MCUテンプレート海外販売開始

MCUテンプレート海外販売に向けWordPressサイト多言語化を行ってきました。本日より下記MCUテンプレートの海外販売を始めます。

RA BeaeMetal、STM32G0x、STM32F0/F1、3種MCUテンプレート販売開始

既存日本語テンプレート10種のうち、第一弾は、ルネサス)RA6/4/2ベアメタルテンプレート、STマイクロ)STM32G0xテンプレートSTM32F0/F1テンプレート3種のテンプレート資料を英語化し販売します。

多言語対応ページの使い方

多言語対応ページの使い方
多言語対応ページの使い方

ブログトップを示すHomeから③テンプレート購入手順は、多言語対応済みページです。従って、サイト右上のプルダウンメニューから、お好きな言語を選べば、日本語表示から選択言語へ変換されます。

①Template list掲載の3種テンプレート説明資料の冒頭3ページは、無料ダウンロード可能です。

テンプレート利点やTipsなどは、②Template Benefits & Tipsに、Template購入方法は、③Template purchase procedureをご覧ください。

お好きな言語でテンプレート概要やメリットなどをご覧になり、MCUテンプレートのご購入を検討頂ければ幸いです。

日本語テンプレート販売は従来通り

日本語MCUテンプレート10種は、従来と同じMCUテンプレートサイトから販売中です。

第一弾の多言語MCUテンプレート3種以外をご要望の方は、日本語MCUテンプレートサイトからもご購入が可能です。

但し、テンプレート説明資料は、全て日本語表記です。ご購入後、Google翻訳などを使ってご自分で翻訳してください。なお、テンプレートソースコード内の冗長な日本語コメントは、コンパイル時に全て削除されますので、制御には無関係です。

Google翻訳の感想

Google翻訳は、便利なツールです。しかし、日本語からの英語翻訳時、英単語間に余分なスペースが挿入されます。例えば、「これはペンです。」をGoogle翻訳すると、「This__is__a__pen.」となります。

この英単語間の2スペースは、Wordなどの置換ツールを使って通常の1スペースへ一括変換できます。しかし、余分なスペースがなぜ挿入されるのかが不明です。理由がお解りの方は、弊社に教えてください。

Afterword:テンプレート役割

テンプレート付属資料の英語化は、手間が掛かりました。ただ、第一弾英語化を期に、3種説明内容を横断的に見直す良い機会にもなりました。

その結果、初心者の効率的MCU習得にテンプレートが適す、テンプレート応用例SimpleテンプレートとBaseboardテンプレートは、プロトタイプ着手時のMCUプロジェクトに適す、これらを再確認しました。

MCU習得やプロトタイプ開発に、弊社テンプレートは役立ちます。是非、ご活用ください。



RA用FSP v4.5.0リリース

2023年6月28日、RA用FSP v4.5.0同梱e2 studio 2023-04がリリースされました。FSPのみがv4.4.0からv4.5.0へ更新され、e2 studioは、前回更新2023-04と同じです。FSP追加機能が下記です。

FSP v4.5.0追加機能
FSP v4.5.0追加機能

Reality AIサポート

API自動生成ツール:FSP v4.5.0追加機能で目新しいのが、Reality AIサポートです。

Reality AIは、ルネサスRAファミリ用のAI開発ツールで、AI処理にはCortex-M7クラスMPUが必要と思われていたのを、低コスト、低消費電力なMCUでも人物検出やモータ故障検出などのAI処理を実現できる特徴があります。

関連投稿:AI MCU

e2 studio 2023-04

IDE本体:e2 studio 2023-04は、更新無しです。

従って、前回更新で驚かされたユーザインタフェース:「消えたプロジェクト選択リスト」も不変です。下記の通りFSP v4.5.0インストール直後のダイアログで全ての内容に✅を入れて確認しました。

e2 studioインストール直後のアクション
e2 studioインストール直後のアクション

FSP v4.5.0 AI Data Collector/Shipper API

FSP v4.5.0 User’s Manual(英文)は、コチラからダウンロードできます。FSP v4.5.0追加Reality AI機能は、AI Data Collector/Shipperの2個のミドルウェアAPIです。

