ベアメタルかRTOS開発か?

弊社MCUテンプレートご購入者様から、ベアメタルかRTOS、どちらの開発が良いかについてご質問がありました。
ご質問者同意を得ましたので、筆者回答を一部修正、抜粋して示します。

Summary:クラウド接続=RTOS開発、スタンドアロン=ベアメタル開発

RTOS vs. BareMetal
RTOS vs. BareMetal

AWSやAzure RTOSなどのクラウドへ接続するMCUは、RTOS(FreeRTOS/Azure RTOS)開発が必須です。クラウド接続やセキュリティ確保に、専用RTOSライブラリ利用が必要だからです。また、大規模、複数開発者の場合も、RTOS開発が向いています。

スタンドアロン動作のMCUは、ベアメタル開発をお勧めします。MCU動作を全て開発者で管理・制御できるからです。

ベンダ提供サンプルコードとMCU評価ボードを活用すると、ベアメタル/RTOSどちらの開発でも、高品質・短期間で製品のプロトタイプ開発ができます。弊社MCUテンプレートは、サンプルコード活用プロトタイプ開発に適しています。

クラウド接続MCU:割込みベースRTOSタスク開発

AWS (Amazon Web Services)やAzure (Microsoft Azure Cloud Services)へ接続するMCUは、クラウド接続用に、FreeRTOSやAzure RTOS接続ライブラリの利用が前提条件です。また、高度なセキュリティ対策が求められますので、クラウド側提供セキュリティライブラリを使うことも求められます。

従って、クラウド接続MCUは、必然的にRTOS開発となります。

通信やセキュリティ以外の処理は、タクス(スレッドとも言うが、以下タスクと略)の開発が、ユーザ開発内容です。

タスクは、移植性が高い単位に機能分割し、割込みベースで作成します。複数タスクの割込み処理や優先順位を管理・処理するのが、RTOSの役目です。

RTOSが優先順位に基づいて個々のタスクをMCUに割当てることで、複数タスクの並列処理が進みます。シングルコアMCUの場合、一度に実行するタスクは1個です。従って、タスクは時分割処理です。分割タイミングが短く、しかも優先順位に基づいたタスク処理ですので、複数タスクが並列処理しているように見えます。

タスクは、別タスクのことを考慮せず独立性、移植性高く開発可能です。その代償として、RTOSが複数タスク間優先制御を行うセマフォ/ミューテックス/イベントフラグなど、また、タスク間通信を行うメッセージバッファ/メールボックスなどのRTOS独自機能を、開発タスクに組込む必要があります。

関連投稿:RTOS習得

移植性や独立性が高い開発済タスクは、ベアメタル比、ソフトウェア資産として他プロジェクトへもそのまま使えるメリットがあります。また、ソフトウェア規模が大きく、複数開発者で共同開発する時も、機能完全分離RTOS開発の方が優れると言われます。

スタンドアロンMCU:ポーリングベースベアメタル開発

RTOSが行う周辺回路の割込み処理や優先制御を、全てユーザが行うのがベアメタル開発です。

但し、デバッグや処理開発のし易さを考慮すると、ポーリングベース開発をお勧めします。

つまり、周辺回路の割込みフラグを、一旦、割込み処理待ちフラグへ置換え、この割込み処理待ちフラグをポーリングすることで処理を実行する方法です。割込み処理待ちフラグは、RAMへ展開されますので、開発処理もRAMフラグで制御でき、割込みを直接扱うよりも単体デバッグが容易になります。

ベアメタル開発は、単体デバッグ済みの複数処理を、MCU全体で上手く実行する制御部分も必要です。弊社ベアメタルMCUテンプレート英語版MCUテンプレートは、この制御部分を提供します。

サンプルコード活用プロトタイプ開発

サンプルコード活用プロトタイプ開発
サンプルコード活用プロトタイプ開発

RTOSはタスク、ベアメタルは周辺回路制御のソフトウェア開発が必要です。

但し、ベンダは、周辺回路制御の参考となるソフトウェアを、サンプルコードとしてMCU評価ボードと共に提供します。サンプルコードは、ベンダ専門家が開発した評価ボード動作確認済み高品質コードですので、これをユーザが利用しない手はありません。

現在サンプルコードは、ベアメタル用のものが殆どです。しかし、RTOSタスク開発へも応用できます。サンプルを上手く利用することで、0から開発するよりも、短時間でソフトウェア開発ができます。

また、評価ボードMCU周りの部品配置やアートワーク配線は、処理性能過不足時のMCU交換や耐ノイズ性が高いハードウェア開発の参考書になります。

MCU開発を高品質・短期間で行うには、サンプルコードとMCU評価ボードを活用し、製品プロトタイプ開発がお勧めです。プロトタイプから製品へフィードバックをかければ、より良い製品化が可能です。

