マイコンIDE習得のポイント

Windows 10 Home Update制御

販売中のマイコンテンプレート説明資料は、テンプレートについて重点的に説明しています。しかし、ご購入者様から頂く質問には、テンプレート動作環境、つまりマイコンIDEに関するものも多くあります。
今回は、このマイコンIDE使い方のコツ、ポイントを説明します。

Windows 10発売を機に、皆さんは今新しいOSの機能や利用方法を習得中だと思います。マイコンIDEと、このWindows 10を関連付け解説を試みます。

マイコンIDEは、OSと考えるべし

Windows 10、旧Windows 7や8と比べると、新ハードウエアやネットワーク、セキュリティ対応に機能満載です。多くの設定項目がありますが、最初はデフォルト設定で動かすのが良いでしょう。慣れてくれば、設定をいろいろに変えて、自分好みにカスタマイズもできます。

マイコンIDEも同じです。IDEは、多くのマイコン機種、使用言語、デバッグ方法に対応できるよう多くの選択肢:プロパティを持ちます。ユーザマニュアルにも、多くのページを使ってプロパティの説明があります。しかし、IDEを使う時に、これら多くのプロパティを、全部知るのは無理ですし不要です。

Windowsと同じく最初はデフォルトで使用し、徐々にカスタマイズするのがIDEやOSなどの環境ソフトの使い方です。

初心者にとって、デフォルト設定でIDEが使えればありがたいのですが、多くのIDEは、中級~上級者へも対応する、いわば「初心者と中級者以上の二兎を追う方式」のため、多少のカスタム設定が必須です。
このカスタム設定が最も少ないのが、IDEベンダ提供の標準評価ボードを使ったマイコン開発時です。弊社テンプレートが、この評価ボードで動作確認しているのもこのためです。

  • マイコンIDEのプロパティ設定が多いのは、しょうがない。
  • カスタムプロパティ設定の少ないIDE+標準評価ボードが、マイコン初心者には適す。

マイコンIDEの使い方ポイント

使用するマイコン、開発言語(C/C++ または アセンブラなど)、IDE(コンパイラやデバッガなどの開発環境)は選定済みとします。この時のIDE設定手順が下記です。3段階から構成されます。

マイコンIDE設定手順
マイコンIDE設定手順

IDEへ使用マイコンとデバッガなどの環境ツール設定が、最初の段階です。ここでは、Rapid Application Development: RADツールを使用するか否かなども選択肢になります。MCU:マイコン本体クロック設定と周辺回路の設定が、次の第2段階です。最後が、IDEが出力したスケルトンソースへ、ユーザソースを追加し、ビルド&ボードデバッグを繰り返し行い、アプリケーションを完成させます。

ポイント1:IDE生成スケルトン理解

直ぐにユーザソースを追記したい気持ちは解ります。しかし、使用するRADツールに応じてIDEが生成するスケルトンが異なることがよくあります。例えば、FreescaleのKinetis Design Studioの場合、RADツールにProcessor Expertを選ぶ場合と、Kinetis Software Development Kitを選ぶ場合とでは、スケルトンが異なります。ルネサスのCS+でも、コード生成の有無でスケルトンは全く異なります。

先ず、IDEが生成する「スケルトン動作を把握することが最重要」です。このために、RAD選択肢を変えることも必要でしょう。殆どのIDEの場合、第2段階のMCUクロックは、デフォルトで安全動作周波数に設定済みです。従って、周辺回路なしでも生成されたスケルトンコードでボードデバッグができます。

スケルトン動作把握とは、「マイコン電源投入後、順番にどの処理を行い、main()を呼出しているか、次に、割込み処理の記述はどこで行っているかを知ること」です。

main()呼出しまでの処理(スタートアップ処理)は、MCU動作クロックを変更する場合などを除けば、大体把握できればOKです。また、マイコン機種による違いも少ないです。

一方、割込み処理記述は、使用マイコンやIDEにより様々です。経験的に、IDEと標準評価ボードの組合せで用いる記述方法が、解りやすさや柔軟性に優れます。素直に、この方法でユーザ処理を追加することをお勧めします。

  • IDE生成スケルトンは、使用RADツールにより異なる。
  • 生成スケルトンの動作を把握することが最重要。

ポイント2:デバッガ接続

最初は、MCUクロックはデフォルト設定、周辺回路なし、スケルトンコードのみでビルドします。このビルドは、IDE生成分のみですので100%成功するハズです。

問題は、デバッガ接続です。

IDEがサポートするデバッガは、通常4~6種類もあります。デバッガに応じてさらに詳細設定が必要ですので大変です。ここは、ユーザマニュアルの「対応デバッガ部分のみ」を注意深く読んで、設定する必要があります。ユーザマニュアルが分厚いのは、このように対応種類が多いためです。使用するデバッガのみに絞って読めば、恐れるに足りません。

