Ryzen AI Max+ 395ノートAI PCとミニAI PC比較

Ryzen AI Max+ 395搭載ノートAI PCとミニAI PC比較
Ryzen AI Max+ 395搭載ノートAI PCとミニAI PC比較

同じAMDAI CPURyzen AI Max+ 395搭載ノートPCとミニPCを比較し、得失をまとめました。次期AI PC製品選択の参考になれば幸いです。

比較AI PC概要

Ryzen AI Max+ 395は、CPU/GPU/NPUSoC化し、投稿時AMD社で最も高性能なAI CPUです。

AMD AI CPU  Cores /
Threads 
Boost2 / Base
Frequency 
Cache  Graphics Model  TDP  NPU
TOPS 
Ryzen AI Max+ 395  16C/32T Up to 5.1 / 3.0 GHz 80MB Radeon 8060S 45-120W 50 

このAI CPUをノートPCとミニPCへ製品化したのが本稿の比較対象です。ノートPCは、HPZBook Ultra G1a、ミニPCは、前投稿GMKtecEVO-X2で、下記概要です。

比較AI PC RAM容量/速度  SSD容量/速度 製品特徴 5/22参考価格
ZBook Ultra G1a
(ノートAI PC
64GB/8000Mbps 1TB/PCIe-4×4 14インチ1920×1200液晶 619,300
128GB/8000Mbps 2TB/PCIe-4×4  739,200
EVO-X2
(ミニAI PC
64GB/8000Mbps 1TB/PCIe-4×4 DeepSeek-R1:32Bサポート 319,900
128GB/8000Mbps 2TB/PCIe-4×4 DeepSeek-R1:32Bサポート
DeepSeek-R1:70B
サポート
Lama 4:109B
サポート
393,990

プロセサCPU/GPU/NPU、搭載RAMSSDは同一仕様で比較します。従って、ノートPCとミニPCのエッジAI PC基本性能は、同じと考えて良いと思います。

また、前投稿同様、ローカルLLMをインストールし、パーソナルAIアシスタント構築をAI PCの前提条件とします。今後様々な開発に、エッジAIエージェントは必須と筆者が考えるからです。

※ローカルLLM構築方法は前投稿LLMサポートAI PC要件は、関連投稿Afterwordを参照。

ノートPCZBook Ultra G1a

AMD Ryzen AI Max+ 395搭載HPノートPC:ZBook Ultra G1a
AMD Ryzen AI Max+ 395搭載HPノートPC:ZBook Ultra G1a

ミニPCと比較のため、64GB/128GB RAM仕様を前章で表記しましたが、16/32GB RAMOLEDパネルなど豊富な選択バリエーションがあります。このクラスのノートPCは、CADやクリエイター向けモバイル・ワークステーション(WS)に分類されおり、カスタマイズ性も高いため参考価格は、最低価格~と表記しています。

コチラ128GB製品記事(2025519日、インプレス)があります。要約が下記です。

  1. PCMark 10や3DMarkスコアが高く、特にAIやGPUで優れた性能
  2. AI画像生成やLLM動作にも適し、内蔵GPUはGeForce RTX 3050やRTX 3060に匹敵
  3. 約8.1時間駆動のバッテリ性能
  4. 付属ACアダプタは、140W
  5. 薄型・軽量:312×215×9.2、(前部)13.2、(後部)18.4mm、1.57kg

12は、Ryzen AI Max+ 395性能の高さを示しています。345は、モバイルWS製品の良さを示し、特にバッテリ駆動時間の8時間越えは、高性能WSではきわだつ長さです。Ryzen AI Max+ 395の電力効率が良いためでしょう。

ミニPCEVO-X2

AMD Ryzen AI Max+ 395搭載ミニPC:GMKtec EVO-X2
AMD Ryzen AI Max+ 395搭載ミニPC:GMKtec EVO-X2

ミニPCは、ノートPCからモニタと内蔵バッテリ、キーボードなどを外し、低価格化と小型筐体化したPCです。ノートPCでは困難なSSD追加などの仕様拡張性を持つものもあります。

コチラに製品の簡単な紹介記事(202551日、ITmedia)があります。詳細評価はありませんが、前章12は、同じ制御系ですので成立つと思います。

注目すべきは、同じ性能を持つノートPCとのミニPC本体価格差です。

本稿の場合、¥319,900/619,300、または、¥393,990/739,200と、40%以上ミニPC本体が安いことが判ります(販売価格は、変動が激しいことに注意)。

目安として、同一性能ノートPCより3040%低価格でミニPC本体が取得できます。もちろん、ミニPCは、外付けモニタやキーボードなども必要ですので、トータルシステム価格は同程度かもしれません。

SummaryRyzen AI Max+ 395 ノートPCとミニPC比較

同じRyzen AI Max+ 395搭載ノートPCHPZBook Ultra G1aとミニPCGMKtecEVO-X2を比較した結果、下記が判りました。

  1. ミニPC本体価格は、同一性能ノートPC比、30~40%安価
  2. AI Max+ 395搭載AI PCは、AI画像生成やLLM動作に適す
  3. AI Max+ 395内蔵GPUは、GeForce RTX 3050RTX 3060に匹敵
  4. ノートPC:ZBook Ultra G1aは、バッテリ駆動8時間以上の薄型・軽量の高性能AI WS
  5. ミニPC:EVO-X2は、SSD拡張スロットが1つある

ZBook Ultra G1aは、移動性に優れた高性能ノートAI PCです。エッジAIシステムを単独で構築できるため、AIスマホよりも高度でクリエイティブなAI PC開発を、いつでも・どこでも処理できます。

一方、EVO-X2は、ノートPC比、移動性は劣ります。つまり、AI PC開発をどこでもできる点は劣ります。しかし、ユーザが好むサイズのモニタやキーボードを追加・変更できる柔軟・拡張性があります。

仮に、複数エッジAI PC間のAI情報同期(Afterword参照)ができない場合は、ノートPC 1台のモバイルエッジAIシステム構築が強みになります。逆に、複数エッジAI PC間同期が可能なら、同一ノートPC性能比3040%低価格なミニAI PCが、ローカルLLM適用エッジAI PCに適すと評価します。

Afterword:複数エッジAI PC間のAI情報同期

エッジAI PCには、ユーザ嗜好や質問傾向などのAIエージェント成功に必要なパーソナル情報が学習・蓄積されます。常にユーザが携帯し行動も共にするAIスマホは、このAIエージェントに向いています。

一方、エッジAI PCを複数所有しても、ユーザが同じAIエージェントのサポートを受けたいと思うのは当然です。Microsoft Build 2025発表AIエージェントIDは、これを実現する1方法です。但し、クラウドでパーソナル情報の蓄積や同期をユーザが嫌がるのも解ります。複数エッジAIエージェント同士で、パーソナルAI情報同期ができれば解決します。

ミニAI PC 4種比較

AI PCLLMをインストールし、パーソナルAIアシスタント構築が弊社次期AI PC構想です。最新ミニPC 4種をこの構想の観点から簡単に比較しました。

AMD2つのAI CPU

AI PC向けCPUは、AMD社からRyzen AI MaxRyzen AI 3002シリーズが発売中です。本稿は2シリーズから下表のRyzen AI Max+ 395採用のGMKtec社EVO-X2とBeelink社GTR9 ProRyzen AI 9 HX 370採用のEVO-X1SER9 Proの4種を比較します。

