LibreOfficeの使い方(ポータブル版)

LibreOfficeの使い方(ポータブル版)動作画面
LibreOfficeの使い方(ポータブル版)動作画面

LibreOfficeをUSBメモリへインストールし、どのWindows PCでもLibreOfficeが使えるポータブル版LibreOfficeの使い方を示します。

本家、Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォーム版LibreOfficeと、操作は全く同じです。

OfficeやLibreOffice文書の加工・編集が、ネットカフェ等の出先でもでき、また、PCを汚さずにLibreOfficeが動作します。LibreOfficeを試したい方にもお勧めです。

ポータブル版LibreOffice使い方もくじ

1.USBへLibreOfficeポータブル版インストール方法

……  1.1 PortableApps.comインストール

……  1.2 LibreOffice Still(安定版)またはFresh(最新版)インストール

2.ポータブル版LibreOffice操作方法

……  2.1 Microsoft Office文書扱い留意点

1. USBへポータブル版LibreOfficeインストール

LibreOfficeをUSBへインストールするには、先ずPortableApps.comから土台となるプラットフォームのUSBインストールが必要です。

このプラットフォームは、多言語対応です。インストールは、2段階で行います。初めが、サイト上方の言語選択&ダウンロード&USBへインスールです。その後、土台プラットフォームへポータブル版LibreOfficeをインストールします。

以下、日本語選択インストール例を示します。

土台PortableApp.comの日本語選択
土台PortableApp.comの日本語選択

1.1 PortableApps.comインストール

USBメモリを用意します。32MB容量あれば、USB内に複数文書を保存しても余裕で使えます。

日本語選択し示されるダウンロードをクリック、適当な場所へダウンロード後、インストーラを実行します。

PortableApps.com日本語ダウンロード
PortableApps.com日本語ダウンロード

インストール途中に、土台のインストール場所を聞いてきます。「ポータブル」を選択すれば、用意したUSBへインストールされます。その後は、ダイアログに従いプラットフォームのUSBインストール完了です。

インストール後、自動生成される“Start.exe”クリックで、プラットフォームが動作します。このプラットフォームが、最初に示した図のオレンジ部分です。

次に、このオレンジプラットフォームへ、ポータブル版LibreOfficeをインストールします。

1.2 LibreOffice Still(安定版)またはFresh(最新版)インストール

プラットフォームの「アプリの管理(A)」をクリックし、表示プルダウンメニュから「もっとアプリを入手(G)」>「カテゴリー順(W)」クリックで、右側“新しいポータブルアプリのダウンロード”ダイアログが表示されます。

新しいポータブルアプリからLibreOffice Still(安定版)のインストール。図はFleshがありませんが近日中に出現します。
新しいポータブルアプリからLibreOffice Still(安定版)のインストール。図はFleshがありませんが近日中に出現します。

LibreOffice Stillを選択し、インストール(I)をクリックすれば、LibreOffice Still(安定版)が、プラットフォームUSBへインストールできます。プラットフォームからLibreOffice DrawやLibreOffice Calc、LibreOffice Writer等が直接起動できます。

“LibreOffice Still”インストールのお勧め理由は、Fresh版が1ヵ月、Still版が3か月更新のためです。

USBへのインストールや更新処理は、時間が掛かります。Still/Fresh機能差は少なく、更新頻度が少ないStillの方が、LibreOfficeを使いたい時に直ぐに使え便利です(Afterwordに対策案あり)。

※インストール後のポータブルLibreOffice動作速度は、本家と同じです(念のため…)。

2. ポータブル版LibreOffice操作方法

ポータブル版LibreOffice操作は、本家Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォーム版LibreOfficeと同じです。従って、弊社投稿のLibreOfficeの使い方(総集編)や、投稿カテゴリー:LibreOfficeの内容がそのまま使えます。もちろん、弊社無償WriterテンプレートDrawテンプレートも使えます。

そこで、ポータブル版LibreOfficeを使って、“Microsoft Office”文書を編集・加工する時の留意点のみを示します。

2.1 Microsoft Office文書扱い留意点

LibreOfficeは、Microsoft Office文書の編集・加工も互換性があり可能です。保存拡張子の違いと、Office文書のレイアウト崩れが起こる場合があること、の2点に留意が必要です。

LibreOffice文書保存時のデフォルト拡張子は、ODF(Open Document Format)形式です。例えば、Writerは*.odt、Drawは*.odgです。LibreOfficeでLibreOffice文書を編集・加工する時は、何ら問題ありません。

しかし、LibreOfficeでMicrosoft Office文書を編集・加工した後は、保存拡張子を、Wordなら*.docx、Excelなら*.xlsx等へ変更した方が、Officeで再編集する時にBetterです。

ファイル形式の確認でWord形式を選択
ファイル形式の確認でWord形式を選択

また、拡張子を変更しても、Office再編集時、レイアウト崩れを起こす場合があります。

対策は、レイアウト要素をデフォルトのまま文書、図、表を作成することです。デフォルトレイアウト原稿なら、Officeで最終稿に仕上げる時に、レイアウトだけを変更すれば良いからです。

言い換えると、Office/LibreOffice共に最終稿までは、デフォルトレイアウトで編集・加工する。そうすれば、原稿レイアウト崩れを気にする必要が無い(!)という訳です。

Summary:LibreOfficeの使い方(ポータブル版)

USBへLibreOfficeをインストールし、どのWindows PCからでもLibreOfficeが使える、PortableApps.comとポータブル版LibreOfficeの2段階インストール方法を示しました。

ポータブル版LibreOfficeを使って“Microsoft Office文書”を取扱う時の留意点を示しました。

ポータブル版LibreOfficeの操作は、本家クロスプラットフォーム版と同じです。出先でもLibreOfficeやMicrosoft Office文書の加工・編集ができます。また、PCを汚さずにLibreOfficeが使えるメリットがあります。

Afterword:PortableApps.com

LibreOffice以外にもUSBへインストールできるアプリは、数多くあります。PDFーX ChangerとNotepad++の2つを追加インストールしたのが、一番初めの図です。下図無償PortableApps.comは、優秀なプラットフォームアプリです。

無償で様々なアプリを持ち歩けるPortableApps
無償で様々なアプリを持ち歩けるPortableApps

但し、このプラットフォームへ、多数アプリのインストールはお勧めしません。インストールやアプリ更新処理が、外付けUSBのため遅いからです。例えば、高価ですがポータブルSSDで代用すれば、改善するハズです。

Copilot+ PC CPUまとめ(24-06編)

Copilot+ PC発表以降、Intel、AMD共に対応CPUの発表が相次いでいます。PCハードウェア転換期の今、Copilot+ PC CPUの現状と最新状況を簡単にまとめました。次期PC購入検討のためです。

