AI基本のキ:Gemini 3モデルの使い方

前投稿Geminiの3モデル(Flash-Lite/Flash/Pro)を示しました。現在は3モデルがある理由と、主な利用シーン、具体的な使い方を示します。

Gemini Flash-Lite/Flash/Proの使い方
Gemini Flash-Lite/Flash/Proの使い方

Gemini 3モデルの理由

現在Geminiに3モデル(Flash-Lite/Flash/Pro)がある理由は、AI利用の「コスト」「応答スピード」「推論の深さ・正確さ」のバランスが、ユーザが与えるタスクによって大きく異なるためです。

全てを最高性能モデルGemini Proで処理すると、時間と費用(トークン)がかかりすぎます。逆に、簡易モデルFlash-Lite処理では、複雑な分析や精度を求める作業は無理です。

つまり、ユーザ自身がタスクによりGeminiモデルを使い分ける必要がある訳です。

Gemini 3モデルの主な利用シーン

3モデルの主な利用シーンが下表です。処理コスト(トークン)は、Proになるほど多くなります。

モデル 主な利用シーン ユーザ選択の理由
Flash-Lite メール分類、データ抽出、FAQ自動応答、大量要約 コストを抑え、一瞬で処理したい
Flash 日常の調べ物、標準的な文章作成・翻訳、一般的なコード記述 待ち時間を短くしつつ、質の高い回答が欲しい
Pro 複雑なコードのデバッグ、法律・財務文書の精査、戦略提案 時間をかけてでも、失敗できない高度な判断が必要

Gemini 3モデルの出力具体例

3モデルの回答具体例を示します。

プロンプト例:注文商品と違う色が顧客に届き、梱包も破れていた。顧客から明日のイベントに使う予定だったため返金と代替品の即日発送を求められている。また過去の注文履歴にもトラブルがあった顧客メールに対し、今後の対応方針と返信文案を作成して。

3モデル解答例:

  1. Flash-Lite(超高速・定型処理)
    • 対応スピード:数十ミリ秒レベル(一瞬)
    • 出力内容:「商品違いと梱包不良のお詫び」「交換または返金手続きの案内」といった標準的でシンプルなテンプレ返信文案を素早く作成。
    • 弱点:複雑な背景(過去のトラブル歴や顧客感情ケア、社内調整の個別方針)まで汲み取った柔軟な提案は浅くなる。
  1. Flash(標準・汎用思考)
    • 対応スピード:12秒程度
    • 出力内容:顧客の怒りや緊急性に配慮した丁寧な返信文案を作成し、「1. 即日発送の可否確認」「2. 返金手続きの手順」「3. 次回使えるクーポンの進呈提案」など、一般的なカスタマ視点での対応策を網羅的に提示。
    • 実用性:日常的な業務の9割はこのレベルで十分な品質に達す。
  1. Pro(高度推論・コンサルティング能力)
    • 対応スピード:数秒〜数十秒(熟考してから出力)
    • 出力内容:返信文案にとどまらず、多角的な分析と提案を行う。
    • リスク分析:「過去のトラブル履歴から見た顧客離脱リスク」と「社内運用コスト」のトレードオフを考察。
    • 段階的アクションシナリオ:「即日発送が不可能な場合」の代替案(当日配送便の手配、近隣店舗での引き渡し等)の分岐条件を整理。
    • 再発防止策:梱包プロセス・検品プロセスのどこにボトルネックがあったかの仮説出し。

これらGeminiモデルの特徴を理解していれば、例えば、「最初にFlash-Liteで問い合わせメール緊急度を分類し、難易度の高い案件だけをProに引き渡し対応」といったモデル連携をユーザが行うことで、品質を維持しながら処理コストを削減することもできます。

SummaryGemini 3モデルの使い方

Gemini 3モデル(Flash-Lite/Flash/Pro)には特徴があります。

Gemini Pro(最上位・最高精度)   
特徴: 高度な論理推論、複雑なコーディング、マルチステップのデータ分析に特化したモデル。

Gemini Flash(標準・ベストバランス)   
特徴: 速度・コスト・精度のバランスが優れており、日常的なタスクや一般的な業務を高速で処理できる主力モデル。

Gemini Flash-Lite(超高速・最安値)   
特徴: 圧倒的な低コストと爆速レスポンスで、単純なテキスト処理や大量データの高速選別・分類に特化したモデル。

ユーザは、3モデル特徴を理解し、与えるタスクにより3モデルを使い分け、3モデルを連携し回答品質を維持しながら処理コスト削減を行うなどのAI利用工夫が現状必要です。

Afterword:動画生成AI Gemini Omni出力例

AI動画生成Gemini Omniが8月4日まで期間限定で無償利用できます。本件を10秒動画にしてみました。ご参考まで。



AI基本のキ:Gemini Notebook発表の考察

NoteboolLMからGemini Notebookへリブランディング
NoteboolLMからGemini Notebookへリブランディング

以前の投稿:AI基本のキ:GeminiとNotebookLM、Copilotでは、GoogleMicrosoftAIサービスの基本的な違いについて解説しました。2026716日、Google AIに大きな動きがありました。Google提供のリサーチ支援ツール「NotebookLM」が、「Gemini Notebook」へと名称変更(リブランディング)されたのです。

本稿は、このリブランドに伴う進化と、同じタイミングで発表されたGeminiモデル自体の最新アップデートについて整理し、「激しく早いAI進化に対し、我々ユーザはどう対応すべきか」という観点で考察します。

