CS+ for CC V3.02.00へのリビジョンアップトラブル

ルネサスツールニュース2015年10月16日号でCS+のリビジョンアップが発表されました。
CS+ for CA, CXは、問題なくリビジョンアップできますが、お使いのセキュリティソフトによってはCS+ for CCは、再インストールの可能性があります。

リビジョンアップ方法

リビジョンアップ内容は、Windows 10サポートや付属ツールの機能追加などです。アップデートは、アップデートマネジャの起動で行います。CS+ for CA, CXまたはCCのアップデートマネジャでダウンロードとインストールを実行すると、現状のCS+バージョンが最新版へリビジョンアップされます。

アップ後、適当なプロジェクトを開いて再ビルドし、「ビルド成功でリビジョンアップ完了」を確認します。

トラブル原因(推測)

トラブル原因は、恐らくセキュリティソフトAvast(最新無償版)とCS+ for CCの相性です。
これまでも何回かCS+リビジョンアップ後にAvastからワーニングメッセージが出力されたことがあり、その都度Avast側を調整し対処してきました。今回も対処しましたが残念ながら、CS+ for CCは再インストールとなりました。

また、別の原因としては、CS+ for CA, CXとfor CCの共通部と個別部のインストール順番の可能性もあります。CS+ for CCのみをインストールしており、このアップデートだけならトラブル無しかもしれません。

私の環境は、Windows 10 Pro/Home 64ビット版と無償Avastで、両方のCS+をインストールしており、対応デバイスはRL78のみです。この組合せ以外の方は無関係かもしれません。この方々は、トラブル内容と対策はスキップして、マーフィーの法則へジャンプしてください。

トラブル内容と対策

CS+ for CA, CXは、従来同様、何の問題もなく正常終了します。問題は、CS+ for CCです。

アップデートマネジャの正常終了後、旧プロジェクトを開くと、プロジェクト差分情報が出力されます。今回のリビジョンアップで「CC-RL関連の変更点」が、出力パネルに表示されます。この後、再ビルドすると、下記エラー(E)とワーニング(W)が表示されビルドが失敗しました。

(E)         E0511154            E0511154:CC-RLを構成するファイル” CS+\CC\CC-RL\V1.02.00\Bin\asrl.exe”が見つかりません。再インストールしてください。
(W)        W0511179           W0511179:この評価版は残り60日間有効です。

(W)発生は、ツールニュースに記載されており問題ありませんが、(E)は、再インストールしか解決手段がありません。CS+統合アンインストーラで該当分を選択アンインストール後、再度、最新CS+ for CC最新版V3.02をダウンロード&インストールが必要でした。

マーフィーの法則

別の処理で忙しい時に限ってこのようなトラブルになるのは、マーフィーの法則でしょうか?

OS:Windowsとセキュリティソフト、対応デバイスさらにハード構成も含めると、CS+の動作環境は、無限かもしれません。表記トラブルは、ノートPCと自作デスクトップPCの両方で発生しました。平常時のバックアップとリカバリの重要性を再認識させてくれる重大インシデントでした。

「別処理のやる気」を無くさせるのに十分な手間と時間がかかることには注意したいです…_| ̄|〇。

売れ筋RL78マイコン開発方法

ルネサス汎用MCUのラインアップカタログが更新されました。

売れ筋RL78/G1x MCU

カタログ記載のRL78ファミリラインアップに、2015年10月時点ルネサススタープロダクトのMCUに赤丸を付けました。売れ筋の汎用RL78/G1xが一目で解ります。

売れ筋RL78G1xリスト(汎用MCUラインアップカタログに加筆)
売れ筋RL78G1xリスト(汎用MCUラインアップカタログに加筆)

※スタープロダクトリスト自身は、5月30日のRL78マイコンテンプレートの方向性を検討時と変わっていません。また、LCD対応のRL78/L13は除いています。

無償CS+で開発できるROMサイズの64KBを超えるRL78/G13やG14もスタープロダクトですね。このサイズになると有償CS+が必要となり、それ自体で結構な値段がします。

ROM64KB超のマイコン開発方法

この場合は、処理を64KB以下になるように複数に分割し、無償CS+で分割処理毎に単体でデバッグを行った後に、最終的に1つに結合する方法がお勧めです。結合には、有償CS+1ライセンスが必要ですが、単体開発は無償CS+でできます。