FSPのNew Stackを展開すると、新たにData Collector/Shipperの2個Stackが追加されました。Arm CMCIS5 NN Library Sourceは、前版からありました。

FSP v4.5.0.で追加されたAI Statck
FSP v4.5.0.で追加されたAI Statck

具体的にこのミドルウェアAPIとAI関連StackでどうやってAI処理を実現するかは、e2 studio FSP Summaryタグのフクロウアイコンクリックで表示されるData Shipper Basic ExampleやData Collector Basic Exampleを見ても筆者には、良く判りません。

Summaryフクロウアイコンで示されるBasic Examples
Summaryフクロウアイコンで示されるBasic Examples

FSPの極簡単な利用方法は、1)Stack配置、2)Property設定、3)Generate Project Content、4)Basic Example流用です。しかし、AI処理は、この方法では判らないAI学習などがありそうです。別途アプリケーションノート参照が必要でしょう。

だた、これらAI関連は、現在未発売のRAファミリ最上位RA8シリーズ(Cortex-M85+Helium)用の先行サポートだと筆者は思います。

Summary:RA2/4/6プロジェクトFSP v4.5.0アップグレードOK

RA用FSP v4.5.0同梱e2 studio 2023-04がリリースされました。FSP のみv4.4.0からv4.5.0へ更新、e2 studioは2023-04のままです。

FSP v4.5.0追加機能は、最初に図示したReality AIなどですので、RA2/4/6シリーズには当面無関係、今後発売されるRA8シリーズ用だと思います。

従って、旧FSP開発RA2/4/6プロジェクトをFSP v4.5.0へ更新すると、下記ワーニング表示がありますが、問題なくビルド、デバッグができます。

FSPアップグレードワーニング
FSPアップグレードワーニング



ルネサスArduinoボードへRA4M1供給

Renesas RA4M1搭載Arduino UNO R4 Minimaボード(出展:スイッチサイエンスサイト)
Renesas RA4M1搭載Arduino UNO R4 Minimaボード(出展:スイッチサイエンスサイト)

ルネサスが、Arduinoへ出資後、初めてのArduino最新版UNO R4仕様RA4M1(Cortex-M4/48MHz、Flash/256KB、RAM/32KB)搭載Arduinoボード:Arduino UNO R4 Minima販売が始まりました(2023年6月27日)。

ルネサスArduino出資

ルネサスが、Arduinoへ出資したのは1年前の2022年6月14日。出資額は、10百万⽶ドル(1⽶ドル130円換算で約13億円)です。

その狙いは、オープンソースハードウェアArduinoボードへのルネサスMCU搭載です。

最新Arduino UNO R4仕様

Arduino UNO R4コネクタ(出展:スイッチサイエンス)
Arduino UNO R4コネクタ(出展:スイッチサイエンス)

最新Arduino UNO R4と普及版UNO R3仕様の比較は、Arduino UNO R4 Minima販売元:スイッチサイエンスの動画や、販売サイトに判り易く解説されています。

UNO R4は、UNO R3と上位互換性があり、最大24Vのボード電源入力へ拡張、ボード処理性能もRA4M1(R7FA4M1AB3CFM、Cortex-M4/48MHz、Flash/256KB、RAM/32KB)搭載で、R3比かなりの向上が見込まれます。

Arduino UNO R4コネクタ供給電圧は、UNO R3と同じ5V/3.3Vですので、殆どの既存Arduinoシールドがそのまま搭載できると思います。より高性能Arduinoボードを求めるユーザには、歓迎されるかもしれません。

関連投稿:Arduinoコネクタを持つMCU評価ボードが多い理由

ルネサスRA4M1

RA4M1ブロックダイアグラム(出展:ルネサス)
RA4M1ブロックダイアグラム(出展:ルネサス)

ルネサスRA4は、RAファミリRA2/4/6シリーズの真中性能に位置し、RA2の低消費電力性とRA6のパフォーマンス性を兼ね備えたシリーズです。RA4M1は、静電容量タッチセンサやLCDコントローラのHMIが搭載済みです。

関連投稿:RAファミリ発表

筆者は、5Vトレラントポートが多いRA2シリーズ(Cortex-M23/48MHz)がArduino UNO R4ボードに適すと思っていました。しかしこの予想は外れ、Cortex-M33/100MHz採用が多いRA4シリーズでは異質のCortex-M4搭載RA4M1でした。

