STM32CubeIDE v1.1.0更新と文字化け対策(その1)

2019年10月16日、STマイクロエレクトロニクス(以下STM)の無償統合開発環境:STM32CubeIDEが、v1.1.0に更新されました。v1.0.2からMajor releaseです。筆者が従来使ってきたAC6社)SW4STM32からのIDE乗換と、STM32G4テンプレート(前投稿参照)向けの新しい開発環境構築に丁度良いタイミングです。その1は、更新内容、Windows起因のエディタ文字化け対策などを示します。

STM32CubeIDE v1.1.0更新内容

マルチコアSTM32MP1などの新デバイス、コード生成ツールのSTM32CubeMX v5.4.0(2019/10/11)、ベースIDEのEclipse™(2019-09)対応などが主な更新内容です(Eclipseの状況は、コチラの投稿2章などを参照してください)。RN01114に詳細な更新内容があります。

従来のSW4STM32作成のプロジェクトを、STM32CubeIDEへインポートすると、ソースコード日本語追加コメントに文字化けが発生します。この文字化けは、STM32CubeIDE最初のリリースから変わらず残ったままなので、対策を示します。

文字化け対策

Windows 10 1903までのSW4STM32でソースコードへ日本語コメントを入力し保存すると、Shift-JISでエンコード化します。このエンコードが、STM32CubeIDEのエディタ文字化けの原因です。対策は、UTF-8エンコードへの変換です。

Shift-JISからUTF-8へのエンコード変換方法は、様々あります。筆者がソフトウェア開発者へお勧めするのは、無償テキストエディタ:Notepad++です。予約語色分け表示や、矩形編集などのソースコード編集に便利な機能があり、プラグインでCompareなどの機能追加も簡単、動作も軽快なエディタです。
※Windows 1903のメモ帳保存時、右下の文字コード(E)に、UTF-8を選択することでもエンコード変換ができます(コチラの記事に、UTF-8へのWindows変更経緯があります)。

Notepad++を使ったShift-JISからUTF-8へエンコード変換は、メニューから簡単にできます。右下欄に現在のエンコードも表示されますので便利です。

Notepad++でソースコードエンコードをShift-JISからUTF-8へ変換
Notepad++でソースコードエンコードをShift-JISからUTF-8へ変換

Shift-JISからUTF-8へエンコード変換前と、変換後のSTM32CubeIDEのソースコード表示です。エンコード変換で文字化けが解消されました。これで、SW4STM32からSTM32CubeIDEへIDEを乗換えることができます。

Shift-JISからUTF-8 変換でSTM32CubeIDEの文字化け解消
Shift-JISからUTF-8 変換でSTM32CubeIDEの文字化け解消

注意点は、SW4STM32プロジェクト→STM32CubeIDEプロジェクト変換は可能ですが、逆にSTM32CubeIDEプロジェクト→SW4STM32プロジェクトへ戻すことができない点です。筆者は、IDE毎にワークスペースを別々に設定し、SW4STM32プロジェクトをSTM32CubeIDEワークスペースへ手動コピー後、ソースコードのShift-JIS→UTF-8変換、最後にプロジェクトIDE変換で対応しています(プロジェクトIDE変換方法は次章説明)。

なお、Windows 10 1903でSTM32CubeIDEのソースコードに日本語入力しても、UTF-8でエンコード保存されます。

STM32CubeIDE v1.1.0の使い方

STM32CubeIDE v1.1.0の使い勝手は、SW4STM32と殆ど同じです。EclipseベースのIDEは、どれでも同じ使い勝手で、IDE提供ベンダが変わっても利用経験がそのまま活かせるのが特徴です。それでも、ベンダ毎に多少の差があり、STM32CubeIDEで言えばℹ️クリックで表示されるInformation Centerです。

STM32CubeIDEのInformation Center
STM32CubeIDEのInformation Center

Start a project

Import SW/TS projectをクリックすると、SW=AC6社)SW4STM32旧プロジェクト、TS=Atollic 社)TrueSTUDIO旧プロジェクトを、STM32CubeIDE新プロジェクト変換ツールが起動します。変換は、ワークスペース内の旧プロジェクトをそのままSTM32CubeIDEでのみ動作する新プロジェクトに変換します。

Atollic社のTrueSTUDIOはSTMに買収され、日本語対応などの改版が行われましたが、結局新デバイス追加がなく事実上Discontinueとなりました。経緯などは、コチラの投稿の手順4を参照してください。AC6社)SW4STM32も、最近は更新がありません。STM製のSTM32CubeIDEがリリースされたので、TrueSTUDIOと同じくDiscontinueになると思います。

Start new STM32 projectをクリックすると、新たにSTM32CubeIDEプロジェクトが作成できます。表示されるダイアログに従っていけば、問題なく新しいSTM32CubeIDEプロジェクトができます。

