発のSTM32CubeIDE無償提供を始めました(Atollic社買収の目的は、STM32CubeIDE開発だと思います)。

STM32 Software Development Tools(出典:STMサイト)
STM32 Software Development Tools(出典:STMサイト)

ポイントは、従来サードパーティが提供してきたコードサイズ制限なし無償IDEを、STM自らSTM32CubeIDEで提供し、「STM32CubeMX/IDE/Programmer/Monitorから構成されるSTM純正のSTM32MCU開発ツールラインナップが完成」したことです(上図)。

このうち、STM32CubeMoniterは、比較的新しいデバッガで、本ブログで紹介を予定しています。

STM32CubeIDEフォルダ構成

STM32CubeIDEは、SW4STM32やTrueSTUDIOよりも後発IDEですので、SW4STM32/TrueSTUDIO開発プロジェクトを、STM32CubeIDEプロジェクトへ変換し取込む機能があります。この機能の使用結果が下図左側です。

STM32CubeIDE変換機能移設プロジェクト(左)とSTM32CubeIDE新規プロジェクト(右)のフォルダ構成比較
STM32CubeIDE変換機能移設プロジェクト(左)とSTM32CubeIDE新規プロジェクト(右)のフォルダ構成比較

左側は、弊社がSW4STM32で開発したSTM32G0x SimpleTemplateプロジェクトを、STM32CubeIDEの変換機能を使ってSTM32CubeIDEプロジェクトへ移設後のProject Explorer、一方、右側は、STM32CubeIDEで新規にSTM32G0プロジェクトを作成した時のProject Explorerです。

左右でプロジェクトのフォルダ構成が異なっていることが判ります。

左:変換機能利用の移設プロジェクトは、従来のSW4STM32フォルダ構成がそのままSTM32CubeIDEで再現されます。

右:STM32CubeIDE新規プロジェクトのフォルダ構成は、Coreフォルダ内にIncフォルダとSrcフォルダがまとめられています。これがSTM32CubeIDE本来のフォルダ構成です。
※ここでのCoreは、下図Application code層を示します。

STM32CubeIDE本来のフォルダ構成は、MCUがCortex-M4のSTM32G4などへ代わっても、Core>Inc/Src構成は不変で、Driversフォルダの中身がSTM32G4対応へ変わるのみです。つまり、よりCMSIS対応のアプリケーション開発に向いた構成です。

CMSIS Structure(出典:Keil CMSIS Version 5.6.0 Generalサイト)
CMSIS Structure(出典:Keil CMSIS Version 5.6.0 Generalサイト)

※CMSIS対応は、関連投稿:mbed OS 5.4.0のLチカ動作、LPCXpresso824-MAXで確認の3章 CMSISを参照してください。

このようにSTM32CubeIDEは、開発者が「本来のアプリケーション開発に集中し易い、つまりIncとSrcのコード作成に集中できるMCU非依存のフォルダ構成」です。

さらに、他の「STM32MCU純正開発ツールとの相性良さや、新発売MCUデバイスへの素早い対応」も期待できます。

これらは、サードパーティIDEになかったSTM自社開発STM32CubeIDEの大きなメリットです。

STM32CubeMX起点のSTM32CubeIDE移設

STM32Fx/G0xテンプレートは、SW4STM32で開発しました。STM32CubeIDEプロジェクト変換機能を使って、従来SW4STM32フォルダ構成のままSTM32CubeIDEへの移設は簡単です。しかし、前章のSTM32CubeIDE本来のフォルダ構成の方が、より大きなメリットが期待できます。

そこで、本来のSTM32CubeIDEプロジェクトフォルダ構成へ、SW4STM32プロジェクトを移設します。

これには、STM32Fx/G0xテンプレート開発時に自作したSTM32CubeMXプロジェクトファイル(前章の左側:SimpleTemplate.ioc)を使います。

STM32CubeMXは、STM32MCUソフトウェア開発の起点となるコード生成ツールです。このSTM32CubeMXから移設を始めれば、次段のSTM32CubeIDEも本来の新規プロジェクト構成で自動生成されます。

さらに、開発アプリケーションで使うLL API/HAL APIの選択や変更も、STM32CubeMXで行います。従って、LL APIが「主」で開発したSTM32G0xテンプレートを、HAL APIへ変えるのも容易です。
※LL API「主」からHAL APIへも「主」へ変更する理由は、STM32G0シリーズがRoot of Trust対応メインストリーム(汎用)MCUだからです。STM32G0専用のLL APIアプリケーションよりも、汎用HAL APIアプリケーションの方が、Root of Trust実現には向いています。詳しくは、関連投稿:STM32G0/G4のRoot of Trust(2)を参照してください。

SW4STM32のSTM32CubeMXプロジェクトファイル(SimpleTemplate.ioc)を起点としてSTM32CubeIDEへ移設したProject Explorerが下図です。前章の右側:STM32CubeIDE新規プロジェクトと同じフォルダ構成で移設されていることが判ります。

STM32CubeMXプロジェクトファイル起点でSTM32CubeIDEへ移設
STM32CubeMXプロジェクトファイル起点でSTM32CubeIDEへ移設

但しこの方法では、SW4STM32でユーザ(筆者)が追加作成したファイル、前章左側:Launcher.c/Led.c/Lpuart.c/UserDefine.hは、手動で移設する必要があります。

まとめ

STM32CubeIDEの提供で、STM32MCU純正開発ツールラインナップが完成しました。
※STM32CubeIDE v1.3.0に残っていた日本語文字化けは、コチラの投稿方法で解決しました。

SW4STM32/TrueSTUDIOなどの従来IDEからSTM32CubeIDE 移設のメリットは、他のSTM純正開発ツール(STM32CubeMX/Programmer/Monitor)との好相性や新発売MCUデバイスへの早い対応です。

従来IDEプロジェクトの移設は、STM32CubeIDEプロジェクト変換機能を使うと簡単です。しかし、移設メリットを活かすには、旧IDEフォルダ構成から、STM32CubeIDE本来の構成となるSTM32CubeMXプロジェクト起点の移設を、弊社STM32Fx/G0xテンプレートへ適用します。

STM32CubeIDE対応の各テンプレート改版完成は、本ブログで発表します。

STM32G0/G4のRoot of Trust(1)

