Rufus 4.7でWindows 11 24H2手動更新成功

49日、Rufus 4.6からRufus 4.7へ更新されました。ChangeLog.txtを見る限り、4.7Windows関連の変更はありません。しかし、念のため新しいRufus 4.7を使ってWin11 23H224H2へ手動更新し成功しました。

Win11 23H2/Win10サービス終了1014日より前のユーザの好きなタイミングで、Win11 24H2アップグレード要件を回避した手動更新が可能です。

従来PC1年延命効果

最後のWindowsと言われたWin10サービス終了が今年1014日、Win11 23H2もサービス期間は2年ですので、同じ1014日にサービス終了です。現在Win12発表が無いため、Win11 23H2/Win10ユーザは、サービス終了より前にWin11 24H2アップグレートが必須です。

Rufus 4.7は、ユーザが手動でWin11 24H2へアップグレードできるツールです。様々なアップグレード要件も次章で示すように回避可能です。要件を満たさないWin11 23H2/Win10でもWin11 24H2更新ができます。

但し、24H2へ更新してもリアルタイム翻訳などのエッジ(端末)AI機能は使えません。従来PCは、40TOPS以上のNPUなどCopilot+ PCAI PC)要件を満たさないからです。それでも、24H2サービス終了202610月迄、1年間の延命効果があります。

PDF要約などNPUを使わないクラウドAI機能は、従来PCでも使えます。

Rufus 4.7Win11 24H2手動アップグレート方法

Win11 24H2手動アップグレードは、ツールがRufus 4.7に変わっただけでRufus 4.6と全く同じ方法です。

Rufus 4.7Windows 11 24H2手動アップグレード方法

準備 1. Win11 23H2バックアップ(更新失敗リカバリ対策)
2. Win11 24H2
ディスクイメージダウンロード
3. Rufus
を実行しWin 11 24H2インストールUSB作成
更新 1. Win11 23H2起動状態でインストールUSB setup実行
2. Win11
セットアップダイアログに従い数回クリック
3. Win11 24H2
大型更新完了

Win11 24H2ディスクイメージも最新版になりました。新にダウンロードしインストールUSBを作成してください。Win11 24H2アップグレード要件回避は、準備3実行中に設定します。全て回避した弊社PCの例が下図です。

Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定
Windows 11 24H2アップグレード要件回避の設定

手動更新後のWin11 24H2所感

NPUを持たないWin11 23H2Win11 24H2へ更新しても特に変わりはありません。敢えて示すと、右クリックメニューアイコンに説明が加わった、シャットダウンダイアログがシンプルになったなどです(下図)。

Rufus 4.7によるWin11 23H2からWin11 24H2更新成功
Rufus 4.7によるWin11 23H2からWin11 24H2更新成功

これら見た目変更程度なら、24H2トラブルが長引く現状は考えにくいとMCU開発者の筆者は思います。まして、OSコアを大幅変更する必要も無かったでしょう。筆者が、24H2トラブル継続の主因は、次期Win12前準備、つまりAI PC起因と考える理由が、24H2外観変化の少なさです。

逆に、従来PCWin11 23H2から24H2へ更新すれば、NPU非実装のためエッジ(端末)AI機能は使えませんが、サービス終了を1年間伸ばすメリットはあります。

関連投稿:従来PCAI PC(Win12)2層対応Win11 24H23章)

SummaryRufus 4.7Win11 24H2手動更新成功

Win11 23H2/Win10ユーザは、Rufus 4.7を使うと20251014日サービス終了前の好きなタイミングで、Win11 24H2手動更新ができます。更新時、Win11 24H2アップグレード要件回避も可能です。

従来PCは、NPU無しでCopilot+ PC要件も満たさないため、24H2更新後もエッジAI利用はできません。しかし、Win11 24H2サービス終了202610月迄、従来PC1年延命メリットがあります。

Afterword:起動OneDrive再インストールと次期AI PC検討

Win11 24H2更新時、OneDriveTeamsなどWin11 23H2で筆者削除アプリが、勝手に再インストールされます。特にOneDriveは、起動アプリになります。使わないユーザは再削除など対応が必要です😠。

弊社Win11 23H2運用4PCの内1PCのみRufus 4.7で先行して24H2更新を行いました。残る3PC1014日迄に更新します。未だ24H2既知の問題が残っているため、後回しがより安全です。4PCそれぞれを202610月迄に延命し、次期AI PCはこの延命1年間で冷静に検討します。

なお、Win10からWin11への更新は、コチラの記事も参考になります。

AI CPUとAI MCU

Ryzen AI MAX+ 395搭載ミニPC(出典:GMKtecメール)
Ryzen AI MAX+ 395搭載ミニPC(出典:GMKtecメール)

321日投稿の最新ミニPC記載Ryzen AI 9 HX 370CPU/GPUを強化したRyzen AI Max+ 395搭載のミニPC発売予告をGMKtec社よりメール受信しました。今ならメールアドレス登録とアンケート回答で、$30割引クーポンゲットのチャンスがあります。

Ryzen AI CPU性能

AMD社のAI PC向けCPU製品名がAPUAccelerated Processing Unit)です。NPUGPUSoCで一体化したCPUのことです。弊社はこのAPUを解り易く「AI CPU」と表記します。現在Ryzen AI CPUは、AI 300AI Max2シリーズが発売中です。

321日投稿のAI CPUは、AI 300シリーズのRyzen AI 9 HX 370。発売予告は、より高性能なAI MaxシリーズのRyzen AI Max+ 395です。Ryzen AI CPU性能は、シリーズ名が異なっても最後の数字370395が性能を表すので判り易いです。

Ryzen AI Max+ 395の内蔵NPUは下表のようにRyzen AI 9 HX 370と同じ50TOPSですが、CPUと内蔵GPUを強化しています。このAI CPU搭載ミニPCが、最初の図のGMKtecEVO-X2です。NPU+GPU+CPUのトータルAI性能は、126TOPS70B LLMサポートのミニPCとしては世界初です。

Ryzen AI CPU Cores /
Threads
Boost2 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI Max+ 395

16C/32T Up to 5.1 / 3.0 GHz 80MB Radeon 8060S 45-120W 50

Ryzen AI 9 HX 370

12C/24T Up to 5.1 / 2.0 GHz 24MB Radeon 890M 15-54W 50

Ryzen AI Max+ 395搭載EVO-X2

Ryzen AI MaxAI 3002シリーズでNPU性能が同じ理由は、AMD/Intel/Qualcomm 3社のAIアプリ共通実行環境が無いこと、ビジネスAIキラーアプリが無いことだと思います(NPU懸念投稿に詳細記載)。さらに、50TOPSNPUでエッジAI PCに十分かは、前回投稿AI PC NPU役割で示したように不明です。

これらから、トータル126TOPSを持つEVO-X2は、PCゲームよりエッジAIアプリ開発やAI画像処理向きを狙ったのかもしれません。前述アンケートにも用途欄がありました。

そこで、「70B LLMAI PCとは、具体的にどのようなPCですか」とGeminiに問い合わせたところ、Afterword添付の回答を得ました。要するに、ノートPCでは困難なローカルエッジAI単独処理も可能なハイエンドPCで、RAMは最低でも64GB必要という回答をGeminiから得ました。

また、70B LLM大規模モデル全体をNPUのみで処理するのは困難でCPUGPUの役割も必要なことが判る(少し古いと思いますが)良い回答です。AI PC購入検討の方は、参考になると思います。

70B LLM能力は、クラウドAIを使わずAI PC単独のエッジAI処理開発などに必要です。同様に単独でエッジAI処理を行う最新MCUを次に示します。

AI MCUSTM32N6AI処理

エッジAI処理は、MCUへも普及し始めています。2025年発売STマイクロ社の最新MCUSTM32N6Cortex-M55コア、0.6TOPS NPU内蔵、4.2MB RAM)は、従来MCUでは困難であったAI処理を、高性能MPUよりも低コスト、低消費電力で実現します。

STM32N6 Black図
STM32N6 Black図

STM32N6AI処理例は、カメラ付きSTM32N6570-DK Discovery kitを使ったAIデモ動画4:50)で判ります。リアルタイムの複数人体認識(0:30頃)や高速画像処理(0:50頃)など、STM32N6内蔵NPU/GPUCortex-M55 MCU双方の活用により全く新しいMCUアプリが期待できます。