AMD AI CPU  Cores /
Threads 
Boost2 / Base
Frequency 
Cache  Graphics Model  TDP  NPU
TOPS 
Ryzen AI Max+ 395  16C/32T Up to 5.1 / 3.0 GHz 80MB Radeon 8060S 45-120W 50 
Ryzen AI 9 HX 370  12C/24T Up to 5.1 / 2.0 GHz 24MB Radeon 890M 15-54W 50 

比較ミニPC 4

比較ミニPC 4 GMKtec 5/15参考価格  Beelink 5/15参考価格
Ryzen AI Max+ 395 
70B LLM対応
EVO-X2 $1499/64GB
$1999/128GB
GTR9 Pro   不明
Ryzen AI 9 HX 370 EVO-X1  $900/32GB
$1030/64GB
SER9 Pro $949/32GB
$1119/64GB

ミニPCは、価格変動が激しいので投稿時価格を参考掲載しました。

2月の弊社AI PC投稿では、NPU増設インタフェース:OCuLinkを持つGMKtecEVO-X1が、弊社AI PCに適すとしました。その後発売された、EVO-X2は、搭載メモリ最低量を64GBに増量、世界初の70B LLM対応機種ですが、OCuLinkはありません(EVO-X270B LLMは、投稿AI CPUとAI MCU参照)。

Beelink社のGTR9 Proは、X(旧Twitter)発表機種で70B LLM対応、未発売、詳細不明です。SER9 Proは、OCuLink無しで静音動作が特徴です。

LLMと生成AI

新しいものを生み出す能力を持つAI全体の名称が、生成AIです。人間同様、現在の生成AIには得意分野があります(関連投稿:生成AI活用スキル)。

LLM(大規模言語モデル)は、言葉、文章や会話を生成するのが得意なAIです。また、DALL-E3は、画像や絵の生成を得意とする画像生成AIです。近い将来、これら得意分野の各AIが統合し、汎用AIAGIArtificial General Intelligence)へステップアップすると筆者は思います(関連投稿:生成AI未来予測)。

人間とAI間のインタフェース役が、LLMです。クラウドAIから出力を引き出すChatGPTなどの対話AIアシスタントは、LLMがクラウドAIのフロントエンドで動作しています。

Visual Studio Code利用ローカルLLM構築

ローカルLLMは、クラウドのLLMをエッジ(端末)のローカルPCで動作させます。オフライン動作のため、AIアシスタントやビジネスデータのAI分析・解析などを端末PC上で行っても、クラウドへの情報漏洩が無いメリットがあります。

ローカルLLMAI PCCPUQualcommSnapdragon X、メモリ:16GB)構築方法は、LM Studio利用Visual Studio Code (VSC)利用2方法があります。VSC利用方法を簡単にまとめたのが下記です。

  1. VSCインストール
  2. 拡張機能AI Toolkit for VSCインストール
  3. NPU動作LLM選択
  4. チャットウインド経由でローカルLLMと日本語会話

現在、NPU動作LLMも複数あり、様々な特徴があるのが記事から判ります。

LM Studio利用ローカルLLM構築

LM Studio利用でローカルLLMを構築し、英語動作検証の結果がコチラの記事に記載されています。また、AI PCでのローカルLLM構築に注意すべき下記記載もあります。

  1. ローカルLLM活用には、PC搭載の高速メモリ量が重要
  2. LLMパラメタ数と使用メモリ量は比例
  3. LLMパラメタ数が少ないと文法ミスなどLLM出力品質低下
  4. CPU/GPU/NPUがメモリ共有結合するUMAUnified Memory ArchitectureSoCが適す

Summary:ミニAI PC 4種比較

最新ミニAI PC4種比較結果
最新ミニAI PC4種比較結果

エッジAI PCのローカルLLM活用には、CPU/GPU/NPUの大容量・高速メモリUMAがポイントです。また、OCuLinkは、UMAの点からローカルLLMに不向きな可能性が出てきました。

最新ミニAI PC 4種を比較し、価格・65W移動性重視ならSER9 Pro、性能重視ならEVO-V2、または、静音性も優れる未発売GTR9 Proが良いと結論します。

Afterword:オープンソースLLM

投稿時点のVSCNPU動作LLMパラメタ数は、7B/14B程度で、16GBメモリ量に応じた選択が必要です。また、それぞれのLLMに特徴があるので、ユーザのAI使い方により出力品質も異なります。つまり、使うオープンソースLLMAI)に個性があるようなものです。

AI PCハードウェアだけでなく、ユーザの(使い方)相性に合うオープンソースLLMAI)を探す必要もありそうです。


Win11 24H2更新後のお勧め処理

Rufus 4.7を使ったWin11 24H2アップグレード要件を回避したWin11 23H2/Win10手動更新成功を418日に投稿しました。今回は、Win11 24H2更新後のお勧め処理を示します。

対象PCは、10年前Win8購入のThinkPad T440pです(第4世代Intel CPUCore i7-4800MQRAM 8GBTPM無し、500GB SSD交換済み)。つまり、24H2アップグレード要件を満たさない従来PCです。

アップグレード要件PC自動更新開始

52Microsoftは、24H2アップグレード要件を満たすPCへ、Win11 24H2段階的配布の最終段階を宣言しました。サイトの一部抜粋が下記です。

202552日現在の状況

Windows 11 バージョン 24H2 Windows 11 2024 Update)が広くご利用いただけるようになりました。設定のWindows Updateからバージョン 24H2 を段階的に展開する作業の最終段階に達しました。“

つまり、要件を満たすPCは、ユーザが何もしなくてもコチラの記事記載のアップグレート準備完了が通知されます。逆に、この準備完了通知が来ないPCは、24H2自動更新ができないPCです(サイト掲載の既知の問題の有無は除く)。

Windows 11 24H2アップグレート準備完了通知(出展:記事)
Windows 11 24H2アップグレート準備完了通知(出展:記事)

418日投稿は、この24H2自動更新ができないPCの手動更新方法です。要件を満たさない弊社PCでも、問題なくWin11 24H2が動作中です。但し、次章から示す24H2更新後の処理をお勧めします。

Windows.oldフォルダ削除

Win11 24H2更新時、自動作成される巨大フォルダが、Windows.oldです。更新前Windowsへリカバリする際に使います。

しかし、筆者経験では、Win付属ツールでのリカバリ成功率は低いです。対策にEaseUS Todo Backup Freeなどのバックアップツールを使っています。その結果、バックアップ容量をムダに浪費する巨大Windows.oldフォルダは不要です。削除方法は、

  1. Winキー+Iで、設定システム>ストレージを開き、一時ファイルの>クリック
  2. 以前のWindowsインストールに☑し、ファイルの削除クリック
Windows.oldファイルの削除
Windows.oldファイルの削除

自動インストール不要アプリ削除

24H2更新時、23H2/Win10の従来アプリはそのまま維持できます。しかし、OneDriveTeamsなどのMicrosoft推薦アプリも更新時に自動インストールされます。特にOneDriveは、厄介な起動時アプリです。これらアプリを使わないユーザは、手動で削除します。削除方法は、

  1. Winキー+Iで、設定システム>アプリを開き、インストールされているアプリの>クリック
  2. アプリリストから不要アプリを選択し、・・・(その他のアプション)をクリックし、アンインストールクリック
自動インストール不要アプリの削除
自動インストール不要アプリの削除

パフォーマンス安定後の24H2評価

24H2更新後、弊社ノートPCは、無操作でも冷却ファンが回り続けました。この時のタスクマネージャーのパフォーマンスモニタが下図です。おそらく、24H2システムを自動で再構成しているのだと思います。

