Kinetis Design Studio V3.0.0リリース

FreescaleのKinetisマイコン無償開発環境KDSの新バージョンV3.0.0が2015年5月5日リリースされました。関連資料から、特徴を探ります。

ポーティングガイトが詳しくなった

以前は、Code Warriorからの移行ガイドのみでしたが、これに旧KDSからの移行も加わりました。つまり、KDS V3.0.0で旧版プロジェクトを変更すると、変更後は、旧版では、Openできないということです。KDS V2.0.0を継続して使われる方は、注意が必要です。

Processor Expert V3.0.0へ更新

旧PEで、TSS_LibraryがFRDM-KE02Z40評価ボードで正常動作しない不具合が解消されたかは、後日報告します。

Kinetis SDK v1.2.0でサポート評価ボードが増えた

KSDK v1.2.0サポートボード一覧
KSDK v1.2.0サポートボード一覧

残念ながら、Kinetisテンプレートで使用したKシリーズマイコンのFRDM-KE02Z40Mボードは、V3.0.0でもSDKサポートはありません。SDKメリットは、ボード動作確認済みのサンプルソフトが、Freescaleから提供されることです。
次期Kinetisテンプレート候補のLシリーズは、多くの低価格評価ボード(FRDM-KLxxx)がサポートされていますので、この中らか対象マイコンと評価ボードを選定する予定です。

以上、KDSV3.0.0リリースの速報でした。

CypressとSpansion合併

2015年3月15日、Spansionは、Cypressと合併しました。

ARMコアでプログラマブルなアナログ周辺回路が特徴のCypressと、自動車/産業機器に強いシェアをもつSpansion、「新生Cypressは、車載、産業機器、民生機器、ウェアラブル端末、IoTなどの世界市場でシェアを拡大すべく、組み込みプロセッサやメモリの製品ポートフォリオの拡充を図っていく」とのことです。

ARMマイコン業界も数年前の自動車業界と同様、会社規模の集約化が進んでいくのでしょうか?  NXPとFreescale合併後、ARM Cortex-M0/M0+の製品ポートフォリオの変化の有無が気になる今日この頃です。

マイコンテンプレート活用のアプリケーション開発(後半)

マイコンテンプレートを使ったアプリケーションの開発方法(後半)は、手順4:サンプルソフトのテンプレートへの組込みとデバッグ、複数サンプルが同時に動くしくみを解説します。

アプリケーション開発手順(再掲)

アプリケーション完成までの手順1~3の詳細は、(前半)に記述済みです。

  1. 対象動作の明確化
  2. サンプルソフト獲得
  3. サンプルソフトを初期設定とループ処理の2つに分けて解読し、部品化
  4. 部品のサンプルソフトをテンプレートへ組込み、デバッグ

サンプルソフトとテンプレートの構造

サンプルソフトを組込んだテンプレート構造
サンプルソフトを組込んだテンプレート構造

ルネサスのRL78/G13アプリケーションノート:R01AN0451JJ0301をサンプルソフトにした例で説明します。サンプルソフトは、初期設定とループ処理から成ります。hdwinit()が初期設定、main()がループ処理です。このアプリノートでは、無限ループ内でスイッチ入力:P0と、LED出力:P1を同時に行っています。詳細は、R01AN0451JJ0301を参照して下さい。

サンプルソフトのループ処理
サンプルソフトのループ処理

このサンプルをテンプレートへ組込んだテンプレート構造が右側です。テンプレートでは、スイッチ入力処理と、LED出力処理は、別々に起動します。このテンプレート構造から、これら以外の別サンプルN処理や、割込み起動のサンプルX/Y処理が追加可能なことが判ります。例えば、ブザ音の発生処理などをここへ追加すると、簡単に処理の追加ができます。
つまり、テンプレートは、「複数処理を起動する仕組みを、初めから持っている」のです。ここがサンプルソフトと最も異なる点です。
スイッチ入力とLED出力を分離したのは、スイッチの入力スキャンタイミングを、チャタリング対応で簡単に変更することが目的です(補足参照)。

テンプレートに付属している「シンプルテンプレート」が、このスイッチ入力とLED出力を組込んだテンプレートに相当します。また、更に、LCD表示やI2C入出力などの、組込みマイコンに必要となる処理をほぼ全て加え、完成形の形にしたのが、「メニュードリブンテンプレート」です。

