Win10アプリとデータ維持しWin11 24H2アップグレード(Rufus総集編)

Win10ユーザのEOS(サービス終了)対策は、Win11対応PCの新規購入がBestなのは判っています。しかし、最新PCハードウェアであっても急成長クラウドAIに十分対応できるかなど、数年後のローカルエッジPCハード/ソフトの状況は不透明です。

不透明さ対応の1つは、Win10無償延命ツールRufusを使ってWin10アプリとデータを維持したままWin11 24H2へアップグレードすることです。Win11 24H2 EOSは、来年1013日です。また、今秋リリースWin11 25H224H2をアップグレードすれば、更に2027年までの2年間Win10アプリとデータを維持したWin11利用ができます。もちろん、従来Win10ハードウェアを24H2へアップグレードしても今のところ安定動作しています。

本稿は、Win10延命ツールRufusの総集編として過去弊社が投稿した図表を用い24H2アップグレード方法を示します。掲載図は、旧Rufus版のものですが、内容は殆ど同じなのでご理解頂けると思います。

Rufus 24H2アップグレード全体手順

Rufus 4.9Windows 11 24H2アップグレード方法

準備
  1. Win10バックアップ(更新失敗リカバリ対策)
  2. Win11 24H2ディスクイメージダウンロード
  3. Rufusを実行しWin 11 24H2インストールUSB作成
更新
  1. Win10起動状態でインストールUSB setup実行
  2. Win11セットアップダイアログに従い数回クリック
  3. Win11 24H2大型更新完了

準備と更新の手順一覧表です。

先ず、万一の失敗に備え最終版Win10をバックアップしてください。次に、Win11 24H2ディスクイメージをPCデスクトップへダウンロードしてください。

最新Rufus 4.9ダウンロードと実行

最新Rufus 4.9は、コチラからダウンロードします。

Rufus 4.9のダウンロード
Rufus 4.9のダウンロード

PCRufusインストールは不要です。ダウンロードしたexeファイルのクリックで下図(左)のようにRufusが動作します。選択をクリックし、前章Win11 24H2ディスクイメージをブートの種類へ設定します。

8GB以上のUSBメモリをPCへ接続後、スタートをクリックすると、下図(右)のWin11 24H2インストールUSB作成が始まります。USB作成が終われば、Win11 24H2アップグレード準備が完了です。

Rufus 3.21のWindows 11 22H2インストールUSB作成
Rufus 3.21のWindows 11 22H2インストールUSB作成

Win10起動状態でWin11 24H2インストールUSB setup実行

Win10起動状態Win11 24H2インストールUSB内のsetupをクリックします。すると、下図のWin11アップグレード要因回避ダイアログが表示されます。

Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定
Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定

全ての要件を回避した弊社PC例です。ダイアログ表示はありませんが、Win11 24H2サポートCPU条件も同時に回避されます。

従って、Win11 23H2など旧Win11Win11 24H2アップグレードもRufusで可能です。旧Win11ユーザは、本稿Win10記述をお使いの旧Win11へ読み替えれば同じ方法でWin11 24H2アップグレードができます。

今秋リリースWin11 25H2アップグレードは、Win11 24H2が必須条件です。Win10/Win11ユーザは、Rufusを使いPC24H2化し、25H2アップグレード準備を忘れずに!

Win10アプリとデータ維持のままWin11 24H2アップグレード

暫く待つと、下図のWin11セットアップダイアログが表示されます。デフォルトは、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」になっています。「引き継ぐものを変更」クリックでアプリのみやデータのみへの変更も可能です。

デフォルトのままインストールをクリックすれば、Win10アプリとデータを維持したままWin11 24H2アップグレードを開始します。

Windows 11インストール準備完了
Windows 11インストール準備完了

この後は、通常のWin11アップグレードと全く同じです。表示ダイアログに従っていればWin11 24H2アップグレードが完了します。

Win11アップグレード後の注意

アップグレード後は、Win10の見た目や操作性が下図のように変わります。

Windows 10(左)とWindows 11(右)フォルダ比較
Windows 10(左)とWindows 11(右)フォルダ比較

個人的には、Win10ユーザインタフェースの方がWin11よりも優れていると思います。

引き継いだアプリによっては、再インストールやアップデートが必要になるものもあるかもしれません。しかし、弊社の場合は、MCU開発環境なども含め全てのWin10アプリが問題なくWin11 24H2でも動作しました。

Win11 24H2アップグレード後は、過去投稿のお勧め処理Win11 24H2更新状況を参照頂ければ、従来Win10ハードでもWin11 24H2が安定動作することがお判り頂けると思います。

SummaryWin10アプリとデータ維持しWin11 24H2アップグレード

Win10無償延命ツールRufusを使いWin10アプリとデータを維持したままWin11 24H2アップグレード方法を過去投稿図で示しました。最新Rufus 4.9でも図の内容は殆ど同じですので方法をご理解頂けると思います。

Win11対応PCの新規購入が、Win10 EOSBest解です。しかし、Rufusを使えば、Win11 25H2 EOS2027年秋までWin10アプリとデータの延命が可能です。この2年間でローカルエッジPCハード/ソフトのAI状況を見極め、新規AI PC購入を検討するなど低コスト解をRufusが与えます。

Afterword:急成長のクラウドAIとローカルエッジAI PC能力

超知能が数年後に登場2025/09/18(日経XTECH)は、人間知能をはるかに超える「超知能」の23年内実現可能性を否定していません。このAIは、主にクラウドAIです。クラウドAI発展は、ローカルエッジAI不要論もあり得ます。

しかし、ローカルエッジAIもクラウドAIに合わせた発展が必須と筆者は思います。例えば、個人情報保護・漏洩防止の高度エッジセキュリティが備わったローカルエッジAI PCのみが、安全なクラウドAI利用ができるなどです。

最新Copilot+ PCNPUスペックは、40TOPS以上です。これでもローカルエッジAI PCとして現在は十分動作します。数年でこのハードスペックがどう変わるか、AI PC向けOSソフトWin12と合わせウオッチしたいと筆者は考えています。


9月の月例更新プログラムとWin11 25H2準備

9月更新プログラム(KB506526)(26100.6584)のインストール確認
9月更新プログラム(KB506526)(26100.6584)のインストール確認

9月の月例更新プログラム(KB506526)(26100.6584)が配布されました。Win10/11の緊急修正を含みますので、早急な適用が必須です。設定>Windows Update>更新の履歴で、KB506526の正しいインストールを確認し、今秋リリースのWin11 25H2アップグレードへ備えましょう。