Cortex-M4搭載のRA4は、RA4M1以外にRA4W1(Bluetooth 5.0)があります。このRA4W1が、無線対応Arduino UNO R4 WiFiボードになると思います。

RAファミリは、新Arduino仕様向けCortex-M4と、IoTエッジMCU向けセキュリティ強化Cortex-M33/M23の2種コアから構成されています。どちらも狙う市場は、IoTネットワーク末端コンシューマMCUです。

Summary:全方位供給ルネサス

普及版Arduino UNO R3のMCUは、16ビット以下、ここに32ビットCortex-M4のRA4M1を搭載し、最新版UNO R4仕様として発表したルネサスの狙いが成功するかは、少し時間が必要と思います。RA4M1ソフトウェア開発は、UNO R3のそれとかなり異なるからです。

従来ルネサスビジネスとは異なる動向であることは、コチラの記事が明らかにしています。筆者も、記事と同感です。

ルネサスが、従来ビジネスに拘らずArduinoやRISC-Vなど、全方位でMCUを供給しようとする体制へ変化しつつある兆しだと思います。



STM32 Developer Zone

STマイクロが、STM32 MCU/MPU開発者向け総合ポータルサイトSTM32 Developer Zoneを開設しました(2023年6月)。ベテラン/初心者ともに開発に役立つページリンクが多数集約されています。

ポータルサイトのリンク構成を解かり易くするため、フォルダ形式の一覧表示にしました。

STM32 MCU Developer Zone

STM32 MCU Zone (Home) MCUプロジェクトを開始
1-MCU製品ポートフォリオ
2-開発ボード&ハードウェアツール
3-ソフトウェア開発ツール
4-組込みソフトウェア
5-ソリューション
6-開発リソース
アプリケーション別ソリューション AIソリューション
ワイアレス&コネクティビティ
セキュリティフレームワーク
コミュニティ&サポート STコミュニティ
ナレッジ共有
パートナ設計サービス
オンラインサポート(要ログイン)

下図マイクロプロセッサ:MPU(STM32MP1/Cortex-A7+Cortex-M4)以外の全マイコン:MCU情報が、このSTM32 MCU Developer Zoneに集約されています。

STM32 MCUとMPU境界(出展:STM32C0シリーズセミナ資料に加筆)
STM32 MCUとMPU境界(出展:STM32C0シリーズセミナ資料に加筆)

MPUに比べ、AIソリューション等のアプリケーション別ソリューション情報も豊富です(関連投稿:AI MCU)。

また、初心者向きMCUプロジェクト開始リンクがあり、Step1で評価ボード選択、Step2でSTM32CubeIDEを使ったMCU開発手順の説明もあります。

STM32 MPU Developer Zone

STM32 MPU Zone (Home) MPU組込みソフトウェアツールの詳細
1-MPU製品ポートフォリオ
2-開発ボード&ハードウェアツール
3-組込みソフトウェア
4-ソフトウェア開発ツール
5-ソリューション
6-開発リソース
コミュニティ&サポート STコミュニティ
ナレッジ共有
パートナ設計サービス
オンラインサポート(要ログイン)

高度なHMIや複雑処理向けのCortex-A7搭載MPUは、現在STM32MP1シリーズだけです。従って、STM32 MPU Developer Zoneサイト構成は、MCU比シンプルです。

2023年第4四半期にこのSTM32MP1に加え、Cortex-A35、Cortex-M33搭載でセキュアIndustry 4.0、およびエッジ・コンピューティング・アプリケーション向けSTM32MP2シリーズが追加予定です。

ポータルサイトHTMLとリンク構成

ウェブサイトの図や文字、ハイパーリンクの表示には、HTMLが使われます。HTMLで記述したリンク集約ポータルサイトは、肝心のリンク構成が読者に解り難い欠点があります。モニタで一度に表示できる領域が限られるため、リンク構成は、読者がサイト全体を把握した後になるからです。

