Ryzen AI Max+ 395のTDP、電源と冷却

AMD Ryzen AI Max+ 395搭載EVO-X2の冷却システム
AMD Ryzen AI Max+ 395搭載EVO-X2の冷却システム

現在エッジAI最強プロセサのAMD Ryzen AI Max+ 395性能を十分に引出すために知っておくべきTDP、電源、冷却について説明します。例として前投稿EVO-X2/GTR9 Pro/MS-S1 Max3製品を使いますが、同じプロセサ搭載のPC製品に性能差が生じる理由が本稿で判ります。

TDPThermal Design Power

TDPとは、熱設計電力のことでRyzen AI Max+ 395のデフォルトTDPは、55Wです。つまり、Ryzen AI Max+ 395デフォルト性能を引出すには、プロセサ単体動作により生じる55Wの熱を冷却しないとプロセサ故障などの事象を引き起こすという事です(熱による故障はAfterword参照)。

この故障を避けるため、自動的に動作周波数や電圧を下げプロセサ発熱を抑える保護機能:サーマルスロットリングが備わっています。

TDPには、cTDPConfigurable TDPという指標もあります。Ryzen AI Max+ 395cTDPは、45W120W(ブースト時140W)です。消費電力や発熱を抑えた設定(45W)から最高性能の設定(120/140W)までの範囲でプロセサ性能が可変です。当然、必要となる冷却熱量も変わります。

電源

AMD Ryzen AI Max+ 395搭載MS-S1 Maxの電源と冷却システム
AMD Ryzen AI Max+ 395搭載MS-S1 Maxの電源と冷却システム

電源が必要なのは、Ryzen AI Max+ 395だけではありません。PCシステム全体へ安定した電源を供給する必要があります。

Ryzen AI Max+ 395cTDP45W120Wですので、プロセサ単体への電力供給量、冷却熱量も変わります。また、高速なLPDDR5x-8000メモリ(最大128GB)や2TB SSDへも安定動作の電力供給が必要です。つまり、システム全体の電力負荷が変動しても安定で迅速な電力が供給できる電源が必要です。

冷却

AMD Ryzen AI Max+ 395搭載GTR9 Proの冷却システム
AMD Ryzen AI Max+ 395搭載GTR9 Proの冷却システム

Ryzen AI Max+ 395は、cTDP範囲が広く最大120/140Wもの熱が小型筐体内で生じるため、その性能を維持し故障などを回避するには強力かつ静音性も維持できる効率的な冷却システムが必要です。

例えば、前投稿のEVO-X2/GTR9 Pro/MS-S1 Maxでは、ベイパーチャンバーやヒートパイプ、大型ヒートシンクと強力な可変速度ファンが使われます。PC内の熱センサ情報を元に、必要に応じた冷却能力を静音性も保てるようにファン速度を制御します。

Ryzen AI Max+ 395搭載ポータブルPCGPD WIN 5の例

前章で示したプロセサ性能とTDP/電源/冷却の関係が判ると、ミニPCと同じRyzen AI Max+ 395搭載ポータブルPCGPD WIN 5の電源差による性能変動が理解できます。

Ryzen AI Max+ 395搭載のGPD WIN 5は、180WACアダプタが主電源です。この時のプロセサは、最大85WTDPで動作します。また、80Wh着脱式バッテリー駆動時は、最大28WTDP動作です。

ACアダプタとバッテリーでプロセサ能力差が生じるのは、電源の能力差があるからです。

ACアダプタ時は、プロセサやメモリなどシステム全体へ電源を供給し、かつ、発生する熱を十分に冷却する能力もあるため、TDP 85WRyzen AI Max+ 395能力が発揮できます。しかし、同じシステムでもバッテリー駆動時は、最大でもTDP 28W能力しか発揮できない環境へ変わります。

つまり、Ryzen AI Max+ 395のような超高性能プロセサ能力を十分に発揮するには、システムの電源供給能力と冷却能力が重要だという事が判ります。

SummaryRyzen AI Max+ 395TDP、電源と冷却

同じRyzen AI Max+ 395搭載のPCでも性能差が生じる原因は、システムへの安定した電源供給、冷却能力に差があるためです。販売価格に占めるプロセサ価格は同じでも、電源や冷却能力に製品差があり、結果として同じRyzen AI Max+ 395搭載PCでも性能差/価格差が生じます。

高負荷なエッジAI処理などを行う場合は、プロセサだけでなく電源と冷却能力の高い製品選びが重要です。

Afterword:熱によるプロセサ故障例

冷却とプロセサ故障の例は、2~3日に1個富岳CPU故障2025/10/15、日経xTECH)の記事が面白い(!?)です。富岳は、約16万個ものCPU搭載スーパーコンピューターです。これ程多数のCPUがあると、例え十分な冷却システムを持っていても23日に1個はCPUが熱により故障する確率が生じる訳です。

記事には、10℃温度上がると故障率が2倍になるアレニウス経験則や故障率曲線(バスタブ曲線)も記載されています。これらは、PCでも同じです。知っておくべきハードウェア知識です。


Ryzen AI Max+ 395ミニPC 3種インタフェース比較

ミニPC利用イメージ
ミニPC利用イメージ(図はMS-S1 Maxを縦置きで利用中)

下記AMD Ryzen AI Max+ 395搭載ミニPC 3種のインタフェースを比較します。

製品

サイズ()

電源(W)

重量()

10/17価格(¥)

EVO-X2

193×186×77

アダプタ(230)

1.7

294,000

GTR9 Pro

180×180×91

内蔵(140)

2.3

316,990

MS-S1 Max

222×206×77

内蔵(320)

2.8

359,990

現在WindowsエッジAI最強CPUAMD Ryzen AI Max+ 395を搭載し、メモリ128GB/LPDDR5x-8000SSD 2TB/PCIe 4.0 x43種ともに同じ仕様での比較です。Ryzen AI Max+ 395 PCのパフォーマンスレポートは、MS-S1 MaxレビューPC Watch2025/09/30)が良く判ります。