Afterword:ベアメタル開発からRTOSへステップアップ

IoT MCU開発者スキルの階層構造
IoT MCU開発者スキルの階層構造

Windowsアプリ開発時は、Windows APIの利用は当たり前です。多くの解説書もあります。

IoT MCU開発時も、FreeRTOSやAzure RTOSが当然になると思います。ただMCU開発には解説書が少なく、その理解には基礎知識が必要です。基礎がグラつくと、その上の積み重ねは非常に困難です。

MCU開発の基礎は、ベアメタル開発です。IoT普及でRTOS MCU開発も増えます。IoTに向けてRTOSを勉強しようと考える方も多いと思います。その場合は、ベアメタル開発の何をRTOSが代行し、何が得られ、何を失うか、RTOSオーバーヘッドはどの程度かを考えながら学習すると、より効率的にRTOS習得ができます。

例えば、RTOS開発には、セマフォやミューテックスなどのベアメタル開発に無い多くのRTOS機能を新に学ぶ必要があります。しかし、よく使う機能は少数です。ご自分のベアメタル手法を代行するRTOS機能から学び始め、それでも足りない機能はRTOS側に用意されていますので、順次増やしながらタスクを開発して行くと良いと思います。

ソフトウェア開発は、AI Copilot出現で激変への過渡期です。数年後には、ライブラリ組み換え作業などへ開発が変わり、不足がちなMCU開発解説もAIが代行してくれるかもしれません。

そんな全能AI過渡期でも、ご自分自身で獲得した基礎の重要性は、変わらないと筆者は考えます。


RA用FSP v5.0.0 e2 studio 2023-10リリース

2023年10月28日、RA用FSP v5.0.0同梱e2 studio 2023-10がGitHubからリリースされました。FSP、e2 studioどちらも最新版です。また、10月16日に18年ぶりにバージョン5となったMCU開発必須ツール:Tera Term 5.0も、GitHubにあります。

本稿は、これらソフトウェアダウンロード先(=repository)のGitHubについて説明します。

また、GitHub公開の最新FSP v5.0.0、e2 studio 2023-10、Tera Term 5.0を使った評価ボード動作例も示します。

※今週金曜は、休日(文化の日)のため、木曜に先行投稿しています。

GitHub主要3機能

GitのWebサービス版がGitHubです。※Hubは、集約点という意味。

Gitは、Linux上で「複数ソフトウェア開発者」向けの支援ツールです。複数開発者が、1つのプロジェクトを、別々の場所・作業時間で共同開発する時に便利な機能を提供します。

Gitの主要機能が、フォーク、プルリクエスト、マージの3つです。

フォーク(=派生)は、レポジトリソースコードを派生利用し、別ソフトウェアを開発する際に、オリジナルコード所有者へ通知する機能です。

プルリクエストは、レポジトリソースコードの変更を、プロジェクト開発者へ通知、マージは、プルリクエストを受けた開発者が、変更を承認するか否かの通知機能です。承認時は、変更コードがプロジェクトへマージ(=統合)されます。

Linuxツールですので、CUI(キャラクタ ユーザ インタフェース)です。複数開発者が、地球上の離れた場所・作業時間であっても、ソフトウェア開発が上手くできる仕組みをGitが持つことが判ります。

また、ソースコードをレビューするコミュニティもあります。質の高いコード作成に役立つそうです。このコミュニティに、AI活用が最近話題です。AIを使わない時と比べ、開発速度57%、タスク完遂率27%上昇など驚きの効果が報告されています。

これらGit機能を、クラウドで提供するのが、GitHubです。2023年のユーザ数は、1億人突破だそうです(Wikipediaより)。

参考資料:GitHubとは? Digital Business Sherpa (2023-08-02)

GitHubソフトウェア公開機能

GitHubのもう1つの機能が、ソフトウェア公開です。この例が、最初に示したRA用FSP v5.0.0同梱e2 studio 2023-10やTera Term 5のリリースです。

exeファイルが直接ダウンロードできます。zipファイルダウンロードが主流のWindowsと異なる点です。

最新版RA用FSP 5.0.0 with e2 studio 2023-10のGitHubレポジトリ
最新版RA用FSP 5.0.0 with e2 studio 2023-10のGitHubレポジトリ

Latestアイコンが最新版を示します。Release Notes内にダウンロードリンク、下方にあるAssetsが、実際の公開ファイルを示します。

Summary:ワールドワイド開発標準ツールGitHub

筆者は、 パーティションもない大部屋で近隣同僚と、または、1人でソフトウェア開発をしてきました。Git主要3機能は、口頭で同僚へ伝えるか、1人開発時は不要でしたので、実際にGitHub活用経験はありません。

しかし、ワールドワイドやリモートワークでの複数人ソフトウェア開発時は、GitHubが標準ツールです。普段はソフトウェアダウンロード先としてGitHubを利用している開発者も、その仕組みを知っていると今後役立つと思います。

Afterword:RA用FSP 5.0.0 with e2 studio 2023-10 & Tera Term 5動作

GitHub公開のRA用FSP v5.0.0、e2 studio 2023-10とTera Term 5を使ったFPB-RA6E1評価ボード動作例です。接続は、コチラの投稿と同じです。