NotebookLMから「Gemini Notebook」への進化

716日、GoogleNotebookLMを「Gemini Notebook」に改名しました。これは単なる名前の付け替えではなく、独立していたNotebookLMを、Geminiブランド中核のGoogle AIエコシステム:Gemini Notebookへと格上げしたことを意味しています。

Gemini Notebookの主な進化点が以下です。

  1. 読むAIから実行するAIへ:

従来NotebookLMの主な機能は、資料の要約や対話(読解)でした。新機能として「コード実行機能」が追加されました。各ノートブックに安全なクラウドコンピュータ環境が割り当てられ、AIが資料に基づいてPythonコードを記述・実行し、複雑なデータ集計や統計分析を行うことが可能になりました。

  1. AIエコシステムとの完全連携:

Geminiアプリ内から直接ノートブックを作成・アクセスできるようになり、双方向でシームレスに同期されます。今後は、Google検索の「AIモード」からも直接利用できるようになる予定です。

  1. 特徴は不変

ユーザが読み込ませた資料のみを情報源とする「ソースグラウンディング(根拠に基づく回答)」という最大の特長は、そのまま引き継がれてます。

Geminiモデル自体の劇的進化

前章Gemini Notebookの裏側で動作するAIモデル自体も、驚異的なスピードで進化を続けています。2026722日には、高速・低コスト帯の最新モデル「Gemini 3.6 Flash」と「Gemini 3.5 Flash-Lite」が登場しました。

Gemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Lite追加のGeminiに相談画面例
Gemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Lite追加のGeminiに相談画面例
  1. 17%の効率化と値下げ:

Gemini 3.6 Flashは、前世代の3.5 Flashと比較して出力の無駄を17%削減しつつ、トークン単価も引き下げられました(引き続き無料トークンもあります)。

  1. 精度の向上:

コード修正の正確さ(DeepSWE)は37%から49%へ、PC操作の代行能力(OSWorld-Verified)も78.4%から83%へと大きく向上しています。AIエージェントの進化です。

  1. ユーザインターフェース:

実際の「Geminiに相談」画面例(上図)を見ると、用途に合わせて「3.6 Flash(あらゆる場面でサポート)」や3.5 Flash-Lite(すばやく回答)」などを簡単に切り替えて利用できるようになっています。

AI進化に翻弄されないユーザ対応の考察

これほどまでに激しく早いAIの進化に対し、我々ユーザはどう向き合うべきでしょうか? 筆者は、AIツールの根底特性(ポイント)を理解していれば、新機能が登場しても迷わないと思います。

  1. 目的と情報源を明確にする:

ネット全体の広範な知識が必要なら「Gemini」、手元の資料を深く分析・整理したいなら「Gemini Notebook」という使い分けの基本は変わりません。リブランドによってこの境界はよりスムーズになりましたが、何に基づいてAIに回答させるかを明確にし、使い分けることが重要です。

  1. AIアシストを使いこなす:

新しく加わったコード実行機能や、AIが自律的に推論するAIエージェント機能は、ユーザの生産性を大きく引き上げます。それでも、AI提案や回答の採否を決めるのは、ユーザ自身を忘れないことです。

  1. 変化を恐れずAIツールを試す:

「名前が変わった」「モデルが新しくなった」というニュースに圧倒されるのではなく、先ずはツールに触ってみることです。Gemini Notebookのように、過去のデータはそのまま引き継がれ、操作感も改善されているケースがほとんどです。

SummaryAI基本のキ:Gemini Notebook発表の考察

AIの導入や進化を脅威と感じることは不要です。AIは、ユーザ課題解決の1手段に過ぎないからです。

Gemini Notebookという強力な「実行可能リサーチ拠点」を手に入れた今、ユーザはこれまで以上に高度なアウトプットを短時間で生み出せる環境にいます。AIモデルの低コスト化・高効率化(Gemini 3.6 Flashなど)により、Google AIエコシステムはより身近な存在になりました。

重要なのは、最新のAI情報を追いかけるのではなく、「今の自分にとってどのツール・機能が有効かを見極め、俯瞰的にポイントを押さえ柔軟にAIを活用する姿勢」だと思います。使ってみないとツールの良し悪しは判らないものです。



AI PC移行期の選択

2026年7月Windowsバージョンシェア推移(出典:出典:statcounter)
2026年7月Windowsバージョンシェア推移(出典:出典:statcounter)

20267月現在のWindowsバージョンシェアです。ポイントは、Win10Win11のシェア変化が連動すること。つまり、Win10ユーザのWin11アップグレードかWin10への復帰、または、MacOSLinuxなど別OS選択、が想像できます。AI PC移行を前に、PCユーザが選択するOSの迷いが現れています。

本稿は、弊社がWin11を継続利用する訳を説明します。

7Win PC Update成功

弊社所有4PCは、全てWindows2台のみWin11アップグレード要件を満たします。残り2台はRufus手動アップグレードWin11です。これら4PCの全てが7Updateに成功し最新Win11 25H226200.8875)へ更新完了しました。

2026年7月Windows Updateは4PC成功
2026年7月Windows Updateは4PC成功

関連投稿:Rufus活用Win11アップグレード方法、セキュアブートを満たさないWin PCのその後

自己責任ですが、Rufusなどのツールを使えばアップグレード要件を満たさないWin10 PCでも最新Win11を安定して使えることが判ります。

AI PC移行期のWin継続利用メリット

AI PC移行期の今は、Windowsを使い続けることがコスパに優れた現実的な選択である理由が下記です。

  1. 圧倒的OSシェアと周辺機器互換性

Windows/MacOS/Linuxシェアを比べると、圧倒的にWindowsが優勢です。従って、Officeツールや主要開発環境、各種周辺機器もWindowsが前提で提供されます。現状、Windowsから他OSへ移行すると、ツール不動作や周辺機器買い直しなどのトラブルがあり得ます。

