CS+からe2 studio移行

ルネサスサポート情報 Vol.273 2016/1/28で、RL78統合開発環境CS+ for CCからe2 studioへの移行ガイドが示されました。

このガイドは、CC-RLでコンパイルしたCS+プロジェクトを、e2 studioプロジェクトへ変換(インポート)し、インポートしたe2 studioプロジェクトとE1デバッガを接続する方法が示されています。

CA78K0R → CC-RL → e2 studio

RL78アプリノート/サンプルコードの機能をクリックして「置き換え」の欄を視ると、CA78K0RからCC-RLプロジェクト変換方法はありますが、CA78K0Rからe2 studioへの移行ガイドはありません。

RL78アプリケーションノート/サンプルコード(機能)
RL78アプリケーションノート/サンプルコード(機能)

つまり、今回RL78開発環境CS+のCA78K0R → CC-RL → e2 studioへの道筋が示された訳です。

ルネサスのIDE

HewからCS+、そしてe2 studioが追加されたルネサスIDEの状況が、統合開発環境ページに示されています。CS+とe2 studio間は、「両方向の矢印」ですが、これが今後「e2 studioへの片方向」へ変わるかが気になります。

ルネサス統合開発環境の移行
ルネサス統合開発環境の移行

なにせ、CS+のようなユニークな独自IDEを開発、サポートするだけでも結構大変なことだからです。e2 studioは、Eclipse IDEを日本語化しルネサスの各種ツールを組込めますが、これだけでも手間がかかるでしょう。

テンプレートのe2 studioサポート

現状は、「CC-RLとCA78K0R両方サポート」のRL78/G1xテンプレートですが、e2 studio動作のテンプレートも必要と考えています。

E1でデバッグする評価ボードは、移行ガイドに従えば問題なさそうですが、EZ Emulatorで接続するRL78G13/G14-Stickボードがe2 studioでデバッグできるか否かが不明です。近々にこの調査結果を掲載予定です。

※e2 studioでE1は勿論ですが、EZ Emulatorも接続できることが確認できました。

CC-RLコーディングテクニックとRL78開発環境の今後

CC-RLテクニック

ルネサスサポート情報 Vol.272 2016/1/21に、RL78ファミリ用Cコンパイラ CC-RLコーディングテクニックが紹介されています。

CC-RLコーディングテクニック

RL78/G1xテンプレートでも使っている「CC-RLコンパイラの上手い使い方」がまとまっています。
e2 studioとCS+ for CC(RL78, RX, RH850)両方のIDEについて、従来あまり解説されなかった「変数/関数情報ファイル」に関しての利用方法も少し記載されています。

e2 studioの説明がCS+と同じ資料に含まれているのは、これまで見たことがありません。e2 studioの日本人ユーザが増加しつつあるからでしょうか?

CS+がV3.03.00へ改版

2015年末にCS+がV3.03.00へ更新されました。
更新に伴い、CS+ for CCは、パッケージ・バージョンもV3.03.00へ変わりましたが、CS+ for CA、CXはV3.01.00のままです(CS+ アップデート・マネジャのオプション>更新履歴の表示より)。

RL78マイコンは、前回更新から増加しているハズですので、追加RL78マイコンは、CC-RLコンパイラのみでサポートするのかもしれません。確かに、「新規にCS+ for CA、CXを使うメリットは、無い」と言えますので、しょうがないのかもしれません。CS+ for CA、CXのユーザの方は、ご注意ください。

販売中のRL78/G1xテンプレートVer5は、CS+ for CA、CXとCC-RLの両コンパイラをサポートしております。CA、CXユーザの方で、CC-RL移行をお考えの方も、是非ご検討ください。

RL78/G1xテンプレートも今後は、「CS+ for CC-RLのみをサポート予定」です。但し、ご購入時にご連絡いただければ、Ver5のCS+ for CA、CX版テンプレートも付属いたします。

RL78/G1x機能比較と開発コンパイラの今後予測

RL78/G10の初期設定アプリケーションノートがRev.2.00に改版されました(ルネサスサポート情報 Vol.267 2015年11月26日発行)。この改版内容から、RL78/G1xコンパイラの今後を予測します。