IDEとデバッガを接続後、ビルド出力をボードへダウンロードし、デバッガで動作確認します。何もユーザ処理を追加していない時の動作、例えばスタートアップ処理後のRAMクリア状態などが確認できます。

ユーザ処理は追加していませんが、これでIDEの処理全体を一通り試すことができます。

  • IDEとデバッガ接続は、ユーザマニュアルの対応部分を拾い読み。
  • 最初のビルドは、スケルトンコードのみでデバッガ接続しIDE全体処理を体験。

ポイント3:サンプルソフトAPI利用例を活用

スケルトンは、骨組みです。この骨組みに、ユーザ処理を追記すれば、アプリケーションが完成します。

骨組みには、IDEが使用周辺回路に応じてライブラリを生成します。このライブラリへのインタフェースがAPIです。IDEの役割は、APIの中身を作ることです。

ユーザソースは、このAPIの使用順序を記述するのみと考えても良いです。少し前までは、このライブラリもユーザが開発していました。しかし最近は、ライブラリはベンダが提供します。ベンダ提供ライブラリを使えば、ユーザソースは、API使用順序のみですので、移植性やメインテナンスも楽です。

APIの使用法は、これも分厚いAPIレファンスマニュアルに記述されています。しかし、真面目にこれを読む前にサンプルソフトを参照します。典型的な周辺回路APIの使い方、これがサンプルソフトです。サンプルに出てくるAPIのみをレファレンスマニュアルでチェックすれば十分です。サンプルソフトの選び方は、コチラを参照ください。

  • IDEは、スケルトンと、使用周辺回路に応じたAPIを生成。
  • サンプルソフトを参照し、典型的なAPIの使い方を学ぶ。

まとめ

多くのプロパティがあり、付属マニュアルも厚いので取っ付きにくいマイコンIDEですが、ここで示した方法を用いれば、早く効果的にIDEを習得できます。

具体的な話が少ないので、皆様のお叱りを受けそうですが、少しでもご参考になれば幸いです。

* * *

Windowsには、様々なTipsがあります。各マイコンIDEのTipsも少なからずありますが、ここでは個々のIDEによる違いは無視して説明しました。実は、IDEで差が生じるのはRADです。RADに対しては、初心者の方は、少し力を入れてマニュアルを読む必要があるかもしれません。
但し、これも必要な周辺回路の箇所のみを拾読みすれば、事足ります。分厚いマニュアルは、読む箇所を間違わないように、拾読みで対処しましょう。

Windows 10 Home UpdateコントールTips

マイコンIDEで具体例が無かった代わりのTipsです。
Windows 10 HomeでOS Updateをユーザが制御できない問題に対し、フリーソフト: Winaero Tweakerが役立つかもしれません。Technical Preview対応ですが、製品版にも使えそうです。

Windows 10 Home Update Control
Windows 10 Home Update Control

速報 Windows10 Homeで各社マイコンIDE起動確認

Windows10 Home
Windows10 Home
Wnidows10で動作中の各社マイコンIDE
Wnidows10で動作中の各社マイコンIDE

7月29日から配布開始されたWindows10 Homeで、ルネサスCS+、NXP LPCXpresso、フリースケールKDSの各社マイコンIDE起動を確認しました。

予約後、順次Windows10へのUpdateが開始されています。私のノートPC:Windows8.1無印64bit版が、無事Windows10 HomeへとUpdateされました。早速、各社のマイコンIDEを起動しましたが、問題なく動作しています。今のところ。

Windows8の時と比べると、問題が少ない感じがします。他の開発PC:Windows 7 UltimateとWindows8.1 Proは、Updateを遅らせ様子をみる予定でしたが、この感じだと全てUpdateしても良さそうです。

Windows10 HomeはUpdateをコントロールできない

Windows10 Homeは、Windows自身のUpdateタイミングをユーザがコントロールできません。コントロールパネルにWindows Updateが無いのです。意識しなくても自動的に常に最新Windowsが使える反面、更新による既存アプリの動作トラブルリスクもはらんでいます。

リスク回避には、Windows10 Pro以上の版に備わるUpdateタイミングコントロールが必要です。しかし、結局、最新OSで正常に動くことがWindowsアプリには要求されるでしょう。Windows10アプリ開発は、これまで以上に大変そうだと感じるのは私だけでしょうか? 各社のIDE開発担当者の負担は、増える一方です。

EclipseベースのIDEが増えつつあるのは、こうした背景があるのかもしれません。ルネサスのCS+は、独自開発の使い易いIDEですが、Eclipseベースのe2 Studioも視野に入れる必要があるかもしれません。

NXPのFreescale買収、株主承認取得

NXPによるFreescaleの買収に進展があり、7月2日株主承認が得られました。後は、規制当局の承認を得て、予定通り今年の終わりまでに完了するようです。

気になる両社のCortex-M0/M0+マイコンの今後については、未だ不明確です。
個人的には、統合開発環境IDEは、NXPのLPCXpresso、Rapid Application Development : RADツールは、FreescaleのProcessor Expertが好みなので、折衷的なIDEができると嬉しいです。両社同じEclipseベースIDEですが、異なります。

