Rufus 4.6でWindows 11 24H2アップグレード成功

2024年10月21日、Rufus 4.6がリリースされました。Rufus 4.5改版の結果、Microsoft公式のCPUリストに掲載が無い古いCPUでもWindows 11 24H2へアップグレードできました。

ダウンロードリンク タイプ プラットフォーム サイズ 日付
rufus-4.6.exe 標準 Windows x64 1.5 MB 2024.10.21
rufus-4.6p.exe Portable Windows x64 1.5 MB 2024.10.21
rufus-4.6_x86.exe 標準 Windows x86 1.6 MB 2024.10.21
rufus-4.6_arm64.exe 標準 Windows ARM64 5.1 MB 2024.10.21

Win11 24H2をWin11 23H2へリカバリし再度Rufus 4.6トライ

CPU要件を回避すべくRufus 4.6が開発中であることは、GitHubに掲載されていました。弊社は、代々Rufusを使ってWin11アップグレードを行ってきたので、今秋の24H2もRufus 4.6でトライします。

そこで、10月11日投稿Afterword章の方法で先行手動Win11 24H2アップグレードしたPCを、元のWin11 23H2へリカバリし、これにRufus 4.6で24H2へ手動アップグレードできるかを試します。

Windows 11 24H2からWindows 11 23H2へリカバリ、Rufus 4.6を試す
Windows 11 24H2からWindows 11 23H2へリカバリ、Rufus 4.6を試す

Rufus 4.6のWin11 24H2アップグレード方法

Rufus 4.6実行ファイルは、リンク先からダウンロードするだけです。PCインストールは不要です。

Rufus 4.6を使ったWin11 24H2アップグレード方法が下表です。Win11 23H2起動状態で24H2インストールUSB setup実行に注意するぐらいで、あとは簡単、ネット速度やPCにも依りますが、準備・更新ともに約1時間で完了します(準備1:23H2バックアップ除く、詳しくは、過去投稿参照)。

Rufus 4.6のWindows 11 24H2手動アップグレード方法
準備 1. Win11 23H2バックアップ(更新失敗リカバリ対策)
2. Win11 24H2ディスクイメージダウンロード
3. Rufusを実行しWin 11 24H2インストールUSB作成
更新 1. Win11 23H2起動状態でインストールUSB setup実行
2. Win11セットアップダイアログに従い数回クリック
3. Win11 24H2大型更新完了

準備3のUSB作成中に表示されるダイアログが、アップグレード要件回避チェックボックスです。Rufus 4.5と全く同じダイアログですが、4.6は古いCPU要件も回避します。これによりRufus 4.5ではNGであったWin11 24H2手動アップグレードは、Rufus 4.6で成功、当該PCの正常動作を確認しました。

Rufus 4.6のアップグレード要件回避チェックボックス
Rufus 4.6のアップグレード要件回避チェックボックス

Rufus 4.6により、Microsoftの段階的ロールアウトを待つことなく、ユーザの好きなタイミングでWin11 24H2アップグレードができます。

Rufus 4.6解説

Rufus 4.6の解説が、コチラの記事にあります。Microsoftが今後導入すると予想される厳しい要件に対しRufus将来性などの懸念が示されています。

しかし、Windows存続・活用にRufusは必須ツール、これが弊社認識です。ウイルスとワクチンに似ています。もちろん、Rufusがワクチンです。

Win11 24H2既知の問題

Win11 24H2アップグレードの既知の問題とMicrosoft対処がコチラの記事にまとめられています。要するに、これら問題が解決するまでは、手動アップグレードは避けた方がBetterということです。

但し、これは元々アップグレード要件を満たす普通のWin11 23H2 PCでの話です。

Win10や古いCPUのWin11 PCにとっては、来年2025年10月のWin10/Win11 23H2サービス終了までに、何もしなければ当該PCの廃棄/Lunix Mint載せ替え/新PC購入などの選択に迫られます。

これら切迫PCに対し、Rufus 4.6はWin11 24H2アップグレードを可能にします。その結果、Win11 24H2サービス期間の2026年10月までの2年間Windowsを使い続けられること、これが何よりも大きいと思います。この延命期間に当該PCの今後を検討できるからです。