2020年3月号STM32マンスリー・アップデートのP4に、STM32マイコンでRoot of Trustを実現するセキュリティ・ソフトウェア・パッケージ:X-CUBE-SBSFUが紹介されています。

セキュア・ブート、セキュア・ファームウェア更新、Root of Trust…などIoT MCUセキュリティ用語満載で、投稿:総務省によるIoT機器アップデート機能義務化に関連しそうな内容です。

解りにくいこれらセキュリティ関連の用語解説と、本ブログ対象STマイクロエレクトロニクスのSTM32G0/G4シリーズのRoot of Trust実現方法を、今回から数回に分けて投稿します。

Root of Trust とX-CUBE-SBSFU、STM32G0/G4

マンスリー・アップデートの説明は、エッセンスのみを抽出した代物なので、リーフレットを使って説明します。

一言で言うと、「Root of Trust実現には、X-CUBE-SBSFUが必要で、対応中STM32MCUが下表」です。

Root of Trust対応中のSTM32マイコン一覧(出典:FLXCUBESBSFU0819J)
Root of Trust対応中のSTM32マイコン一覧(出典:FLXCUBESBSFU0819J)

つまり、Root of Trustは全てのSTM32MCUで実現できる訳ではなく、表中のMCU、メインストリーム(汎用)・マイコンの場合は、STM32G0とSTM32G4がセキュア・ブート(SB)とセキュア・ファームウェア更新(SFB)に対応しておりRoot of Trustを実現しています。

X-CUBE-SBSFUの下線部SBはセキュア・ブート、SFUはセキュアFW更新を示します。X-CUBEは、STM純正ソフトウェアツールの総称です。

信頼性を実現するハードウェア/ソフトウェアの根幹部分を、Root of Trustと呼びます。

汎用MCUでRoot of Trustの実現には、ハードウェア/ソフトウェア両方に相応の能力が必要で、従来からある汎用STM32Fxシリーズではなく、新しい汎用STM32G0/G4にSBとSFUが実装されたのだと思います。

ということは、総務省のIoT機器アップデート機能義務化が実施されると、IoTエッジで使う汎用MCUは、必然的にSTM32G0/G4シリーズになるかもしれません。
※X-CUBE-SBSFUは、移植性の高いHAL API利用のため、従来汎用STM32Fxへも流用可能かもしれません。しかし、現時点では、表記STM32G0/G4のみ対応と解釈しています。

STM32汎用MCUラインナップ
STM32汎用MCUラインナップ(出典:STM32 Mainsterm MCUsに加筆)

用語を説明したのみですが、Root of Trust とX-CUBE-SBSFU、汎用マイコンSTM32G0/G4の関係が、マンスリー・アップデートエッセンスより見えてきたと思いますがいかがでしょう。

さらに、一歩踏み込んで、STM32G0/G4のセキュア・ブート、セキュア・ファームウェア更新方法やセキュリティの背景などの詳細は、次回以降説明します。

X-CUBE-SBSFUユーザマニュアル:UM2262

次回以降の説明は、X-CUBE-SBSFUユーザマニュアル日本語版(2019 年 11 月14日):UM2262を基に行います。

UM2262は、X-CUBE-SBSFU対応中の全てのSTM32マイコン(ハイパフォーマンス/超低消費電力/メインストリーム(汎用)/ワイヤレス)が併記されています。

そこで、STM32G0とSTM32G4関連のみを抜粋し、特にセキュア・ブート(SB)とセキュア・ファームウェア更新(SFU)の設定方法と背景を中心に説明します。販売中のSTM32G0xテンプレートと、開発予定のSTM32G4テンプレートに関連するからです。

本稿で示したRoot of Trustを、STM32G4テンプレートに実装するかは未定です。しかし、IoTエッジマイコンのSTM32G4らしさを出すには、Root of Trust実現は必須だと思います。

また、STM32G0xテンプレートは、まずVersion 2改版で新統合環境:STM32CubeIDE v1.3.0への対応を予定しております(現行版は、SW4STM32開発のVersion 1)。
※STM32G0関連の投稿は、本ブログ右上のSearch窓へ、“STM32G0”と入力すると、効率よく投稿が集まります。新汎用STM32G0の特徴、STM32G0xテンプレートのことが解ります。

STM32G0へのRoot of Trust実装も未定ですが、対応する場合でもVersion 2より後にするつもりです。

従って、具体的なRoot of Trust実現方法は、STM32G4シリーズで先行、その後にSTM32G0シリーズが続くという順番になります。

TrustZone対応STM32マイコン体験セミナー(セキュリティ編)

5月22日(品川)と7月31日(大阪)に、2020年2月発売STM32L5マイコン(Cortex-M33/110MHz)を使ったSTM主催、定員30名、4時間半のTrustZone対応STMマイコン体験セミナー(セキュリティ編)が開催されます。

STM32L5は、PSA Certifiedレベル2認証を取得済みのTrustZoneマイコンです。PSA認証は、関連投稿:ARM MCU変化の背景の2章の3:セキュリティ対応をご覧ください。STM32L5のTrustZone実現は、専用のSTM32Cube拡張パッケージ:STM32CubeL5を使っています。

セミナー概要の冒頭に、「IoTセキュリティに関する法令やガイドラインの整備が進んでいます」とあり、具体的にIoTセキュリティ機能のSTM32L5への実装と必要性が解ると思います。セミナーに参加し、エキスパートから色々な情報を仕入れたいのですが、COVIC-19の影響で出張ができるか?…、Webinarなら嬉しいのですがね😅。

評価ボード付き無料セミナーです。ご興味がある方は、参加してはいかがでしょう。

STM32G0/G4のRoot of Trust(1)まとめ

  • Root of Trust実現に、STM32Cube拡張パッケージ:X-CUBE-SBSFUが必要。Root of Trust対応中の汎用マイコンは、STM32G0/G4シリーズ。
  • 信頼性実現のハードウェア/ソフトウェア根幹部分をRoot of Trustと呼ぶ。
  • IoT機器アップデート機能義務化なら、IoTエッジ汎用MCUは、STM32G0/G4シリーズになる可能性あり。
  • STM32G0/G4シリーズのRoot of Trust実現方法、SB(セキュア・ブート)とSFU(セキュア・ファームウェア更新)は、UM2262を使い次回以降説明。

ここまでは、比較的簡単にRoot of Trust、X-CUBE-SBSFU、STM32G0/G4が説明できたと思います。ここからが、セキュリティの難解なところで、SBだけでも次回上手く説明できるか自信がありません。結果は、次回のブログ更新で判ります。

