
インフルエンザや様々な用事が重なるため、12月投稿はお休みさせて頂きます。新しい投稿は、来年1月2日(金曜)予定です。
本年も弊社HappyTech ブログをご覧いただき、ありがとうございました。
早いのですが、読者の皆様、よいお年をお迎えください。
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現在ミニPC搭載APUで最強のRyzen AI 300シリーズ後継機:Ryzen AI 400シリーズが、2026年初めに投入されるそうです(GAZ:Log、2025/11/20)。新しいRyzen AI 400シリーズ特徴を現行300シリーズと比較し、AMD競合他社のIntel/Qualcomm APU動向を示します。
GAZ:Log記事から現行Ryzen AI 300シリーズ(Strix Point)と、次期400シリーズ(Gorgon Point)の主な違いを整理しました。
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特徴 |
Ryzen AI 300 |
Ryzen AI 400 |
変化点・解説 |
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モデル例 |
Ryzen AI 9 HX 370 |
Ryzen AI 9 HX 470 |
命名規則は継続。数字が100番台上昇。 |
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CPUコア |
12コア / 24スレッド |
12コア / 24スレッド |
コア構成変更なし。Zen 5アーキテクチャ据え置き。 |
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最大クロック |
5.10 GHz |
5.25 GHz |
400シリーズ最大の変更点。 150MHzクロックアップ。 |
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GPU |
Radeon 890M (16CU) |
Radeon 890M (16CU) |
ユニット数は同じ。GPUクロックも向上する可能性大。 |
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NPU |
XDNA 2 (50 TOPS) |
XDNA 2 (推測) |
資料に言及なしだが、アーキテクチャ変更がないため据え置き濃厚。 |
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位置付け |
新世代 (Zen 5) |
リフレッシュ (Zen 5) |
次世代「Zen 6 (Medusa Point)」までの繋ぎ役。 |
ミニPC搭載APUの最大クロック数アップは、諸刃の剣です。
利点:シングルスレッド性能向上、キビキビした動作が期待できる。
懸念:同じアーキテクチャや製造プロセスのままクロックだけ上げると、発熱と消費電力の増加をもたらす。冷却余裕の少ないミニPC筐体は、ファンノイズが大きくなり、サーマルスロットリング発生リスク増加。
以上から、Ryzen AI 400シリーズ位置付けは、Ryzen AI 300シリーズの進化版というより、完成度を高めたマナーチェンジ(リフレッシュ版)と位置付けました。
2025年11月現在、競合他社も次世代チップ投入準備を進めています。Ryzen AI 400はこれらに対する防衛的な製品です。Intel/Qualcomm動向とAMDとの差分でまとめます。
Ryzen AI 400の真のライバルが同じくx64コアを供給するIntelです。
Intel動向:現行のLunar Lake (Core Ultra 200V) は省電力に特化していました。次期 Panther Lake はIntel 18Aという新しい製造プロセスを採用し、パフォーマンスと電力効率の両方を大幅に引き上げると予測されます(2026年初頭登場見込み)。
AMDとの差分:
Intel (Panther Lake):プロセス微細化による「刷新」。ワットパフォーマンス大幅向上が期待。
AMD (Ryzen AI 400): 既存技術の「熟成」。安定性は高いが、電力効率の劇的な改善は見込みにくい。
Qualcomm動向:初代X EliteでWindows on Arm(ARM64コア)市場を切り開いた。2世代目X2 Eliteは、弱点だったシングルスレッド性能や互換性のさらなる改善を狙う。
AMDとの差分:
Qualcomm: バッテリー持ちとAI性能で勝負。ただし、ゲームや古いアプリの互換性では依然としてx86(AMD/Intel)に分がある。
AMD:ゲーム性能(iGPU)と既存アプリ完全互換性が強み。ミニPCをメイン機として使うなら、AMD/Intelの方が全体的にトラブル少。
Ryzen AI 300搭載機が安くなれば「買い」
Ryzen AI 400はクロックが少し上がっただけのマイナーチェンジ版。実性能差は体感で数%程度にとどまる。逆に言えば、型落ちとなるRyzen AI 300シリーズ(Ryzen Al Max+ 395等)のミニPCがセールにかかれば、コスパ最強の選択肢になる。
冷却性能の重視
Ryzen AI 400搭載ミニPCが出た場合、筐体の冷却設計が非常に重要になる。クロック上昇分を冷やしきれる大型ファンや金属筐体採用のモデルを選ばないと、性能を発揮できない可能性がある。
APU革新を待つなら2026年後半以降
本当の意味での次世代性能(Zen 6アーキテクチャのMedusa Point)や、Intelの逆襲(Panther Lake)を待ちたい場合は、Ryzen AI 400は見送りが賢明。
Ryzen AI 400は、手堅いアップデートですがミニPCにとっては熱対策が課題になるかもしれないモデルと言えます。
GAZ:Log記事ではベンチマークスコアが現行より低い結果が出ています。これはES (Engineering Sample)ゆえの調整不足と考えられます。製品版は順当に性能アップするでしょう。しかし、劇的な変化は期待しない方が良さそうです。
APUのAI性能を活かすアプリが少ない現状にマッチし、最強APU Ryzen AI 300シリーズのマナーチェンジ(リフレッシュ版)がRyzen AI 400シリーズです。
AMD最上位APUのRyzen AI Max+ 395に、392/388の2種が追加されそうです。両者TOPS値を推定したのが下表です。
| Ryzen Al Max+ 395 | Ryzen Al Max+ 392 (追加) | Ryzen Al Max+ 388 (追加) | Ryzen Al Max 390 | Ryzen Al Max 385 | |
| CPUコア/スレッド | 16/32 | 12/24 | 8/16 | 12/24 | 8/16 |
| GPU/コア | Radeon 8060S/40 | Radeon 8050S/32 | |||
| NPU TOPS | 最大 50 TOPS | ||||
| TDP/cTDP | 55W/45-120W | ||||
| Overall TOPS | 最大 126 TOPS | 122 TOPS(推定) | 118 TOPS (推定) | 最大 110 TOPS | 最大 106 TOPS |
| AMD Ryzen™ AI | 利用可能 | ||||
これら追加Ryzen AI Max+ 392/388は、395と同じGPUとNPUを持ちます。しかし、CPUは下位Ryzen AI Max 390/385と同じコア数です。つまり、Ryzen AI Max+ 395の低価格版になります。
※Ryzen AI Maxシリーズは、最後の数字(395/392など)が相対性能を示す。