Target SelectionダイアログのOther Venderクロス検索
Target SelectionダイアログのOther Venderクロス検索

面白いのは、ダイアログのTarget Selectionです。vendersにSTM以外の選択肢もあります。今回は、STM32G4テンプレート開発に使う評価ボードSTM32G474RE(Cortex-M4、Flash:512KB、RAM:128KB)を選択しますが、他ベンダ、例えばTIのMSP432P401M比較がどのように使えるかは、今後調査します。

Quick links

Documentation、Start Guide、What’s Newの3つのQuick linksがあります。

Documentationをクリックすると、主要PDF技術資料へアクセスできます。ここに、リリースノートやSW4STM32からのマイグレションガイドもありますので、目を通しておくと良いでしょう。

初めてSTM32CubeIDEを使う方は、Getting Startedをクリック。基本操作は、これだけ読めば必要十分、英文全11ページのよくできた資料が読めます。

What’s Newは、リリースノートのことです。

汎用MCU第2位のSTM32MCU最新ソフトウェア開発環境

STM32MCUは、汎用MCUで第2位、シェア20%を超えています(関連投稿は、コチラ)。2019年4月新発表のSTM32CubeIDEは、半年を経て今回Major releaseし、v1.1.0になりました。無償IDEで、シェア続伸に向けて続々と新発売されるSTM32MCUデバイスへ対応中なのは、STM32CubeIDEだけです。

STM32CubeIDEを使い、本ブログ関連STM32MCUの最新ソフトウェア開発環境が、下表です。

名称 機能 2019/11/01版数 MCU評価ボード
STM32CubeIDE Eclipseベースの統合開発環境 1.1.0
STM32CubeMX 初期化Cソースコード生成ツール 5.4.0
STM32CubeG0 STM32G0シリーズ用ファームウェア:G0_FW 1.3.0 STM32G071RB
STM32CubeG4 STM32G4シリーズ用ファームウェア:G4_FW 1.1.0 STM32G474RE
STM32CubeF0 STM32F0シリーズ用ファームウェア:F0_FW 1.11.0 STM32F072RB
STM32CubeF3 STM32F3シリーズ用ファームウェア:F3_FW 1.8.0 STM32F103RB

次回は、弊社販売中のSTM32FxテンプレートSTM32G0xテンプレートを、上記最新ソフトウェア開発環境へ移設する予定です。

汎用MCUシェア20%超、第2位はSTM32MCU

シェア2位に躍り出たSTの汎用マイコン事業戦略”が、EE Times Japanに掲載されました。本稿は、この記事を要約し、記事記載のMCU 4ニーズの1つ、セキュリティ強化マイコン:STM32H7の暗号鍵利用によるソフトウェア更新方法(ST公式ブログ10月8日投稿)を示します。

STM32MCUは、汎用MCU世界市場シェア20%超の第2位へ

2019年9月、東京都内でSTマイクロエレクトロニクス(以下STM)による記者会見が開かれ、そのレポートがEE Times Japan記事内容です。ARM Cortex-Mコア採用のSTM32MCUが、2018年には汎用MCU世界市場シェア20%を超え第2位になった要因分析、今後のSTM汎用MCU事業方針が会見内容です。

汎用STM32MCUの世界シェア推移(出典:STM)
汎用STM32MCUの世界シェア推移(出典:STM)

車載用を除くMCUが汎用MCUです。本ブログも、この汎用MCUを対象としており、上図推移は重要なデータです。

以下、マイクロコントローラ&デジタルICグループマイクロコントローラ製品事業部グローバル・マーケティング・ディレクタ)Daniel Colonna氏の記者会見談話を中心に記事要約を示します。

STM32MCUシェア続伸要因

STM競合他社は買収や統合で成長しているが、STMは独自でシェア2位を実現。要因は、民生機器だけに集中せず、産業機器などのインダストリアル分野(=マスマーケット)に主眼を置き製品開発を行ってきたこと。マスマーケットターゲット事業方針は今後も変えず、シェア30%を目指す。

インダストリアル分野の4MCUニーズとSTM対応

演算性能の強化(STM32MP1/STM32H7)、より高度なAI実現(STM32CubeMXのAI機能拡張パッケージ)、多様な接続技術への対応(STM32WB)、セキュリティ強化(STM32Trust)の4点がインダストリアル分野MCUのニーズとそのSTMの対応(カッコ内)。

インダストリアル分野汎用MCUの4ニーズ(出典:STM)
インダストリアル分野汎用MCUの4ニーズ(出典:STM)

より広範囲なマスマーケット獲得策

モノクロからカラーLEDへ置換え(TouchGFX)、8ビットなどから32ビットMCUへ置換え(STM32G0シリーズ)で、より広範囲マスマーケットでのSTM32MCU浸透を図る。