PCは、単なる筆記具の置換えから、生成AIを使ったAIアシスタント活用のAI PCへの大変革期です。延命期間と大変革期が重なる次期PCの選び方は、コチラの投稿を参照してください。

Summary:Windows 11 24H2 Rufus 4.6アップグレード成功

Rufus 4.6でWindows 11 24H2アップグレード成功
Rufus 4.6でWindows 11 24H2アップグレード成功

Rufus 4.6を使うと、Microsoft公式IntelAMDリストに掲載無しの古いCPUでも、Windows 11 24H2へ簡単にアップグレードでき、その後、安定動作も確認しました。

24H2アップグレードで得た2026年10月までの2年のサービス期間中に、当該PCをAI PCとして使えるかなど次期PC検討ができます。

Afterword:例年比多いWin11 24H2トラブルとARM64

Win11 24H2既知の問題以外にも、多くのアップデートトラブルが散見されます。原因は、OSコア変更でしょうか、少なくとも弊社利用アプリ互換性は問題無しでした。AI PC大変化期の始まりでMicrosoft対応部門は、トラブルが収束するどころか未だに発散気味、大変でしょう。

また、Rufus 4.6ダウンロードリンクのx86/x64とARM64実行ファイルサイズ差も気になります。処理フローチャートは同じハズ、これ程差が生じる原因も知りたいです。


Windows 11 24H2アプリ互換性

Windows 11 24H2は、23H2のNi OSコア(ビルド番号:22000番台)からGe(26000番台)へ変わりました。そこで、前投稿で24H2へ先行手動アップグレードしたPCを使って、主要アプリの動作確認を行いました。結果、主要アプリ以外も含め、特に問題なく正常動作しています。

互換性確認アプリリスト

同一OSコアアップグレードなら、アプリ動作確認は別途行いません。しかし、今秋の24H2アップグレードは、OSコアが変わりました。コア変更により、アプリ互換性リスクが高まります。

そこで、弊社全PCアップグレードの前に念のため、主要アプリ動作確認を行いました。確認主要アプリが下記です。これら以外の通常使うブラウザ等のアプリも、問題なく正常動作しています。

分類 アプリ名 バージョン Win11 24H2動作
MCU開発環境 e2studio 24.4.0 OK
STM32CubeIDE 1.16.0 OK
Visual Studio Code 1.94.0 OK
エディタ Notepad++ 8.7 (64-bit) OK
文書作成 LibreOffice 24.8.2.1(X86_64) OK
アクセサリ PC Manager 3.14.6.0 OK

MCU開発環境は、23H2ビルドのクリーン後、24H2再ビルドの成功で動作OKとしました。注意点は、API生成ツールなども含めベンダ提供最新版を使用することです。旧版のままビルドすると、エラーが発生する場合もあります。

また、ルネサス)e2studioとSTマイクロ)STM32CubeIDEを表記しましたが、他社EclipseベースIDEも正常動作しています。

Eclipse IDE代替可能性のあるMicrosoft)Visual Studio Codeも当然OKです(サイト開発に弊社使用中)。

24H2アップグレード後、リカバリ用のOld Windowsファイルが削除できないなどのトラブルレポートもありますが、従来から使っているPC Managerの詳細クリーンアップを使うと例年どおり削除できました。

Summary:Windows 11 24H2アプリ互換性問題なし

10月1日のWindows 11 24H2リリース後、2週間が経過しました。弊社3/4 PCは、段階的ロールアウト開始を待っていますが、未だ始まりません。例年に比べ、24H2は既知の問題が多く、段階的配布も遅い気がします。

しかし、本稿結果からWindows 11 24H2 OSコア変更に関しては、アプリ互換性問題は無さそうです。

Afterword:Win11 24H2アップグレード後所感

Win 11 24H2アップグレード後、タスクマネージャーを見ると、ディスクパフォーマンスに結構な処理能力を使っています(関連投稿BitLocker中でないことも要確認)。このため、PCによってはこの処理終了までの数時間、動作が遅くなります。

10月9日、Win11 24H2最初の月例更新プログラムが配布されました。アップグレードトラブル対応かと思いましたが、そうでもないようです。Wi-Fi 7など新機能追加も様々ありますが、目新しいUX(ユーザ体験)は無く、24H2アップグレードタイミングと手動かロールアウト待ちかは、悩ましい問題です。