  1. 現状Windows延命が可能

前章で示したようにWin11アップグレード要件を満たさないPCでも、工夫次第で最新セキュリティアップデートを受けつつWin11で使い続けることが可能です。Microsoftは、Win10で好評だったタスクバー位置の上下左右配置機能をWin11でも復活させる予定です。

  1. AIエージェントがWindows利便性を縮小

数年後にはAIエージェントに動作を告げると所望処理ができるAI PC時代になるでしょう。優勢だったWinユーザ利便性は減少し、どんなPC OSでも同じようにユーザが使える時代が始まります。例えると、Edge/Chrome/Firefoxなど基本動作は同じ、好みの差が僅かにあるのブラウザと同様です。

ローカルAI PC処理能力そのものは、OSよりも動作ハードウェアに大きく依存します。だからこそ、Winユーザは次期OS選択も含め新しいAI PCハードウェア購入を暫く待つ方が得策だと思います。

SummaryAI PC移行期の選択

AI PC移行後はAIエージェントがOSの役目を果たす
AI PC移行後はAIエージェントがOSの役目を果たす

AI PC移行期のOSについて、Windowsユーザなら継続利用がコスパに優れた現実的な選択である理由を示しました。

ユーザがどの程度のローカルAI処理を求めるかにより調達AI PCハードウェア価格が決まります。また、従来のWindows優位性は、AIエージェントにより今後縮小するでしょう。さらに、AI処理のクラウド利用料金やローカル/クラウド役割分担は、現状、不明確です。

従って弊社などのWinユーザは、次期OS選択も含め新しいAI PCハードウェア購入は「待ちが得策」だと思います。

Afterword:先進Apple PCハードウェアとお節介なCopilot+サービス

Apple PCは、数年前からAI PCを見据えユニファイドメモリアーキテクチャ膨大メモリ量のハードウェア設計です。但し、調達価格も巨大ですが…。ハード/ソフト一括提供メリットをAI PC時代にも維持できるかもAI PC選択の重要事項です。

一方、MicrosoftCopilot+ PCでお節介(!?)AIサービスを提供中です。両者のAI PCアプローチの違いが良く解ります。



縦長・薄型EVO-X3発売

薄型・縦長EVO-X3発売
薄型・縦長EVO-X3発売

202676日、AMD Ryzen AI Max+ 395搭載EVO-X3が発売されました。GMKtec社ハイエンドミニAI PC EVO-X22025/4/15発売)の縦長・薄型進化版です。

EVO-X3対旧EVO-X2

EVO-X3対旧EVO-X2スペック差で目立つのは、上図からOCuLink追加、USB4x1削除、SDカードスロット削除、LEDライト削除、しかし、フルメタル化した筐体容量は2.7Lと新旧同一である点です。

同一容量のEVO-X3(左)とEVO-X2(右)の筐体
同一容量のEVO-X3(左)とEVO-X2(右)の筐体

2.7Lの内訳は、353 × 186 × 41 mm(スタンド除く)と縦長・薄型化し、2.3kgで縦置き設置です。よりAI開発向きに進化したようで、その進化内容は次章で分析します。

EVO-X32TB SSDで比べると、EVO-X2より$300(約49,000円)価格上昇。先行発売特価で576,576円です。

EVO-X3進化分析

EVO-X3の進化内容を分析します。

EVO-X3インタフェース
EVO-X3インタフェース
  1. 縦長・薄型による設置デスク面積削減

EVO-X3EVO-X2と同じ筐体容積は2.7Lです。縦長筐体にすると薄型になり、デスク上の設置面積は小さくなります。193 × 185.8 × 77 mmEVO-X2より省スペース性に優れます

  1. フルメタル筐体による放熱効率化

筐体底面や側面から入った冷たい空気は、内部デバイスを冷やし背面上方・下方の排熱口からファンにより強制排出されます。薄型化により、発熱デバイスと外気の物理距離が近くなり、フルメタル化による筐体自身のヒートシンク効果も期待できます。

  1. OCuLinkによるAI処理能力追加

外付けGPUの増設を容易にするOCuLinkにより、より高いAI処理能力の追加要求に対応できます。

つまり、ローカルLLMなどの高負荷AI処理でも熱ダレせず長時間・安定動作し、更なるAI能力もOCuLinkで加えられるAI開発向きに正常進化したのがEVO-X3と言えます。

Summary:縦長・薄型EVO-X3発売

7月6日EVO-X3発売
7月6日EVO-X3発売

縦長・薄型に進化したEVO-X3を旧EVO-X2スペックと比較しその進化内容を分析しました。同じ高性能なAMD Ryzen AI Max+ 395搭載ミニAI PCですが、筐体の縦長・薄型化により省スペース性は増し、高負荷AI処理でも長時間安定動作、更なるAI能力追加可能なOCuLinkなどAI開発向きに進化したEVO-X3が判りました。