フロントインタフェース

Ryzen AI Max+ 395ミニPCのフロントインタフェース比較
Ryzen AI Max+ 395ミニPCのフロントインタフェース比較(左からEVO-X2、GTR9 Pro、MS-S1 Max)

電源スイッチがある側をフロントとして比較します。

最もインタフェースが多いのがEVO-X2です。電源スイッチのすぐ下にパフォーマンスを変えるモードスイッチがあるので、PC消費電力切替えも容易です。

インタフェースが最も少なくシンプルなのがGTR9 Proです。マイクロフォンが4個あるのでPC音声制御に好都合です。

GTR9 Pro 同様シンプルですが、40Gbpsと最速USBを持つのがMS-S1 Maxです。マイクロフォンも2個あります。

例えば、動画や写真を加工する時のSDカードスロット利用やUSBメモリへのファイル入出力など、一時的な接続に操作し易いフロントインタフェースを使います。この操作性の高いのが、EVO-X2です。

リアインタフェース

Ryzen AI Max+ 395ミニPCのリアインタフェース比較
Ryzen AI Max+ 395ミニPCのリアインタフェース比較(左からEVO-X2、GTR9 Pro、MS-S1 Max)

フロント側と異なり、常時接続し使用するのがリアインタフェースです。

EVO-X2は、電源供給の占有面積がACアダプタのため小さいのが特徴です。その他インタフェースも同方向で整列しています。

GTR9 ProMS-S1は、内蔵電源のためコンセント占有面積が大きくなります。

MS-S1は、コンセントを別列に配置し他インタフェースと分けています。GTR9 Proは、他インタフェースを縦横に収めるなど小型筐体に収める工夫があります。但し、実際に接続した時には、配線取り回しや狭いコネクタ間隙間に苦労するかもしれません。

GTR9 ProMS-S1は、高速有線LAN 10Gbps2本あります。光回線利用や高速PC間接続に有利です。

SummaryRyzen AI Max+ 395ミニPC 3種インタフェース比較

エッジAI最強のAMDRyzen AI Max+ 395を搭載したミニPC 3種のフロント/リアインタフェースを比較しました。どの製品もエッジAI処理に十分な性能を持っていますが、特長が表れた結果が得られました。

LED発光ができゲームPCも兼ねるEVO-X2は、ACアダプタ電源供給のため軽量でインタフェース接続性は良いと思われます。

外観に優れ小型シンプル筐体のGTR9 Proは、リアインタフェース接続性が劣る可能性があります。

ラック設置可能なMS-S1は、EVO-X2GTR9 Proに比べ大型ですが、複数MS-S1スタック接続による性能拡張性が高く超高速インタフェースも備えています。

ミニPCで気になる静音性は、ノイズキャンセリング機能付き音声操作がエッジAIエージェント活用時可能かは不明です。

AfterwordAppleM5AI性能3.5倍、Qualcomm製次期Snapdragon80TOPS

Windows エッジAI PCライバルのApple最新M5は、AI性能3.5倍、無線周りも自社製チップ(PC Watch2025/10/16)搭載です。無線インタフェースにAppleが拘る理由は、PC小型化と接続性の良さです。M5搭載AI PCは、Copilot+ PC超強力ライバルになりそうです。また、低消費電力とNPU高性能化が魅力のQualcomm次期Snapdragon搭載ミニPCも注目中です。

エッジAI SoC CPU開発の第二幕、面白そうです。

Rufus 4.11でWin11 25H2アップグレード成功

RufusによるWindows 11 25H2アップグレード成功
RufusによるWindows 11 25H2アップグレード成功

930日、Win11 25H2配布がスタートしました。幸運にも自動更新で弊社4PC1台は、Win11 25H2になりました。

一方、102日、Windows UEFI CA 2023対応メディア作成ができるRufus 4.11がリリースされました(RufusWin11アップグレード要因回避しWin11 25H2化できるツール、CA 2023Afterword参)。

残り3 Win11 24H21台を、Rufus 4.11Win11 25H2手動更新し、正常動作中ですので報告します。

PCはコチラの投稿で使った10年前購入ThinkPad T440pWin11 24H2→25H2アップグレードで示しますが、Win10→Win11 25H2アップグレードもできるハズです。

Rufus 4.11Win11 25H2アップグレード方法

919日投稿Rufus総集編の表示回数は上位です。1014Win10 EOSを前に、Win11アップグレードへの関心高さが判ります。自動で25H2になったPC以外の3PCは、未だWin11 24H2のままです。

そこで、Windows UEFI CA 2023対応メディア作成機能が追加されたRufus 4.11を使って、Win11 24H2 6日(月曜)にWin11 25H2へ手動アップグレードし、本日(金曜)現在、正常動作中です。

このWin11 25H2アップグレード方法を、準備→手動更新→更新後の処理の順に示します。

Win11 25H2アップグレード準備

Step1:アップグレード失敗に備え最終Win11 24H2をバックアップ。

最終Windows 11 24H2
最終Windows 11 24H2

Step2Win11 25H2Rufus 4.11ダウンロード。

Win11 25H2とRufus 4.11ダウンロード
Win11 25H2とRufus 4.11ダウンロード

Step3Rufusを起動し、デバイスは容量8GB以上のUSB、ブートの種類はダウンロードしたWin11 25H2、その他はデフォルトでスタートクリック。

Rufus 4.11の設定
Rufus 4.11の設定

Step4:回避するWin11アップグレード要件を選択しOKクリック(全て回避した弊社例が下図)。CA 2023は、Rufus 4.10以降に追加された条件。これら回避要件は、24H2以外、例えばWin10→Win11 25H2にも適用可能。

Windows 11 25H2アップグレード回避要件の設定
Windows 11 25H2アップグレード回避要件の設定

Step5:プログレスバー終了でWin11 25H2インストールUSB作成完了。閉じるクリックでWin11 25H2アップグレードへの準備は終了。

Windows 11 25H2アップグレード準備完了のRufus 4.11
Windows 11 25H2アップグレード準備完了のRufus 4.11

Win11 25H2手動アップグレード更新

Step6Win11 24H2起動状態で、Win11 25H2インストールUSBを開きsetup.exeクリック。

Rufus 4.11 setupクリック(旧Windows起動状態の実行必須)
Rufus 4.11 setupクリック(旧Windows起動状態の実行必須)