ルネサスの新マイコン:Renesas Synergy MCUも、EclipseベースIDE(E2Studio?)でARM Cortex-M0+/M3/M4コアと予想しています。この新マイコンの詳細発表は2015年4Qで、NXP買収完了とほぼ同じタイミングです。

LPCXpressoにTerminate, Build and Debugボタン追加

Terminate, Build and Debug Button
Terminate, Build and Debug Button

LPCXpressoが7.7.2 (build 379)に更新され、Terminate, Build and Debugボタンが新たに追加されました。

デバッグ中にソース修正を加えた場合、一旦デバッガ接続を切り離した:Terminateボタン後、Buildボタン→Debugボタンを押していた従来方法が、このボタン1個でできるように改善されました。

CypressとSpansion合併

2015年3月15日、Spansionは、Cypressと合併しました。

ARMコアでプログラマブルなアナログ周辺回路が特徴のCypressと、自動車/産業機器に強いシェアをもつSpansion、「新生Cypressは、車載、産業機器、民生機器、ウェアラブル端末、IoTなどの世界市場でシェアを拡大すべく、組み込みプロセッサやメモリの製品ポートフォリオの拡充を図っていく」とのことです。

ARMマイコン業界も数年前の自動車業界と同様、会社規模の集約化が進んでいくのでしょうか?  NXPとFreescale合併後、ARM Cortex-M0/M0+の製品ポートフォリオの変化の有無が気になる今日この頃です。

マイコンテンプレート活用のアプリケーション開発(後半)

マイコンテンプレートを使ったアプリケーションの開発方法(後半)は、手順4:サンプルソフトのテンプレートへの組込みとデバッグ、複数サンプルが同時に動くしくみを解説します。

アプリケーション開発手順(再掲)

アプリケーション完成までの手順1~3の詳細は、(前半)に記述済みです。

  1. 対象動作の明確化
  2. サンプルソフト獲得
  3. サンプルソフトを初期設定とループ処理の2つに分けて解読し、部品化
  4. 部品のサンプルソフトをテンプレートへ組込み、デバッグ

サンプルソフトとテンプレートの構造

サンプルソフトを組込んだテンプレート構造
サンプルソフトを組込んだテンプレート構造

ルネサスのRL78/G13アプリケーションノート:R01AN0451JJ0301をサンプルソフトにした例で説明します。サンプルソフトは、初期設定とループ処理から成ります。hdwinit()が初期設定、main()がループ処理です。このアプリノートでは、無限ループ内でスイッチ入力:P0と、LED出力:P1を同時に行っています。詳細は、R01AN0451JJ0301を参照して下さい。

サンプルソフトのループ処理
サンプルソフトのループ処理

このサンプルをテンプレートへ組込んだテンプレート構造が右側です。テンプレートでは、スイッチ入力処理と、LED出力処理は、別々に起動します。このテンプレート構造から、これら以外の別サンプルN処理や、割込み起動のサンプルX/Y処理が追加可能なことが判ります。例えば、ブザ音の発生処理などをここへ追加すると、簡単に処理の追加ができます。
つまり、テンプレートは、「複数処理を起動する仕組みを、初めから持っている」のです。ここがサンプルソフトと最も異なる点です。
スイッチ入力とLED出力を分離したのは、スイッチの入力スキャンタイミングを、チャタリング対応で簡単に変更することが目的です(補足参照)。

テンプレートに付属している「シンプルテンプレート」が、このスイッチ入力とLED出力を組込んだテンプレートに相当します。また、更に、LCD表示やI2C入出力などの、組込みマイコンに必要となる処理をほぼ全て加え、完成形の形にしたのが、「メニュードリブンテンプレート」です。

マイコンテンプレートの仕組み

  • サンプル初期設定は、丸ごとそのままテンプレート初期設定へ流用 → 複数サンプルの初期設定は、挿入順にそのまま実行
  • 時分割で複数の無限ループ生成 → サンプルの起動関数追加により、複数処理を実行
  • サンプル割込み処理は、そのままテンプレート割込み処理へ流用 → 複数の割込み処理時は、割込み優先順位に注意
  • 関数の引数は、インタフェースRAM経由 → 関数入出力確認がRAMでできるので、単体/結合デバッグ、処理の部品化が容易

インタフェースRAMのメリットは明らかです。例を示します。上記テンプレートに、スイッチに応じてブザ音発生処理を追加するとします。

スイッチ入力処理で、スイッチ入力結果をRAMへ出力します。ブザ音発生処理は、このRAMを参照し、音を発生させます。RAMインタフェースを使えば、どちらの処理もRAMで動作が分離され、そのRAM値により処理が正しく動作しているかが解ります。RAM値は、デバッガで変更やモニタもできますので、処理単体デバッグが簡単です。仮に、片方の処理が未完成であっても、RAM設定/モニタで結合デバッグもできます。

