Kinetis Design Studio 2.0.0リリース

11月24日Kinetis Design Studioの新版2.0.0がリリースされました。Kinetis Eテンプレートもこの新しいKDS2.0.0で開発します。このKDSにも期待した評価ボード:FRDM-KE02Z40MのProcessor Expert: PEサンプルソフトは付属していません。このことは、テンプレートに自前PEサンプルソフトをつけて販売するというKinetis Eテンプレートの狙いには好都合です。

今回は、KDS2.0.0の簡単な使い方を説明します。

コードサイズ制限なしのKDS

freescaleのIDEには、Code Warrior: CWとKDSの2つがあります。KinetisシリーズはKDSでサポートされ、CWは今サポートしているKinetisのみで打ち切りです。CWは、無償版128KB制限がありますが、KDSは、コードサイズ制限なしで無償版のみです。どちらもEclipseベースですが、細部は異なります

KDSインストール

インストールは簡単です。サイトからWindows版インストーラをダウンロードし、実行すれば完了です。Cドライブ直下のC:\Freescal\KDS_2.0.0\にインストールされます。

起動すると、最初にワークスペースの場所指定が必要です。Cドライブのデフォルトワークスペースを使う場合は、そのままですが、私は、Dドライブのマイドキュメント内にワークスペースを作成します。これにより、KDS再インストやUpdateでも、自作したプロジェクトファイルは影響をうけません。ワークスペース指定後は、別プロジェクトのインポート、または、新プロジェクト作成の作業をします。

サンプルソフトのインポート

KDSの評価ボード:FRDM-KE02Z40Mのサンプルソフトが少ないことは以前記載しました。そこで、別ボードサンプルを使う場合や、CWサンプルをインポートする場合は、「Copy projects into workspaceのチェックを外す点」に注意してください。☑したままでインポートすると、インポートソースの表示ができません。

CodeWarriorサンプルソフトのインポート例
CodeWarriorサンプルソフトのインポート例

新プロジェクト作成

自前のプロジェクト作成時は、File>New>Kinetis Design Studio Projectを選択します。プロジェクト名を入力後、BoardsかProcessorsを選択します。Boardsとは、FRDMなどの評価ボード、ProcessorsとはKDSでサポートしているKinetisシリーズのことです。残念ながらFRDM-KE02Z40MはBoards選択肢にありませんので、Processors>Kinetis E>MKE0x/KEA>KE02Z/KEAZN(20MHz, 40MHz)>MKE02Z64xxx4を選びます。この後、コード生成ツールとしてProcessor Expert: PEを使うか否かの選択をします。

Processor Expertt利用の選択肢
Processor Expert利用の選択肢

PEを選択しないと殆ど何もないmain.cを持つプロジェクトができます。一方、PE選択時は、main.c/Event.c/Event.hの3ファイルから成るスケルトンプロジェクトが生成されます。main.cは、スタートアップ処理後の最初に起動される関数main()を含むファイルで、Event.cとEvent.hは、割込み処理ファイルです。

PE利用時のユーザコード追加

Processor Expert利用のユーザコード追加場所
Processor Expert利用のユーザコード追加場所

main.cとEvent.c/Event.hの一例を示します。ユーザコードを追加できる場所は、/* Write your…*/の後です。この指定場所にPEで作成したコンポーネントのAPI関数を使ってユーザコードを追加していけばソースコード完成です。PEでコンポーネントを変えてAPIを再生成した場合でも、指定場所に追加したユーザコードはそのまま保存されます。

PEを利用しない場合は、これらAPI関数や割込み処理ファイル分割も自分で設計する必要があります。

ソースコード完成後は、ビルドとデバッグの繰返しです。ビルド、デバッグの一連作業は、EclipseベースのIDEならどれも違いはありません。これが、Eclipse IDEが開発者に好まれる理由です。

Kinetis Eテンプレートとは、

KDSを使った、ワークスペース設定>プロジェクト作成>ユーザコード追加>ビルド>デバッグ作業を簡単に説明しました。何回かプロジェクト作成を経験すると、いつも同じようなユーザコードやファイル構成に出合います。Kinetis Eテンプレートは、この同じようなコードとファイル構成を纏めてテンプレート化したものです。つまり、PEが作成したスケルトンに、より完成アプリに近いユーザコードを肉付けし、ファイル構成に工夫を加えたものです。そして評価ボードで動作確認済みで提供します。

PE出力のスケルトンファイルは、どのようなアプリにでも対応できる基本形ですが、API関数を除くと殆どゼロのコーディングスタートです。テンプレートを使えば、このゼロスタートをかなり改善できます。また、時分割の簡易マルチタスク処理も行いますので、OSを使うほどではないマイコンアプリには最適です。結果として、アプリの早期開発、問題点抽出ができます。テンプレートに関する詳細な情報も添付しますので、初心~中級レベルの開発者にとっては有用です。

さらに、評価ボードで動作確認済みの多くの自作PEサンプルソフトをKinetis Eテンプレートに添付します。これで、KDS付属サンプルソフトが少ないことを補完できます。PEサンプルとテンプレートを合わせて使うと、より早くKinetis E理解、アプリ開発ができます。販売開始は、2014年末予定です。

 

現在販売中の他マイコンのテンプレート一覧は、コチラをご覧ください。

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