デモ動画をよく見ると、NPU/GPU使用時と未使用時の処理差、MCU負荷差も判りとても興味深いです。

STM32N6は、MCU版のAPU、つまり「AI MCU」と言えます。汎用MCUベースのエッジAI MCUは、今後急増すると筆者は予想します。AI PCによりユーザがAIに慣れてくると、組込み機器もAI処理が当たり前になるからです。

※今後AI処理はユーザにAI有無を意識させないように進化すると筆者は考えています。

SummaryAI CPUAI MCU

AI CPURyzen AI Max+ 395搭載のトータルAI性能126TOPS70B LLMサポートのミニPCGMKtec EVO-X2は、415日午前0(太平洋夏時間)先行発売開始です。ローカルエッジAI単独処理可能なハイエンドPCで、AIアプリ開発やAI画像処理開発に好適です。

AI MCUSTM32N6AIデモ動画から、エッジAIアプリ開発やAI画像処理には、AI処理特化のNPUだけでなくGPUCPU/MCUも必要です。

Afterword70B LLMサポートAI PCGemini回答

70B LLM700億パラメータの大規模言語モデル)をサポートするAI PCは、ローカル環境で高度なAI処理、特に大規模言語モデルの推論や微調整を効率的に実行できるように設計された高性能なパーソナルコンピュータです。具体的には、以下の要素を備えていることが求められます。

主要なハードウェア要件:

  • 高性能GPU: 70B LLMの実行には、膨大な計算リソースとメモリ帯域幅が必要です。そのため、以下のようなハイエンドGPUが推奨されます。
    • NVIDIA GeForce RTX 3090RTX 4090: 24GB以上のVRAM(ビデオメモリ)を搭載し、高い並列処理能力を持つことが望ましいです。より大規模なモデルや高負荷な処理には、NVIDIA A100などのプロフェッショナル向けGPUがさらに適している場合があります。
    • AMD Radeon RX 7900 XTX: 高いVRAM容量と処理能力を持ち、NVIDIA GPUの代替となる可能性がありますが、LLMのエコシステムはNVIDIA CUDAへの最適化が進んでいることが多い点に注意が必要です。
  • 高性能CPU: LLMの実行にはGPUが主に使われますが、CPUもデータの前処理、後処理、およびシステム全体の制御において重要な役割を果たします。
    • Intel Core i7/i9 (最新世代): 高いクロック数と多くのコア数を備えたCPUが推奨されます。
    • AMD Ryzen 7/9 (最新世代): 同様に、高性能なRyzenプロセッサも適しています。
  • 大容量メモリ(RAM: LLMのモデル全体または一部をメモリにロードして高速に処理するために、十分なRAMが必要です。
    • 64GB以上: 70B LLMを効率的に扱うためには、最低でも64GB、理想的には128GB以上のRAMが推奨されます。
  • 高速ストレージ(SSD): LLMのモデルファイル(数十GBから数百GBになることがあります)や関連データを高速に読み書きするために、NVMe SSDが必須です。
    • 1TB以上: モデルファイル、データセット、作業用ファイルなどを保存するために、十分な容量のSSDが必要です。2TB以上あるとより安心です。

AI PCとしての特徴:

上記のような高性能なハードウェアに加えて、70B LLMをサポートするAI PCは、以下の特徴を持つことが期待されます。

  • AI処理に特化したハードウェア: 近年のAI PCは、CPUGPUに加えて、NPUNeural Processing Unit)と呼ばれるAI処理に特化したプロセッサを搭載している場合があります。NPUは、特定のAIタスク(例えば、自然言語処理の一部)をCPUGPUよりも低消費電力かつ効率的に実行できますが、70B LLMのような大規模モデル全体をNPUだけで処理することは現状では難しいです。ただし、将来的にNPUの性能が向上すれば、より大きな役割を果たす可能性があります。
  • 最適化されたソフトウェア: AI PCのハードウェアとソフトウェアが連携し、LLMの実行効率を高めるための最適化が行われている場合があります。これには、ドライバの最適化、特定のAIフレームワークとの互換性向上などが含まれます。
  • 高度な冷却システム: 高性能なCPUGPUは発熱量が大きいため、安定した動作を維持するために、強力な冷却システム(高性能な空冷ファンや液体冷却システム)が搭載されていることが重要です。
  • 将来性と拡張性: 今後さらに大規模なモデルが登場する可能性や、追加のハードウェア(GPUなど)を増設する可能性を考慮して、ある程度の拡張性があると望ましいです。

補足:

  • 70B LLMをローカルで快適に動作させるためには、上記のハイスペックな構成が必要となり、一般的なノートPCでは難しい場合があります。多くの場合、ハイエンドなデスクトップPCが推奨されます。
  • LLMの実行には、モデルの量子化(パラメータの精度を低くしてメモリ使用量や計算量を削減する技術)や、複数のGPUを連携させる技術(Multi-GPU)が用いられることもあります。
  • AI PCの定義は進化しており、Microsoftなどが提唱するCopilot+ PCのような新しい基準も登場しています。これらの基準には、一定のAI処理性能を持つNPUの搭載などが含まれていますが、現時点では70B LLMの実行に特化した要件とは限りません。

まとめると、70B LLMをサポートするAI PCは、非常に高性能なGPU24GB以上のVRAM)、高性能CPU、大容量メモリ(64GB以上)、高速SSD1TB以上)、そして高度な冷却システムを備えた、主にハイエンドなデスクトップPCを指します。将来的には、より強力なNPUを搭載したPCが登場することで、より効率的なLLMのローカル実行が可能になるかもしれません。


AI PC NPUの役割

AI PC NPUの役割は?
AI PC NPUの役割は?

なぜAI PCNPUが必要か、Copilot+ PC要件40TOPS以上NPUの役割は何か、を整理しました。
従来PCAI PCへ買換える方の参考となれば嬉しいです。

NPUCPU/GPUの違い

AI PCの要:NPUNural Processing Unit)は、ユーザの癖や能力などの個人情報をPC利用中に自動収集し、利用ユーザに応じた適切なAI回答やアドバイス生成を助けます。まるでハードウェアのNPUが、ユーザ専属アシスタントのように変化、成長する訳です。性能がPC購入時のまま固定のCPUGPUとの違いがここです。

NPUが無い従来PCよりもAI PCが使い易く、より高い生産性を期待できるのは、このユーザ専属NPUのお陰です。

エッジNPUとクラウドAIの協調サービス

ブラウザCopilotGemini利用のPDF要約など「簡単なAI処理」は、NPU不要です。NPUを持たない従来PCでもこれらは可能ですので本稿対象から外します。

本稿対象は、AI PC内蔵NPUを本格的に使う「高度なAI処理」、例えばAIアシスタントやAIコンシェルジュサービスです。

AIアシスタントやAIコンシェルジュの高度AI処理は、主としてクラウドデータセンタのAIが行います。

クラウド内のあらゆる関連データをかき集め、そのデータから機械学習(ディープラーニング)で特徴抽出、その結果から生成AIで新しいデータを作成、ユーザへ提供するのがクラウドAI処理です。クラウドAI処理結果を、エッジ側PCから引出す手段が、ChatGPTなどの対話AIアシスタントサービスです(関連投稿:生成AI活用スキル)。

対話AIアシスタントは、NPU内蔵の最新AIスマホがPCの一歩先を進行中です。リアルタイム翻訳やスマホ写真の加工・修正、会話形式でのお勧め近隣店舗検索とその予約などです(AIコンシェルジュ)。スマホNPU単独処理の場合もありますが、多くの場合、スマホエッジNPUとクラウドAIの協調サービスです。

スマホエッジNPUとクラウドAI協調の結果、的確で高速なAI回答をユーザが取得できます。一度でもスマホAIコンシェルジュを使うと、AI無しスマホへは戻れないでしょう。

PCユーザは、AIスマホユーザよりも高度な質問や複雑処理、情報検索をAIへ要求します。AI PCNPUは、ユーザ質問をクラウドAIが処理し易いよう変換、逆に、クラウドAI出力をユーザに応じた判り易い回答へ変えるなどの高性能ユーザサポートの役割を持ちます。