ブザ音処理の追加前と後で、スイッチ入力処理には影響が無いことも判ります。つまり、処理の部品化も可能です。

割込み処理は、優先順位に注意が必要です。テンプレートは、時分割ループ生成のために、SysTickタイマと呼ばれるタイマを使います(その名が示すように、システムのチックタック動作タイマ)。SysTickタイマの割込み優先順位は高く、サンプルで割込み処理が使われても、このSysTickタイマよりは低い優先順位です。

注意が必要なのは、複数サンプルの割込み処理をテンプレートへ追加する場合です。割込みには、デフォルト優先順位があります。このデフォルト順位で処理できるか、変更が必要かの検討が必要です。
デフォルト順位でOKなら、そのままテンプレートへ流用します。変更する場合は、マイコンに依存しますので、データシートを参照して順位を変更してください。

RL78/G1xタイマの検討優先順位設定に関しては、過去のブログ記事を参照してください。

アプリケーション開発手順4のまとめ

  • サンプルソフト初期化関数は、そのまま丸ごとテンプレート初期設定へ挿入
  • サンプルソフトのループ処理は、サンプル起動関数を適切なテンプレート時分割ループへ挿入
  • サンプルソフトの割込み処理は、割込み優先順位に注意し、テンプレートの割込み処理へ挿入
  • 関数間は、部品化のため、RAMインタフェースを使い、単体/結合デバッグを行う

テンプレートですから、部品化した関数の挿入でアプリが完成します。また、部品の再利用を容易にするため、部品単位でファイル化します。複数の割込み処理は、優先順位に注意し、必要なら設定を変更します。関数間は、RAMで切り離し、関数単位でのデバッグを容易にします。

テンプレートを使うと、開発者毎に異なるアプリ開発手法が統一でき、また、処理がファイル単位で部品化できますので、流用性や可読性も良くなります。

マイコンテンプレート販売中

前半、後半と長い説明になりましたが、マイコンテンプレートを使ったアプリケーション開発手順を示しました。シンプルテンプレート、メニュードリブンテンプレートが付属した、4種類のマイコンテンプレートを、各1000円(税込)で販売中です。

IoT向き省電力マイコンのLPC824は、2015/04Eに加わる予定です。

テンプレート名
(MCUコア)
対応マイコン
(ベンダ)
評価ボード:動作確認ハードウエア ブログタグ
RL78/G1xテンプレート v3.1
(RL78-S2/S3
RL78/G13
RL78/G14
(Runesas)
・BB-RL78G13-64(推薦ボード)
・G13スタータキット
・G14スタータキット
・QB-R5F100LE-TB
・QB-R5F104LE-TB
RL78/G13
RL78/G14
LPC8xxテンプレート v2.1
(Cortex-M0+
LPC812
LPC824
(NXP)
・LPCXpressoLPC812 + Baseboard
・LPCXpresso824-MAX + Baseboard
LPC812
LPC824
LPC111xテンプレート v1.1
(Cortex-M0
LPC1114
LPC1115
(NXP)
LPCXpressoLPC1114 + Baseboard LPC1114
Kinetis Eテンプレート v1.1
(Cortex-M0+
Kinetis E
(Freescale)
FRDM-KE02Z40M Kinetis E

 

テンプレートソースをご覧になれば、文書で示したものよりも、より直接的にテンプレートの処理内容がご理解いただけると思います。
また、テンプレート本体とサンプルソフト流用部分のソース間には、5行以上のスペースを入れ、視覚的にもテンプレートと流用部分の切れ目が判る工夫をしています。
サンプルソフト流用部分は、オリジナルの英語コメントですが、テンプレート本体は、日本語コメントで(冗長に?)説明を加えています

概要と仕様の説明資料は、マイコンテンプレートサイトから無料ダウンロードもできます。

テンプレートは、処理が何もない時は、Sleepする消費電力低減機能や、WDT:ウオッチドックタイマ処理、テンプレート本体の暴走監視機能など、アプリとして最低限必要な機能も実装済みです。

零から始めるアプリ開発に比べ、実務に直結した弊社マイコンテンプレートを活用して頂ければ、マイコンの習得と、可読性、流用性に優れたアプリケーションの早期開発ができます。是非、ご検討ください。

 

補足:スイッチ入力処理のチャタリング対応

サンプルソフト:R01AN0451JJ0301は、スイッチ入力処理にチャタリング対応がありません。マイコンの入力処理には、チャタリングに対するノイズ対策は必須です。ソフトウエア対策として、複数回スキャンし、入力が同値の時に、値を確定する方法が一般的です。弊社シンプル/メニュードリブンテンプレートは、この方法を採用しております。

この処理には、何回一致を判定するか、スキャンタイミングはどの程度か、の2パラメタがあり、使用スイッチに応じてこのパラメタを決める必要があります。弊社では、2回一致、10msタイミングで、タクトスイッチ入力処理を行っています。

