PC大転換期の状況
今年の10 月14 日が、Windows 11 23H2 Home/Pro とWindows10 のサービス終了日です。筆者はこの終了日より前にWindows 12 リリースがあると予想していましたが、現在、Win12 は未発表です。
従って、多くのWin ユーザは、残る半年の間にWin11 24H2 へアップグレード必須です。Win11 24H2 とハードウェア、AI PC CPU 現状をまとめました。
Win11 24H2 既知の問題と状況
3 月25 日、Microsoft は、Win11 24H2 既知の問題 を更新しました。昨年10 月のWin11 24H2 リリース後、半年経過しましたが未だに多くのWin11 24H2 不具合が未解決です。
これは、Win11 24H2 のOS コア大幅変更が主な原因です。Win11 24H2 のOS ビルド26000 番台が示すように、1 つ前の23H2 ビルド22000 番台からAI などの多くの新機能を追加しました。次期Win12 は、 24H2 をベースに更に変更を加え、ビルド27000 番台になるようです(関連投稿:Win11とWin12 の1 章)。
Win11 は、OS 更新リスクを少なくするため、更新プログラムトラブルが解消された後に多くのユーザへ配布する段階的配布を行いました。この対策にもかかわらず、なお多くの不具合が残りその解決が進んでいないのがWin11 24H2 の現状です。
Win12 発表が未だ無いのは、この26000 番台の不具合解決が予定より遅れているからかもしれません。27000 番台のWin12 は、当然ですが26000 番台を土台に新機能を追加するからです。
従来ハードウェアアップグレート条件
Win11 24H2 アップグレート条件が、コチラ です。
Win11 23H2 ユーザへは、新たにサポートCPU の絞込み が追加されました。Win10 ユーザは、TPM 2.0 などの要件も満たす必要があります。これら要件を満たさない場合、新しいPC の購入をMicrosoft は勧めています。
ハードウェア要件を徐々に厳しくし、ユーザの新規PC 購入がMicrosoft を含むPC 業界の狙いです。
但し、Rufus 4.6 を使うと、これらハードウェア要件を回避しWin11 24H2アップグレードが可能 です。
AI PC (Copilot+ PC )向けCPU 条件
さらにMicrosoft は、AI PC 向けハードウェア要件としてCopilot+ PC を発表しました。
これは、前章要件に加え、40TOPS 以上のNPU 内蔵CPU やMicrosoft Pluton セキュリティプロセサなど、エッジAI 処理のための追加要件です。
つまり、Win11 24H2 は、従来ハードウェアアップグレート要件を満たすPC の上に、新しいAI PC (Copilot+ PC )要件を追加した、上下2 階層要件の両方に対応した(悪く言えば中途半端な)OS です。
Windows 24H2の2階層ハードウェア要件
但し、新しいエッジAI 機能は、上層AI PC 要件を満たすPC にのみ提供されます。次期AI Win12 は、中途半端なWin11 24H2 から、AI PC 専用OS へ進化すると筆者は予想しています。
AI CPU :ARM64 アプリ対応状況
前章までが、Win11 24H2 とハードウェアの状況です。
ここからは、AI PC 要件を満たす低電力動作が特徴の新参Qualcomm 社Snapdragon ARM64 CPU と、老舗Intel/AMD 社のx64 CPU の状況を示します。
3 月24 日、Google は、ARM64 ネイティブ動作Google ドライブアプリをリリース しました。ARM64 搭載PC で動作していたGoogle ドライブβ 版は、自動アップグレートされます。
Win アプリは、従来x86/x64 CPU 向けに開発されてきました。従って、ARM64 CPU ネイティブ動作アプリは、新たなアプリ開発が必要です。基本的で必要性も高いGoogle ドライブアプリでさえ、正式版リリースに約半年かかったのが上記ニュースです。
ARM64 には、従来アプリのエミュレーションツールPrism もあります。しかし、従来Google ドライブはPrism でも動作しません。ARM64 ネイティブ動作のビジネスアプリも増えてきましたが、従来アプリとの互換性を重視するユーザは、ARM64 CPU よりも実績のあるx64 CPU を好むのが現状です。