20258月のWin10/11シェア

Win10とWin11シェアは、statcounterによると8月時点でも拮抗しており、Win11の人気の無さが判ります。筆者は、TPM 2.0などWin11アップグレード必須要件や、優れたWin10ユーザインタフェースなどが、Win11不人気理由だと思います。

つまり、Win10ユーザには、無理にアップグレードしたいと思わせる新機能がWin11に少なく、魅力の乏しい中途半端なOSだった訳です。

2025年8月のWindows 10と11のシェア(出展: statcounter)
2025年8月のWindows 10と11のシェア(出展: statcounter)

この対策の1つが、20245Microsoft発表の新しいAI対応Copilot+ PCのハードウェアです。

NPUNeural Processing Unit)やMicrosoft Plutonセキュリティプロセサを一体化(SoCSystem on Chip)したAI向けCPUは、効率的でセキュアなAI処理がローカルエッジPCで実行可能です。Microsoftは、このCopilot+ PCハードに最適化した新OSとしてWin12を開発中で、2025年リリース予定だと筆者は思っていました。

AI専用Win12の架け橋Win11 25H2

Win12は、中途半端なWin11から新しいAI専用OSとして登場すると筆者は思います。そして、Win12Copilot+ PCは、従来PC使い方を、全く新しいローカルAIエージェント活用のPC使い方へ激変させると思います。

しかし、Microsoftは、今年10月のWin10サービス終了を前に取り残している多くのWin10ユーザを無視できず、現行Win11AI Win12へ乗換えてもらう必要性を感じます。そこで登場するのが、Win11 25H2です。

今秋リリースWin11 25H2は、Win11 24H2OSコア共有です。簡単に言うと、Win11 25H2の中身はWin11 24H2と同じです。

従って、Win11 25H2へアップグレードしても、24H2からのアプリ移行問題は少ないでしょう。また、Win10延命ツールのRufusを使えば、Win11アップグレード要件の回避も可能で、その回避PCハードでもWin11 24H2が正常に動作します(詳細は下記投稿参照)。

つまり、Win11 25H2の使命は、多くのWin10ユーザ取込み(回収)です。

Win11 25H224H2同様、新Copilot+ PCでない従来PCでも動作します。新旧両PC動作で24H2と同じ中途半端感も残るWin11 25H2ですが、新しいCopilot+ PCの必要性やAI PC生産性の高さをユーザへ実感させ、Copilot+ PC需要喚起やAI専用Win12の架け橋の役目も果たすでしょう。

Win11 25H2アップグレードはWin11 24H2からのみ

Windows 11 25H2更新プロセス(Microsoftブログに加筆)
Windows 11 25H2更新プロセス(Microsoftブログに加筆)

Microsoft公式のWin11 25H2アップグレード要件は、上図で示すWin11 24H2からのみ可能なことには注意が必要です。Win10からでもWin11 23H2からでもありません(Win11 25H2年次更新の詳細:2025/07/11投稿)。

従って、Win11 24H2以外のPCは、25H2アップグレード開始前にWin11 24H2化しておかなければWin11 25H2になりません。

もしかしたら次期Rufusは、Win11 25H2ディスクイメージから要件を満たさないPCでも直接Win11 25H2化できるかもしれません。

しかし、現時点でWin11 25H2アップグレードを行うなら、直ちにRufus 4.9を使ってWin10を24H2にし、Win11 25H2準備は必須です。

Summary9月の月例更新プログラムとWin11 25H2準備

9月の月例更新プログラムが配布されました。Win10/11緊急修正を含みますので、早急な適用必須です。

今秋リリースWin11 25H2アップグレードは、Win11 24H2が開始要件です。Win10サービス終了は10月ですが、Win10延命ツールRufusを使えばWin11アップグレード要件回避も可能で、その回避PCハードでもWin11 24H2が正常動作します。

Win11 25H2リリース前にWin10Win11 24H2以外のPCは、Win11 24H2化しWin11 25H2アップグレード準備必須です。

Win11 25H2事前配布開始か?

「異例」のWin11 24H2累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)が、830日(土曜)に配布されました。この更新プログラムは、今秋リリース予定Win11 25H2の事前配布の一部だと思います。

異例のWin11 24H2累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)配布
異例のWin11 24H2累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)配布

830日「異例」更新プログラム

「通常」のPatch Tuesday 8月例累積更新プログラム配布が、813日、次回9月の例累積更新プログラム配布は、910日の予定です。今回の累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)配布は、8月と9月の中間で、しかもSaturdayの全く「異例」の配布です。なぜこのタイミングか解りません。

そこで、クラウドAIMicrosoft Copilotアクアに質問したところ、4つの理由を得ました。

  1. Copilot +PC向けAI機能強化先行展開
  2. セキュアブート証明書の有効期限問題対応
  3. Patch Tuesday別枠「プレビュー更新」(企業影響を避けるフィードバック取得に週末配布)
  4. (Win11 25H2への)24H2安定性確認フェーズ

筆者は、Win11 25H2 Release Previewリリース記事2025/09/01、窓の杜)から、Win11 25H2事前分散配布だと推測しました。

830日更新プログラムKB5064081入手方法

上記記事では、Insider ProgramRelease Previewチャネル設定により今回の更新プログラムKB5064081入手方法が示されています。

しかし、弊社はWindows Updateで「利用可能になったらすぐに最新更新プログラムを入手」のオン設定で入手しました。もちろん、Insider Program参加は無しです。

8月30日更新プログラム入手方法
8月30日更新プログラム入手方法

KB5064081インストール後、再起動が要求されます。しかし、NPU無しの弊社Win11 24H2に特に変化はありません。

Rufus手動アップグレードWin11 24H225H2化できそう!

Win10延命ツールFlyby11は、Win11 24H2から25H2へのアップグレードができない懸念があるそうです(Win11 25H2が新たな障壁2025/08/06、日経XTECH)。

弊社お勧めRufusも延命ツールの1つです。このRufusを使って弊社は4月から5月にかけてWin11 24H2へ手動アップグレードし、その24H2正常更新状況を、タイムライン風に投稿しました。

手動Windows11 24H2更新タイムライン
手動Windows11 24H2更新タイムライン

今回の事前分散配布プログラム(KB5064081) (26100.5074)のインストール成功は、Win11 25H2アップグレードへの第一歩かもしれません!

今秋Win11 25H2リリースが待ち遠しいです。

SummaryWin11 25H2事前配布開始か?