APU:Accelerated Processing Unitは、CPU/GPU/NPUをSoC(System on a Chip)で1チップへ集積し、チップ数や消費電力、コスト低減を狙ったプロセサのことです。AMD Ryzen AI Max+ 395は、AI処理能力を示す総合TOPSが126で、現在AMD/Intel/Qualcomm 3社中最上位のAPUプロセサです。
AMDは、先ず最上位プロセサを販売し、x64ベース競合他社のIntelプロセサに対する高性能を示した後、順次、低価格版へシリーズ展開します。これにより、高性能・低価格な製品シェア拡大を狙うのが従来からの販売戦略です。APUでも同じ戦略だと思われます。
総合TOPSに占めるGPU/NPU比率が高いので、追加Ryzen AI Max+ 392/388のCPUコア数低下は、若干のTOPS値低下になります。この程度のTOPS値低下が、AI PCトータル価格低下にどれ位反映するかは、要注目です。

x64ベースAMD/IntelのAPUに対し、ARM64ベースのQualcomm Snapdragon最新版Snapdragon X2プロセサ概要は投稿済みで、Ryzen AI Max+ 395と同等かそれ以上のAI処理能力と推定しました。
このSnapdragon X2シリーズ最上位Eliteプロセサ技術詳細が、下記PC Watchに掲載されました。
これら4記事を簡単にまとめたのが下記です。
Snapdragon X2最上位のEliteプロセサは、前世代Snapdragon Xシリーズから大幅なアーキテクチャ刷新を経て、性能と電力効率が飛躍的に進化。製造プロセスは3nmを採用。
NPUは、第6世代Hexagon NPU (NPU6)により80 TOPSに達し、Microsoft Copilot+ PC要件40 TOPSの2倍を実現。電力効率も改善されており、従来製品と比較し同じ電力(5W)で1.6倍の性能向上を確認。
GPUは、新アーキテクチャ採用で、従来比2.3倍。従来ゲームアプリ互換性も90%程度動作。
CPUは、従来12コア構成から、最大18コア構成へと大幅強化。プライムコアブースト周波数はシングル/デュアルコア時で5GHzに設定。キャッシュ総容量は42MBから53MBに増加。従来製品よりも消費電力を43%低減可能。
要するに、Snapdragon X2は、x64に対するARM64コア電力効率の良さを更に強調した性能向上版です。特にNPU性能の伸びが顕著です。
但しこの高性能NPUを活かすAIアプリが少ないのが現状です。今回の性能向上は、新Snapdragon APU価格上昇に作用するでしょう。
今後急増するAIアプリとARM64ライバルNVIDIA(後述)対策と予想します。