RA用FSP 5.0.0 with e2 studio 2023-10とTera Term 5.0動作例
RA用FSP 5.0.0 with e2 studio 2023-10とTera Term 5.0動作例

インストールダイアログに従っていれば、従来版からのアップグレードも問題ありません。

RA用FSP v5.0.0同梱e2 studio 2023-10リリースが、他のルネサスMCUファミリのFSP v5.0.0やe2 studio 2023-10リリースより遅れるのは、 RA専用FSP同梱e2 studioのGitHubマージ作業のためと思います。

※ルネサス他MCUファミリは、FSP、e2 studioそれぞれ個別リリース。

リリースが遅れても、RAファミリ統合開発環境を、だれでも簡単に構築できるメリットを優先したためでしょう。


MCU AI現状と対策

今秋リリースWindows 11 23H2は、AIによる作業支援:Copilot機能が追加される予定です。AIがより身近になるでしょう。

AIは、MCU開発へも押し寄せつつあります。ルネサス、STマイクロのEdge MCU AI現状と対策を示します。

MCU開発者に押しよせるAI/MLの風
MCU開発者に押しよせるAI/MLの風

Edge MCU AIとWindows AIの課題数

1: MCU開発へAIをどのように実装するか、2: 実装したAIをどのようにMCU製品メリットへ変えるか、そして、3: Edge MCU AI製品をどのように顧客に活用してもらうか、MCU開発者は、これら課題解決が必要です。

一方、Windows AIは、3:相当 のPCユーザとしてどのようにWindows AIを活用するかが課題です。

Edge MCU AIは、使うだけでなく開発も必要ですので課題の数が異なります。MCUベンダ各社は、AI MCUツールを発表しています。

本稿は、特に1:AIのMCU実装についてルネサス、STマイクロの現状とMCUソフトウェア開発者の対策を示します。

ルネサス:Reality AI Toolをe2 studioへ統合

2023年9月21日、ルネサスは、Edge AI専用ツール:Reality AIを、既存MCU開発環境:e2 studioへ統合しました。これにより、AIプロジェクトとe2 studio間のデータ共有が可能となり、開発効率が上がります。

動画はコチラ

STマイクロ:NanoEdge AI Studio

NanoEdge AI Studio Workflow(出展:NANOEDGE AI STUDIO V3)
NanoEdge AI Studio Workflow(出展:NANOEDGE AI STUDIO V3)

2023年8月3日、STマイクロは、Edge AI 専用ツール:NanoEdge AI StudioとST開発ボードを使って簡単・迅速にAI/ML:Machine Learning関連データを収集・検証し、機械学習アルゴリズムをわずか数ステップで生成できると発表しました。

動画はコチラ

AI/ML必然性

既存MCU開発環境へEdge AIツール出力をライブラリとして取込むことは、ルネサス/STマイクロ共に簡単です。

しかし、非力なMCUに最適なAI出力ライブラリを得ることが簡単か否かは、現在、筆者は分かりません。多分、この判断には、多少なりともAI/ML知識が必要になるでしょう。

AI/ML担当者とEdge MCU担当者、2人いれば問題は少ないです。しかし、Edge MCU開発者が両者を兼務することが、既存MCU IDEへAIツール統合の流れとマッチすることから必然だと思います。

ハードウェアとソフトウェア担当が別れるように、AI/MLとMCUソフトウェア担当が分離することを筆者は想定しにくいです。

Summary:急増Edge MCU AI対策

Edge MCU AI製品とAIなしのMCU製品を比較したSTマイクロの動画(7:34)は、興味深いです(リンク先下方に動画あり)。AI実装有無が、MCU製品の差別化要因になることを示しています。

また、Windows AI:Copilot機能の普及は、MCU製品顧客へも大きな影響を与えると思います。PCでのAI活用事例が多くなり、AIメリットを認識する顧客が増えるからです。

MCU開発者は、Windows AI普及に合わせて増加するであろうEdge AI/ML知識も備えておく必要があります。MCUベンダ各社は、Edge AI/MLセミナを活発化します。是非参加して、基礎知識を獲得しましょう!


MCUテンプレート海外販売開始

MCUテンプレート海外販売に向けWordPressサイト多言語化を行ってきました。本日より下記MCUテンプレートの海外販売を始めます。

RA BeaeMetal、STM32G0x、STM32F0/F1、3種MCUテンプレート販売開始

既存日本語テンプレート10種のうち、第一弾は、ルネサス)RA6/4/2ベアメタルテンプレート、STマイクロ)STM32G0xテンプレートSTM32F0/F1テンプレート3種のテンプレート資料を英語化し販売します。

多言語対応ページの使い方

多言語対応ページの使い方
多言語対応ページの使い方

ブログトップを示すHomeから③テンプレート購入手順は、多言語対応済みページです。従って、サイト右上のプルダウンメニューから、お好きな言語を選べば、日本語表示から選択言語へ変換されます。