Copilot+ PC要件まとめ

先ず、Edgeの無償Copilot Promptへ、Copilot+ PCの質問をしました。回答が以下です(筆者編集あり)。

Copilot+ PCは、2024年6月18日にグローバルローンチされました。日本国内でもACER、ASUS、DELL、HP、Lenovo、Samsungなどのメーカーから搭載ノートPCが発売されています。

最安モデルは17万円後半から購入可能で、主流は20万円台です。

Copilot+ PCの最小要件:

  • Microsoftが承認したCPUまたはSoCを搭載。
  • 40TOPS以上の処理性能を持つNPUを組み込むことが条件。
  • 16GB以上のDDR5/LPDDR5規格RAM(メモリ)。
  • 256GB以上のSSD/UFSストレージ。

AI機能:

  • Copilot+ PCでは、AIアシスタント「Copilot」を瞬時に呼び出すための[Copilot]キー採用。
  • ローカル実行できる40以上のオンデバイスAIモデルを搭載予定。
  • 新たに下記機能が利用可能
    • 「Recall」(過去の表示内容検索)
    • 「Cocreator」(画像生成AI)
    • 「Live Captions」(多言語字幕生成)
    • 「Windows Studio Effect」(ビデオ通話エフェクト)

メリット:

  • 高速でインテリジェントな処理実現。
  • バッテリー駆動時間が長く、終日使用可能。
  • セキュリティにも力を入れており、Microsoft Pluton Securityプロセッサ搭載。

現在、「Copilot+ PC」要件を満たすCPUは、QualcommのSnapdragon X Elite搭載ノートPCのみです。今年後半には、AMDやIntelもCopilot+ PC要件を満たすCPUをリリース予定です(Copilot回答ここまで)。

回答は全てMicrosoftが情報源ですので、確度は高いと思います。筆者不明のMicrosoft Pluton Securityへ追加質問をし、以下を得ました。

Microsoft Pluton Securityプロセッサ:

資格情報、ID、個人データ、暗号化キーを保護し、攻撃者マルウェアインストールやPC物理的攻撃に対し情報削除が非常に困難です。TPM機能提供とTPM 2.0仕様を超えるセキュリティ機能提供用に設計されています。

つまり、Copilot+ PCユーザ情報保護の要でしょう。次期Win12アップグレード要件になる予感がします。

以下の章で、Intel、AMD、ArmのCopilot+ PC要件を満たすCPUを調査しました。

Intel:Lunar Lakeで120TOPS、40%電力削減

Intel Lunar Lakeは、CPU、GPU、NPUとDRAMをSoC化(出典:記事)
Intel Lunar Lakeは、CPU、GPU、NPUとDRAMをSoC化(出典:記事)

6月4日PC Watch記事に、現行Meteor Lakeの次期CPU、今年3Q投入計画のLunar Lake概要が記載中です。筆者が、ごく簡単にまとめたのが以下です。

Lunar Lakeは、薄型軽量ノートPC向けCPU。CPU、GPU、NPUとDRAM(16/32GB)もSoCパッケージ化し、120TOPS、40%電力削減能力を持つ。NPUは、現行から第4世代NPUへ進化。Meteor Lake未対応のMicrosoft Plutonにも対応。

※Edgeで当該記事ブラウジング中にのみCopilot要約ができます。しかし、本稿は筆者が要約しました。以下記事も同様です。

AMD:Ryzen AI 300シリーズは50TOPS NPU搭載

Ryzen AI 300シリーズのNPU性能はSnapdragon X EliteやIntelの次世代CPU「Lunar Lake」よりも高い(出典:記事)
Ryzen AI 300シリーズのNPU性能はSnapdragon X EliteやIntelの次世代CPU「Lunar Lake」よりも高い(出典:記事)

6月4日AMDは、新世代CPU Zen5採用AM5ソケット対応のデスクトップ向けRyzen 9000シリーズと、50TOPS第3世代NPU統合のCopilot+ PC向けRyzen AI 300シリーズを発表しました。

7月以降、ACER、ASUS、HP、Lenovo、MSIなどのメーカーからCopilot+ PC対応ノートPCが発売され、発売時は他社比、トップNPU性能です。

Arm:2030年迄にWindowsデバイス支配的シェア予測

Armは、CPU IPベンダです。IntelやAMDと異なり、CPU製造ではなくCPU IPコアを他社へ販売、その1社がQualcommのSnapdragon X Eliteで、現在唯一のCopilot+ PC要件を満たすノートPC CPUです。

6月4日、Arm CEOのRene Haas氏は、Windows Copilot Runtimeとそのアプリ(Recall、Cocreator、Live Captions)は、Arm版のみ現存しており、現在数%シェアは、2030年までにWindowsデバイスの支配的シェアを占めると予測しました。

ArmはレガシーのPC(x86など)を大きく上回っているとアピール(出典:記事)
ArmはレガシーのPC(x86など)を大きく上回っているとアピール(出典:記事)

macOSは、既にx86からArm移行が起きており、WindowsもArmネイティブになると予測しています。

Summary:Copilot+ PC CPUまとめ(24年6月編)

2024年6月時点で判明しているCopilot+ PC向けCPUを一覧表にしました。

24年6月Copilot+ PC CPU ターゲット トータルNPU性能 備考 発売
Intel)Lunar Lake ノートPC 120TOPS 40%電力削減
DRAMオンチップSoC
24年3Q
AMD)Ryzen AI 300 ノートPC 50TOPS TDP28W 7月以降
Arm)Snapdragon X Elite ノートPC 40TOPS Windowsネイティブ対応 発売中

6月時点のCopilot+ PC CPUは、ノートPC用のみです。ユーザと共に移動可能なノートPCの方が、デスクトップPCよりもエッジAIフル活用に向いているからだと思います。

複数PC間でエッジAI学習結果、つまりNPU同期は難しいでしょう。最もユーザに近いAIアシスタント搭載PCが、PCハードウェア転換期のBest解になりそうです。

従来Intel、AMDに加え、新にArm IPコア採用の第3勢力がCPUシェア獲得競争に加わりました。

Copilot+ PCのCPUは、NPU性能と低電力性が選択ポイントです。NPU性能が高ければ、それだけ高い確度と速いレスポンスのAIアシスタントCopilotが使えます。例えると、高性能GPUは、高精細画面を得られるのと同じです。

Afterword:Raspberry Pi 5は13TOPS NPU搭載

Raspberry Pi AI Kit(出典:Cytron)
Raspberry Pi AI Kit(出典:Cytron)

エッジAIは、CPUのみならずMCUやMPU/SCB全てに変化を与えます。例えば、6月4日、MPU/SCBのRaspberry Pi 5へ、13TOPS NPUを追加できるKit($77)が発表されました(関連投稿:MCUとMPU/SCBの違い)。