そこで、本稿は、誰でも見慣れたフォルダ形式で、STM32 MCU/MPU Developer Zoneのリンク構成を示しました。

ポータルサイトは随時更新されますが、リンク構成を把握していれば、常に所望最新リンクへのアクセスも容易です。

注)本稿は、2023年6月9日現在のリンク先を示しています。最新リンクへは、MCU/MPU Developer Zoneホームからアクセスしてください。

Afterword:European Chips Act(欧州半導体法)

欧州半導体法は、EU内の製造活動強化、欧州設計エコシステム刺激、バリューチェーン全体スケールアップとイノベーションを支援するもので、これによりEUは、世界市場シェアを2030年に20%倍増させるという目標を目指しています。

STマイクロとGlobalFoundriesは、2023年6月5日、フランス・クロルで両社共同運用の300mmウエハー工場新設計画の合意を締結と発表しました。総投資額は75億ユーロの見込みで、フランス政府が最大29億ユーロを援助します。

生産だけでなく、より開発し易いMCU/MPUへ向けたオランダ)STマイクロの活用、今後も注目が必要です。



RA用FSP v4.4.0同梱e2 studio 2023-04

RAファミリ用FSP v4.4.0同梱e2 studio 2023-04
RAファミリ用FSP v4.4.0同梱e2 studio 2023-04

2023年5月26日、RAファミリ最新版FSP v4.4.0を含むe2 studio 2023-04が公開されました。今回の2023-04から、ビルド、デバッグ対象を事前設定していたプロジェクト選択プルダウンリストが無くなりました。

消えたプロジェクト選択リスト

e2 studio 2023-01までは、プロジェクト選択プルダウンリスト(下図、太枠)で、ビルド、デバッグの対象プロジェクトを設定し、その後、🔨、🐞アイコンのクリックで対象ビルド、または、デバッグする手順でした。事前の選択リスト設定をうっかり忘れ、別プロジェクトをビルドした方も多かったと思います。

e2 studio 2023-04からは、このプロジェクト選択ダウンリストが無くなりました。

e2 studio 2023-04はプロジェクト選択リストが消えた
e2 studio 2023-04はプロジェクト選択リストが消えた

その代わり、Project Explorerでアクティブプロジェクトを選択するだけで、🔨、🐞アイコンも連動してアクティブに変わります。競合他社Eclipse IDEと同様の操作になった訳です。こちらの方が直接的で間違いも無いでしょう。

注)リリースノートには、本変更が記載されていません。e2 studio 2023-04を初めて起動した時、筆者は、このユーザインタフェース変更に驚き、リリースノートを改めて確認した程です。

e2 studioインストール後のアクション

e2 studio 2023-04インストールは、従来方法と同じ、ダイアログに従って操作すれば終了します。

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e2 studioインストール最後のダイアログは、リリースノートやWhat’s Newに、起動マーク✅がデフォルトで付いています。筆者は、これら✅を外し、Launch e2 studio?を✅に変えます。

通常、What’s New等は読まないためです。今回は、それぞれに目を通して印象に残った点を示します。

What’s New in “RA” e2 studio 2023-04

e2 studio 2023-04がサポートするルネサスMCUファミリは、RAファミリ以外にも6種あり、What’s Newには、これら各ファミリの変更内容が混合表記されています。この混合表記を止めるのが、What’s New冒頭のファミリアイコンです。

New in ”RA” e2 studio 2023-04
New in ”RA” e2 studio 2023-04

RAをクリックすると、RAのみの内容が抜粋されます。このWhat’s New in “RA” e2 studio 2023-04の中で印象的だったのが、Darkテーマ改善です。

Darkテーマへの変更は、e2 studioのWindows>Preferences>General>AppearanceでThemaプルダウンリストをデフォルトClassicからDarkへ変更し、Applyクリックです。Darkテーマが気に入ったら、Restartクリックで設定完了です。

元のClassicに戻すことも簡単です。Dark/Classic、お好みのテーマでe2 studioを使えば良いと思います。

Release NoteのLinux環境充実

久しぶりに見たリリースノートの中で印象に残ったのは、Linux環境へのインストール方法(English日本語)充実です。4Kなど高解像度モニタでのアイコン表示なども記載されています。

MCUクロス開発環境が、マルチプラットフォーム化しつつあるのを実感しました。

Afterword:変化へ順応

従来e2 studio利用のコツだったビルド、デバッグ手順の変更、突然でした。コツ不要になったので、👍と評価します。使い慣れたツールでも、今回のようにHMIが突然変わることがあります👎。