通常Patch Tuesdayとは異なるWin11 24H2累積更新プログラム(KB5064081) (26100.5074)配布が、830日土曜に行われました。週末配布は、企業影響を最小にするWin11 25H2事前分散配布が狙いでしょう。

Rufus手動アップグレードでWin11 24H2化した弊社PCは、Windows Update最新プログラム入手のオン設定で、このKB5064081インストールに成功しました。

今秋リリース予定Win11 25H2アップグレードへの第一歩だと思います。

AfterwordWin11 25H2ビルド番号は26200番台

MicrosoftサイトのWindows and the shared servicing model v1.2 June 2025に、Win11 24H2/25H2ビルド番号が掲載されました。現行Win11 24H2が、26100番台、次期Win11 25H2は、26200番台です。

Wn11 25H2アップグレードは、Win11 24H2が前提です。10月に迫ったWin10 EOS対策に、RufusによるWin11 24H2更新をお勧めします。

Rufus手動Win11 24H2更新状況

5月のGW中にRufus 4.7を使いWin11 23H2からWin11 24H2へ手動更新した弊社PCの現状を示します。725日現在、非セキュリティ更新も含め更新Win11 24H2は正常動作中です。Win11 24H2へ自動更新できないPCをお持ちのユーザでも、Rufusを使えば安心してWin11 24H2更新・運用ができます。

Win11 24H2手動更新タイムライン

手動Windows11 24H2更新タイムライン
手動Windows11 24H2更新タイムライン

Rufusは、様々なWin11 24H2アップグレード要件を回避しつつ、従来のWin10Win11 23H2から最新のWin11 24H2へ更新ができるツールです。

40TOPS以上のNPUを持つ新しいAI PC買換えが困難なユーザでも、従来Win PCを最新Win11 24H2へ更新し、今秋リリース予定のWin11 25H2準備ができます。Win11 24H2が、Win11 25H2アップグレードの前提ですので24H2更新は重要です(関連投稿:Win11 25H2今秋リリース)。

もちろん、従来PCで非AI PCですのでローカルAI機能、例えばAI検索Recallなどは使えません。しかし、Win11 24H2は、AI PCと従来PCの両方対応OSのため、CopilotGeminiなどのクラウドAI機能は問題なく使えます。

弊社は、過去Rufusでの手動更新を投稿してきました。4月以降のWin11 24H2更新状況をタイムラインで示しました。

Win11 24H2アップグレード要件を満たす本来のWin11 24H2同様、月例更新や724日の8月先行更新も含め、手動Win11 24H2は、全て正常に動作中です。

関連投稿一覧

手動Win11 24H2更新詳細は、下記投稿で判ります。

手動Win11 24H2更新4PCの内、半分の2PCは下図のように「最新の更新プログラム入手をオン」へ設定していますので、724日リリースの先行8月更新(非セキュリティ更新:KB5062660)がインストールされます。先行更新入手のオン/オフ差を検証するためですが、全PCとも差が無く正常動作しています。

最新更新プログラム入手オン設定
最新更新プログラム入手オン設定

SummaryRufus手動Win11 24H2更新状況

20254月以降のRufus手動Win11 24H2更新状況をタイムラインで示しました。掲載PCは、Win11 24H2アップグレード要件を満たさない従来PCですが、要件を満たすPC同様問題なく正常動作中です。

手動Win11 24H2更新に不安を頂いているユーザの方でも、安心してWin11 24H2更新・運用ができます。

Afterword:新PC購入vs. 従来PC更新

日本Windows PC出荷台数が、前年比2.4倍でPC特需到来だそうです。ネットカフェもWin10からWin11へのハードウェア置換えが進行中です。40TOPS以上のNPUを持つCopilot+準拠AI PCは、未だ高価です。しかし、価格は徐々に下がるでしょう。従来PCAI PC両対応の今秋リリースWin11 25H2の終了2027年秋まで話題のエッジAIを待てるユーザは、Rufusによる従来PC手動更新も一案です。


Windows 11 25H2今秋リリース

628日、MicrosoftブログWindows11 25H2の今秋リリースを発表しました。現行Win11 24H2からの更新方法に特徴があるWin11 25H2を説明します。

Win11 25H2更新方法

Windows 11 25H2更新プロセス(Microsoftブログに加筆)
Windows 11 25H2更新プロセス(Microsoftブログに加筆)

注意が必要なのは、上図が示すWin11 25H2の更新は、Win11 24H2が起点という事です。Win11 23H2でもWin10でもありません。従って、Win11 24H2でないPCは、コチラの関連投稿で示した手動Win11 24H2更新しておく事は必須です。

Win11 25H2は、Win11 24H2OSコア共有です。そこで、Microsoftは、月例24H2の更新プロセス中に今回の年次25H2更新を混合する方法を採用しました。

具体的には、25H2新機能は、無効フラグ状態で月例24H2更新に含まれ、25H2リリースと同時にこの無効フラグを有効にします。その後再起動すれば、新しいWin11 25H2となる訳です。先述のMicrosoftブログは、この移行容易性を強調しています。

Win11 25H2 Pro/Homeのサービス期間は、リリース後2年間。つまり、2027年秋までWin11 25H2を使えます。従来PC40TOPS以上NPU実装のAI PC両方対応のWin11 25H2です。

※両方対応のWin11AI専用Win12については、コチラの関連投稿を参照。

Win12発表なし背景

筆者は、今秋Win12発表を予想していましたが、結果は、Win11 25H2への年次更新でした。

その背景は、コチラの関連投稿で説明したWindowsAIエージェント向け標準プロトコルMCPModel Context Protocol)対応による開発者インパクトの大きさ、下図Win11シェア低迷シェア低迷などがあります。

WIndows 11(青)と10(紫)の2025年6月シェア(出典:statcount)
WIndows 11(青)と10(紫)の2025年6月シェア(出典:statcount)

Win10Win11の世界シェアは、未だ同程度です。Microsoftが思う程Win11移行は進んでいません。やむを得ず今年10月にEOSEnd Of Support)を迎えるWin10ユーザ向けに、セキュリティ延長サポートを実施する程です。

また、Win11シェア内の従来PC比が高く、この状態のままNPU必須のAI専用Win12をリリースした場合、ユーザのWindows離れを招く恐れもあります。

つまり、次期Win12の前に、Win10ユーザ取込みとWin11シェア拡大を目的に、従来PCAI PC両サポートのWin11 25H2リリースに至ったのだと思います。

Win11 25H2メリット

Win11シェア低迷は、Win10Win11の差の少なさです。専門家が強調するWin11メリットを、一般ユーザが感じられないのです。当初、最後のWindowsとしたWin10完成度の高さが原因です。