以上が記者会見記事の要約です。

汎用MCU第2位となったSTM32MCU評価ボードは、入手性が良く安価です。コードサイズ制限なしの無償開発環境(STM32CubeIDE /SW4STM32/STM32CubeMX)も使い勝手に優れています。また、厳選された日本語技術資料も活用でき、初級/中級レベルのMCU開発者に最適だと筆者も思います。

この特徴を持つSTM32MCUに対して、弊社はSTM32G0x専用テンプレートSTM32Fx汎用テンプレートを販売中です。今後は、STM32G4テンプレートも開発を予定しています。

これまでNon ARM汎用MCU1位であったRunesasも、ARMコア他社対応か(?)ついに2019年10月8日、Cortex-MコアMCU販売を開始しました。これについては、別途投稿します。

セキュリティ強化STM32H7のソフトウェア更新

インダストリアル分野4MCUニーズのうち、演算性能とセキュリティ強化を満たすのが、STM32H7(Cortex-M7/480MHz、Cortex-M4/240MHzのデュアルコア)です。筆者個人は、MCUというよりむしろMPUに属す気がします。STMも、STM32MCU(下記右)に対して、STM32マイクロプロセッサ(下記左)と区別しています。但し、名称は違っても、そこに用いる技術は同一のはずです。

STM32MCUとSTM32マイクロプロセッサ(出典:STM)
STM32MCUとSTM32マイクロプロセッサ(出典:STM)

丁度最初に示した10月8日のSTM公式ブログに、セキュリティ強化STM32H7のファームウェア書換え手順図を見つけました。関連投稿:総務省:2020年4月以降IoT機器アップデート機能義務化予定の2章で示した3種サイバー攻撃へのウイルス感染対策です。

STM32H7ソフトウェア更新時のSFI、HSM(出典:STM)
STM32H7ソフトウェア更新時のSFI、HSM(出典:STM)

ハードウェア暗号化エンジンを持つSTM32H7は、図右上のSFI:Secure Firmware Installで暗号化、STM32G0やSTM32G4等は、図右下のSMI:Secure Module Installで暗号化し、更新ソフトウェアを準備します。どちらも、セキュリティ認証情報を含むHSM:ST Hardware Secure Module smart cardで鍵を受渡し復号化、ソフトウェア書換えを行います。

我々が開発するMCUソフトウェアの更新頻度は、PCに比べれば低いはずです。しかし、その頻度は、ウイルスの数に比例しますので、サイバー攻撃が増えればその度にこの書換えで対応することを考えると憂鬱になります。
※書換え失敗やワクチン投入による通常処理への配慮も必要で、Windows 10のようにユーザ任せの無責任な対応はMCUソフトウェアでは論外なため、開発者負担は増すばかりです😫。

STM32CubeIDE v1.0.1更新

STマイクロエレクトロニクス(以下STM)のSTM32マイコンマンスリー・アップデート2019年7月号P9に、STM32CubeIDEのv1.0.1更新が記載されています。

STM32CubeIDE v1.0.1更新内容

内蔵のコード生成ツールSTM32CubeMXがv5.2.0からv5.2.1に変更されたこと、バグ修正が主な更新内容です(RN0114(2019/07/11))。

STM32CubeIDE v1.0.1更新内容
STM32CubeIDE v1.0.1更新内容

最新のSTM32CubeMX v5.2.1により、STM32G0x LL APIを活かしたソフトウェア開発がSTM32CubeIDE v1.0.1でも可能となりました。つまり、弊社推薦のSTM32MCU開発環境:SW4STM32+STM32CubeMX v5.2.1+STM32G0 FW 1.2.0と同じ土俵に今回の更新でなった訳です。

関連投稿:続報STM32CubeIDE

ベースEclipse IDE状況

STM32CubeIDE v1.0.1のベースEclipse IDE は、ECLIPSE™ 2019-03 です。Eclipse最新版は、ECLIPSE™ 2019-06(2019/06/19)ですので、ベースに合わせてSTM32CubeIDEも更新されるでしょう。

Eclipse IDEは、昨年の2018年6月までは、Photon、Oxygen、Neonなどのリリース名が付いていましたが、6月以降は、ECLIPSE™リリース年-月に変更されました。3か月毎に更新され、次回は2019-09予定です。
※メジャー/マイナー更新かは、判りにくくなりました。

STM32CubeIDE v1.0.1使用所感

今回の更新で期待していた日本語対応に関しては、旧STM32CubeIDE v1.0.0からの改善は見られません。

例えば、SW4STM32プロジェクトをSTM32CubeIDEへインポートすると、日本語ソースコードコメントが文字化けします。Preferences>Text Editors>Colors and Fontsを変えても同様です。

