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シェア2位に躍り出たSTの汎用マイコン事業戦略”が、EE Times Japanに掲載されました。本稿は、この記事を要約し、記事記載のMCU 4ニーズの1つ、セキュリティ強化マイコン:STM32H7の暗号鍵利用によるソフトウェア更新方法(ST公式ブログ10月8日投稿)を示します。

STM32MCUは、汎用MCU世界市場シェア20%超の第2位へ

2019年9月、東京都内でSTマイクロエレクトロニクス(以下STM)による記者会見が開かれ、そのレポートがEE Times Japan記事内容です。ARM Cortex-Mコア採用のSTM32MCUが、2018年には汎用MCU世界市場シェア20%を超え第2位になった要因分析、今後のSTM汎用MCU事業方針が会見内容です。

汎用STM32MCUの世界シェア推移(出典:STM)
汎用STM32MCUの世界シェア推移(出典:STM)

車載用を除くMCUが汎用MCUです。本ブログも、この汎用MCUを対象としており、上図推移は重要なデータです。

以下、マイクロコントローラ&デジタルICグループマイクロコントローラ製品事業部グローバル・マーケティング・ディレクタ)Daniel Colonna氏の記者会見談話を中心に記事要約を示します。

STM32MCUシェア続伸要因

STM競合他社は買収や統合で成長しているが、STMは独自でシェア2位を実現。要因は、民生機器だけに集中せず、産業機器などのインダストリアル分野(=マスマーケット)に主眼を置き製品開発を行ってきたこと。マスマーケットターゲット事業方針は今後も変えず、シェア30%を目指す。

インダストリアル分野の4MCUニーズとSTM対応

演算性能の強化(STM32MP1/STM32H7)、より高度なAI実現(STM32CubeMXのAI機能拡張パッケージ)、多様な接続技術への対応(STM32WB)、セキュリティ強化(STM32Trust)の4点がインダストリアル分野MCUのニーズとそのSTMの対応(カッコ内)。

インダストリアル分野汎用MCUの4ニーズ(出典:STM)
インダストリアル分野汎用MCUの4ニーズ(出典:STM)

より広範囲なマスマーケット獲得策

モノクロからカラーLEDへ置換え(TouchGFX)、8ビットなどから32ビットMCUへ置換え(STM32G0シリーズ)で、より広範囲マスマーケットでのSTM32MCU浸透を図る。

以上が記者会見記事の要約です。

汎用MCU第2位となったSTM32MCU評価ボードは、入手性が良く安価です。コードサイズ制限なしの無償開発環境(STM32CubeIDE /SW4STM32/STM32CubeMX)も使い勝手に優れています。また、厳選された日本語技術資料も活用でき、初級/中級レベルのMCU開発者に最適だと筆者も思います。

この特徴を持つSTM32MCUに対して、弊社はSTM32G0x専用テンプレートSTM32Fx汎用テンプレートを販売中です。今後は、STM32G4テンプレートも開発を予定しています。

これまでNon ARM汎用MCU1位であったRunesasも、ARMコア他社対応か(?)ついに2019年10月8日、Cortex-MコアMCU販売を開始しました。これについては、別途投稿します。

セキュリティ強化STM32H7のソフトウェア更新

インダストリアル分野4MCUニーズのうち、演算性能とセキュリティ強化を満たすのが、STM32H7(Cortex-M7/480MHz、Cortex-M4/240MHzのデュアルコア)です。筆者個人は、MCUというよりむしろMPUに属す気がします。STMも、STM32MCU(下記右)に対して、STM32マイクロプロセッサ(下記左)と区別しています。但し、名称は違っても、そこに用いる技術は同一のはずです。

STM32MCUとSTM32マイクロプロセッサ(出典:STM)
STM32MCUとSTM32マイクロプロセッサ(出典:STM)

丁度最初に示した10月8日のSTM公式ブログに、セキュリティ強化STM32H7のファームウェア書換え手順図を見つけました。関連投稿:総務省:2020年4月以降IoT機器アップデート機能義務化予定の2章で示した3種サイバー攻撃へのウイルス感染対策です。

STM32H7ソフトウェア更新時のSFI、HSM(出典:STM)
STM32H7ソフトウェア更新時のSFI、HSM(出典:STM)

ハードウェア暗号化エンジンを持つSTM32H7は、図右上のSFI:Secure Firmware Installで暗号化、STM32G0やSTM32G4等は、図右下のSMI:Secure Module Installで暗号化し、更新ソフトウェアを準備します。どちらも、セキュリティ認証情報を含むHSM:ST Hardware Secure Module smart cardで鍵を受渡し復号化、ソフトウェア書換えを行います。

我々が開発するMCUソフトウェアの更新頻度は、PCに比べれば低いはずです。しかし、その頻度は、ウイルスの数に比例しますので、サイバー攻撃が増えればその度にこの書換えで対応することを考えると憂鬱になります。
※書換え失敗やワクチン投入による通常処理への配慮も必要で、Windows 10のようにユーザ任せの無責任な対応はMCUソフトウェアでは論外なため、開発者負担は増すばかりです😫。

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2019年6月3日)、独)Infineonは、米)Cypress買収で合意と発表しました(出典:EE Times記事、InfineonがCypress買収へ、約1.1兆円で

Infineon+Cypressが成立すると、車載半導体ではオランダ)NXPを超え世界シェア1位となります。但し、QualcommのNXP買収断念のように、米国当局の承認が成立のガキとなります(出典:EE Times記事、”InfineonのCypress買収は“弱点の克服”を狙う一手“)。