筆者のメインPCは、NPU非搭載Win11自作デスクトップPCです。次期Win12 PCは、Copilot+ PC対応新ノートPC調達か、それとも、ラズパイ5同様デスクトップPCへエッジAI NPU追加か思案中です。

また、PCハードウェア転換期とエッジAIフル活用対応にCopilot PromptでAI利用に慣れようとも考えております。


MCU開発者のCopilot+ PC

2024年5月28日、日本Microsoft津坂社長のCopilot活用記事が、PC Watchに掲載されました。メール要約や資料分析、優先タスク振分けなどCopilotを使った活用例は、ビジネスパーソンだけでなく、MCU開発者にとっても参考部分が多々あります。

筆者が特に印象に残ったのは「エンジニアでない津坂社長でも、使い続け、議論を繰り返すことでCopilotを使いこなせる(AI筋トレ)」の部分です。

背景技術の広さ深さは見せず、使い易さを追求したツールは、Copilotだけでなく最近のツール全般に当てはまります。そのCopilotを更に進化させるGPT-4oのAI研究者視点と、MCU開発ツール変化について示します。

謎が多いGPT-4oモデル

2024年5月28日、ビジネス+IT にAI研究者、今井 翔太氏が、研究者視点のGPT-4o評価と謎、GPT-5への伏線を執筆しました。筆者が、ごく簡単にまとめたのが下記です。

“数年前ならAGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)レベルに達したと想定できるGPT-4oは、AI研究者からみると、謎が多いモデルで従来スケーリング則からは不自然。しかし、殆どの人が考えるAGIに相当近づいた。GPT-4延長GPT-4oの次期超高性能モデルGPT-5準備中”

AIを利用する殆どの人、つまり、筆者などMCU開発者は、GPT-4o≒AGIと考えて良いと思います。前章、津坂社長のようにAGI化したCopilotをこき使って(!) 生産性や判断スピートを上げ、その中身や仕組みは知らなくても問題ないからです。

現在Copilotは、GPT-3.5/4でGPT-4oではありません。しかし、CopilotのようなAIツールは、使っているうちにGPT-4o/5などのテクノロジ進化と共にユーザ学習度も深くなり、最後にはユーザ専用アシスタントとなる可能性があります。

このツール自体の進化が、従来に無いAIツールならではの特徴です。

MCU開発ツール変化

MCUのIDE開発ツールは、Eclipse IDEベースが業界標準です。各MCUベンダ固有のAPIコード生成ツールやフラッシュプログラマをEclipse IDEへ機能追加し、MCU開発者へ無償提供されます。

最近、Eclipse IDEベースに代わってMicrosoft製Visual Studio Code(VSC)を使う変化が見られます。

MCUXpresso for Visual Studio Code構成(出典:NXPサイト)
MCUXpresso for Visual Studio Code構成(出典:NXPサイト)

例えば、NXPは、EclipseベースのMCUXpresso IDEの代わりに、VSCベースのMCUXpresso for Visual Studio Codeが使えます。もちろん、無償です。従来EclipseからVSCへ変えるメリットは、筆者には判りません。あえて推測すると、同じMicrosoft製Copilotとの親和性です。

つまり、数年後のAI活用MCU開発時に、EclipseベースよりもVSCの方がCopilotとの協調動作性が良いので、ユーザ能力に合わせた開発ができるかも(?) という訳です。

Summary:MCU開発者のCopilot+ PC

Microsoft発表のCopilot+ PCは、ユーザ検索履歴や能力レベルを、40TOPS以上のエッジAI NPUが学習し、ユーザに即した回答をCopilotが提供します。これは、広く深い知識が求められるMCU開発者にとっても、開発スピートアップやMCU習得の強力な助けになります。

MCU開発者がCopilotを上手く使うには、津坂社長のように使い続け、入出力議論を繰り返すことでエッジAI NPUがユーザを学習し、同時に開発者もCopilotに慣れる「AI筋トレ期間」が必要です。

CopilotなどのAIツール活用は、MCU開発者とエッジAI NPU双方の学習期間が必要
CopilotなどのAIツール活用は、MCU開発者とエッジAI NPU双方の学習期間が必要

Visual Studio Code やCopilotに慣れ、エッジAI NPUを使いこなせるよう準備が必要かもしれません。Microsoft製ツール全盛となるのは、いささか気になりますが…。AIアシスタントCopilot影響大ですね。

Afterword:VSC頻繁更新Dislike

筆者は、VSCをWeb制作に使用中です。これは、過去使っていたツールが更新停止となったからです。拡張機能の多さやユーザカスタマイズが容易なVSCですが、その頻繁な更新はあまり好きになれません。

Eclipse IDEでも、エディタは標準以外の別エディタ、例えば、Notepad++変更も可能です。その他カスタマイズ機能も、現時点ではEclipseとVSCに大差無いと思います。

AI全盛時は、もしかしたらIDEで差が出るかも(?) と思ったのが本稿作成理由です。筆者は、未だ自作PC派です。生成AI加速モジュールをPCへ追加しエッジAI性能を上げるか検討中です。


OfficeのAI Copilot活用例

OfficeツールのAI Copilot活用例と効果
OfficeツールのAI Copilot活用例と効果

MicrosoftのAIアシスタント:Copilotを使うと、Microsoft Officeツールの生産性が、具体的にどう上がるのかを示す記事を見つけたので紹介し、要旨をまとめます。

Summary:OfficeツールのAI Copilot活用例と効果

Officeツール AI Copilot活用例 効果
Word ドラフト時短 ドラフト作成 より多くの時間を思考に使える
PowerPoint ドラフト作成 より多くの時間を思考に使える
Excel データ分析、グラフ化 データ可視化分析作業の短縮
Outlook 受信メール要約作成
返信メールドラフト作成
より効率的にメール送受可能
Word/PowerPoint 品質改善 改善ポイント指摘 客観的評価で作成品質を高める
Outlook 送信メール明瞭チェック より高品質メールの送信
PowerPoint 作成資料の想定質問生成 着想/想像力の幅拡張
全Office文書 貰ったOffice文書の内容分析 文書内容理解を早める

※Officeはサブスク型Microsoft 365を想定。買い切り型Officeでも同様になると推定。
※Copilotは現在GPT-3.5/4。より人間らしいGPT-4o Copilotになると推定。

OfficeツールのCopilot活用要旨が下記です。

  1. コンテンツ作成Word/PowerPointは、Copilotでドラフト作成時短
  2. 表作成Excelは、Copilotでデータ可視化と分析時短
  3. Copilotで作成資料の客観フィードバックをかけ、資料品質向上と発想/想像力の幅拡張
  4. 受信メール要約、送信メールドラフト作成、送信前メールのCopilot分析
  5. 貰ったOffice文書のCopilot分析、早期内容理解