汎用マイコンRL78/G1xの特徴

RL78/G1xの解り易い機能比較を示します。
RL78ファミリカタログを観ると、品種が多く機能満載なRL78は解るのですが、弊社テンプレート対象の汎用マイコンRL78/G1xの特徴は、逆に見えなくなるので、この比較図は重宝します。

RL78/G1x機能比較
RL78/G1x機能比較

最初の3列:RL78/G13~G10が、汎用中の汎用マイコン、G1A~G1Eがこれらに、右赤で表記した機能を強化したマイコンという構成です。

RL78/G1Dが、開発中のPSoC 4 BLEテンプレート対抗機です。Bluetooth Low Energyを搭載すると128 – 256KBのフラッシュROMが必要になり、IEEE802.15.4e/g搭載のRL78/G1Hでは、256 – 512KBに増えることが解ります。この容量では、残念ですが64KB制限の無償CS+を使うことができません。

もちろん、以前示したように上手く機能分割すれば無償版での部分開発も可能ですが、BLEや802.15の部分のみで64KBを超えることは、PSoCの例から考えると確実です。
現状の無償版制限がなくならない限りRL78/G1DやG1H開発は、かなりのコストアップになるでしょう。

RL78/G1xのCA78K0RコンパイラとCC-RLコンパイラ

現在のRL78/G1xテンプレートVer5は、CA78K0RとCC-RL両方のコンパイラに対応しています。

しかし、RL78/G10の初期設定アプリケーションノートRev.2.00の改定記録A-1ページを見ると、改定内容のCS+動作確認バージョン表2.1にCA78K0Rは含まれず、CC-RLコンパイラのみとなっています。
これは、新しいアプリケーションノートは、CS+ for CA, CXの「CA78K0Rコンパイラ動作確認はしない」とも読めます。深読みかもしれませんが、安全側の読みをすればこうなります。

RL78/G1xを使った出荷済み製品には、まだCA78K0Rコンパイラ版で開発したプログラム搭載機が多くあると思います。ルネサスからの正式な発表はありませんが、上記の状況を考慮すると、今後製品改良または、新規製品開発には、CC-RLコンパイラの利用が必須と考えます。

これらの事から、弊社RL78/G1xテンプレートも次版からは、「CC-RLコンパイラのみを対象」とする予定です。どうしてもCA78K0Rコンパイラ版が必要な方は、Ver5テンプレートのままですが提供いたします。

RL78/G1xテンプレートVer5は、CA78K0Rコンパイラでの動作確認もしています。ご安心ください。

半導体業界動向に惑わされないマイコン技術習得

NXPによるFreescale買収など、マイコン半導体ベンダーの動きが激しい2015年末ですが、唯一ともいえる日の丸半導体、ルネサスエレクトロニクスの筆頭株主の産業革新機構が、保有するルネサス株式の一部売却の検討に入ったというニュースが、11月21日報道されました。

売却先候補は、トヨタやパナソニックなどの日本企業と、ドイツ)インフィニオンなどが挙がっています。

日本企業がルネサスを保持したい理由は、自動車向けの需要や、相対的に弱体化した日本エレクトロニクス業界の現状が背景にあると思います。もちろん、日本人開発者にとっても、日本語環境や日本語コミュニティが提供されるルネサスマイコンは貴重な存在です。

今後の機構の動きは、要注意ですね。因みにルネサスのSynergy詳細が明らかになりました。
記事によると、“既存ファミリ「RX」「RZ」「RL」は長い成功の歴史があり、今後のロードマップが決定しており、顧客に長期サポートを約束しているので、ロードマップ変更ができない”、そこで、新たなCortex-M系を用いたSynergyが米国で開発されたようです。

つまり、「RX」「RZ」「RL」が既存国内資産継承と車載向け、「Synergy」が半導体業界の“Apple”目標のUS発新設計基盤でIoT向けのようです。
だとすると、この2つでルネサスを分割するシナリオが、最もありそうだ、と思いますが…?