しかし、競合他社AppleGoogle比、AI関連で先行(と筆者が感じる)Microsoftが、このままAI戦略を続ければ、一般ユーザでも従来PCAI PCの差を実感できます。OfficeツールやブラウザEdgeMicrosoft AIアシスタントCopilotとのシームレスな連携強化によりAI活用メリットが誰でも簡単に判るからです。

クラウドが先行しているAI活用ですが、より強固なセキュリティのローカル(エッジ)AI利用やWin10で満足だったPCゲーマーのAI利用も増加します。Win11 25H2サービス期間中に、全ユーザにAI有用性が浸透すれば、次期AI Win12移行もスムースになるでしょう。

また、AI PC新規購入予定ユーザにとっても、クラウド/ローカルAIサービスをどの程度利用するかを冷静に判断できる期間となります。現在は高価なAI PC価格も低下するでしょう。

今年2025年から2029年の4年間でAGI(汎用人工知能)が実現するとの見解もあります(前投稿参照)。仮にAGI実現の場合、Win12要求仕様も変わる可能性があります。Win11 25H2サービス終了の2027年秋までは、AIが急成長する期間でもあります。

AI激変にはAI専用Win12より新旧サポートWin11 25H2の方が、幅広く対処できる可能性もあります。

SummaryWin11 25H2今秋リリース

Microsoftは、Windows11 25H2今秋リリースを発表しました。Win11 25H2Win11 24H2は、OSコア共有のため、月例の24H2更新時に25H2新機能を無効状態で含めて配布し、25H2リリースと同時に有効にする移行容易性が特徴です。

このWin11 25H2混合配布が、どの月例でどの程度行われるかは不明です。しかし、Win11 24H2が開始点ですので、Win11 25H2に移行するには全PCWin11 24H2化が必須です。

AfterwordRufus 4.7から4.9へ更新

Win11 24H2手動更新ツールRufusが、4.9へ更新されました。4.9更新は、4.8Windows ISOイメージ解析高速化に加え、バグ修正などです。Rufus 4.7のWin11 24H2手動更新方法が、4.9でもそのまま使えると思います。


Windows12発表遅れの考察

2025519日のBuild 2025Microsoftは、AIエージェント向け標準プロトコルのMCPModel Context Protocol)にWindows 11が対応したと発表しました。

このMCPを簡単に説明し、次期Win12の発表が遅れている原因を考察しました。

SummaryWin12発表遅れ考察

AI PCプラットフォームには、AIエージェント向け標準プロトコルMCPは必須です。次期Win12は、この新しいMCPプラットフォームの構築に加え、MCP AIアプリと従来AIサービスの共存、従来アプリの動作を満たすことが求められるでしょう。

つまり、OS自身の構築に加え、上記大規模Winアプリ構造変化にアプリ開発者対応が必須です。これが、Win12発表が遅れている根本原因だと筆者は思います。

MCPModel Context Protocol)とは

3月末投稿Win11 24H2は、従来PCハードウェアとNPUを持つ新しいAI PCハードウェアの両方をサポートする「ハードウェア移行期OS」で、次期Win12は、移行後のAI PC専用OSへ進化と予想しました。

AIエージェント向け標準プロトコル:MCPとは、このAI PCプラットフォームの必須機能です。

AI PCのローカルAIエージェントは、ユーザの要求を複数アプリやファイルシステムと連携しながら処理します。この連携には、AIエージェントとアプリ双方が標準化されたMCPに対応していることが重要です。

これはオンプレミスのサーバー/クライアントに例えると判り易いと思います。端末アプリやファイルシステムは、MCPサーバーとしてその機能を提供し、クライアントのAIエージェントがそれら機能を呼び出すことでエージェント処理が進みます。

AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)
AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)

発表されたWin11MCP対応は、従来アプリと新しいMCP AIアプリの両方に対応した「AIアプリ移行期のOS」発表でもあった訳です。もちろん、Win12未発表のため、敢えて従来Win11の名前(Win11 25H2 ?)を使ったと筆者は思います。

今後のWindowsは、MCPプラットフォーム上でのAIアプリ/既存アプリ動作を目指すでしょう。そしてその実現の道のりが、遠く険しいことは、開発者なら判ると思います。

既存AIサービスのMCP影響

例えばClick to Doは、「既存のAIサービス」です。Win11 24H2と特定アプリ連携のため「独自な方法」を用いています。新しい「標準MCP」は、Click to Doのより柔軟で高度なWin機能や他アプリとの連携を可能にします。

つまり、既存AIサービスも、標準MCP活用で更に高度化できる訳です。

Microsoftは、現在一部のパートナー向けにMCPプレビュー版を公開し、フィードバックを募っています。Win12リリース前にAIアプリ関連の問題を洗い出すためです。

既存AIサービスも、MCPの影響は大きいと思います。

次期Win123種アプリ対応

Win12AI OSであることは間違いないでしょう。開発者のみならず一般ユーザでも、AI OS搭載PCを一度使うと、従来のAI無しのPCには戻れないからです。これは、AIスマホと同じです。

例えば、コチラの記事AIエージェント:computer useや、GoogleAI検索などです。AI活用で、従来比、高いPC生産性が期待できます。AIは、それほどPCの使い方、ユーザ生活様式を変える力を持っています。

次期Win12が、AI MCP専用OSか、AI MCPアプリと従来AIサービス混在を許容する新旧AIアプリ対応OSか、あるいは、これらに従来アプリも加えた3種アプリ対応OSかは、今のところ判りません。

筆者は、WindowsユーザのAI化は、Win10/Win11 23H2サービス終了の10月以降、急速に進むと予想します。正式なWin11 24H2対応には、NPUを持つ新しいAI PCハードウェア購入がMicrosoft推薦の王道だからです。

AI PC普及スピードが速ければ、複雑な3種アプリ対応は避け、シンプルなAI MCP専用Win12も有りだと思います(MCP AIアプリの豊富提供が前提ですが…)。

  • MCPは、ARM64搭載Prismのようなエミュレーションツールでは対応できないと思います。
  • 非正式なWin11 24H2アップグレード成功の弊社PCは、Afterword参照。

Afterword:弊社PC Win11 24H2アップグレード完了

弊社Win11 23H2保持4 PCを、5月ゴールデンウイーク以降、1週間に1台のペースでRufus 4.7を使ってWin11 24H2手動アップグレートしました。前回の24H2アップグレード時に発生したLANPC接続トラブルも、何の対処も無しに解決されています。これで、Win11 24H2サービス終了2026年秋まで弊社従来4 PCの1年延命が完了しました。