Infineon+Cypressは補完関係

本ブログ対象のCypress MCUは、IoTエッジMCUで優れた製品を持ち、現在パワー半導体シェア1位、車載シェア2位のInfineon製品との重複が極めて少ない補完関係です。買収が成立すれば、車載シェアは、現在首位NXPを抜きトップになるそうです。

記事中に、本ブログ掲載MCU各社の製品特徴を表す図があります。

MCU各社の製品特徴(出典:EE Times記事)
MCU各社の製品特徴(出典:EE Times記事)

MCUコアが同じでも、MCU単体でシステム動作はできません。自動車会社は、周辺部品も含めたトータルでの接続性や、システム構築能力をMCU各社に求めます。Infineon+Cypressはこの点で他社比、優れているというのがこの表の意味です。

買収成立後の車載と32ビットMCUの半導体シェア変動を示すのが下図です。

買収成立時の車載半導体と32ビットMCUシェア(出典:EE Times記事)
買収成立時の車載半導体と32ビットMCUシェア(出典:EE Times記事)

車載は1位へ、32ビットMCUは4位へと、それぞれ上位ビッグ5に入ります。シェア確保は、半導体会社が生き残るには必須で、Infineon、Cypress双方に買収メリットがあります。

買収完了は、2019年末から2020年初めを予定しています。但し、米国当局が買収を認めるかがカギだと記事は解説しています。

Cypress特許取得PSoC 4100S CapSenseで他社差別化

ADAS(Advanced driver-assistance systems)など高度化する自動車制御に限らず、IoT端末でもMCU単体でのシステム構築は困難です。しかし、一方で、他社とのアナログ差別化技術を用いてMCUシェア拡大と確保を狙う動きも出てきました。

STマイクロエレクトロニクスは、汎用MCUでありながら、より多くのセンサとユーザ機能を実現する先進的アナログ・ペリフェラル搭載のSTM32G4シリーズを発表しました。また、ルネサスエレクトロニクスも、高精度アナログフロントエンド搭載32ビットマイコンRX23E-Aを発表しました。

本件のCypressも、他社アナログ差別化技術という点では長けていると思います。

例えば、前投稿のトラ技記載PSoC 4100Sは、低価格であっても、他社MCUに無いOPアンプや論理演算ブロックが実装済みです。特に、特許取得済みで多くのスマホで採用実績のある検出精度の高い静電容量式タッチ・センス・コントローラ内蔵は特筆すべき点です。

トラ技付属基板PSoC 4100S仕様(出典:トラ技2019年5月号P116、アナログ差別化技術が下線付き)
項目 内容
CPUコア Cortex-M0+、48MHz
メモリ フラッシュ:ROM 64KB
SRAM 8KB
シリアル通信ブロック 3個(I2S/SPI/UART/LINに対応)
ADC 逐次比較型 12ビット分解能、1Msps
シングル・スロープ型 10ビット分解能、11.6ksps
DAC 電流出力型 7ビット分解能×2
その他アナログ・ブロック OPアンプ 2個、6MHzGB積、6V/usスルーレート
コンパレータ 3個、内2個はスリープ・モード時も動作
静電容量式タッチ・センサ(CapSense 自動調節機能付き(特許取得済み)
論理演算ブロック スマートI/O 3入力1出力のLUT×8

タッチユーザインタフェーステンプレート構想

スマホの普及で、あらゆるユーザインタフェース(UI)がボタンから、タッチ・ベースへと変わりました。IoT端末でも同様です。

タッチユーザインタフェーステンプレート
タッチユーザインタフェーステンプレート。ボタンからタッチ・ベースへ変化したユーザ入力処理用PSoC MCUと、それ以外の2MCU構成。プロトタイプ開発速度向上とユーザフレンドリー入力処理が狙い。

このタッチUIへPSoC 4シリーズ特許技術CapSenceを応用し入力処理をテンプレート化、その他の新規開発や複雑な制御は別MCUへ分離した2MCU構成でプロトタイプ開発すると、開発速度が上がり、かつタッチUIも備えたユーザフレンドリーなIoT端末が期待できると思います(勿論、このタッチUIテンプレートにはトラ技付属基板も利用するつもりです)。

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2017年のアナログICメーカー売上高トップ10が、5月2日EE Times Japanで発表されました。

2017年アナログICメーカー売上高ランキング(出典:記事)
2017年アナログICメーカー売上高ランキング(出典:記事)

アナログ市場全体の成長率は10%、そのうちの上位10社のみで59%ものシェアを占めます。唯一マイナス成長となったNXPは、昨年汎用ロジック/ディスクリート事業をNexperiaへ売却したためです。

MCUメーカーのアナログICシェア

2017年アナログIC売上高シェア
2017年アナログIC売上高シェア。ブログ掲載中のMCU各社もランクインしている。

本ブログで扱っているMCUベンダのSTMicroelectronics(シェア5%)、NXP Semiconductors(4%)、ルネサスエレクトロニクス(2%)などもこのトップ10に入っています。一方Cypress Semiconductors のMCU PSoC 4などは、コンパレータやアンプなどのアナログ機能が他社MCUよりも充実していますが、売上高トップ10には入っていません。ADCやDACなどのアナログ単体ICの範疇にPSoC 4が入らないためかもしれません。

これらMCU各社をハイライトして、2017年アナログIC売上高シェアをグラフにしました。Texas InstrumentsもMCUを販売していますが、ブログの対象外ですので外しています。

IoTでは、とりわけMCUのフロントエンドにアナログ機能が必要です。好調なアナログ市場の伸びに伴って、アナログ機能をMCUに搭載したデバイスが発表される可能性があると思います。