Step7Win11のインストールはデフォルトのまま次へ(N)をクリック。Win11ダウンロードが始まり、続いてPCチェックが表示、最後にライセンス条項が示されるので、同意する(A)をクリック。

Windows 11 25H2のセットアップ
Windows 11 25H2のセットアップ
Windows 11 25H2のライセンス条項
Windows 11 25H2のライセンス条項

Step8:更新プログラムダウンロードが開始され、インストール準備完了で引き継ぐもの選択。引き継ぐもの変更クリックでファイルのみ、または、アプリのみの選択も可能。選択後、インストール(I)をクリック。

更新プログラムのダウンロード
更新プログラムのダウンロード
インストール中はPCを使えない点に注意
インストール中はPCを使えない点に注意

Step9Win11インストールと更新プログラム構成が始まり、終わると自動再起動。通常起動手順(パスワード入力など)を経てWin11 25H2手動アップグレード完了。

Windows 11 25H2インストール開始
Windows 11 25H2インストール開始
Windows 11 25H2更新プログラム構成中
Windows 11 25H2更新プログラム構成中

Win11 25H2アップグレード後の処理

Step10Windows Updateを実行し、最新更新プログラム適用。オプションの更新プログラムもあればインストール。

Windows Updateで最新更新プログラム適用(オン設定もお勧め)
Windows Updateで最新更新プログラム適用(オン設定もお勧め)
オプションの更新プログラム適用
オプションの更新プログラム適用

Step11Win11 25H2アップグレード確認と不要ファイル削除。

Windows 11 25H2アップグレード成功後の仕様確認
Windows 11 25H2アップグレード成功後の仕様確認
Winidows 11 25H2アップグレード成功後の不要ファイル削除
Winidows 11 25H2アップグレード成功後の不要ファイル削除

SummaryRufus 4.11Win11 25H2アップグレード成功

Win11 25H2アップグレードには様々な要件があり、未達PCはアップグレードができません。Win10 EOSなどのサービス終了を前に、要件回避しWin11 25H2化できる無償ツールがRufusです。

最新Rufus 4.11は、Win11再インストール時のUEFI CA 2023トラブルへも対応しました。このRufus 4.11を使いWin11 24H2→Win11 25H2手動アップグレード方法を示しました。

Win11 25H2の再インストールは試していませんが、Win11 25H2アップグレードは成功、正常動作中です。本方法は、Win10→Win11 25H2も可能です(Step4参)。アップグレードCPU要件も同時に回避します。

Rufusを使うと本稿で示した10年前PCでも最新Win11 25H2アップグレードができ、25H2サービス終了の202710月まで延命にも成功です。

古いPCのためエッジAI利用は不可能です。しかし、延命中にクラウドAI活用やAI Copilot+ PC新規購入、次期Win12検討ができます。

AfterwordWindows UEFI CA 2023とは

Windows UEFI CA 2023は、Rufus Wikiに説明があります。NotebookLMを使って和訳しましたが、判り難い内容です。そこで、小学生にも判るようにプロンプトを追加し筆者理解内容を示します。

Windows UEFI CA 2023は、古いPCA 2011証明書に代わる新しい証明書です。この証明書は、UEFI内にファームウェアとして保存されています。Win11 25H2再インストール時、古い証明書ではインストールができません。そこで、UEFIの古い証明書を新しい証明書へ書き換えて対応します。

新証明書CA 2023書き換え機能付きWin11インストールメディア作成ツールがRufus 4.10以降です。

本稿Rufus作成インストールUSBは、CA 2023のPCと同様PCA 2011PCでもUEFICA 2023へ書き換えますのでWin11再インストールが可能です。

新Snapdragon NPUは80TOPS、CPU、GPUも50%以上性能向上

前世代Snapdragon採用Surface ProとSurface Laptop
前世代Snapdragon採用Surface ProとSurface Laptop

Microsoft Surface搭載Snapdragon X Elite 45TOPS NPU)の後継製品、Snapdragon X2 Eliteは、80TOPS NPUCPU/GPU50%以上の大幅性能向上が発表されました(日経XTECH2025年9月23日)。

GoogleクラウドAIGeminiを使ってこのSnapdragon X2 EliteCPU/GPU/NPU総合TOPSを推定したところ、現在最強のRyzen AI Max+ 395126 TOPSと同等かそれ以上と評価しました。

Snapdragon X2 EliteSnapdragon X Elite性能比較

Snapdragon X2 Elite大進化理由PC Watch2025926日)によると、Snapdragon X2 Eliteは、前世代Snapdragon X Eliteより以下の点で大きな進化を遂げています。

  • NPU性能:Snapdragon X Eliteの45TOPSSnapdragon X2 Eliteは80TOPSへ強化
  • 全性能向上:Snapdragon X2 EliteCPU/GPU/NPUどれも50%を超える性能向上実現
  • 製造プロセス:3nmプロセス移行により同一消費電力での性能向上を実現
  • CPUアーキテクチャ:前最大12コア均質構成から、最大18コアヘテロジニアス(不均一)構成(Oryon Primeコア含む)へ刷新
  • メモリアクセス帯域:帯域幅を拡張しAI処理実効性能向上に寄与

これら大幅性能向上は、SurfaceなどのARM64コアCopilot+ PC性能を飛躍的に向上させることが目的です。

Snapdragon X2 Elite総合TOPS推定

Qualcomm社は、Snapdragon CPUGPUAI処理能力をTOPS値で公式発表はしていません。そこで、クラウドAIGemini2.5 Flash)を使って推定した結果が下表です。

コンポーネント 公開値 / 推定値
NPU (Hexagon NPU) 80 TOPS
GPU (Adreno GPU) 20∼40 TOPS (推定)
CPU (Oryon CPU) 5∼10 TOPS (推定)
総合 TOPS (推定) 105∼130 TOPS