AI Copilot処理時間

前章Copilot活用によりOffice生産性や生成資料品質は、上がります。但し、上表にはAI Copilotの処理時間がありません。AI処理が遅ければ、実務には使えません。

つまり、実務でAIを使うには、応答性の速さ:AIレスポンスが重要ということです。前投稿GPT-4oは、正にこのAIトレンド最先端技術です。ライバルのGoogle+Anthropicも対抗技術を開発するでしょう。

そして、応答速さの次は、コスト競争になります。これが、サブスク型Microsoft 365だけでなく、買い切り型Officeと無償Copilotでも、Microsoft 365と同様のAI効果が期待できると推定した根拠です。但し、Copilot出力確度は、有償版が上になるかもしれませんが…。

AI Copilotレスポンスを満たすエッジPC性能

AI普及には、エッジ側AI処理の比重を増やすことが必須です。クラウド側だけでAI処理すると、データセンタの消費電力が膨大になり、また、AIレスポンスも悪くなるからです(AIとクラウド消費電力は、コチラの投稿2章参)。

そこで、Microsoftが想定するエッジAI Copilotレスポンスを満たすPCの要求スペックが下記です。これらは、次期Win12システム要件になる可能性があります。

Copilotレスポンスを満たすエッジAI PCハードウェアスペック
プロセサ 登録済みCPUで、搭載NPUは40TOPS以上
メモリ 16GBのDDR5またはLPDDR5
ストレージ 256GB以上のSSDまたはUFS(Universal Flash Storage)

今年リリース予定のWin11 24H2が、OSコア変更にも関わらずWin12に改名しなかった背景は、上記ハイスペックPCが、簡単に調達できないためでしょう。

今PCを買うなら、このスペック以上にしないと、Win11 TPM 2.0足切りのように、Win12アップグレート不可になるかもしれません。

AI Copilot時代のWindows PC

AI CopilotとWindows結合がもたらすアプリ生産性向上
AI CopilotとWindows結合がもたらすアプリ生産性向上

Microsoft想定のAI PCハードウェアとWindows、Copilot、Officeの組合せは、Summaryで示したようにPCの使い方を根底から変える可能性があります。

コンテンツ作成は、AI Copilot準備ドラフトから着手するため、ユーザは、オリジナリティ豊かな独自コンテンツ生成に集中できます。さらに、生成コンテンツにCopilotで客観フィードバックをかけ、より高品質コンテンツに仕上げることも容易です。

また、大量メールもAI Copilotで事前に振分け、重要メールのみの対応も可能となるでしょう。

つまり、低順位Office業務は、全てCopilotが代行し、高優先業務のみユーザが行うWindows AI Copilot PCへと発展します。これは、本稿で示したOfficeツール例だけに留まりません。

Microsoftが、AI CopilotとWindowsの結合をにすれば、Office同様他のPC業務も、Mac/Linuxよりも高いPC生産性が期待できます。Microsoft製Copilotと他社Mac/Linuxとの結合度が低ければ、Windowsに比べ確度の低いAI出力となるからです。

※Edgeの前のMicrosoft製ブラウザ:Internet ExplorerとWindowsは密結合であった。が、確か独占禁止の点から、IEとWindowsは完全分離となった。CopilotとWindowsもIE同様、分離可能性はある。Microsoftは、Windows AI Copilot PC商用名を「Copilot+ PC」とし対抗気配。

AI普及2アプローチとエネルギー計画

WindowsとOfficeでシェアを持つMicrosoftは、本稿のようにCopilot活用のAI PCアプローチからAI普及を図ります。一方、PixelなどAndroidスマホのシェアを持つGoogleは、写真加工や画像認識、スマホ通話即時翻訳などAIスマホのアプローチからAI普及を図っています。

AI PCかAIスマホか、いずれにせよAIが、次世代の情報機器/通信/電力/半導体製造産業を牽引することは確実です。

現状のままでは2030年に世界総電力10パーセント程度をデータセンターが占める(出典:NTT STORY)
現状のままでは2030年に世界総電力10パーセント程度をデータセンターが占める(出典:NTT STORY)

日本では経済産業省が、これら産業のエネルギー基本計画を策定しています。AI普及や最近の国際状況から、見直し議論も盛んになってきました。今後の動向に要注目です。

Afterword:長文言い訳

日本のエネルギー基本計画なども記述しましたが、筆者が言いたかったことは、Summary章「AI Copilot活用でOffice生産性は上がる」です。中でもOffice資料のCopilot客観フィードバックは、期待度大です。残念ながら本記事は、未だ全て手作業生成ですが…。

日経XTECHの元記事に、生産性向上の詳しい説明があります。この記事は、クラウドAI CopilotとMicrosoft 365を対象とし、クラウドAI Copilotの仕組み利用心得などの関連記事もあります。

ただ、クラウドAI処理は、電力不足懸念からエッジAI処理分散が必須で、この動きにマッチしたMicrosoftの Copilot+ PC登場ストーリとなり長文化しました。


安く早いGPT-4o

AI対人間インタフェース性能を向上するGPT-4o
AI対人間インタフェース性能を向上するGPT-4o

2024年5月13日、GOMA(Google、OpenAI、Microsoft、Anthropic)の一角、OpenAIが、GPT-4o(オー)を発表しました。オーは、omni、ラテン語のすべてを意味し、テキスト、音声、画像、映像の入力すべてに統合対応します。従来ChatGPTよりも安く、早い生成AI入出力処理が可能です。

Summary:安く早いGPT-4o

GPT-4o特徴、OpenAI発表の要約などが堀江貴文氏のYouTube動画(6分31秒)で判ります。
前半2分40秒までが、「本物の人間、堀江氏」解説、後半は、GPT-4oを使ってOpenAI発表を要約し、それを「AIで生成した堀江氏」が説明しています。

既存ChatGPTや競合他社比、利用料金が50%安く、音声と画像理解が速いのが統合対応GPT-4oの特徴です。例えば、音声応答は人間と同じ会話速度、笑い声や感情表現画像も出力できます。

Mac版アプリも同時発表、Windows版は、今年後半リリース予定です。

対人間インタフェース性能向上

AIを人が上手く使うコツは、AIへの質問力です。上手い質問ができれば、所望の回答が得られます。ただ現在、AI自身が急変化しています。この過渡期のAIに合わせた質問のコツを人が掴むのは大変です。

そこで、人間同士の対面会話と同じようにAI側が対応できれば、より簡単に質問ができます。AI側が人に近づくからです。また、対人間インタフェース性能向上によりAI自身の学習速度も更に上がります。