マイコンは、「ARMとそれ以外」にコアが別れ、「車載とIoT」でマーケットが決まりつつあります。
自動車産業と同様、国レベルで保護や競争がある半導体業界のM&Aは、予測の域を超えています。しかし、状況がどう変わっても「開発者が生き残れる技術蓄積は必須」です。

シンプルな弊社マイコンテンプレートも、その1つになればと願っております。

CS+ for CC V3.02.00へのリビジョンアップトラブル

ルネサスツールニュース2015年10月16日号でCS+のリビジョンアップが発表されました。
CS+ for CA, CXは、問題なくリビジョンアップできますが、お使いのセキュリティソフトによってはCS+ for CCは、再インストールの可能性があります。

リビジョンアップ方法

リビジョンアップ内容は、Windows 10サポートや付属ツールの機能追加などです。アップデートは、アップデートマネジャの起動で行います。CS+ for CA, CXまたはCCのアップデートマネジャでダウンロードとインストールを実行すると、現状のCS+バージョンが最新版へリビジョンアップされます。

アップ後、適当なプロジェクトを開いて再ビルドし、「ビルド成功でリビジョンアップ完了」を確認します。

トラブル原因(推測)

トラブル原因は、恐らくセキュリティソフトAvast(最新無償版)とCS+ for CCの相性です。
これまでも何回かCS+リビジョンアップ後にAvastからワーニングメッセージが出力されたことがあり、その都度Avast側を調整し対処してきました。今回も対処しましたが残念ながら、CS+ for CCは再インストールとなりました。

また、別の原因としては、CS+ for CA, CXとfor CCの共通部と個別部のインストール順番の可能性もあります。CS+ for CCのみをインストールしており、このアップデートだけならトラブル無しかもしれません。

私の環境は、Windows 10 Pro/Home 64ビット版と無償Avastで、両方のCS+をインストールしており、対応デバイスはRL78のみです。この組合せ以外の方は無関係かもしれません。この方々は、トラブル内容と対策はスキップして、マーフィーの法則へジャンプしてください。

トラブル内容と対策

CS+ for CA, CXは、従来同様、何の問題もなく正常終了します。問題は、CS+ for CCです。

アップデートマネジャの正常終了後、旧プロジェクトを開くと、プロジェクト差分情報が出力されます。今回のリビジョンアップで「CC-RL関連の変更点」が、出力パネルに表示されます。この後、再ビルドすると、下記エラー(E)とワーニング(W)が表示されビルドが失敗しました。

(E)         E0511154            E0511154:CC-RLを構成するファイル” CS+\CC\CC-RL\V1.02.00\Bin\asrl.exe”が見つかりません。再インストールしてください。
(W)        W0511179           W0511179:この評価版は残り60日間有効です。

(W)発生は、ツールニュースに記載されており問題ありませんが、(E)は、再インストールしか解決手段がありません。CS+統合アンインストーラで該当分を選択アンインストール後、再度、最新CS+ for CC最新版V3.02をダウンロード&インストールが必要でした。

マーフィーの法則

別の処理で忙しい時に限ってこのようなトラブルになるのは、マーフィーの法則でしょうか?

OS:Windowsとセキュリティソフト、対応デバイスさらにハード構成も含めると、CS+の動作環境は、無限かもしれません。表記トラブルは、ノートPCと自作デスクトップPCの両方で発生しました。平常時のバックアップとリカバリの重要性を再認識させてくれる重大インシデントでした。

「別処理のやる気」を無くさせるのに十分な手間と時間がかかることには注意したいです…_| ̄|〇。

売れ筋RL78マイコン開発方法

ルネサス汎用MCUのラインアップカタログが更新されました。

売れ筋RL78/G1x MCU

カタログ記載のRL78ファミリラインアップに、2015年10月時点ルネサススタープロダクトのMCUに赤丸を付けました。売れ筋の汎用RL78/G1xが一目で解ります。

売れ筋RL78G1xリスト(汎用MCUラインアップカタログに加筆)
売れ筋RL78G1xリスト(汎用MCUラインアップカタログに加筆)

※スタープロダクトリスト自身は、5月30日のRL78マイコンテンプレートの方向性を検討時と変わっていません。また、LCD対応のRL78/L13は除いています。

無償CS+で開発できるROMサイズの64KBを超えるRL78/G13やG14もスタープロダクトですね。このサイズになると有償CS+が必要となり、それ自体で結構な値段がします。