マイコンテンプレートの仕組み

  • サンプル初期設定は、丸ごとそのままテンプレート初期設定へ流用 → 複数サンプルの初期設定は、挿入順にそのまま実行
  • 時分割で複数の無限ループ生成 → サンプルの起動関数追加により、複数処理を実行
  • サンプル割込み処理は、そのままテンプレート割込み処理へ流用 → 複数の割込み処理時は、割込み優先順位に注意
  • 関数の引数は、インタフェースRAM経由 → 関数入出力確認がRAMでできるので、単体/結合デバッグ、処理の部品化が容易

インタフェースRAMのメリットは明らかです。例を示します。上記テンプレートに、スイッチに応じてブザ音発生処理を追加するとします。

スイッチ入力処理で、スイッチ入力結果をRAMへ出力します。ブザ音発生処理は、このRAMを参照し、音を発生させます。RAMインタフェースを使えば、どちらの処理もRAMで動作が分離され、そのRAM値により処理が正しく動作しているかが解ります。RAM値は、デバッガで変更やモニタもできますので、処理単体デバッグが簡単です。仮に、片方の処理が未完成であっても、RAM設定/モニタで結合デバッグもできます。

ブザ音処理の追加前と後で、スイッチ入力処理には影響が無いことも判ります。つまり、処理の部品化も可能です。

割込み処理は、優先順位に注意が必要です。テンプレートは、時分割ループ生成のために、SysTickタイマと呼ばれるタイマを使います(その名が示すように、システムのチックタック動作タイマ)。SysTickタイマの割込み優先順位は高く、サンプルで割込み処理が使われても、このSysTickタイマよりは低い優先順位です。

注意が必要なのは、複数サンプルの割込み処理をテンプレートへ追加する場合です。割込みには、デフォルト優先順位があります。このデフォルト順位で処理できるか、変更が必要かの検討が必要です。
デフォルト順位でOKなら、そのままテンプレートへ流用します。変更する場合は、マイコンに依存しますので、データシートを参照して順位を変更してください。

RL78/G1xタイマの検討優先順位設定に関しては、過去のブログ記事を参照してください。

アプリケーション開発手順4のまとめ

  • サンプルソフト初期化関数は、そのまま丸ごとテンプレート初期設定へ挿入
  • サンプルソフトのループ処理は、サンプル起動関数を適切なテンプレート時分割ループへ挿入
  • サンプルソフトの割込み処理は、割込み優先順位に注意し、テンプレートの割込み処理へ挿入
  • 関数間は、部品化のため、RAMインタフェースを使い、単体/結合デバッグを行う

テンプレートですから、部品化した関数の挿入でアプリが完成します。また、部品の再利用を容易にするため、部品単位でファイル化します。複数の割込み処理は、優先順位に注意し、必要なら設定を変更します。関数間は、RAMで切り離し、関数単位でのデバッグを容易にします。

テンプレートを使うと、開発者毎に異なるアプリ開発手法が統一でき、また、処理がファイル単位で部品化できますので、流用性や可読性も良くなります。

マイコンテンプレート販売中

前半、後半と長い説明になりましたが、マイコンテンプレートを使ったアプリケーション開発手順を示しました。シンプルテンプレート、メニュードリブンテンプレートが付属した、4種類のマイコンテンプレートを、各1000円(税込)で販売中です。

IoT向き省電力マイコンのLPC824は、2015/04Eに加わる予定です。

テンプレート名
(MCUコア)
対応マイコン
(ベンダ)
評価ボード:動作確認ハードウエア ブログタグ
RL78/G1xテンプレート v3.1
(RL78-S2/S3
RL78/G13
RL78/G14
(Runesas)
・BB-RL78G13-64(推薦ボード)
・G13スタータキット
・G14スタータキット
・QB-R5F100LE-TB
・QB-R5F104LE-TB
RL78/G13
RL78/G14
LPC8xxテンプレート v2.1
(Cortex-M0+
LPC812
LPC824
(NXP)
・LPCXpressoLPC812 + Baseboard
・LPCXpresso824-MAX + Baseboard
LPC812
LPC824
LPC111xテンプレート v1.1
(Cortex-M0
LPC1114
LPC1115
(NXP)
LPCXpressoLPC1114 + Baseboard LPC1114
Kinetis Eテンプレート v1.1
(Cortex-M0+
Kinetis E
(Freescale)
FRDM-KE02Z40M Kinetis E

 

テンプレートソースをご覧になれば、文書で示したものよりも、より直接的にテンプレートの処理内容がご理解いただけると思います。
また、テンプレート本体とサンプルソフト流用部分のソース間には、5行以上のスペースを入れ、視覚的にもテンプレートと流用部分の切れ目が判る工夫をしています。
サンプルソフト流用部分は、オリジナルの英語コメントですが、テンプレート本体は、日本語コメントで(冗長に?)説明を加えています