ところが、結合段階になって、分割処理の作り方がバラバラで上手く結合できないことが良くあります。

この事態を避けるためにも、テンプレートは効果的です。単体デバッグ、処理追加/削除や結合を容易とするRAMインタフェースを用いた弊社RL78/G1xテンプレートは、無償/有償両方のCS+で動作します。64KBを超えるサイズのRL78開発にも、RL78/G1xテンプレートをご活用ください。

RL78マイコンコーステキスト、CC-RL表記でRev.2更新

Site Language

RL78マイコンコースのテキストがRev2.00へ更新されました(8/20ルネサスサポート情報 Vol.255)。

目次は、旧版Rev.1.30と全く同じです。どこが更新されたかは、P242の履歴を見ても、発行年月日の記載のみで解りません。内容を見ると、記載ソースが、CA78K0RからCC-RL変わっていました。

ルネサスが、マイコンハードウエアに「より重点」を置いて他社と差別化する方針ならば、コンパイラもCC-RLに統一されるでしょう。また、IDEもCS+から、Eclipseベースのe2 studioを使う日が来るかもしれません。

最近は、日本語対応の技術情報サイトが激減しています。また、Windows 10のCortanaも日本語対応は後回しです。e2 studioも、手間がかかる日本語ではなく、英語版のみもあるかもしれません。

ブログカテゴリ修正

マイコンのサブカテゴリを、6種のマイコンとIoT向けPCに修正しました。

ARM Cortex-M0+またはM0コアのマイコン、FreescaleのKinetisマイコン、NXPのLPCマイコン、ルネサスのRL78マイコンとR8Cマイコンです。
IoT向けのPCは、Windows 10 IoTコアを実装できるCPUボードを対象としました。

KinetisとLPCマイコンは、Cortex-M0+/M0マイコンと重複しています。
これは、Cortex-M0+/M0を重視したためで、このカテゴリから、今後新しいマイコンが発売されることを想定しています。

この基になった記事がコチラです。「Cortex-Mプロセッサを軸にしたARMのIoT戦略」の項で、市場早期対応にARMコア利用が優れていること、小さな実装面積と少ない電力要求のIoT市場にはCortex-M系が良く、Bluetoothなどの無線IPをSoC実装した新マイコン発表の可能性を示しています。

正式版がリリースされた無償Windows 10 IoTコアは、Wi-FiとBluetoothサポートなので、この新マイコンとの相性も良さそうです。

ブログ記事検索は、キーワード短縮表記をお使いください

カテゴリ修正に合わせて、過去の記事のタグ追加と修正も試みましたが、記事数が多いので断念しました。従って、記事の検索にタグを使うと、検索漏れが生じます。

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対策として、関連記事の検索は、「検索窓にキーワードの短縮表記」をお使いください。例えば、LPC812とLPC824の記事を検索するときは、“LPC8” を入力するなどです。タグ検索よりは遅いのですが、検索漏れは防げます。よろしくお願いいたします。

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マイコンIDE習得のポイント

Windows 10 Home Update制御

販売中のマイコンテンプレート説明資料は、テンプレートについて重点的に説明しています。しかし、ご購入者様から頂く質問には、テンプレート動作環境、つまりマイコンIDEに関するものも多くあります。
今回は、このマイコンIDE使い方のコツ、ポイントを説明します。

Windows 10発売を機に、皆さんは今新しいOSの機能や利用方法を習得中だと思います。マイコンIDEと、このWindows 10を関連付け解説を試みます。

マイコンIDEは、OSと考えるべし

Windows 10、旧Windows 7や8と比べると、新ハードウエアやネットワーク、セキュリティ対応に機能満載です。多くの設定項目がありますが、最初はデフォルト設定で動かすのが良いでしょう。慣れてくれば、設定をいろいろに変えて、自分好みにカスタマイズもできます。

マイコンIDEも同じです。IDEは、多くのマイコン機種、使用言語、デバッグ方法に対応できるよう多くの選択肢:プロパティを持ちます。ユーザマニュアルにも、多くのページを使ってプロパティの説明があります。しかし、IDEを使う時に、これら多くのプロパティを、全部知るのは無理ですし不要です。