MCP発表でWin12発表も間もなくの気もします。しかし、開発者フィードバック次第で24H2サービス終了延長、または、Win11 25H2もあり得ます。


Win11 24H2更新後のお勧め処理

Rufus 4.7を使ったWin11 24H2アップグレード要件を回避したWin11 23H2/Win10手動更新成功を418日に投稿しました。今回は、Win11 24H2更新後のお勧め処理を示します。

対象PCは、10年前Win8購入のThinkPad T440pです(第4世代Intel CPUCore i7-4800MQRAM 8GBTPM無し、500GB SSD交換済み)。つまり、24H2アップグレード要件を満たさない従来PCです。

アップグレード要件PC自動更新開始

52Microsoftは、24H2アップグレード要件を満たすPCへ、Win11 24H2段階的配布の最終段階を宣言しました。サイトの一部抜粋が下記です。

202552日現在の状況

Windows 11 バージョン 24H2 Windows 11 2024 Update)が広くご利用いただけるようになりました。設定のWindows Updateからバージョン 24H2 を段階的に展開する作業の最終段階に達しました。“

つまり、要件を満たすPCは、ユーザが何もしなくてもコチラの記事記載のアップグレート準備完了が通知されます。逆に、この準備完了通知が来ないPCは、24H2自動更新ができないPCです(サイト掲載の既知の問題の有無は除く)。

Windows 11 24H2アップグレート準備完了通知(出展:記事)
Windows 11 24H2アップグレート準備完了通知(出展:記事)

418日投稿は、この24H2自動更新ができないPCの手動更新方法です。要件を満たさない弊社PCでも、問題なくWin11 24H2が動作中です。但し、次章から示す24H2更新後の処理をお勧めします。

Windows.oldフォルダ削除

Win11 24H2更新時、自動作成される巨大フォルダが、Windows.oldです。更新前Windowsへリカバリする際に使います。

しかし、筆者経験では、Win付属ツールでのリカバリ成功率は低いです。対策にEaseUS Todo Backup Freeなどのバックアップツールを使っています。その結果、バックアップ容量をムダに浪費する巨大Windows.oldフォルダは不要です。削除方法は、

  1. Winキー+Iで、設定システム>ストレージを開き、一時ファイルの>クリック
  2. 以前のWindowsインストールに☑し、ファイルの削除クリック
Windows.oldファイルの削除
Windows.oldファイルの削除

自動インストール不要アプリ削除

24H2更新時、23H2/Win10の従来アプリはそのまま維持できます。しかし、OneDriveTeamsなどのMicrosoft推薦アプリも更新時に自動インストールされます。特にOneDriveは、厄介な起動時アプリです。これらアプリを使わないユーザは、手動で削除します。削除方法は、

  1. Winキー+Iで、設定システム>アプリを開き、インストールされているアプリの>クリック
  2. アプリリストから不要アプリを選択し、・・・(その他のアプション)をクリックし、アンインストールクリック
自動インストール不要アプリの削除
自動インストール不要アプリの削除

パフォーマンス安定後の24H2評価

24H2更新後、弊社ノートPCは、無操作でも冷却ファンが回り続けました。この時のタスクマネージャーのパフォーマンスモニタが下図です。おそらく、24H2システムを自動で再構成しているのだと思います。

タスクマネージャーパフォーマンスモニタ例
タスクマネージャーパフォーマンスモニタ例

このシステム再構成中は、ユーザ操作の反応が鈍くなります。弊社T440pの場合、更新直後はCPU/ディスク使用率が100%近くで、更新後24時間位は実用になりませんでした。

この原因がアップグレード要件を満たさないためか、または、PC能力自体が低いためかは、不明です。更新Win11 24H2を評価するなら、パフォーマンスモニタを確認し、システム安定化後をお勧めします。

SummaryWin11 24H2更新後のお勧め処理

52日からWin11 24H2段階的配布の最終段階となりました。Win11 24H2アップグレード要件を満たすPCは、自動で更新準備が完了します。更新準備完了とならないPCは、要件を満たさないPCです。

要件未達PCは、手動24H2更新が必須です。Win11 23H2/Win10サービス終了(EOS)が1014日、これ以降はPCのセキュリティを維持できないからです。24H2手動更新でEOS20261014日に変わりますので、従来PC1年延命効果もあります。

Rufus 4.7での24H2手動更新方法は、4月18日投稿を参照頂き、本稿は、24H2手動/自動更新後のお勧め処理を示しました。

  1. 巨大Windows.oldフォルダ削除
  2. 自動インストール不要アプリ削除
  3. パフォーマンス安定化後の24H2評価

パフォーマンス安定化を待たずに24H2評価はできません。弊社10年前のT440pノートPCでさえ、パフォーマンス安定化後はエッジAIを使わない従来PCとしてWin11 24H2が快適(?)に動作します。

本稿はテスト運用も兼ねてこの手動更新T440pで作成しました👍。

AfterwordT440pタッチパッド交換レジストリ再修正

T440pタッチパッド交換(左:一体型、右:独立型)
T440pタッチパッド交換(左:一体型、右:独立型)

Win 23H2のレジストリ修正が、一部24H2へ反映されません。一例が、弊社T440pの独立ボタンクリックパッドの交換です。一体型が標準ですが、使いにくいため独立型へ変えました。この変更にレジストリの手動修正が必要ですが、更新24H2にこの修正は反映されません。

レジストリ手動修正の場合は、regファイルとして修正を保存し、24H2更新後、このregファイルをクリックすると修正が反映されます。


Rufus 4.7でWindows 11 24H2手動更新成功

49日、Rufus 4.6からRufus 4.7へ更新されました。ChangeLog.txtを見る限り、4.7Windows関連の変更はありません。しかし、念のため新しいRufus 4.7を使ってWin11 23H224H2へ手動更新し成功しました。

Win11 23H2/Win10サービス終了1014日より前のユーザの好きなタイミングで、Win11 24H2アップグレード要件を回避した手動更新が可能です。

従来PC1年延命効果

最後のWindowsと言われたWin10サービス終了が今年1014日、Win11 23H2もサービス期間は2年ですので、同じ1014日にサービス終了です。現在Win12発表が無いため、Win11 23H2/Win10ユーザは、サービス終了より前にWin11 24H2アップグレートが必須です。