概要と仕様の説明資料は、マイコンテンプレートサイトから無料ダウンロードもできます。

テンプレートは、処理が何もない時は、Sleepする消費電力低減機能や、WDT:ウオッチドックタイマ処理、テンプレート本体の暴走監視機能など、アプリとして最低限必要な機能も実装済みです。

零から始めるアプリ開発に比べ、実務に直結した弊社マイコンテンプレートを活用して頂ければ、マイコンの習得と、可読性、流用性に優れたアプリケーションの早期開発ができます。是非、ご検討ください。

 

補足:スイッチ入力処理のチャタリング対応

サンプルソフト:R01AN0451JJ0301は、スイッチ入力処理にチャタリング対応がありません。マイコンの入力処理には、チャタリングに対するノイズ対策は必須です。ソフトウエア対策として、複数回スキャンし、入力が同値の時に、値を確定する方法が一般的です。弊社シンプル/メニュードリブンテンプレートは、この方法を採用しております。

この処理には、何回一致を判定するか、スキャンタイミングはどの程度か、の2パラメタがあり、使用スイッチに応じてこのパラメタを決める必要があります。弊社では、2回一致、10msタイミングで、タクトスイッチ入力処理を行っています。

テンプレートでご利用の実際のスイッチに応じて、これらパラメタ、特に回数のパラメタを変更すると効果が高いと思います。

マイコンテンプレート活用のアプリケーション開発(前半)

マイコンのアプリケーション開発方法として、マイコンテンプレートを使った方法を前後2回に分けて示します。
テンプレートを使えば、マイコン習得と可読性、流用性に優れたアプリが素早く開発でき、開発者毎に異なる開発手法も統一できます。
前半は、アプリケーション開発手順1~3を解説し、次回、後半で手順4を解説します。

アプリケーション開発手順

動くアプリ完成までの手順を示します。

  1. 対象動作、「何を、どうするか」を明らかにする。この段階では、細かいことを気にする必要はありません。例えば、スイッチをスキャンする程度で十分です。
  2. サンプルソフトを探す。メジャーなマイコンは、必ず多くのサンプルソフトをベンダがサイト公開しています。この中から対象動作のサンプルを探します。
  3. サンプルソフトを読む。サンプルソフトは、「初期設定処理」、次に「ループ処理」の2構成で記載されるものが殆どです。たまに、メニュードリブン形式もありますが、これは、弊社メニュードリブンテンプレートと同様、処理抜出を容易にすることを目的にしたものです。
  4. サンプルソフトの必要部分をテンプレートへ組込み、デバッグ。

以上で、アプリが完成します。

マイコンの場合、組込み後、チューニングが必要な場合もありますが、アプリ完成後の処理ですし、アプリにも依存しますので、先ずは、動くアプリ完成までの手順を示しました。

RAD: Rapid Application Developmentツールを使う場合は、2のサンプルソフトをサイトから探す代わりにRADツールを使ってサンプルソフトを生成すると考えれば良く、同じ手順となります。

サンプルソフトベースの部品化

対象動作は、スイッチ入力処理、LED出力処理などできるだけ細かく分割し、部品化することがポイントです。
最後に、これら部品を組み合わせて1つのアプリケーションにします。部品毎にサンプルソフトを見つけ、デバッグすれば、バグもこの部品内に閉じ込めることができます。また、部品単位の流用性も高まります。

サンプルソフトを組合せてアプリケーション開発
サンプルソフトを組合せてアプリケーション開発

上級者との差が出る箇所と対策

手順1~3で重要なことは、「対象動作の明確化」と、「サンプルソフトの分離読解」です。分離解読とは、初期設定とループ処理を明確に分離して解読することで、処理内容は、大体把握すれば十分です(後述サンプルソフトの読み方参照)。

上級者は、多くのサンプルソフトを経験しているので、的確に対象動作を絞り込め、分離解読が、早く深い点が違います。さらに、上級者は、個人的なテンプレートを既に持っているので、サンプルの流用、組込みとデバッグが効率よくできます。

弊社マイコンテンプレートを活用すると、

  • サンプルソフトの組込みが簡単な、テンプレート獲得
  • 処理単体/結合デバッグが簡単で部品化も容易な、RAMを使った処理インタフェースの獲得

ができますので、上級者との差分を誰でも補えます。

サンプルソフトの選出

何回かサンプルソフトを読むと、より明確な対象動作が選べるようになります。逆に、サンプルソフトが見当たらない時は、絞り込みが不完全、または対象が間違っていると言えます。初めに全てのサンプルソフトをざっと眺めた後で、アプリをイメージするのも良い方法です。