付属エディタを使っての直接日本語入力は問題ありませんが、SW4STM32からのマイグレーションツールでの文字化け発生は、回避手段があるとは思いますが面倒です。Atollic社)TureSTUDIO最終版で見せた日本語メニュー実装などは、先の話になりそうです。

また、旧v1.0.0では正しく表示されていたInformation Centerページも、‘表示できません’となります。

RN0114の2.3 Known problems and limitations項目も多いので、あえて今すぐにSW4STM32に変えてSTM32CubeIDE v1.0.1を使う必要性は感じません。土俵(付属開発ツール版数)が同じになっただけです。

現行SW4STM32 → 新STM32CubeIDE切替えタイミング

コードサイズ制限無しのSTM32MCU無償IDEは、旧Atollic社)TrueSTUDIOは既にDiscontinue、AC6社)SW4STM32も新デバイスへの更新をしない可能性が高いと思います。新しいIDE:STM32CubeIDEへ切替えるタイミングが、そろそろ近づいてきました。

筆者としては、SW4STM32の更新状況を注視しつつ現行IDE使用を維持し、次回のSTM32CubeIDE更新タイミングで新IDEへ切替えるつもりです。

STM32G0動画と専用テンプレート

STマイクロエレクトロニクス(以下STM)の公式ブログで、STM32G0を理解できるPart.0~10の動画(英語版)を紹介しています。
各動画は、休憩時間に視聴するのに丁度良い6分から15分程度の長さです。

動画リスト

13:13     Pt. 0, Install Procedure

6:05       Pt. 1, Saving Content of the Flash of the STM32

13:47     Pt. 2, Blinky

13:09     Pt. 3, PWM

9:10       Pt. 4, External Interrupt

14:20     Pt. 5, Low Power (Pt. 1)

6:23       Pt. 6, Low Power (Pt. 2)

13:19     Pt. 7, Printf

13:27     Pt. 8, Low Layer Drivers

17:37     Pt. 9, DMA

15:14     Pt. 10, Flashing STM32

少し聞きにくい英語ですが、スライドを見るだけでも内容は解ると思います。

開発環境

動画のIDEは、KeilのSTM32G0/F0/L0専用無償版を使っています。既にSTM32CubeIDEやSW4STM32を利用中の方は、これらIDEとKeil専用版を同時インストールすると、STM32G0/F0/L0のみコンパイル可能となるトラブルが発生するらしいので注意してください。

IDE以外は、コード生成ツール:STM32CubeMX、評価ボード:Nucleo-G071RB、通信アプリ:Tera Termなどおなじみの環境での解説です。

STM32G0のSTM32F0/F1をカバーする広い守備範囲、Low Layer API開発メリットや重要性などが理解できると思います。残念なのは、STM32G0x全シリーズ搭載の最新ADC解説が無いことです。ADCに関しては弊社関連投稿を参照ください。

STM32G0x専用テンプレート

動画Part8紹介のLL APIを活用したSTM32G0x専用テンプレートを発売中です。

STM32G0xシリーズのプロトタイプ開発着手時に必要となるLPUARTやLED制御などの複数サンプルソフトがあらかじめ実装済みで、評価ボードADC入力変換値のTera Term出力も実装済みです。

STM32G0xシリーズ性能をフルに発揮したアプリケーション早期開発や、STM32G0習得に最適です。

ご購入、お待ちしております。

STM32G0x専用テンプレート発売

LL API利用のSTM32G0x専用テンプレートを、2019年6月1日発売開始します。

STマイクロエレクトロニクス(以下STM)2018年12月新発売のSTM32G0xデバイスは、高性能・低電力なCortex-M0+と70nm新プロセス動作速度向上により、STM32G0x単独で従来汎用STM32F0/F1をカバーする性能と超低電力動作、低価格が特徴です。

このSTM32G0x専用LL (Low-Layer) API利用テンプレートが、今回1,000円(税込)で発売するSTM32G0x専用テンプレートです。

※従来から販売中のSTM32Fxテンプレートは、HAL API利用の汎用テンプレートです。

STM32G4シリーズ追加、全5種となったSTM32 Mainstream MCUs

2019年5月28日、超高性能汎用STM32G4xが発表されました。これでSTM汎用MCUは全5種となりました。一覧が下図です。

STM32汎用MCUラインナップ
STM32汎用MCUラインナップ(出典:STM32 Mainsterm MCUsに加筆)

STM32G0x専用テンプレートは、軽量・高速・エキスパート向きLL APIを利用します。STM32G0x性能をフル発揮するアプリケーションのプロトタイプ開発に最適です。