Windowsと同じく最初はデフォルトで使用し、徐々にカスタマイズするのがIDEやOSなどの環境ソフトの使い方です。

初心者にとって、デフォルト設定でIDEが使えればありがたいのですが、多くのIDEは、中級~上級者へも対応する、いわば「初心者と中級者以上の二兎を追う方式」のため、多少のカスタム設定が必須です。
このカスタム設定が最も少ないのが、IDEベンダ提供の標準評価ボードを使ったマイコン開発時です。弊社テンプレートが、この評価ボードで動作確認しているのもこのためです。

  • マイコンIDEのプロパティ設定が多いのは、しょうがない。
  • カスタムプロパティ設定の少ないIDE+標準評価ボードが、マイコン初心者には適す。

マイコンIDEの使い方ポイント

使用するマイコン、開発言語(C/C++ または アセンブラなど)、IDE(コンパイラやデバッガなどの開発環境)は選定済みとします。この時のIDE設定手順が下記です。3段階から構成されます。

マイコンIDE設定手順
マイコンIDE設定手順

IDEへ使用マイコンとデバッガなどの環境ツール設定が、最初の段階です。ここでは、Rapid Application Development: RADツールを使用するか否かなども選択肢になります。MCU:マイコン本体クロック設定と周辺回路の設定が、次の第2段階です。最後が、IDEが出力したスケルトンソースへ、ユーザソースを追加し、ビルド&ボードデバッグを繰り返し行い、アプリケーションを完成させます。

ポイント1:IDE生成スケルトン理解

直ぐにユーザソースを追記したい気持ちは解ります。しかし、使用するRADツールに応じてIDEが生成するスケルトンが異なることがよくあります。例えば、FreescaleのKinetis Design Studioの場合、RADツールにProcessor Expertを選ぶ場合と、Kinetis Software Development Kitを選ぶ場合とでは、スケルトンが異なります。ルネサスのCS+でも、コード生成の有無でスケルトンは全く異なります。

先ず、IDEが生成する「スケルトン動作を把握することが最重要」です。このために、RAD選択肢を変えることも必要でしょう。殆どのIDEの場合、第2段階のMCUクロックは、デフォルトで安全動作周波数に設定済みです。従って、周辺回路なしでも生成されたスケルトンコードでボードデバッグができます。

スケルトン動作把握とは、「マイコン電源投入後、順番にどの処理を行い、main()を呼出しているか、次に、割込み処理の記述はどこで行っているかを知ること」です。

main()呼出しまでの処理(スタートアップ処理)は、MCU動作クロックを変更する場合などを除けば、大体把握できればOKです。また、マイコン機種による違いも少ないです。

一方、割込み処理記述は、使用マイコンやIDEにより様々です。経験的に、IDEと標準評価ボードの組合せで用いる記述方法が、解りやすさや柔軟性に優れます。素直に、この方法でユーザ処理を追加することをお勧めします。

  • IDE生成スケルトンは、使用RADツールにより異なる。
  • 生成スケルトンの動作を把握することが最重要。

ポイント2:デバッガ接続

最初は、MCUクロックはデフォルト設定、周辺回路なし、スケルトンコードのみでビルドします。このビルドは、IDE生成分のみですので100%成功するハズです。

問題は、デバッガ接続です。

IDEがサポートするデバッガは、通常4~6種類もあります。デバッガに応じてさらに詳細設定が必要ですので大変です。ここは、ユーザマニュアルの「対応デバッガ部分のみ」を注意深く読んで、設定する必要があります。ユーザマニュアルが分厚いのは、このように対応種類が多いためです。使用するデバッガのみに絞って読めば、恐れるに足りません。

IDEとデバッガを接続後、ビルド出力をボードへダウンロードし、デバッガで動作確認します。何もユーザ処理を追加していない時の動作、例えばスタートアップ処理後のRAMクリア状態などが確認できます。

ユーザ処理は追加していませんが、これでIDEの処理全体を一通り試すことができます。

  • IDEとデバッガ接続は、ユーザマニュアルの対応部分を拾い読み。
  • 最初のビルドは、スケルトンコードのみでデバッガ接続しIDE全体処理を体験。

ポイント3:サンプルソフトAPI利用例を活用

スケルトンは、骨組みです。この骨組みに、ユーザ処理を追記すれば、アプリケーションが完成します。

骨組みには、IDEが使用周辺回路に応じてライブラリを生成します。このライブラリへのインタフェースがAPIです。IDEの役割は、APIの中身を作ることです。

ユーザソースは、このAPIの使用順序を記述するのみと考えても良いです。少し前までは、このライブラリもユーザが開発していました。しかし最近は、ライブラリはベンダが提供します。ベンダ提供ライブラリを使えば、ユーザソースは、API使用順序のみですので、移植性やメインテナンスも楽です。