各コンポーネントのGemini推定根拠が下記です。

GPUAdreno GPU)GPUNPUに次いでAI演算能力が高いコンポーネントです。高性能なiGPUは数10TOPSAI性能を持つことが知られています。Snapdragon X2 EliteAdreno GPUは大幅に強化されており、性能効率が2.3倍向上していることから、20 TOPS40 TOPS程度のAI演算能力を持つと推定します。

CPU (Oryon CPU)CPUAI演算に使用できますが、NPUと比較するとTOPS値は低めです。競合AMDや高性能x86 CPU傾向を参考にすると、Snapdragon X2 EliteCPU性能は、数TOPSから10TOPS程度と推定します。

Snapdragon X2 Eliteの総合TOPSを、現在最強のRyzen AI Max+ 395のそれと比較したのが下表です。

製品名 総合TOPS (公開値) NPU TOPS (公開値)
Snapdragon X2 Elite 105∼130 TOPS (推定) 80 TOPS
Ryzen AI Max+ 395 126 TOPS 50 TOPS

QualcommSnapdragon X2 Eliteの総合TOPSは、AI演算を効率処理するNPU性能や総合に占める割合が80 TOPSと高いため、競合AMDRyzen AI Max+ 395126 TOPSと同等か、それ以上のAI処理能力になるとGeminiは推定しています。

AI処理性能 vs. 消費電力

AMD/Intel社の従来x64コアから、スマホで有名なQualcomm社の新しいSnapdragon ARM64コアにMicrosoftが変えた理由は、電力効率の良さでした。これは、現行Surfaceの軽量・長時間バッテリー駆動に大きく貢献しています。

Gemini推定どおりSnapdragon X2 Elite126TOPS程度のAI処理性能を持ち、かつ、前世代Snapdragon X Elite同様、同じAI処理能力x64比、電力効率が優れれば、ノートPCCopilot+ PCARM64コア比率を一気に挽回できる可能性はあると思います。

一方で気になるのは、ARM64コアCopilot+ PCの販売価格です。ARM64コアCopilot+ PCへ、Microsoftx64コアCopilot+ PCよりも先行してWin11 AI機能を提供し優遇しています。従来ビジネスアプリのコア依存性は薄まりつつありますが、新Snapdragon採用Copilot+ PC販売価格が、ARM64コア普及の決め手になるでしょう。

Summary:新Snapdragon NPU80TOPSCPU/GPU50%以上性能向上

80TOPSのNPU搭載Snapdragon X2 Elite(出展:日経XTECH)
80TOPSのNPU搭載Snapdragon X2 Elite(出展:日経XTECH)

Microsoft Surface搭載中のARM64コアSnapdragon X Elite後継製品であるSnapdragon X2 Eliteが、80TOPS NPUCPU/GPU50%以上の大幅性能向上であることをQualcomm社が発表しました。

このSnapdragon X2 Eliteの総合TOPSGeminiで推定したところ、現在最強のAMDRyzen AI Max+ 395126 TOPS同等かそれ以上と評価しました。

ノートPC Copilot+ PCの低迷ARM64コア比率を、優れたAI処理性能と消費電力で挽回できる可能性を秘めた新製品がSnapdragon X2 Eliteです。

AfterwordNPU 80TOPSの意味

AMD/Intel/QualcommによるエッジAI SoC CPU提供、第二幕が始まりました。CPU/GPUよりもNPU性能向上が大きいです。これは、関連投稿:America’s AI Action Planで予測した100TOPS以上NPUやメモリ強化とも合致します。AI時代には、エッジAINPU)急成長も必要であることが解ります。

AI開発用ミニPCで、Snapdragon X2 EliteRyzen AI Max+ 395を比べたいです。


2025年モデルAI PC Surface動向

Microsoft Surface が、1014日のWin10 EOS(サービス終了)に合わせ割引価格で販売中です。
最新Surface Pro 2025年モデルと2024年モデルを比較し、2025Surfaceの動向を探りました。

2025/10/19まで割引価格のSurface Pro
2025/10/19まで割引価格のSurface Pro

AI PC Surface低調原因

Copilot+ PC普及率9%、イノベトピア(2025730日)によると、AI PC全体でのMicrosoft Copilot+ PCのシェアは9%と低調です。原因は、価格の高さ、ARM64コアのビジネスアプリ互換性問題と筆者は思います。

20246月のCopilot+ PC発表から1.5年が経過し、多くのビジネスアプリがARM64コアへ対応しました(下図)。また、x86/x64エミュレーションPrismもあり、アプリ互換性問題は解消されつつあります。

ARMネイティブアプリ例(出典:日経Xtech)
ARMネイティブアプリ例(出典:日経Xtech)

9月27日追記:Copilot+ PC向けARMアプリ拡大、Windowsブログ(2025年9月18日)で、ARM64コアネイティブ動作アプリが、分野毎に数多く記載されています。また、アプリ開発者向けに、ARMアドバイザリーサービスも用意されています。

Surface Pro 2025年モデルは低価格化

Surface Pro 2024年モデルは、ARM64コアのQualcommSnapdragon X Elite12コア)やSnapdragon X Plus10コア)を搭載しました。2025年モデルは、これをSnapdragon X Plus8コア)へダウングレートしました。

主要諸元差を一覧表にしました。

Surface Pro主要諸元 2025 モデル 2024 モデル
ARM64コア Snapdragon X Plus8コア) Snapdragon X Elite12コア)
Snapdragon X Plus
10コア)
NPU QualcommHexagon NPU45 TOPS
ディスプレイ 12インチ(2196×1464 13インチ(2880×1920
メモリ・ストレージ Max 16GB RAM512GB SSD Max 64GB RAM1TB SSD
Officeアプリ Microsoft 365 Personal Office HomeBusiness
Win10 EOS割引価格 ¥130.680 ¥207,680

AI処理の要NPUNeural Processing Unit)を除き、2025年モデルは低価格仕様へ変わっています。

Win10 EOSに合わせた割引価格でSurface Pro 2025年モデルは、x64コアのAI PC普及版とほぼ同じ価格帯になったと思います。

Windows ML提供開始

2025923日、Microsoftは、Windows ML (Machine Learning)の提供を開始しました。Windows MLは、x64/ARMコアに関わらずWindows上で多種多様なローカルAI実行環境を提供します。