つまり、クラウド側は速度追求AI処理、エッジ側はユーザオリエンテッドNPU処理、と処理を分け合いユーザへのトータルAI応答を高速化します。

AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う
AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う

急激に成長・変化するクラウドAIサービスを、エッジPC側で応答性良く上手く活用するには、ある程度(これが40TOPS以上)のユーザ専属サポート能力を持つNPUがエッジ側PC内に必須です。これが、AI PCNPU必要性です。

弊社が、OCuLink(データ転送速度最大64GbpsPCI Express 4.0対応)を次期AI PC要件と考えるのは、CPU内蔵NPU能力不足をOCuLink増設NPUで強化できるからです。増設NPUの例としては、SAKURA- IIモジュールなどがあります。より効率的、簡単にクラウドAIを利用するための方策です。

AMD/Intel AI CPUへもCopilot+機能提供

331日、Microsoftは、QualcommSnapdragon ARM64以外のAMD Ryzen AI 300シリーズやIntel Core Untra 200Vシリーズのx64 AI CPUにもCopilot+ PC機能の一部提供を開始しました。

未だ魅力的なPCビジネスAIサービスは、少ないです。しかし、今後はエッジNPU活用の文書作成やビジネスアプリが急増すると筆者は予想します。

SummaryAI PC NPUの役割

高度クラウドAIサービスのエッジPC活用にはNPU必須
高度クラウドAIサービスのエッジPC活用にはNPU必須

Copilot+ PC要件NPUがなぜAI PCに必要かを整理し、高度クラウドAIサービスをエッジPCで応答性良く活用するには、ユーザ専属サポートの40TOPS以上NPUがエッジPC内に必須だからと結論しました。

AI PCNPUは、PCユーザが要求する高度な質問や複雑処理、情報検索などを、クラウドAIが高速処理できるよう変換、逆に、クラウドAI処理結果をユーザの判り易い回答へエッジ側でリアルタイム変換など、AIサービスをエッジとクラウドで相互に補いながら高速で高度なAI処理を行います。

Copilot+ PCで先行するQualcommSnapdragon ARM64 AI機能が、ようやくARM/Intel x64 AI CPUへも提供されます。エッジNPU活用クラウドAIサービス急増の環境が整ってきました。

AI PCで効率的、高速にクラウドAIサービスの回答を得るには、エッジNPUは必須です。今後、40TOPS以上のエッジNPU能力がどれ程要求されるか現在不明です。対策に、OCuLinkPCI Express 4.0でエッジNPU能力をAI PCへ追加できる策を示しました。


Windows11 24H2現状と次期AI Windows12

PC大転換期の状況
PC大転換期の状況

今年の1014日が、Windows 11 23H2 Home/ProWindows10のサービス終了日です。筆者はこの終了日より前にWindows 12リリースがあると予想していましたが、現在、Win12は未発表です。

従って、多くのWinユーザは、残る半年の間にWin11 24H2へアップグレード必須です。Win11 24H2とハードウェア、AI PC CPU現状をまとめました。

Win11 24H2既知の問題と状況

325日、Microsoftは、Win11 24H2既知の問題を更新しました。昨年10月のWin11 24H2リリース後、半年経過しましたが未だに多くのWin11 24H2不具合が未解決です。

これは、Win11 24H2OSコア大幅変更が主な原因です。Win11 24H2OSビルド26000番台が示すように、1つ前の23H2ビルド22000番台からAIなどの多くの新機能を追加しました。次期Win12は、 24H2をベースに更に変更を加え、ビルド27000番台になるようです(関連投稿:Win11とWin121章)。

Win11は、OS更新リスクを少なくするため、更新プログラムトラブルが解消された後に多くのユーザへ配布する段階的配布を行いました。この対策にもかかわらず、なお多くの不具合が残りその解決が進んでいないのがWin11 24H2の現状です。

Win12発表が未だ無いのは、この26000番台の不具合解決が予定より遅れているからかもしれません。27000番台のWin12は、当然ですが26000番台を土台に新機能を追加するからです。

従来ハードウェアアップグレート条件

Win11 24H2アップグレート条件が、コチラです。

Win11 23H2ユーザへは、新たにサポートCPUの絞込みが追加されました。Win10ユーザは、TPM 2.0などの要件も満たす必要があります。これら要件を満たさない場合、新しいPCの購入をMicrosoftは勧めています。

ハードウェア要件を徐々に厳しくし、ユーザの新規PC購入がMicrosoftを含むPC業界の狙いです。

但し、Rufus 4.6を使うと、これらハードウェア要件を回避しWin11 24H2アップグレードが可能です。

AI PCCopilot+ PC)向けCPU条件

さらにMicrosoftは、AI PC向けハードウェア要件としてCopilot+ PCを発表しました。

これは、前章要件に加え、40TOPS以上のNPU内蔵CPUMicrosoft Plutonセキュリティプロセサなど、エッジAI処理のための追加要件です。

つまり、Win11 24H2は、従来ハードウェアアップグレート要件を満たすPCの上に、新しいAI PCCopilot+ PC)要件を追加した、上下2階層要件の両方に対応した(悪く言えば中途半端な)OSです。

Windows 24H2の2階層ハードウェア要件
Windows 24H2の2階層ハードウェア要件

但し、新しいエッジAI機能は、上層AI PC要件を満たすPCにのみ提供されます。次期AI Win12は、中途半端なWin11 24H2から、AI PC専用OSへ進化すると筆者は予想しています。

AI CPUARM64アプリ対応状況

前章までが、Win11 24H2とハードウェアの状況です。

ここからは、AI PC要件を満たす低電力動作が特徴の新参QualcommSnapdragon ARM64 CPUと、老舗Intel/AMD社のx64 CPUの状況を示します。

324日、Googleは、ARM64ネイティブ動作Googleドライブアプリをリリースしました。ARM64搭載PCで動作していたGoogleドライブβ版は、自動アップグレートされます。

Winアプリは、従来x86/x64 CPU向けに開発されてきました。従って、ARM64 CPUネイティブ動作アプリは、新たなアプリ開発が必要です。基本的で必要性も高いGoogleドライブアプリでさえ、正式版リリースに約半年かかったのが上記ニュースです。

ARM64には、従来アプリのエミュレーションツールPrismもあります。しかし、従来GoogleドライブはPrismでも動作しません。ARM64ネイティブ動作のビジネスアプリも増えてきましたが、従来アプリとの互換性を重視するユーザは、ARM64 CPUよりも実績のあるx64 CPUを好むのが現状です。

AI CPUx64 Copilot機能提供状況

324日、Microsoftは、Intel/AMDx64 CPU搭載PCに、エクスプローラや検索ボックスへ正確なファイル名やキーワードを入力しなくても、目的ドキュメントや設定を見つけられる内蔵NPU活用AI機能をWin11 24H2ビルド26120.3585提供開始しました。

このAI機能は、ARM64 CPUではリリース当初から提供済みです。支配的CPUシェアを2030年までにARM64へ変えるMicrosoft戦略は、x64 CPUへのAI機能提供を意図的に遅らせています(関連投稿:AI PC選定ポイント)。

しかし、遅ればせながらx64 CPUへもARM64と同等のAI PC機能提供が始まったのが上記ビルドです。

SummaryWin11 24H2現状と次期AI Win12

Win11 23H2Win10サービス終了の1014日まであと半年です。今のところ次期Win12リリースは不明ですので、10月以降の代替OSは、Win11 24H2のみです。Win11 24H2の現状、ハードウェア要件、AI PCCopilot+ PCCPU状況をまとめました。

WIndows 11不人気の打開策、生成AI
WIndows 11不人気の打開策、生成AI

Win11 24H2は、従来OSのアップグレートと、AI PC向け新OSWin12)の両方をカバーします。AI機能追加のため従来OSコアから大幅変更の結果、未解決不具合が未だにあります。Microsoftは、今年10月までにこれら不具合解消に注力するでしょう。

Win11 24H2ハードウェア要件も、従来アップグレートとAI対応の両方があります。AI対応ハードウェアは、従来アップグレート要件の上に位置します。Microsoftは、要件を満たさないPCに対し新しいPC購入を勧めています。但しRufus 4.6を使うと、従来アップグレート要件のみは回避しWin11 24H2アップグレートが可能です。

