2024 年も残すところ2 週間。MCU 開発者の筆者には、開発基盤Windows 11 変化に困惑した年でした。
ソフトウェア開発者の主業務:コーティングは全体の僅か25% 程度、これ以外の75% は資料作成やリサーチに費やされるそうです。ハードウェア開発者の主業務:回路設計も同様でしょう。これら全業務にWin11 変化が深く関わります。
前投稿 で弊社4PC を2025 年3 月末までWin11 23H2 固定に決めたので、年度末までの開発は安定OS 環境で行えます(固定後も更新プログラム等は適用されます)。
今年のWin11 変化を振返り、次期Win12 へのOS 大転換期を俯瞰します。
Windows 11 シェア低迷要因
WIndows 11(青)と10(紫)のシェア推移(出典:statcount)
2024 年11 月のWindows シェア推移 です。Win11 は、全体シェアの35% 以下、最新Win11 24H2 リリースの10 月以降、僅かにシェア低下が判ります。逆にWin10 は、2025 年10 月サービス終了にも関わらず、未だ60% を超えるシェアを維持しています。
Microsoft 初の個人向けWin10 セキュリティ延長サポート の影響があるのかもしれません。それでも現行Win11 のユーザ不人気度を端的に示しています。
この要因は2 つ。1 つ目が、専門家が強調するようなWin10 比、Win11 に生産性向上や目新しい UX が無い こと、2 つ目がWin11 アップグレード要件のTPM 必要性がユーザに認識されていない こと、です。
Win11 24H2 の(暗黙の)目的は、次期Win12 リリース時、上記Win11 低迷の2 要因を繰返さないことです。
※Microsoft はユーザにWin11 アップグレードTPM 要件が届かず、今でもその必要性をレポート 中。
Windows 11 不人気の打開策:生成AI
PC とインターネットが結びつき、マスコミ広告からクラウド広告へと変化しました。クラウド広告は、ユーザ利用のブラウザ経由で提供されます。
ブラウザ検索時、ユーザ情報がクラウドへ吸い上げられ、その結果、ユーザが嗜好する広告が自動的にブラウザへ表示されます。不特定多数のマスコミ広告に比べ、効率的な広告とユーザ利便性が得られます。
このようにインターネットとブラウザ広告が、PC 普及に多大な貢献をしました。このインターネットと同様、生成AI がWin11 不人気の打開策とMicrosoft は考えています。
PC と生成AI が結びつくと、ブラウザを使わなくてもPC 上で直接広告が可能です。これで更に高い広告効果、ユーザ利便性向上が期待できます。つまり、ブラウザ広告に代わるAI PC 広告 です。
WIndows 11不人気の打開策、生成AI
また生成AI は、ユーザPC 操作と結びつくAI アシスタント/ コンシェルジェのような新PC サービスも可能にします。一例が、Copilot Vision です。AI アシスタントにより、ユーザは高い PC 生産性や新しい UX が得られ ます。同時に、パーソナルで効率的な消費活動もできます。
但し、実際にAI を利用するには、Win10 までの古いPC では困難です。高性能なNPU/GPU/CPU/ 高速メモリは必須です。Microsoft Copilot+ PC は、このAI 利用の最低限ハードウェア仕様を示したものです。
AI は、ユーザと共に移動するノートPC と相性が良いため、Copilot+ PC はノートPC を最初のターゲットにしました。最低1 日のバッテリー駆動能力と軽量薄型化が目標です。
ユーザは、パーソナルAI が利用可能なモバイル軽量薄型Copilot+ ノートPC を使って、高生産性と新 UX を実感し、 クレカ情報保護/ 更新などの消費活動からユーザ情報保護重要性も認識 します。
つまり生成AI をPC へ追加することで、前章で示したWin10 からWin11 シェア推移が進まなかった2つの失敗要因を同時に解消できる 訳です。
Win11 24H2 は次期Win12 のプレビュー(β テスト)OS
AIで大転換期を迎えたWindows 11とCopilot+ PC(出典:Microsoft)