Windows ML(出展:Microsoftサイト)
Windows ML(出展:Microsoftサイト)

つまり、AMD/IntelQualcommなどCPUベンダに依存しないローカルAI開発が可能です。AI開発のCPUコア依存性は、Windows MLにより無くなりつつあります。

Summary2025年モデルAI PC Surface動向

Microsoftは、従来x64 CPUに変わる新しいARM64コア採用Copilot+ PC20246月に発表しました。Copilot+ PCは、Windows 11CopilotキーなどのAIポータル機能を統合しており、製品にはSurface Pro 2024年モデルなどがありました。

この2024年モデルは、高価、従来ビジネスアプリ互換性問題のためAI PC全体に占める割合は低調です。Copilot+ PC発表から1.5年が経過し、ARM64ビジネスアプリも増えてきたことから、新Surface Pro 2025年モデルは、2024年比、低価格化が進んでいます。

さらに、Win10 EOSに合わせSurface普及促進を目的に割引価格で販売中です。Surfaceが気になるユーザは、今が狙い時かもしれません。

Afterwordx64→ARM64背景

Microsoftが、CPUを従来のx64から新しいARM64コアへ変えた理由は、Apple社のMac同様、電力効率の良さです。確かにARM64ノートPCのバッテリー駆動時間は、x64比、少し長いです。この駆動時間が2倍などであれば、ARM64化に弾みが付いたでしょう。電力効率とアプリ互換性バランスの読み違いもSurface低調要因だと思います。

さて、AI開発は2030年まで減速なし、@IT2025919日)によると、大規模AIインフラ投資によりAI進化は2030年まで継続するそうです。生成AIは、イーサネット出現に匹敵すると筆者は思います。AIに上手く慣れるには、Microsoft Surfaceのような業界標準AI PCの利用が良いかもしれません。


Win10アプリとデータ維持しWin11 24H2アップグレード(Rufus総集編)

Win10ユーザのEOS(サービス終了)対策は、Win11対応PCの新規購入がBestなのは判っています。しかし、最新PCハードウェアであっても急成長クラウドAIに十分対応できるかなど、数年後のローカルエッジPCハード/ソフトの状況は不透明です。

不透明さ対応の1つは、Win10無償延命ツールRufusを使ってWin10アプリとデータを維持したままWin11 24H2へアップグレードすることです。Win11 24H2 EOSは、来年1013日です。また、今秋リリースWin11 25H224H2をアップグレードすれば、更に2027年までの2年間Win10アプリとデータを維持したWin11利用ができます。もちろん、従来Win10ハードウェアを24H2へアップグレードしても今のところ安定動作しています。

本稿は、Win10延命ツールRufusの総集編として過去弊社が投稿した図表を用い24H2アップグレード方法を示します。掲載図は、旧Rufus版のものですが、内容は殆ど同じなのでご理解頂けると思います。

Rufus 24H2アップグレード全体手順

Rufus 4.9Windows 11 24H2アップグレード方法

準備
  1. Win10バックアップ(更新失敗リカバリ対策)
  2. Win11 24H2ディスクイメージダウンロード
  3. Rufusを実行しWin 11 24H2インストールUSB作成
更新
  1. Win10起動状態でインストールUSB setup実行
  2. Win11セットアップダイアログに従い数回クリック
  3. Win11 24H2大型更新完了

準備と更新の手順一覧表です。

先ず、万一の失敗に備え最終版Win10をバックアップしてください。次に、Win11 24H2ディスクイメージをPCデスクトップへダウンロードしてください。

最新Rufus 4.9ダウンロードと実行

最新Rufus 4.9は、コチラからダウンロードします。

Rufus 4.9のダウンロード
Rufus 4.9のダウンロード

PCRufusインストールは不要です。ダウンロードしたexeファイルのクリックで下図(左)のようにRufusが動作します。選択をクリックし、前章Win11 24H2ディスクイメージをブートの種類へ設定します。

8GB以上のUSBメモリをPCへ接続後、スタートをクリックすると、下図(右)のWin11 24H2インストールUSB作成が始まります。USB作成が終われば、Win11 24H2アップグレード準備が完了です。

Rufus 3.21のWindows 11 22H2インストールUSB作成
Rufus 3.21のWindows 11 22H2インストールUSB作成

Win10起動状態でWin11 24H2インストールUSB setup実行

Win10起動状態Win11 24H2インストールUSB内のsetupをクリックします。すると、下図のWin11アップグレード要因回避ダイアログが表示されます。

Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定
Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定

全ての要件を回避した弊社PC例です。ダイアログ表示はありませんが、Win11 24H2サポートCPU条件も同時に回避されます。

従って、Win11 23H2など旧Win11Win11 24H2アップグレードもRufusで可能です。旧Win11ユーザは、本稿Win10記述をお使いの旧Win11へ読み替えれば同じ方法でWin11 24H2アップグレードができます。

今秋リリースWin11 25H2アップグレードは、Win11 24H2が必須条件です。Win10/Win11ユーザは、Rufusを使いPC24H2化し、25H2アップグレード準備を忘れずに!