APIの使用法は、これも分厚いAPIレファンスマニュアルに記述されています。しかし、真面目にこれを読む前にサンプルソフトを参照します。典型的な周辺回路APIの使い方、これがサンプルソフトです。サンプルに出てくるAPIのみをレファレンスマニュアルでチェックすれば十分です。サンプルソフトの選び方は、コチラを参照ください。

  • IDEは、スケルトンと、使用周辺回路に応じたAPIを生成。
  • サンプルソフトを参照し、典型的なAPIの使い方を学ぶ。

まとめ

多くのプロパティがあり、付属マニュアルも厚いので取っ付きにくいマイコンIDEですが、ここで示した方法を用いれば、早く効果的にIDEを習得できます。

具体的な話が少ないので、皆様のお叱りを受けそうですが、少しでもご参考になれば幸いです。

* * *

Windowsには、様々なTipsがあります。各マイコンIDEのTipsも少なからずありますが、ここでは個々のIDEによる違いは無視して説明しました。実は、IDEで差が生じるのはRADです。RADに対しては、初心者の方は、少し力を入れてマニュアルを読む必要があるかもしれません。
但し、これも必要な周辺回路の箇所のみを拾読みすれば、事足ります。分厚いマニュアルは、読む箇所を間違わないように、拾読みで対処しましょう。

Windows 10 Home UpdateコントールTips

マイコンIDEで具体例が無かった代わりのTipsです。
Windows 10 HomeでOS Updateをユーザが制御できない問題に対し、フリーソフト: Winaero Tweakerが役立つかもしれません。Technical Preview対応ですが、製品版にも使えそうです。

Windows 10 Home Update Control
Windows 10 Home Update Control

速報 Windows10 Homeで各社マイコンIDE起動確認

Windows10 Home
Windows10 Home
Wnidows10で動作中の各社マイコンIDE
Wnidows10で動作中の各社マイコンIDE

7月29日から配布開始されたWindows10 Homeで、ルネサスCS+、NXP LPCXpresso、フリースケールKDSの各社マイコンIDE起動を確認しました。

予約後、順次Windows10へのUpdateが開始されています。私のノートPC:Windows8.1無印64bit版が、無事Windows10 HomeへとUpdateされました。早速、各社のマイコンIDEを起動しましたが、問題なく動作しています。今のところ。

Windows8の時と比べると、問題が少ない感じがします。他の開発PC:Windows 7 UltimateとWindows8.1 Proは、Updateを遅らせ様子をみる予定でしたが、この感じだと全てUpdateしても良さそうです。

Windows10 HomeはUpdateをコントロールできない

Windows10 Homeは、Windows自身のUpdateタイミングをユーザがコントロールできません。コントロールパネルにWindows Updateが無いのです。意識しなくても自動的に常に最新Windowsが使える反面、更新による既存アプリの動作トラブルリスクもはらんでいます。

リスク回避には、Windows10 Pro以上の版に備わるUpdateタイミングコントロールが必要です。しかし、結局、最新OSで正常に動くことがWindowsアプリには要求されるでしょう。Windows10アプリ開発は、これまで以上に大変そうだと感じるのは私だけでしょうか? 各社のIDE開発担当者の負担は、増える一方です。

EclipseベースのIDEが増えつつあるのは、こうした背景があるのかもしれません。ルネサスのCS+は、独自開発の使い易いIDEですが、Eclipseベースのe2 Studioも視野に入れる必要があるかもしれません。

RL78開発、CC-RL化の薦め

ルネサスサポート情報

2015年7月17日のルネサスポート情報Vol.252を観ると、RL78ソフト開発は、CC-RLコンパイラへの切換えが必要なことが判ります。

今回リリースのRL78アプリケーションノートは、CS+はもちろん、Eclipseベースのe2 StudioもCC-RLコンパイラを使ったもので占められているからです。

アプリ&サンプルコードの状況

RL78/G13に絞ったアプリ&サンプルコード検索結果を、発行日降順に示します。新しいものは、どれもCC-RLコンパイラ版です。内容は、どれもCA78K0Rコンパイラのリメイク版ですので、プロジェクトファイルにCA78K0Rは含まれていません。