Afterword:縦長がミニAI PCトレンド

Minisforum AtomMan G1 PRO
Minisforum AtomMan G1 PRO

省スペースが売りですが熱的に厳しいミニAI PCは、縦長が最近の筐体トレンドです。発熱デバイスを重なりが無いよう配置し、ヒートパイプや外気で直接デバイスを冷やし、放熱も効率的な縦長が適すからでしょう。

AIの隠れ主役はDRAM:「3つの壁」と新技術

AI進化を支えるDRAMの3つの壁と新技術
AI進化を支えるDRAMの3つの壁と新技術

AI PCの要は、CPU/GPU/NPUなのでその性能を示すTOPS値が注目されます。しかし、AI時代の隠れ主役はDRAMDynamic Random Access Memory)が解る2記事を紹介、簡単にまとめました。

AI時代の隠れ主役はDRAMが解る2記事

  1. DRAMの歴史から最先端、そして未来へ2026/06/15、マイナビニュース
  2. AI学習モデルでメモリが重要な理由2026/07/01、マイナビニュース

記事1は、DRAMの変遷とAI時代におけるDRAMの役割について記述しています。記事2は、AI処理の隠れ主役DRAM3つの壁:容量、速度、帯域と、壁打開の新技術について詳しく説明しています。

著者の白竹 茂氏は、メモリ分野の長い開発経験を持つMicronDRAM部門責任者の方ですので、記事は読み応えがあります。そこで、DRAM3つの壁と打開新技術について次章から簡単にまとめます。

AIモデル肥大化と3つのDRAMメモリ壁

生成AIの進化は、人間の脳を模倣した「パラメータ」の数に依存します。このパラメータ数は数千億から数兆に達し、モデル自体が数百ギガバイトの巨大なデータ塊となります。

この巨大モデルを瞬時に展開し、プロセッサ(CPU/GPU/NPU)が超高速アクセスできなければ、AIは「思考」を始めることすらできません。ここで直面するのが、DRAMの「容量」、「速度」、「帯域」という3つの物理的メモリの壁です。

  1. 容量の壁:AI知識量を決定するワーキングメモリの広さ

AIモデルのパラメータ数が増加するとモデルを単一メモリに収めることが困難になってきます。

例えば、一度に学習するデータ量「バッチサイズ」を大きくすれば、並列処理の効率は上がりますが、その分だけ広大なメモリ容量が必要になります。メモリの容量不足は、モデルを複数メモリに分割配置するなどの高度で複雑な対策を強いることになります。

これらパラメータ調整が、AIの学習プロセスでは絶大な影響を与えます。「広大なワーキングメモリ(=作業机)」があれば、調整が上手くでき最適なAI学習が可能です。

  1. 速度の壁:プロセサ空き時間をゼロにする

プロセサが計算を行う際、上記DRAMの「作業机」からデータを取り出し、書き戻す作業を絶えず繰り返します。このDRAMアクセスの遅延(レイテンシ)が大きいと、超高速なプロセサであってもデータ待ちによる「空き時間」が生じ、処理能力が著しく低下してしまいます。

  1. 帯域の壁:AIシステム性能を決めるデータ転送太さ

たとえプロセッサの計算能力が無限であっても、メモリからデータを供給する「通り道」が狭ければ、深刻な渋滞が発生します。これが帯域の壁です。

特に複数プロセサでモデルパラメータをどう修正すべきかという方向性(勾配情報)を同期する際、このプロセサとメモリ間の帯域不足は、AIシステム全体性能の決定要因となります。

DRAMメモリ壁の打開策

DRAM開発現場では、これらのメモリの壁を「ソフトウェアの工夫」で乗り越える試みが続いています。 例えば、メモリ不足(Out Of Memory)でエラーが出る場合は「勾配累積(Gradient Accumulation」という手法を使います。これは、小さなバッチで計算した結果をメモリ上で足し合わせることで、少ないメモリ容量のまま、実質的に大きなバッチサイズで学習したのと同じ効果を得るテクニックです。

一方、このメモリの壁を「ハードウェア側から打ち破る新技術」:切り札として期待されているのが、HBMHigh Bandwidth Memory)とCXLCompute Express Linkです。

  • HBM: DRAM3次元的に積層し、プロセッサのすぐ隣に配置することで物理的な距離を短縮。最新のHBM4では2TB/sという驚異的なデータ転送を実現しています。
  • CXL: CPUGPUがそれぞれのメモリ空間を共有できるようにする新規格です(ユニファイドメモリアーキテクチャ)。これにより、個別のデバイスに縛られない柔軟な「容量の壁」の突破が可能になります。

SummaryAIの隠れ主役はDRAM:「3つの壁」と新技術

AI時代の隠れ主役DRAM記事を紹介し、AI進化の運命を握る「3つの壁」とこれらを打開する「ハードウェア新技術」を示したのが最初の図です。

DRAMは単なるプロセサの一時記憶装置ではなく、AI思考速度と深さがDRAM性能に直結し、膨大なAIデータをプロセサへ供給する「隠れた主役」です。DRAM性能を理解し、パラメータバランス最適化が、次世代AI開発の成否を分ける鍵となる、とメモリ大手Micronの白竹 茂氏は解説しています。

Afterword:高性能DRAMは引っ張りだこ

メモリ価格高騰の背景は、AIシステムの総合性能を決めるのが容量、速度、帯域の壁を破った高性能DRAMメモリだからです。現在クラウド側は、メモリ高性能化を急速に進めています。エッジ側メモリ価格が落ち着くまでは、暫く時間が必要でしょう。