Win10アプリとデータ維持のままWin11 24H2アップグレード

暫く待つと、下図のWin11セットアップダイアログが表示されます。デフォルトは、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」になっています。「引き継ぐものを変更」クリックでアプリのみやデータのみへの変更も可能です。

デフォルトのままインストールをクリックすれば、Win10アプリとデータを維持したままWin11 24H2アップグレードを開始します。

Windows 11インストール準備完了
Windows 11インストール準備完了

この後は、通常のWin11アップグレードと全く同じです。表示ダイアログに従っていればWin11 24H2アップグレードが完了します。

Win11アップグレード後の注意

アップグレード後は、Win10の見た目や操作性が下図のように変わります。

Windows 10(左)とWindows 11(右)フォルダ比較
Windows 10(左)とWindows 11(右)フォルダ比較

個人的には、Win10ユーザインタフェースの方がWin11よりも優れていると思います。

引き継いだアプリによっては、再インストールやアップデートが必要になるものもあるかもしれません。しかし、弊社の場合は、MCU開発環境なども含め全てのWin10アプリが問題なくWin11 24H2でも動作しました。

Win11 24H2アップグレード後は、過去投稿のお勧め処理Win11 24H2更新状況を参照頂ければ、従来Win10ハードでもWin11 24H2が安定動作することがお判り頂けると思います。

SummaryWin10アプリとデータ維持しWin11 24H2アップグレード

Win10無償延命ツールRufusを使いWin10アプリとデータを維持したままWin11 24H2アップグレード方法を過去投稿図で示しました。最新Rufus 4.9でも図の内容は殆ど同じですので方法をご理解頂けると思います。

Win11対応PCの新規購入が、Win10 EOSBest解です。しかし、Rufusを使えば、Win11 25H2 EOS2027年秋までWin10アプリとデータの延命が可能です。この2年間でローカルエッジPCハード/ソフトのAI状況を見極め、新規AI PC購入を検討するなど低コスト解をRufusが与えます。

Afterword:急成長のクラウドAIとローカルエッジAI PC能力

超知能が数年後に登場2025/09/18(日経XTECH)は、人間知能をはるかに超える「超知能」の23年内実現可能性を否定していません。このAIは、主にクラウドAIです。クラウドAI発展は、ローカルエッジAI不要論もあり得ます。

しかし、ローカルエッジAIもクラウドAIに合わせた発展が必須と筆者は思います。例えば、個人情報保護・漏洩防止の高度エッジセキュリティが備わったローカルエッジAI PCのみが、安全なクラウドAI利用ができるなどです。

最新Copilot+ PCNPUスペックは、40TOPS以上です。これでもローカルエッジAI PCとして現在は十分動作します。数年でこのハードスペックがどう変わるか、AI PC向けOSソフトWin12と合わせウオッチしたいと筆者は考えています。


9月の月例更新プログラムとWin11 25H2準備

9月更新プログラム(KB506526)(26100.6584)のインストール確認
9月更新プログラム(KB506526)(26100.6584)のインストール確認

9月の月例更新プログラム(KB506526)(26100.6584)が配布されました。Win10/11の緊急修正を含みますので、早急な適用が必須です。設定>Windows Update>更新の履歴で、KB506526の正しいインストールを確認し、今秋リリースのWin11 25H2アップグレードへ備えましょう。

20258月のWin10/11シェア

Win10とWin11シェアは、statcounterによると8月時点でも拮抗しており、Win11の人気の無さが判ります。筆者は、TPM 2.0などWin11アップグレード必須要件や、優れたWin10ユーザインタフェースなどが、Win11不人気理由だと思います。

つまり、Win10ユーザには、無理にアップグレードしたいと思わせる新機能がWin11に少なく、魅力の乏しい中途半端なOSだった訳です。

2025年8月のWindows 10と11のシェア(出展: statcounter)
2025年8月のWindows 10と11のシェア(出展: statcounter)

この対策の1つが、20245Microsoft発表の新しいAI対応Copilot+ PCのハードウェアです。

NPUNeural Processing Unit)やMicrosoft Plutonセキュリティプロセサを一体化(SoCSystem on Chip)したAI向けCPUは、効率的でセキュアなAI処理がローカルエッジPCで実行可能です。Microsoftは、このCopilot+ PCハードに最適化した新OSとしてWin12を開発中で、2025年リリース予定だと筆者は思っていました。

AI専用Win12の架け橋Win11 25H2

Win12は、中途半端なWin11から新しいAI専用OSとして登場すると筆者は思います。そして、Win12Copilot+ PCは、従来PC使い方を、全く新しいローカルAIエージェント活用のPC使い方へ激変させると思います。

しかし、Microsoftは、今年10月のWin10サービス終了を前に取り残している多くのWin10ユーザを無視できず、現行Win11AI Win12へ乗換えてもらう必要性を感じます。そこで登場するのが、Win11 25H2です。

今秋リリースWin11 25H2は、Win11 24H2OSコア共有です。簡単に言うと、Win11 25H2の中身はWin11 24H2と同じです。

従って、Win11 25H2へアップグレードしても、24H2からのアプリ移行問題は少ないでしょう。また、Win10延命ツールのRufusを使えば、Win11アップグレード要件の回避も可能で、その回避PCハードでもWin11 24H2が正常に動作します(詳細は下記投稿参照)。

つまり、Win11 25H2の使命は、多くのWin10ユーザ取込み(回収)です。

Win11 25H224H2同様、新Copilot+ PCでない従来PCでも動作します。新旧両PC動作で24H2と同じ中途半端感も残るWin11 25H2ですが、新しいCopilot+ PCの必要性やAI PC生産性の高さをユーザへ実感させ、Copilot+ PC需要喚起やAI専用Win12の架け橋の役目も果たすでしょう。

Win11 25H2アップグレードはWin11 24H2からのみ

Windows 11 25H2更新プロセス(Microsoftブログに加筆)
Windows 11 25H2更新プロセス(Microsoftブログに加筆)

Microsoft公式のWin11 25H2アップグレード要件は、上図で示すWin11 24H2からのみ可能なことには注意が必要です。Win10からでもWin11 23H2からでもありません(Win11 25H2年次更新の詳細:2025/07/11投稿)。

従って、Win11 24H2以外のPCは、25H2アップグレード開始前にWin11 24H2化しておかなければWin11 25H2になりません。

もしかしたら次期Rufusは、Win11 25H2ディスクイメージから要件を満たさないPCでも直接Win11 25H2化できるかもしれません。

しかし、現時点でWin11 25H2アップグレードを行うなら、直ちにRufus 4.9を使ってWin10を24H2にし、Win11 25H2準備は必須です。

Summary9月の月例更新プログラムとWin11 25H2準備

9月の月例更新プログラムが配布されました。Win10/11緊急修正を含みますので、早急な適用必須です。

今秋リリースWin11 25H2アップグレードは、Win11 24H2が開始要件です。Win10サービス終了は10月ですが、Win10延命ツールRufusを使えばWin11アップグレード要件回避も可能で、その回避PCハードでもWin11 24H2が正常動作します。

Win11 25H2リリース前にWin10Win11 24H2以外のPCは、Win11 24H2化しWin11 25H2アップグレード準備必須です。

Win11 25H2事前配布開始か?