STM32CubeIDE更新、文字化け解決

STマイクロエレクトロニクスの統合開発環境:STM32CubeIDEがv1.3.0に更新されました(2月28日、更新自動通知メールにて把握)。デフォルト設定のWindows版STM32CubeIDEは、エディタで追記した日本語コメントに文字化けが発生します。これは、昨年投稿したSTM32CubeIDE v1.1.0v1.2.0と同じで、最新版でも解決されません。

そこで、対策にデフォルト設定を2か所変え、日本語文字化け解決を確認しました。また、Linux Debian版STM32CubeIDEとSW4STM32は、最新環境でもデフォルトで文字化けが無いことも確認しました。

Windows版STM32CubeIDE日本語文字化け発生箇所

2019年4月新登場STマイクロエレクトロニクス統合開発環境:STM32CubeIDE-Winの日本語コメント文字化けは、

  • SW4STM32プロジェクトのSTM32CubeIDEインポート後
  • プラグイン版STM32CubeMXでのコード再生成時

に、エディタでソースコードに追記した日本語コメントに文字化けが発生します。
※Windows版は、Windows 10 Pro 1909の話です。

STM32CubeIDE-Win v1.3.0日本語文字化け対策

数回のメジャー更新を経て登場後約1年のv1.3.0でも、この文字化けはデフォルトのままでは未解決です。そこで、ネット検索したところ、コチラの対策を得ました。

STM32CubeIDEのデフォルト設定を、2か所変更します。

STM32CubeIDEの日本語文字化け2箇所の対策
STM32CubeIDEの日本語文字化け2箇所の対策
  1. フォント設定を、デフォルトConsolasからメイリオなどの日本語文字セットへ変更(ワークスペース毎)
  2. Text file encoding設定を、デフォルトUTF-8からShift-JISへ変更(プロジェクト毎)

※1は、STM32CubeIDEのWindowタブ>Preferenceダイアログ検索窓へ”font”入力>Colors and Font選択>C/C++選択>Editor選択>C/C++ Editor Text Fontを選択し、Edit…クリックで左図表示
※2は、プロジェクト選択>Propertiesクリックで右図表示

右図のようにプルダウンメニューにShift-JIS選択肢が無い時は、Shift-JISと直接入力し、Apply and Closeをクリックします。

1はワークスペース毎、2はプロジェクト毎に設定が必要です。

これら2か所の変更で、SW4STM32プロジェクトインポート後とSTM32CubeMXコード再生成時、どちらもエディタ追記日本語コメント文字化けは解決できました。

以上で、従来のSW4STM32から新しいSTM32CubeIDEへ、日本語コメント文字化け無しにSTM32MCU開発環境を移行できます。

STM32CubeIDE特徴

STM32CubeIDEは、コード生成ツール:STM32CubeMX、開発デバイスファームウェア(弊社ならFW_F0/F1/G0/G4)全てを1パッケージ化し、全て最新版のみを提供する特徴があります。投稿時のSTM32CubeIDE v1.3.0が下図です。

簡単に言うと、開発ソフトウェアが全てSTM32CubeIDEへプラグインされた形式です。

STM32CubeIDE全体構成
STM32CubeIDE全体構成

STM32CubeIDE起動時、またはCheck for Updatesにより、IDEを含めた各プラグイン更新を確認し、常に最新開発環境となります(悪名高いWindows Updateに似ているような…😅)。

これは、プラグイン版STM32CubeMX v5.6.0に、旧ファームウェア選択機能が無いことからも解ります。

最新ファームウェアを使うSTM32CubeMXプラグイン版(左)とファームウェア選択可能なスタンドアロン版(右)
最新ファームウェアを使うSTM32CubeMXプラグイン版(左)とファームウェア選択可能なスタンドアロン版(右)

例えば、顧客先で稼働中ソフトウェアへ変更を加えるなど旧ファームウェアのまま開発希望の場合は、スタンドアロン版STM32CubeMX v5.6.0を使えば、右図のように旧ファームウェア選択も可能です(関連投稿:v1.2.0の開発環境更新リスク、ファームウェア更新リスク回避策の章に背景説明があります)。

純正STM32Cubeツール

STM32MCUソフトウェア開発に使えるIDEは、下図中央のようにIAR:Embedded Workbench、ARM:Keil、AC6:SW4STM32、etc.などサードパーティ製も数多くあります。しかし、純正STM32CubeツールのSTM32CubeIDEが、STマイクロエレクトロニクス一押しの統合開発環境だと思います。

STM32 Software Development Tools(出典:STMサイトに加筆)
STM32 Software Development Tools(出典:STMサイトに加筆)

もちろん、従来からあるSW4STM32もまだ現役(Active)です。ST Communityには、今も多くのSW4STM32事例があります。

そこで、Windows版STM32CubeIDE以外の、SW4STM32とLinux Debian版STM32CubeIDEの現状を調べました。

STM32CubeIDE-DEB

64ビット版のみですが、STM32CubeIDE v1.3.0のLinux Debian版インストーラが、Windows版STM32CubeIDEと同じ純正ソフトウェア入手サイトにあります。

STM32CubeIDE Debian Linux Installer
STM32CubeIDE Debian Linux Installer

筆者は、DebianよりもMintが好きなので、STM32CubeIDE-DEBをLinux Mint 19.3 MATE (64-bit)へインストールし、デフォルト設定でも日本語文字化け無し、評価ボードで正常動作することを確認しました。

STM32CubeIDE-DEBは、デフォルトで日本語文字化けなしで動作
STM32CubeIDE-DEBは、デフォルトで日本語文字化けなしで動作

Mintへのインストール方法が下記です。途中で長いライセンス同意を求められます。

chmod +x st-stm32cubeide_1.3.0….sh
sudo ./st-stm32cubeide_1.3.0….sh、または、sudo bash st-stm32cubeide_1.3.0….sh
※NXP:MCUXpresso IDE v11.1.0のInstallation Guide, Appendix A – Linux Installationを参考にしました。

STM32CubeMXやデバイスファームウェアは、Windows版と同様全てプラグインです。Linux版SW4STM32既成プロジェクトが手元に無いのでインポートは試せませんが、問題無いと思います。