但し、スイッチ入力処理は、注意が必要です。スイッチには、チャタリング対策が必須です。この対策は2つあり、1つがハードウエア、もう1つがソフトウエアの対策です。両者併用もあります。
個人的には、ハード対策の有無に関係なく、ソフト対策は必要と考えます。弊社シンプルテンプレートでチャタリング対策済みのスイッチ入力処理を添付しているのは、この理由からです。
チャタリングは、使用するスイッチでタイミングが異なりますので、対策済みサンプルをベンダは提供しにくいと思います。チャタリングに関しては、以前のブログ記事や、ネット検索すると、多くの情報がありますので、そちらも参照して下さい。

サンプルソフトの読み方

サンプルソフトは、「木を見て森を見ず」にならないように、細かいことは気(木?)にせずに、初期設定とループ処理の2つに分けて読みます。

初期設定は、コメントに注意し、周辺回路の使用方法が開発するアプリと同じがどうかを見極めます。同じなら、丸ごとそのままテンプレートへ流用します。異なる場合は、データシートなどで変更箇所を特定し、実際にサンプルに変更を加え、結果が正しく動作することを確認しておきます。

ループ処理は、無限ループで処理するものと、割込みで処理するものに大別できます。割込み処理は、基本的にそのままテンプレートへ流用します。
無限ループ処理は、何をトリガにアプリを起動しているかが解れば十分です。多くの場合、フラグポーリングやカウンタなどです。この起動トリガで関数化し、テンプレートへ組込みます。

テンプレートの狙い:複数サンプルソフト流用

よほどの上級者やツワモノを除けば、アプリ開発は、サンプルソフトの流用が王道です。敢えてリスクをおかしてサンプルソフト以外の方法でマイコンを動かす必要はないからです。ベンダサンプルは、典型的動作ですので、先のスイッチ処理の例外を除くと、流用可能なものが多いのも理由です。

但し、サンンプソフトは、1個の周辺回路の動作説明が主なので、実際のアプリで必要となる複数の周辺回路を組合せる記述はありません。これが、開発者毎に手法が異なる原因です。弊社テンプレートは、これに対して1つの解を提供します。

弊社マイコンテンプレートは、サンプル処理の流用が簡単で、複数サンプル処理を組込むのも容易です。従って、サンプルを活かした動くアプリの早期開発ができます。また、本テンプレートを用いれば、開発者毎で異なる開発手法を統一でき、可読性や流用性も高まります。次回、後半で詳細を説明します。

アプリケーション開発手順1~3のまとめ

  • 細かい単位の対象動作サンプルソフトを見つけ、初期設定とループ処理の2つに分けて読む
  • サンプルソフトを部品と見なし、複数部品の組合せでアプリケーションを開発
  • サンプルソフト獲得方法は、ベンダサイト、RADツールがある

次回は、手順4の部品化したサンプルソフトのテンプレートへの組込みとデバッグ、複数サンプルが同時に動くしくみを説明します。

 

補足:チューニングとマイコン性能

アプリケーション開発で最も厄介なのは、実はチューニングです。

アプリに最適なマイコンを選定していれば、一部アセンブラ化などのチューニングなしで動くアプリができます。しかし、この選定失敗、もしくは、選定マイコンが古いのにアプリ追加などで、性能を絞り出す場合などの、最後の手段としてチューニングもありえます。
但し、苦労してチューニングしても、トラブルフリーの経験がないので、絶対に避けるべきだと思います。結局、高性能マイコンへの置換えという結果になります。

では、マイコン性能はどの程度が正解でしょうか? マイコンでシステムを制御する場合、通常アプリ以外の処理ソフト、例えば、ハード/ソフトの出荷時のセルフテストや、入力が一定時間ない時のデモンストレーション表示なども必要です(自動販売機などでおなじみですね)。ここでは、これらソフトを「システム運用ソフト」と呼びます。

これらシステム運用ソフトは、通常アプリ動作中には、並列処理をしませんので、消費するのはROM/RAMです。ソフト開発者は、ROM/RAM量を見積もる時に、これら通常動作には現れないシステム運用ソフトも考慮する必要があります。経験では、通常アプリと同程度、つまりトータル2倍のROM/RAMは必要と思います。

また、必要となるマイコン性能は、通常アプリと、上の例で示したようなシステム運用ソフトの両方で考慮すべきです。処理能力に十分な余裕がないと、再現性のない取れにくいバグ発生のリスクも高まります。この処理能力も、2倍程度の余裕が必要だと思います。