Ryzen AI Max+ 392/388追加により、AMDは、現在最上位APU Ryzen AI Max+ 395シリーズの低価格展開に着手したようです。一方、Qualcommは、Snapdragon X2により、ARM64コア電力効率の良さを追求する高性能展開を行いました。
NPUを持つAI PC本来性能を発揮するAIアプリが少ない現状に対し、AMD/QualcommどちらのAPUアプローチがユーザに受け入れられるかは、暫く観察が必要です。個人的には、AI PC普及と低価格化を祈っています。
QualcommのみのARM64プロセサ提供に、NVIDIAのN1Xが加わります。ARM64/x64コア共に2社供給体制です。各社APU戦略とWin10 EOSによる2026年ユーザ新PC購入動向に注目します。
日本時間11月12日、MicrosoftがWin月例アップデートをリリースし、Win11 25H2 OSビルドは、26200.7171になりました。

弊社Rufusアップグレード3台のWin11 25H2近況と、ARMプロセサ専用Win11 26H1に対する筆者考えを示します。
Win11 26H1は、2026年前半リリース予定のARMプロセサ専用OSです(26H1ターゲットの2 ARMプロセサターゲットの2 ARMプロセサ、2025/11/11、IT Media)。
現在ARMプロセサと言えば、Qualcomm社のSnapdragonシリーズのみです。これにNVIDIA社のARMプロセサ:N1Xを追加し、2社のARMベースプロセサをWin11 26H1は想定しているそうです。
つまり、ARMプロセサ供給体制をQualcommとNVIDIAの2社にし、互いに切磋琢磨させることでCPUの価格低下を狙っているのでしょう。従来x64プロセサのAMDとIntelの2社体制と同様です。
ビジネス/ゲームアプリは、実績あるx64プロセサが好まれるため、後発のARMプロセサシェアは低迷しています。そこで、Microsoftは新しいAI Copilot機能をx64プロセサよりもARMプロセサに先行配布するなどの支援を行ってきました。
筆者は、ARM専用Win11 26H1リリースもこの支援の一環だと思います。

Win11 26H1は、Win11 25H2/Win11 24H2のOSコア:ゲルマニウム(元素番号32)から臭素(元素番号35):Bromineへ大変更します(上図参照)。OSコア変更時は、バグ修正に多大な時間が掛かるため、ARMプロセサのみに対象を絞り効率的にデバッグするのも専用OSとする理由でしょう。
従来のx64からARMプロセサ:ARM64へMicrosoftが大きく舵を切った理由は、電力効率の良さです。
つまり、前投稿でも示したユーザ行動を自然言語でAIエージェントがサポートするAI PCは、「従来アプリの互換性よりも、PC電力効率の方が重要」とMicrosoftが認識した結果だと筆者は思います。
最初ARMプロセサのみが対象のWin11 26H1は、デバッグ成功後はx64プロセサへも対象を広げるかもしれません。Win11 26H1に実装するAI Copilot機能は現在不明(新機能は無いとMicrosoftは表明中)ですが、この対象拡大によりARMプロセサ電力効率の良さを、バッテリー持ち時間、PC本体の軽さで比較表現できるからです。
さて、10月10日投稿で示したRufusを使ってWin11 25H2へ手動アップグレードした弊社3台のPCは、11月現在、どれも正常に動作中です(残り1 PCは幸運にも自動アップグレード)。
3台中のThinkPad T440pハードウェアは、さすがに絶対性能が低すぎるためWin11 25H2実用に不向きです。同様にWin11 25H2へアップグレードした知人の古いSurface Pro 4の方が、T440pより多少ましに動作します。
最新Win11は起動時間が延び、アプリ処理性能も低下(日経XTECH、2025/11/05)によると、アップデートの度にWin11動作が遅く、重くなることが判ります。

そこで、このSurface(第6世代Core m3、RAM/4MB、SSD/128MB、解像度/2736×1824)を、T440pと替えるか検討中です(知人はこのSurfaceが不要なので貰いました)。使い方によっては、タブレット兼用Surfaceの良さが判るかもしれないからです。
10月にWin11 25H2へRufus手動アップグレードした弊社3 PCは、本日現在、どれも正常動作中です。
Microsoftが2026年前半リリース予定のARMプロセサ専用Win11 26H1は、OSコアがWin11 25H2のゲルマニウムから臭素へ大幅変更版です。OSコア大変更デバッグ効率を高め、ARMプロセサ専用Win11 26H1は、AI PC時代の従来x64に対する新ARMプロセサ普及の試金石になると思います。
PCのAIエージェントの入力に、自然言語がトレンドであることを前投稿で示しました。本稿は、この自然言語がAIエージェントのユーザインタフェース(UI)に適す理由とその課題をまとめます。