リリースノート:RN0114のLinux動作テスト環境にMintは有りません。自己責任でNXP:MCUXpresso IDE v11.1.0 Linux版ともども、Mint上でSTM32CubeIDE-DEBが正常動作したことをお知らせします。

SW4STM32とスタンドアロン版STM32CubeMX v5.6.0

SW4STM32とスタンドアロン版STM32CubeMX v5.6.0で開発環境を構築する場合は、デフォルトでも日本語文字化けは発生しません。従来環境に慣れた方は、SW4STM32もそのまま使えると思います。

お知らせ:STM32FxテンプレートとSTM32G0xテンプレート改版予定

STM32CubeIDE-Win v1.3.0に加えた本稿2か所変更が、次版以降のSTM32CubeIDEにも必要かは判りません。ただ、いまさらShift-JIS設定?という気はします。WindowsでShift-JIS継続利用の弊害は、コチラの記事がよく解ります。

しかし、懸案であった日本語コメント文字化けが解決、新登場後1年経過しv1.3.0となったこのタイミングで、従来SW4STM32から新しいSTM32CubeIDEへ開発環境を乗換えるのもチャンスだと思います。SW4STM32更新頻度が減ったことや、他の純正STM32Cubeツールとの相性良さも期待できるからです。

そこで、SW4STM32で開発・販売したSTM32FxテンプレートSTM32G0xテンプレートを、STM32CubeIDE-Winを使って再開発に着手し、新にVersion 2として販売する予定です。進行状況などは、本ブログでお知らせします。

STM32G071RBとAlexaを繋ぐ

1月9日STマイクロエレクトロニクス(以下STM)公式ブログに、STM32G0とAlexa(アレクサ)を接続する開発キット:Alexa Connect Kit(ACK)モジュールが紹介されました。アレクサに話しかけ、STM32G0評価ボードのNucleo-G071RB 経由でスマートホーム制御が簡単に実現できます。

システム構成

STM32G071RBとAlexaを接続するAlexa Connect Kit (ACK)のシステム構成
STM32G071RBとAlexaを接続するAlexa Connect Kit (ACK)のシステム構成

システム構成の公式ブログ掲載が無いので、自作したのが上図右側です(左側出典:STMサイト、Cortex-M7 MCUでアレクサ接続)。

USI MT7697HがACKモジュールで、Nucleo-G071RBとはArduinoコネクタで接続します。スマートスピーカに話しかけると、クラウド内で音声解析→制御コマンド生成を行い、このコマンドがACKへ無線送信され、STM32G0評価ボードNucleo-G071RBへ届き、STM32G071RBがスマートホーム機器などを制御します。

費用とSTM32G0用ACKドライバ、ファームウェア

費用:Nucleo-G071RBが約$10、ACKがUS Amazonで$197、(日本アマゾンで¥38,202)。

STM32G0用ACKドライバ、ファームウェア:公式ブログリンク先は、今日現在、提供されていません。

2018年6月頃は、STM32F7やSTM32H7などの高性能Cortex-M7 MCUでアレクサ接続がSTM公式ブログで投稿されましたが、今回Cortex-M0+のSTM32G0とACKでも簡単に接続可能になりました。

STM32G0特徴

2018年12月新発売のSTM32G0シリーズは、初の90nmプロセス製造MCUで低消費電力と高速動作、従来のSTM32F0 (Cortex-M0)~F1 (Cortex-M3)性能をカバーする新しい汎用MCUです。セキュリティハードウェア内蔵、低価格、64ピンパッケージでも1ペアVDD/VSS給電がSTM32G0の特徴です。
関連投稿:STM新汎用MCU STM32G0守備範囲が広いSTM32G0

STM32マイコンマンスリー・アップデート2020年1月のP4に、「STM32G0 シリーズのラインナップ拡充 STM32G041/ G031/ G030 新登場」記事もあります。筆者も、STM32G0シリーズは、STMの汎用MCUとしてお勧めデバイスです。

LL APIかHAL API、混在?

残念ながら今は未提供ですが、筆者は、ACKドライバとファームウェアのAPIに興味があります。

理由は、STM32G0シリーズの高性能を引き出すには、HAL:Hardware Abstraction Layer APIよりもエキスパート向けLL:Low Layer API利用ソフトウェア開発が適すからです。

HALとLL比較(出典:STM32 Embedded Software Overvire)
HALとLL比較(※説明のため着色しています。出典:STM32 Embedded Software Overvire)

生産性や移植性の高いHAL APIとLL APIの混在利用は、注意が必要です(関連投稿:STM32CubeMXのLow-Layer API利用法 (2)の4章)。

ACKドライバ、ファームウェアが、LL APIかHAL APIのどちらを使っているか、または混在利用かを確認し、ノウハウを取得したかったのですが…😥。

LL API利用STM32G0xテンプレートとHAL API利用STM32Fxテンプレート

弊社は、LL API利用STM32G0x専用テンプレートと、HAL API利用STM32Fx汎用テンプレートの2種類を、それぞれ販売中です(テンプレートは同一、テンプレートを使うAPIのみが異なる)。

STM32汎用MCUラインナップ
STM32汎用MCUラインナップ(出典:STM32 Mainsterm MCUsに加筆)

もちろん、STM32G0でもHAL APIを利用することは可能です(STM32G0x専用テンプレートにもHAL API使用例添付)。LL API利用ソフトウェアは、性能を引き出す代償に対象MCU専用になります。

HAL APIとLL APIの混在は避けた方が無難で、STM32G0はLL API専用でテンプレート化しました。添付資料も、LL APIを中心に解説しています。STM32Fxテンプレート添付資料は、HAL API中心の解説です。

両テンプレートをご購入頂ければ、LL/HAL双方のAPI差が具体的に理解できます。開発するアプリケーション要求性能や発展性に応じて、LL APIかHAL APIかの選択判断も可能になります。
※両テンプレート同時購入時は、2個目テンプレート50%OFF適用で、1500円(税込)です😀。

FYI:日本語コメント文字化け継続

STMマイコン開発環境にソースコード日本語コメントの文字化けが発生中であることを、昨年11月に投稿しました。この文字化け発生のSTM32CubeIDE v1.1.0/CubeMX v5.4.0開発環境が、STM32CubeIDE v1.2.0STM32CubeMX v5.5.0に更新されました。

更新後のSTM32CubeIDE v1.2.0/CubeMX v5.5.0でも、旧版同様に文字化けします。
一方、SW4STM32では、STM32CubeMX v5.5.0更新後も日本語コメント文字が正常表示されます。