AI対応CPUは、従来アプリ互換性のあるx64 CPUと、新しいARM64 CPUの2種があります。ARM64ネイティブビジネスアプリは増えてきましたが、互換性を重視するユーザは実績あるx64 CPUを好みます。

Microsoft ARM64シェア拡大戦略のため、AI PC機能はARM64比、意図的にx64へ遅く提供中です。しかし、この差も次期AI Win12リリース前までに同じになるでしょう。

AI Win12アップグレード要件が、Win11 24H2AI PCCopilot+ PC)要件以上となれば、Win11 24H2サービス終了202610月までに、ユーザは新しいAI PC購入が必須になります。

新規AI PC購入は、PC業界には朗報です。PCユーザにもエッジAI必須と認識されれば、AI PC購入は必然です。NPUを持たない従来PCでは、エッジAI処理ができないからです。現在MicrosoftAI Copilotを推進中なのは、エッジAI必須認識をユーザへ広げるためです。

AfterwordPC大転換期の対応

NPU無しでAI PC要件を満たさない弊社4台のPCは、エッジAIは使えません。Win11 24H2アップグレードは、OSサービス期間を1年延ばす効果のみです。但しクラウドAIは従来PCでも使えますので、4 PCは、今年10月までWin11 23H2のまま運用予定です。

Win12発表もあるでしょうから、発表内容を吟味、Win11 24H2アップグレートか、新規AI PC購入か判断したいと思います。

複数AI PC間エッジAI同期方法は、まだ不明です。同期ができない場合には、1台のみのAI PC所有となりそうです。

今は従来PCからAI PCへの大転換期です。現状分析し、対応が必要です。ちなみに、Office 2016/20191014日サポート終了です。

最新ミニPC

ノートPCからモニタと内蔵バッテリを外した構成のミニPCには、2タイプがあります。各タイプの違いと、同一CPURyzen AI 9 HX 370搭載の最新ミニPC 2機種、2025年版Mac miniを紹介します。

Ryzen AI 9 HX 370

Ryzen AI 9 HX 370は、Ryzen AI 300シリーズの最上位1個下のCPUです。37日投稿の弊社選択CPURyzen AI 7 350よりもCPU/GPU強化でNPUは同じ50TOPS版です。

Ryzen AI 300 Cores /
Threads
Boost5 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI 9 HX 375

 12C/24T Up to 5.1  / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 890M  15-54 W  50 

Ryzen AI 9 HX 370

 12C/24T Up to 5.1 / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 890M  15-54 W  50 

Ryzen AI 9 365

 10C/20T Up to 5.0 / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 880M  15-54W  50 

Ryzen AI 7 350

8C/16T Up to 5.0 / 2.0 GHz 24 MB Radeon 860M 15-54W 50

Ryzen AI 5 340

6C/12T Up to 4.8 / 2.0 GHz 22 MB Radeon 840M 15-54W 50

このRyzen AI 9 HX 370搭載の最新ミニPC 2機種の試用レポートが、AI X1 ProEVO-X1です。どちらも、弊社が求める外付けNPU追加可能なOCuLink付きで、14万円前後です(同一CPU搭載ノートPCより約30%安)。

通常使いのミニAI PCとしては、十分な性能です(詳細は上記試用レポート参)。この2機種は、電源内蔵型とACアダプタ外付け型の2タイプのミニPCですので特徴を説明します。

電源内蔵型とACアダプタ外付け型ミニPC

ノートPCからモニタと内蔵バッテリを外し、その代わりに大型モニタ裏側にあるVESA規格マウントへも設置できる小さな筐体へ入れたPCが、ミニPCです。大型モニタを好む筆者のような年配開発者には、モニタ裏にPC本体を設置でき、別途設置場所が不要なので便利です。

モニタ裏のVASAマウント設置のミニPC
モニタ裏のVASAマウント設置のミニPC

このミニPCは、「電源内蔵型」と「ACアダプタ外付け型」の2タイプがあります。

電源内蔵型ミニPCは、ACケーブルを本体へ接続すればセッティング完了の利点があります。しかし、外付け型と比べ電源を内蔵した分AI X1 PRO本体が約1.4㎏と重くなります。VESAマウント耐重量に注意が必要です。

一方、ACアダプタ型ミニPCは、ノートPCでよく見かける外付けアダプタから電源を供給します。EVO-X1120Wと容量の大きいACアダプタが付属しますが、PC本体は590gと軽いので、VESAマウント設置や移動に有利です。

電源内蔵型ミニPCとACアダプタ外付け型ミニPCの背面と付属ケーブルなど(出典:試用レポート)
電源内蔵型ミニPCとACアダプタ外付け型ミニPCの背面と付属ケーブルなど(出典:試用レポート)

ミニPCもノートPCと同様、少し無理すればカバンに入れて持ち運び可能なサイズです。また、本稿のRyzen AI 300シリーズTDP15-54Wと低いため、本体持ち出しの時、USB PDからの給電も可能です。

これが更に高性能なRyzen AI MaxシリーズになるとTDP45-120Wとなり、USB PD給電は難しくなります。高いTDPほど高性能ですが、消費電力も大きくなり内蔵バッテリが無いミニPCの電源供給は難しくなります(AI MaxとAI 300の比較は、コチラの投稿1章参)。

以上から、現状のNPUGPU内蔵AI CPUをミニPCで使う時は、USB PD給電もできるRyzen AI 300シリーズCPUTDP 54W以下が適すと筆者は思います。

2025年版Mac mini

本稿で説明したWindowsミニPCのレファレンスモデルは、下図筐体サイズ比較から恐らくApple社の「2023年版Mac mini」です。
※2025年3月28日更新:EVO-X1の大きさが間違っていました。お詫びして訂正いたします。

Windows ミニPCレファレンスモデルのMac miniとの比較(左:AI X1 PRO、中央:Mac mini、左:EVO-X1)
Windows ミニPCレファレンスモデルのMac miniとの比較(左:AI X1 PRO、中央:Mac mini、左:EVO-X1)

2025年版最新Mac mini搭載CPUM4 Pro/M4 MaxTechanaLye社の解析レポートは、とても興味深いので紹介します。驚いたのは、2025年版Mac mini体積や重量が、2023年版比、約40%削減したことです。レポートは、その理由を以下と解析しています。

  • トータル開発力:CPUのみでなく周辺チップセットも開発するトータルPC開発
  • 基板設計力:3nm製造プロセスなど最新半導体や部品特性を見極めた最適基板設計
  • IP利用:最大限Intellectual Property活用し部品共通化などによる高速効率開発

これらのApple技術の結果、「2025年版Mac mini」本体は、手のひらサイズで小型軽量です。

2025年版Mac mini
2025年版Mac mini

AIエージェントに関してはGoogleMicrosoft比、出遅れ感がありますが、寄せ集めWindows PCの一歩先行くApple Mac miniは、エッジAI向き低消費電力で小型高性能PCです。

Win10/11サービス終了やAI普及を機に、Win PCからApple PCへ替えるのも合理的だと思います。

Summary:最新ミニPC

Ryzen AI 9 HX 370搭載最新ミニPC2タイプ、電源内蔵型:AI X1 PROACアダプタ外付け型:EVO-X1を紹介し、特性を解説しました。

電源内蔵型は、PCセッティングが簡単ですが本体重量が重くなります。外付け型は、軽量本体なのでVESAマウント設置や移動が容易です。

どちらのミニPCも搭載CPU TDP15-54Wのため、本体単体の外部持ち出し時、USB PD給電も可能です。より大きなTDP CPU搭載PCの場合は、本体へのUSB PD給電は難しくなります。

従って、可搬性や給電性も考慮すると、Ryzen AI 300シリーズのTDP 54W以下がミニPCに最適なAI CPUだと思います。

ミニPCはRyzen AI 300シリーズCPUのTDP<54Wが適す
ミニPCはRyzen AI 300シリーズCPUのTDP<54Wが適す

2025年版AppleM4搭載Mac miniは、上記最新ミニPCよりも小型軽量で電力効率も良い先進Apple開発デバイスを使っています。Win10/11サービス終了やAI普及を機に、Win PCからMac miniへ替えるのは合理的です。


