ユーザ目線Windows 10 1903更新方法

Windows 10サポート期限は、年2回の大型更新後、1年と半年です。つまり、1809なら2019年末まで。2020年1月14日のWindows 7に比べ超短期です。Windows 10ユーザは、大型更新1903 May Update(19H1)への対応は必須なのです。

前回の1809更新トラブルをまぬかれた筆者を含むラッキーなWin10ユーザが、今回の1903更新をどのように乗り切るかについて私案を示します。

3つの1903更新方法

Microsoftは、前回1809更新一斉配布→トラブル頻発の反省から、今回1903は、段階的配布に変えたそうです。それでも、前回同様、1903も重大な更新トラブルの記事、情報が多くあります。

関連投稿:LibreOffice最新版6.2.4更新のWindows 10 May Update章

この段階的配布により、いつ始まるか判らない自分のPCの1903更新への対応法は、3つあります。

  1. 主体的に1903更新開始:例えば開発が一段落したなどユーザの都合が良い時に、ユーザ自身で1903更新を開始
  2. 受動的に1903更新受付:1903更新開始は、PCにお任せ、ユーザもそれに従う。多くの記事で推薦。
  3. 受動的に1903更新受付、更新延長の場合あり:1903更新の開始は、PCにお任せ。但し、ユーザの都合が悪い場合は、一時的に1903更新を延長

1:主体的に1903更新開始

1903段階的配布の目的は、徐々に明らかになる更新トラブルに対する策を、Microsoftが通常のUpdateで大型更新前に実施し、トラブル発生頻度を少なくすることです。多くの記事が、1903更新をひたすら待てというのは、Microsoftのこの意図を汲んだ結果です。

従って、主体的に1903更新の開始をする時は、更新トラブルの覚悟が必要です。方法は、「何回か更新プログラムのチェック」を押すことです。これにより主体的更新をMicrosoftが検知し更新が始まります。

ユーザメリットは、当然事前にシステムバックアップをしており、万一のトラブルが発生しても自己責任なので精神的に安定して回復できることです。トラブル発生時には回復し、2または3の選択肢となります。

2:受動的に1903更新受付

朗報です。1903からは、Homeユーザでも最大35日の大型更新延長が可能になったそうです。この機能は、次の大型更新後にその効果が明らかになるでしょう。

しかし、現行の1809 Windows Homeユーザには、大型更新延長機能がありません。例えユーザ都合が悪くても、開始した1903更新を受入れる以外に手はありません。

段階的配布で自分のPCの順番が来るのを待ち、トラブルが無い1903更新完了を祈りましょう。

3:受動的に1903更新受付、更新延長の場合あり

1809 Windows Pro以上のユーザが取りえる現在最も大型更新のトラブルリクスが少ない可能性がある方法です。

大型更新を延長する方法は、「更新開始前」に、Windows Updateの下記詳細オプションを設定します。

大型更新の延長設定
大型更新の延長設定(1809 ProのWindows Update詳細オプションデフォルト状態)

赤枠、これは更新インストールの制御であって、更新プログラムはPCへダウンロードされます。一方、橙枠の一時停止は、更新プログラムも再度ダウンロードする必要があります。どちらも、自分のPCに段階的配布順番が回ってきたのは同じですが、橙枠は、再び更新プログラムの配布を待たねばなりません。

いずれも、PCの通知アイコンや、いつもと違う大型更新プログラムダウンロード中の挙動にユーザが気づく必要があります。忙しくてこの挙動に気が付かずにいると、何らかのトラブルが発生する可能性もあります。

その理由は、上記更新延長機能を確かめた記事、情報が見当たらないからです。これらユーザに嬉しい機能はあっても、本当に機能するかは確かめようがありません。

1903大型更新リスクとまとめ

対応案 更新トラブル発生確率 トラブル時のユーザ精神安定度
1. 主体的に1903更新開始 +++ +++
2. 受動的に1903更新受付
3. 受動的に1903更新受付+延長 ++ ++