アプリケーション&サンプルコード検索
アプリケーション&サンプルコード検索

CA78K0Rコンパイラへの拘りは禁物

ソフト開発者には、気になるコンパイラですが、ソフト利用者(顧客)は、同じ機能ならコンパイラがCC-RLでもCA78K0Rでも構いません。例え顧客側で開発ソフト/アプリをメンテする場合でも、IDEとコンパイラが対(ペア)で最新版に対応できれば、問題なしの場合が殆どです。

開発アプリと開発環境(IDE/コンパイラ)をセットでメンテする場合に役立つのが、CS+のプロジェクトと開発ツールをパックして保存(K)です。しかし、今年のようにWindowsが更新されたりすると、旧環境では、環境自身の動作リスクも生じます。そこで、開発アプリのみを活かして、環境は最新版への対応を求める顧客が多いのです。

プロジェクトと開発ツールをパックして保存
プロジェクトと開発ツールをパックして保存

現状はCA78K0Rリメイク版でも、今後の新規サンプルは、CC-RL版のみリリースということも想定されます。開発者は、今のうちにCC-RLへ慣れておくことが重要です。また、初心者ならば、初めからCC-RLのみのRL78習得も良いでしょう。

顧客にとって重要なのは、開発したアプリそのものです。先々のメンテも考慮すると、CA78K0Rよりも息が長そうなCC-RL記述でアプリを開発する方が良いと思います。

RL78/G1xテンプレートの対応

ちなみに、弊社RL78/G1xテンプレートのCC-RL版は、CC-RL記述のみでソース作成しておりますが、過渡期なのでCA78K0R記述も混在できるようCS+のオプション設定しております。詳しくは、コチラを参照ください。設定オプションを「いいえ」にすれば、CC-RL記述のみのコンパイルも成功します。

RL78/G10テンプレート開発最終回:RL78/G1xテンプレートVer5発売

QB-R5F10Y16-TBボードで動作中のTinyテンプレート

ROM/RAM=2KB/256Bまたは4KB/512BのRL78/G10

売れ筋RL78/G10マイコン2種
売れ筋RL78/G10マイコン2種

2015年6月現在、入手性が良く低価格なRL78/G10マイコン、2品種を示します。

RL78/G13やRL78/G14と比較すると、ROM/RAMがかなり小さくIOピン数も少ないことが判ります。データフラッシュはありません。10ピンのR5F10Y16(最初の写真)は、2015年6月現在、Star Productです。

そこで、S2/S3コア用RL78/G13やG14のRL78/G1xテンプレートを、S1コアRL78/G10向けに改良し、21%小さいサイズのTinyテンプレートを開発、S2/S3コア版テンプレートにS1コアもカバーするRL78/G1xテンプレートVer5として発売します。テンプレートは、全てC言語です。

Tinyテンプレート

ROM/RAMが小さいRL78/G10では、テンプレート自身もサイズが小さい方が適します。
S2/S3コアのテンプレート機能から、重複機能を削除したS1コア向けのTinyテンプレート概要を示します。ROM/RAM数値は、テンプレートのみのサイズです。ROMは、PROGRAM SECTIONのサイズ(Tips参照)です。

テンプレート実装機能 S2/S3コア向けテンプレート
ROM/RAM
使用量=439/8バイト
S1コア向けTinyテンプレート
ROM/RAM
使用量=345/6バイト
周辺機能のStartAPI起動 実装 実装
ドライバ関数起動 実装 実装
アプリ関数起動 実装 削除
HALT起動 実装 実装
メイン暴走監視 実装 削除
周期割込み暴走監視 実装 削除
WDTリセット 実装 実装
マニュアルリセット 実装 実装

 

Tinyテンプレートは、アプリ/ドライバを区別せず全てドライバ関数起動で起動し、アプリ関数起動は削除しました。また、アプリ暴走監視や周期割込み暴走監視も、WDT満了でカバーできるので削除しました。

このTinyテンプレートは、S1コア専用ではなく、従来テンプレートの代わりにS2/S3コアのRL78/G13やG14へ使うことも可能です。むしろ実装機能を整理した結果、より解り易いテンプレートになりました。このTinyテンプレートCソースを読んだ後に従来テンプレートCソースを読むと、テンプレート理解が容易になります。