安く早いGPT-4o の特徴が活かせるのは、このAI対人間インタフェースの部分です。

例えクラウドAI利用時でも、GPT-4oは、人と同じレスポンス速度で会話し、人の画像を認識、笑うなどAI感情表現も出力します。堀江氏動画(2分5秒頃)で語られた、GPT-4oとぬいぐるみを使った子供や老人のAI話し相手のフロントエンドとして十分使えます。

つまり、AI入出力を、より人間らしく効率的にできる能力をGPT-4oは持っています。

筆者としては、PC向けだけでなく、エッジAI MCU/MPU向けアプリも欲しいです。
※AIとAIデータを引出すChatGPTなどの役割は、コチラの投稿1章参照。

シンギュラリティ

AIが人間よりも賢くなるシンギュラリティ、2045年問題
AIが人間よりも賢くなるシンギュラリティ、2045年問題

AIが人間よりも賢くなる時を、シンギュラリティ(日本語は技術的特異点)と言います。AIの世界的権威:Ray Kurzweil氏が、2005年の著書でシンギュラリティを2045年と予測したため、2045年問題とも呼ばれます。

筆者は、GPT-4oにより、AIがシンギュラリティに一歩近づいたと思います。最近AI関連の話題は、食傷ぎみですが、GPT-4o出現は、予測よりも早くシンギュラリティになる可能性を秘めています。

GoogleやAnthropicのGPT-4o対抗ChatGPT、MicrosoftのGPT-4o対応Copilot、OpenAIの次期GPT-5がどれ程の能力を持つか想像もできません。ただGOMA各社が、AI開発を加速中なのは確かです。

また、進化中のAIが、次世代半導体も牽引しています。GOMAだけでなく、半導体製造、電力、通信各社もAIが動向を左右しています。生成AI革命といわれるゆえんです。
※生成AIと電力、通信会社の関係は、コチラの投稿参照。

Afterword:MCUソフトウェア開発史と似ている?

現在のMCUソフトウェアは、ベンダHAL(Hardware Abstraction Layer)APIを利用した開発です。数十年前のMCU毎に異なるハードウェアドライバを自作し、アプリ担当に自作APIを提供していた頃とは別世界です。

レベルは違いますが、AI進化もこのMCU開発史に似ています。数年後には、人工知能活用開発が普通になるかもしれません。今、AI進化過程を実感できる我々は、幸せだとも思います。

MCU開発者が、PC利用や開発方法を根本から変える可能性があるAI状況を知ることは必然です。根本変化、別世界に対応できるよう状況を把握しておきましょう。


Windows 11シェア低下

世界のWindows 10シェアは増加傾向で、2024年4月に70%を超え、逆にWindows 11シェアは、2024年2月に史上最高の28.16%となったが、4月には25.65%へ低下しました。その背景を考えました。

Windows 10(紫)とWindows 11(青)シェア推移(出典:statcounterに加筆)
Windows 10(紫)とWindows 11(青)シェア推移(出典:statcounterに加筆)

Win11伸び悩み根本原因

Win11シェア伸び悩み解説記事は、2つ理由を挙げています。

  1. Win11のAndroidアプリ廃止
  2. スタートメニュー広告表示

ブラウザは、検索履歴からユーザが興味を持つ広告を表示します。Win11スタートメニューは、何を基準に広告するか不明(おそらくエッジAI NPU)ですが、スタートメニューフィールドの広告は、邪魔です。

筆者は、Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォーム動作アプリが増えたこともWin11伸び悩みの一因だと思います。例えば、大手MCU開発ツールは、クロスプラットフォーム動作です。Windowsに固執する必要はありません。

一方、Win10シェアが増えたのは、Win11を離れたユーザが、使い慣れたOSへ戻ったからだと思います。例えば、Win11タスクバーは、上下位置のみ配置できますが、Win10は上下左右に配置可能で、自由度が高いです。

このようにOS操作性は、Win10比、Win11は明らかに劣化しました。Win10とOSコアが同じなのに操作性が劣化したWin11を、積極的に使う理由が無いのです(Win11 TPM 2.0の役目は、Afterword参照)。

但し、Win10サポート終了は、2025年10月14日、残り18か月です。この18か月中に次の新OSへの準備が必要です。

新OS検討項目

Windows 10の次の新OS3候補
Windows 10の次の新OS3候補

Win10サポート終了後の新OS選択肢は、Windows、MacOS、Linuxなどがあります。

検討事項は、現在使用中のアプリが新OSへ移行できるか否か、移行できない場合は、代替アプリが新OSに有るか無いかです。

※次期Win11 24H2は、OSコアが現行Win11から変わります。当然、アプリ移行リスクはありますが、本稿では問題なく移行できると仮定します。

一番気になるアプリは、やはりMicrosoft Officeでしょう。Officeは、MacOSでも動作しますが、Linuxは非動作です。代替アプリは、無償LibreOffice、またはWeb文書作成ツール(Web Office、Google Doc/Sheets)などです。

残念ながらWeb文書作成ツールは、デスクトップアプリ比、機能的に劣る傾向があり簡単な修正や閲覧向きです。また、MacOS/Linuxには、Windowsアプリを仮想的に動作させるアプリ(Wine、VirtualBox)などもありますが、現状Windowsアプリ全てが完全に動作するとも限りません。

新OSは、Microsoft Office最重視で考えると、WindowsまたはMacOS、次点がLinux+代替LibreOfficeとなります。

アプリケーションファースト

ちなみに、2024年5月2日、無償LibreOffice最新版の定期1ヵ月更新があり、LibreOffice 24.2.3となりました。LibreOfficeは、Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォーム動作のアプリです。

従って、文書作成ツールLibreOfficeをMicrosoft Officeと同じように使えれば、先に挙げたMCU開発ツールと同様、OSは何でも選択可能です。

筆者は、MCU開発者ですので、MCU開発ツールと文書作成ツールの2つが最重要アプリです。

そこで、OSにLinux Mintを選択すれば、慣れたWindows操作に近いLinux環境が、調達コスト0で構築できます(関連記事:ドイツ自治体、Microsoft OfficeからLinuxとLibreOfficeへ移行)。

弊社が現在Win11インストール条件を満たさない最古参PCを使ってLinux Mint+LibreOffice+MCU開発ツールをテスト中なのは、Windows OS代替としてのLinux環境に慣れるためです。

Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォームアプリは、今後増えると思います。また、Windows仮想化アプリの性能向上も期待できます。アプリケーションファーストでOSを選択できる日も近いと思います。

Summary:Windows 11シェア低下の3背景

世界のWindowsシェア(2024年4月)
世界のWindowsシェア(2024年4月)

2024年4月現在、70%超のWin10世界シェアに対し、Win11シェアは25.65%と伸びていません。その背景を3つにまとめました。

  1. スタートメニュー広告表示やタスクバー上下位置などWin10比、Win11の操作性劣化
  2. MacOSやLinuxのWindowsアプリ仮想収容に対し、Win11のAndroidアプリ廃止
  3. クロスプラットフォームアプリ増加によるアプリケーションファーストOS選択が浸透中