「異例」のWin11 24H2累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)が、830日(土曜)に配布されました。この更新プログラムは、今秋リリース予定Win11 25H2の事前配布の一部だと思います。

異例のWin11 24H2累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)配布
異例のWin11 24H2累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)配布

830日「異例」更新プログラム

「通常」のPatch Tuesday 8月例累積更新プログラム配布が、813日、次回9月の例累積更新プログラム配布は、910日の予定です。今回の累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)配布は、8月と9月の中間で、しかもSaturdayの全く「異例」の配布です。なぜこのタイミングか解りません。

そこで、クラウドAIMicrosoft Copilotアクアに質問したところ、4つの理由を得ました。

  1. Copilot +PC向けAI機能強化先行展開
  2. セキュアブート証明書の有効期限問題対応
  3. Patch Tuesday別枠「プレビュー更新」(企業影響を避けるフィードバック取得に週末配布)
  4. (Win11 25H2への)24H2安定性確認フェーズ

筆者は、Win11 25H2 Release Previewリリース記事2025/09/01、窓の杜)から、Win11 25H2事前分散配布だと推測しました。

830日更新プログラムKB5064081入手方法

上記記事では、Insider ProgramRelease Previewチャネル設定により今回の更新プログラムKB5064081入手方法が示されています。

しかし、弊社はWindows Updateで「利用可能になったらすぐに最新更新プログラムを入手」のオン設定で入手しました。もちろん、Insider Program参加は無しです。

8月30日更新プログラム入手方法
8月30日更新プログラム入手方法

KB5064081インストール後、再起動が要求されます。しかし、NPU無しの弊社Win11 24H2に特に変化はありません。

Rufus手動アップグレードWin11 24H225H2化できそう!

Win10延命ツールFlyby11は、Win11 24H2から25H2へのアップグレードができない懸念があるそうです(Win11 25H2が新たな障壁2025/08/06、日経XTECH)。

弊社お勧めRufusも延命ツールの1つです。このRufusを使って弊社は4月から5月にかけてWin11 24H2へ手動アップグレードし、その24H2正常更新状況を、タイムライン風に投稿しました。

手動Windows11 24H2更新タイムライン
手動Windows11 24H2更新タイムライン

今回の事前分散配布プログラム(KB5064081) (26100.5074)のインストール成功は、Win11 25H2アップグレードへの第一歩かもしれません!

今秋Win11 25H2リリースが待ち遠しいです。

SummaryWin11 25H2事前配布開始か?

通常Patch Tuesdayとは異なるWin11 24H2累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)配布が、830日土曜に行われました。週末配布は、企業影響を最小にするWin11 25H2事前分散配布が狙いでしょう。

Rufus手動アップグレードでWin11 24H2化した弊社PCは、Windows Update最新プログラム入手のオン設定で、このKB5064081インストールに成功しました。

今秋リリース予定Win11 25H2アップグレードへの第一歩だと思います。

AfterwordWin11 25H2ビルド番号は26200番台

MicrosoftサイトのWindows and the shared servicing model v1.2 June 2025に、Win11 24H2/25H2ビルド番号が掲載されました。現行Win11 24H2が、26100番台、次期Win11 25H2は、26200番台です。

Wn11 25H2アップグレードは、Win11 24H2が前提です。10月に迫ったWin10 EOS対策に、RufusによるWin11 24H2更新をお勧めします。

AIスマホとAI PC、ローカルAIの使い方は何が違う?

820日発表のGoogle Pixel 10は、スマホAI機能を大幅に強化しています。この最新Pixel 10のローカルAI機能を例に、最新AIスマホと最強AI PCのローカルAIの使い方がどう違うのか考察しました。

最新スマホのローカルAI機能

Google Tensor G5(出展:blog.google)
Google Tensor G5(出展:blog.google)

Google自社開発最新SoCTensor G5搭載Pixel 10は、従来Tensor G4比、CPU 34%高速化、AI処理NPU最大60%高性能化しています。これらによりスマホで下記ローカルAI機能を実現します。

マジックサジェスト:日常的に使うアプリやアクション、コンテキストに基づいたユーザ行動の先回りAI予測の提案機能。フライト情報の自動表示やメッセージ返信例のAI提案など実現。

カメラコーチ:リアルタイムで画像認識しカメラ構図のAI提案、複数写真からベストショット合成など。

マイボイス翻訳AIが生成したユーザの声でリアルタイム翻訳通話。

これらローカルAI機能は、「ユーザが意識せずとも先回りAIアシストが受けられる」ように設計されています。もちろん、全てのAIサービスはローカル端末で完結のためクラウドへの情報漏洩はありません。

フラグシップAI PCのローカルAI機能

AMD Ryzen AI Max+ 395(出展:AMD)
AMD Ryzen AI Max+ 395(出展:AMD)

AI PCは前稿で示したSoCトータル126TOPSを持つ現時点最強 Ryzen AI Max+ 395搭載Beelink GTR9 Proを例にローカルAI機能を示します。

大規模ローカルLLM:大量テキストデータ学習結果から、ユーザが判り易い文章を生成。ユーザとAIのインタフェース役も果たす(関連投稿:NPUとローカルLLM)。

AIエージェント:ユーザに代わり各種PCツール連携処理をAIが代行。学習や適応能力があるため、様々な状況変化にも対応可能。例えば、SNS投稿の感情分析など高度な処理も可能(関連投稿:AIエージェントの魅力)。

CoPilotサービス:ユーザアクションをAIが自動記録、後に自然言語検索・再利用ができるRecallなどの機能。

スマホAI機能に比べると、PC全体の広範囲なローカルAI機能が使えます。現在は、ローカルAI機能を有効にするか否かをユーザが選択可能です。

SummaryAIスマホとAI PC、ローカルAI使い方の違い

AIスマホとAI PC、ローカルAIの使い方差(Gemini作成)
AIスマホとAI PC、ローカルAIの使い方差(Gemini作成)