①Template list掲載の3種テンプレート説明資料の冒頭3ページは、無料ダウンロード可能です。

テンプレート利点やTipsなどは、②Template Benefits & Tipsに、Template購入方法は、③Template purchase procedureをご覧ください。

お好きな言語でテンプレート概要やメリットなどをご覧になり、MCUテンプレートのご購入を検討頂ければ幸いです。

日本語テンプレート販売は従来通り

日本語MCUテンプレート10種は、従来と同じMCUテンプレートサイトから販売中です。

第一弾の多言語MCUテンプレート3種以外をご要望の方は、日本語MCUテンプレートサイトからもご購入が可能です。

但し、テンプレート説明資料は、全て日本語表記です。ご購入後、Google翻訳などを使ってご自分で翻訳してください。なお、テンプレートソースコード内の冗長な日本語コメントは、コンパイル時に全て削除されますので、制御には無関係です。

Google翻訳の感想

Google翻訳は、便利なツールです。しかし、日本語からの英語翻訳時、英単語間に余分なスペースが挿入されます。例えば、「これはペンです。」をGoogle翻訳すると、「This__is__a__pen.」となります。

この英単語間の2スペースは、Wordなどの置換ツールを使って通常の1スペースへ一括変換できます。しかし、余分なスペースがなぜ挿入されるのかが不明です。理由がお解りの方は、弊社に教えてください。

Afterword:テンプレート役割

テンプレート付属資料の英語化は、手間が掛かりました。ただ、第一弾英語化を期に、3種説明内容を横断的に見直す良い機会にもなりました。

その結果、初心者の効率的MCU習得にテンプレートが適す、テンプレート応用例SimpleテンプレートとBaseboardテンプレートは、プロトタイプ着手時のMCUプロジェクトに適す、これらを再確認しました。

MCU習得やプロトタイプ開発に、弊社テンプレートは役立ちます。是非、ご活用ください。



過酷高温のMCU変化

最高気温が35°Cを超える猛暑日が多発しています。IoT MCU装置の動作環境も、過酷な高温になることもあるでしょう。

そこで、過酷な高温環境で、MCUの何が、どのように変わるかをソフトウェア開発者向けにまとめます。

Summary:限界温度以下のMCU運用必須

限界温度以下のMCU運用必須
限界温度以下のMCU運用必須

過酷な高温でMCUが動作すると、半導体MCU自体が部分的に破壊され、常温に復帰しても元に戻りません。その結果、MCU論理やアナログ処理の異常、消費電流過大/過少などの症状が現れることがあります。

ソフトウェア開発者が、これら見つけにくい症状をデバッグするのは困難です。フェールセーフ観点から、ADCでMCU心臓部温度をモニタし、限界温度まで十分な余裕のあるうちに動作停止などのMCU運用が必要でしょう。

参考資料

  1. Notes on RA6E1 Group High-Temperature Operation、2023年7月10日
  2. マイコンの仕様を超える条件で使ったら、何が起きる(前後編)、2022年8月12日、9月2日

RA6E1アプリケーションノート:Notes on RA6E1 Group High-Temperature Operationは、ルネサスRA6E1(Cortex-M33コア、IoT向きMCU)を使った8個のアプリケーションで、信頼性劣化を防ぐMCU心臓部限界温度の実験結果を示しています。

※本稿は、Tj:ジャンクション温度を、MCU心臓部温度と略記します。

何が起きる(前後編)は、STマイクロの技術資料です。高温、高湿、高電圧ストレスが、一般的なMCUに与える影響と、その可逆性(常温で正常に戻るかどうか)を詳しく説明しています。

過酷高温でMCUの何がどう変わるか

どちらの参考資料も、デバイス開発者向けとしては良く出来ています。

特に1は、具体的アプリケーションでの周囲温度(Ta:-40℃~105℃)とMCU動作時ジャンクション温度(Tj)の許容範囲を示しており、2の高温ストレス限界の具体例です。

しかし、ソフトウェア開発者にとっては、そのメカニズムよりも過酷高温動作の結果、MCUの何がどう変わるかをもっと端的に知りたいハズです。

過酷な高温でMCUが動作すると、半導体MCU自体が物理的、部分的に破壊され、常温に復帰しても元に戻りません。その結果、論理処理やアナログ処理の異常、消費電流過大/過少などの症状が現れることがあります。これらは、常に現れる症状ではないと筆者は思います。

ソフトウェア開発者が、通常のソフトウェアバグとは異なるこれら症状をデバッグするのは、困難です。

例えば、高温限界を超えたMCUと新品MCUとを並行動作し、たまに発生する異常症状から間接的に判断する程度でしょう。結局、新品MCUとの交換が必要です。

過酷高温環境のMCU動作がもたらす結果
過酷高温環境のMCU動作がもたらす結果

フェールセーフ

自動車は、制御系が異常を検出するとリンプモード(limp mode)、つまり、エンジン/モータやその他部品などの追加損傷をおさえつつ、最低限の走行で乗員を帰宅させるモードへ移行します。

