AI Max+ 395搭載GTR9 Pro先行販売

5月の4種ミニAI PC比較時、未発表であった高AI性能、静音性にも優れるRyzen AI Max+ 395搭載BeelinkGTR9 Proが、先行販売されました。今なら$2,399が$1,985¥293,000/2025-8-21換算)で35日以内に発送するそうです。

GTR9 Pro概観とAI処理能力(出展:Beelink)
GTR9 Pro概観とAI処理能力(出展:Beelink)

現在AI向けCPUAPU)プラグシップのAMD Ryzen AI Max+ 395搭載で、実用ローカルLLMが可能な128GB UMA実装済み、America’s AI Action Plan 5年後AI変化予測の100TOPS以上AI処理能力を持ちながら、静音/放熱性に優れ電源内蔵で移動性も優れるGTR9 Proを紹介します。

APUAccelerated Processing UnitCPU/GPU/NPUSoCSystem on Chip)化したAI CPU
※UMA
Unified Memory ArchitectureRAM領域をCPU/GPU/NPUで共有する方式。AMD社やApple社のAI CPUUMA採用中。

AI PC選択要件

ミニAI PC関連の過去投稿とその要点が下記です。

  • ローカルLLM活用はAPUと大容量・高速UMAが重要:2025/05/16投稿
  • APU内蔵Plutonプロセサがセキュリティ保護に重要:2025/06/20投稿
  • ノートAI PC比マルチモニタ接続容易で低価格なミニAI PCAI活用開発に適す:2025/07/18投稿
  • Action Plan発表後5年間のAI PC能力予想:2025/08/08投稿3章)
  • 70B LLMサポートAI PC要件:2025/04/11投稿Afterword

まとめると、AI PCを選ぶ時は、APUUMAによる高速AI処理、大容量メモリ、情報漏洩リスクが低いローカルLLM活用が重要で、更にAI開発向けは、拡張性と複数外部モニタ接続性も必要なためノートAI PCよりもミニAI PCが適すと結論しました。

本稿のBeelinkGTR9 Proは、これら要件を満たすミニAI PC1つです。

GTR9 Pro製品特徴

クラウドAIGoogle Gemini2.5 Flash)を使ってGTR9 Proを調べると、前章AI PC要件を満たすだけでなく様々な製品特徴が判ります。

GTR9 Proの優れた冷却システムと静音性の実現方法(出展:Beelink)
GTR9 Proの優れた冷却システムと静音性の実現方法(出展:Beelink)
  • AI処理性能はCPUGPUNPU合計126TOPS
  • Ryzen AI Max+ 395の高いTDP(45-120W)を低い騒音レベル(32~37dB)で実現
  • 静音デュアルターボファンとベイパーチャンバーが特徴の冷却システム
  • 230W電源内蔵でMac Studio類似の180×180×90.8mmサイズ

筐体は、継ぎ目のないオールメタル製で優れた耐久性と高級感があります。内部設計も、フルアルミニウムのフレームシステム上にマザーボード/ヒートシンク/ファンなどの主要コンポーネントを固定し、ミニPCにありがちな応力によるコンポーネント損傷を排除、耐衝撃性も向上しています。

つまり、ノートAI PC比、ミニAI PCの弱点である移設・移動性も改善されています。GTR9 Proならバックに入れて持ち歩き、接続モニタがあるネットカフェなどでノートAI PC同様に活用できるでしょう(GTR9 Pro重量は投稿時不明)。

ミニAI PC課題

一方、GTR9 Proに限らずミニAI PCならではの課題もあります。

  • はんだ付けオンボードメモリのため容量増加不可
  • ベアボーンモデル選択肢無し
  • AMDハードウェアを最大活用するソフトウェア/ドライバ供給遅延
  • 対中国の米国政策(最新AI半導体やOS提供可否)

AMDの第一世代ハードウェアは、ソフトウェア/ドライバの提供が遅れることはよくあります。暫く待てばよりハードウェア性能を引き出せるソフトウェア/ドライバが提供されると思います。

また、ミニAI PC製造が多い中国へ、最先端のAI半導体やOSを従来通り米国から輸出供給可能かも不透明です。

SummaryAI Max+ 395搭載GTR9 Pro先行販売

5月の4種ミニAI PC比較時、未発表であった高AI性能で静音性にも優れるRyzen AI Max+ 395搭載BeelinkGTR9 Proが先行販売されました。

現在APUプラグシップのAMD Ryzen AI Max+ 395を搭載し、ローカルLLM実用可能な128GB UMA実装済み、America’s AI Action Plan5年後AI変化予測100TOPS以上のAI処理能力を持ちながら、静音/放熱/移動性にも優れた電源内蔵ミニAI PCGTR9 Proを紹介しました。

AfterwordBeelink GTR9 Pro製品動画はコチラ

AI PC選定6ポイント

AI PC(Copilot+ PC)構成
AI PC(Copilot+ PC)構成

結局、前投稿で示したWindows 10EOS対策は、AI PCCopilot+ PC)新規購入か、または、現行PCのままWin12発表後にAI PC購入検討か、の2択です。タイミングが異なるもののCopilot+ PC購入に変わりありません。