最新Ryzen AI MaxとNPU懸念記事

Ryzen Al Max+はCPU GPU NPU SoC統合型
Ryzen Al Max+はCPU GPU NPU SoC統合型

AMDAI CPU搭載のOCuLink付きミニPCが、弊社次期AI PC候補です。AMD最新AI CPURyzen AI Max+ 395発表と、NPU関連の懸念記事がありましたので紹介します。

Ryzen AI Max+ 395

製品発表毎に新しいAI CPU名が加わります。そこで、最新AI CPU状況を知り、新旧CPU変化を把握しておくと、AI PC購入時にCPU選択の幅が生まれます。

AMDMicrosoft Copilot+ PC準拠のAI CPU第一弾として昨年発表したのが、Ryzen AI 300シリーズです。そして今年1月、300シリーズの上位モデルで第2Copilot+ PC向けCPUが、Ryzen AI Maxシリーズです。

Ryzen AI Max Cores /
Threads
Boost2 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI Max+ 395

16C/32T Up to 5.1 /3.0 GHz 80MB Radeon 8060S 45-120W 50

Ryzen AI Max 390

12C/24T Up to 5.0 / 3.2 GHz 76MB Radeon 8050S 45-120W 50

Ryzen AI Max 385

8C/16T Up to 5.0 / 3.6 GHz 40MB Radeon 8050S 45-120W 50

Ryzen AI Max+ PRO 395

16C/32T Up to 5.1 / 3.0 GHz 80MB Radeon 8060S 45-120W 50

Ryzen AI Max PRO 390

12C/24T Up to 5.0 / 3.2 GHz 76MB Radeon 8050S 45-120W 50

Ryzen AI Max PRO 385

8C/16T Up to 5.0 / 3.6 GHz 40MB Radeon 8050S 45-120W 50

Ryzen AI Max PRO 380

6C/12T Up to 4.9 / 3.6 GHz 22MB Radeon 8040S 45-120W 50

Pro付きはビジネスモデルで、メモリデータ暗号化などセキュリティを強化しています。

Ryzen AI 300 Cores /
Threads
Boost5 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI 7 350

8C/16T Up to 5.0 / 2.0 GHz 24 MB Radeon 860M 15-54W 50

Ryzen AI 5 340

6C/12T Up to 4.8 / 2.0 GHz 22 MB Radeon 840M 15-54W 50

Ryzen AI 7 PRO 350

8C/16T Up to 5.0 / 2.0 GHz 24 MB Radeon 860M 15-54W 50

Ryzen AI 5 PRO 340

6C/12T Up to 4.8 / 2.0 GHz 22 MB Radeon 840M 15-54W 50

1弾の300から第2弾のMaxへは、主に内蔵GPUを強化しています。内蔵NPUは同等ですが、CPU+GPU+NPUのトータルAI処理性能は向上しています。

CPUGPU強化は、従来AMD製品と同じです。但し、今回NPU単体性能が向上していない点を懸念しています。

AI PCアプリ共通実行の仕組み

AI PC性能はCPU、メモリ、ディスク、通信、NPUとGPUで評価できる(出典:窓の杜)
AI PC性能はCPU、メモリ、ディスク、通信、NPUとGPUで評価できる(出典:窓の杜)

最新AI PCNPU性能が、現状維持となった懸念記事が下記です。

  1. NPU対応アプリなのにNPUが使えない、窓の杜、2025228
  2. AI PCのNPUは眠ったまま、TechTarget、2025年3月1日

どちらも、現在Copilot+ PC準拠QualcommSnapdragon CPU内蔵NPUで動作するAIアプリが、少ないことを指摘しています。

1は、NPU対応アプリでもNPU未使用の動作例が多々あり、その原因は、Intel/AMD/Qualcomm各社のNPUハードウェアが異なるためと分析しています。そしてこの対策に、GPU Direct3D相当のAIアプリを共通実行する仕組みを挙げています(GPU Direct3DAfterword参照)。

つまり、NPUハードウェア差を吸収するAIアプリ共通実行の仕組みが現在無いため、各社Copilot+ PCで共に動作するAIアプリが少ないのです。当然、弊社前投稿AIキラーアプリも現れません。

いわば、ローカルPCに高性能NPUを持っていても、宝の持ち腐れ状態です。

今回AMDが、NPU性能向上を図らなかったのは、AIアプリ共通実行の仕組みが無いこと、AIキラーアプリが無いこと、これらにより敢えてAI処理のNPU性能向上リスクや価格高騰は避けたのだと筆者は思います。

逆に、AI PC普及の鍵は、AIアプリ共通実行の仕組みだと言えそうです。

Summary:最新Ryzen AI MaxNPU懸念記事

20251月発表のCopilot+ PC準拠AMD最新Ryzen AI Maxシリーズは、旧Ryzen AI 300シリーズのCPUGPU強化版です。しかし、NPU性能は同じ50TOPSのままです。

AMDNPU性能向上を避けた理由は、現在、AIアプリ共通実行の仕組みが無く、かつ、AIキラーアプリも無いためです。

今年10月のWin10/11 24H2サービス終了前までに、GPU Direct3D相当のIntel/AMD/Qualcomm各社NPUハードウェア差を吸収し、AI PCアプリが共通動作する仕組みは、最低限必要でしょう。これがAI PC普及の鍵です。

AfterwordGPU Direct3D役割

Direct3D_Abstract_Layerの役割(出典:ウィキペディア)
Direct3D_Abstract_Layerの役割(出典:ウィキペディア)

Direct3Dは、グラフィックアプリとグラフィックハードウェア間を抽象化し、ハードが異なってもアプリに対し同じAPIを提供する仕組み。機能的には同じGDIGraphics Device Interfaceよりも高性能。Direct3Dのお陰で、PCが異なっても同じグラフィックアプリが動作。

本稿の標準AI PCアプリ共通動作の仕組みとは、このGPU Direct3DNPU版です。

Afterword2:ミニPC CPU選択肢

最新Ryzen AI Max+ 395搭載ASUSゲーミングノートPCROG Flow Z13 (2025) GZ302(約38万円、OCuLink無し)は、コチラの記事で評価されています。

世代が古いCPU搭載が多いミニPCの場合は、同じNPU性能を持ち価格も安いRyzen AI 300シリーズの可搬性不要Pro無しモデル(前表の緑ライン)のRyzen AI 7 350を中心に弊社は選択しようかと考えています。


Win11 24H2サポートCPU更新の理由

2025217日、MicrosoftWindows 11 24H2サポートCPU更新を発表し、Intel8/9/10世代 CPU24H2対象から外しました。

但しこれは、PCメーカ製品の話です。つまり、既に24H2Intel8/9/10世代を使用中のユーザPCは無関係ですので安心してください(第8/9/10世代CPUAfterword参照)。

Microsoftは、昨年10月のWin11 23H2から24H2アップグレード時、対象CPU制限(IntelAMD)を発表しました。また、今年1月には、Win11 24H2強制アップグレードも開始しました。要件を満たさないIntel/AMD CPUは、Win11 23H2のままアップグレードができません。これらCPUPCは、今年10月にサービスが終了します。

本稿は、MicrosoftがなぜWin11 24H2更新を強制し、同時にCPU制限も追加するのか、その理由を考察します。

Microsoft AI PC戦略

ArmはレガシーのPC(x86など)を大きく上回っているとアピール(出典:記事)
ArmはレガシーのPC(x86など)を大きく上回っているとアピール(出典:記事)

現在主流のIntel/AMD x64 CPUを、5年後の2030年迄に新しいARM64 CPUへ変えるのがMicrosoft AI PC戦略です。一連の発表は、この戦略の結果です。

現在PC向けARM64 CPUは、スマホCPUで有名なQualcomm社のSnapdragonシリーズのみです。40TOPS以上のNPU内蔵などCopilot+ PCAI PC)要件を満たすCPUも、昨年5月発表時はSnapdragonのみでした。

Qualcomm社よりも出遅れたIntel/AMD社は、共に昨年秋AI PC要件を満たす新しいx64 CPUを発売しました。しかし、Win11 24H2で新に加わったAI PC機能は、ARM64 CPUには提供中ですが、x64 CPUには一部のみ提供です(関連投稿:2月版AI PC選定ポイント)。