ユーザは、特別なコマンドや複雑なインタフェースを覚える必要がなく、日常会話と同じ方法でAIエージェントと対話が可能です。
より多くのユーザが、技術知識に関わらずAIエージェント機能を利用できます。
PCから離れて作業している時や手が離せない状況でも、音声言語入力は非常に有効です。
ローカルデータに基づいたより深い個人・環境の文脈を理解し、曖昧な指示も正確に解釈・実行できる可能性があります。
PCデータや利用状況を基に、「次にやるべきこと」や「今困っていること」に対し、より自然で人間らしいサポート・サジェスチョンをAIエージェントが提供できます。
例えば、GUIでは複数ステップや画面遷移が必要だったタスクも、「あのメールを探し、要点をまとめ、会議の資料に追加して」など一連の複雑な指示を一度に自然言語で与えることができます。
一方、自然言語入力が普及するには、以下の課題があります。

騒音下や複数の話者がいる環境での音声認識の正確性、複雑な日本語の言い回しや専門用語に対する理解の堅牢性の向上が必要です。
エッジPCで自然言語データを処理する際のデータ保護、不適切な指示・誤操作を防ぐ安全対策は不可欠です。
自然な会話テンポを維持するため低遅延なAIエージェント応答が必要です。
これらAIの自然言語理解のために、エッジPCに大規模言語モデル(LLM)ソフトウェアの実装が必要です。このLLMを、エッジPCのハードウェアで効率的に処理するために、以下技術が用いられます。
大規模言語モデルのパラメタ(重みやバイアス)を、従来の32ビット浮動小数点数(Float32)から8ビット整数(Int8)などの低いビット深度に変換する技術です。モデルサイズが大幅に縮小し、メモリ使用量と計算速度が向上します。
推論結果にほとんど影響を与えない重要度の低いニューロンや重みを削除(ゼロにする)することで、モデルの疎(スパース)化を図ります。計算量が減り、モデルサイズが小さくなります。
高性能で巨大な「教師モデル」の知識を、より小さく軽量な「生徒モデル」に転移学習させる手法です。小さいモデルでも、大きいモデルと同等の性能(または近い性能)を維持できるようになります。

CPUやGPUよりも高い電力効率でAI処理を行うのがNPUハードウェアです。自然言語UI処理(特に音声認識や意図解釈)をNPUにオフロードすることで、PC全体のバッテリー持続性を保ちつつ、応答速度を向上できます。
エッジAI処理にNPUが必須な理由が上記です。
2章で示した様々な課題は、いずれエッジAI PCハードウェア/ソフトウェアの進化で克服されるでしょう。AIエージェントは、PCユーザの親友のような役割、使い易いUIを目指すと思います。
筆者が、NPUを持つAI PCに期待しているのが、この親友AIエージェントです。
エッジPCのAIエージェント入力に自然言語を使えば、直感的なユーザ操作ができ、複雑なコマンドや設定も言葉で伝えられ、ハンズフリー操作も可能になるなどAIエージェント利用ハードルが下がります。
一方、課題は、誤認識、日本語曖昧表現への対応、セキュリティ、プライバシー確保などがあります。
AI自然言語UIのエッジPC実装技術は、様々なものがあります。その中心がLLMソフトウェアとNPUハードウェアです。
ノイズキャンセリング機能付きPCマイクが自然言語入力に用いられます。しかし、個人的には、カメラ同様、マイクは外付けが希望です。Gemini 2.5 Computer Useなどは、ユーザアクションを全て生成・実行できます。外付けハードウェアなら、不要時外しておけば安心です。たとえ親友であっても、セキュリティは、自分自身でコントロールしたいからです。
“AI未来はクラウドではなくエッジ”、ケータイWatch(2025/11/06)にもARM新戦略が語られています。ご参考まで。
PC AIエージェント動向で気になる記事が多数あります。本稿は、その中で下記2記事をピックアップし要約、今後のエッジPCのAIエージェント動向とユーザ注意点をまとめます。
自然言語指示と画面スクリーンショットを入力とし、次に何をすべきかをAIエージェントが判断、マウスクリック、スクロール、タイピングなどのユーザアクションを、function_callの形で生成・実行するのが、「Gemini 2.5 Computer Use」です。
つまり、ユーザがマウスやキーボードで行う操作ほぼ全てを、Gemini 2.5 Computer Useが模倣、代行することが可能です。
例えば、Webの繰り返しデータ入力自動化、複数Eコマースサイトから製品情報収集、さらに最安フライト検索と予約実行などの処理も対応可能です。
例えば、「Excel売上データを分析し意思決定に役立つ洞察を視覚的に示してほしい」とPCへ話すと、Copilotが適切な数式を選び、新しいシート生成や可視化を含む成果物を365 Copilot AIエージェントが提示します。
つまり、専門知識が必要だったExcelの高度関数やモデリング操作を、自然言語指示だけで実現可能です。
Wordは、対話的に文書を作成することに重点が置かれています。例えば、顧客フィードバック要約や月次レポート更新、プロジェクト概要の整理を、AI エージェントと対話しながら作成できます。
前章までの記事要約から判るのは、AIエージェントがPC操作環境を根本から変える可能性を秘めていることです。また、AIへの要求手段として、ユーザの自然言語が使えることも特徴です。AIエージェントと話せば(チャットすれば)、AIエージェントが解を出してくれる訳です。
一方で、購入や機密情報に関わる高リスクアクションには、ユーザに明示的な確認を求める仕組み(Human-in-the-Loop:HITL)を実装することが、AI開発者に義務付けられています。また、多くのAIエージェント機能の自然言語は、今のところ英語が主なサービス対象です。
PC AIエージェント動向で気になる2記事を要約し下記を得ました。
いずれ日本語などにも自然言語対応されるでしょう。擬人化されたAIエージェントが、PC操作を根本から変える可能性をご理解頂けたと思います。