他社の最新版EclipseベースIDE、NXPのMCUXpresso IDE v11.1.0や、CypressのPSoC Creator 4.2では、ソースコードText Font変更をしなくても文字化けはありませんので、STM特有問題だと思います。

ワールドワイドでの日本相対位置低下、今年から始まる小学校英語教育…、日本ものつくりは、英語必須になるかもしれません。

SW4STM32アプリケーションのSTM32CubeIDE移設

SW4STM32で開発した2017年9月発売STM32Fxテンプレートと2019年6月発売STM32G0xテンプレートを、STM32MCU最新統合開発環境STM32CubeIDE v1.1.0へ移設しました。

移設は成功し、STマイクロエレクトロニクス最新統合開発環境:STM32CubeIDE v1.1.0(以下、CubeIDE)、STM32CubeMX v5.4.0(以下、CubeMX)、最新ファームウェアと弊社テンプレートを使って、効率的で最新のSTM32MCUプロトタイプ開発、アプリケーション開発ができます。

本稿は、STM32CubeIDE v1.1.0更新と文字化け対策投稿(その1)、(その2)のその3に相当します。説明が重複する箇所は、リンク先を参照してください。

移設成功結果

G0AdcTemplateのSTM32CubeIDE移設成功結果
G0AdcTemplateのSTM32CubeIDE移設成功結果

STM32Fxテンプレートは「ひと手間」、STM32G0xテンプレートは「そのまま」で最新統合開発環境へ移設でき、評価ボードにてテンプレート動作を確認しました。G0AdcTemplateのCubeIDE移設後と評価ボード動作例です。

既にSTM32Fx/G0xテンプレートご購入者様は、本稿の方法で最新STマイクロエレクトロニクス開発環境へ乗換えることができます。

※現状のCubeMX v5.4.0でコード生成後、CubeIDE v1.1.0の日本語コメントは文字化けしますので注意してください(詳細は、投稿その2参照)。

最新開発環境ファームウェアとアプリケーション開発時ファームウェア

最新開発環境ファームウェアとテンプレート開発時ファームウェア
最新開発環境ファームウェアとテンプレート開発時ファームウェア

投稿その2で示したように、MCU開発ソフトウェア(=アプリケーション)に最も影響を与えるのは、ファームウェア更新です。

STM32FxテンプレートのF0用ファームウェアFW_F0は、開発当時のv1.8.0からv1.11.0へ、F1用ファームウェアはv1.4.0からv1.8.0へ、G0用ファームウェアFW_G0はv1.2.0からv1.3.0へそれぞれ更新されています。
※STM32G4テンプレートは、これから開発着手しますので最新のv.1.1.0のままです。

次章3から5章までを使って、STM32F1テンプレート:F1BaseboardTemplateを例に、当時の開発環境から最新開発環境への移設作業、ファームウェア変更、トラブルシューティングを「詳細に説明」します。但し、結果として行う処理は、6章まとめに示す簡単なものです。途中の章は読み飛ばしても構いません。

開発済みMCUアプリケーションを暫くたってから更新、または本稿のようにIDE自体が変わり最新開発環境へ移設することはよくあります。F1BaseboardTemplateをお持ちでない方も、(手前みそですが)次章から5章の内容は参考になると思います。

ファームウェア更新でコンパイルエラー発生:3章

先ず、ファームウェア起因のコンパイルエラーが発生するまでを示します。

1.SW4STM32で開発したF1BaseboardTemplateプロジェクトをCubeIDEへインポートします(インポート方法は、投稿その1-3章参照)。インポートソースコードの日本語コメントに文字化けが発生しますので、その1で示したShift-JISからUTF-8へのエンコード変換で解決します。

2.インポート済みのCubeMXプロジェクトファイルを、CubeIDEプラグイン版CubeMXで開き、Project Managerタブをクリックし、Toolchain/IDEがSTM32CubeIDEであることを確認します。インポートIDE変換が成功していれば、SW4STM32から自動的にSTM32CubeIDEへ変わっているハズです。

SW4STM32プロジェクトインポート後、プラグイン版STM32CubeMXで開いたプロジェクトファイル
SW4STM32プロジェクトインポート後、プラグイン版STM32CubeMXで開いたプロジェクトファイル

ファームウェアは、最新版STM32Cube FW_F1 V1.8.0になっています。そのままProject>Generate Codeをクリックし、コード生成を実行します。

3.CubeIDEへ戻ると、(デフォルトの自動コンパイル設定だと)Lcd.cなど数か所に赤下線のコンパイルエラーが発生します。

ファームウェア起因のコンパイルエラー(赤下線)
ファームウェア起因のコンパイルエラー(赤下線)

例えば、L236のLCD_EN_Pinは、CubeMXでGPIO_PIN_8をUser Label付けしたものです。LCD_EN_Pinへカーソルを持っていき、F3をクリックすると、定義ファイルmain.hのL103へ飛び、User Label付けは問題ないことが判ります。この段階では、コンパイルエラー原因は不明です。

4.コンパイルエラーがファームウェア起因かを確認するため、ファームウェアだけをFW_F1 V1.8.0からF1BaseboardTemplate 開発当時のFW_F1 V1.4.0へ戻します。但し、CubeIDE「プラグイン版CubeMX」は、ファームウェアを旧版へ戻す機能がありません。そこで、「スタンドアロン版CubeMX」を使ってファームウェアをFW_F1 V1.4.0へ戻し、再度コード生成を行うと、コンパイルエラーは発生しません。
※スタンドアロン版CubeMXでファームウェアを元の版数へ戻す方法は、4章で説明します。

以上の作業で、コンパイルエラー原因は、ファームウェア起因であることが判りました。

STM32CubeMXコード生成ファームウェア変更方法:4章

トラブルシューティングの前に、CubeMXでコード生成ファームウェア版数を変える方法を示します。CubeMXは、旧版ファームウェアをRepositoryフォルダへ自動保存し、いつでも旧版へ戻せる準備をしています。

1.スタンドアロン版CubeMXのProject Managerクリックで表示されるダイアログ一番下のUse Default Firmware Locationの☑を外し、BrowseクリックでRepositoryフォルダ内の旧版ファームウェア:STM32Cube_FW_V1.4.0を選択します。