EVO-T2S対EVO-X2比較

Intel EVO-T2S対AMD EVO-X2
Intel EVO-T2S対AMD EVO-X2

Intel最新Core Ultraシリーズ3搭載ミニAI PCの「EVO-T2S」詳細レビュー記事に、AMD Ryzen AI Max+ 395搭載機とのベンチマークがあります。記事を元に、ミニAI PCとして33万円を投資するならCore Ultraシリーズ3EVO-T2SRyzen AI Max+ 395EVO-X2どちらが適すか比較・評価しました。

Core Ultraシリーズ3とは

Core Ultraシリーズ3は、Intel20261月に発表した最先端「Intel 18A」プロセス採用の最新プロセサです。シリーズ2よりもAI処理能力と電力効率を高め、トータル180TOPS能力を価格重視のメインストリームプロセサへも展開します。本稿のEVO-T2Sは、Core Ultra X7 358H搭載マシンです。

Intel Core Ultraシリーズ3ラインナップ(出典:Intel-CES2026-Core-Ultra-Series-3-Press-Deck.pdf)
Intel Core Ultraシリーズ3ラインナップ(出典:Intel-CES2026-Core-Ultra-Series-3-Press-Deck.pdf)

EVO-T2Sレビュー記事概要

EVO-T2Sは、Core Ultra X7 358H64GB LPDDR5X 8533MT/sPCIe 4.0 1TB SSD搭載で本体重量950g、セール価格323,999円です。2.5G/10GLANポート2本、OCuLinkが特徴のインタフェースです。

Intel EVO-T2インタフェース(出典:GMKtec)
Intel EVO-T2インタフェース(出典:GMKtec)

記事中盤からEVO-T2SRyzen AI Max+ 395搭載MS-S1 MAXのベンチマークが比較されています。

各種ベンチマーク結果から、16コア/16シングルスレッドのCore Ultra X7 358H16コア/32マルチスレッドのRyzen AI Max+ 395、内蔵GPUIntel ArcRadeon 8060S、メモリバンド幅などIntelAMDのローカルAIプロセサ性能差が明確に表れています。

つまり、Core Ultraシリーズ3は、シリーズ2より高性能・効率化しましたが、AI処理能力ではRyzen AI Max+ 395に及ばないことが判ります。

記事後半は、EVO-T2Sに中規模LLM64GBオンボード用で大規模LLMではない点に注意)利用の専用ソフトが付属しているため、マシン購入後直ぐにローカルAI PC活用が可能なことも判ります。

対抗機Ryzen AI Max+ 395搭載EVO-X2選定理由

Ryzen AI Max+ 395搭載ミニAI PCは、記事掲載のMS-S1 MAX 以外にも多くの製品があります。これらの中でEVO-T2S対抗機として、同じGMKtec社のEVO-X2を選びました。64GB/1TB SSDと製品仕様が同じで価格も324,990円と非常に近いからです。

Ryzen AI MAX+ 395搭載ミニPC(出典:GMKtecメール)
Ryzen AI MAX+ 395搭載ミニPC(出典:GMKtecメール)

AMD AI CPU 

Cores /
Threads 

Boost2 / Base
Frequency 

Cache 

Graphics Model 

TDP 

NPU
TOPS 

Ryzen AI Max+ 395 

16C/32T

Up to 5.1 / 3.0 GHz

80MB

Radeon 8060S

45-120W

50 

SummaryEVO-T2SEVO-X2比較

同額33万円のEVO-T2SEVO-X2の比較評価をまとめます。

製品
APU

EVO-T2S
(Intel Core Ultra X7 358H)

EVO-X2
(AMD Ryzen AI max+ 395)

CPU動作

16コア/16スレッド

16コア/32スレッド

メモリ容量

64GB(オンボード)

64GB(オンボード)

メモリ仕様

LPDDR5X-8533MT/s

LPDDR5X-8000MHz

メモリ帯域

128bit(一般的)

NPU/GPUユニファイドメモリ
AMD Strix Halo

APU総合TOPS

180 TOPS

126 TOPS

消費電力

最大54W

最大120W

AI PC導入

対応ソフトプリインスト済み
GMKtec Claw, herdsman

ローカルAIユーザ構築必須

価格 (64GB)

323,999(セール時)

324,990円(アマゾン)

ローカルAI PCLLM処理は、CPU/GPU/NPU動作ボトルネックを生まないメモリ帯域が最重要です。

Intel Core Ultraシリーズ3Core Ultra X7 358Hは、上表に示すAMD Ryzen AI Max+ 395よりも一部で優れた仕様があるものの、様々なAIアシスタント開発を試すAIエンジニアには、Strix Halo採用でメモリ帯域の広いEVO-X2が適すと思います。

一方、一般ユーザやビジネスマンには、EVO-X2よりも低消費電力でLLM環境構築が付属ソフトウェアで容易、ローカルAI PC動作を直ぐに試せるEVO-T2Sが適します。

ローカルAI PC同期の課題

取っ手付きミニAI PCが増えてきました。また、Snapdragon X2シリーズ搭載Surface LaptopRyzen AI 400搭載ノートAI PCなど、最新・高性能ローカルAI PC選択肢も増えつつあります。複数のローカルAI PC同期、そしてAI PC運用形態の今後について考察しました。

取っ手付き高性能ミニAI PC

取っ手付き高性能ミニAI PC:MINIX ER939-AI Pro(左)とASrock AI BOX-A395(右)
取っ手付き高性能ミニAI PC:MINIX ER939-AI Pro(左)とASrock AI BOX-A395(右)