Windows 11 24H2と次期PC選択

Windows 11 24H2がリリースされました。アップグレードCPU条件が23H2より厳しいためRufusを使っても残念ながら24H2へアップグレードができないWin PCも増えました(対策:Afterword参照)。

来年2025年秋までの1年間は、次期PC選びの重要期間と言えるでしょう。Win11 23H2とWin10サービス終了に加え、従来の紙と筆記具を置換えたPCの使い方が、生成AI活用の新しい使い方へ大きく変わるからです。

新しいPCの使い方と、次期Windows/Apple/Linux PCの選び方を整理します。

新しいAI PCの使い方

従来PCからAI PCへ変わる2025年
従来PCからAI PCへ変わる2025年

生成AI出現によりPCの使い方は変わります。AIをパーソナルで有能な無料アシスタントやコンシェルジュとしても利用できるからです。

現在この生成AI牽引企業は、GOMA(Google、Open AI、Microsoft、Anthropic)です。写真加工や即時翻訳などのAIサービスは、PCよりもGoogle PixelなどのAIスマホが先行しています。AIで出遅れたAppleも、Apple Intelligenceで猛烈に追い上げ中です。Google/AppleのAIスマホが、AIアレルギーやAI一般化に大きく寄与すると思います。つまり、AIサービスが当たり前の機能になる訳です。

従来のPCは、紙と筆記具を置換えたMicrosoft Officeが一般ユーザを獲得してきました。この使い方を根底から変えるのが、AI PCです。ネット情報収集や要約、Office文書下書きや分析などは、AIアシスタントの得意分野です。

PCのAI化により、半分の手間で、より優れたPC資料作成ができるでしょう。さらに、先行するAIスマホとの連携により効果的図表や写真加工なども可能です。

但し、これらローカルPCでのAI処理には、NPUやGPUなどのハードが必要なため、MicrosoftはCopilot+ PCに40 TOPS以上のNPUを要件としています。

AI PCサービスは、AIスマホに比べ発展途上です。それでも、AI PCのハード/ソフト/使い方の大転換期が、2025年秋までの1年間になるでしょう。

MicrosoftはCopilot、AppleはApple IntelligenceでAI PCへ注力中です。OpenソフトウェアLinuxもこれらへ追随すると思います。

次期AI PC選択肢と特徴

新しいAI PCの使い方に対応する次期PC選択肢は、3つあります。

Windows 11 24H2リリースと今後のAI PC選択肢
Windows 11 24H2リリースと今後のAI PC選択肢

Win11 24H2へアップグレード、または、Win11 23H2、Win10を来秋サービス終了まで使う、そして新しいMicrosoft AI Copilot+ PCの購入、これらはWindowsをAI PCとして使い続ける選択肢(青)です。
Windowsから新しいApple Intelligence対応Mac PCへ乗換える選択肢(赤)もあります。
既存WinハードへLinux Mintをインストールし活用するのも選択肢(緑)の1つです。

3選択肢のAIスマホ連携、信頼性、価格面などの特徴が下記です。

選択肢 特徴
Windows Microsoft Officeとの相性は高いが、AIスマホ(Android)連携は模索中。
更新やハード/アプリ相性トラブルが多く、信頼性は3選択中最低。
ユーザ無視更新/設定も多数あるが、トラブル対策やカスタマイズ情報も多い。
Mac Win比、AIスマホ(iPhone)連携に優れる。
Apple1社ハード/ソフト提供のためWin比、トラブル小で高信頼。
3選択肢中価格は一番高いがコスパも高く、クリエイタ/開発者に好評。
Linux(Mint) AIスマホ連携は(デフォルト)少ない。
Win比、低性能ハードでも快適動作、既存Winハード活用メリット大。
Win/Apple比、トラブル情報がプロフェッショナル向けで解り難い。

※筆者が現在Windowsユーザのためこの視点よりの相対評価です。

Summary:Windows 11 24H2と次期PC選択

Win11 24H2の目的は、2025年リリース予定Win12アップグレードCPU選別だと思います。つまり、今秋24H2アップグレードができないPCは、今後Windows PCとして使い続けるのは困難と推測します。

対策は、Linux Mintです。メール送受信や動画再生など主要アプリは、マルチプラットフォームブラウザの上で動作します。OS依存性はありません。また、MintにはLibreOfficeやFirefoxが標準装備(もちろんChrome追加容易)です。MintをOSアプリ専用PCと割り切れば、従来Win同様、問題なく使えます。