MCU装置の場合は、先ず過酷な高温場所に設置しないこと、それでもやむを得ず限界高温に近づいた場合は、MCU破壊を避けるため動作停止などのフェールセーフが必要でしょう。

最近のMCUは、温度計を内蔵しています。ADCで自身の温度を測り、「限界温度前の十分な余裕あるうち」にフェールセーフ処理実行が可能です。

ディレーティング、10℃2倍則

高温状態で信頼性が劣化するのは、MCUだけではなく、抵抗、コンデンサ、基板などの装置デバイス全てに及びます。装置内で消費電力が最も大きいMCUに高温影響が顕著に表れ、その異常症状が他のデバイスに比べ検出し易いだけです。

そこで、多くのデバイスから構成される装置を安全に運用するには、各デバイス最大定格の50%以下で使うのが良いとされ、これをディレーティング(derating)と言います。

また、周囲温度が10℃上がると、材料寿命が半分になる10℃2倍則(10℃半減則)もあります。

これらを考慮すると、人間同様IoT MCU装置も、十分な余裕がある適温で運用してこそ本来の機能を発揮し、かつ、装置寿命も保てると言えます。適温とは、参考資料1 Table 4.1 No.3の最も厳しいTj≤85℃の50%、つまり45℃~50℃位でしょうか?

筆者は、Windowsタスクマネージャーのパフォーマンスモニタで、半導体CPU/GPU温度が50℃を超えると、処理負荷を減らすかシャットダウンするようPC運用を心がけています。



RA用FSP v4.5.0リリース

2023年6月28日、RA用FSP v4.5.0同梱e2 studio 2023-04がリリースされました。FSPのみがv4.4.0からv4.5.0へ更新され、e2 studioは、前回更新2023-04と同じです。FSP追加機能が下記です。

FSP v4.5.0追加機能
FSP v4.5.0追加機能

Reality AIサポート

API自動生成ツール:FSP v4.5.0追加機能で目新しいのが、Reality AIサポートです。

Reality AIは、ルネサスRAファミリ用のAI開発ツールで、AI処理にはCortex-M7クラスMPUが必要と思われていたのを、低コスト、低消費電力なMCUでも人物検出やモータ故障検出などのAI処理を実現できる特徴があります。

関連投稿:AI MCU

e2 studio 2023-04

IDE本体:e2 studio 2023-04は、更新無しです。

従って、前回更新で驚かされたユーザインタフェース:「消えたプロジェクト選択リスト」も不変です。下記の通りFSP v4.5.0インストール直後のダイアログで全ての内容に✅を入れて確認しました。

e2 studioインストール直後のアクション
e2 studioインストール直後のアクション

FSP v4.5.0 AI Data Collector/Shipper API

FSP v4.5.0 User’s Manual(英文)は、コチラからダウンロードできます。FSP v4.5.0追加Reality AI機能は、AI Data Collector/Shipperの2個のミドルウェアAPIです。

FSPのNew Stackを展開すると、新たにData Collector/Shipperの2個Stackが追加されました。Arm CMCIS5 NN Library Sourceは、前版からありました。

FSP v4.5.0.で追加されたAI Statck
FSP v4.5.0.で追加されたAI Statck

具体的にこのミドルウェアAPIとAI関連StackでどうやってAI処理を実現するかは、e2 studio FSP Summaryタグのフクロウアイコンクリックで表示されるData Shipper Basic ExampleやData Collector Basic Exampleを見ても筆者には、良く判りません。

Summaryフクロウアイコンで示されるBasic Examples
Summaryフクロウアイコンで示されるBasic Examples

FSPの極簡単な利用方法は、1)Stack配置、2)Property設定、3)Generate Project Content、4)Basic Example流用です。しかし、AI処理は、この方法では判らないAI学習などがありそうです。別途アプリケーションノート参照が必要でしょう。

だた、これらAI関連は、現在未発売のRAファミリ最上位RA8シリーズ(Cortex-M85+Helium)用の先行サポートだと筆者は思います。

Summary:RA2/4/6プロジェクトFSP v4.5.0アップグレードOK

RA用FSP v4.5.0同梱e2 studio 2023-04がリリースされました。FSP のみv4.4.0からv4.5.0へ更新、e2 studioは2023-04のままです。

FSP v4.5.0追加機能は、最初に図示したReality AIなどですので、RA2/4/6シリーズには当面無関係、今後発売されるRA8シリーズ用だと思います。

従って、旧FSP開発RA2/4/6プロジェクトをFSP v4.5.0へ更新すると、下記ワーニング表示がありますが、問題なくビルド、デバッグができます。

FSPアップグレードワーニング
FSPアップグレードワーニング



ルネサスArduinoボードへRA4M1供給

Renesas RA4M1搭載Arduino UNO R4 Minimaボード(出展:スイッチサイエンスサイト)
Renesas RA4M1搭載Arduino UNO R4 Minimaボード(出展:スイッチサイエンスサイト)