ROM64KB超のマイコン開発方法

この場合は、処理を64KB以下になるように複数に分割し、無償CS+で分割処理毎に単体でデバッグを行った後に、最終的に1つに結合する方法がお勧めです。結合には、有償CS+1ライセンスが必要ですが、単体開発は無償CS+でできます。

ところが、結合段階になって、分割処理の作り方がバラバラで上手く結合できないことが良くあります。

この事態を避けるためにも、テンプレートは効果的です。単体デバッグ、処理追加/削除や結合を容易とするRAMインタフェースを用いた弊社RL78/G1xテンプレートは、無償/有償両方のCS+で動作します。64KBを超えるサイズのRL78開発にも、RL78/G1xテンプレートをご活用ください。

RL78マイコンコーステキスト、CC-RL表記でRev.2更新

Site Language

RL78マイコンコースのテキストがRev2.00へ更新されました(8/20ルネサスサポート情報 Vol.255)。

目次は、旧版Rev.1.30と全く同じです。どこが更新されたかは、P242の履歴を見ても、発行年月日の記載のみで解りません。内容を見ると、記載ソースが、CA78K0RからCC-RL変わっていました。

ルネサスが、マイコンハードウエアに「より重点」を置いて他社と差別化する方針ならば、コンパイラもCC-RLに統一されるでしょう。また、IDEもCS+から、Eclipseベースのe2 studioを使う日が来るかもしれません。

最近は、日本語対応の技術情報サイトが激減しています。また、Windows 10のCortanaも日本語対応は後回しです。e2 studioも、手間がかかる日本語ではなく、英語版のみもあるかもしれません。

マイコンIDE習得のポイント

Windows 10 Home Update制御

販売中のマイコンテンプレート説明資料は、テンプレートについて重点的に説明しています。しかし、ご購入者様から頂く質問には、テンプレート動作環境、つまりマイコンIDEに関するものも多くあります。
今回は、このマイコンIDE使い方のコツ、ポイントを説明します。

Windows 10発売を機に、皆さんは今新しいOSの機能や利用方法を習得中だと思います。マイコンIDEと、このWindows 10を関連付け解説を試みます。

マイコンIDEは、OSと考えるべし

Windows 10、旧Windows 7や8と比べると、新ハードウエアやネットワーク、セキュリティ対応に機能満載です。多くの設定項目がありますが、最初はデフォルト設定で動かすのが良いでしょう。慣れてくれば、設定をいろいろに変えて、自分好みにカスタマイズもできます。

マイコンIDEも同じです。IDEは、多くのマイコン機種、使用言語、デバッグ方法に対応できるよう多くの選択肢:プロパティを持ちます。ユーザマニュアルにも、多くのページを使ってプロパティの説明があります。しかし、IDEを使う時に、これら多くのプロパティを、全部知るのは無理ですし不要です。

Windowsと同じく最初はデフォルトで使用し、徐々にカスタマイズするのがIDEやOSなどの環境ソフトの使い方です。

初心者にとって、デフォルト設定でIDEが使えればありがたいのですが、多くのIDEは、中級~上級者へも対応する、いわば「初心者と中級者以上の二兎を追う方式」のため、多少のカスタム設定が必須です。
このカスタム設定が最も少ないのが、IDEベンダ提供の標準評価ボードを使ったマイコン開発時です。弊社テンプレートが、この評価ボードで動作確認しているのもこのためです。

  • マイコンIDEのプロパティ設定が多いのは、しょうがない。
  • カスタムプロパティ設定の少ないIDE+標準評価ボードが、マイコン初心者には適す。

マイコンIDEの使い方ポイント

使用するマイコン、開発言語(C/C++ または アセンブラなど)、IDE(コンパイラやデバッガなどの開発環境)は選定済みとします。この時のIDE設定手順が下記です。3段階から構成されます。

マイコンIDE設定手順
マイコンIDE設定手順

IDEへ使用マイコンとデバッガなどの環境ツール設定が、最初の段階です。ここでは、Rapid Application Development: RADツールを使用するか否かなども選択肢になります。MCU:マイコン本体クロック設定と周辺回路の設定が、次の第2段階です。最後が、IDEが出力したスケルトンソースへ、ユーザソースを追加し、ビルド&ボードデバッグを繰り返し行い、アプリケーションを完成させます。