但し、AI化やAIスマホ対応がWindows/Apple比、Mintは劣ります。AIから最も離れたOSです。しかし、古いCPUの活かし方としては、追加コスト不要で処理性能も驚くほど高速です。

AI PCが業界趨勢です。AI PCには、使い慣れたWindowsならCopilot+ PC、多くのトラブル回避なら、iPhone連携が良く高信頼でAI化も頑張っているApple Intelligence Macが良いでしょう。

Afterword:Win11 24H2 RufusアップグレードNG対策

Windows 11 24H2情報
Windows 11 24H2情報

過去Rufusを使えば、TPMなどのアップグレード要件を回避しWin11アップグレードができました。しかし、Win11 24H2は、MicrosoftのIntelAMDリストに掲載無しCPUは、24H2アップグレードができません。※23H2リスト表記ですが、24H2で適用を厳格にしたと思います。

対策は、コチラの情報を参照ください。弊社第4世代CPU(Core i7 4800MQ)でも無事Win11 24H2アップグレードができ、正常動作中です。24H2のサービス期間2年、2026年秋まではWin11 24H2が使えると思います。

但し、無理に24H2にする必要は、正直無かったと思っています(設定引継ぎが一部Microsoft推薦に戻るため😠)。この反省が、Summaryに示した古いCPUのWinをAI化と少し距離があるLinux Mintへ変え、OSアプリ専用PCとして活用することです。

Afterword2:従来Intel/AMD 対 新Arm CPU

Rufusから判るx86_x64アプリ対Armアプリ
Rufusから判るx86_x64アプリ対Armアプリ

Rufusダウンロードページで、従来x86/x64アプリと新しいArmアプリ差が判ります。Arm CPU対応Rufusがあるのも面白いのですが、何よりもそのサイズ差が凄いです。Copilot+ PCは、Armネイティブ動作ですが、サイズがこれ程異なるのは、コンパイラや開発環境が従来と異なるからでしょうか?
新しいものやMicrosoft推薦が、全てBetterでは無い一例です。


Windows 11 24H2更新注意点

2024年10月1日、Windows 11 24H2の段階的配布が始まりました。Windows 12配布予定が2025年のため、おそらくWin11最後の大型更新バージョンになると思います。

以前、現行Win11 23H2 OSコアNikelが、24H2ではGermaniumへ変わるなどを投稿しました。しかし、24H2更新に際し、もっと重要な注意点がありますので投稿します。

Summary:Win11 24H2更新注意点:「デバイスの暗号化」確認

デバイスの暗号化(HomeとPro)とドライブの暗号化(Pro以上)の設定(設定>プライバシーとセキュリティ>デバイスの暗号化)
デバイスの暗号化(HomeとPro)とドライブの暗号化(Pro以上)の設定(設定>プライバシーとセキュリティ>デバイスの暗号化)

Win11 24H2更新前に、デバイス暗号化とドライブ暗号化の2機能を行うBitLockerを確認し、必要に応じて設定変更。

確認無しでWin11 24H2更新・運用の場合、OSによるデバイスの暗号化自動設定によりユーザ起動不可能となりクリーンインストールの可能性が高まる。BitLocker On時は、回復キーのユーザ保存必須。

お勧めのWin11 24H2セキュリティレベル設定は下記。

デスクトップPC:BitLockerデバイス暗号化、ドライブ暗号化共にOff設定。
ノートPC:モバイル時、BitLocker On設定。暗号化On/Off変更処理に数時間掛かることも考慮。BitLocker回復キーは、別途保存。

BitLockerの2機能

BitLockerは、2つの対象の暗号化を行います。

  1. デバイスの暗号化:システムデバイスの暗号化(Home/Pro共に自動暗号化あり)
  2. ドライブの暗号化:Dドライブなどシステム以外のドライブ暗号化(Pro以上で手動設定のみ)

暗号化済みの場合は、1/2共に鍵などのパスワード、BitLockerなら48桁の数字回復キーを入力しない限り、OS・ユーザ本人でも中身の読出しができません。ハッカー攻撃やPC紛失などへのセキュリティ対策が目的です。