そこで、EOSまで残り4か月以下となった6月時点のAI PCCopilot+ PC)選定ポントをまとめました。

※最新情報による2月版AI PC選定ポイントの追加版です。

Summary6月版AI PC選定6ポイント

本稿はCopilot+ PC選定ポイントを6項目にまとめ、その根拠を表形式で示します。

選定ポイント 具体例と根拠
1. Copilot+ PC準拠のAI CPU 秒あたり40TOPS以上(40兆以上の整数演算能力)AI処理専用プロセサ:NPU内蔵AI CPUCopilot+ PC準拠条件。

QualcommSnapdragon ARM64 CPUAMDRyzen AI Max/300シリーズ、IntelCore Ultra 200VシリーズがAI CPUに該当中。

資料:40TOPS以上のCPU、日経XTECH2025/06/05

2. MicrosoftエッジAIサービス
(リコールなど)
リコールなどMicrosoftエッジAIサービスは、様々なものがある。高度な個人情報保護も必要なため、従来の外付けTPM 2.0を、AI CPU内蔵Microsoft Plutonセキュリティプロセサに置換えて対応中。

エッジAIサービスは、当初Snapdragon ARM64 CPUのみへ提供されたが、AMD/Intel AI CPUへも遅れて提供開始。

資料:リコール検索、日経XTECH2025/05/09

3. ユーザエッジAIサービス
AIアシスタント、RAMUMA
AIアシスタント実現ローカルLLM(大規模言語モデル)がユーザエッジAIサービスに有力。Google GeminiMicrosoft CopilotなどのクラウドAIサービス比、情報漏洩リスクが低いのが特徴。

高度AIアシスタントは、Microsoft Surface Pro/Laptop16G RAMは不足。64GB程度必要で、かつ、CPU/GPU/NPURAM領域共有UMAUnified Memory Architecture)が高速処理に適す。AMD社、Apple社のAI CPUUMA採用中

資料:ミニPC 4種比較投稿2025/05/16
生成AIローカルPC検証(前編、後編)、TechTarget2025/05/1305/20
Mac採用のUMA採用のUMA、日経XTECH2025/06/16

4. AI CPU合計TOPSTDP
  • Ryzen AI Max+ 395Ryzen AI 9 HX 370共にNPU単体性能は50TOPS
  • Max+ 395は、CPU/GPU/NPU合計126TOPSTDP45-120W
  • HX 370は、CPU/GPU/NPU合計80TOPSTDP15-54W

エッジAI高速処理にはNPUだけでなくAI CPU合計TOPSが効くHX370は低TDPUSB 65W PD給電も容易。Max+ 395は高TDPのためPD給電困難。

資料:AI CPUとAI MCU投稿Afterword2025/04/11

5. AI Windows優位性 クラウドAI Google GeminiMicrosoft Copilot比較では、ブラウザEdgeCopilotの親和性・操作性がChrome Geminiより勝る。

Apple MacよりもAI Windows機能提供が早い。また、MCPModel Context ProtocolWindows導入WinアプリのAIエージェント対応もMac比速い。

資料:AIエージェントの魅力投稿2025/06/16
Apple WWDC25 keynote
Alternative Blog2025/06/16

6. 複数AI PC間エッジAI同期
(ノートAI PCとミニAI PC価格)
複数AI PC間エッジAI同期方法は不明。つまり、同じAIアシスタントを複数AI PCに跨って使えるかは不明のまま。AIスマホのようにモバイル性に優れるノートAI PC 1台所有なら解決するがが、デスクトップAI PCならエッジAI同期は不可避。

ミニAI PCなら移動も可能なため、同一AI CPU搭載ノートAI PCとミニAI PCを比較した結果、ミニAI PC本体はノートAI PC比、3040%安価入手が判明。

資料:Ryzen AI Max+ 395ノートAI PCとミニAI PC比較投稿2025/05/23

Afterword 1:次期AI PCWindows?

多くのWin10 PCがそのまま残りWin11移行が進まなかった主因は、Win10Win11差分の少なさです。Microsoftはこの教訓を活かし、Win11 24H2以降のWindowsWin12)へ、従来と明確な差を生むNPU利用AI機能を搭載しました。AIを使いたいユーザは、NPUを持つCopilot+ PCの購入を必須とした訳です。

現在のAI機能は、主にクラウドから提供中です。このクラウドAIを上手く使うためにもエッジAIは必要です。例えばクラウドAI出力を上手く引き出すプロンプトのエッジAI生成などです。

近づくAI全盛時代に、ユーザのエッジAI利用能力は不可欠です。エッジ/クラウドAI共に他社(Google/Apple)リード中は、Microsoft Windowsだと思います。Office(Microsoft 365)ツールのAI機能強化も、Windowsの強力な追い風です。

Afterword 2:エッジAI用途

上記クラウドAIのプロンプトエッジAI生成に加え、OS操作方法やエッジAIによるPC会話相手生成など、一般ユーザもエッジAIの恩恵は計り知れません。さらに、様々な新しい開発方法AIが提供します。開発者にも、新しいCopilot+ PC購入に見合う生産性向上は十分見込めると思います。

個人的にはAIは、インターネット以来の大変革をユーザへ与えると思います。Copilot+ PCAI活用を始めてはいかがでしょう。