※STM32G0xや専用テンプレートの本ブログ関連投稿は、下欄タグ🏷:STM32G0x、または、専用テンプレートをクリックしてください。

STM32G0x専用テンプレート適用例2種、API比較評価用2種

LL APIとHAL APIの比較評価のため、汎用テンプレートをSTM32G0xへポーティングしたHAL APIテンプレートも添付します。同一アプリケーションでのLLとHALのリソース使用量、ユーザ記述量、API可読性などを具体的に評価・分析できます。全て評価ボード:Nucleo-G071RB上で動作確認済みです。

STM32G0x専用テンプレート適用例
STM32G0x専用テンプレート適用例

SimpleTemplateは、最も簡単なテンプレート適用例で、基本的なSTM32G071RB周辺回路とテンプレート動作が理解できます。AdcTemplateは、全STM32G0xシリーズ共通周辺回路:2.5Msps 12ビットADC制御をSimpleTemplateに追加し、全てのSTM32G0xプロトタイプ開発の起点となるテンプレートです。

SimpleTemplate、AdcTemplateともにLL APIを利用したSTM32G0x専用テンプレートと、汎用テンプレートをSTM32G0xへポーティングしたHAL APIテンプレートを提供します。

STM32G0x専用テンプレート適用例は、評価ボードのGPIOやLED、LPUART通信など必須の複数STM公式サンプルプロジェクトが実装済みで、すぐにプロトタイプ開発着手ができるLL API利用アプリケーションプロジェクトです。

※HAL版はAPI比較評価用です。2019年5月末時点のコード生成ツールSTM32CubeMX(v5.2.1)とSTM32G0 FW(v1.2.0)は、LL APIでのみSTM32G0x性能をフルに引き出すことができます。

※STM32MCU間でアプリケーション移植・流用性を最大限に保証するHAL APIを利用したソフトウェア開発を希望される方は、STM32Fxテンプレートの購入をご検討ください。

付属説明資料でLL APIアプリケーション開発着手時の障害解消

STM32G0x専用テンプレート付属説明資料のもくじを示します。

STM32G0x専用テンプレート付属説明資料もくじ
STM32G0x専用テンプレート付属説明資料もくじ

説明資料P1~P3は、STM32G0x専用テンプレートサイトから無料ダウンロード可能です。全14ページの詳細な説明により、LL APIが理解でき、STM32G0xデバイス専用アプリケーションのプロトタイプ開発着手時の様々な障害を取り除き、スピード開発するのに専用テンプレートは最適です。

STM32G0x専用テンプレートは、コチラの手順でご購入可能です。よろしくお願いいたします。

*  *  *

STM32CubeMX v5.2.1改版時の注意点

2019年5月24日、STM32CubeMXがv5.2.1へ改版されました。インストール時の注意点を示します。

STM32CubeMX v5.2.1改版
STM32CubeMX v5.2.1改版

STM32CubeMX v5.2.1ダウンロードは、Install Nowクリックのみです。但しダウンロード後、一旦STM32CubeMXを終了し、再起動時は、下記のように管理者と してインストールを実行する必要がありますので注意してください。

STM32CubeMX v5.2.1.Update
STM32CubeMX v5.2.1.Update。インストールは管理者として実行する必要がある。

続報:STM32CubeIDE

2019年5月8日STマイクロエレクトロニクス(以下ST)公式ブログで無償STM32CubeIDEの続報が掲載されました。STM32マンスリー・アップデート2019年5月号のトップページにも掲載中です。

STM32CubeMXがビルドインされたST初のIDE:STM32CubeIDE内蔵ツール版数と、ライバルIDEに相当するSW4STM32とTrueSTUDIOの今後を予想します。

STM32CubeIDE内蔵ツール版数

STM32CubeIDEにビルドインされたツール版数が下記です。FWは、本ブログ対象STM32F0/F1/G0のみ掲載します。ビルドインSTM32CubeMXの使い勝手は、単独STM32CubeMXツールと同じです。

内蔵ツール 2019年5月16日版数
STM32CubeIDE 1.0.0
STM32CubeMX 5.2.0
STM32F1  FW 1.7.0
STM32F0  FW 1.10.0
STM32G0  FW 1.2.0

STM32CubeIDE起動時に各ツール更新がチェックされるので、起動に多少もたつきを感じます。MicrosoftのC2R:Click to Runに近い機能です。

STM32G0 FW 1.2.0インストールには、STM32CubeMX 5.2.0以上が必要な点は注意が必要です。単独でSTM32CubeMX 5.1.0使用中の方が、FW更新してもSTM32G0 FW 1.2.0の検出すらできません。先ず、STM32CubeMXを 5.2.0へ更新後、再更新チェックでSTM32G0 FW 1.2.0が使えます。

全てがビルドインされたSTM32CubeIDEなら、このような版数による最新版インストールトラブルが回避できるでしょう。

STM32CubeIDEのAdvanced Debug機能

STMCubeIDE you are able to(出典:How to use STM32CubeIDE動画)
STMCubeIDE you are able to(出典:How to use STM32CubeIDE動画)