現在エッジAI最強プロセサのAMD Ryzen AI Max+ 395性能を十分に引出すために知っておくべきTDP、電源、冷却について説明します。例として前投稿のEVO-X2/GTR9 Pro/MS-S1 Maxの3製品を使いますが、同じプロセサ搭載のPC製品に性能差が生じる理由が本稿で判ります。
TDPとは、熱設計電力のことでRyzen AI Max+ 395のデフォルトTDPは、55Wです。つまり、Ryzen AI Max+ 395デフォルト性能を引出すには、プロセサ単体動作により生じる55Wの熱を冷却しないとプロセサ故障などの事象を引き起こすという事です(熱による故障はAfterword参照)。
この故障を避けるため、自動的に動作周波数や電圧を下げプロセサ発熱を抑える保護機能:サーマルスロットリングが備わっています。
TDPには、cTDP:Configurable TDPという指標もあります。Ryzen AI Max+ 395のcTDPは、45W~120W(ブースト時140W)です。消費電力や発熱を抑えた設定(45W)から最高性能の設定(120/140W)までの範囲でプロセサ性能が可変です。当然、必要となる冷却熱量も変わります。

電源が必要なのは、Ryzen AI Max+ 395だけではありません。PCシステム全体へ安定した電源を供給する必要があります。
Ryzen AI Max+ 395のcTDPは45W~120Wですので、プロセサ単体への電力供給量、冷却熱量も変わります。また、高速なLPDDR5x-8000メモリ(最大128GB)や2TB SSDへも安定動作の電力供給が必要です。つまり、システム全体の電力負荷が変動しても安定で迅速な電力が供給できる電源が必要です。

Ryzen AI Max+ 395は、cTDP範囲が広く最大120/140Wもの熱が小型筐体内で生じるため、その性能を維持し故障などを回避するには強力かつ静音性も維持できる効率的な冷却システムが必要です。
例えば、前投稿のEVO-X2/GTR9 Pro/MS-S1 Maxでは、ベイパーチャンバーやヒートパイプ、大型ヒートシンクと強力な可変速度ファンが使われます。PC内の熱センサ情報を元に、必要に応じた冷却能力を静音性も保てるようにファン速度を制御します。
前章で示したプロセサ性能とTDP/電源/冷却の関係が判ると、ミニPCと同じRyzen AI Max+ 395搭載ポータブルPC:GPD WIN 5の電源差による性能変動が理解できます。
Ryzen AI Max+ 395搭載のGPD WIN 5は、180WのACアダプタが主電源です。この時のプロセサは、最大85WのTDPで動作します。また、80Wh着脱式バッテリー駆動時は、最大28WのTDP動作です。
ACアダプタとバッテリーでプロセサ能力差が生じるのは、電源の能力差があるからです。
ACアダプタ時は、プロセサやメモリなどシステム全体へ電源を供給し、かつ、発生する熱を十分に冷却する能力もあるため、TDP 85WのRyzen AI Max+ 395能力が発揮できます。しかし、同じシステムでもバッテリー駆動時は、最大でもTDP 28W能力しか発揮できない環境へ変わります。
つまり、Ryzen AI Max+ 395のような超高性能プロセサ能力を十分に発揮するには、システムの電源供給能力と冷却能力が重要だという事が判ります。
同じRyzen AI Max+ 395搭載のPCでも性能差が生じる原因は、システムへの安定した電源供給、冷却能力に差があるためです。販売価格に占めるプロセサ価格は同じでも、電源や冷却能力に製品差があり、結果として同じRyzen AI Max+ 395搭載PCでも性能差/価格差が生じます。
高負荷なエッジAI処理などを行う場合は、プロセサだけでなく電源と冷却能力の高い製品選びが重要です。
冷却とプロセサ故障の例は、2~3日に1個富岳CPU故障(2025/10/15、日経xTECH)の記事が面白い(!?)です。富岳は、約16万個ものCPU搭載スーパーコンピューターです。これ程多数のCPUがあると、例え十分な冷却システムを持っていても2~3日に1個はCPUが熱により故障する確率が生じる訳です。
記事には、10℃温度上がると故障率が2倍になるアレニウス経験則や故障率曲線(バスタブ曲線)も記載されています。これらは、PCでも同じです。知っておくべきハードウェア知識です。