順応のため、通常あまりチェックしないリリースノートやWhat’s Newを見ました。その結果、得られた事柄もあり、プラスマイナス0とします。



AI MCU

AI機能搭載の最新MCUを一覧表にまとめました。人物検出や機器異常検出などのAIアルゴリズム処理には、従来Cortex-M7クラスの高性能MPU(Micro Processor Unit)が必要でした。MPU比、低コストで低消費電力なAI MCUによるエッジAIメリットを示します。

Summary:AI MCUまとめ

AI機能搭載の最新MCU一覧
ベンダ AI MCU、コア AI特徴、AIアプリケーション AI開発ツール
STマイクロ STM32シリーズ
Cortex-M0+他コア対応
コア対応機械学習ライブラリ生成
ポンプ異常検出
NanoEdge AI Studio(専用)
NXP MCX Nシリーズ
Cortex-M33 x2(+NPU)
AI専用NPU処理
顔検出
MCUXpresso IDE(汎用)
ルネサス RAファミリ
Cortex-M85(+Helium)
汎用ベクタ演算Helium処理
人物検知/モータ故障検出
Reality AI(専用)

マイコンでAI」、STマイクロNXPルネサスが競演、2023年5月12日、MONOist記事をまとめたのが上表です。

記事によると、MCU大手3ベンダが、第7回AI・人工知能EXPO(春)2023年5月10~12日、東京ビックサイト会場で、表掲載AI MCUを使って、エッジAI実働デモ展示を行っています。

ChatGPTなどAI利用が一般化し始めました。組込み分野のMCUへもAI搭載の高機能化が始まります。

AI MCUアプローチ

STマイクロは、ソフトウェアでのAI処理、NXPは、専用ハードウェアNPU(Neural Processing Unit)でのAI処理、ルネサスは、汎用ベクタ演算ハードウェアHeliumによるAI処理と、3社3様のAI MCUアプローチです。

また、AI処理開発に、ソフトウェアアプローチのSTマイクロは、STM32コアに応じた専用機械学習ライブラリ生成ツール:NanoEdge AI Studioを使用、同じハードウェアアプローチですが、NXPは、汎用MCUXpresso IDEを使用、ルネサスは、専用Reality AIツール使用、などAI開発ツールも異なります。

NanoEdge AI Studioは、MCU開発者にAI専門知識が無くてもMCUコア性能に合わせたAI実装ができるそうです。

エッジAI MCUアプリケーションとメリット

Cortex-M85搭載RAファミリによるAI人物検出デモ(出展:ルネサス)
Cortex-M85搭載RAファミリによるAI人物検出デモ(出展:ルネサス)

各社のAI実働デモから、上図のような人物・顔検出と機器異常検出が、エッジAI MCUのターゲットアプリケーションのようです(関連投稿:RAファミリ最新情報)。

これらAI処理にMPUは使わず、小パッケージ、低コストの本稿AI MCUを使い、家電や機器内の既存MCUを置換えることで「装置構成はそのままに様々なAI機能を追加実装できる」これが、AI MCUのメリット、更に革命と言われる理由です。

Afterword:新たなMCU開発方法

実装AI機能により、求められるAI MCUコア性能もCortex-M0+からCortex-M85など様々です。それでも、MPUやGPU(Graphics Processing Unit)利用よりは、低コストエッジAIが実現できそうです。

従来MCUの置換えメリットだけでなく、AI MCUを使った新しい装置開発も面白いと思います。

各社AI MCUは、セキュリティ対応も強化されています。AI、IoTセキュリティ、RTOS…などなど、従来のCortex-M系ベアメタルMCU開発に加え、多くの新知識と追加開発がAI MCUに必要です。正直、食傷気味です😣。

従って、専門知識が無くてもAI実装できるツールなどは、大歓迎です。新しいMCUには、各種ツール活用の新しい開発方法を、拘りなく使える柔軟性も必要です(関連投稿:新しいMCUハードソフトの学び方)。