左:デバイス暗号化回復キーと右:ドライブ暗号化回復キー入力例
左:デバイス暗号化回復キーと右:ドライブ暗号化回復キー入力例

Win11 24H2の新機能

Win11 24H2新機能は、Microsoft公式サイトにあります。英文ですので、ブラウザの日本語翻訳を使ってお読みください。中程にある動画字幕も日本語表示で解り易いです。

BitLockerに加え、ファイル単位ロックなどWin23 H2よりもセキュリティレベルが強化されています。また、NPU(Nural Processing Unit)活用のAI Copilot機能、同時翻訳なども紹介されています。

BitLocker概要サイト中頃のデバイスの暗号化「重要」文章を抜粋します。

重要

Windows 11 バージョン 24H2 以降では、DMA と HSTI/モダン スタンバイの前提条件は削除されます。 その結果、自動および手動のデバイス暗号化の対象となるデバイスが増えます。“

つまり、Win11 23H2までのBitLocker条件が緩和され、Win11 24H2以降は、OSが自動でBitLocker暗号化するデバイスが増える訳です。もっと言うと、Win11 Home/ProシステムCドライブは、ユーザが明示的に設定しない限りデフォルトでデバイスの暗号化はOnになります。

AI Copilot Win12の布石:Win11 24H2セキュリティ強化

AI Copilot Win12は、ノートPCをメインターゲットとするAI PC向けOSです。ユーザのすぐ横で1日中エッジAI PCを使っても、バッテリーが持つ低消費電力と、PCの軽さ・薄さがデバイスの特徴です。モバイル性とAI処理の向上が、セースルポイントです。

このWin12は、万一のPC紛失やハッカー攻撃、AI学習情報漏洩に対し、従来比、より強いセキュリティを与えます。

前章のWin11 24H2新機能で、システムデバイスBitLocker条件緩和と自動暗号化拡大などのセキュリティレベル強化は、Win12への布石だと思います。

「デバイスの暗号化」の功罪

ユーザのWindows 11 24H2セキュリティレベル設定必須
ユーザのWindows 11 24H2セキュリティレベル設定必須

デバイスの暗号化をOnにすると、通常のOS処理前でもデータ複合化、処理後にデータ再暗号化保存が必要です。この暗号化オーバーヘッドは、暗号化無しの場合と比べ3~5%、別情報によると45%ものドライブパフォーマンス低下を招きます。

※PCバックアップソフトとの相性は、間違いなく悪いでしょう。

デバイス紛失対策が暗号化でできるのは大切です。しかし、デスクトップPCや家庭内運用のノートPCならば、ユーザの紛失対策は殆ど不要です。

BitLockerに限らずセキュリティ対策は、OSが安全側動作に自動的に設定することがあります。また、その設定タイミングもユーザには分かりません。

セキュリティの功罪とPC安全性を評価し、OS任せでは無くユーザ自らがセキュリティレベルを設定することが、今後のWindows運用に必須です。

Afterword:暗号化と鍵と生体認証

暗号化に鍵は必須です。Windowsは、この鍵をWin11アップグレード要件TPMへ保存します。TPMには、クレジットカード情報なども保存しますので、セキュリティ上、超重要デバイスです。

このTPMアクセスに、指紋などユーザ本人の生体認証が必要です。面倒ですがセキュリティは、複数対策の重ね合わせでセキュリティレベルを上げます。次世代TPMと言われるMicrosoft Pluton Securityプロセッサは、この面倒さ・判り難さを軽減する仕組みであることを期待します。

本稿は、下記資料を参考に作成しました。詳細は、各資料を参照ください。
Win11 24H2新機能:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1627854.html
Copilot+ PC AI機能:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2409/28/news081.html
BitLocker:https://www.youtube.com/watch?v=XE4KFfRGtWw


2~3年先Windows PC予想

2~3年内に新しいWindows PC購入を検討中です。激変中のWindows PC環境(OSとハードウェア)を整理し、今後(2~3年先)のWindows PCを予想します。筆者はWindows専門家ではありませんので確度は低いかもしれません。しかし、予想を持つ方が、様々な情報理解に役立つと思います。

激変Windows PC状況

  • 2025年10月Windows 10サポート終了
  • 今期Windows 11 24H2リリース予定
  • 次期Windows 12リリース、アップグレート要件不明
  • 2024年6月Microsoft Copilot+ PC発売開始