スタンドアロン版STM32CubeMXでファームウェア版数を変える方法
スタンドアロン版STM32CubeMXでファームウェア版数を変える方法

2.そのままCubeMXでコード生成を実行すると、ファームウェア版数のみを変えたソースコードが生成されます。

※CubeIDEプラグイン版CubeMX(2つ前の図)は、Use Default Firmware Location自体有りません。つまり、最新ファームウェアでのみコード生成が可能です。
※CubeMXのGenerate Reportは、コード生成時の各種パラメタをPDF形式で出力する優れた機能です。しかし、肝心のコード生成ファームウェア版数が現状では出力されません。PDF出力へ手動で使用ファームウェア版数を追記することをお勧めします。

トラブルシューティング:5章

3章コンパイルエラー発生後、つまり最新ファームウェアFW_F1 V1.8.0でのコード生成後からトラブルシューティングします。

1.CubeIDEのエラーメッセージは、Symbol ‘LCD_EN_Pin’ could not be resolvedです。main.hで定義済みなので、なぜresolveできないのか不可解です。

2.そこで、Lcd.cの#include関連を見ると、#include “UserDefine.h”はあります。
※弊社テンプレートは、UserDefine.hでツール生成以外の全てのユーザ追加定義を記述し、全ソースファイルへincludeする方式を用いています。
※一方、CubeIDEは、CubeMXで生成するmain.cソースファイル1つへ、全ての制御を記述する方式を用いています。小規模なサンプルプロジェクトなどでは、解り易い方法です。
※但し、規模が大きくなると、ソースファイルを機能毎に分離し、ファイル単位の流用性やメンテナンス性を上げたくなり、弊社は、このファイル分離方法をテンプレートに採用中です。

3.UserDefine.hに、#include “main.h”の1行を追加します。

UserDefine.hへ#include "main.h" 追加
UserDefine.hへ#include “main.h” 追加

4.Clear Project後、Build Projectでコンパイルエラーは解消し、コンパイル成功します。評価ボード:STM32F103RBでF1BaseboardTemplate の最新開発環境での正常動作確認ができます。

最新ファームウェアは、全てのユーザ追加ソースファイルに、#include “main.h”が必須なことがトラブル原因でした。

最新開発環境への移設まとめ:6章

2017年9月にSW4STM32で開発完了したSTM32Fxテンプレートは、UserDefine.hに、#include “main.h”追記で、2019年11月STM32MCU最新開発環境:STM32CubeIDE v1.1.0、STM32CubeMX v5.4.0、STM32Cube FW_F1 V1.8.0/FW_F0 V1.11.0へ移設できます。

2019年6月にSW4STM32で開発完了したSTM32G0xテンプレートは、なにもせずに、2019年11月最新開発環境:STM32CubeIDE v1.1.0、STM32CubeMX v5.4.0、STM32Cube FW_G0 V1.3.0へ移設できます。
※STM32G0xテンプレートは、初めからUserDefine.hに、#include main.hが追記済みです。

Build Analyzer

SW4STM32からCubeIDEへ移設後、最初に目に付くIDE画面の差分は、ビルド成功時、右下表示のBuild Analyzerだと思います。

STM32CubeIDEのBuild Analyzer
STM32CubeIDEのBuild Analyzer

最初の図で示したG0AdcTemplate移設後のCubeIDE Build Analyzerを示します。RAM、FLASH使用率が一目で解ります。その他のIDE画面や操作は、旧SW4STM32と殆ど同じです。

Serial Console

CubeIDEは、Serial Console画面を持っています。従来環境では別途必要であったVirtual COM Port (VCP)用のTera Termなどのツールが不要となり、IDEだけでVCP入出力が確認できます。高まるVCP重要性が最新IDEへ反映されたと思います(関連投稿:STLINK-V3の4章)。

但し、バックグラウンドが、Tera Termの黒からSerial Console画面では白になったため、テンプレートで用いたVCP出力文字色を、デフォルトの白から黒へ変更した方が見易いです。この色変更後のSerial Consoleが下図右側です。

TeraTerm画面とSTM32CubeIDEのSerial Console画面
TeraTerm画面とSTM32CubeIDEのSerial Console画面

最新開発環境移設の課題と対策、テンプレート改版予定

現状のCubeIDE v1.1.0は、コード生成後、日本語コメントに文字化けが発生します。また、エディタタブ幅が2のまま変更できません。これら以外にも細かな不具合があります。このままでは、筆者には使いにくいIDEです。一方、Build AnalyzerやSerial Consoleは、とても役立ちます。
CubeIDEプラグイン版CubeMX v5.4.0は、Repository旧ファームウェアへの変更機能が無く、最新ファームウェアのみ利用可能です。

これら移設課題に対して、投稿その1から本稿で対策を示しました。

現状は、従来SW4STM32からCubeIDEへの「IDE移設過渡期」です。筆者は暫く両IDEを併用するつもりです。そして、新環境の使いにくい箇所が解消された時点でCubeIDEへ完全移設し、同時に汎用MCU第2位、シェア20%超のSTM32MCU向けテンプレートとしてSTM32FxテンプレートとSTM32G0xテンプレートを、本稿変更などを加え最新開発環境対応へ全面改版する予定です。

既に弊社テンプレートをお持ちの方や全面改版を待てない方は、まとめ6章の方法で移設可能です。但し、投稿その2で示した多くのリスクがありますのでお勧めはしません、自己責任で行ってください。

なお、新開発のSTM32G4テンプレートは、初めから最新CubeIDE、CubeMXで開発着手します。

*  *  *

STマイクロエレクトロニクスのSTM32CubeIDE v1.1.0改版により、旧SW4STM32開発アプリケーションを新環境へ移設する連続3回の投稿、いかがでしたでしょうか? 詳細説明がリンク先となり、筆者にしては長文投稿でしたので、解りづらかったかもしれません😌。

IoTによりMCU開発環境は、より急ピッチで変わります。最新デバイスと最新API利用が、その時点で最も効率的で優れたMCUアプリケーション開発手段です。環境急変にも柔軟対応できる開発者が求められます。

最新開発環境に上記のような課題が多少あっても、従来SW4STM32開発済みアプリケーションの最新STM32CubeIDE移設は、6章で示した1行追記のみで成功しました。

但し、顧客や管理者の方には、開発環境更新、移設の危うさや開発者の心理的負担、何よりもそれらへの対応時間は、あまり表に出てこない部分、また移設してみて初めて判る部分で理解されづらいものです。