RL78-S1/S2/S3全コア対応RL78/G1xテンプレートVer5発売

RL78/G1xテンプレートにこのTinyテンプレートを追加し、RL78/G1xテンプレートVer5として発売します。ご購入方法は、コチラをご覧ください。Ver5は、RL78-S1/S2/S3コア全てに対応したRL78/G1xテンプレートになりました。

QB-R5F10Y16-TBボードで動作中のTinyテンプレート(1秒毎にLED点滅、SW1押下げでトグル動作)
QB-R5F10Y16-TBボードで動作中のTinyテンプレート(1秒毎にLED点滅、SW1押下げでトグル動作)

RL78/G1xテンプレートご購入者様で、無償Ver. UP権をお持ちの方へは、本日より10日以内にVer5をメール発送いたします。メール発送まで、しばらくお待ちください。

 * * *

RL78/G10 Tips

RL78マイコンで唯一のS1コア:RL78/G10は、S2/S3コアのRL78/G13やG14と異なり8ビットマイコンです。ルネサスは、コア差をあまり強調しませんが、いくつかの差が生じますのでこれに関するTipsを示します。

S1コア用スタートアップ

S1コアのスタートアップは、RAM全体を区別せずに全て0で初期化します(ハードウエアマニュアル8.2.9)。

RL78/G10のCS+ for CCは、cg_srcフォルダを自動生成

CS+の生成ファイル
CS+の生成ファイル

フォルダ構成は、RL78/G10時のみ他のRL78/G13やG14と異なります。

セクションサイズ

前回ブログのCC-RLリンクオプションプロパティで設定したセクション合計サイズ出力と、ROM/RAMの関係を示します。

  • RAMDATA SECTION:16進数 Byte(s)…RAM使用量
  • ROMDATA SECTION:16進数 Byte(s)…ベクタテーブルなどのROM使用量(固定配置)
  • PROGRAM SECTION:16進数 Byte(s)…作成プログラムのROM使用量(コード生成分含む)

ROMDATA SECTIONは、0hからCEh番地にデバッグ・モニタ領域10バイトを加えた、0hからD7h番地の範囲に固定配置されます。プログラムで使えるROMは、この固定領域216バイトを引いた残り分です。

従って、RAMDATA  SECTION ≦ 0x100/200 (256/512)Byte、 PROGRAM SECTION ≦ 0x728/F28 (1832/3880) Byteが必須条件です。

RL78コンパイラコーステキスト(CC-RL対応)改版

RL78コンパイラコーステキストRev.1.00(CC-RLコンパイラ対応)が、Rev.1.01へ改版されました(2015年6月25日のルセサスサポート情報 Vol.249より)。

旧版との差

目次を比較すると、第3章 効率アップ手法の3.4~3.8のみが増えたように見えますが、そのほかにも全章にわたって多くの細かい修正があります。

新旧CC-RLコンパイラテキスト比較
新旧CC-RLコンパイラテキスト比較

PDF比較ツール

こんな時は、2つのPDFを比較し、異なる個所をハイライト表示してくれるフリーウエア:DiffPDFが便利です。

マニュアル自動生成ツール

マニュアルやテキスト作成は、その対象者選びがポイントです。

RL78コンパイラコーステキストは、全ての対象者向けの教科書ですから、間違いは許されないでしょう。CC-RLコンパイラは、適宜改版されるでしょうから、テキストが追い付くのも大変です。マニュアル自動生成ツール???が実現できると助かるのでしょうが…。

RL78/G10テンプレート開発2回目:サンプルソフト問題

前回、初心者が起こしがちなRL78/G10ソフト開発時の2つのつまずき

  • 第1つまずき:CS+設定パラメタの多さ
  • 第2つまずき:サンプルソフトが実務ソフトにそのまま使えないこと

を示し、第1の対策に、パラメタ設定を示しました。今回は、第2つまずき具体例と、弊社テンプレートの対策を示します。

R01AN2668JJ0100をC言語へ

サンプルソフトは、RL78/G10初期設定CC-RL R01AN2668JJ0100(アセンブラ記述)を、C言語で書直したものを使います。2015年6月時点で、適当なC言語サンプルソフトが見当たらないからです。