つまり、Microsoftは意図的にx64ARM64に差を付け、「ユーザのARM64 CPU移行」を狙っています。しかし、この狙いに反し、ユーザのARM64移行は進んでいないと思います。

x64からARM64へ変わる意味

ARM64は、Arm社のCPU IPIntellectual Property)をQualcomm社が購入し、このIPをハードウェア化したCPUです。Intel/AMD社のx64とは完全に別ハードウェアです。x64比、電力効率が良い点が特徴で、Apple社最新CPUにもArmCPU IPは採用されています。

Microsoftx64からARM64 CPUへ変える目的は、Apple同様、電力効率の改善です。

さて、従来のWindowsソフトウェア(アプリ)は、x64 CPUで最適動作する設計でした。この従来設計アプリは、新しいARM64 CPUでは動作しません。そこで、ARM64 CPUは、Prismというエミュレーションツールを使って、x64アプリを疑似的にARM64アプリへ変換し、互換動作させています。

もちろん、ARM64 CPU最適動作設計のアプリもあり、これをARMネイティブアプリと呼びます。つまり、現在のARM64は、従来x64互換と新ARMネイティブの2種アプリが動作するCPUです。

従って、新規Windowsアプリ開発者は、従来x64か新ARMネイティブかの設計選択が必要です。ARMネイティブアプリリストが下記です。ビジネスで必要なアプリは、ARMネイティブでも提供中なのが判ります。

ARMネイティブアプリ例(出典:日経Xtech)
ARMネイティブアプリ例(出典:日経Xtech)

これらARMネイティブアプリが、ベンチマークではなく実用時にx64比電力効率が良いのでしょうか? 現状の結論は、実際のバッテリ持ち時間にx64ARM64で殆ど差がありません(参考資料:Surface Intel版とQualcomm版比較Gadget Hack23日)。

つまり、ARM64 CPUは、「アプリ開発者に新ARMネイティブアプリ開発負担に見合う程の電力効率改善を与えない」のです。

もちろん、将来的に効率改善の可能性はあります。しかし、開発者も実績があり慣れたx64アプリ開発を望むようです。

AI PCは順調か?

「ユーザのARM64移行遅し」と「ARMネイティブアプリ開発負担に見合う電力改善少なし」は、AI PC普及を阻む原因の1つです。

この対策が、AI機能のARM64 CPUのみ全面提供、今年1月のWin11 24H2強制アップグレード、2月のIntel CPU 24H2サポート除外だと思います。ちなみに、Copilot+ PC要件を満たすIntel/AMD CPUへのAI機能提供は、昨年11月に発表済みでした。しかし、未だ部分提供のみです。

つまり、217日発表は、CPU市場から「従来Intel CPUを排除」し、CPUメーカのARM64化を期待している訳です。但し、Qualcomm以外、例えばAI半導体大手NVIDIAなどの新規ARM64 CPUメーカ参入は、今のところありません。

前章までを総括すると、「AI PC普及状況改善のためMicrosoftは、CPUメーカ/アプリ開発者/ユーザの3方面へ新しいARM64移行を強要中」です。

ローカルAIとクラウドAIAIキラーアプリ

AI PC普及不調の根本原因は、NPU活用のビジネス向けローカルAI PCキラーアプリが無いことです。また、プロンプトのAI入力インタフェース、個人情報保護などユーザのAIに対する不安も要因です。

一方、ブラウザ経由クラウドAIサービスのCopilotGeminiによる文書要約などクラウドAIアシスタントは、徐々に普及しつつあります。このクラウドAIサービス利用には、NPU非搭載の従来PC/Win11 23H2でも十分可能です。

さらに、AI PCよりも先行するAIスマホでは、Googleと韓国)サムスン電子がタッグを組み、最新Geminiが複数スマホアプリと連携し、より使い易いAIエージェント(コンシェルジュ)サービスが始まりました(参考資料:Googleとサムスンタッグ、日経ビジネス、225日)。

Gemini連携アプリが増たのでAIコンシェルジュも可能
Gemini連携アプリが増たのでAIコンシェルジュも可能

このように、AI PCをビジネスで活用するAIキラーアプリが無い現状では、わざわざ新しいARM64ではなく、従来アプリ互換性のあるx64 CPUを選択する方が無難と考えたのが、CPUメーカ/アプリ開発者/ユーザの状況です。

Apple Macアプリのように、Microsoft自身でARM64ネイティブビジネスAIキラーアプリ、例えば高機能AIアシスタントを自主開発すれば、他者へARM64を強要する必要は無くなると考えるのは筆者だけでしょうか?

次期Win12は、上記Microsoft製ビジネスAIキラーアプリ動作を条件に、Copilot+ PC CPU要件を更に狭め、Intel/AMD/Qualcommの最新AI CPUのみ無償アップグレード対象になる可能性もあると思います。

AIキラーアプリが、現行要件:40TOPS NPU16GB高速メモリで十分動作するかも懸念事項。

SummaryWin11 24H2サポートCPU更新理由

WIndows 11不人気の打開策、生成AI
WIndows 11不人気の打開策、生成AI

20252月、MicrosoftWindows 11 24H2サポートCPUからIntel8/9/10世代 CPUを外した理由を考察しました。

Win11 24H2動作のAI PCは、ユーザのARM64 CPU移行が遅く、x64/ARM64 2種アプリ開発負担増に見合う電力効率改善が得られず、などAI PC普及は不調です。その対策にMicrosoftは、PCメーカのIntel CPU排除を狙ったと思います。但し、これら他者への対策が上手くいっているとも思えません。

ARM64ネイティブ動作のビジネスAIキラーアプリが無いことが、AI PC普及不調の原因です。

例えば、AIアシスタント/コンシェルジュのようなARM64ネイティブ動作ビジネスAIキラーアプリをMicrosoftが自ら開発すれば、他者へARM64を強要せずともWin10/11 23H2サービス終了と同時にAI PC普及は急加速するでしょう。

AfterwordIntel8/9/10世代CPUとは

Intel8/9/10世代CPUは、型番表記で判ります。「Core ixxxx(またはxxxxx)」で、最初の「i〇」は、Core i3Core i5Core i7Core i9などのシリーズ名、続く「xxxx(またはxxxxx)」の最初の数字が世代を表し、第8世代:8xxx、第9世代:9xxx、第10世代:10xxxはです。

ちなみに、Win11 24H2アップグレード要件を満たさないIntel/AMD CPUでも、コチラのRufus 4.6ツールを使えばCPU要件を回避してアップグレードができます。


諸行無常とAI

諸行無常を表す簡単な図(出典:Copilot)
諸行無常を表す簡単な図(出典:Copilot)

諸行無常とは、この世の存在は全て変化し、一瞬も同一性保存ができないという仏教用語です。

Intel衰退記事やホンダと日産の経営統合協議打ち切り記事を目にすると、高校時代筆者が学んだ平家物語冒頭の「…鐘の声、諸行無常の響きあり」を思い出しました。

Intel衰退

202411月、ダウ工業株の平均対象からIntelを除外し、代わりにNVIDIAの採用記事や、Intel大負け記事等を読む度に、今、人工知能(AI)が時代を動かしていることを実感します。

かつての覇者Intelの大負け記事は、様々な失敗原因も分析しています。その原因は、Intel首脳部の将来予測判断ミスが多いようです。

ホンダと日産の経営統合打ち切り

ホンダ、日産ともに、自動運転やEV化に向けて単独生き残りは困難と言われます。今回の統合打ち切り経営判断が、正しいか否かも、数年後、Intel同様分析されるでしょう。

Intel、ホンダ、日産のこれら判断は、当然ですが主に首脳部能力に起因しています。

将来数値予測や最新情報取得はAIが得意

シミュレーションによる将来の数値予測やネットに溢れる最新情報取得、分析は、AIの得意分野です。もちろんハルシネーション対策は必要ですが、AIが出す回答は、人間最終判断の重要な材料になり得ます。