近年、デスクトップ級の処理能力を持ちながら、筐体に「取っ手(ハンドル)」が備わった高性能ミニPCが増えてきました。

これらはAMD Ryzen AI Max+ 395などの強力なAPUや、80TOPSの高性能NPUを搭載しており、単独のローカルAI環境で大規模言語モデル(LLM)や画像生成AIなどの高度ローカルAI処理を十分に実行できる性能を持っています。

最大のメリットは、ローカルAI PCの可搬性です。

80TOPS NPUを持つSurface ProとLaptop(出典:Microsoft)
80TOPS NPUを持つSurface ProとLaptop(出典:Microsoft)

自宅やオフィス、あるいは出張先やイベント会場などへ高性能ミニAI PCやノートAI PCを持ち込めば、高速でプライベートなAI環境を場所に依存せず使え、クリエイターやエンジニアに理想的な選択肢となります。

ローカルAI PC同期

このような高性能ローカルAI PCを複数所有する場合、あるいは既存デスクトップPCやノートPCと併用する場合は、「ローカルAI環境の同期をどうするか」という問題が生じます。

ローカルAI PCの同期には、単なるファイルのバックアップを超えたいくつかの要素があります。

  1. チャット履歴・設定の同期AIアシスタント対話ログや、プロンプト、AIシステム設定の同期。
  2. ナレッジデータベースの同期ユーザドキュメントなど固有ナレッジデータベースの同期。
  3. モデル重み付けの同期微調整(Fine-tuning)などカスタマイズAIモデル重み付けデータの同期。

これらの同期には、GitGoogleドライブ、OneDriveなどの各種クラウドストレージ経由が一般的です。しかし、ナレッジデータベースや重み付けAIモデルは、容量が大きくなる傾向があるため、ネットワークでの高速なP2P同期ツールなどを活用し、差分データのみを効率的にバックグラウンドで同期させるなどの仕組みが運用の鍵となります。

AIアシスタントはローカル/クラウドどちらが便利か

AI PC同期環境を考えるにあたり、そもそもAIアシスタントは「ローカル」と「クラウド」のどちらで運用するのが便利か、それぞれの特性を比較します。

  • ローカルAIアシスタント(AI PC
    • メリット機密情報や個人情報をクラウドへ送信しないプライバシー保護、オフライン動作、通信環境に左右されない低レイテンシ、AI利用料不要。
    • デメリットAI PCハードウェアの初期高額投資、ユニファイドメモリ容量制限、最新クラウド情報を利用しないリスク。
  • クラウドAIアシスタント(OpenAI, Anthropic等)
    • メリット常に最新モデル(GPT-4Claudeなど)を利用可能、スマホや低スペックPCでも最新モデルアクセス可能、アカウント1つでローカルAI PC同期・バックアップ可能。
    • デメリットクラウドサーバーの機密データ漏洩リスク、インターネット必須、API利用料やAI利用料の継続的な発生。

つまり、通常の機密情報処理、特定業務のカスタマイズ処理、さらに通信環境に依存しないAI処理を行う場合は「ローカル」が圧倒的に有利です。一方、リソース無視の超高度推論、ローカルAI環境同期、バックアップの観点からは「クラウド」が便利です。

Summary:ローカルAI PC同期の課題

AI PC ローカル・クラウドハイブリッド運用イメージ
AI PC ローカル・クラウドハイブリッド運用イメージ

取っ手付き高性能ミニAI PCや高性能ノートAI PCなどのローカルAI PC運用は「ローカルAI PC同期」が、非常に重要な課題と考えます。

大容量モデルデータやナレッジデータベース同期は、ネットワーク帯域やストレージ容量制限が伴うものの、差分同期ツールや環境コンテナ化によってクラウド同期・バックアップに期待し、AI PC可搬時の「同一クラウドAIアシスタント利用」も実現できると思います。

今後のAI PCは、「高いプライバシーと機密性を保持するローカルAI PCをメインの思考・作業エンジン」としつつ、必要に応じて「超高度AI処理をクラウド」へアウトソーシングする「ローカル・クラウドのハイブリッド運用」が、先進的エンジニアやクリエイターのスタンダードになっていくと考えます。

Afterword:下記関連投稿も参照ください

  1. ローカルAIとメモリ量相関(2026年版)2026/06/05
  2. AI PCメモリ要件2026/05/15
  3. x64コア電力効率改善2026/05/08

古いブート信頼構成PCのその後

古いセキュアブート証明書の有効期限が切れる6月にWindows PCが起動しない可能性がある、と騒がれたのは今年4月でした。新しいAI PC購入を前投稿の理由で暫く待つ弊社には、既存PC不起動は大問題です。

この既存PCセキュアブート4月状況と対策が下図に示したコチラの投稿でした。本稿は、不起動懸念PCの続報です。

4PCセキュアブート状況
4PCセキュアブート状況

更新する必要がある古いブート信頼構成のPC

上図2番目のセキュアブートオンで更新する必要がある古いブート信頼構成Win11 25H2 PCは、5Windows Updateで古い証明書が更新され、610Updateも無事成功、OSビルドは最新26200.8655になりました。

つまり、手動での古い証明書更新は不要で、最新Win11 25H2 PCとなりました。

RufusアップグレードのPC

上図3番目のRufus手動アップグレードPCも、同様に何の問題も無く最新Win11 25H2 PCになりました。

Summary:古いブート信頼構成PCのその後

セキュアブート起動懸念のあったWindows PCのその後は?
セキュアブート起動懸念のあったWindows PCのその後は?