Afterword:TPM 2.0役目とエッジAI

ネットカフェPCのOSは、日本ではWin11アップグレード要件TPM 2.0装備の最新PCでもWin10を使います。セキュリティ強化Win11 TPMと既存Win10操作性を比較し「セキュリティよりも操作性に軍配が上がった」からです。

もしWin11がWin10と同じ操作性でセキュリティ強化だけなら、ネットカフェPCは、順調にWin11へ移行していたと思います。次期Win11 24H2は、エッジAIを強化しPC生産性や操作性を向上させる可能性があります。

ネットカフェPCが、エッジAI強化Win11 24H2へ移行するか、または、Win10をサポート終了まで現状維持するのかは、観察が必要です。

Microsoft方針が、以下なら見通しも明るいと思いますが…。

  1. Win11操作性をWin10へ戻し、同時にAI強化を行う(Win11 24H2)
  2. Windows操作性を、AIが全て自動設定する(Win12 ?)

要するに、「他OSに無いWindows機能が、強化AIだ」とユーザに認識してもらうことが、今後のWindowsシェア伸長に必須なのです。Microsoft は、WindowsとエッジAI(Copilot)統合を狙うかもしれません。

さて、アプリケーションファーストのOS選択は、ネット検索をお好みのブラウザで行うのと似ています。ネット情報は同じでも、特徴がブラウザ毎に異なるため、効率的な結果取得に差が出るからです。

例えば、2024年4月現在日本ブラウザシェアは、1位Crome 57.6%、2位Safari 21.09%、3位Edge 14.98%、4位Firefox 3.3%、筆者が好きな広告非表示Braveは、圏外などです。

このような国別、地域別の様々なシェアを示してくれるのが、statcounterです。動向予測に便利です。


生成AIデータセンタとIOWN

サーバやネットワーク機器を安全に管理運用する施設がデータセンタです。世界規模の生成AI需要急増に対し、米)大手AI企業の日本国内へのデータセンタ新設が話題です。2024年4月21日その背景が、欧米に比べ日本のプライバシー規制の緩さだとTV放送がありました。

筆者は、地震国日本にAI関連投資が盛んな理由は、地理的に離れたデータセンタ間を、低遅延接続できるIOWNがあるからだと思います。このリアルタイムネットワークAI処理の要、IOWNを説明します。

データセンタ間IOWN接続遅延

光電融合デバイスによるNTT IOWN APN(オールフォトニックス・ネットワーク)は、従来比電力効率100倍、伝送容量125倍、エンドエンド遅延1/200が目標です(関連投稿はコチラ)。

IOWN特徴(出展:NTTサイト)
IOWN特徴(出展:NTTサイト)

2024年4月12日、NTTは、IOWN APNの英国と米国でのデータセンタ間接続実証結果を発表しました。

英国、米国のIOWN APN実証実験(出典:NTTサイト)
英国、米国のIOWN APN実証実験(出典:NTTサイト)
400Gbps通信 データセンタファイバー距離(km) 遅延時間(ms) 遅延揺らぎ(μs)
London、UK 89 0.893 0.035
Ashburn、US 4 0.062 0.045

同一施設データセンタ間遅延規定<2ms

同じ施設、場所の複数データセンタ間の接続遅延は、2ms以内の規定があります。

従って、IOWN APN実証結果の遅延1ms以下、揺らぎ1μ秒以下は、例えデータセンタ設置場所が離れていても、規定2ms以内を満たし、同一施設データセンタとして機能することが判ります。

また、IOWN APN回線は、ダークファイバー新設無しで波長追加により提供できることも特徴です。APN提供までの時間短縮が可能だからです。

※ダークファイバーとは、敷設光ファイバーのうち、未使用で光信号が稼働していない(ダークな)芯線。

つまり、地理的に分散したデータセンタ間をAPNで接続しておけば、地震や過負荷トラブル発生時でも当該データセンタの負荷をAPNで別の場所へ移動できます。そして、あたかも同一施設のデータセンタのように稼働を続けられます。

データセンタ信頼性向上に役立つIOWN APNは、地震国日本ならではのネットワーク技術です(関連記事:NTT光ファイバー分岐・合流に世界初成功)。

NTTは、これら特徴や欧米でのAPN実証実験により、光電融合デバイスネットワークIOWN APNを、生成AIデータセンタや金融分野向けのワールドワイドインフラとして普及を狙っています。

郊外データセンタと市中カメラのAPN接続

大都市圏における郊外型データセンタによるAI分析(出典:NTTサイト)
大都市圏における郊外型データセンタによるAI分析(出典:NTTサイト)

また、NTTは2024年2月20日、武蔵野市データセンタと横須賀市設置カメラ間の100kmをIOWN APNで接続し、郊外データセンタで市中カメラのリアルタイムAI分析実験を行いました。

これは、超高速ネットワークを活かしたリアルタイムクラウドAI処理例です。但し、超高速ネットワーク回線が十分安くなった時の話です。未だ高価なIOWN1.0ですが、IOWN4.0で現状インターネット並み価格になった後の話です。

それまでは、クラウド側よりもエッジ側でAI処理を行うアプローチが、AI処理遅延、電力消費の点から現実的だと思います(関連投稿:エッジAI導入アプローチ)。

日本への欧米AI投資

OpenAI Japan 始動(出典:OpenAI Japan)
OpenAI Japan 始動(出典:OpenAI Japan)

AI関連投資は、データセンタだけではありません。

2024年4月15日、米OpenAIは、アジア初のOpenAI Japan始動を発表しました。日本語最適化GPT-4カスタムモデルの提供を開始するそうです。2024年4月10日、米Microsoftも、日本へAI研究所など今後2年間で29億ドルの投資を発表済みです。

もちろん日本側AI投資も盛んです。例えば、4月19日、KDDI の1000億円、4月23日、ソフトバンクの1500億円投資などです。

いずれの投資も、高信頼ネットワークインフラ技術IOWNが日本にあるからです。

Summary:生成AIデータセンタとIOWN

生成AIやインターネット金融の要であるデータセンタは、災害やセキュリティ事故などのリクスに強いことが必要です(日本データセンタより)。

世界規模の生成AI需要急増に対し、地震国日本で米)AIデータセンタ新設やAI関連投資が盛んな背景は以下です。

  1. 欧米よりも緩い日本のプライバシー規制
  2. データセンタ地理的分散配備を可能とする低遅延NTT IOWN APN接続

Afterword:次回投稿5月10日(金)