Windows PC環境、OSとハードウェアの状況です。激変を牽引するのは、パーソナルなAI PC化です。これら関連の多くの情報が溢れています(関連投稿:情報機器大転換期)。

2~3年先Windows ハードウェア予想

新しいCopilot+ PCの第 11 世代surface Pro、32 GB RAM、1 TB SSD、¥394,680 (税込)(出典:Microsoft)
新しいCopilot+ PCの第 11 世代surface Pro、32 GB RAM、1 TB SSD、¥394,680 (税込)(出典:Microsoft)

Copilotキーの新規追加、40TOPS以上のNPU搭載、16GB以上のDDR5/LPDDR5 RAM搭載、Microsoft Pluton Securityプロセッサ搭載など6月発表のMicrosoft Copilot+ PCは、現行Windows PC比、かなり高性能で新しいハードウェア構成です。その目標は、先行するAIスマホ機能の取込みに加え、AIアシスタントPCへの進化です。

PCのAI処理を実用可能レベルで高速実行するには、ハードウェア選びが肝心です。そして、低電力動作。AIアシスタントと相性の良いモバイルノートPCを1日中フルに使っても、バッテリーに十分な余裕が必要だからです。

MacだけでなくWindows PCのCPUでも、従来Intel/AMDのx86/x64から、Armアーキテクチャへ変わりつつあるのは、このバッテリー持ちの良さ、電力効率の良さにあります。

但し、過去x86/x64ビジネスソフトウェアのArmアーキテクチャCPU動作検証が必要です。Armは、Prismでx86/x64エミュレーションを実行し、ゲームソフトは、ほぼ問題なく動作するようです。また、AIスマホは、ほぼArmベースですので、AIスマホ機能の取込みもx86/x64比、有利だと思います。

新しいAI半導体供給には、年単位の時間が必要です。高性能AI半導体を使うAI PCの2024年出荷は、わずか3%、2028年にようやく40%台という調査会社IDC予測があります。一方、Lenovoは、今後3年間でAI PCは一気に普及し、2026年出荷全体の60%を占めると予想しています。

筆者は、Lenovoに近い予想です。パーソナルAIアシスタント機能を持つPCと、これが無いPCでは、生産性や作業効率に格段の差が生じるからです。例えば、Office作業は、AI Copilot活用でプライオリティの低い作業は、激減すると思います。

2024年は、円安(7月161円/$)影響で、日本では高性能AI PCハードウェアは価格が高く手が出ません。2025年~2026年は、Win10サポート終了とAI半導体の安定供給時期が重なり、世界的なAI PC需要の伸びとハードウェア低価格化が期待できると思います。

AIノートPC代替ミニPC

ミニ PC - NucBox K8(出典:GMKtecサイト)
ミニ PC – NucBox K8(出典:GMKtecサイト)

現状のAI PCは、AIアシスタントとの相性が良いノートPCが主流です。しかし、筆者のように主にデスク上でPCを使う方は、ミニPCという選択肢もあります。

ミニPCは、簡単に言うとモニタなしのノートPCです。常時外付けデスクモニタと接続して利用します。ハードウェア構成は、ノートPCとほぼ同じで、モバイル性を犠牲にした代わりに拡張性があります。例えば、GMKtecNucBoxなどです。

ArmミニPCは、現在ラインナップに有りません。しかし、バッテリーを気にする必要が無いので、有力な高性能AI PCハードウェア候補と考えています。

2~3年先Windows OS予想

現行Win11 23H2の後継は、サービス期間2年想定のWin11 24H2です。この2年間(2024年~2026年)に、Win10サポートが終了しますので、Win11 24H2(またはWin11 25H2)の役目の1つが、多くのユーザ利用中のWin10代替OSでしょう。

Win10からWin11へのアップグレートは、TPM 2.0要件などありますが、大きな障壁ではありません。また、障壁回避アップグレード方法もあります。この意味で、Windowsユーザ離れは回避できると思います。

結局、現行x86/x64 Windows PCでも、2026年~2027年頃まではアップグレートWin11運用が可能です。

問題は、アップグレートWin11が、Microsoft想定のCopilot+ PC OSと異なる点です。つまり、高度なAI処理に手間と時間、電力消費が懸念される点です。但し、実際はどのようなAI処理をPCユーザが好み、どこにAI PCの大きな需要があり、それらを支援するAI OS機能は何かを見極める必要があります。