ハードウエア設計の「ディレーティング50%」と同様、2倍の余裕がマイコン設計には必要と思います。

LPC824向けLPC82xテンプレート開発着手

次期マイコンテンプレートの3候補マイコン、NXP LPC824、Freescale Kinetis L、ルネサスRL78/I1Dのうち、LPC824とmX-BaseBoardとの接続方法について検討します。

IoT向きマイコンの要件

2015年1月~2月の集中調査の結果、IoT向きのマイコンは、以下の要件を持ちます。
・バッテリ駆動可能な動作電圧(1.8~3.6V)
・12ビットADC
・DMA/DTCと省電力動作モード
・低価格(¥500以下目安)
3マイコンは、いずれも要件を満たしており、2015年3月現在のマイコンと評価ボードの価格は下記です。

マイコン
(パッケージ)
価格(入手先) 評価ボード(価格、入手先)
LPC824 (32HVQFN) ¥259(DigiKey) LPCXpresso824-MAX(¥2800、秋月電子)
Kinetis L04 (48LQFP) ¥220(チップワン) FRDM-KL05Z (¥1747、DigiKey)
RL78/I1D (48LQFP) ¥430(マルツオンライン) RTE5117GC0TGB00000R(価格不明)

 

IoT向き省電力マイコンテンプレート開発着手

ルネサスRL78/I1D評価ボードは、現在、個人入手できませんので、価格不明です。
NXPとFreescaleは、合併の結果現状のARM Cortex-M0+マイコンの供給状況が変わる可能性もあり、リスクが少ないRL78/I1Dから着手したいのですが、上記のように評価ボードが入手不可で、同じS3コアのRL78/G14ともピンコンパチではないため基板流用もできません

そこで、発売日が新しいLPC824から省電力マイコンテンプレート開発に着手します。CPUボードと周辺回路が実装済みのmX-Base Board(後述)の両方が、秋月電子から簡単に入手できることも理由です。

LPCXpresso824-MAXとmX-Base Boardの接続

LPCXpresso824-MAXは、mbedとしても動作するCPUボードです。販売中テンプレートのLPC812やLPC1114では、制御系ボードとするため、mX-Base Boardと接続して動作させましたので、LPC824でもこのmX-Base Boardを使います。

LPCXpresso824-MAXは、BaseBoardとArduinoの両方のコネクタを持っています。しかし、BaseBoardコネクタを使う場合、mX-Base BoardのEthernetコネクタが接触して直接装着ができません。

LPCXpresso824-MAXとmX Base Board接続(BaseBoardコネクタ利用)
LPCXpresso824-MAXとmX Base Board接続(BaseBoardコネクタ利用)

そこで、もう一方のArduinoコネクタを使いmX-Base Boardと下図のように配線します。

LPCXpresso824-MAXとmX Base Board接続(Arduinoコネクタ利用)
LPCXpresso824-MAXとmX Base Board接続(Arduinoコネクタ利用)

これで、BaseBoard実装のLCD、リセットボタン、外部SW、ブザー、ポテンショメータ、EEPROMをLPCXpresso824-MAXから制御できます。

LPC8xxテンプレートV2.1をメジャーアップデートしV3リリース

従来LPC8xxテンプレートV2.1(2015/01/20更新)に、新たにこのLPCXpresso824-MAX向けの省電力テンプレートを追加し、合わせてLPC8xxテンプレートV3とする予定です。

これにより、NXPのLPC800シリーズマイコンへの弊社LPC8xxテンプレート対応は下表となります。

対象マイコン 推薦制御系ボード 対応テンプレート
LPC824 LPCXpresso824-MAX + mX Base Board LPC82xテンプレート(2015/04発売予定)
・シンプルテンプレート
・メニュードリブンテンプレート
・省電力テンプレート
LPC822
LPC812 LPCXpresso812 + mX Base Board LPC81xテンプレート(2015/01/20 V2.1)
・シンプルテンプレート
・メニュードリブンテンプレート
LPC811
LPC810

 

※シンプル/メニュードリブン/省電力テンプレートとは、弊社テンプレートの適用例を示すためのアプリケーションソフトです。
例えば、シンプルテンプレートは、テンプレートにチャタリング対応済みのSW入力とLED出力の2処理を追加した例で、テンプレートの所定位置に、所望処理を追加すれば、だれでも簡単にアプリケーションが完成することを示す目的で作成しております。詳細は、マイコンテンプレートサイトをご覧ください。