仮に、昔のIntel判断時に今のAIがあれば、現在のIntel衰退は防げたかもしれません。

ホンダと日産の経営統合判断にAIを活用したかどうかは不明です。しかし、人間の主観判断だけなら、Intel同様、ミスは付き物です。

SummaryNothing is permanent and AI

釈迦が昔説いた諸行無常は、どの時代でも変わりません。しかし、最後に判断するのはいつでも人間です。AI頼りは間違いです。

但し、人間の主観によるバイアスに惑わされず、AIの客観的な将来予測等も考慮に入れるのが、今のAI時代経営判断方法だと思います。何故ならそのAI自身が、今と将来の状況を大きく動かし変えるからです。

Afterword:嫌いな科目:古文

古文の教材例
古文の教材例

理系専攻筆者にとって高校の古文は、嫌いな授業科目でした。それでも、「諸行無常の響きあり」を思い出すのですからは、好き嫌いに拘らず学びは必要ですね。ちなみに、最初の図は、諸行無常を簡単に表す図に対する無償Copilot回答です(古文同様、筆者には判りにくい図ですが…)。興味深いテーマですね!というCopilot言い訳も付いていました😊。


AI PC選定ポイント(2月版)

AI PC選定ポイント
AI PC選定ポイント

Win11 23H2/Win10は、今年10月にサービス終了します。これら従来型PCを、新しいAI PCに買換え検討をしている方は多いでしょう。弊社もそうです。そこで、AI PCCopilot+ PC)の2月最新状況と選定ポイントをまとめました。

※本稿は、Copilot+ PCAI PCと想定して記述します。

重点参考資料

参考とした資料は下記以外にも多くあります。が、最新3点を重点参考資料としました。

  1. MicrosoftArm重視戦略PC Watch、2025年1月31日
  2. Copilot+ PC自費実機レポート、@IT、2025年1月31日
  3. Microsoft Pluton security processor、Microsoft、2025年1月31日

1は、笠原 一輝氏が、120日新発売Microsoft Surfacex64 CPUで法人販売のみ、一般向けはArm Snapdragon CPUMS戦略を、今年の米)ラスベガス)CES取材なども加味し考察しています。

2は、⼩林 章彦氏が、自費購入した最新AI PCCopilot+ PC/ARM64/Win11 24H2)を使って、現状のAI PC機能詳細とその使用感をレポートし、今のAI PC購入是非を考察しています。

3は、Copilot+ PC要件でAI PCセキュリティの要:Microsoft Plutonプロセサの公式資料で、CPUx64/ARM64)内蔵Pluton構成や機能、アップデート方法が示されています。

次章から、主に重点参考資料を基にまとめます。

新しいAI PCと従来型PCの違い

初めに、新しいAI PCと従来型PCの違いを簡単に示します。

  • 従来型PC:ネットとツールが生産性を上げたPC。Win11 23H2やWin10までのWindows搭載。
  • AI PC:AIツールで革命的生産性向上が期待できるPC。Win11 24H2やWin12のWindows搭載。
従来PCからAI PCへ変わる2025年
従来PCからAI PCへ変わる2025年

従来型PCは、紙や筆記具をOfficeツールに置換え、ネット接続ブラウザが情報収集に貢献しました。高性能x86/x64 CPUと表示GPUPC生産性の主な決定要因です。が、ユーザのPC使いこなし能力にも依存しており、生産性は上限に近い状況です。

新しいAI PCは、生成AIにより知的ユーザサポートが可能で、上限に近い従来PC生産性を更に上げる可能性があります。但し、AI処理には、新しい40TOPS以上のNPUNeural Processing Unit)ハードウェアや更なる低電力動作、PC(エッジAI)のみでなくクラウドAIとの協調動作、高セキュリティなどが必要です。

これらがPCに備わると、AIアシスタント/コンシェルジュなど生産性を劇的に向上するAIエージェント処理が可能になります。副作用に、ユーザ機密情報のセキュリティ保護も必須となり、これを実現するのが新しいPluton security processorCopilot+ PC要件になっています。

関連投稿:生成AI活用スキル

AI PC3CPU共通機能

AI PCCPUは、従来PCの延長上にあるIntel/AMD社によるx64 CPUと、ArmIPを使ったQualcomm社による新しいSnapdragon ARM64 CPU3種類が提供中です。ARM64 CPUは、Apple社のMac PCにも採用され、x64に比べ省電力性が特徴です。

先ず、3CPUの共通機能を示します。

3CPU共に新しいPlutonプロセサを内蔵しています。従来型セキュリティチップ:TPM 2.0は、CPU外付けでした。このため、CPU⇔TPM間のハッカー攻撃に弱く内蔵化でセキュリティを高めました。

また、プロセサという名が示すようにPluton自身がROM/SRAMを持ち、乱数生成器や暗号処理などのセキュリティ機能は、CPUと完全独立で実行します(下図)。Pluton自身の機能更新は、Windowsアップデート経由で行われ、TPM で面倒であったUEFI BIOS変更操作も不要です。

Copilot+ PC要件のPlutonセキュリティプロセサ構造(出典:Microsoft)
Copilot+ PC要件のPlutonセキュリティプロセサ構造(出典:Microsoft)

つまり、Plutonは、高セキュリティで機能更新も容易なAI CPU内蔵プロセサです。TPM 2.0動作の下位互換性もあります。進化する脅威に対し、最新セキュリティ保護の仕組みがPlutonプロセサです。

但し、AI PCのユーザ機密情報がPlutonにどのように保護・保持されるか、クラウド側保護・保持の有無、複数PC間のAI情報同期などは不明です。AI情報同期が出来ない場合は、複数AI PC活用が不便になる可能性もあります。

AI PC3CPUの異なる機能

次に、Intel/AMD x64 CPUQualcomm Arm Snapdragon ARM64 CPU3CPUの違いを示します。

3CPUの違いを一言で言うと、高性能AMD、中庸Intel32GB SoCメモリ)、低電力+最新AI機能動作Qualcommです(関連投稿:Copilot+ PC CPU20251月現状)。

CPU毎のAI機能提供状況は、重点参考資料2にまとめられております。抜粋させて頂いたのが下表です。同じ最新Win11 24H2でも、ARM64 CPUは、多くのAI機能を先行提供中であることが判ります。

Win11 24H2 AI機能

概要

ARM64

x64

Recall

定期スナップショットと内容AI検索 Dev Dev

ライブキャプション翻訳

Termsリアルタイム翻訳

Image Creator

AI画像作成 Dev

フォトリスタイル

写真再イメージ、高解像度化 Dev

Cocreator

ペイントアプリAI画像⽣成

Click to Do

コンテンツ認識、関連アクション実⾏ Dev

Microsoft Studio Effect

ビデオ通話照明改善、ノイズ除去

Auto Super Resolution

ゲームフレームレート向上 なし

また、プライバシー問題で導入が遅れたリコール(定期スナップショット保存とエッジAIの内容検索)は、Copilot+ PC要件に加え、下記条件が必要だそうです(重要参考資料2より)。

  • 論理プロセサ8個以上
  • 256GBで50GB以上のストレージ空き容量
  • デバイス暗号化またはBitLocker有効化
  • 1つ以上の生体認証サインイン

これらAI機能は、AMD Ryzen AI 300搭載ミニPCなどノートPCでないCopilot+ PC要件準拠PCでも利用可能なるハズです(202411月アップデートでIntel/AMDへもAI機能提供報があったが未提供)。

一方、202412月時点で公式ARM64 CPU動作アプリは、コチラです。リストにないWindowsアプリでも、動作するものが殆どらしいです。

これは、ARM64搭載x86/x64エミュレーションPrismのお陰です。それでも、従来アプリケーション互換性重視の法人ビジネスユーザ向けCopilot+ PCデバイスが、重点参考資料1の新x64 Surfaceです。

つまり、既存x86/x64アプリ互換性は、x64 Intel/AMD CPU優位、新AI機能は、Microsoft戦略でARM64 CPU先行提供中です。但し、ビジネス用途では、表で示した先行AI機能に魅力的なものが少ないというのが、専門家大多数の見方です。

重点参考資料2に、現時点の先行AI機能詳細があります。これらに魅力を感じるかは、本ブログ読者のご判断にお任せします。

また、Click to Do以外の提供中AIは、アシスタン/コンシェルジュに程遠い機能です。が、AI進化は凄まじい速さなので、近いうちにAIエージェントは実現すると思います。

関連投稿:AI Windowsの選び方(3 CPU差)