AI処理は、この見極めが必須なぐらいサービス/アプリによるソフトウェア負担も大きいのです。汎用的にAIをPCで活用するには、Copilot+ PCよりも更に高性能ハードウェア、例えば高TOPS NPUや大容量メモリが必要になると思います。

Windows Copilot Runtime(出典:Microsoft)
Windows Copilot Runtime(出典:Microsoft)

Copilot+ PCのAI OS処理は、Windows Copilot RuntimeがArmネイティブ動作のため、x86/x64比、電力効率に優れます。2024年~2027年は、従来のx86/x64 Win11と新しいArmネイティブOSの併存期で、Armネイティブ特性を活かすAIサービス/アプリとAI OS機能の見極め期間です。

例えば、Copilot+ PCのRecall検索機能は、導入前にプライバシー配慮に対する改善が入りました。パーソナルAIアシスタントとプライバシーは、セキュリティバランスを考慮したガイドラインなどが必要でしょう。

※既にWin11 23H2でもスクリーンショットがユーザ同意なしにピクチャライブラリへ自動保存(!?) されますが…。

次期Win12は、この新旧OS併存期の結果から「2025年~2026年末頃、本格的パーソナルAIアシスタントOSとして新登場」すると思います。

次期Win12はWin11からアップグレートできるか?

6月発売Microsoft Copilot+ PCのOSは、Armネイティブ動作Windows Copilot Runtimeを持つWin11 23H2です。このCopilot+ PCハードウェア構成のPCは、おそらく新しいWin12へアップグレートできるでしょう。

前章のAI OS見極め結果にも依りますが、Win12登場が遅れれば遅れる程、6月Copilot+ PCとのスペック乖離が進みます。筆者がWin12登場を遅くても2026年末としたのは、この乖離を少なくするためです。

逆に言うと、「Win12アップグレート最低条件が、6月Copilot+ PCスペック」となりそうです。

Summary:2~3年先Windows PC予想結果

ミニPCハードウェア利用のAI PC環境イメージ(出典:GMKtecサイト)
ミニPCハードウェア利用のAI PC環境イメージ(出典:GMKtecサイト)

PCのAI処理を実用可能レベルで高速実行するにはハードウェア選びが肝心です。さらに、モバイルノートPC向けに、低電力動作も必須です。

本格的AI OSのWindows 12登場は、2025年~2026年と予想しました。このWin12アップグレート要件未達とならないよう、2025~2026年内に、出来るだけ高性能なAI PCハードウェア購入を検討中です。

有力候補に、バッテリー動作を気にする必要が無いミニPCハードウェア案を示しました。

Afterword:ネットカフェPCにWin11 23H2登場→Win12?

過去Win10のみであったネットカフェPCに、Win11 23H2搭載PCが登場しました。今後Win11比率も徐々に高まるでしょう。新しいWin12が、個人PCのNPU学習結果を、Microsoft Pluton SecurityプロセッサとOneDriveを使って同期できれば、公衆ネットカフェPCでもパーソナルAIアシスタントが使えます。

パーソナルAIアシスタントのクラウド化、これならOfficeが付いたOneDrive利用も喜ばれるでしょう!

Windows 11 24H2とWindows 12

現行Windows 11 23H2の次期OSは、筆者予測に反し、Windows 12ではなくWindows 11 24H2になりそうです。
次期Windows情報を、簡単にまとめました。

  • 次期OSコアは、Win11/10のNickelから、新しいGermaniumへ変わる。
  • Win11 24H2は、段階的機能ロールアウト(Controlled Feature Rollout:CFR)大型更新と予想。
  • 右側「Ctrl」をAIアシスタント「Copilot」キーへ変更するなど、MicrosoftはAI PCへ注力中。

Windows呼称一覧

Windowsは、商用バージョン名/OSコア/ビルド番号など、様々な名前で呼ばれます。本稿でも用いますので、対応表にしました。

商用バージョン名 OSコア(原子番号) ビルド番号 備考
Windows 11 23H2 Nickel (28) 22000番台 Win11/10は同一OSコア
Windows 11 24H2 Germanium (32) 26000番台 Win11先行Canary/開発チャネル
Windows 12 (?) Dilithium (?) 27000番台 Microsoft社内開発チャネル

