弊社が考えるIoT MCU向き汎用Baseboardを示します。要件は、(1)IoT MCU向き、(2)低価格、(3)入手性の良さです。
Arduino UNOプロトタイプシールド ブレッドボード付き(¥480)と、従来から使ってきたBaseboardを併用した汎用Baseboardの特徴、FRDM-KL25Zを使った3.3V MCUと5V LCDのCMOSデバイス直結適用例を示します。

NXP IoT Module Baseboard
“IoT Baseboard”で検索すると、NXPのIoT Module Baseboard($160)が現れます。これは、右下にLPC54018(Cortex-M4/180MHz)をAdd-onし、EthernetやSD Card等の機能追加を行う「専用」Baseboardです。Baseboardに加え、ArduinoコネクタでもLPC54108へ機能追加できることが判ります。

LPC54018専用Baseboardで$160と高価ですが、Arduinoシールドが追加できる点が重要です。つまり、IoT Module Baseboardで基本機能追加、開発用途に応じた機能追加はArduinoシールドやPmodで行うという2通りの機能追加方式です。
Arduinoシールドで、様々なプロトタイピング開発に対応できる訳です。
Arduinoシールド
多くのMCU評価ボードは、上記LPC54018専用Baseboardと同様、Arduinoコネクタで機能追加が可能です。安価で豊富な種類のArduinoセンサシールドが販売中であることがその理由です。
弊社IoT MCU汎用Baseboardも、Arduinoシールドで機能追加できることをポイントと考えました。FRDM-KL25Zを例に説明します。
FRDM-KL25Zは、Arduinoコネクタが未実装ですのでコネクタを追加したのが図3です。Arduinoコネクタは、複数シールドをスタッカブルに装着するため、上側がメス、下側がオスの貫通ピンで構成されます。

Arduinoコネクタピン(青色)と、FRDM-KL25Zピン(赤色)の対応表です。例えば、右下のPTA1は、D0に対応するなど、MCU評価ボード開発時は赤色ピン、これがArduinoコネクタ利用時は青色ピンへ変わります。

MCU評価ボードにはArduinoピンのシルク印刷はありません。開発するMCU評価ボードのArduinoコネクタ対応表をよく見て、MCU評価ボードピンとArduinoピンマッピングを間違わないように注意する必要があります。
Arduino UNOプロトタイプシールド プレッドボード付き
図1のArduino UNOプロトタイプシールドは、MCUボード上に装着してもFRDM-KL25Zのタッチセンススライダの操作はできます。また、評価ボード上のLED動作は、プロトタイプシールドのスルーホールから目視できます。
さらに、プロトタイプシールドには、評価ボードRESETに並列接続済みリセットボタンと2個のLED、1個のSWが実装されています(図1回路図参照)。
プロトタイプシールドのLEDとSWは、評価ボードとは未接続ですが、付属のブレッドボードを使って配線すれば、LチカなどのMCU動作確認にも便利に使えます。
※Arduino UNOプロトタイプシールド プレッドボード付きの動作は、5章:3.3V MCUと3.3V LCD接続で示します。
IoT MCU汎用Baseboardと適用例
以上のようにArduino UNOプロトタイプシールドは、Arduinoコネクタを持つMCU評価ボードの機能追加や動作テストに便利に出来ています。
そこで、このプロトタイプシールドを、弊社が従来から使ってきた5V動作Baseboardと併用します。
MCU評価ボードへのIoTセンサやセキュリティ機能などはArduinoシールドで追加、LCDやポテンショメータなどの機能は5V動作Baseboardにより追加、この2通り機能追加で「汎用開発」に使えるIoT MCU Baseboardになります。
MCU評価ボードとして3.3V動作FRDM-KL25Zと、Baseboard実装の「5V動作LCD」とをCMOSデバイス直結で接続した適用例を示します(CMOSデバイス直結は、関連投稿を参照してください)。

※IoTセンサシールド等を追加する場合は、MCU評価ボード(FRDM-KL25Z)の直上、または直下へスタック装着を想定しています。図5は、IoTセンサシールド等を省略した例と考えてください。
3.3V MCUと3.3V LCD接続
プロトタイプシールドを装着したFRDM-KL25Zへ、前章の「5V動作LCD」の代わりに「3.3V動作LCD」を接続した例も示します。FRDM-KL25Zソフトウェアは、どちらも同じものです。
関連投稿では未検証であった3.3V MCU開発ソフトウェア動作確認に、CMOSデバイス直結を利用し5V動作Baseboardが利用できることが、LCD表示が同じであることにより実証できました。

ブレッドボードに実装したのは、LCD表示コントラスト調整用スライド抵抗です。5V系センサ等と3.3V MCU評価ボードをCMOSデバイス直結時に必須となるMCU入力電流保護抵抗は、ブレッドボードへ実装し対応できます。
まとめ
Arduinoプロトタイプシールドと、従来から弊社が使ってきた5V Baseboard併用の、IoT MCU汎用 Baseboardを示しました。IoT関連の機能追加はArduinoシールドで、LCD等の機能追加は5V Baseboardで行い、低価格、入手性が良く、様々なIoT MCUプロトタイピングに使えます。
最低限必要なロジックをプロトタイプシールド付属ブレッドボードへ実装すれば、3.3V系MCU評価ボードと5V系ハードウェアの制御ソフトウェア開発に、CMOSデバイス直結が使えることを実証しました。
本稿で示したFRDM-KL25Z とIoT MCU汎用Baseboardを使ったKinetis Lテンプレートは、年内に発売予定です。ご期待ください。