テンプレートでご利用の実際のスイッチに応じて、これらパラメタ、特に回数のパラメタを変更すると効果が高いと思います。

マイコンテンプレート活用のアプリケーション開発(前半)

マイコンのアプリケーション開発方法として、マイコンテンプレートを使った方法を前後2回に分けて示します。
テンプレートを使えば、マイコン習得と可読性、流用性に優れたアプリが素早く開発でき、開発者毎に異なる開発手法も統一できます。
前半は、アプリケーション開発手順1~3を解説し、次回、後半で手順4を解説します。

アプリケーション開発手順

動くアプリ完成までの手順を示します。

  1. 対象動作、「何を、どうするか」を明らかにする。この段階では、細かいことを気にする必要はありません。例えば、スイッチをスキャンする程度で十分です。
  2. サンプルソフトを探す。メジャーなマイコンは、必ず多くのサンプルソフトをベンダがサイト公開しています。この中から対象動作のサンプルを探します。
  3. サンプルソフトを読む。サンプルソフトは、「初期設定処理」、次に「ループ処理」の2構成で記載されるものが殆どです。たまに、メニュードリブン形式もありますが、これは、弊社メニュードリブンテンプレートと同様、処理抜出を容易にすることを目的にしたものです。
  4. サンプルソフトの必要部分をテンプレートへ組込み、デバッグ。

以上で、アプリが完成します。

マイコンの場合、組込み後、チューニングが必要な場合もありますが、アプリ完成後の処理ですし、アプリにも依存しますので、先ずは、動くアプリ完成までの手順を示しました。

RAD: Rapid Application Developmentツールを使う場合は、2のサンプルソフトをサイトから探す代わりにRADツールを使ってサンプルソフトを生成すると考えれば良く、同じ手順となります。

サンプルソフトベースの部品化

対象動作は、スイッチ入力処理、LED出力処理などできるだけ細かく分割し、部品化することがポイントです。
最後に、これら部品を組み合わせて1つのアプリケーションにします。部品毎にサンプルソフトを見つけ、デバッグすれば、バグもこの部品内に閉じ込めることができます。また、部品単位の流用性も高まります。

サンプルソフトを組合せてアプリケーション開発
サンプルソフトを組合せてアプリケーション開発

上級者との差が出る箇所と対策

手順1~3で重要なことは、「対象動作の明確化」と、「サンプルソフトの分離読解」です。分離解読とは、初期設定とループ処理を明確に分離して解読することで、処理内容は、大体把握すれば十分です(後述サンプルソフトの読み方参照)。

上級者は、多くのサンプルソフトを経験しているので、的確に対象動作を絞り込め、分離解読が、早く深い点が違います。さらに、上級者は、個人的なテンプレートを既に持っているので、サンプルの流用、組込みとデバッグが効率よくできます。

弊社マイコンテンプレートを活用すると、

  • サンプルソフトの組込みが簡単な、テンプレート獲得
  • 処理単体/結合デバッグが簡単で部品化も容易な、RAMを使った処理インタフェースの獲得

ができますので、上級者との差分を誰でも補えます。

サンプルソフトの選出

何回かサンプルソフトを読むと、より明確な対象動作が選べるようになります。逆に、サンプルソフトが見当たらない時は、絞り込みが不完全、または対象が間違っていると言えます。初めに全てのサンプルソフトをざっと眺めた後で、アプリをイメージするのも良い方法です。

但し、スイッチ入力処理は、注意が必要です。スイッチには、チャタリング対策が必須です。この対策は2つあり、1つがハードウエア、もう1つがソフトウエアの対策です。両者併用もあります。
個人的には、ハード対策の有無に関係なく、ソフト対策は必要と考えます。弊社シンプルテンプレートでチャタリング対策済みのスイッチ入力処理を添付しているのは、この理由からです。
チャタリングは、使用するスイッチでタイミングが異なりますので、対策済みサンプルをベンダは提供しにくいと思います。チャタリングに関しては、以前のブログ記事や、ネット検索すると、多くの情報がありますので、そちらも参照して下さい。

サンプルソフトの読み方

サンプルソフトは、「木を見て森を見ず」にならないように、細かいことは気(木?)にせずに、初期設定とループ処理の2つに分けて読みます。

初期設定は、コメントに注意し、周辺回路の使用方法が開発するアプリと同じがどうかを見極めます。同じなら、丸ごとそのままテンプレートへ流用します。異なる場合は、データシートなどで変更箇所を特定し、実際にサンプルに変更を加え、結果が正しく動作することを確認しておきます。

ループ処理は、無限ループで処理するものと、割込みで処理するものに大別できます。割込み処理は、基本的にそのままテンプレートへ流用します。
無限ループ処理は、何をトリガにアプリを起動しているかが解れば十分です。多くの場合、フラグポーリングやカウンタなどです。この起動トリガで関数化し、テンプレートへ組込みます。