本稿がMCUアプリケーション顧客、管理者、開発者の方々のご参考になれば幸いです。

P.S:2019年11月12日、2か月遅れでWindows 10 1909配布が始まりました。年2回のWindows 10大型更新トラブル話は多数あります。MCU開発環境は、年2回どころか度々更新されます。開発者は、その度にトラブル対処をしているのです👍。ちなみに本稿は、全てWindows 10 1903での結果です。

STM32CubeIDE v1.1.0更新と文字化け対策(その1)

2019年10月16日、STマイクロエレクトロニクス(以下STM)の無償統合開発環境:STM32CubeIDEが、v1.1.0に更新されました。v1.0.2からMajor releaseです。筆者が従来使ってきたAC6社)SW4STM32からのIDE乗換と、STM32G4テンプレート(前投稿参照)向けの新しい開発環境構築に丁度良いタイミングです。その1は、更新内容、Windows起因のエディタ文字化け対策などを示します。

STM32CubeIDE v1.1.0更新内容

マルチコアSTM32MP1などの新デバイス、コード生成ツールのSTM32CubeMX v5.4.0(2019/10/11)、ベースIDEのEclipse™(2019-09)対応などが主な更新内容です(Eclipseの状況は、コチラの投稿2章などを参照してください)。RN01114に詳細な更新内容があります。

従来のSW4STM32作成のプロジェクトを、STM32CubeIDEへインポートすると、ソースコード日本語追加コメントに文字化けが発生します。この文字化けは、STM32CubeIDE最初のリリースから変わらず残ったままなので、対策を示します。

文字化け対策

Windows 10 1903までのSW4STM32でソースコードへ日本語コメントを入力し保存すると、Shift-JISでエンコード化します。このエンコードが、STM32CubeIDEのエディタ文字化けの原因です。対策は、UTF-8エンコードへの変換です。

Shift-JISからUTF-8へのエンコード変換方法は、様々あります。筆者がソフトウェア開発者へお勧めするのは、無償テキストエディタ:Notepad++です。予約語色分け表示や、矩形編集などのソースコード編集に便利な機能があり、プラグインでCompareなどの機能追加も簡単、動作も軽快なエディタです。
※Windows 1903のメモ帳保存時、右下の文字コード(E)に、UTF-8を選択することでもエンコード変換ができます(コチラの記事に、UTF-8へのWindows変更経緯があります)。

Notepad++を使ったShift-JISからUTF-8へエンコード変換は、メニューから簡単にできます。右下欄に現在のエンコードも表示されますので便利です。

Notepad++でソースコードエンコードをShift-JISからUTF-8へ変換
Notepad++でソースコードエンコードをShift-JISからUTF-8へ変換

Shift-JISからUTF-8へエンコード変換前と、変換後のSTM32CubeIDEのソースコード表示です。エンコード変換で文字化けが解消されました。これで、SW4STM32からSTM32CubeIDEへIDEを乗換えることができます。

Shift-JISからUTF-8 変換でSTM32CubeIDEの文字化け解消
Shift-JISからUTF-8 変換でSTM32CubeIDEの文字化け解消

注意点は、SW4STM32プロジェクト→STM32CubeIDEプロジェクト変換は可能ですが、逆にSTM32CubeIDEプロジェクト→SW4STM32プロジェクトへ戻すことができない点です。筆者は、IDE毎にワークスペースを別々に設定し、SW4STM32プロジェクトをSTM32CubeIDEワークスペースへ手動コピー後、ソースコードのShift-JIS→UTF-8変換、最後にプロジェクトIDE変換で対応しています(プロジェクトIDE変換方法は次章説明)。

なお、Windows 10 1903でSTM32CubeIDEのソースコードに日本語入力しても、UTF-8でエンコード保存されます。

STM32CubeIDE v1.1.0の使い方

STM32CubeIDE v1.1.0の使い勝手は、SW4STM32と殆ど同じです。EclipseベースのIDEは、どれでも同じ使い勝手で、IDE提供ベンダが変わっても利用経験がそのまま活かせるのが特徴です。それでも、ベンダ毎に多少の差があり、STM32CubeIDEで言えばℹ️クリックで表示されるInformation Centerです。

STM32CubeIDEのInformation Center
STM32CubeIDEのInformation Center

Start a project

Import SW/TS projectをクリックすると、SW=AC6社)SW4STM32旧プロジェクト、TS=Atollic 社)TrueSTUDIO旧プロジェクトを、STM32CubeIDE新プロジェクト変換ツールが起動します。変換は、ワークスペース内の旧プロジェクトをそのままSTM32CubeIDEでのみ動作する新プロジェクトに変換します。

Atollic社のTrueSTUDIOはSTMに買収され、日本語対応などの改版が行われましたが、結局新デバイス追加がなく事実上Discontinueとなりました。経緯などは、コチラの投稿の手順4を参照してください。AC6社)SW4STM32も、最近は更新がありません。STM製のSTM32CubeIDEがリリースされたので、TrueSTUDIOと同じくDiscontinueになると思います。

Start new STM32 projectをクリックすると、新たにSTM32CubeIDEプロジェクトが作成できます。表示されるダイアログに従っていけば、問題なく新しいSTM32CubeIDEプロジェクトができます。

Target SelectionダイアログのOther Venderクロス検索
Target SelectionダイアログのOther Venderクロス検索

面白いのは、ダイアログのTarget Selectionです。vendersにSTM以外の選択肢もあります。今回は、STM32G4テンプレート開発に使う評価ボードSTM32G474RE(Cortex-M4、Flash:512KB、RAM:128KB)を選択しますが、他ベンダ、例えばTIのMSP432P401M比較がどのように使えるかは、今後調査します。

Quick links

Documentation、Start Guide、What’s Newの3つのQuick linksがあります。

Documentationをクリックすると、主要PDF技術資料へアクセスできます。ここに、リリースノートやSW4STM32からのマイグレションガイドもありますので、目を通しておくと良いでしょう。

初めてSTM32CubeIDEを使う方は、Getting Startedをクリック。基本操作は、これだけ読めば必要十分、英文全11ページのよくできた資料が読めます。