Rufus 4.7は、ユーザが手動でWin11 24H2へアップグレードできるツールです。様々なアップグレード要件も次章で示すように回避可能です。要件を満たさないWin11 23H2/Win10でもWin11 24H2更新ができます。

但し、24H2へ更新してもリアルタイム翻訳などのエッジ(端末)AI機能は使えません。従来PCは、40TOPS以上のNPUなどCopilot+ PCAI PC)要件を満たさないからです。それでも、24H2サービス終了202610月迄、1年間の延命効果があります。

PDF要約などNPUを使わないクラウドAI機能は、従来PCでも使えます。

Rufus 4.7Win11 24H2手動アップグレート方法

Win11 24H2手動アップグレードは、ツールがRufus 4.7に変わっただけでRufus 4.6と全く同じ方法です。

Rufus 4.7Windows 11 24H2手動アップグレード方法

準備
  1. Win11 23H2バックアップ(更新失敗リカバリ対策)
  2. Win11 24H2ディスクイメージダウンロード
  3. Rufusを実行しWin 11 24H2インストールUSB作成
更新
  1. Win11 23H2起動状態でインストールUSB setup実行
  2. Win11セットアップダイアログに従い数回クリック
  3. Win11 24H2大型更新完了

Win11 24H2ディスクイメージも最新版になりました。新にダウンロードしインストールUSBを作成してください。Win11 24H2アップグレード要件回避は、準備3実行中に設定します。全て回避した弊社PCの例が下図です。

Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定
Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定

手動更新後のWin11 24H2所感

NPUを持たないWin11 23H2Win11 24H2へ更新しても特に変わりはありません。敢えて示すと、右クリックメニューアイコンに説明が加わった、シャットダウンダイアログがシンプルになったなどです(下図)。

Rufus 4.7によるWin11 23H2からWin11 24H2更新成功
Rufus 4.7によるWin11 23H2からWin11 24H2更新成功

これら見た目変更程度なら、24H2トラブルが長引く現状は考えにくいとMCU開発者の筆者は思います。まして、OSコアを大幅変更する必要も無かったでしょう。筆者が、24H2トラブル継続の主因は、次期Win12前準備、つまりAI PC起因と考える理由が、24H2外観変化の少なさです。

逆に、従来PCWin11 23H2から24H2へ更新すれば、NPU非実装のためエッジ(端末)AI機能は使えませんが、サービス終了を1年間伸ばすメリットはあります。

関連投稿:従来PCAI PC(Win12)2層対応Win11 24H23章)

SummaryRufus 4.7Win11 24H2手動更新成功

Win11 23H2/Win10ユーザは、Rufus 4.7を使うと20251014日サービス終了前の好きなタイミングで、Win11 24H2手動更新ができます。更新時、Win11 24H2アップグレード要件回避も可能です。

従来PCは、NPU無しでCopilot+ PC要件も満たさないため、24H2更新後もエッジAI利用はできません。しかし、Win11 24H2サービス終了202610月迄、従来PC1年延命メリットがあります。

Afterword:起動OneDrive再インストールと次期AI PC検討

Win11 24H2更新時、OneDriveTeamsなどWin11 23H2で筆者削除アプリが、勝手に再インストールされます。特にOneDriveは、起動アプリになります。使わないユーザは再削除など対応が必要です😠。その他の24H2更新後のお勧め処理は、コチラの投稿を参照ください。

弊社Win11 23H2運用4PCの内1PCのみRufus 4.7で先行して24H2更新を行いました。残る3PC1014日迄に更新します。未だ24H2既知の問題が残っているため、後回しがより安全です。4PCそれぞれを202610月迄に延命し、次期AI PCはこの延命1年間で冷静に検討します。

なお、Win10からWin11への更新は、コチラの記事も参考になります。

Windows11 24H2現状と次期AI Windows12

PC大転換期の状況
PC大転換期の状況

今年の1014日が、Windows 11 23H2 Home/ProWindows10のサービス終了日です。筆者はこの終了日より前にWindows 12リリースがあると予想していましたが、現在、Win12は未発表です。

従って、多くのWinユーザは、残る半年の間にWin11 24H2へアップグレード必須です。Win11 24H2とハードウェア、AI PC CPU現状をまとめました。

Win11 24H2既知の問題と状況

325日、Microsoftは、Win11 24H2既知の問題を更新しました。昨年10月のWin11 24H2リリース後、半年経過しましたが未だに多くのWin11 24H2不具合が未解決です。

これは、Win11 24H2OSコア大幅変更が主な原因です。Win11 24H2OSビルド26000番台が示すように、1つ前の23H2ビルド22000番台からAIなどの多くの新機能を追加しました。次期Win12は、 24H2をベースに更に変更を加え、ビルド27000番台になるようです(関連投稿:Win11とWin121章)。

Win11は、OS更新リスクを少なくするため、更新プログラムトラブルが解消された後に多くのユーザへ配布する段階的配布を行いました。この対策にもかかわらず、なお多くの不具合が残りその解決が進んでいないのがWin11 24H2の現状です。

Win12発表が未だ無いのは、この26000番台の不具合解決が予定より遅れているからかもしれません。27000番台のWin12は、当然ですが26000番台を土台に新機能を追加するからです。

従来ハードウェアアップグレート条件

Win11 24H2アップグレート条件が、コチラです。

Win11 23H2ユーザへは、新たにサポートCPUの絞込みが追加されました。Win10ユーザは、TPM 2.0などの要件も満たす必要があります。これら要件を満たさない場合、新しいPCの購入をMicrosoftは勧めています。

ハードウェア要件を徐々に厳しくし、ユーザの新規PC購入がMicrosoftを含むPC業界の狙いです。

但し、Rufus 4.6を使うと、これらハードウェア要件を回避しWin11 24H2アップグレードが可能です。

AI PCCopilot+ PC)向けCPU条件

さらにMicrosoftは、AI PC向けハードウェア要件としてCopilot+ PCを発表しました。

これは、前章要件に加え、40TOPS以上のNPU内蔵CPUMicrosoft Plutonセキュリティプロセサなど、エッジAI処理のための追加要件です。

つまり、Win11 24H2は、従来ハードウェアアップグレート要件を満たすPCの上に、新しいAI PCCopilot+ PC)要件を追加した、上下2階層要件の両方に対応した(悪く言えば中途半端な)OSです。

Windows 24H2の2階層ハードウェア要件
Windows 24H2の2階層ハードウェア要件

但し、新しいエッジAI機能は、上層AI PC要件を満たすPCにのみ提供されます。次期AI Win12は、中途半端なWin11 24H2から、AI PC専用OSへ進化すると筆者は予想しています。