How to use STM32CubeIDEから抜粋したSTM32CubeIDE新機能が上図です。Advanced DebugのLive Expressions viewやSWV real-time tracing viewは、デバッグがより楽しく容易になる機能だと思います。

STM32CubeIDEライバル、無償AC6)SW4STM32と旧Atollic)TrueSTUDIOの今後

気になるのは、STM32CubeIDEと同様のコードサイズ制限なし無償IDE、AC6社)SW4STM32と旧Atollic社)TrueSTUDIOの2つのIDEが、今後更新され続けるかです。

ブログ内に、SW4STM32とTrueSTUDIO各ユーザに向けた注意書きがあります(Before STM32CubeIDE, What SW4STM32 and TrueSTUDIO Users Must Know章)。ブログでは、どちらのIDEユーザに対しても新しいSTM32CubeIDEへの移行を促しているようです。有償のIARとKeilのIDEに対しては、これまで通りです。

TrueSTUDIOは、既にSTM32G0 FW 1.2.0未対応です(関連投稿:TrueSTUDIOとSTM32CubeMXインストール方法の手順4参照)。SW4STM32は、最新デバイスをフォロー中ですが、近い将来、TrueSTUDIOと同じ運命、つまり、ツール改版への遅れや最新MCUへ対応しない可能性があります。

2017年末にSTに買収されたAtollicのIDE開発力が、新しいST純正STM32CubeIDE開発へ使われたとすると、現行のTrueSTUDIOが最新STM32G0xデバイスに未対応なのも納得がいきます。いわゆるデスコン(Discontinue)の前兆です。

なお、既成SW4STM32プロジェクトやTrueSTUDIOプロジェクトに対しては、STM32CubeIDEマイグレーションツール(UM2579など)がSTM32CubeIDE初期画面に用意されています。既成プロジェクトは、そのままSTM32CubeIDEで開くことはできず、また、一旦マイグレーションすると、元のSW4STM32プロジェクトへは戻せません。

このため、UM2579では、既成プロジェクトをバックアップ後、マイグレーションすることを明記しています。

STM32CubeIDE初期画面のマイグレーションツール(出典:UM2579)
STM32CubeIDE初期画面のマイグレーションツール(出典:UM2579)

STM32CubeIDEの使い勝手は、SW4STM32に近く、しかもAdvanced Debug機能でデバッグも面白くなりそうです。現版STM32CubeIDE 1.0.0は日本語対応がイマイチです。この点が改良されればSW4STM32からのマイグレーションを検討する予定です。

STM32CubeMXのLow-Layer API利用法 (3)

STM32G0x専用テンプレートで使うSTM32CubeMXのLL API利用法第3回(最終回)は、STM32CubeMXのLL API利用設定、NVIC利用時のユーザ追記箇所を示し、最後にLow-Layer API利用法第1回から本稿まで全体をまとめます。
LL API利用法第1回第2回は、リンク先参照。

LL API利用設定

STM32CubeMXでHAL API利用時と異なるのは、Project Manager>Advanced Settingsの赤囲みの部分のみです。デフォルトは全てHALです。これを、HALからLLへ周辺回路毎に変更します。

LL API利用時の設定箇所
LL API利用時の設定箇所。デフォルトはHALなので全てLLへの変更必要。

第2回で説明したように、LLとHALの混在利用は避けた方が無難です。各周辺回路で両者の選択ができますが、HALかLLの二者択一をお勧めします。また、周辺回路追加・変更時は、デフォルトHALです。LL APIアプリケーション開発時は、注意してください。

STM32CubeMX便利機能に各種設定値のPDF出力:File > Generate Reportがありますが、v5.1.0ではLL/HAL設定値は未出力です。

LL API利用の割込み:NVIC利用時のソースコードユーザ追記箇所

LL APIの割込み:NVIC利用時のユーザ追記箇所は、HAL API利用時に比べ多いです。
※HAL API割込み処理のユーザ追記箇所は、関連投稿:STM32CubeMX生成ファイルのユーザ処理追記箇所を参照してください。

第1回で示したAN5110で説明します。Examples_LLサンプルプロジェクト、EXIT_ToggleLedOnIT_Init.iocのNVIC設定が下図です。このプロジェクトは、評価ボードのUserButtonを押すと割込みが発生しLED4がトグル点滅します。NVICのユーザ追記箇所が赤囲みです。

EXIT_ToggleLedOnIT_Init.iocのユーザNVIC設定箇所
EXIT_ToggleLedOnIT_Init.iocのユーザNVIC設定箇所

GENERATE CODEをクリックすると、stm32g0xx_it.cのL149~L166にEXIT4_15_IRQHandler(void)が自動生成されます。
stm32g0xx_it.cのL160のUserButton_Callback()は、ユーザが追記したCallback関数です。
main.hのL71で、このUserButton_Callback(void)は、ユーザが宣言します。
main.cのL209~L212で、UserButton_Callback(void)は、ユーザがCallback関数の中身を記述します。