下記AMD Ryzen AI Max+ 395搭載ミニPC 3種のインタフェースを比較します。
|
製品 |
サイズ(㎜) |
電源(W) |
重量(㎏) |
10/17価格(¥) |
|
193×186×77 |
アダプタ(230) |
1.7 |
294,000 |
|
|
180×180×91 |
内蔵(140) |
2.3 |
316,990 |
|
|
222×206×77 |
内蔵(320) |
2.8 |
359,990 |
現在WindowsエッジAI最強CPUのAMD Ryzen AI Max+ 395を搭載し、メモリ128GB/LPDDR5x-8000、SSD 2TB/PCIe 4.0 x4は3種ともに同じ仕様での比較です。Ryzen AI Max+ 395 PCのパフォーマンスレポートは、MS-S1 Maxレビュー(PC Watch、2025/09/30)が良く判ります。

電源スイッチがある側をフロントとして比較します。
最もインタフェースが多いのがEVO-X2です。電源スイッチのすぐ下にパフォーマンスを変えるモードスイッチがあるので、PC消費電力切替えも容易です。
インタフェースが最も少なくシンプルなのがGTR9 Proです。マイクロフォンが4個あるのでPC音声制御に好都合です。
GTR9 Pro 同様シンプルですが、40Gbpsと最速USBを持つのがMS-S1 Maxです。マイクロフォンも2個あります。
例えば、動画や写真を加工する時のSDカードスロット利用やUSBメモリへのファイル入出力など、一時的な接続に操作し易いフロントインタフェースを使います。この操作性の高いのが、EVO-X2です。

フロント側と異なり、常時接続し使用するのがリアインタフェースです。
EVO-X2は、電源供給の占有面積がACアダプタのため小さいのが特徴です。その他インタフェースも同方向で整列しています。
GTR9 ProとMS-S1は、内蔵電源のためコンセント占有面積が大きくなります。
MS-S1は、コンセントを別列に配置し他インタフェースと分けています。GTR9 Proは、他インタフェースを縦横に収めるなど小型筐体に収める工夫があります。但し、実際に接続した時には、配線取り回しや狭いコネクタ間隙間に苦労するかもしれません。
GTR9 ProとMS-S1は、高速有線LAN 10Gbpsが2本あります。光回線利用や高速PC間接続に有利です。
エッジAI最強のAMD製Ryzen AI Max+ 395を搭載したミニPC 3種のフロント/リアインタフェースを比較しました。どの製品もエッジAI処理に十分な性能を持っていますが、特長が表れた結果が得られました。
LED発光ができゲームPCも兼ねるEVO-X2は、ACアダプタ電源供給のため軽量でインタフェース接続性は良いと思われます。
外観に優れ小型シンプル筐体のGTR9 Proは、リアインタフェース接続性が劣る可能性があります。
ラック設置可能なMS-S1は、EVO-X2やGTR9 Proに比べ大型ですが、複数MS-S1スタック接続による性能拡張性が高く超高速インタフェースも備えています。
ミニPCで気になる静音性は、ノイズキャンセリング機能付き音声操作がエッジAIエージェント活用時可能かは不明です。
Windows エッジAI PCライバルのApple最新M5は、AI性能3.5倍、無線周りも自社製チップ(PC Watch、2025/10/16)搭載です。無線インタフェースにAppleが拘る理由は、PC小型化と接続性の良さです。M5搭載AI PCは、Copilot+ PC超強力ライバルになりそうです。また、低消費電力とNPU高性能化が魅力のQualcomm次期Snapdragon搭載ミニPCも注目中です。
エッジAI SoC CPU開発の第二幕、面白そうです。