生成AI 用のPC ハードウェアがCopilot+ PC です。
そのOS は、Win11 24H2 で追加中の様々なAI 機能、例えば、Recall やフォトアプリ超解像化 などが単独・単体で動作 します。しかし、次期Win12 搭載のAI アシスタントは、これらAI 機能を臨機応変に組合せ、ユーザがより使い易いAI サービスへ統合 し提供します。
また、Win11 24H2 は、Copilot+ PC が求めるバッテリー駆動能力向上や、TPM より強固なユーザ情報保護を行う新セキュリティプロセサプラトン 動作のため、Win10 から継承してきたWin11 23H2 のNi コアを、Win11 24H2 で新しいGermanium コアへ変更しました。
過去OS コア変更のアップグレートは、多くのトラブルが発生していました。Win11 24H4 は、段階的配布とセーフガードで発生率を下げていますが、トラブルが多い ことに変わりはありません。
このようにWin11 24H2 は、色々なAI 単体機能をユーザで試すこと、古いPC ハードウェアではAI 処理やセキュリティに限界があり新しいハードウェアが必要なこと、Win12 アップグレードトラブルを減らすこと、これらが目的です。実質的には、次期 Win12 のプレビュー( β テスト) OS です。
Win11 24H2 シェアは低くてもそのユーザは先進ツールを好むのでテストできるでしょう。これは、製品版で実質β テストを行う程のWindows 大転換期の証 とも言えます。
Win11 24H2 市場テストの結果、AI サービスとして統合したユーザパーソナルなアシスタント/ コンシェルジェが使える新OS として登場するのが次期Win12 です。もちろん、Copilot+ PC 以上のハードウェアとセキュリティプロセサプラトンが、ユーザにも認識されアップグレード要件になります。
Win11 で失敗したWin12 アップグレード要件がユーザにはっきり認識され、しかもユーザパーソナル情報に基づいた各種AI アシストがあるので使い易く大人気OS となるでしょう。
Summary :Win11 23H2 と24H2 、Win12 へのOS 大転換
Windows 11 23H2、24H2、Windows 12へのOS大転換期
OS 大転換期のWindows をまとめます。
Win11 23H2 :Win10 ハードウェアへTPM 2.0 セキュリティ追加のOS 。Win10 ユーザに、 TPM 必要性、生産性向上、新しい UX (ユーザ体験)が認められず 、2024 年11 月末時点でWin11 シェア35% 以下の不人気OS 。
Win11 24H2 :生成AI 対応の次期Win12 の β テスト OS 。AI 活用は、Win10 ハードウェアの大幅強化、新プラトンセキュリティプロセサ実装のMicrosoft Copilot+ PC が最低要件。AI 対応Win12 アップグレード前に、Win10 までの古いPC ハードウェア買換え促進も目的。
Win12 :2025 年秋Win10 サービス終了前後に、AI サービス対応Win12 リリース。
Win12 は、AI サービスを使い従来比、確実にユーザが判る PC 生産性向上、新 UX が得られる 。しかし、AI 活用にはCopilot+ PC 以上のハードウェア必須。さらに強固なプラトンセキュリティプロセサによるユーザ情報保護 がWin10/11 無償アップグレート要件。
Afterword :Win12 は筆者推定だがAI 大転換は変わらず
Win11 23H2/24H2 は、事実に基づいて記述しています。が、Win12 は、あくまでユーザ筆者の推定です。PC ハード/ ソフトも含め、世の中、AI による大転換期 です。古い物に固執するつもりはありませんが、MCU 開発に悪影響がないことを願っています。
仮にAI を使わない(使いたくない)ユーザは、Win11 24H2 サービス終了の2026 年10 月までは従来PC で業務ができます。AI により主業務(コーティング/ 回路設計)の25 %と付随業務75% が、どの程度改善されるかにもよりますが、付随業務比率のAI 改善を筆者は期待しています。