セキュアブート証明書の有効期限が切れる6PC不起動懸念のあった古いブート信頼構成、および、Rufus手動アップグレードPCの全てが、6Windows Updateの最新OSビルド26200.8655更新に成功し、今日現在、正常に起動・運用中です。

もちろんWindows PCの運用にセキュアブートは要件です。しかし、様々な事情で最新PCが入手できないユーザには、要件を満たさない既存PCを継続利用するRufusのような便利ツールが多いのもWindows PCの特徴です。AI PC購入までは、各種ツールを利用し既存PCを運用したいと思います。

ローカルAIとメモリ量相関(2026年版)

AI PCのローカルAI処理とメモリ量相関(2026年版)
AI PCのローカルAI処理とメモリ量相関(2026年版)

現時点(2026年春)のローカルAI処理とPCメモリ量の相関図です。メモリ高騰の今、新しくAI PCを購入しローカルAI処理を始めるか、それとも、暫く待つかの判断に役立つ2記事があります。筆者は、暫くAI PC購入を待とうと考えています。本稿は、その理由を説明します。

AI PC現状と将来予測

  1. AI PCハードウェアとモデルの現実的な選び方(2026年春)2026/05/22、@IT
  2. 「赤いザリガニ」を飼える時代来る2026/05/25PC Watch

記事1は、現時点のAI PC処理能力・用途を決める最大要因は、ユニファイドメモリ容量であること、様々な量子化LLMモデルとメモリ容量、その最適AI用途対応を示しています。この記事を元に筆者が4bit LLMでのメモリ容量とAI用途の相関関係を示したのが最初の図です(NotebookLM生成図を修正)。

記事2は、AI PC将来予測です。低コストローカルAIエージェントの実現には、ローカルAIモデル軽量化とクラウドAIとの役割分担、つまり、ハイブリッド実装が現実的アプローチを示しています。最初の図で言えば、メモリ容量が下がる方向にシフトすると予測しています。

つまり、AI PCは高速大容量メモリがCPU/GPU/NPUボトルネックを生まないために必須だが、昨今のメモリ高騰対策には、ローカルAIメモリを軽量化し、クラウドAIとのハイブリッド処理が解決策の1つと予測しています。

2026年春のAI PC高騰価格

昨年2025年春は、GMKtec社のEVO-X2 128GBモデルが、(稟議不要の)30万円以下の売価でした。現在は、64GBモデルでも37万円を超えます。メモリ高騰が主因だとしても僅か1年で驚くべき価格上昇です。この価格上昇が、ハイブリッド実装記事2の背景です。

ちなみにMinisforumMS-S1 MAX 128GBモデル(8ch x 16GB551,999円)と64GBモデル (8ch x 8GB463,999円)の価格差から、現在のAI PC向けメモリは、64GB88,000円と高価です。

Minisforum MS-S1 MAX 128GBモデルと64GBモデルの価格
Minisforum MS-S1 MAX 128GBモデルと64GBモデルの価格

本格AI開発を2026年春に行うには、128GBメモリ(17万円前後)を実装したAI PC、またはそれ以上が必要という訳です(前投稿も参照してください)。

2026年春、ローカルAI開発着手リスク

AI PCは、最初の図で示したように必要ハードウェアがユーザの使い方や用途で異なります。仮に「今」最強ハードウェアを入手すれば、様々な使い方やソフトウェア、例えば、色々なLLMや量子化レベルを試し自分に適すAIエージョント開発も可能でしょう。但し、それには50万円以上のハードウェア投資が必要です。

この投資に見合うリターンが問題です。過渡期のローカルAI開発着手に適すタイミングを、先行するクラウドAIを使って推定するのも1つの方法だと思います。

但し、筆者の結論は明快です。現時点で過渡期ローカルAI開発に50万円を投じるのはリスクが大き過ぎます。

Summary:ローカルAIとメモリ量相関(2026年版)

ローカルAI開発環境、特にAI PCハードウェアを、いつ/いくらで入手するか検討のため、2026年春時点のローカルAI処理・用途に必要なユニファイドメモリ量の相関図を作成し、本格AI開発に128GB17万円)メモリ実装の50万円程度のAI PCハードウェアが必要であると分析しました。

PCハードウェア高騰原因は、高速大容量メモリの供給不足です。少なくともメモリ価格が2025年レベルへ落着くまでAI PCハードウェア購入を筆者が待つ理由を説明しました。

Afterword2026年春、高速進化のAIハードウェア

価格高騰同様、ローカルAI関連ハードウェア進化速度はとにかく早い! 次世代DDR5規格EVO-X230%向上EVO-X3Snapdragon X2 EliteミニPC。過渡期の証です。

MINIX ER939-AIとMS-S1 MAX

AMD Ryzen AI Max+ 395128GBメモリ搭載ミニPC2機種を比較しました。55万円前後でミニAI PCを選ぶ場合、軽さと写真加工も行うならMINIX ER939-AI、高速・拡張重視ならMS-S1 MAXです。

MINIX ER939-AIとMS-S1 Max正面
MINIX ER939-AIとMS-S1 Max正面

2026530日、リンクスインターナショナルが549800円で発売する新しいミニPCが、左側MINIX ER939-AIです。右側はMinisforum551999円で販売中のMS-S1 MAXです。