What’s Newは、リリースノートのことです。

汎用MCU第2位のSTM32MCU最新ソフトウェア開発環境

STM32MCUは、汎用MCUで第2位、シェア20%を超えています(関連投稿は、コチラ)。2019年4月新発表のSTM32CubeIDEは、半年を経て今回Major releaseし、v1.1.0になりました。無償IDEで、シェア続伸に向けて続々と新発売されるSTM32MCUデバイスへ対応中なのは、STM32CubeIDEだけです。

STM32CubeIDEを使い、本ブログ関連STM32MCUの最新ソフトウェア開発環境が、下表です。

名称 機能 2019/11/01版数 MCU評価ボード
STM32CubeIDE Eclipseベースの統合開発環境 1.1.0
STM32CubeMX 初期化Cソースコード生成ツール 5.4.0
STM32CubeG0 STM32G0シリーズ用ファームウェア:G0_FW 1.3.0 STM32G071RB
STM32CubeG4 STM32G4シリーズ用ファームウェア:G4_FW 1.1.0 STM32G474RE
STM32CubeF0 STM32F0シリーズ用ファームウェア:F0_FW 1.11.0 STM32F072RB
STM32CubeF3 STM32F3シリーズ用ファームウェア:F3_FW 1.8.0 STM32F103RB

次回は、弊社販売中のSTM32FxテンプレートSTM32G0xテンプレートを、上記最新ソフトウェア開発環境へ移設する予定です。

汎用MCUシェア20%超、第2位はSTM32MCU

シェア2位に躍り出たSTの汎用マイコン事業戦略”が、EE Times Japanに掲載されました。本稿は、この記事を要約し、記事記載のMCU 4ニーズの1つ、セキュリティ強化マイコン:STM32H7の暗号鍵利用によるソフトウェア更新方法(ST公式ブログ10月8日投稿)を示します。

STM32MCUは、汎用MCU世界市場シェア20%超の第2位へ

2019年9月、東京都内でSTマイクロエレクトロニクス(以下STM)による記者会見が開かれ、そのレポートがEE Times Japan記事内容です。ARM Cortex-Mコア採用のSTM32MCUが、2018年には汎用MCU世界市場シェア20%を超え第2位になった要因分析、今後のSTM汎用MCU事業方針が会見内容です。

汎用STM32MCUの世界シェア推移(出典:STM)
汎用STM32MCUの世界シェア推移(出典:STM)

車載用を除くMCUが汎用MCUです。本ブログも、この汎用MCUを対象としており、上図推移は重要なデータです。

以下、マイクロコントローラ&デジタルICグループマイクロコントローラ製品事業部グローバル・マーケティング・ディレクタ)Daniel Colonna氏の記者会見談話を中心に記事要約を示します。

STM32MCUシェア続伸要因

STM競合他社は買収や統合で成長しているが、STMは独自でシェア2位を実現。要因は、民生機器だけに集中せず、産業機器などのインダストリアル分野(=マスマーケット)に主眼を置き製品開発を行ってきたこと。マスマーケットターゲット事業方針は今後も変えず、シェア30%を目指す。

インダストリアル分野の4MCUニーズとSTM対応

演算性能の強化(STM32MP1/STM32H7)、より高度なAI実現(STM32CubeMXのAI機能拡張パッケージ)、多様な接続技術への対応(STM32WB)、セキュリティ強化(STM32Trust)の4点がインダストリアル分野MCUのニーズとそのSTMの対応(カッコ内)。

インダストリアル分野汎用MCUの4ニーズ(出典:STM)
インダストリアル分野汎用MCUの4ニーズ(出典:STM)

より広範囲なマスマーケット獲得策

モノクロからカラーLEDへ置換え(TouchGFX)、8ビットなどから32ビットMCUへ置換え(STM32G0シリーズ)で、より広範囲マスマーケットでのSTM32MCU浸透を図る。

以上が記者会見記事の要約です。

汎用MCU第2位となったSTM32MCU評価ボードは、入手性が良く安価です。コードサイズ制限なしの無償開発環境(STM32CubeIDE /SW4STM32/STM32CubeMX)も使い勝手に優れています。また、厳選された日本語技術資料も活用でき、初級/中級レベルのMCU開発者に最適だと筆者も思います。

この特徴を持つSTM32MCUに対して、弊社はSTM32G0x専用テンプレートSTM32Fx汎用テンプレートを販売中です。今後は、STM32G4テンプレートも開発を予定しています。

これまでNon ARM汎用MCU1位であったRunesasも、ARMコア他社対応か(?)ついに2019年10月8日、Cortex-MコアMCU販売を開始しました。これについては、別途投稿します。

セキュリティ強化STM32H7のソフトウェア更新

インダストリアル分野4MCUニーズのうち、演算性能とセキュリティ強化を満たすのが、STM32H7(Cortex-M7/480MHz、Cortex-M4/240MHzのデュアルコア)です。筆者個人は、MCUというよりむしろMPUに属す気がします。STMも、STM32MCU(下記右)に対して、STM32マイクロプロセッサ(下記左)と区別しています。但し、名称は違っても、そこに用いる技術は同一のはずです。

STM32MCUとSTM32マイクロプロセッサ(出典:STM)
STM32MCUとSTM32マイクロプロセッサ(出典:STM)

丁度最初に示した10月8日のSTM公式ブログに、セキュリティ強化STM32H7のファームウェア書換え手順図を見つけました。関連投稿:総務省:2020年4月以降IoT機器アップデート機能義務化予定の2章で示した3種サイバー攻撃へのウイルス感染対策です。

STM32H7ソフトウェア更新時のSFI、HSM(出典:STM)
STM32H7ソフトウェア更新時のSFI、HSM(出典:STM)

ハードウェア暗号化エンジンを持つSTM32H7は、図右上のSFI:Secure Firmware Installで暗号化、STM32G0やSTM32G4等は、図右下のSMI:Secure Module Installで暗号化し、更新ソフトウェアを準備します。どちらも、セキュリティ認証情報を含むHSM:ST Hardware Secure Module smart cardで鍵を受渡し復号化、ソフトウェア書換えを行います。

我々が開発するMCUソフトウェアの更新頻度は、PCに比べれば低いはずです。しかし、その頻度は、ウイルスの数に比例しますので、サイバー攻撃が増えればその度にこの書換えで対応することを考えると憂鬱になります。
※書換え失敗やワクチン投入による通常処理への配慮も必要で、Windows 10のようにユーザ任せの無責任な対応はMCUソフトウェアでは論外なため、開発者負担は増すばかりです😫。