ルネサスが、Arduinoへ出資後、初めてのArduino最新版UNO R4仕様RA4M1(Cortex-M4/48MHz、Flash/256KB、RAM/32KB)搭載Arduinoボード:Arduino UNO R4 Minima販売が始まりました(2023年6月27日)。

ルネサスArduino出資

ルネサスが、Arduinoへ出資したのは1年前の2022年6月14日。出資額は、10百万⽶ドル(1⽶ドル130円換算で約13億円)です。

その狙いは、オープンソースハードウェアArduinoボードへのルネサスMCU搭載です。

最新Arduino UNO R4仕様

Arduino UNO R4コネクタ(出展:スイッチサイエンス)
Arduino UNO R4コネクタ(出展:スイッチサイエンス)

最新Arduino UNO R4と普及版UNO R3仕様の比較は、Arduino UNO R4 Minima販売元:スイッチサイエンスの動画や、販売サイトに判り易く解説されています。

UNO R4は、UNO R3と上位互換性があり、最大24Vのボード電源入力へ拡張、ボード処理性能もRA4M1(R7FA4M1AB3CFM、Cortex-M4/48MHz、Flash/256KB、RAM/32KB)搭載で、R3比かなりの向上が見込まれます。

Arduino UNO R4コネクタ供給電圧は、UNO R3と同じ5V/3.3Vですので、殆どの既存Arduinoシールドがそのまま搭載できると思います。より高性能Arduinoボードを求めるユーザには、歓迎されるかもしれません。

関連投稿:Arduinoコネクタを持つMCU評価ボードが多い理由

ルネサスRA4M1

RA4M1ブロックダイアグラム(出展:ルネサス)
RA4M1ブロックダイアグラム(出展:ルネサス)

ルネサスRA4は、RAファミリRA2/4/6シリーズの真中性能に位置し、RA2の低消費電力性とRA6のパフォーマンス性を兼ね備えたシリーズです。RA4M1は、静電容量タッチセンサやLCDコントローラのHMIが搭載済みです。

関連投稿:RAファミリ発表

筆者は、5Vトレラントポートが多いRA2シリーズ(Cortex-M23/48MHz)がArduino UNO R4ボードに適すと思っていました。しかしこの予想は外れ、Cortex-M33/100MHz採用が多いRA4シリーズでは異質のCortex-M4搭載RA4M1でした。

Cortex-M4搭載のRA4は、RA4M1以外にRA4W1(Bluetooth 5.0)があります。このRA4W1が、無線対応Arduino UNO R4 WiFiボードになると思います。

RAファミリは、新Arduino仕様向けCortex-M4と、IoTエッジMCU向けセキュリティ強化Cortex-M33/M23の2種コアから構成されています。どちらも狙う市場は、IoTネットワーク末端コンシューマMCUです。

Summary:全方位供給ルネサス

普及版Arduino UNO R3のMCUは、16ビット以下、ここに32ビットCortex-M4のRA4M1を搭載し、最新版UNO R4仕様として発表したルネサスの狙いが成功するかは、少し時間が必要と思います。RA4M1ソフトウェア開発は、UNO R3のそれとかなり異なるからです。

従来ルネサスビジネスとは異なる動向であることは、コチラの記事が明らかにしています。筆者も、記事と同感です。

ルネサスが、従来ビジネスに拘らずArduinoやRISC-Vなど、全方位でMCUを供給しようとする体制へ変化しつつある兆しだと思います。



ニッポン固執Change

“Change before you have to” 、Jack Welch氏(米GE:CEO、1981年から2001年)の名言です。日本スマホメーカ破綻とRapidus記事、グローバル市場必須の日本製造業と技術者の今をJack Welch氏の名言から考えてみました。

Rapidus記事

Rapidusロゴ

2023年6月12日から始まった日経クロステック「半導体立国ニッポンの逆襲」、Rapidus特集記事の昨日までの目次です。

第1回:日本で先端半導体をつくるだって?! 突然の記者会見、6月12日
第2回:20年前にラピダスの原点、小池社長の苦い過去、6月13日
第3回:ラピダス設立に動いた経産省の青写真、6月14日
第4回:ラピダス設立に透ける米国の影、6月15日
第5回:IBMからの電話で始まったラピダスへの道、6月16日
第6回:難関とともに終わったラピダス設立会見、6月19日
第7回:ニッポン半導体再起動へ、3つのラストチャンス、6月20日
第8回:⽇本半導体復活戦略の出発点「熊本」、6月21日
第9回:経産省が⽬指す半導体復活への3ステップ、6月22日