ポイント1:IDE生成スケルトン理解

直ぐにユーザソースを追記したい気持ちは解ります。しかし、使用するRADツールに応じてIDEが生成するスケルトンが異なることがよくあります。例えば、FreescaleのKinetis Design Studioの場合、RADツールにProcessor Expertを選ぶ場合と、Kinetis Software Development Kitを選ぶ場合とでは、スケルトンが異なります。ルネサスのCS+でも、コード生成の有無でスケルトンは全く異なります。

先ず、IDEが生成する「スケルトン動作を把握することが最重要」です。このために、RAD選択肢を変えることも必要でしょう。殆どのIDEの場合、第2段階のMCUクロックは、デフォルトで安全動作周波数に設定済みです。従って、周辺回路なしでも生成されたスケルトンコードでボードデバッグができます。

スケルトン動作把握とは、「マイコン電源投入後、順番にどの処理を行い、main()を呼出しているか、次に、割込み処理の記述はどこで行っているかを知ること」です。

main()呼出しまでの処理(スタートアップ処理)は、MCU動作クロックを変更する場合などを除けば、大体把握できればOKです。また、マイコン機種による違いも少ないです。

一方、割込み処理記述は、使用マイコンやIDEにより様々です。経験的に、IDEと標準評価ボードの組合せで用いる記述方法が、解りやすさや柔軟性に優れます。素直に、この方法でユーザ処理を追加することをお勧めします。

  • IDE生成スケルトンは、使用RADツールにより異なる。
  • 生成スケルトンの動作を把握することが最重要。

ポイント2:デバッガ接続

最初は、MCUクロックはデフォルト設定、周辺回路なし、スケルトンコードのみでビルドします。このビルドは、IDE生成分のみですので100%成功するハズです。

問題は、デバッガ接続です。

IDEがサポートするデバッガは、通常4~6種類もあります。デバッガに応じてさらに詳細設定が必要ですので大変です。ここは、ユーザマニュアルの「対応デバッガ部分のみ」を注意深く読んで、設定する必要があります。ユーザマニュアルが分厚いのは、このように対応種類が多いためです。使用するデバッガのみに絞って読めば、恐れるに足りません。

IDEとデバッガを接続後、ビルド出力をボードへダウンロードし、デバッガで動作確認します。何もユーザ処理を追加していない時の動作、例えばスタートアップ処理後のRAMクリア状態などが確認できます。

ユーザ処理は追加していませんが、これでIDEの処理全体を一通り試すことができます。

  • IDEとデバッガ接続は、ユーザマニュアルの対応部分を拾い読み。
  • 最初のビルドは、スケルトンコードのみでデバッガ接続しIDE全体処理を体験。

ポイント3:サンプルソフトAPI利用例を活用

スケルトンは、骨組みです。この骨組みに、ユーザ処理を追記すれば、アプリケーションが完成します。

骨組みには、IDEが使用周辺回路に応じてライブラリを生成します。このライブラリへのインタフェースがAPIです。IDEの役割は、APIの中身を作ることです。

ユーザソースは、このAPIの使用順序を記述するのみと考えても良いです。少し前までは、このライブラリもユーザが開発していました。しかし最近は、ライブラリはベンダが提供します。ベンダ提供ライブラリを使えば、ユーザソースは、API使用順序のみですので、移植性やメインテナンスも楽です。

APIの使用法は、これも分厚いAPIレファンスマニュアルに記述されています。しかし、真面目にこれを読む前にサンプルソフトを参照します。典型的な周辺回路APIの使い方、これがサンプルソフトです。サンプルに出てくるAPIのみをレファレンスマニュアルでチェックすれば十分です。サンプルソフトの選び方は、コチラを参照ください。