ツールを使っているうちに、専門知識や関連知識は、自ずと身についてくるハズです。



RAファミリ最新情報とFSP

ルネサスは、最近元気です。特にRAファミリMCUにその傾向が顕著です。RAファミリ最新情報を2件ピックアップし、ルネサスRAファミリソフトウェア開発の鍵:FSP習得の重要性を示します。

Cortex-M85搭載AI処理実装RAファミリ

Cortex-M85搭載RAファミリによるAI人物検出デモ(出展:ルネサス)
Cortex-M85搭載RAファミリによるAI人物検出デモ(出展:ルネサス)

2023年3月14日~16日、ドイツ開催embedded world 2023で、ルネサスは、Cortex-M85コア搭載のRAファミリへAI処理を実装し、人物検出へ適用したデモを行いました。

従来、人物検出アルゴリズム実行には、Cortex-M7クラスMPU(Micro Processor Unit)が必要でした。このCortex-M85搭載RAファミリにより初めてMCUでもAI処理可能となり、MPU比、低コストで低消費電力動作など革命が起こるそうです。

このCortex-M85搭載RA MCUは、2023年中にリリース予定です。

SDR搭載RAファミリサンプル出荷

SDR(Software Defined Radio)は、ソフトウェアにより無線機能の変更が可能なハードウェアのことです。Cortex-M33コアRAファミリに搭載するSDRは、Bluetooth 5.3 Low Energyまでの各種Bluetooth仕様に対応しました。

つまり、ソフトウェアを更新すれば、常に最新バージョンBluetooth準拠のMCUになる訳です。2023年4月11日、このRA MCUのサンプル出荷が始まりました。

SDR搭載RA MCUは、ルネサス初の22nm製造プロセスMCUです。但し、22nmロジックとは異なる製造プロセスの不揮発性メモリを混載封止したSIP(System In Package)版MCUです。

不揮発性メモリまで同一の22nmで製造し、さらに高速で製造原価を下げたMCUの提供時期は、未定です。SIP版で機能優先のサンプル出荷を開始したのでしょう。

RAファミリへ最新技術を適用する理由

これら最新技術は、従来のMCUファミリには搭載しづらいです。その理由が以下です。

先ずハードウェア的には、最新技術が22nmなど先端MCU製造プロセスをベースにしていること、また、IoT向きCortex-M33/M85コアのRAファミリの方が、従来コアへ最新技術を追加するより性能的にも導入し易いこと、などです。

次にソフトウェア的には、RAファミリが、新しいFSP(Flexible Software Package)で開発することも一因です。簡単に言うと、FSPはAPI生成ツールです(関連投稿:MCUベンダAPI生成ツール比較2020年版)。

FSPは、HALやBSPなどハードウェア依存部分を隠ぺいしつつ効率的MCUソフトウェア開発ができる
FSPは、HALやBSPなどハードウェア依存部分を隠ぺいしつつ効率的MCUソフトウェア開発ができる

IoT MCU製品は、従来のベアメタルソフトウェア開発へ、RTOSや通信、セキュリティなど様々な機能が追加されます。

これら追加機能は、製品毎に適用が大きく変わる可能性が高く、その変更に対し開発ソフトウェア流用性や、柔軟かつ素早い対応も求められます(前章SDR搭載RA MCUが一例)。

FSPは、BSP(Board Support Package)やHAL(Hardware Abstraction Layer)を利用しMCU個別ハードウェア依存部分を隠ぺいしつつ、効率的かつ柔軟にソフトウェアの早期開発ができるよう工夫されています。

最新ルネサスMCUファミリソフトウェア開発の鍵FSP

つまり、ルネサス最新技術を活用したIoT MCU製品の早期開発には、FSPを上手く使えることが重要です。

FSPが扱うソフトウェアは、従来のベアメタル開発だけでなく、RTOS(Azure RTOS/FreeRTOS)や通信、各種USB、TrustZoneセキュリティなどと広範囲に及ぶため、FSP活用にはコツや慣れも必要です。

逆に、この鍵となるFSPを開発者が習得すれば、RAファミリに限らずルネサス最新IoT MCU製品化に、大きく貢献できる訳です。FSPは、RAファミリ以外のルネサスMCU開発へも適用されています。