AIスマホとAI PCのローカルAIは、その対象と提供方法に違いがあります。

AIスマホのローカルAIは、日常タスク効率化とユーザ体験向上にフォーカスしてアシストします。

一方、AI PCのローカルAIは、高度AIモデル実行、操作カスタマイズ、AI開発などPC作業の広範囲アシストが可能です。但しAIアシストの有無は、ユーザが選択します。

スマホ/PCどちらも、クラウドへの情報漏洩無しに高度なローカルAIサービスが利用できる点は同じです。但し、ユーザ無意識なAIサービス提供がAIスマホ、アシスト有無明示のAIサービス提供がAI PCです。

Afterword:ローカルAI移設は必須

ローカルAIは学習・適応能力があるため、使えば使う程ユーザ好みの賢いアシスタントになります。AIスマホやAI PCのハードウェア平均運用年数は数年です。この運用年数を過ぎて新しいエッジ端末へ換えた時、果たして賢いアシスタントも新端末へ移設できるのでしょうか?

ローカルAI情報は、SoC内臓セキュリティチップに蓄えると思います。賢くなったアシスタントも移設必須ですね。


AI Max+ 395搭載GTR9 Pro先行販売

5月の4種ミニAI PC比較時、未発表であった高AI性能、静音性にも優れるRyzen AI Max+ 395搭載BeelinkGTR9 Proが、先行販売されました。今なら$2,399が$1,985¥293,000/2025-8-21換算)で35日以内に発送するそうです。

GTR9 Pro概観とAI処理能力(出展:Beelink)
GTR9 Pro概観とAI処理能力(出展:Beelink)

現在AI向けCPUAPU)プラグシップのAMD Ryzen AI Max+ 395搭載で、実用ローカルLLMが可能な128GB UMA実装済み、America’s AI Action Plan 5年後AI変化予測の100TOPS以上AI処理能力を持ちながら、静音/放熱性に優れ電源内蔵で移動性も優れるGTR9 Proを紹介します。

APUAccelerated Processing UnitCPU/GPU/NPUSoCSystem on Chip)化したAI CPU
※UMA
Unified Memory ArchitectureRAM領域をCPU/GPU/NPUで共有する方式。AMD社やApple社のAI CPUUMA採用中。

AI PC選択要件

ミニAI PC関連の過去投稿とその要点が下記です。

  • ローカルLLM活用はAPUと大容量・高速UMAが重要:2025/05/16投稿
  • APU内蔵Plutonプロセサがセキュリティ保護に重要:2025/06/20投稿
  • ノートAI PC比マルチモニタ接続容易で低価格なミニAI PCAI活用開発に適す:2025/07/18投稿
  • Action Plan発表後5年間のAI PC能力予想:2025/08/08投稿3章)
  • 70B LLMサポートAI PC要件:2025/04/11投稿Afterword

まとめると、AI PCを選ぶ時は、APUUMAによる高速AI処理、大容量メモリ、情報漏洩リスクが低いローカルLLM活用が重要で、更にAI開発向けは、拡張性と複数外部モニタ接続性も必要なためノートAI PCよりもミニAI PCが適すと結論しました。

本稿のBeelinkGTR9 Proは、これら要件を満たすミニAI PC1つです。

GTR9 Pro製品特徴

クラウドAIGoogle Gemini2.5 Flash)を使ってGTR9 Proを調べると、前章AI PC要件を満たすだけでなく様々な製品特徴が判ります。

GTR9 Proの優れた冷却システムと静音性の実現方法(出展:Beelink)
GTR9 Proの優れた冷却システムと静音性の実現方法(出展:Beelink)
  • AI処理性能はCPUGPUNPU合計126TOPS
  • Ryzen AI Max+ 395の高いTDP(45-120W)を低い騒音レベル(32~37dB)で実現
  • 静音デュアルターボファンとベイパーチャンバーが特徴の冷却システム
  • 230W電源内蔵でMac Studio類似の180×180×90.8mmサイズ

筐体は、継ぎ目のないオールメタル製で優れた耐久性と高級感があります。内部設計も、フルアルミニウムのフレームシステム上にマザーボード/ヒートシンク/ファンなどの主要コンポーネントを固定し、ミニPCにありがちな応力によるコンポーネント損傷を排除、耐衝撃性も向上しています。

つまり、ノートAI PC比、ミニAI PCの弱点である移設・移動性も改善されています。GTR9 Proならバックに入れて持ち歩き、接続モニタがあるネットカフェなどでノートAI PC同様に活用できるでしょう(GTR9 Pro重量は投稿時不明)。

ミニAI PC課題

一方、GTR9 Proに限らずミニAI PCならではの課題もあります。

  • はんだ付けオンボードメモリのため容量増加不可
  • ベアボーンモデル選択肢無し
  • AMDハードウェアを最大活用するソフトウェア/ドライバ供給遅延
  • 対中国の米国政策(最新AI半導体やOS提供可否)

AMDの第一世代ハードウェアは、ソフトウェア/ドライバの提供が遅れることはよくあります。暫く待てばよりハードウェア性能を引き出せるソフトウェア/ドライバが提供されると思います。

また、ミニAI PC製造が多い中国へ、最先端のAI半導体やOSを従来通り米国から輸出供給可能かも不透明です。

SummaryAI Max+ 395搭載GTR9 Pro先行販売

5月の4種ミニAI PC比較時、未発表であった高AI性能で静音性にも優れるRyzen AI Max+ 395搭載BeelinkGTR9 Proが先行販売されました。

現在APUプラグシップのAMD Ryzen AI Max+ 395を搭載し、ローカルLLM実用可能な128GB UMA実装済み、America’s AI Action Plan5年後AI変化予測100TOPS以上のAI処理能力を持ちながら、静音/放熱/移動性にも優れた電源内蔵ミニAI PCGTR9 Proを紹介しました。

AfterwordBeelink GTR9 Pro製品動画はコチラ