毎日追記され、各2000文字前後の文字数です。気分転換や隙間時間に読むのに適した量ですので、是非ご自身でお読みください。

AI要約ではありませんが、筆者が昨日迄の全記事をまとめたのが下記です。

全体トーンは、経産省主導Beyond 2nmを目指す次世代半導体会社Rapidus成功に懐疑的。2030年市場規模100兆円達成には、人材確保・育成や製造・量産ノウハウなど課題クリア必須。過去の政府主導失敗経験を活かしたのは、半導体ユーザ製造業(トヨタ、NTT、Sonyなど)を加えた点。但し、政府700億円拠出に対し、ユーザ10億円以下で温度差あり。Rapidus成功の道は険しいが、半導体立国ニッポン最後で最大のチャンス。

関連投稿:Rapidus(ラピダス)

日本スマホメーカ破綻

中高年やデジタル弱者に人気のある「らくらくスマホ」(出展:FCNTサイト)
中高年やデジタル弱者に人気のある「らくらくスマホ」(出展:FCNTサイト)

デジタル弱者、特に中高年層に人気があり販売実績数も多い「らくらくスマートフォン」メーカのFCNTが、経営破綻しました。

破綻要因は、半導体不足による調達価格高騰、スマホ不況など色々あると思います。言えるのは、ニッポンに拘った製品は、日本市場Shrinkと共に消える可能性大と言うことです。もはや、日本市場だけで存続できる製造業はあるのでしょうか?

例えば、前章Rapidus出資のトヨタ、Sonyは、グローバル市場でも稼いでいます。NTTもKDDIとタッグを組んでIWON(Innovative Optical and Wireless Network)を研究開発し、狙いはワールドワイド通信キャリア市場です。

関連投稿:世界規模の宇宙センシングIOWN

つまり、日本製造業が生残るには、ニッポン国内の稼ぎだけでは少なすぎる訳です。この対策の1つが、かつてのライバルKDDIと共同で光電融合デバイスを開発するNTTの動きにも現れています。

民間企業だけでなく、人口減少が進む地方自治体でさえ、従来のやり方では破綻危機が予想されています。

Summary:Change Now

Change before you have to

日本製造業は、高性能、高品質、低価格なニッポン製品を世界中へ輸出、販売し稼いできました。この稼ぎ方は、製品性能を左右する高性能半導体や円安が前提です。円安は、逆に海外製半導体の購入には不利です。

※円安=輸出日本製品が、海外で比較的安く買える

Rapidusが、次世代半導体のニッポン製造に拘る理由は、円安・円高の為替相場に依存しない高性能半導体の国内安定・安価提供が目的だからです。

同様の動きは、欧州半導体法米国CHIPS法にも見られます。ローカライゼーション動向に見えますが、これら諸法に後押しされる欧米製造業は、元々グローバル市場が狙いの猛者たちです(←誉め言葉です)。

日本製造業と日本技術者が生残るには、Rapidus成功・失敗にかかわらず、グローバル市場への “Change before you have to” が今必要、と名言は警鐘を鳴らしていると思います。

Afterword:弊社Change

WordPressの本サイトは、多言語対応済みです。しかし、MCUテンプレートサイトは、日本語のみ、ここも多言語化したいと考えています。

それにしても、本稿投稿のきっかけになった、ガラパゴス携帯に続く人口比多数派中高年対応らくらくスマホ破綻、単にスマホ不況だけでは考えられません。日本≠弱者≠ビジネス切捨対象なら良いのですが…。
Change必要です!



RA用FSP v4.4.0同梱e2 studio 2023-04

RAファミリ用FSP v4.4.0同梱e2 studio 2023-04
RAファミリ用FSP v4.4.0同梱e2 studio 2023-04

2023年5月26日、RAファミリ最新版FSP v4.4.0を含むe2 studio 2023-04が公開されました。今回の2023-04から、ビルド、デバッグ対象を事前設定していたプロジェクト選択プルダウンリストが無くなりました。

消えたプロジェクト選択リスト

e2 studio 2023-01までは、プロジェクト選択プルダウンリスト(下図、太枠)で、ビルド、デバッグの対象プロジェクトを設定し、その後、🔨、🐞アイコンのクリックで対象ビルド、または、デバッグする手順でした。事前の選択リスト設定をうっかり忘れ、別プロジェクトをビルドした方も多かったと思います。

e2 studio 2023-04からは、このプロジェクト選択ダウンリストが無くなりました。

e2 studio 2023-04はプロジェクト選択リストが消えた
e2 studio 2023-04はプロジェクト選択リストが消えた

その代わり、Project Explorerでアクティブプロジェクトを選択するだけで、🔨、🐞アイコンも連動してアクティブに変わります。競合他社Eclipse IDEと同様の操作になった訳です。こちらの方が直接的で間違いも無いでしょう。

注)リリースノートには、本変更が記載されていません。e2 studio 2023-04を初めて起動した時、筆者は、このユーザインタフェース変更に驚き、リリースノートを改めて確認した程です。

e2 studioインストール後のアクション

e2 studio 2023-04インストールは、従来方法と同じ、ダイアログに従って操作すれば終了します。

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e2 studioインストール最後のダイアログは、リリースノートやWhat’s Newに、起動マーク✅がデフォルトで付いています。筆者は、これら✅を外し、Launch e2 studio?を✅に変えます。