MINIX ER939-AIMS-S1 MAXの仕様比較

ミニAI PC MINIX ER939-AI MS-S1 MAX
価格 549,800円(前後) 551,999
OS Windows 11 Pro 64 bit
プロセッサ プロセッサ AMD Ryzen™ AI Max+ 395
コア数/スレッド数 16 コア 32 スレッド
ブースト動作周波数 5.1 GHz
総合TOPS 最大126 TOPS
NPU TOPS 最大50 TOPS
グラフィックス AMD Radeon 8060S
メモリ 規格 LPDDR5-8000 MHz
搭載容量 128 GB (8×16 GB) (オンボード)
空きスロット なし(追加不可)
内蔵ストレージ 規格 2×M.2 2280 NVMe Slot (PCIe 4.0)
容量 2 TB (NVMe PCIe 4.0) 
増設スロット M.2 2280 PCIe 4.0 (x4)(空き1スロット)
映像出力 1×HDMI 2.1 (最大 8K@60 Hz) 1×HDMI 2.1 (最大 8K@60 Hz)
2×USB4 (最大 8K@60 Hz) 2×USB4 (最大 8K@60 Hz)
1×DisplayPort 1.4 (最大 8K@60 Hz) 2×USB4 V2(最大 8K@60 Hz)
有線LAN 1×2.5Gb LAN 2×10Gb LAN
無線LAN Wi-Fi 7
Bluetooth Bluetooth 5.4
インタフェース 背面ポート 2 × USB 2.0 2 × USB 2.0
1 × HDMI 2.1 1 × HDMI 2.1
1 × DisplayPort 1.4
1 × USB4 2 × USB4 V2
1 × USB 3.2 Gen2 (Type-A) 2 × USB 3.2 Gen2 (10Gbps)
1 × 2.5G LAN 2 × 10G LAN
1 × オーディオ端子
1 × DC入力 1 × AC入力
1 × ケンジントンロックスロット 1 × ケンジントンロックスロット
前面ポート 1 × 電源ボタン(指紋認証) 1 × 電源ボタン
1 × SDカードスロット 1 × USB3.2 Gen2
1 × USB4 2 × USB4
2 × USB 3.2 Gen2 (Type-A) 2 x DMIC
1 × オーディオ端子 1 × オーディオ端子
冷却方式 ファン&ヒートシンク
電源供給 外付けACアダプタ 内蔵電源
付属品 1×ACアダプタ、1×ACコード、1×HDMIケーブル 1×ACコード
本体サイズ 205 × 192 × 70 mm D×W×H 222 × 206 × 77 mm D×W×H
本体重量 1.4 kg 2.8 kg

APURyzen AI Max+ 395で高速・大容量128GBメモリ実装は、本格的ローカルAI開発も可能な高性能AI PCの要件です。MINIX ER939-AIMS-S1 MAXは、これら要件をみたします。

両モデルのAI性能は同じでも設計思想は異なります。

本体サイズは、MINIX ER939-AI205 × 192 × 70 mmMS-S1 MAX222 × 206 × 77 mmで若干MS-S1 MAXが大きいもののほぼ同じです。一方、重量は、MINIX ER939-AI1.4Kg に対しMS-S1 MAX2.8Kgです。これは、MINIX ER939-AIACアダプタによる電源供給のためで、MS-S1 MAXは電源を内蔵する分、重量が増します。

インタフェースは、MINIX ER939-AIDisplayPort SDカードスロットを持つのに対し、MS-S1 MAXはこれらがありません。その代わり2本の10G LANUSB4 V2DMIC(ダイナミックマイク)MS-S1 MAXにはあります。

つまり、MINIX ER939-AIは軽量化と汎用性、MS-S1 MAXは高速ネットワークと拡張性を重視した設計です。

MINIX ER939-AIとMS-S1 Maxインタフェース
MINIX ER939-AIとMS-S1 Maxインタフェース

MINIX ER939-AIMS-S1 MAX吸気口比較

外観から気になるのは、MINIX ER939-AIが左右両側面に吸気口があるのに対し、MS-S1 MAXは、吸気口が左側面のみにある点です(どちらも排気は背面で搭載ファン数は3)。

MINIX ER939-AIとMS-S1 Max吸気口
MINIX ER939-AIとMS-S1 Max吸気口

これは、MS-S1 MAX本体を横置きで重ねて増設するためです。MS-S1 MAXを同時に2台以上持てるユーザ以外は、MINIX ER939-AI同様、吸気口は両側面にある方が放熱に有利です(代替に正面吸気かも?)。

また、どちらもゴム足を下にした縦置きが基本的な本体設置方法であることも判ります。

SummaryMINIX ER939-AIMS-S1 Max

Ryzen AI Max+ 395128GBメモリ搭載でAI性能は同じ高性能ミニAI PCMINIX ER939-AIMS-S1 Maxを比較しました。

価格は、どちらも55万円前後、本体サイズもほぼ同じです。ACアダプタ給電のMINIX ER939-AI1.4Kg、電源内蔵のMS-S1 Max2.8Kgです。本体を縦置きにすれば、設置スペースも小さく本格的なローカルAI開発に適す両モデルです。

MINIX ER939-AIは、SDカードスロットがあることから写真AI加工などにも用途を広げた汎用設計、MS-S1 Maxは、2台重ね拡張重視のため、下面(縦置き時右側面)の吸気口が無い設計です。放熱性はMINIX ER939-AIが有利でしょう。

持ち運びや汎用性を取るか、10Gb LAN高速性や2台重ね拡張性を取るか、これが両モデル選択の分かれ目です。