  • IDEは、スケルトンと、使用周辺回路に応じたAPIを生成。
  • サンプルソフトを参照し、典型的なAPIの使い方を学ぶ。

まとめ

多くのプロパティがあり、付属マニュアルも厚いので取っ付きにくいマイコンIDEですが、ここで示した方法を用いれば、早く効果的にIDEを習得できます。

具体的な話が少ないので、皆様のお叱りを受けそうですが、少しでもご参考になれば幸いです。

* * *

Windowsには、様々なTipsがあります。各マイコンIDEのTipsも少なからずありますが、ここでは個々のIDEによる違いは無視して説明しました。実は、IDEで差が生じるのはRADです。RADに対しては、初心者の方は、少し力を入れてマニュアルを読む必要があるかもしれません。
但し、これも必要な周辺回路の箇所のみを拾読みすれば、事足ります。分厚いマニュアルは、読む箇所を間違わないように、拾読みで対処しましょう。

Windows 10 Home UpdateコントールTips

マイコンIDEで具体例が無かった代わりのTipsです。
Windows 10 HomeでOS Updateをユーザが制御できない問題に対し、フリーソフト: Winaero Tweakerが役立つかもしれません。Technical Preview対応ですが、製品版にも使えそうです。

Windows 10 Home Update Control
Windows 10 Home Update Control

RL78開発、CC-RL化の薦め

ルネサスサポート情報

2015年7月17日のルネサスポート情報Vol.252を観ると、RL78ソフト開発は、CC-RLコンパイラへの切換えが必要なことが判ります。

今回リリースのRL78アプリケーションノートは、CS+はもちろん、Eclipseベースのe2 StudioもCC-RLコンパイラを使ったもので占められているからです。

アプリ&サンプルコードの状況

RL78/G13に絞ったアプリ&サンプルコード検索結果を、発行日降順に示します。新しいものは、どれもCC-RLコンパイラ版です。内容は、どれもCA78K0Rコンパイラのリメイク版ですので、プロジェクトファイルにCA78K0Rは含まれていません。

アプリケーション&サンプルコード検索
アプリケーション&サンプルコード検索

CA78K0Rコンパイラへの拘りは禁物

ソフト開発者には、気になるコンパイラですが、ソフト利用者(顧客)は、同じ機能ならコンパイラがCC-RLでもCA78K0Rでも構いません。例え顧客側で開発ソフト/アプリをメンテする場合でも、IDEとコンパイラが対(ペア)で最新版に対応できれば、問題なしの場合が殆どです。

開発アプリと開発環境(IDE/コンパイラ)をセットでメンテする場合に役立つのが、CS+のプロジェクトと開発ツールをパックして保存(K)です。しかし、今年のようにWindowsが更新されたりすると、旧環境では、環境自身の動作リスクも生じます。そこで、開発アプリのみを活かして、環境は最新版への対応を求める顧客が多いのです。

プロジェクトと開発ツールをパックして保存
プロジェクトと開発ツールをパックして保存

現状はCA78K0Rリメイク版でも、今後の新規サンプルは、CC-RL版のみリリースということも想定されます。開発者は、今のうちにCC-RLへ慣れておくことが重要です。また、初心者ならば、初めからCC-RLのみのRL78習得も良いでしょう。

顧客にとって重要なのは、開発したアプリそのものです。先々のメンテも考慮すると、CA78K0Rよりも息が長そうなCC-RL記述でアプリを開発する方が良いと思います。

RL78/G1xテンプレートの対応

ちなみに、弊社RL78/G1xテンプレートのCC-RL版は、CC-RL記述のみでソース作成しておりますが、過渡期なのでCA78K0R記述も混在できるようCS+のオプション設定しております。詳しくは、コチラを参照ください。設定オプションを「いいえ」にすれば、CC-RL記述のみのコンパイルも成功します。

RL78/G10テンプレート開発最終回:RL78/G1xテンプレートVer5発売

QB-R5F10Y16-TBボードで動作中のTinyテンプレート

ROM/RAM=2KB/256Bまたは4KB/512BのRL78/G10

売れ筋RL78/G10マイコン2種
売れ筋RL78/G10マイコン2種

2015年6月現在、入手性が良く低価格なRL78/G10マイコン、2品種を示します。

RL78/G13やRL78/G14と比較すると、ROM/RAMがかなり小さくIOピン数も少ないことが判ります。データフラッシュはありません。10ピンのR5F10Y16(最初の写真)は、2015年6月現在、Star Productです。