AI CPUARM64アプリ対応状況

前章までが、Win11 24H2とハードウェアの状況です。

ここからは、AI PC要件を満たす低電力動作が特徴の新参QualcommSnapdragon ARM64 CPUと、老舗Intel/AMD社のx64 CPUの状況を示します。

324日、Googleは、ARM64ネイティブ動作Googleドライブアプリをリリースしました。ARM64搭載PCで動作していたGoogleドライブβ版は、自動アップグレートされます。

Winアプリは、従来x86/x64 CPU向けに開発されてきました。従って、ARM64 CPUネイティブ動作アプリは、新たなアプリ開発が必要です。基本的で必要性も高いGoogleドライブアプリでさえ、正式版リリースに約半年かかったのが上記ニュースです。

ARM64には、従来アプリのエミュレーションツールPrismもあります。しかし、従来GoogleドライブはPrismでも動作しません。ARM64ネイティブ動作のビジネスアプリも増えてきましたが、従来アプリとの互換性を重視するユーザは、ARM64 CPUよりも実績のあるx64 CPUを好むのが現状です。

AI CPUx64 Copilot機能提供状況

324日、Microsoftは、Intel/AMDx64 CPU搭載PCに、エクスプローラや検索ボックスへ正確なファイル名やキーワードを入力しなくても、目的ドキュメントや設定を見つけられる内蔵NPU活用AI機能をWin11 24H2ビルド26120.3585提供開始しました。

このAI機能は、ARM64 CPUではリリース当初から提供済みです。支配的CPUシェアを2030年までにARM64へ変えるMicrosoft戦略は、x64 CPUへのAI機能提供を意図的に遅らせています(関連投稿:AI PC選定ポイント)。

しかし、遅ればせながらx64 CPUへもARM64と同等のAI PC機能提供が始まったのが上記ビルドです。

SummaryWin11 24H2現状と次期AI Win12

Win11 23H2Win10サービス終了の1014日まであと半年です。今のところ次期Win12リリースは不明ですので、10月以降の代替OSは、Win11 24H2のみです。Win11 24H2の現状、ハードウェア要件、AI PCCopilot+ PCCPU状況をまとめました。

WIndows 11不人気の打開策、生成AI
WIndows 11不人気の打開策、生成AI

Win11 24H2は、従来OSのアップグレートと、AI PC向け新OSWin12)の両方をカバーします。AI機能追加のため従来OSコアから大幅変更の結果、未解決不具合が未だにあります。Microsoftは、今年10月までにこれら不具合解消に注力するでしょう。

Win11 24H2ハードウェア要件も、従来アップグレートとAI対応の両方があります。AI対応ハードウェアは、従来アップグレート要件の上に位置します。Microsoftは、要件を満たさないPCに対し新しいPC購入を勧めています。但しRufus 4.6を使うと、従来アップグレート要件のみは回避しWin11 24H2アップグレートが可能です。

AI対応CPUは、従来アプリ互換性のあるx64 CPUと、新しいARM64 CPUの2種があります。ARM64ネイティブビジネスアプリは増えてきましたが、互換性を重視するユーザは実績あるx64 CPUを好みます。

Microsoft ARM64シェア拡大戦略のため、AI PC機能はARM64比、意図的にx64へ遅く提供中です。しかし、この差も次期AI Win12リリース前までに同じになるでしょう。

AI Win12アップグレード要件が、Win11 24H2AI PCCopilot+ PC)要件以上となれば、Win11 24H2サービス終了202610月までに、ユーザは新しいAI PC購入が必須になります。

新規AI PC購入は、PC業界には朗報です。PCユーザにもエッジAI必須と認識されれば、AI PC購入は必然です。NPUを持たない従来PCでは、エッジAI処理ができないからです。現在MicrosoftAI Copilotを推進中なのは、エッジAI必須認識をユーザへ広げるためです。

AfterwordPC大転換期の対応

NPU無しでAI PC要件を満たさない弊社4台のPCは、エッジAIは使えません。Win11 24H2アップグレードは、OSサービス期間を1年延ばす効果のみです。但しクラウドAIは従来PCでも使えますので、4 PCは、今年10月までWin11 23H2のまま運用予定です。

Win12発表もあるでしょうから、発表内容を吟味、Win11 24H2アップグレートか、新規AI PC購入か判断したいと思います。

複数AI PC間エッジAI同期方法は、まだ不明です。同期ができない場合には、1台のみのAI PC所有となりそうです。

今は従来PCからAI PCへの大転換期です。現状分析し、対応が必要です。ちなみに、Office 2016/20191014日サポート終了です。

Win11 24H2サポートCPU更新の理由

2025217日、MicrosoftWindows 11 24H2サポートCPU更新を発表し、Intel8/9/10世代 CPU24H2対象から外しました。

但しこれは、PCメーカ製品の話です。つまり、既に24H2Intel8/9/10世代を使用中のユーザPCは無関係ですので安心してください(第8/9/10世代CPUAfterword参照)。

Microsoftは、昨年10月のWin11 23H2から24H2アップグレード時、対象CPU制限(IntelAMD)を発表しました。また、今年1月には、Win11 24H2強制アップグレードも開始しました。要件を満たさないIntel/AMD CPUは、Win11 23H2のままアップグレードができません。これらCPUPCは、今年10月にサービスが終了します。

本稿は、MicrosoftがなぜWin11 24H2更新を強制し、同時にCPU制限も追加するのか、その理由を考察します。

Microsoft AI PC戦略

ArmはレガシーのPC(x86など)を大きく上回っているとアピール(出典:記事)
ArmはレガシーのPC(x86など)を大きく上回っているとアピール(出典:記事)

現在主流のIntel/AMD x64 CPUを、5年後の2030年迄に新しいARM64 CPUへ変えるのがMicrosoft AI PC戦略です。一連の発表は、この戦略の結果です。

現在PC向けARM64 CPUは、スマホCPUで有名なQualcomm社のSnapdragonシリーズのみです。40TOPS以上のNPU内蔵などCopilot+ PCAI PC)要件を満たすCPUも、昨年5月発表時はSnapdragonのみでした。

Qualcomm社よりも出遅れたIntel/AMD社は、共に昨年秋AI PC要件を満たす新しいx64 CPUを発売しました。しかし、Win11 24H2で新に加わったAI PC機能は、ARM64 CPUには提供中ですが、x64 CPUには一部のみ提供です(関連投稿:2月版AI PC選定ポイント)。