9月30日、Win11 25H2配布がスタートしました。幸運にも自動更新で弊社4PCの1台は、Win11 25H2になりました。
一方、10月2日、Windows UEFI CA 2023対応メディア作成ができるRufus 4.11がリリースされました(RufusはWin11アップグレード要因回避しWin11 25H2化できるツール、CA 2023はAfterword参)。
残り3 Win11 24H2の1台を、Rufus 4.11でWin11 25H2へ手動更新し、正常動作中ですので報告します。
※PCはコチラの投稿で使った10年前購入ThinkPad T440p。Win11 24H2→25H2アップグレードで示しますが、Win10→Win11 25H2アップグレードもできるハズです。
9月19日投稿Rufus総集編の表示回数は上位です。10月14日Win10 EOSを前に、Win11アップグレードへの関心高さが判ります。自動で25H2になったPC以外の3PCは、未だWin11 24H2のままです。
そこで、Windows UEFI CA 2023対応メディア作成機能が追加されたRufus 4.11を使って、Win11 24H2 を6日(月曜)にWin11 25H2へ手動アップグレードし、本日(金曜)現在、正常動作中です。
このWin11 25H2アップグレード方法を、準備→手動更新→更新後の処理の順に示します。
Step1:アップグレード失敗に備え最終Win11 24H2をバックアップ。

Step2:Win11 25H2とRufus 4.11ダウンロード。

Step3:Rufusを起動し、デバイスは容量8GB以上のUSB、ブートの種類はダウンロードしたWin11 25H2、その他はデフォルトでスタートクリック。

Step4:回避するWin11アップグレード要件を選択しOKクリック(全て回避した弊社例が下図)。CA 2023は、Rufus 4.10以降に追加された条件。これら回避要件は、24H2以外、例えばWin10→Win11 25H2にも適用可能。

Step5:プログレスバー終了でWin11 25H2インストールUSB作成完了。閉じるクリックでWin11 25H2アップグレードへの準備は終了。

Step6:Win11 24H2起動状態で、Win11 25H2インストールUSBを開きsetup.exeクリック。

Step7:Win11のインストールはデフォルトのまま次へ(N)をクリック。Win11ダウンロードが始まり、続いてPCチェックが表示、最後にライセンス条項が示されるので、同意する(A)をクリック。


Step8:更新プログラムダウンロードが開始され、インストール準備完了で引き継ぐもの選択。引き継ぐもの変更クリックでファイルのみ、または、アプリのみの選択も可能。選択後、インストール(I)をクリック。


Step9:Win11インストールと更新プログラム構成が始まり、終わると自動再起動。通常起動手順(パスワード入力など)を経てWin11 25H2手動アップグレード完了。


Step10:Windows Updateを実行し、最新更新プログラム適用。オプションの更新プログラムもあればインストール。


Step11:Win11 25H2アップグレード確認と不要ファイル削除。


Win11 25H2アップグレードには様々な要件があり、未達PCはアップグレードができません。Win10 EOSなどのサービス終了を前に、要件回避しWin11 25H2化できる無償ツールがRufusです。
最新Rufus 4.11は、Win11再インストール時のUEFI CA 2023トラブルへも対応しました。このRufus 4.11を使いWin11 24H2→Win11 25H2手動アップグレード方法を示しました。
Win11 25H2の再インストールは試していませんが、Win11 25H2アップグレードは成功、正常動作中です。本方法は、Win10→Win11 25H2も可能です(Step4参)。アップグレードCPU要件も同時に回避します。
Rufusを使うと本稿で示した10年前PCでも最新Win11 25H2アップグレードができ、25H2サービス終了の2027年10月まで延命にも成功です。
古いPCのためエッジAI利用は不可能です。しかし、延命中にクラウドAI活用やAI Copilot+ PC新規購入、次期Win12検討ができます。
Windows UEFI CA 2023は、Rufus Wikiに説明があります。NotebookLMを使って和訳しましたが、判り難い内容です。そこで、小学生にも判るようにプロンプトを追加し筆者理解内容を示します。
Windows UEFI CA 2023は、古いPCA 2011証明書に代わる新しい証明書です。この証明書は、UEFI内にファームウェアとして保存されています。Win11 25H2再インストール時、古い証明書ではインストールができません。そこで、UEFIの古い証明書を新しい証明書へ書き換えて対応します。
新証明書CA 2023書き換え機能付きWin11インストールメディア作成ツールがRufus 4.10以降です。
本稿Rufus作成インストールUSBは、CA 2023のPCと同様、PCA 2011のPCでもUEFIをCA 2023へ書き換えますのでWin11再インストールが可能です。