通常、What’s New等は読まないためです。今回は、それぞれに目を通して印象に残った点を示します。

What’s New in “RA” e2 studio 2023-04

e2 studio 2023-04がサポートするルネサスMCUファミリは、RAファミリ以外にも6種あり、What’s Newには、これら各ファミリの変更内容が混合表記されています。この混合表記を止めるのが、What’s New冒頭のファミリアイコンです。

New in ”RA” e2 studio 2023-04
New in ”RA” e2 studio 2023-04

RAをクリックすると、RAのみの内容が抜粋されます。このWhat’s New in “RA” e2 studio 2023-04の中で印象的だったのが、Darkテーマ改善です。

Darkテーマへの変更は、e2 studioのWindows>Preferences>General>AppearanceでThemaプルダウンリストをデフォルトClassicからDarkへ変更し、Applyクリックです。Darkテーマが気に入ったら、Restartクリックで設定完了です。

元のClassicに戻すことも簡単です。Dark/Classic、お好みのテーマでe2 studioを使えば良いと思います。

Release NoteのLinux環境充実

久しぶりに見たリリースノートの中で印象に残ったのは、Linux環境へのインストール方法(English日本語)充実です。4Kなど高解像度モニタでのアイコン表示なども記載されています。

MCUクロス開発環境が、マルチプラットフォーム化しつつあるのを実感しました。

Afterword:変化へ順応

従来e2 studio利用のコツだったビルド、デバッグ手順の変更、突然でした。コツ不要になったので、👍と評価します。使い慣れたツールでも、今回のようにHMIが突然変わることがあります👎。

順応のため、通常あまりチェックしないリリースノートやWhat’s Newを見ました。その結果、得られた事柄もあり、プラスマイナス0とします。



IoT MCUスキル習得方法

MCU開発に英語は必須です。どうすれば英語を学習できるのか?について、良い記事を見つけましたので紹介します。

ツール前提の新しい英語学習方法

米国で生活して実感した「英語学習」のオワコン化、2023年5月11日、日経XTECH

要旨

  • 求められるのは、日本で学習できる英文法や英会話ではない
  • 世の中に出回る便利ツールを知り、それを使いこなす能力、技術進化を素直に受け入れる姿勢必須
  • 技術進化の急激な領域は、ツール進化を前提に新しい英語学習方法が必要

英語学習便利ツール

  • Google翻訳/Googleレンズ翻訳
  • YouTube日本語字幕
  • DeepL機械翻訳
  • Grammarly英文法チェック
  • ChatGPT AIヘルプ

実体験に基づいた迫力ある記事です。是非読んで、英語学習、MCU開発に活かしてください。

従来学習・習得方法の限界

暮らしに英語が必要なのは、昔から変わりません。むしろ、世界に於ける日本地盤低下に伴い、英語の重要性は、益々高まりつつあります。

しかし、英語の学習・習得方法は、旧態依然です。この旧態依然傾向は、日本教育界だけでなく年齢を重ねるにつれて強くなります。年と共に頑固になる傾向が人間にあるからです。

その結果、日本人は英語が苦手です。

さて、このオワコン化した日本の英語学習とMCU開発は、同じ状況です。

英語学習オワコン化と現状MCU開発は同じ状況
英語学習オワコン化と現状MCU開発は同じ状況

従来のベアメタル開発に集中できた時代は終わり、AI、セキュリティ、RTOSなど様々な新しい技術が開発に必要です。しかも、各新技術の進化、発展が激しいIoT MCU時代へ変わりつつあります。

従来の学習、習得方法では、新技術の進化、発展へ追随するのは、非効率です。但し現代は、非効率さを改善する新しいツールが必ず生まれます。

重要なのは、この新しいツールを知り、使い、ツール活用による新技術学習・習得の結果です。習得順番や従来方法へこだわっていると、世界のIoT MCU開発に遅れる状況になります。

Summary:IoT MCUスキル習得方法

学問に王道なし。

学びに基礎が重要なのは、どの時代でも変わりません。基礎が無いと、上層技術の積み重ねが困難だからです。MCUならベアメタル開発です。記事の英語で言えば、英文法や英会話でしょうか?

これら基礎は、基礎ゆえに不変で、いつでも学び直すことができます。

各種ツールを使い上層技術を経験した後で、基礎技術不足を感じた場合は、その時点で基礎を再学習しても遅くはありません。

王道の歩み方は、各種ツール利用で柔軟に変化しても良い訳です。

IoT MCU技術進化のスピードは、基礎だけでは立ち行かない状況になりつつあります。求められるのは、上層新技術対応ツールとツール利用能力、上層技術から基礎を俯瞰できる能力です。

俯瞰の結果、不足基礎技術の補強を行えば、ツール利用で得た新技術が、身に着いた本当のスキルに変わると思います。

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