テンプレートの狙い:複数サンプルソフト流用

よほどの上級者やツワモノを除けば、アプリ開発は、サンプルソフトの流用が王道です。敢えてリスクをおかしてサンプルソフト以外の方法でマイコンを動かす必要はないからです。ベンダサンプルは、典型的動作ですので、先のスイッチ処理の例外を除くと、流用可能なものが多いのも理由です。

但し、サンンプソフトは、1個の周辺回路の動作説明が主なので、実際のアプリで必要となる複数の周辺回路を組合せる記述はありません。これが、開発者毎に手法が異なる原因です。弊社テンプレートは、これに対して1つの解を提供します。

弊社マイコンテンプレートは、サンプル処理の流用が簡単で、複数サンプル処理を組込むのも容易です。従って、サンプルを活かした動くアプリの早期開発ができます。また、本テンプレートを用いれば、開発者毎で異なる開発手法を統一でき、可読性や流用性も高まります。次回、後半で詳細を説明します。

アプリケーション開発手順1~3のまとめ

  • 細かい単位の対象動作サンプルソフトを見つけ、初期設定とループ処理の2つに分けて読む
  • サンプルソフトを部品と見なし、複数部品の組合せでアプリケーションを開発
  • サンプルソフト獲得方法は、ベンダサイト、RADツールがある

次回は、手順4の部品化したサンプルソフトのテンプレートへの組込みとデバッグ、複数サンプルが同時に動くしくみを説明します。

 

補足:チューニングとマイコン性能

アプリケーション開発で最も厄介なのは、実はチューニングです。

アプリに最適なマイコンを選定していれば、一部アセンブラ化などのチューニングなしで動くアプリができます。しかし、この選定失敗、もしくは、選定マイコンが古いのにアプリ追加などで、性能を絞り出す場合などの、最後の手段としてチューニングもありえます。
但し、苦労してチューニングしても、トラブルフリーの経験がないので、絶対に避けるべきだと思います。結局、高性能マイコンへの置換えという結果になります。

では、マイコン性能はどの程度が正解でしょうか? マイコンでシステムを制御する場合、通常アプリ以外の処理ソフト、例えば、ハード/ソフトの出荷時のセルフテストや、入力が一定時間ない時のデモンストレーション表示なども必要です(自動販売機などでおなじみですね)。ここでは、これらソフトを「システム運用ソフト」と呼びます。

これらシステム運用ソフトは、通常アプリ動作中には、並列処理をしませんので、消費するのはROM/RAMです。ソフト開発者は、ROM/RAM量を見積もる時に、これら通常動作には現れないシステム運用ソフトも考慮する必要があります。経験では、通常アプリと同程度、つまりトータル2倍のROM/RAMは必要と思います。

また、必要となるマイコン性能は、通常アプリと、上の例で示したようなシステム運用ソフトの両方で考慮すべきです。処理能力に十分な余裕がないと、再現性のない取れにくいバグ発生のリスクも高まります。この処理能力も、2倍程度の余裕が必要だと思います。

ハードウエア設計の「ディレーティング50%」と同様、2倍の余裕がマイコン設計には必要と思います。

次期マイコンテンプレートのターゲット考察

NXPとFreescaleの合併、予想さえしなかったことです。激動するマイコン世界ですが、現在のマイコンテンプレート状況を整理し、次期テンプレートのターゲットとなるマイコンについて考えます。

入手性の良いマイコンとテンプレート販売状況

以前紹介した入手性が良いマイコンが一目で解る、チップワンストップサイトのマイコン/開発ツール検索を今回も利用させていただきます。サイト中央のマイコン/ボードタグをクリックすると、8/16/32bit処理ビットとベンダ毎に分けられたマイコンが表示されます。

一覧表が以下です。緑色がARM仕様のマイコン、青色がベンダ仕様マイコン、赤囲みがテンプレート対応マイコンで、現在4種のテンプレートを1000円(税込)で販売中です。

入手性の良いマイコンとテンプレート提供状況
入手性の良いマイコンとテンプレート提供状況

表中NXPはARM Cortex-M0のみですが、Cortex-M0+のLPC8xxも供給しています。
32bitマイコンの主流は、緑のARMマイコンです。表内のARMコアの特徴をまとめたものが下表です。

ARMコア 名称 概要
Cortex-Mx エンベデッド プロセサ 32bitの高い処理効率を維持し、業界最先端の動作と最小限のスリープ/ダイナミック電力、最小限のダイ面積を目指し設計。以下の4サブ構成。
Cortex-M0:低消費電力マイコン
Cortex-M0+:超低消費電力マイコン
・Cortex-M3:汎用マイコン
・Cortex-M4:デジタル信号制御マイコン
Cortex-Ax アプリケーション プロセサ 高度なオペレーティングシステム:OSが実行可能なメモリ管理ユニットMMU搭載マイコン
ARMx Classic プロセサ ARM11、ARM9、ARM7などコスト効果の高いマイコン

 