タスクマネージャーパフォーマンスモニタ例
タスクマネージャーパフォーマンスモニタ例

このシステム再構成中は、ユーザ操作の反応が鈍くなります。弊社T440pの場合、更新直後はCPU/ディスク使用率が100%近くで、更新後24時間位は実用になりませんでした。

この原因がアップグレード要件を満たさないためか、または、PC能力自体が低いためかは、不明です。更新Win11 24H2を評価するなら、パフォーマンスモニタを確認し、システム安定化後をお勧めします。

SummaryWin11 24H2更新後のお勧め処理

52日からWin11 24H2段階的配布の最終段階となりました。Win11 24H2アップグレード要件を満たすPCは、自動で更新準備が完了します。更新準備完了とならないPCは、要件を満たさないPCです。

要件未達PCは、手動24H2更新が必須です。Win11 23H2/Win10サービス終了(EOS)が1014日、これ以降はPCのセキュリティを維持できないからです。24H2手動更新でEOS20261014日に変わりますので、従来PC1年延命効果もあります。

Rufus 4.7での24H2手動更新方法は、4月18日投稿を参照頂き、本稿は、24H2手動/自動更新後のお勧め処理を示しました。

  1. 巨大Windows.oldフォルダ削除
  2. 自動インストール不要アプリ削除
  3. パフォーマンス安定化後の24H2評価

パフォーマンス安定化を待たずに24H2評価はできません。弊社10年前のT440pノートPCでさえ、パフォーマンス安定化後はエッジAIを使わない従来PCとしてWin11 24H2が快適(?)に動作します。

本稿はテスト運用も兼ねてこの手動更新T440pで作成しました👍。

AfterwordT440pタッチパッド交換レジストリ再修正

T440pタッチパッド交換(左:一体型、右:独立型)
T440pタッチパッド交換(左:一体型、右:独立型)

Win 23H2のレジストリ修正が、一部24H2へ反映されません。一例が、弊社T440pの独立ボタンクリックパッドの交換です。一体型が標準ですが、使いにくいため独立型へ変えました。この変更にレジストリの手動修正が必要ですが、更新24H2にこの修正は反映されません。

レジストリ手動修正の場合は、regファイルとして修正を保存し、24H2更新後、このregファイルをクリックすると修正が反映されます。


NPUとローカルLLM

エッジAI処理最適化NPU必要性、ローカルLLMとは、PCユーザ対処とは
エッジAI処理最適化NPU必要性、ローカルLLMとは、PCユーザ対処とは

425日、Win11 24H2向け5月「先行」更新プログラム:KB5055627がリリースされ、Recallなど多くのAI PC機能がWin11 24H2へ追加されました。Rufus 4.7で手動アップグレードした弊社Win11 24H2は、NPUが無いためこれら新しいエッジAI PC機能は使えません😢。

なぜNPUが無いとAI機能が使えないのか、大規模言語モデル:LLMとは何か、急成長するAIPCユーザはどう対処すべきか、を考察しました。

AI PC最重要ハードウェア:NPUNeural Processing Unit

AI PCと従来PCの差は、NPUハードウェアを持つか否かです。エッジAI最適設計のNPUは、高速並列処理で低消費電力なAI専用プロセサです。

筆者は、従来PCの高性能CPU/GPUでも無理やりエッジAI処理を行うことはできると思います。しかし、次章に示すLLMAIアプリの処理速度、電力消費の点でAI専用NPUが優れ、その結果、AIアプリ実行要件にNPUハードウェアを指定したと思います(PC買換え喚起の狙いもあると思いますが…)。

NPUを持つAI PCは、今後のPC使い方を大きく変えます。AI活用でPCがより使い易く、高い生産性になるからです。AIスマホ同様、一度でもAI PCを使うと従来PCへは戻れないでしょう。

LLM(大規模言語モデル)

ローカルLLMは、プライバシー保護に優れたエッジAI PCとユーザ間インタフェースの役目
ローカルLLMは、プライバシー保護に優れたエッジAI PCとユーザ間インタフェースの役目

LLMLarge Language Modelは、大量テキストデータの学習結果から、ユーザに判り易い文章を生成するAIです。

このLLMは、既にクラウドAIの入出力インタフェースとして稼働中です。例えば、ブラウザのAI対話アシスタント:Gemini/Copilotへ、ユーザが入力した質問テキストを解析し、ユーザ自然言語で回答を出力するのもこのLLMがクラウドAIのフロントエンドにいるからです。

このLLMをエッジAI PCNPUで動作させるのが、ローカルLLMです。オフラインでもLLMが動作しますので、AIアシスタントやビジネスデータのAI分析・解析などをPC上で行っても、クラウドへの情報漏洩は防げます。

つまり、ローカルLLMは、プライバシー保護に優れたエッジAI PCとユーザ間インタフェースの役目を果たします。

最初に示したRecallなどのAI機能操作は、殆どが未だ従来のGUIベースです。これは、自然言語対応済みのAIスマホに比べ、AI PCユーザインタフェースが遅れていることを示しています。

Win11 24H2は、従来PCAI PC両方動作(=中途半端)ですので、この遅れもやむを得ません。しかし、次期AI PC専用Win12では、GUIから自然言語対応PCへと改善されるでしょう。

ローカルLLM実装例

425日、AI PCNPUへローカルLLMをインストールするとどう変わるか、RAM使用量による日本語対応などが判る記事がインプレスに掲載されました。ごく簡単に要約すると、

  • ローカルLLMAnythingLLMアプリをAI PCへインストールすると、日本語テキストでAI PC情報を入出力できる。
  • 使用RAM 4GB6.5GBで比較すると、使用量が多いほど正確な日本語対話になる。

上記のLLMは、3B/8Bで、関連投稿で示したAIアプリ開発用ミニPC70B LLM700億パラメータの大規模言語モデル)に比べると小規模です。一般ユーザのAI PCなら、記事3B/8B程度のLLMでも役立ちそうです。

上記投稿Afterwordに示したようにLLMを効果的に使うには、高速大容量RAMBetterです。AI PC専用Win12は、できだけ大容量のDDR5 RAMを実装したいです。

AI PCへローカルLLMをインストールすると、クラウド情報漏れを気にせず、GUIに代わる自然言語でAI機能やPCサポートが得られます。但し、クラウドAIに比べるとローカルAIは当然非力ですから、ユーザはこの点を考慮・工夫して利用すべきです。

AI PCNPU能力に適したエッジAIアプリは、今後増えます(一例が次章)。ローカルとクラウド両方のAIを、必要に応じて使い分けるPC環境が整いつつあります。

Windows自動化AIエージェント:computer use

415日、Microsoftは、Windows操作を自動化するAIエージェント「computer use」を発表とキーマンズネット記事が掲載しました。

従来のWin自動化ツールとの違いは、対象アプリや利用サイトに変更が生じた場合でも、エッジAI推論により変更に自動対応できることです。市場調査とその洞察、請求書処理などをこのAIエージェント任せにできるそうです。5月19日開催Microsoft Buildで詳細発表が予定されています。

AIエージェントに任せた出力結果は、ユーザによる最終確認が必須です。しかし、自動化AIエージェントでPC生産性は上がります。AI PC普及に合わせ、このようなエッジAI活用アプリは急増します。

SummaryNPUとローカルLLM

ローカルAIとクラウドAIを使い分ける能力がPCユーザに必要
ローカルAIとクラウドAIを使い分ける能力がPCユーザに必要

AI処理専用ハードウェア:NPUは、AIアプリ高速処理と低消費電力の両方を満たすためエッジAI PCに必須です。NPU活用のAIは、従来PCの使い方を大きく変え、より使い易く、より高い生産性をユーザへもたらします。