ルネサス提供サンプルソフト R01AN2668JJ0100
ルネサス提供サンプルソフト R01AN2668JJ0100

処理概要を示します。

初期設定(アプリノートより抜粋)
初期設定(アプリノートより抜粋)

前回作成したソースコードは、メイン処理に何も追加していないものに相当します。これに、アプリケーションノートPage23の図4.5 メイン処理フローチャートに沿ってC言語でSW入力とLED出力処理を追加したものが下記です。

C言語書直しのメイン処理
C言語書直しのメイン処理

Cソース追加後、コンパイル:F7 → ボードダウンロード:F6 → 実行:F5を行いQB-R5F10Y16-TBボードで動作させてください。アセンブラ記述と同じSWを押すとLED1(黄)が点灯し、離すと消灯の動作がボードで確認できます。

サンプルソフトに処理追加

このサンプルソフトに、さらに別処理を追加することを考えます。例えば、圧電サウンダを1秒毎にピッと鳴らすなどです。実務ソフトでは、良くある事柄です。

QB-R5F10Y16-TBボードに圧電サウンダを追加するのは面倒ですので、代りにボードのLED1を1秒毎に点滅させる処理を追加します。もちろん、実装したSWとLED1点灯サンプルソフト処理は、そのままで追加します。

LEDを1秒毎に点滅させるフローチャートは、下記です。問題は、実装済みサンプルソフトに、これをどうやって追加するかです。

追加LED点滅処理
追加LED点滅処理

サンプルソフト問題点:処理追加が困難

マイコンで複数の処理を行う方法、それは「時分割処理」です。オペレーティングシステム:OSを使ったとしても、この時分割処理の手法は同じです。
ある時間は処理1を、別のある時間は処理2を、別けて実行するのが時分割処理です。この分割を、早く細かく行うことで処理を仮想的に並列実行します。イメージとしては、こんな具合です。

マイコンの時分割メイン処理イメージ
時分割メイン処理イメージ

サンプルソフトは、「1つのサンプル処理」を説明するためのソフトです。従って、別処理追加の必要がありません。これが、サンプルソフトが時分割処理を持たない理由です。
サンプルソフトが実務ソフトとしてそのまま使えない理由も、この処理追加の概念が無いからです。
実務ソフトは処理が複数あり、かつ、処理の追加/削除が発生するので、処理の独立性や、追加/削除が容易なことが求められます。

実務ソフトの骨組マイコンテンプレート

マイコンテンプレートは、この時分割処理と、処理独立、追加/削除が容易となる仕組みを持っています。
テンプレートに組込んだフローチャートは下図になります。青がテンプレートです。

マイコンテンプレートのメインフローチャート
テンプレートのメインフローチャート

テンプレートでは、サンプルソフトのSW入力とLED出力も時分割起動します。これは、SWチャタリング対策を行うためです。この対策後のSW状態をSW1_RAMへ保存し、LED出力は、このSW1_RAM値でON/OFF制御します。
SW1_RAMを使うことで、処理独立性が高まります。例えば、LED点灯の代わりに、ブザー音出力などの追加/変更も簡単になります。出力側を変更しても、SW入力側の処理は変わりません。

複数処理と処理独立性を提供する実務ソフトの骨組がテンプレートです。
例えると、パソコンのランチャーソフトに近いです。ランチャーは起動のみですが、テンプレートは、さらにランチされたアプリケーション同志がRAM経由で情報をやり取りすると思ってください。

テンプレート応用例:シンプルテンプレート

簡単なテンプレートの応用例として、ここで示したSWとLEDの実務ソフトをシンプルテンプレートと名付けRL78/G1xテンプレートに添付します。
※シンプルテンプレートは、全ての弊社テンプレートに添付しており、各マイコン対応のCPUボードでハード追加なしに動作します。

テンプレートを使えば、第2のつまずきも回避できます。サンプルソフトを見つけ、テンプレートへ必要部分の処理を肉付けし、RAMを処理間に使えば、拡張や変更に対応できる実務ソフトが完成です。

テンプレートを使ったアプリケーションの開発方法は、コチラのページにも詳しくまとめていますので参考にして下さい。

* * *

RL78/G10テンプレート開発の2回目は、サンプルソフト問題対策としてテンプレートの仕組みを示しました。
次回は、小ピンマイコンRL78/G10特有の問題、RL78/G13やG14と比較するとROM/RAMが少ないことへのテンプレート対処を示します。