来週5月3日(金)は、ゴールデンウイーク中のため休みを頂き、5月10日(金)に次回投稿します。


エッジAI導入アプローチ

市中ビデオカメラへのエッジAI応用例とどの程度TOPS能力が必要かが判る記事、STM32F3マイコンの電動自転車へのAI応用記事から、MCUとMPU/SBCのエッジAI導入アプローチの違いを説明します。

ビデオカメラのエッジAI応用例

AIビジョンプロセサHailo-15によるカメラノイズ除去、鮮明化例(出典:記事)
AIビジョンプロセサHailo-15によるカメラノイズ除去、鮮明化例(出典:記事)

上図は、左側オリジナルビデオ画像を、AI Visionプロセサ:Hailo-15を使って、ノイズ除去と鮮明化、人物認識を行った例です。

この例では、低照度下で撮影した4Kビデオ画像のノイズ除去に約100ギガオペレーション/秒(GOPS)、30フレーム/秒のリアルタイムビデオストリーミングなので3 TOPS処理能力が必要です。

Hailo-15は、AI処理能力に応じて現在3製品をラインナップしており、それぞれのTOPS値が下図です。

Hailo-15ラインナップ’(出典:HAILOサイト)
Hailo-15ラインナップ’(出典:HAILOサイト)

7 TOPSのHailo-15Lでも十分なビデオカメラエッジAI処理が可能です。カメラ外付けのHailo-15は、例えば、SBC(シングルボードコンピュータ)Raspberry Pi 5と組み合わせると面白い装置が開発できると思います。

同様のビデオエッジAI処理をMCUで実現する場合は、コチラの投稿で示したCortex-M85コア搭載RA8D1があります。

電動自転車のエッジAI応用例

2024年4月3日、STマイクロは、電動自転車搭載の汎用MCU STM32F3(Cortex-M4/72MHz、Flash/128KB)へ、無償エッジAI開発ツールSTM32Cube.AIを使って、自転車タイヤの空気圧を推定、空気を入れるタイミングを示すAI機能を実装しました。

STM32F3は、上記AI機能の他にも自転車本体の電動アシスト量制御やモータ制御も行っています。つまり、空気センサなどの追加ハードウェア無しでエッジAI機能が低コストで実装できた訳です。

STM32F3へのエッジAI応用例(出典:STマイクロ)
STM32F3へのエッジAI応用例(出典:STマイクロ)

STマイクロのMCUソフトウェアは、HAL(Hardware Abstraction Layer)APIを使って開発すると、同社の異なるMCUコアでも移植性の高いソフトウェアが作れます。

最新40nmプロセス製造のSTM32F3上位機種が、汎用STM32G4(Cortex-M4/170MHz)です。STM32G4ソフトウェア開発をご検討中の方は、弊社STM32G0x(Cortex-M0+/64MHz)テンプレートをご活用ください。
また、より低価格低消費電力なSTM32C0(Cortex-M0+/48MHz)へもG0xテンプレートが適用可能です。
詳細は、info@happytech.jpへお問い合わせください。

Summary:エッジAI導入の2アプローチ

エッジAI導入の2アプローチ
エッジAI導入の2アプローチ

実際のエッジAI応用例から、MCUとMPU/SBCではエッジAI導入アプローチが異なる事を示しました。

MCUは、STM32F3例が示すように、「追加ハードウェア無し低コストAI実装アプローチ」です。STM32Cube.AIを使い、実装MCUへソフトウェアのみでAI機能追加を行います。

MPU/SBCは、外付けHailo-15H/M/Lを使ってエッジAI処理を行います。「拡張性重視のAI実装アプローチ」です。

ユーザが求めるAI機能は、今後益々増えます。エッジAI処理増加により、より高い電力効率で高性能な処理コアが求められるのは、MCUもMPU/SBCも同じです。

製品開発には、ある程度の期間が必要です。この期間中に増加するエッジAI処理増に耐えられる製品の処理コア選定は、重要検討ポイントになるでしょう。

関連投稿:MCUとMPUの違い

Afterword:ビデオエッジAI処理プロセス

ビデオエッジAI処理プロセス(出典:HAILO記事)
ビデオエッジAI処理プロセス(出典:HAILO記事)

最初の記事に、ビデオエッジAI処理プロセスが良く判る図があります。これを見ると、エッジAI処理がハードウェアの並列処理に向いていることも判ります。

ハードウェアは、製品化後、簡単に追加ができないため、どの程度の余力を製品ハードウェアに持たせるかは、コストとの兼ね合いで「永遠の課題」です。これは、ソフトウェアのみでAI機能を実装するSTM32Cube.AIでも同じです。製品実装済みMCUの余力を上回るAI機能追加はできないからです。

つまり、当面の安心をMCU開発者へ与えるには、最新MCUの製品利用がBetterということです。


LibreOffice最新版、安定版更新

ものもらいのため、今週投稿は、LibreOffice更新情報と関連トピックを簡単にお知らせします。

最新版LibreOffice 24.2.2、安定版LibreOffice 7.6.6へ更新
最新版LibreOffice 24.2.2、安定版LibreOffice 7.6.6へ更新

Summary:LibreOffice最新版、安定版更新

3月28日、LibreOffice最新版の1ヵ月定期更新があり、LibreOffice 24.2.2となりました。
同時に、3ヵ月定期更新の安定版もLibreOffice 7.6.6になりました。

LibreOffice更新方法

Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォーム動作で、Microsoft Officeに対抗できる無償文書作成ツールがLibreOfficeです。

LibreOfficeには、最新機能実装の約1ヵ月定期更新LibreOffice最新版と、最新版へ数回分の更新プログラムを適用した約3ヶ月定期更新LibreOffice安定版、これら2種類があります。

LibreOfficeの更新方法は、簡単です。毎回、新規インストールと同様に新版インストーラを実行すれば、旧版の各種設定が、そのまま引き継がれるからです。

筆者お勧めの設定は、コチラに投稿したセキュリティ対策程度です。後は、お好きな利用フォントなどを設定すれば、デフォルトのままで良いと思います。

ドイツ政府、Microsoft OfficeからLibreOfficeへ移行

ドイツ政府 PC30000台をLibreOfficeへ移行
ドイツ政府 PC30000台をLibreOfficeへ移行

2024年4月4日、ドイツ地方政府が30000台のPCをLinuxへ乗り換え、文書作成ツールをMicrosoft OfficeからLibreOfficeへ移行した、とLibreOffice Blogが報じています。

ドイツ地方政府は、無償オープンソースソフトウェアでソフトウェア環境構築を目指すようです。目的は、経費削減、または、ソフトウェア自主開発化でしょうか? 後者だと、技術者は嬉しいです!