例えば、クラウドAI稼働中のLLMをエッジAI PCへインストールすると、プライバシー保護に優れるローカルLLMを構築でき、従来GUIに代わる自然言語でAI PCが簡単に使えるようになります。

エッジのローカルAIとクラウドAIの利用環境が整ってきました。ユーザは、ローカル/クラウドAIを使い分ける能力も必要になります。

Afterword:筆者希望AIエージェントアプリ

  1. Chrome/Edge/Firefox自動更新
  2. 複数メールアカウント巡回と迷惑メール自動削除
  3. MCU/AI PCなど関心トピックの自動収集・分析

上記AIエージェント(アシスタント)処理を希望します。これでPC作業効率や生産性は確実に上がります。全ユーザ要求に対応するクラウドAI汎用性は、エッジAI PCには不要です。これらAIエージェントアプリだけなら、小規模LLM、少ないRAMAI PCでも処理できるハズです。AIアプリを自作すれば、なお良いのですがね…😓。


AIとの付き合い方

クラウドAIから出力を引出す手段が、ChatGPTなどの対話AIアシスタントです。このChatGPTへの「ありがとう」や「お願いします」という礼儀正しい言葉使いが、クラウド電力の巨大な消費に繋がるという421Gigazine記事は、面白いです。AI普及に伴い、人工知能との付き合い方を考える必要がありそうです。

Gigazine記事のクラウドAI要約

「Gigazine記事要約を箇条書きにまとめて」と、MicrosoftブラウザEdgeの対話AIアシスタント:Copilotへ入力し、そのクラウドAI出力が下記です(Copilot利用方法は、コチラの投稿 3章参)。

  • OpenAIのサム・アルトマンCEOは、ChatGPTに「お願いします」や「ありがとう」といった礼儀正しい言葉を使うことで、数十億円規模のクラウド電力消費が発生している可能性があると認めた。
  • この発言は、あるX(旧Twitter)ユーザの「AIへの礼儀が電気代にどう影響するのか」という投稿が発端。
  • Microsoftデザインマネージャーは、AIへの礼儀正しい接し方が良い結果をもたらすと述べ、AIとの対話におけるエチケットの重要性を強調
  • アメリカ調査では、多くの人がAIに対して礼儀正しく接しており、その理由として「正しい行動だから」と考える人が多いことが判明。
  • クラウドAI動作には大量リソースが必要で、AIデータセンター消費電力が世界の2%を占める
AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う
AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う

要するに、接し方次第で得られる出力が左右されるという人間臭い性格(性能)をAIも持つようです。

災害時のクラウドAI活用

2025422日の日経ビジネス記事も、Gigazine記事同様に興味深いです。筆者自身が要約すると、

  • 20202月、横浜港停泊中のクルーズ船:ダイヤモンド・プリンセス内で、CODID-19の集団感染発生。船内隔離の乗員・乗客との意思疎通のため、セットアップ済みスマホ2000台と充電器を船内配布。
  • この意思疎通の経験を活かし、災害時の人手不足を補うクラウドAI電話対応サービス:AiCallへと発展し、情報収集や被災地医療搬送などに活用中。

災害時のクラウドAI活用サービスは、今後急増すると思います。もちろん、これらサービスは、通常時でも当たり前のように活用されるでしょう。

エッジ(端末)AI動向

421日、Win11 Devビルド16120.3872(プレビューテスト版)で、エッジAIClick to Doへ、テキストや画像をAIが読取り、例えば、テキスト解説、画像背景のぼかしなどを、エッジAIへ簡単に依頼できる機能が追加されました。

このようなAI PCNPUを活かしたエッジAIサービスも、クラウドAI同様、急増するでしょう。

SummaryAIとの付き合い方

人間がAIとの付き合い方を考える時期になった
人間がAIとの付き合い方を考える時期になった

日本の人口減少や災害時対策として、人手を補うクラウドAIサービスの導入・活用は必然です。また、AI PCNPUを使ったエッジAIサービスも今後急増するでしょう。

但し、サービスを利用するユーザ:人間側には、相手がAIか人かの判断は難しい状況です。現在NHKニュースは、「(人間)アナウンサーに代わりましてAIがお伝えします」と注釈を付けますが、この注釈無しでは差は判りません。

おそらく、AI側は、AIか人かを区別できないように進化するでしょう。AIの進化速度は驚異的ですので、人間側は、AI進化に合わせた柔軟性も必要です。

多様化・急増するAIサービスに対し、人間側がAIとの付き合い方を考える時期になったと言えそうです。

Afterword:筆者のAI付き合い方

当面筆者は、AIを「親しい友人」として付き合おうと考えています。礼儀はわきまえ、かつ、過度な丁寧さも不要です。エッジNPUに様々なクラウドAIサービスに応じた丁度良い丁寧さをプログラミングできれば、なおBetterとも考えています。


Rufus 4.7でWindows 11 24H2手動更新成功

49日、Rufus 4.6からRufus 4.7へ更新されました。ChangeLog.txtを見る限り、4.7Windows関連の変更はありません。しかし、念のため新しいRufus 4.7を使ってWin11 23H224H2へ手動更新し成功しました。

Win11 23H2/Win10サービス終了1014日より前のユーザの好きなタイミングで、Win11 24H2アップグレード要件を回避した手動更新が可能です。

従来PC1年延命効果

最後のWindowsと言われたWin10サービス終了が今年1014日、Win11 23H2もサービス期間は2年ですので、同じ1014日にサービス終了です。現在Win12発表が無いため、Win11 23H2/Win10ユーザは、サービス終了より前にWin11 24H2アップグレートが必須です。

Rufus 4.7は、ユーザが手動でWin11 24H2へアップグレードできるツールです。様々なアップグレード要件も次章で示すように回避可能です。要件を満たさないWin11 23H2/Win10でもWin11 24H2更新ができます。

但し、24H2へ更新してもリアルタイム翻訳などのエッジ(端末)AI機能は使えません。従来PCは、40TOPS以上のNPUなどCopilot+ PCAI PC)要件を満たさないからです。それでも、24H2サービス終了202610月迄、1年間の延命効果があります。

PDF要約などNPUを使わないクラウドAI機能は、従来PCでも使えます。

Rufus 4.7Win11 24H2手動アップグレート方法

Win11 24H2手動アップグレードは、ツールがRufus 4.7に変わっただけでRufus 4.6と全く同じ方法です。

Rufus 4.7Windows 11 24H2手動アップグレード方法

準備
  1. Win11 23H2バックアップ(更新失敗リカバリ対策)
  2. Win11 24H2ディスクイメージダウンロード
  3. Rufusを実行しWin 11 24H2インストールUSB作成
更新
  1. Win11 23H2起動状態でインストールUSB setup実行
  2. Win11セットアップダイアログに従い数回クリック
  3. Win11 24H2大型更新完了

Win11 24H2ディスクイメージも最新版になりました。新にダウンロードしインストールUSBを作成してください。Win11 24H2アップグレード要件回避は、準備3実行中に設定します。全て回避した弊社PCの例が下図です。

Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定
Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定

手動更新後のWin11 24H2所感

NPUを持たないWin11 23H2Win11 24H2へ更新しても特に変わりはありません。敢えて示すと、右クリックメニューアイコンに説明が加わった、シャットダウンダイアログがシンプルになったなどです(下図)。