32bitマイコンのテンプレート対象は、Cortex-M0/M0+です。
Cortex-M3クラスになると、高価なうえに動作周波数も70MHz以上でControlよりもComputeが得意になります。IoT向けPCのEdisonRaspberry Pi 2(Cortex-A7搭載)と競合する可能性もあります。Cortex-M0/M0+は、16bitマイコン市場の置換えも視野に入れたマイコンですので、今後の普及も期待できます。
16bitマイコンは、ルネサスの超低消費電力マイコンRL78に、RL78/G1xテンプレートを販売中です。

4種テンプレートに付記した動作電圧からみえるのは、そのマイコンの想定アプリケーションです。
FreescaleのKinetis Eは、5V耐性やノイズ耐力を高めたマイコンです。また、NXPのLPC8xxは、バッテリ駆動ができ、小ピンですがスイッチマトリクスによりピン配置の自由度が高く、LPC111xも同じくバッテリ駆動可能で、第3世代でアクティブ消費電流が116uA/MHzまで低下したマイコンです。ルネサスのRL78は、広い動作電圧がセースルポイントのマイコンです。

以上が現状マイコンテンプレートの状況です。「16bitのHigh Performanceマイコンから32bit Entry+alphaのマイコンで、容易に入手できメジャーなもの」へテンプレートを提供し、「対象マイコンの速習と早期アプリ開発」が誰でもできます。テンプレートの詳細は、マイコンテンプレートサイトを参照してください。

IoTアプリケーション向きの超低消費電力マイコンと次期テンプレート

開発アプリケーションに適したマイコンを選ぶこと、これが最も重要です。汎用マイコンでも、想定した応用の範囲内で能力を発揮するように設計されているからです。
次期テンプレートは、よりアプリケーション指向の強いマイコンを選びます。当りハズレはありますが、当たればより多くのテンプレートが売れる可能性があるからです。

プログ記載の2015年1月~2月に集中して最新マイコンドレンドを分析した結果、各ベンダは、巨大マーケットを持つ「IoTアプリと車載アプリ」へのマイコン開発に力点を置きつつあることが解りました。特に車載マイコンでのこの動きの結果、NXPとFreescaleの合併となったとも言えるでしょう。

次期テンプレートもこのドレンド:IoTアプリ向けの超低消費電力マイコンに開発します。例を挙げると、ARM Cortex-M0/M0+コアでは、より低い消費電力、高エネルギー効率と低コストを狙ったFreescaleのKinetis LシリーズやNXPのLPC82x、ルネサスRL78:S3コアでは、RL78/I1Dなどです。

これらには、従来テンプレートに添付したシンプル/メニュードリブンテンプレートに加え、IoTアプリ開発の重要なポイントになる省電力テンプレート(仮称)も加える予定です。

 

IntelシニアフェローStephen Pawlowski氏によると、「これからの10年は、エレクトロニクスのイノベーションの歴史で最もエキサイティングな時代になるだろう。」だそうです。弊社マイコンテンプレートが、このエキサイティングな時代に活躍する技術者/開発者の方へ、少しでもお役立てれば幸いです。

最新マイコンのドレンド考察

IoTに向けて汎用マイコンも変化しつつあります。今回は、この変化について考えます。

ADC分解能12ビット

最近のマイコンADC分解能は、汎用タイプでも12ビットが標準的です。例えば、LPC824(NXP、2014/10発売)、RL78/I1D(ルネサス、2015/02発売)などです。従来10ビットに比べ4倍の分解能です。
接続されるセンサの性能向上や、マイコン向きの分解能として12ビットが選ばれたと思います。これ以上の分解能になると、キャリブレーションや測定誤差への対応が必須となり、ADC専用ICの領域となるからです。

CPU代替データ転送

DMA:Direct Memory Accessや、DTC:Data Transfer Controllerは、CPUに変わってデータを転送する機能です。CPU転送より低電力で動作するため、ADCとペアで使われるのが一般的です。ADC変換データをDMA/DTCを使ってRAMへ転送し、この間はCPUを休ませる、その目的は、消費電力の低減です。

CPU消費電流低下

マイコンCPU本体の消費電力が改善される好例が、LPC1114(NXP)です。トラ技2012年10月掲載のLPC1114評価ボードのCPUは、LPC1114/301でした。LPC1114/xx1 → xx2 → xx3(xx1の数字が世代を示し、現在は第3世代)で180uA/MHz → 140uA/MHz → 116uA/MHzと世代が進む毎にアクティブ消費電流が36%も低下しました。

これらの変化は、5Vレギュレータ動作から、バッテリーなどのより低く、しかも変動する電圧でも長時間動作する省電力マイコンが目的です。

基本動作モードと省電力動作モード

RL78カタログ資料より抜粋したRL78ファミリの動作モードを示します。

RL78ファミリの動作モード
RL78ファミリの動作モード

通常動作(MAIN RUN、ARMマイコンの場合はRUN)と低電力動作(HALT、ARMの場合はSLEEP)、動作停止(STOP)の基本3モードに加え、第4の新しい省電力動作モード(SNOOZE)があります。