Afterword:LibreOfficeで判る多様性

Microsoft OfficeからLibreOfficeへ変わっても、基本操作は変わりません。ポイントは、慣れの問題のみです。

今春から新しい仕事環境に変わった方も多いでしょう。新たにLibreOfficeを使い始める良いタイミングです。LibreOfficeを使うと、慣れ問題解消と同時に、PC文書作成ツールの良さ/悪さも判ります。

多様性が実感できます。

2024-04-13 追記:Microsoft検証済みアプリではありませんダイアログ対処

Microsoft検証済みアプリではありませんダイアログ対処
Microsoft検証済みアプリではありませんダイアログ対処

アプリインストール時、Microsoft検証済みアプリではありませんダイアログ表示時は、アプリ>アプリの詳細設定のアプリを入手する場所の選択を、「場所を選ばない」へ変更します。
デフォルト「Microsoft Storeのみ(推薦)」では、ストアアプリのみインストール可能です。



Windows 12 AIとNPU

Windows 12は、40TOPS以上のNPUが推薦要件になりそうです。TPM 2.0が、Win11アップグレード要件だったのと同様です。

クラウド電力不足解消のエッジAI半導体が、今年のPC CPUと組込みMCUのトレンドになりそうです。

40 TOPS以上NPUとは?

40TOPS以上のNPUは、かなり高性能PCやゲーミングPCを指す
40TOPS以上のNPUは、かなり高性能PCやゲーミングPCを指す

TOPS(Tera Operations Per Second)とは、1秒間に処理できるAI半導体の演算数です。

NPU(Neural Processing Unit)は、GPU(Graphic Processing Unit)処理の内、AI処理に特化した処理装置のことで、1TOPSなら1秒間に1兆回のAI演算が可能です。※GPU/NPUの違いは関連投稿参照。

例えば、GeForce RTX 3060クラスのGPUは約100TOPS、NPU内蔵最新Intel CPUは34TOPS、Apple M3は18TOPSの性能を持つと言われます。

つまり、40TOPS以上のNPU要件は、現状比、かなりの高性能PCやゲーミングPCを指します。

Windows 12のAI

現状のNPU処理は、Web会議の背景ぼかし、複数言語の同時翻訳、通話ノイズの除去など、主にローカルPCのリモート会議AI演算に使われます。COVID-19流行中のユーザ要望はこれらでした。

しかし、Microsoftが急速普及中のAIアシスタントCopilotは、PCユーザのAI活用を容易にし、AI関連処理はローカルNPUからクラウドデータセンターの利用へと変わりました。

AI活用がこのまま普及すると、世界のクラウド側電力不足は、避けられなくなります。このクラウド側対策が、電力効率100倍光電融合デバイスのNTT)光電融合技術です(関連投稿:IOWN)。

現状のままでは2030年に世界総電力10パーセント程度をデータセンターが占める(出典:NTT STORY)
現状のままでは2030年に世界総電力10パーセント程度をデータセンターが占める(出典:NTT STORY)

クラウドAI処理ではレスポンスも悪くなります。MicrosoftとIntelは、クラウド電力不足やタイムラグ対策に、ローカル(エッジ)AI PC、つまりNPU処理能力向上が、クラウドとエッジのAI処理分散になり重要と考えている、と筆者は思います。

組込みMCUのAI

AI活用や電力効率向上は、組込みMCUへも浸透しつつあります。

エッジAI MCUアプリケーションは、ポンプ異常検出、故障検出、顔認識、人物検出など広範囲に渡ります。

STマイクロは、次世代STM32MCU向けに18nm FD-SOIと相変化メモリを組み合わせた新プロセス技術を発表しました。これにより、従来比、電力効率50%以上、メモリ実装密度2.5倍、AI機能集積度3倍に向上します。量産は、2025年後半見込みです。

18nm FD-SOIと相変化メモリ技術を組み合わせた次世代STM32MCUプロセス(出典:STマイクロ)
18nm FD-SOIと相変化メモリ技術を組み合わせた次世代STM32MCUプロセス(出典:STマイクロ)

ルネサスは、組込み向け次世代AIアクセラレータを開発し、従来比、最大10倍の電力効率で高速AI処理を可能にしました。これにより、様々なエッジAI MCUアプリケーションに柔軟対応が可能です。

DRP-AIによる枝刈りAIモデルの高速化(出典:ルネサス)
DRP-AIによる枝刈りAIモデルの高速化(出典:ルネサス)

スマートフォンのAI

PCやMCUの一歩先を行くエッジAI活用が、現状のスマートフォン向けプロセサです。

顔認証や音声認識、スマホ写真の加工や暗い場所の撮影補正など、全てスマホ単独で、しかも高速AI処理を行っています。これらスマホの低電力高速AI処理に、NPU内蔵スマホプロセサが貢献しています。

PCは、スマホにない大画面を活かしたAI活用、MCUは、スマホ同様の低電力高速AI活用を目指しAI半導体を準備中なのが今年2024年と言えます。

Summary:AI半導体がPC/MCUトレンド

半導体は、供給に年単位の準備期間が必要です。最先端AI半導体であればなおさらです。

急速なAI活用や普及は、クラウド電力不足やユーザ要望変化をもたらし、解消にはハードウェアのエッジAI半導体が不可欠です。

PC/MCU業界は、どちらもAI半導体の安定供給に向け足並みを揃え準備中です。Microsoftが、ソフトウェアWindows 12提供を遅らせ、代わりにWin11 24H2としたのも足並み合わせのためと思います

足並みが揃った後のWindows 12推薦要件は、40 TOPS以上の高性能NPUになるかもしれません。
組込みMCUは、エッジAI活用と電力効率向上の新AI半導体製造プロセスに期待が高まっています。

PC、MCUどちらもAI半導体が2024年トレンドです。

Afterword:AI PC秘書/家庭教師

AI PC秘書と家庭教師イメージ
AI PC秘書と家庭教師イメージ

エッジAI PCのNPU性能が上がれば、秘書や家庭教師としてPCを活用できます。助けが必要な処理や不明な事柄は、AI PC秘書/家庭教師から得られるからです。2010年宇宙の旅のHAL 9000のイメージです。

AI PCがHAL 9000に近づけば、NPUがユーザ個人情報を学習し、ユーザ志向、能力レベル、癖などに基づいたAI回答を提供するでしょう。ブラウザが、ユーザ志向に沿った広告を表示するのと同じです。

個人情報は、セキュリティの点からクラウドよりも本来エッジPCが持つべきです。AI PCを秘書/家庭教師として活用する時は、個人情報を学習/保持する高性能NPUは必然だと思います。

TPMと似た性質をNPUも持つと言えます。40 TOPS以上のNPU必要性は、どの程度高度/高速なAI PC秘書/家庭教師を希望するかに依存します。個人的にはHAL 900は欲しいかな?

2024-04-06 追記:40 TOPS M.2生成AIアクセラレーションモジュール

HAILOからM.2フォームファクタへ追加できるWindows向け40 TOPS AIアクセラレータモジュールが発表されました。