Rufus 4.7によるWin11 23H2からWin11 24H2更新成功
Rufus 4.7によるWin11 23H2からWin11 24H2更新成功

これら見た目変更程度なら、24H2トラブルが長引く現状は考えにくいとMCU開発者の筆者は思います。まして、OSコアを大幅変更する必要も無かったでしょう。筆者が、24H2トラブル継続の主因は、次期Win12前準備、つまりAI PC起因と考える理由が、24H2外観変化の少なさです。

逆に、従来PCWin11 23H2から24H2へ更新すれば、NPU非実装のためエッジ(端末)AI機能は使えませんが、サービス終了を1年間伸ばすメリットはあります。

関連投稿:従来PCAI PC(Win12)2層対応Win11 24H23章)

SummaryRufus 4.7Win11 24H2手動更新成功

Win11 23H2/Win10ユーザは、Rufus 4.7を使うと20251014日サービス終了前の好きなタイミングで、Win11 24H2手動更新ができます。更新時、Win11 24H2アップグレード要件回避も可能です。

従来PCは、NPU無しでCopilot+ PC要件も満たさないため、24H2更新後もエッジAI利用はできません。しかし、Win11 24H2サービス終了202610月迄、従来PC1年延命メリットがあります。

Afterword:起動OneDrive再インストールと次期AI PC検討

Win11 24H2更新時、OneDriveTeamsなどWin11 23H2で筆者削除アプリが、勝手に再インストールされます。特にOneDriveは、起動アプリになります。使わないユーザは再削除など対応が必要です😠。その他の24H2更新後のお勧め処理は、コチラの投稿を参照ください。

弊社Win11 23H2運用4PCの内1PCのみRufus 4.7で先行して24H2更新を行いました。残る3PC1014日迄に更新します。未だ24H2既知の問題が残っているため、後回しがより安全です。4PCそれぞれを202610月迄に延命し、次期AI PCはこの延命1年間で冷静に検討します。

なお、Win10からWin11への更新は、コチラの記事も参考になります。

AI CPUとAI MCU

Ryzen AI MAX+ 395搭載ミニPC(出典:GMKtecメール)
Ryzen AI MAX+ 395搭載ミニPC(出典:GMKtecメール)

321日投稿の最新ミニPC記載Ryzen AI 9 HX 370CPU/GPUを強化したRyzen AI Max+ 395搭載のミニPC発売予告をGMKtec社よりメール受信しました。今ならメールアドレス登録とアンケート回答で、$30割引クーポンゲットのチャンスがあります。

Ryzen AI CPU性能

AMD社のAI PC向けCPU製品名がAPUAccelerated Processing Unit)です。NPUGPUSoCで一体化したCPUのことです。弊社はこのAPUを解り易く「AI CPU」と表記します。現在Ryzen AI CPUは、AI 300AI Max2シリーズが発売中です。

321日投稿のAI CPUは、AI 300シリーズのRyzen AI 9 HX 370。発売予告は、より高性能なAI MaxシリーズのRyzen AI Max+ 395です。Ryzen AI CPU性能は、シリーズ名が異なっても最後の数字370395が性能を表すので判り易いです。

Ryzen AI Max+ 395の内蔵NPUは下表のようにRyzen AI 9 HX 370と同じ50TOPSですが、CPUと内蔵GPUを強化しています。このAI CPU搭載ミニPCが、最初の図のGMKtecEVO-X2です。NPU+GPU+CPUのトータルAI性能は、126TOPS70B LLMサポートのミニPCとしては世界初です。

Ryzen AI CPU Cores /
Threads
Boost2 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI Max+ 395

16C/32T Up to 5.1 / 3.0 GHz 80MB Radeon 8060S 45-120W 50

Ryzen AI 9 HX 370

12C/24T Up to 5.1 / 2.0 GHz 24MB Radeon 890M 15-54W 50

Ryzen AI Max+ 395搭載EVO-X2

Ryzen AI MaxAI 3002シリーズでNPU性能が同じ理由は、AMD/Intel/Qualcomm 3社のAIアプリ共通実行環境が無いこと、ビジネスAIキラーアプリが無いことだと思います(NPU懸念投稿に詳細記載)。さらに、50TOPSNPUでエッジAI PCに十分かは、前回投稿AI PC NPU役割で示したように不明です。

これらから、トータル126TOPSを持つEVO-X2は、PCゲームよりエッジAIアプリ開発やAI画像処理向きを狙ったのかもしれません。前述アンケートにも用途欄がありました。

そこで、「70B LLMAI PCとは、具体的にどのようなPCですか」とGeminiに問い合わせたところ、Afterword添付の回答を得ました。要するに、ノートPCでは困難なローカルエッジAI単独処理も可能なハイエンドPCで、RAMは最低でも64GB必要という回答をGeminiから得ました。

また、70B LLM大規模モデル全体をNPUのみで処理するのは困難でCPUGPUの役割も必要なことが判る(少し古いと思いますが)良い回答です。AI PC購入検討の方は、参考になると思います。

70B LLM能力は、クラウドAIを使わずAI PC単独のエッジAI処理開発などに必要です。同様に単独でエッジAI処理を行う最新MCUを次に示します。

AI MCUSTM32N6AI処理

エッジAI処理は、MCUへも普及し始めています。2025年発売STマイクロ社の最新MCUSTM32N6Cortex-M55コア、0.6TOPS NPU内蔵、4.2MB RAM)は、従来MCUでは困難であったAI処理を、高性能MPUよりも低コスト、低消費電力で実現します。

STM32N6 Black図
STM32N6 Black図

STM32N6AI処理例は、カメラ付きSTM32N6570-DK Discovery kitを使ったAIデモ動画4:50)で判ります。リアルタイムの複数人体認識(0:30頃)や高速画像処理(0:50頃)など、STM32N6内蔵NPU/GPUCortex-M55 MCU双方の活用により全く新しいMCUアプリが期待できます。

デモ動画をよく見ると、NPU/GPU使用時と未使用時の処理差、MCU負荷差も判りとても興味深いです。

STM32N6は、MCU版のAPU、つまり「AI MCU」と言えます。汎用MCUベースのエッジAI MCUは、今後急増すると筆者は予想します。AI PCによりユーザがAIに慣れてくると、組込み機器もAI処理が当たり前になるからです。

※今後AI処理はユーザにAI有無を意識させないように進化すると筆者は考えています。

SummaryAI CPUAI MCU

AI CPURyzen AI Max+ 395搭載のトータルAI性能126TOPS70B LLMサポートのミニPCGMKtec EVO-X2は、415日午前0(太平洋夏時間)先行発売開始です。ローカルエッジAI単独処理可能なハイエンドPCで、AIアプリ開発やAI画像処理開発に好適です。

AI MCUSTM32N6AIデモ動画から、エッジAIアプリ開発やAI画像処理には、AI処理特化のNPUだけでなくGPUCPU/MCUも必要です。

Afterword70B LLMサポートAI PCGemini回答

70B LLM700億パラメータの大規模言語モデル)をサポートするAI PCは、ローカル環境で高度なAI処理、特に大規模言語モデルの推論や微調整を効率的に実行できるように設計された高性能なパーソナルコンピュータです。具体的には、以下の要素を備えていることが求められます。

主要なハードウェア要件:

  • 高性能GPU: 70B LLMの実行には、膨大な計算リソースとメモリ帯域幅が必要です。そのため、以下のようなハイエンドGPUが推奨されます。
    • NVIDIA GeForce RTX 3090RTX 4090: 24GB以上のVRAM(ビデオメモリ)を搭載し、高い並列処理能力を持つことが望ましいです。より大規模なモデルや高負荷な処理には、NVIDIA A100などのプロフェッショナル向けGPUがさらに適している場合があります。
    • AMD Radeon RX 7900 XTX: 高いVRAM容量と処理能力を持ち、NVIDIA GPUの代替となる可能性がありますが、LLMのエコシステムはNVIDIA CUDAへの最適化が進んでいることが多い点に注意が必要です。
  • 高性能CPU: LLMの実行にはGPUが主に使われますが、CPUもデータの前処理、後処理、およびシステム全体の制御において重要な役割を果たします。
    • Intel Core i7/i9 (最新世代): 高いクロック数と多くのコア数を備えたCPUが推奨されます。
    • AMD Ryzen 7/9 (最新世代): 同様に、高性能なRyzenプロセッサも適しています。
  • 大容量メモリ(RAM: LLMのモデル全体または一部をメモリにロードして高速に処理するために、十分なRAMが必要です。
    • 64GB以上: 70B LLMを効率的に扱うためには、最低でも64GB、理想的には128GB以上のRAMが推奨されます。
  • 高速ストレージ(SSD): LLMのモデルファイル(数十GBから数百GBになることがあります)や関連データを高速に読み書きするために、NVMe SSDが必須です。
    • 1TB以上: モデルファイル、データセット、作業用ファイルなどを保存するために、十分な容量のSSDが必要です。2TB以上あるとより安心です。

AI PCとしての特徴:

上記のような高性能なハードウェアに加えて、70B LLMをサポートするAI PCは、以下の特徴を持つことが期待されます。

  • AI処理に特化したハードウェア: 近年のAI PCは、CPUGPUに加えて、NPUNeural Processing Unit)と呼ばれるAI処理に特化したプロセッサを搭載している場合があります。NPUは、特定のAIタスク(例えば、自然言語処理の一部)をCPUGPUよりも低消費電力かつ効率的に実行できますが、70B LLMのような大規模モデル全体をNPUだけで処理することは現状では難しいです。ただし、将来的にNPUの性能が向上すれば、より大きな役割を果たす可能性があります。
  • 最適化されたソフトウェア: AI PCのハードウェアとソフトウェアが連携し、LLMの実行効率を高めるための最適化が行われている場合があります。これには、ドライバの最適化、特定のAIフレームワークとの互換性向上などが含まれます。
  • 高度な冷却システム: 高性能なCPUGPUは発熱量が大きいため、安定した動作を維持するために、強力な冷却システム(高性能な空冷ファンや液体冷却システム)が搭載されていることが重要です。
  • 将来性と拡張性: 今後さらに大規模なモデルが登場する可能性や、追加のハードウェア(GPUなど)を増設する可能性を考慮して、ある程度の拡張性があると望ましいです。

補足:

  • 70B LLMをローカルで快適に動作させるためには、上記のハイスペックな構成が必要となり、一般的なノートPCでは難しい場合があります。多くの場合、ハイエンドなデスクトップPCが推奨されます。
  • LLMの実行には、モデルの量子化(パラメータの精度を低くしてメモリ使用量や計算量を削減する技術)や、複数のGPUを連携させる技術(Multi-GPU)が用いられることもあります。
  • AI PCの定義は進化しており、Microsoftなどが提唱するCopilot+ PCのような新しい基準も登場しています。これらの基準には、一定のAI処理性能を持つNPUの搭載などが含まれていますが、現時点では70B LLMの実行に特化した要件とは限りません。

まとめると、70B LLMをサポートするAI PCは、非常に高性能なGPU24GB以上のVRAM)、高性能CPU、大容量メモリ(64GB以上)、高速SSD1TB以上)、そして高度な冷却システムを備えた、主にハイエンドなデスクトップPCを指します。将来的には、より強力なNPUを搭載したPCが登場することで、より効率的なLLMのローカル実行が可能になるかもしれません。


AI PC NPUの役割

AI PC NPUの役割は?
AI PC NPUの役割は?

なぜAI PCNPUが必要か、Copilot+ PC要件40TOPS以上NPUの役割は何か、を整理しました。
従来PCAI PCへ買換える方の参考となれば嬉しいです。

NPUCPU/GPUの違い

AI PCの要:NPUNural Processing Unit)は、ユーザの癖や能力などの個人情報をPC利用中に自動収集し、利用ユーザに応じた適切なAI回答やアドバイス生成を助けます。まるでハードウェアのNPUが、ユーザ専属アシスタントのように変化、成長する訳です。性能がPC購入時のまま固定のCPUGPUとの違いがここです。

NPUが無い従来PCよりもAI PCが使い易く、より高い生産性を期待できるのは、このユーザ専属NPUのお陰です。

エッジNPUとクラウドAIの協調サービス

ブラウザCopilotGemini利用のPDF要約など「簡単なAI処理」は、NPU不要です。NPUを持たない従来PCでもこれらは可能ですので本稿対象から外します。

本稿対象は、AI PC内蔵NPUを本格的に使う「高度なAI処理」、例えばAIアシスタントやAIコンシェルジュサービスです。

AIアシスタントやAIコンシェルジュの高度AI処理は、主としてクラウドデータセンタのAIが行います。

クラウド内のあらゆる関連データをかき集め、そのデータから機械学習(ディープラーニング)で特徴抽出、その結果から生成AIで新しいデータを作成、ユーザへ提供するのがクラウドAI処理です。クラウドAI処理結果を、エッジ側PCから引出す手段が、ChatGPTなどの対話AIアシスタントサービスです(関連投稿:生成AI活用スキル)。

対話AIアシスタントは、NPU内蔵の最新AIスマホがPCの一歩先を進行中です。リアルタイム翻訳やスマホ写真の加工・修正、会話形式でのお勧め近隣店舗検索とその予約などです(AIコンシェルジュ)。スマホNPU単独処理の場合もありますが、多くの場合、スマホエッジNPUとクラウドAIの協調サービスです。

スマホエッジNPUとクラウドAI協調の結果、的確で高速なAI回答をユーザが取得できます。一度でもスマホAIコンシェルジュを使うと、AI無しスマホへは戻れないでしょう。

PCユーザは、AIスマホユーザよりも高度な質問や複雑処理、情報検索をAIへ要求します。AI PCNPUは、ユーザ質問をクラウドAIが処理し易いよう変換、逆に、クラウドAI出力をユーザに応じた判り易い回答へ変えるなどの高性能ユーザサポートの役割を持ちます。

つまり、クラウド側は速度追求AI処理、エッジ側はユーザオリエンテッドNPU処理、と処理を分け合いユーザへのトータルAI応答を高速化します。

AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う
AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う

急激に成長・変化するクラウドAIサービスを、エッジPC側で応答性良く上手く活用するには、ある程度(これが40TOPS以上)のユーザ専属サポート能力を持つNPUがエッジ側PC内に必須です。これが、AI PCNPU必要性です。

弊社が、OCuLink(データ転送速度最大64GbpsPCI Express 4.0対応)を次期AI PC要件と考えるのは、CPU内蔵NPU能力不足をOCuLink増設NPUで強化できるからです。増設NPUの例としては、SAKURA- IIモジュールなどがあります。より効率的、簡単にクラウドAIを利用するための方策です。

AMD/Intel AI CPUへもCopilot+機能提供

331日、Microsoftは、QualcommSnapdragon ARM64以外のAMD Ryzen AI 300シリーズやIntel Core Untra 200Vシリーズのx64 AI CPUにもCopilot+ PC機能の一部提供を開始しました。