※OSコアはMicrosoft社内の開発コード名。周期表を利用中。
※ビルド番号は更新時に増加する番号。ビルド番号が22000番台ならWin11 23H2更新と判る。
※Dilithiumはスタートレック登場の架空物質。Ge (32)の次As (33)は毒物印象が強いため非採用。

Windows OSコア名と周期表の関係(周期表出典:Wikimedia Commons)
Windows OSコア名と周期表の関係(周期表出典:Wikimedia Commons)

Summary:次期WindowsはOSコア刷新大型更新

次期Win11 24H2は、OSコアが現行のNiからGeへ変わります。

Microsoftは、過去、OSコア変更タイミングで商用バージョン数も増やしてきました。バージョン数を増やすと、ユーザに「新OS感」を与える反面、ユーザアプリに関しては「移行リスク」を生みます。

Win11は、Win10と同じNiコアです。操作性も大差ありませんが、Microsoftは商用バージョン数を10から11へ増やしました。但し、同じOSコアなので、Win10ユーザアプリは、リスク無しにWin11へ移行できました。

Win11 24H2は、OSコアが変わります。ユーザアプリ移行は、障壁が高いハズです。Win11 24H2配布が、段階的機能ロールアウトになると筆者が予想したのは、この高いアプリ移行リスクのためです。

今回商用バージョン数を増やさない訳は、Microsoftがユーザの興味を「AI PC」の方へ向けたいからだと思います。

AI PC化は、Windows付属ツールのメモ帳やペイント、ヘルプのAIアシスタント(Copilot)代行など全てのOS操作に及びます。これらAI処理に便利なのが、キーボード右側のCtrlを変更する新しいCopilot専用キーです。

これらAI PC化は、現行コアのWin11 23H2/Win10でも既に進行中です。これは、AI PCにMicrosoftが注力中であることを示しています。

Windows 11 24H2のOSコアと付属アプリ、Copilotキー変更
Windows 11 24H2のOSコアと付属アプリ、Copilotキー変更

つまり、次期Win11 24H2は、OS付属ツールのAI化と、アプリ「移行リスク」があるNiからGeコア変更、これら両方を同時に行います。

Microsoftは、あえて新しいバージョン名Win12は使わずに、ユーザ興味がAI側へ集中することを狙って、年次更新のWin11 24H2としたのだと思います。

Win11 24H2大型更新時の注意点

Win11 24H2 OSコアのNi➡Ge変更は確かです。今年の大型更新は、従来比、更新リスクがかなり高いと思います。

MicrosoftがCFRで小出しにWin11 24H2へ更新したとしても、ユーザ側もアプリを含む万全なバックアップ準備が必要です。

万一、Win11 24H2でアプリが正常動作しない場合は、OSを旧Win11 23H2へ戻すことも必要です。また、アプリ動作の確認時間も、従来比、長く取る必要があります。

Win11 24H2から23H2に戻しても、商用バージョン名は同じWin11です。23H2でも進行中のAI PC状況からユーザは、古いOSと感じることは少ないと思います。

筆者は、なぜ今MicrosoftがOSコアをGeへ変更するのか判りません。しかし、現行Win11 23H2+CopilotキーによるAI化だけでも、Windowsを開発等に使わないユーザなら、新OS感は十分得られます。AIは、それ程ユーザにインパクトを与えます。

※23H2サポート終了は2025年秋。ゆえにWin11 24H2更新猶予も2025年秋迄。

Afterword:参考資料

ビルド番号27000番台のDilithiumが、Win12になる予測もあります。どれ程のAI機能をPCへ実装し、それにより電力消費がどう変化するか不明な点が、Win12発表遅れ原因の1つ、だと筆者は思います。

ネット側のAI処理も含めると、2001年宇宙の旅:HAL9000のような本格的AI PCはそれ程電力とコストが必要のようです。Win12リリースは、AI半導体の普及を待つのかもしれません。

本稿は、以下資料を参考にしました。詳細は、各資料を参照ください。

Windows 12まで様子見、2024年2月22日、ZDNET
次期Windows 11は24H2、2024年2月9日、窓の杜
Windows 11 24H2とAI PCの実際、2024年2月2日、ITmedia