色々な記事、情報が言うように、受動的に1903更新開始を待つのが大型更新トラブル回避としては、得策なようです。次回、秋の大型更新よりも前までに1903更新完了を待てる方は、リスクが少ない2の対応が良いでしょう。

ちなみに、1903更新でユーザが得られる新機能として筆者が良いなと思うのは、マウスポインタの大きさが大きくなるくらいですが…。

但し、ベンダ純正PCであっても事前にあらゆる組合せに対するトラブル回避策を施すことは不可能です。例えば、自作組込みPCや後付けパーツを組み込んだ純正PCなどに対しては、2や3の対応でもトラブル発生の可能性は、1と大差なしと言えるかもしれません。

更新開始を待ったのに運悪く2や3の対策でも更新トラブルになった時、回復できるバックアップがどの時点のものかが重要です。最悪イニシャルに回復するしかない場合、インストールしたアプリケーションやそれまでのユーザデータは無になります。時間的、精神的にも、かなりの負担です。

更新開始タイミングが主体的な1の対応のみが、最悪イニシャルを避ける策でしょう。

結局、頻繁なシステムとユーザデータバックアップのみが、大型更新トラブル回避策だと筆者は思います。更新開始を主体的にするか、受動的にするのかは、トラブル発生時の精神的な影響に差を生むのみだと思います。

1903 May Updateをどのように乗り切るかについて私案を示しました。筆者自身、どの策にするか未定ですが、ご参考になれば幸いです。

Windows 10更新中断、μT-Kernal、IoTマイコン

Windows 10 1809更新によりユーザファイルが消失するトラブルが発生しています。このためMicrosoftは、Windows 10 1809への更新を一時中断しました。

Windows 10更新でマイドキュメントフォルダ消失!

消失フォルダは、よりによってC:\User\[user name]\Documentsだそうです。マイコンIDEのプロジェクトファイルをマイドキュメントフォルダへ設定している方(私がそうです)は、1809更新を待った方が良いかもしれません。

幸い私の3台のPCは、全て問題なく1809更新に成功し、Documentsフォルダも無事でした。

よく言われる最悪を避けるには、個人データのバックアップです。しかし、Windows機能更新時に、最も守るべきユーザデータを壊す/消すという不具合は、OSとしては許されません。Fast/Slow リングで検証できなかったのでしょうか?

μT-Kernal

OSと言えば、マイコン向けのリアルタイムOS:μT-Kernalの解説がトランジスタ技術2018年10月号の組込みOS入門という別冊にあり、第2章~第6章にリアルタイムOS(RTOS)の説明があります。

また、トロンフォーラムへの登録が必要ですがルネサスRL78/G14向けにポーティングしたμT-Kernalを無料でダウンロードできます。

※μT-Kernalは、ITRONベースに2003年公開の32ビットマイコン向けオープン・ソースRTOS。

本ブログではこれまでRTOSとしてFreeRTOSを紹介してきました。μT-Kernalと比較するとより理解が進むと思います。

関連投稿:マイコンRTOS習得

IoTマイコンとRTOS

IoTマイコンにRTOSを使うと、今回のWindows 10のようなトラブルを招く可能性が生じます。ただIoT通信手段が何になるにせよ、高度なセキュリティや公共リソース利用のための通信処理をマイコンで行うには、RTOSが必要になると思います。

この状況ならいっそのことIoTマイコンには、Cortex-M4(または同等クラス)とCortex-M0/M0+マルチコアを導入し、Cortex-M4でIoT関連処理、Cortex-M0/M0+で従来のMCU処理に2分割、さらにIoT関連処理はMCUベンダーが全て無償提供してくれればIoT MCUの爆発的普及が進むと思います。

つまり、Cortex-M4のIoT関連処理がWindows 10に相当する訳です。これならIoT通信手段やセキュリティが変わってもCortex-M4部分のソフトウェアをOTA(Over The Air)で変えれば対応できます。我々開発者は、本来のマイコン処理に集中できます。
理想的な空想ですがね…。

関連投稿:OTAについてIoT端末の脆弱性対応はOTA:Over The Air更新が必須の章参照