未だ魅力的なPCビジネスAIサービスは、少ないです。しかし、今後はエッジNPU活用の文書作成やビジネスアプリが急増すると筆者は予想します。

SummaryAI PC NPUの役割

高度クラウドAIサービスのエッジPC活用にはNPU必須
高度クラウドAIサービスのエッジPC活用にはNPU必須

Copilot+ PC要件NPUがなぜAI PCに必要かを整理し、高度クラウドAIサービスをエッジPCで応答性良く活用するには、ユーザ専属サポートの40TOPS以上NPUがエッジPC内に必須だからと結論しました。

AI PCNPUは、PCユーザが要求する高度な質問や複雑処理、情報検索などを、クラウドAIが高速処理できるよう変換、逆に、クラウドAI処理結果をユーザの判り易い回答へエッジ側でリアルタイム変換など、AIサービスをエッジとクラウドで相互に補いながら高速で高度なAI処理を行います。

Copilot+ PCで先行するQualcommSnapdragon ARM64 AI機能が、ようやくARM/Intel x64 AI CPUへも提供されます。エッジNPU活用クラウドAIサービス急増の環境が整ってきました。

AI PCで効率的、高速にクラウドAIサービスの回答を得るには、エッジNPUは必須です。今後、40TOPS以上のエッジNPU能力がどれ程要求されるか現在不明です。対策に、OCuLinkPCI Express 4.0でエッジNPU能力をAI PCへ追加できる策を示しました。


Windows11 24H2現状と次期AI Windows12

PC大転換期の状況
PC大転換期の状況

今年の1014日が、Windows 11 23H2 Home/ProWindows10のサービス終了日です。筆者はこの終了日より前にWindows 12リリースがあると予想していましたが、現在、Win12は未発表です。

従って、多くのWinユーザは、残る半年の間にWin11 24H2へアップグレード必須です。Win11 24H2とハードウェア、AI PC CPU現状をまとめました。

Win11 24H2既知の問題と状況

325日、Microsoftは、Win11 24H2既知の問題を更新しました。昨年10月のWin11 24H2リリース後、半年経過しましたが未だに多くのWin11 24H2不具合が未解決です。

これは、Win11 24H2OSコア大幅変更が主な原因です。Win11 24H2OSビルド26000番台が示すように、1つ前の23H2ビルド22000番台からAIなどの多くの新機能を追加しました。次期Win12は、 24H2をベースに更に変更を加え、ビルド27000番台になるようです(関連投稿:Win11とWin121章)。

Win11は、OS更新リスクを少なくするため、更新プログラムトラブルが解消された後に多くのユーザへ配布する段階的配布を行いました。この対策にもかかわらず、なお多くの不具合が残りその解決が進んでいないのがWin11 24H2の現状です。

Win12発表が未だ無いのは、この26000番台の不具合解決が予定より遅れているからかもしれません。27000番台のWin12は、当然ですが26000番台を土台に新機能を追加するからです。

従来ハードウェアアップグレート条件

Win11 24H2アップグレート条件が、コチラです。

Win11 23H2ユーザへは、新たにサポートCPUの絞込みが追加されました。Win10ユーザは、TPM 2.0などの要件も満たす必要があります。これら要件を満たさない場合、新しいPCの購入をMicrosoftは勧めています。

ハードウェア要件を徐々に厳しくし、ユーザの新規PC購入がMicrosoftを含むPC業界の狙いです。

但し、Rufus 4.6を使うと、これらハードウェア要件を回避しWin11 24H2アップグレードが可能です。

AI PCCopilot+ PC)向けCPU条件

さらにMicrosoftは、AI PC向けハードウェア要件としてCopilot+ PCを発表しました。

これは、前章要件に加え、40TOPS以上のNPU内蔵CPUMicrosoft Plutonセキュリティプロセサなど、エッジAI処理のための追加要件です。

つまり、Win11 24H2は、従来ハードウェアアップグレート要件を満たすPCの上に、新しいAI PCCopilot+ PC)要件を追加した、上下2階層要件の両方に対応した(悪く言えば中途半端な)OSです。

Windows 24H2の2階層ハードウェア要件
Windows 24H2の2階層ハードウェア要件

但し、新しいエッジAI機能は、上層AI PC要件を満たすPCにのみ提供されます。次期AI Win12は、中途半端なWin11 24H2から、AI PC専用OSへ進化すると筆者は予想しています。

AI CPUARM64アプリ対応状況

前章までが、Win11 24H2とハードウェアの状況です。

ここからは、AI PC要件を満たす低電力動作が特徴の新参QualcommSnapdragon ARM64 CPUと、老舗Intel/AMD社のx64 CPUの状況を示します。

324日、Googleは、ARM64ネイティブ動作Googleドライブアプリをリリースしました。ARM64搭載PCで動作していたGoogleドライブβ版は、自動アップグレートされます。

Winアプリは、従来x86/x64 CPU向けに開発されてきました。従って、ARM64 CPUネイティブ動作アプリは、新たなアプリ開発が必要です。基本的で必要性も高いGoogleドライブアプリでさえ、正式版リリースに約半年かかったのが上記ニュースです。

ARM64には、従来アプリのエミュレーションツールPrismもあります。しかし、従来GoogleドライブはPrismでも動作しません。ARM64ネイティブ動作のビジネスアプリも増えてきましたが、従来アプリとの互換性を重視するユーザは、ARM64 CPUよりも実績のあるx64 CPUを好むのが現状です。

AI CPUx64 Copilot機能提供状況

324日、Microsoftは、Intel/AMDx64 CPU搭載PCに、エクスプローラや検索ボックスへ正確なファイル名やキーワードを入力しなくても、目的ドキュメントや設定を見つけられる内蔵NPU活用AI機能をWin11 24H2ビルド26120.3585提供開始しました。

このAI機能は、ARM64 CPUではリリース当初から提供済みです。支配的CPUシェアを2030年までにARM64へ変えるMicrosoft戦略は、x64 CPUへのAI機能提供を意図的に遅らせています(関連投稿:AI PC選定ポイント)。

しかし、遅ればせながらx64 CPUへもARM64と同等のAI PC機能提供が始まったのが上記ビルドです。

SummaryWin11 24H2現状と次期AI Win12

Win11 23H2Win10サービス終了の1014日まであと半年です。今のところ次期Win12リリースは不明ですので、10月以降の代替OSは、Win11 24H2のみです。Win11 24H2の現状、ハードウェア要件、AI PCCopilot+ PCCPU状況をまとめました。

WIndows 11不人気の打開策、生成AI
WIndows 11不人気の打開策、生成AI

Win11 24H2は、従来OSのアップグレートと、AI PC向け新OSWin12)の両方をカバーします。AI機能追加のため従来OSコアから大幅変更の結果、未解決不具合が未だにあります。Microsoftは、今年10月までにこれら不具合解消に注力するでしょう。

Win11 24H2ハードウェア要件も、従来アップグレートとAI対応の両方があります。AI対応ハードウェアは、従来アップグレート要件の上に位置します。Microsoftは、要件を満たさないPCに対し新しいPC購入を勧めています。但しRufus 4.6を使うと、従来アップグレート要件のみは回避しWin11 24H2アップグレートが可能です。

AI対応CPUは、従来アプリ互換性のあるx64 CPUと、新しいARM64 CPUの2種があります。ARM64ネイティブビジネスアプリは増えてきましたが、互換性を重視するユーザは実績あるx64 CPUを好みます。

Microsoft ARM64シェア拡大戦略のため、AI PC機能はARM64比、意図的にx64へ遅く提供中です。しかし、この差も次期AI Win12リリース前までに同じになるでしょう。

AI Win12アップグレード要件が、Win11 24H2AI PCCopilot+ PC)要件以上となれば、Win11 24H2サービス終了202610月までに、ユーザは新しいAI PC購入が必須になります。