自動生成されたファイル名(橙色)とユーザ追記位置(緑色)とユーザ追記コード(赤色)
自動生成されたファイル名(橙色)、ユーザ追記位置(緑色)、ユーザ追記コード(赤色)

STM32CubeMXは、IRQハンドラ関数の割込み発生原因:トリガ検出部分を生成するのみです。

ユーザは、Callback関数とその中身を、「/* USER CODE BEGEN… */ ~ /* USER CODE END… */」で囲まれた3ファイル指定場所に追記します。囲まれた範囲は、STM32CubeMXで再度GENERATE CODEをクリックしても上書きされ残ります。

本章は、NVIC利用時のユーザ追記箇所を示しました。これらは、ADCなどの一般的な周辺回路利用時のユーザ追記箇所とは大きく異なります。
※一般的な周辺回路のユーザ追記箇所は、ADCを例に説明します。

STM32CubeMXが生成したソースコードの「どこに、何を、ユーザが追記すべきか」は、生成ソースコード理解が必要です。これには、公式サンプルプロジェクトソースコードの理解が役立ちます。
※これも、ADC例を使って、ソースコード理解方法を説明します。

STM32CubeMXのLow-Layer API利用法:全体まとめ

3回に分けて説明した「STM32G0x専用テンプレートで使うSTM32CubeMXのLL API利用法」全体をまとめます。

初期化処理生成

(第1回)

・STM32CubeMXを使う方法と、高性能小サイズなユーザ自作方法の2つ

・STM32CubeMX生成の初期化処理関数名は、接頭語にMX_が付く

・STM32CubeMXを使うと、無限ループ内処理に集中できる

LLとHALの違い

(第2回)

・LL:HALよりもハードウェアに近く、高速軽量なエキスパート向け

・HAL:ハードウェア抽象化で、STM32MCU間で最大限の移植性を保証

・LLは、HALハンドルレジスタを直接上書きする可能性あり

・LLとHAL混在:同一はもとより異なる周辺回路でも混在は避けた方が無難

STM32CubeMX設定

(第3回:本稿)

・Project ManagerのAdvanced Settingsで全周辺回路をLLに一括変更

・周辺回路追加・変更時、Advanced SettingsデフォルトHALに注意

・NVIC生成ハンドラのCallback関数と中身は、ユーザ作成が必要

これら3分野を把握しておけば、STM32CubeMXのLL APIを安全に利用できると思います。

上記まとめで少し気になるのは、安全側評価で「異なる周辺回路でもLLとHAL混在は避けた方が無難」とした点です。本当に異なる周辺回路で混在利用はできないでしょうか?

周辺回路が異なれば、LLがアクセスするハードウェアも当然異なり、競合は無いハズです。例えば、I2CはHAL API、GPIOはLL API利用でも競合問題はなさそうです。

多分、API利用者が、アプリケーションレベルでレジスタ競合などが無いことを確認できれば、「自己責任で異なる周辺回路なら混在可能」だと思います。但しこれを行うには、LLやHALの深い部分まで解読、競合調査が必要です。

AN5110のExamples_MIXサンプルプロジェクトで示された、HALの一部をLLへ置換え、処理高速化を狙う例に止めた方が良さそうです。

以上、STM32CubeMXのLow-Layer API利用法をまとめました。

LL APIとHAL APIは、トレードオフ

LL APIを使うと、MCUハードウェア性能を活かし、少ない容量で高性能アプリケーション開発ができます。半面、他のSTM32MCUへの移植性はHAL APIに比べ低下します。

LL APIとHAL APIは、トレードオフの関係です。LLかHAL、どちらのAPIでソフトウェア開発するかは、このトレードオフ評価で決めます。

STM32F0/F1両デバイス性能を1MCUでカバーするSTM32G0xは、専用アプリケーション、つまりLL API開発に値するデバイスだと思います。STM32G0xテンプレートは、LL APIを使い専用テンプレートとして開発します。

次回は、全てのSTM32G0xデバイスで実装済みでIoT MCU必須機能、2.5Msps12ビットADCのLow-Layer APIでの使い方を解説します。

STM32のStep-by-Step Guide

STマイクロエレクトロニクス(以下STM)公式ブログのカテゴリ:TutorialsからSTM32開発環境を構築する方に最適な投稿を見つけたので、紹介と気になる点を示します。

Step-by-Step Guide

STM32 step-by-step learning program
STM32 step-by-step learning program

2018年10月8日が投稿日のこの記事は、STM32の開発環境(IDE)構築から評価ボード、UART接続、IoT評価ボードとスマホ接続などを5つのStepで示しています。内容は、前後半の2つに大別できます。