Microsoft Surface搭載Snapdragon X Elite (45TOPS NPU)の後継製品、Snapdragon X2 Eliteは、80TOPS NPU、CPU/GPUも50%以上の大幅性能向上が発表されました(日経XTECH、2025年9月23日)。
GoogleクラウドAIのGeminiを使ってこのSnapdragon X2 EliteのCPU/GPU/NPU総合TOPSを推定したところ、現在最強のRyzen AI Max+ 395の126 TOPSと同等かそれ以上と評価しました。
Snapdragon X2 Elite大進化理由(PC Watch、2025年9月26日)によると、Snapdragon X2 Eliteは、前世代Snapdragon X Eliteより以下の点で大きな進化を遂げています。
これら大幅性能向上は、SurfaceなどのARM64コアCopilot+ PC性能を飛躍的に向上させることが目的です。
Qualcomm社は、Snapdragon CPUやGPUのAI処理能力をTOPS値で公式発表はしていません。そこで、クラウドAIのGemini(2.5 Flash)を使って推定した結果が下表です。
| コンポーネント | 公開値 / 推定値 |
| NPU (Hexagon NPU) | 80 TOPS |
| GPU (Adreno GPU) | 20∼40 TOPS (推定) |
| CPU (Oryon CPU) | 5∼10 TOPS (推定) |
| 総合 TOPS (推定) | 約 105∼130 TOPS |
各コンポーネントのGemini推定根拠が下記です。
GPU(Adreno GPU):GPUはNPUに次いでAI演算能力が高いコンポーネントです。高性能なiGPUは数10TOPSのAI性能を持つことが知られています。Snapdragon X2 EliteのAdreno GPUは大幅に強化されており、性能効率が2.3倍向上していることから、20 TOPS〜40 TOPS程度のAI演算能力を持つと推定します。
CPU (Oryon CPU):CPUもAI演算に使用できますが、NPUと比較するとTOPS値は低めです。競合AMDや高性能x86 CPU傾向を参考にすると、Snapdragon X2 EliteのCPU性能は、数TOPSから10数TOPS程度と推定します。
Snapdragon X2 Eliteの総合TOPSを、現在最強のRyzen AI Max+ 395のそれと比較したのが下表です。
| 製品名 | 総合TOPS (公開値) | NPU TOPS (公開値) |
| Snapdragon X2 Elite | 約 105∼130 TOPS (推定) | 80 TOPS |
| Ryzen AI Max+ 395 | 126 TOPS | 50 TOPS |
Qualcomm社Snapdragon X2 Eliteの総合TOPSは、AI演算を効率処理するNPU性能や総合に占める割合が80 TOPSと高いため、競合AMD社Ryzen AI Max+ 395の126 TOPSと同等か、それ以上のAI処理能力になるとGeminiは推定しています。
AMD/Intel社の従来x64コアから、スマホで有名なQualcomm社の新しいSnapdragon ARM64コアにMicrosoftが変えた理由は、電力効率の良さでした。これは、現行Surfaceの軽量・長時間バッテリー駆動に大きく貢献しています。
Gemini推定どおりSnapdragon X2 Eliteが126TOPS程度のAI処理性能を持ち、かつ、前世代Snapdragon X Elite同様、同じAI処理能力x64比、電力効率が優れれば、ノートPC型Copilot+ PCのARM64コア比率を一気に挽回できる可能性はあると思います。
一方で気になるのは、ARM64コアCopilot+ PCの販売価格です。ARM64コアCopilot+ PCへ、Microsoftはx64コアCopilot+ PCよりも先行してWin11 AI機能を提供し優遇しています。従来ビジネスアプリのコア依存性は薄まりつつありますが、新Snapdragon採用Copilot+ PC販売価格が、ARM64コア普及の決め手になるでしょう。

Microsoft Surface搭載中のARM64コアSnapdragon X Elite後継製品であるSnapdragon X2 Eliteが、80TOPS NPUでCPU/GPUも50%以上の大幅性能向上であることをQualcomm社が発表しました。
このSnapdragon X2 Eliteの総合TOPSをGeminiで推定したところ、現在最強のAMD社Ryzen AI Max+ 395の126 TOPS同等かそれ以上と評価しました。
ノートPC Copilot+ PCの低迷ARM64コア比率を、優れたAI処理性能と消費電力で挽回できる可能性を秘めた新製品がSnapdragon X2 Eliteです。
AMD/Intel/QualcommによるエッジAI SoC CPU提供、第二幕が始まりました。CPU/GPUよりもNPU性能向上が大きいです。これは、関連投稿:America’s AI Action Planで予測した100TOPS以上NPUやメモリ強化とも合致します。AI時代には、エッジAI(NPU)急成長も必要であることが解ります。
AI開発用ミニPCで、Snapdragon X2 EliteとRyzen AI Max+ 395を比べたいです。