新規AI PC購入は、PC業界には朗報です。PCユーザにもエッジAI必須と認識されれば、AI PC購入は必然です。NPUを持たない従来PCでは、エッジAI処理ができないからです。現在MicrosoftAI Copilotを推進中なのは、エッジAI必須認識をユーザへ広げるためです。

AfterwordPC大転換期の対応

NPU無しでAI PC要件を満たさない弊社4台のPCは、エッジAIは使えません。Win11 24H2アップグレードは、OSサービス期間を1年延ばす効果のみです。但しクラウドAIは従来PCでも使えますので、4 PCは、今年10月までWin11 23H2のまま運用予定です。

Win12発表もあるでしょうから、発表内容を吟味、Win11 24H2アップグレートか、新規AI PC購入か判断したいと思います。

複数AI PC間エッジAI同期方法は、まだ不明です。同期ができない場合には、1台のみのAI PC所有となりそうです。

今は従来PCからAI PCへの大転換期です。現状分析し、対応が必要です。ちなみに、Office 2016/20191014日サポート終了です。

最新ミニPC

ノートPCからモニタと内蔵バッテリを外した構成のミニPCには、2タイプがあります。各タイプの違いと、同一CPURyzen AI 9 HX 370搭載の最新ミニPC 2機種、2025年版Mac miniを紹介します。

Ryzen AI 9 HX 370

Ryzen AI 9 HX 370は、Ryzen AI 300シリーズの最上位1個下のCPUです。37日投稿の弊社選択CPURyzen AI 7 350よりもCPU/GPU強化でNPUは同じ50TOPS版です。

Ryzen AI 300 Cores /
Threads
Boost5 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI 9 HX 375

 12C/24T Up to 5.1  / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 890M  15-54 W  50 

Ryzen AI 9 HX 370

 12C/24T Up to 5.1 / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 890M  15-54 W  50 

Ryzen AI 9 365

 10C/20T Up to 5.0 / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 880M  15-54W  50 

Ryzen AI 7 350

8C/16T Up to 5.0 / 2.0 GHz 24 MB Radeon 860M 15-54W 50

Ryzen AI 5 340

6C/12T Up to 4.8 / 2.0 GHz 22 MB Radeon 840M 15-54W 50

このRyzen AI 9 HX 370搭載の最新ミニPC 2機種の試用レポートが、AI X1 ProEVO-X1です。どちらも、弊社が求める外付けNPU追加可能なOCuLink付きで、14万円前後です(同一CPU搭載ノートPCより約30%安)。

通常使いのミニAI PCとしては、十分な性能です(詳細は上記試用レポート参)。この2機種は、電源内蔵型とACアダプタ外付け型の2タイプのミニPCですので特徴を説明します。

電源内蔵型とACアダプタ外付け型ミニPC

ノートPCからモニタと内蔵バッテリを外し、その代わりに大型モニタ裏側にあるVESA規格マウントへも設置できる小さな筐体へ入れたPCが、ミニPCです。大型モニタを好む筆者のような年配開発者には、モニタ裏にPC本体を設置でき、別途設置場所が不要なので便利です。

モニタ裏のVASAマウント設置のミニPC
モニタ裏のVASAマウント設置のミニPC

このミニPCは、「電源内蔵型」と「ACアダプタ外付け型」の2タイプがあります。

電源内蔵型ミニPCは、ACケーブルを本体へ接続すればセッティング完了の利点があります。しかし、外付け型と比べ電源を内蔵した分AI X1 PRO本体が約1.4㎏と重くなります。VESAマウント耐重量に注意が必要です。

一方、ACアダプタ型ミニPCは、ノートPCでよく見かける外付けアダプタから電源を供給します。EVO-X1120Wと容量の大きいACアダプタが付属しますが、PC本体は590gと軽いので、VESAマウント設置や移動に有利です。

電源内蔵型ミニPCとACアダプタ外付け型ミニPCの背面と付属ケーブルなど(出典:試用レポート)
電源内蔵型ミニPCとACアダプタ外付け型ミニPCの背面と付属ケーブルなど(出典:試用レポート)

ミニPCもノートPCと同様、少し無理すればカバンに入れて持ち運び可能なサイズです。また、本稿のRyzen AI 300シリーズTDP15-54Wと低いため、本体持ち出しの時、USB PDからの給電も可能です。

これが更に高性能なRyzen AI MaxシリーズになるとTDP45-120Wとなり、USB PD給電は難しくなります。高いTDPほど高性能ですが、消費電力も大きくなり内蔵バッテリが無いミニPCの電源供給は難しくなります(AI MaxとAI 300の比較は、コチラの投稿1章参)。

以上から、現状のNPUGPU内蔵AI CPUをミニPCで使う時は、USB PD給電もできるRyzen AI 300シリーズCPUTDP 54W以下が適すと筆者は思います。

2025年版Mac mini

本稿で説明したWindowsミニPCのレファレンスモデルは、下図筐体サイズ比較から恐らくApple社の「2023年版Mac mini」です。
※2025年3月28日更新:EVO-X1の大きさが間違っていました。お詫びして訂正いたします。

Windows ミニPCレファレンスモデルのMac miniとの比較(左:AI X1 PRO、中央:Mac mini、左:EVO-X1)
Windows ミニPCレファレンスモデルのMac miniとの比較(左:AI X1 PRO、中央:Mac mini、左:EVO-X1)

2025年版最新Mac mini搭載CPUM4 Pro/M4 MaxTechanaLye社の解析レポートは、とても興味深いので紹介します。驚いたのは、2025年版Mac mini体積や重量が、2023年版比、約40%削減したことです。レポートは、その理由を以下と解析しています。

  • トータル開発力:CPUのみでなく周辺チップセットも開発するトータルPC開発
  • 基板設計力:3nm製造プロセスなど最新半導体や部品特性を見極めた最適基板設計
  • IP利用:最大限Intellectual Property活用し部品共通化などによる高速効率開発

これらのApple技術の結果、「2025年版Mac mini」本体は、手のひらサイズで小型軽量です。

2025年版Mac mini
2025年版Mac mini

AIエージェントに関してはGoogleMicrosoft比、出遅れ感がありますが、寄せ集めWindows PCの一歩先行くApple Mac miniは、エッジAI向き低消費電力で小型高性能PCです。

Win10/11サービス終了やAI普及を機に、Win PCからApple PCへ替えるのも合理的だと思います。

Summary:最新ミニPC

Ryzen AI 9 HX 370搭載最新ミニPC2タイプ、電源内蔵型:AI X1 PROACアダプタ外付け型:EVO-X1を紹介し、特性を解説しました。

電源内蔵型は、PCセッティングが簡単ですが本体重量が重くなります。外付け型は、軽量本体なのでVESAマウント設置や移動が容易です。

どちらのミニPCも搭載CPU TDP15-54Wのため、本体単体の外部持ち出し時、USB PD給電も可能です。より大きなTDP CPU搭載PCの場合は、本体へのUSB PD給電は難しくなります。

従って、可搬性や給電性も考慮すると、Ryzen AI 300シリーズのTDP 54W以下がミニPCに最適なAI CPUだと思います。

ミニPCはRyzen AI 300シリーズCPUのTDP<54Wが適す
ミニPCはRyzen AI 300シリーズCPUのTDP<54Wが適す

2025年版AppleM4搭載Mac miniは、上記最新ミニPCよりも小型軽量で電力効率も良い先進Apple開発デバイスを使っています。Win10/11サービス終了やAI普及を機に、Win PCからMac miniへ替えるのは合理的です。