SNOOZEは、HALTよりも更に低い電力で動作しますが、以下の点に注意が必要です。

  1. SNOOZE動作するには、STOP動作モードから入る必要あり。
  2. SNOOZE中に動作する周辺回路は機種によりに異なりRL78/G13、G14の場合は、ADC、CSI00スレーブ受信、UART0データ受信の3機能のみ。
  3. HALT → MAIN RUNに復帰する時間に比べ、起動時間がかかる。

これらに注意して、開発アプリでSNOOZEが有効に使えるか否かの判断が必要です。

例えば、RL78/G13でADCデータをDMAでRAM転送する場合には、SNOOZEは使えず、HALTで行う必要があります。あるいは、ADCはSNOOZEで行い、データ転送はCPUで行う方法もあります。
どちらが開発するアプリに適しているか、消費電力はどちらが低いか、SNOOZEからの復帰時間は問題ないかを検証し、決める必要があります。
最新マイコンRL78/I1Dは、RL78/G1xに比べこの制約が緩く、より簡単に広い条件で適用できる工夫も施されています。
また、さらに細かい省電力アプリへ対応すべく、10個もの動作モードを持つKinetis Lシリーズ(Freescale)などもあります。

Kinetis Lシリーズの動作モード
Kinetis Lシリーズの動作モード

ポイントは、各省電力動作モードの制約条件と復帰時間を考慮したうえでモード選択することです。

現行テンプレートの動作モード

販売中のテンプレートは、通常動作:MAIN RUNと低電力動作:HALT(SLEEP)の2動作モードに対応しています。これは、

  • この2動作モードは、全マイコンにあり、機種に依存しないテンプレートとして実現できること
  • 省電力化に最も効果があり、通常動作への復帰も高速なので確実(バグなし)に動作すること

が理由です。

省電力動作モードの注意点と裏ワザ

省電力動作モードには、多くの制約条件があります。言い換えると「動作するアプリや環境を想定した動作モード」とも言えます。この省電力動作モードの注意点をまとめます。

  • 想定したアプリや動作環境を見極め、それに沿って開発しないと徒労になる
  • 通常動作への復帰時間を吟味した上で使わなければ、取れにくいバグを生むリスクがある
  • 苦労して省電力動作モードを実装しても、そのモードの全体動作に対する相対時間が少なければ、得られる効果も少ない

実は、前述のLPC1114進化のように、マイコンそのものを初めから低消費電力版へ変えることが一番簡単で確実だったりします(裏ワザ?)。

省電力テンプレートの方針

テンプレートとしても新しい省電力動作モードへの対応が必要です。以下の方針で開発予定です。

  • 省電力アプリを特定し、その上で、応用範囲の広い適用例で開発
  • 省電力アプリの有効性を確実に示せるマイコンに実装(そもそも省電力動作モードそれ自身に、想定動作があるので機種依存性が生じるのも仕方がないかも…)

シンプル/メニュードリブンテンプレートに続く第3のテンプレート:省電力テンプレート(仮称)とは、
「通常時は現行テンプレートと同様MAIN RUNとHALT(SLEEP)で処理を行い、一定時間入力が無い場合は、STOPまたはSNOOZEになり、何らかの外部入力で通常動作へ戻る」
などでしょうか?

方針提案に対する、ご意見、ご希望など何なりとお気軽に、info@happytech.jpへお寄せください。参考にさせていただきます。

無償mbed OS 10月15日リリース予定

mbed OSリリーススケジュール(記事より抜粋)
mbed OSリリーススケジュール(記事より抜粋)

弊社ブログ記載のARM無償提供mbed OSのリリーススケジュールが、“ARM 「mbed OS」とは何か?その詳細と動向”記事にあります。本年2015年10月15日以降には、mbed OSを試せそうです。

mbed OS層構造

mbed OSの構造(記事より抜粋し加筆)
mbed OSの構造(記事より抜粋し加筆)

ARM Cortex-M0/M0+のマイコンに無償で使えるmbed OSは、図のように各種標準通信プロトロルを提供します。ROM容量の少ないマイコンは、この中の一部を選択して実装できるそうです。

CMSISとIPv4、IPv6実装済み無償OSがC++ APIで使える10月15日が待ち遠しいです。弊社テンプレート提供中のARMマイコン、LPC812、LPC1114/5、Kinetis Eにも適用できそうです。

実物を診ないと断言はできませんが、テンプレートもこのmbed OSの上(Applicationsの層)に配置できる気がします。超うすいテンプレートだからです。勝手にライバル視してきましたが、実は、CMSISと同じ感覚でネット接続APIが使える可能性もあり、ますます待ち遠しいです。
一方、IoT向けPC:Raspberry Pi 2に無償提供されるWindows 10にとっては、強力ライバルソフトになりそうです。Raspberry Pi 2は、ARM搭載ですので、当然このmbed OSが実装できると思うからです。