AI CPU :x64 Copilot 機能提供状況
3 月24 日、Microsoft は、Intel/AMD のx64 CPU 搭載PC に、エクスプローラや検索ボックスへ正確なファイル名やキーワードを入力しなくても、目的ドキュメントや設定を見つけられる内蔵NPU 活用AI 機能をWin11 24H2 ビルド26120.3585 で提供開始 しました。
このAI 機能は、ARM64 CPU ではリリース当初から提供済みです。支配的CPU シェアを2030 年までにARM64 へ変えるMicrosoft 戦略は、x64 CPU へのAI 機能提供を意図的に遅らせています(関連投稿:AI PC選定ポイント )。
しかし、遅ればせながらx64 CPU へもARM64 と同等のAI PC 機能提供が始まったのが上記ビルドです。
Summary :Win11 24H2 現状と次期AI Win12
Win11 23H2 とWin10 サービス終了の10 月14 日まであと半年です。今のところ次期Win12 リリースは不明ですので、10 月以降の代替OS は、Win11 24H2 のみです。Win11 24H2 の現状、ハードウェア要件、AI PC (Copilot+ PC )CPU 状況をまとめました。
WIndows 11不人気の打開策、生成AI
Win11 24H2 は、従来OS のアップグレートと、AI PC 向け新OS (Win12 )の両方をカバーします。AI 機能追加のため従来OS コアから大幅変更の結果、未解決不具合が未だにあります。Microsoft は、今年10 月までにこれら不具合解消に注力するでしょう。
Win11 24H2 ハードウェア要件も、従来アップグレートとAI 対応の両方があります。AI 対応ハードウェアは、従来アップグレート要件の上に位置します。Microsoft は、要件を満たさないPC に対し新しいPC 購入を勧めています。但しRufus 4.6 を使うと、従来アップグレート要件のみは回避しWin11 24H2 アップグレートが可能 です。
AI 対応CPU は、従来アプリ互換性のあるx64 CPU と、新しいARM64 CPU の2種があります。ARM64 ネイティブビジネスアプリは増えてきましたが、互換性を重視するユーザは実績あるx64 CPU を好みます。
Microsoft ARM64 シェア拡大戦略のため、AI PC 機能はARM64 比、意図的にx64 へ遅く提供中です。しかし、この差も次期AI Win12 リリース前までに同じになるでしょう。
AI Win12 アップグレード要件が、Win11 24H2 のAI PC (Copilot+ PC )要件以上となれば、Win11 24H2 サービス終了2026 年10 月までに、ユーザは新しいAI PC 購入が必須になります。
新規AI PC 購入は、PC 業界には朗報です。PC ユーザにもエッジAI 必須と認識されれば、AI PC 購入は必然です。NPU を持たない従来PC では、エッジAI 処理ができないからです。現在Microsoft がAI Copilot を推進中なのは、エッジAI 必須認識をユーザへ広げるためです。
Afterword :PC 大転換期の対応
NPU 無しでAI PC 要件を満たさない弊社4 台のPC は、エッジAI は使えません。Win11 24H2 アップグレードは、OS サービス期間を1 年延ばす効果のみです。但しクラウドAI は従来PC でも使えますので、4 PC は、今年10 月までWin11 23H2 のまま運用予定です。
Win12 発表もあるでしょうから、発表内容を吟味、Win11 24H2 アップグレートか、新規AI PC 購入か判断したいと思います。
複数AI PC 間エッジAI 同期方法は、まだ不明です。同期ができない場合には、1 台のみのAI PC 所有となりそうです。
今は従来PC からAI PC への大転換期 です。現状分析し、対応が必要です。ちなみに、Office 2016/2019 も10 月14 日サポート終了です。
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