そこで、S2/S3コア用RL78/G13やG14のRL78/G1xテンプレートを、S1コアRL78/G10向けに改良し、21%小さいサイズのTinyテンプレートを開発、S2/S3コア版テンプレートにS1コアもカバーするRL78/G1xテンプレートVer5として発売します。テンプレートは、全てC言語です。

Tinyテンプレート

ROM/RAMが小さいRL78/G10では、テンプレート自身もサイズが小さい方が適します。
S2/S3コアのテンプレート機能から、重複機能を削除したS1コア向けのTinyテンプレート概要を示します。ROM/RAM数値は、テンプレートのみのサイズです。ROMは、PROGRAM SECTIONのサイズ(Tips参照)です。

テンプレート実装機能 S2/S3コア向けテンプレート
ROM/RAM
使用量=439/8バイト
S1コア向けTinyテンプレート
ROM/RAM
使用量=345/6バイト
周辺機能のStartAPI起動 実装 実装
ドライバ関数起動 実装 実装
アプリ関数起動 実装 削除
HALT起動 実装 実装
メイン暴走監視 実装 削除
周期割込み暴走監視 実装 削除
WDTリセット 実装 実装
マニュアルリセット 実装 実装

 

Tinyテンプレートは、アプリ/ドライバを区別せず全てドライバ関数起動で起動し、アプリ関数起動は削除しました。また、アプリ暴走監視や周期割込み暴走監視も、WDT満了でカバーできるので削除しました。

このTinyテンプレートは、S1コア専用ではなく、従来テンプレートの代わりにS2/S3コアのRL78/G13やG14へ使うことも可能です。むしろ実装機能を整理した結果、より解り易いテンプレートになりました。このTinyテンプレートCソースを読んだ後に従来テンプレートCソースを読むと、テンプレート理解が容易になります。

RL78-S1/S2/S3全コア対応RL78/G1xテンプレートVer5発売

RL78/G1xテンプレートにこのTinyテンプレートを追加し、RL78/G1xテンプレートVer5として発売します。ご購入方法は、コチラをご覧ください。Ver5は、RL78-S1/S2/S3コア全てに対応したRL78/G1xテンプレートになりました。

QB-R5F10Y16-TBボードで動作中のTinyテンプレート(1秒毎にLED点滅、SW1押下げでトグル動作)
QB-R5F10Y16-TBボードで動作中のTinyテンプレート(1秒毎にLED点滅、SW1押下げでトグル動作)

RL78/G1xテンプレートご購入者様で、無償Ver. UP権をお持ちの方へは、本日より10日以内にVer5をメール発送いたします。メール発送まで、しばらくお待ちください。

 * * *

RL78/G10 Tips

RL78マイコンで唯一のS1コア:RL78/G10は、S2/S3コアのRL78/G13やG14と異なり8ビットマイコンです。ルネサスは、コア差をあまり強調しませんが、いくつかの差が生じますのでこれに関するTipsを示します。

S1コア用スタートアップ

S1コアのスタートアップは、RAM全体を区別せずに全て0で初期化します(ハードウエアマニュアル8.2.9)。

RL78/G10のCS+ for CCは、cg_srcフォルダを自動生成

CS+の生成ファイル
CS+の生成ファイル

フォルダ構成は、RL78/G10時のみ他のRL78/G13やG14と異なります。

セクションサイズ

前回ブログのCC-RLリンクオプションプロパティで設定したセクション合計サイズ出力と、ROM/RAMの関係を示します。

  • RAMDATA SECTION:16進数 Byte(s)…RAM使用量
  • ROMDATA SECTION:16進数 Byte(s)…ベクタテーブルなどのROM使用量(固定配置)
  • PROGRAM SECTION:16進数 Byte(s)…作成プログラムのROM使用量(コード生成分含む)

ROMDATA SECTIONは、0hからCEh番地にデバッグ・モニタ領域10バイトを加えた、0hからD7h番地の範囲に固定配置されます。プログラムで使えるROMは、この固定領域216バイトを引いた残り分です。

従って、RAMDATA  SECTION ≦ 0x100/200 (256/512)Byte、 PROGRAM SECTION ≦ 0x728/F28 (1832/3880) Byteが必須条件です。