つまり、Microsoftは意図的にx64ARM64に差を付け、「ユーザのARM64 CPU移行」を狙っています。しかし、この狙いに反し、ユーザのARM64移行は進んでいないと思います。

x64からARM64へ変わる意味

ARM64は、Arm社のCPU IPIntellectual Property)をQualcomm社が購入し、このIPをハードウェア化したCPUです。Intel/AMD社のx64とは完全に別ハードウェアです。x64比、電力効率が良い点が特徴で、Apple社最新CPUにもArmCPU IPは採用されています。

Microsoftx64からARM64 CPUへ変える目的は、Apple同様、電力効率の改善です。

さて、従来のWindowsソフトウェア(アプリ)は、x64 CPUで最適動作する設計でした。この従来設計アプリは、新しいARM64 CPUでは動作しません。そこで、ARM64 CPUは、Prismというエミュレーションツールを使って、x64アプリを疑似的にARM64アプリへ変換し、互換動作させています。

もちろん、ARM64 CPU最適動作設計のアプリもあり、これをARMネイティブアプリと呼びます。つまり、現在のARM64は、従来x64互換と新ARMネイティブの2種アプリが動作するCPUです。

従って、新規Windowsアプリ開発者は、従来x64か新ARMネイティブかの設計選択が必要です。ARMネイティブアプリリストが下記です。ビジネスで必要なアプリは、ARMネイティブでも提供中なのが判ります。

ARMネイティブアプリ例(出典:日経Xtech)
ARMネイティブアプリ例(出典:日経Xtech)

これらARMネイティブアプリが、ベンチマークではなく実用時にx64比電力効率が良いのでしょうか? 現状の結論は、実際のバッテリ持ち時間にx64ARM64で殆ど差がありません(参考資料:Surface Intel版とQualcomm版比較Gadget Hack23日)。

つまり、ARM64 CPUは、「アプリ開発者に新ARMネイティブアプリ開発負担に見合う程の電力効率改善を与えない」のです。

もちろん、将来的に効率改善の可能性はあります。しかし、開発者も実績があり慣れたx64アプリ開発を望むようです。

AI PCは順調か?

「ユーザのARM64移行遅し」と「ARMネイティブアプリ開発負担に見合う電力改善少なし」は、AI PC普及を阻む原因の1つです。

この対策が、AI機能のARM64 CPUのみ全面提供、今年1月のWin11 24H2強制アップグレード、2月のIntel CPU 24H2サポート除外だと思います。ちなみに、Copilot+ PC要件を満たすIntel/AMD CPUへのAI機能提供は、昨年11月に発表済みでした。しかし、未だ部分提供のみです。

つまり、217日発表は、CPU市場から「従来Intel CPUを排除」し、CPUメーカのARM64化を期待している訳です。但し、Qualcomm以外、例えばAI半導体大手NVIDIAなどの新規ARM64 CPUメーカ参入は、今のところありません。

前章までを総括すると、「AI PC普及状況改善のためMicrosoftは、CPUメーカ/アプリ開発者/ユーザの3方面へ新しいARM64移行を強要中」です。

ローカルAIとクラウドAIAIキラーアプリ

AI PC普及不調の根本原因は、NPU活用のビジネス向けローカルAI PCキラーアプリが無いことです。また、プロンプトのAI入力インタフェース、個人情報保護などユーザのAIに対する不安も要因です。

一方、ブラウザ経由クラウドAIサービスのCopilotGeminiによる文書要約などクラウドAIアシスタントは、徐々に普及しつつあります。このクラウドAIサービス利用には、NPU非搭載の従来PC/Win11 23H2でも十分可能です。

さらに、AI PCよりも先行するAIスマホでは、Googleと韓国)サムスン電子がタッグを組み、最新Geminiが複数スマホアプリと連携し、より使い易いAIエージェント(コンシェルジュ)サービスが始まりました(参考資料:Googleとサムスンタッグ、日経ビジネス、225日)。

Gemini連携アプリが増たのでAIコンシェルジュも可能
Gemini連携アプリが増たのでAIコンシェルジュも可能

このように、AI PCをビジネスで活用するAIキラーアプリが無い現状では、わざわざ新しいARM64ではなく、従来アプリ互換性のあるx64 CPUを選択する方が無難と考えたのが、CPUメーカ/アプリ開発者/ユーザの状況です。

Apple Macアプリのように、Microsoft自身でARM64ネイティブビジネスAIキラーアプリ、例えば高機能AIアシスタントを自主開発すれば、他者へARM64を強要する必要は無くなると考えるのは筆者だけでしょうか?

次期Win12は、上記Microsoft製ビジネスAIキラーアプリ動作を条件に、Copilot+ PC CPU要件を更に狭め、Intel/AMD/Qualcommの最新AI CPUのみ無償アップグレード対象になる可能性もあると思います。

AIキラーアプリが、現行要件:40TOPS NPU16GB高速メモリで十分動作するかも懸念事項。

SummaryWin11 24H2サポートCPU更新理由

WIndows 11不人気の打開策、生成AI
WIndows 11不人気の打開策、生成AI

20252月、MicrosoftWindows 11 24H2サポートCPUからIntel8/9/10世代 CPUを外した理由を考察しました。

Win11 24H2動作のAI PCは、ユーザのARM64 CPU移行が遅く、x64/ARM64 2種アプリ開発負担増に見合う電力効率改善が得られず、などAI PC普及は不調です。その対策にMicrosoftは、PCメーカのIntel CPU排除を狙ったと思います。但し、これら他者への対策が上手くいっているとも思えません。

ARM64ネイティブ動作のビジネスAIキラーアプリが無いことが、AI PC普及不調の原因です。

例えば、AIアシスタント/コンシェルジュのようなARM64ネイティブ動作ビジネスAIキラーアプリをMicrosoftが自ら開発すれば、他者へARM64を強要せずともWin10/11 23H2サービス終了と同時にAI PC普及は急加速するでしょう。

AfterwordIntel8/9/10世代CPUとは

Intel8/9/10世代CPUは、型番表記で判ります。「Core ixxxx(またはxxxxx)」で、最初の「i〇」は、Core i3Core i5Core i7Core i9などのシリーズ名、続く「xxxx(またはxxxxx)」の最初の数字が世代を表し、第8世代:8xxx、第9世代:9xxx、第10世代:10xxxはです。

ちなみに、Win11 24H2アップグレード要件を満たさないIntel/AMD CPUでも、コチラのRufus 4.6ツールを使えばCPU要件を回避してアップグレードができます。