前半は、Step1(45分)で開発環境を構築し、Step2(30分)でSTM32CubeMXとHAL説明、Step3(34分)で評価ボード(NUCLEO-L476RG)とUART利用のPC通信を紹介するなど、内容は、弊社昨年のブログ投稿の最新版と言えます。

後半は、Step4(60分)でIoT評価ボードDiscovery kit IoT node (B-L475E-IOT01A)(DigiKeyにて¥6,370販売中)の使い方、Step5(30分)でAndroidスマホと同評価ボードをBLEで直結し、IoTシステムを構築しています。

IoT評価ボードは、Cortex-M4(915MHzまたは868MHz)を使い、Arduinoコネクタ、モーション、ジェスチャ、環境センサなどが実装済みなので、スマホで取得センサデータを視覚化できます。さらにAWS(アマゾン ウェブ サービス)経由でも接続できるので、本格的なIoTノード開発・評価にも使えそうです。AWSとの接続方法は、コチラの動画(11分12秒)に解説されています。
※動画閲覧にはログインが必要です。

関連投稿:Amazon、IoTマイコンへFreeRTOS提供

気になる点1:TrueSTUDIO

STMは、2017年12月に統合開発環境TrueSTUDIO開発元のAtollic社を買収しました。その結果、無償IDEのラインナップは従来と同じですが、開発会社の説明が変化しました。

関連投稿:2018マイコンベンダ最新ニュースのSTM章参照

STM32ソフトウェア開発スイート(要ログイン)のページで説明します。License typeでフィルタすると、無償版IDEラインナップが表示されます。SW4STM32欄のShow more…をクリックすると下段に“This product is supplied by a third party NOT affiliated to ST”の記述があります。これが気になる点です。

IDE License type Free検索結果
IDE License type Free検索結果。SW4STM32には、”not affiliated to ST”の記述がある。

この記述は、TrueSTUDIO欄には無く、代わりにProduct Imageに“ST acquires Atollic”と記載され、STとAtollicのロゴが表示されます。つまり、STMの無償IDEは、TrueSTUDIOが標準?の感じです。

TrueSTUDIOのProduct Image
TrueSTUDIOのProduct Imageは、STとAtollicのロゴが表示

従って、新たにSTM開発環境を構築される方は、TrueSTUDIOを選ぶと良いかもしれません。これを裏付けるのが、Step1紹介のIDEがTrueSTUDIOだということです。TrueSTUDIOがSW4STM32とほぼ同様に操作できるのは、コチラの動画(9分42秒)で解ります。

弊社2017年9月発売のSTM32FxテンプレートもSW4STM32を使っていますが、これもTrueSTUDIOに変えた方が良いかもしれません。但し、TrueSTUDIOには、SW4STM32プロジェクトをそのままインポートする機能が備わっていますので、二手間のOKクリックが増えますがしのげそうです(Step4のP8、Appendix Porting an AC6 example to TrueSTUDIO参照)。

Porting SW4STM32 project to TrueSTUDIO(出典:Step4)
Porting SW4STM32 project to TrueSTUDIO(出典:Step4)。OK2回クリックでSW4STM32プロジェクトをTrueSTUDIOへインポートできる。

IDEポーティングは、MCUベンダーが、古いIDEから新しいIDEへ替える時に良く使う方法で、NXP(Kinetis Design Studio→NXP Expresso)、ルネサス(Hew→CS+)などでもおなじみです。SW4STM32→TrueSTUDIOがあるのも、STMがTrueSTUDIOを推薦しつつある証と言えるでしょう。

気になる点2:Edge MCUとNode MCU

Step-by-Step Guide資料が前後半で使用MCUと評価ボードが2つに別れたように、前半のEdge MCUと後半のNode MCUの2つの機能に分かれてIoT MCUが発展する気がします。

  • Edge MCU:低消費電力でIoTデータ取得(アナログフロントエンド)機能を備えたMCU。従来のベアメタル開発の延長・発展形。
  • Node MCU:AWSなどIoTネットワーク出入口の無線、高度なセキュリティ機能を備えたMCU(Edge MCUを包含する場合あり、例:Discovery kit IoT node)。FreeRTOSなどのOS実装は必須で、従来MCUより高機能・高性能、1GHzにせまる高速動作。

※ベアメタル開発:OSなどを使わないMCU開発

Edge MCUとNode MCUの違いは、端的に言えば、ベアメタルソフトウェア開発かRTOSソフトウェア開発かです。MCUソフトウェア開発者も、ベアメタルとRTOSの2つに分かれるかもしれない、というのが第2の気になる点です。

Edge MCUだけではIoTに接続すらできません。Node MCUがIoT接続に必須になりつつある気がします。