※これら先行AI機能以外に、クラウドAI利用のMicrosoft CopilotGoogle Geminiによる翻訳、Office/PDF文書要約作成などは、従来型PC Win11 23H2/Win10でも十分AI活用可能(関連投稿:ChromeへCopilot+追加)。

AI PCより先行するAIスマホに、AI PCコンシェルジュ未来像が見える。

最新Microsoft Surfaceの意味

Microsoft Surfaceは、Windowsをよりよく活用するためのデバイスショーケース、具体例としてMicrosoftが示した理想的Windowsプラットフォームです。2030年までにARM64 CPUWindows支配的CPUシェアを望むMicrosoftArm意思の表れ、だそうです(重要参考資料1より)。

簡単に言うと、Microsoft版のMac PCです。

法人向けx64 Surfaceポートフォリオ(出典:Microsoft)
法人向けx64 Surfaceポートフォリオ(出典:Microsoft)

両社は、Qualcomm以外のArm CPUベンダ、例えば、NVIDIAなどの新規参入を期待しています。しかし、ハード/ソフト共にApple 1社提供のMac対抗機Surfaceは、期待に反し、想定より売れていないそうです(Macと似て非なる代物、想定ユーザ中途半端)。

関連投稿:Copilot+ PC CPUシェア推移20246月編)

SummaryAI PC選定ポイント2月版

10月サービス終了の従来型Win11 23H2/Win10を、新しいAI PCCopilot+ PC)買換え検討中の方向けに、2月最新状況とその選定ポイントをまとめました。

Intel/AMD/Qualcommの三つ巴AI CPU、自動車向け半導体不振やDeepSeek出現でクラウドAIも激変中のAI PC選定にお役に立てば、幸いです。

  • AI PC価格Copilot+ PC発表当初40万円から半分の20万円前後に低下。
  • AI CPUx64 Intel/AMDARM64 Qualcomm64ビットCPU 3つ巴戦。
  • 3 AI CPU特徴:高性能AMD、中庸Intel、低電力+最新AI動作Qualcomm
  • エッジAI処理:主にAI CPU内蔵40TOPS以上NPUが担当。
  • Copilot+ PC:AI CPU搭載、軽量薄型ノートPC、最低1日バッテリ動作。
  • 2月AI機能:Microsoft CPU戦略のARM64先行、Intel/AMD部分提供。
  • MS AI CPU戦略:2030年迄に支配的シェアをARM64へ変える。
  • ビジネスAIアプリ:魅力的アプリ少が専門家大多数の見解。
  • AIエージェント:AIアシスタント/コンシェルジュ未提供。
  • 既存アプリ互換:x64 Intel/AMD有利、公式ARM64動作アプリ増加中。
  • Prism:ARM64のx86/x64エミュレーションが担当。既存アプリ動作要。
  • AI PCセキュリティ:AI CPU内蔵Pluton(TPM 2.0下位互換)が担当。
  • Plutonプロセサ:完全独立ハード、Windowsアップデート経由機能更新。
  • Surface:Microsoft版Mac PC。法人向けのみx64 Surfaceも発売開始。
  • Intel CPU 32GB SoC:AI活用時メモリ十分か?
  • OCuLink:エッジAI NPU追加のミニPCインタフェース。
  • 複数AI PC間エッジAI情報同期:不明。
  • 従来型PC活路:Copilot/GeminiなどクラウドAI利用。

Afterword:弊社2月選定結果

弊社はポイント考慮の結果、以下選定をしました。

ミニPCハードウェア利用のAI PC環境イメージ(出典:GMKtecサイト)
ミニPCハードウェア利用のAI PC環境イメージ(出典:GMKtecサイト)
  1. 従来x86/x64アプリ互換と大画面がMCU開発弊社に必須。
  2. 未提供AI PCエージェント期待値大。
  3. AMD AI CPU搭載OCuLink付きミニPC2月候補。
  4. 4月従来型PCをWin24H2アップグレード、サービス終了迄運用。
  5. 2025年は様子見、2026年内に最終AI PC選択予定。
  6. 複数AI PCAI情報同期、継続調査。



Microsoftサインイン変更

2月以降、Microsoftサインイン状態がデフォルト保持へ変わります。公共PCや複数ユーザアクセスのPCでは、手動サインアウトが必須になります。

メーラー変更通知

サインインエクスペリエンス変化通知
サインインエクスペリエンス変化通知

朝一でメールチェックする際、上図、赤背景エクスクラメーションマーク(!)に驚いた方も多いと思います。

Microsoftサインイン保持の理由は、詳細情報に記載がありません。手動サインアウトが面倒なユーザ向けに、履歴が残らないプライベートブラウザ推薦のみです。

サインイン状態保持のため、ネットカフェなどでは別ユーザによる不正利用の可能性も高まります。Microsoftアカウントの不正アクセス時対処として、全てのデバイスからサインアウトをする方法も示されています。

しかし、全デバイスサインアウトに最大24時間かかる場合があるそうです。

公共コンピュータサインインを避ける?

「公共コンピュータでのMicrosoftアカウントサインインを避ける」が、上記詳細情報タイトルです。

プライベートブラウザが代替に示されていますが、要するに、「オーナー専用AI Copilot+ PC利用」が前提の変更だと思います。

言うまでもなくCopilot+ PCは、エッジAIにより常時PCオーナーが、いつ/どこで/何を/どうしたかを学習し、これらに基づいて的確なアシスタントやアドバイスを行います。

従って、携帯性の良い軽量薄型なノートPCAI Copilot+ PCは相性が良いのです。

オーナーが寝ている間に、バッテリを充電しつつ、日中の学習結果を基に新たな提案やネット検索などをAI自ら行うかもしれません。オーナー就寝中のPCスリープから、AIエージェント処理へと変わる訳です。

※現在のスリープは、データメモリ保持のみの低電力動作です。NPUCPUによるAI学習処理やオーナー代わりのルーティン処理、ネット検索等をバックグラウンドで行うのが、AIエージェント処理です。

もちろん、AIエージェント処理は、エッジAIのみならずクラウドAIも活用するでしょう。サインアウトされると再度生体認証が必要となるため、AI側にも迷惑な状態となります。

つまり、AI Copilot+ PCは、オーナーサインアウトとの相性が悪い訳です。AI PC普及を前に、サインイン保持のユーザ周知がMicrosoftの狙いだと思います。

Copilot+ PCバッテリ変化

セルフ交換バッテリー採用Copilot+ PC(出典:Dynabook)
セルフ交換バッテリー採用Copilot+ PC(出典:Dynabook)

ノートPCの寿命を決めるのは主にバッテリです。バッテリは、消耗品で充電回数が増えると性能劣化し、Copilot+ PC要件の終日バッテリ利用ができなくなります。

対策に、オーナー自身のバッテリ交換が可能なCopilot+ PCが現れました。確かスマホなどもバッテリ交換ができる欧州新規制があったと思います。

パーソナルデバイスは、今後AI活用のため、様々なオーナー機密情報やエッジAI学習知識を保持する必要があります。この保持にクラウドを使うのも有りですが、セキュリティ観点からはエッジ保持の方が安心でしょう。

AIデバイスのバッテリ交換は、必須条件になるかもしれません。

SummaryMicrosoftサインイン変更

2月以降Microsoftアカウントがデフォルトサインイン保持へ変わります。ネットカフェなどの公共PC利用時は、手動でのサインアウトは必須です。

サインイン保持の理由は不明です。しかし、オーナーがAI Copilot+ PCを活用する時、バックグラウンドAIエージェント処理にサインイン状態が役立ちます。AI PC普及を目前に、サインイン保持の周知がMicrosoftの狙いだと思います。

Afterword:もう一人のPCユーザ

サインイン保持はエッジAI育成に必須?
サインイン保持はエッジAI育成に必須?

シンギュラリティでAIが意思を持つかどうかは別にして、エッジAIは、もう一人のPCユーザと考えることができます。新品PC購入時のAIは未就学児童レベルでも、PCを使っている間にドンドン成長し、オーナー専属の汎用人工知能レベル:AGIへ成長するかもしれません。

オーナー専属エッジAIなので、代えがたいもう一人のPCユーザと言えそうです。育成ゲームに似ています。賢いエッジAIを育てるには、常時サインインが必須なのかもしれません。