まとめ

最新RAファミリソフトウェア開発の鍵:FSP
最新RAファミリソフトウェア開発の鍵:FSP

最新技術搭載のルネサスRAファミリMCUは、今後急速に増えます。最新RAソフトウェア開発の鍵:FSPを習得し、ベアメタル/IoT MCUソフトウェア開発に貢献できるようスキルを磨きましょう。

FSP習得方法

弊社RAベアメタルテンプレート(1000円税込)は、効率的かつ効果的にFSP習得ができます。将来的には、RTOSへも対応したRA RTOSテンプレート(仮名)も開発予定です。

判り易い添付資料と低価格で入手性が良いFPB-RA6E1、または、FPB-RA4E1評価ボードと、Baseboardを利用すれば、どなたでもFSP提供サンプルコードを活用、流用したRAベアメタル開発が可能で、FSP利用のコツも掴めます。是非、ご活用ください。




Tips)最新FSP v4.3.0でも、RTOS開発に100%対応はしていません。例えば、Developer Assistanceは、ベアメタルHAL callback関数定義はできますが、FreeRTOS callback関数定義はできません。
今後のFSP改版で、RTOSへの対応も広がるでしょう。但し、FSP習得タイミングとしては、ベアメタル開発に完全対応済みの「今がチャンス」と言えます。



RAファミリクラウド開発環境提供

ルネサスは、クラウド上のMCU開発環境でRAファミリの開発ができる「クイックコネクトスタジオ」の提供を開始しました(2023年3月1日)。

ブラウザのみで使えるクラウド開発結果を、ローカル環境のe2 studioへダウンロード可能でRAファミリプロトタイプ開発の早期立上げに役立ちます。

クラウド開発の利用手順

クイックコネクトスタジオ利用手順(EK-RA2E1開発例)
クイックコネクトスタジオ利用手順(EK-RA2E1開発例)

クラウドMCU開発環境クイックコネクトスタジオの利用手順を、簡単にまとめます。

  1. クラウドクイックコネクトスタジオへログイン
  2. 画面右側のGETTING STARTに沿って操作
  3. 新規プロジェクト作成→RAボード選択→PMODモジュール選択→ビルド→開発Zipファイルをローカル環境へダウンロード
  4. クラウド開発Zipファイルをローカル環境e2 studioへインポート
  5. 手元に用意したRAボード+PMODモジュールで実動作確認

Zipファイルには、ハードウェア選択肢のRAボードとPMODモジュールのベアメタル開発サンプルコードが生成済みです。1~3で使うツールはブラウザのみ、新規プロジェクト作成からZipファイルダウンロードまで数分でできます。

クイックコネクトスタジオのクラウドハードウェア構成と同じものをローカル側に用意すれば、直に動作するサンプルコードが僅か数分で入手できる訳です。

クイックコネクトスタジオ利用により、プロトタイプ開発の早期立上げが実現可能です。

EK-RA2E1、EK-RA6M4評価ボード対応中

4月5日現在、クイックコネクトスタジオが対応しているのは、EK-RA2E1EK-RA6M4の2種RAファミリ評価ボードです。PMODモジュールは、通信関連がBluetoothとWi-Fi、センサ関連がフローセンサと湿度・温度センサです。

関連投稿:PMODモジュール

これらは、IoT製品向きの品揃えです。現在のハードウェア選択肢は少数ですが、今後、品揃えも豊富になるでしょう。

また、ベアメタル開発だけでなくRAファミリの得意分野FreeRTOSやAzure利用のRTOS開発や、セキュリティ強化TrustZoneへも、クイックコネクトスタジオが対応する可能性があります。

注)Cortex-Mxコアに比べTrustZoneなどのセキュリティ強化Cortex-M33/23コアがRAファミリ特徴。

サンプルコードの新しい入手方法

MCU利用の早期製品化には、プロトタイプ開発が必須です。

ベンダ各社は、多くのサンプルコードを提供しプロトタイプ開発支援を行っています。しかしながら、提供サンプルコード数が多いため、どのサンプルコードを利用すれば良いか開発者が迷う欠点もあります。

クイックコネクトスタジオは、評価ボードや使用センサ、通信方法をGUIで選択しながらMCUハードウェアが構築でき、構築ハードウェアの最新サンプルコードをクラウド上で簡単に作成できます。

つまり、プロトタイプ開発に適すサンプルコードを、間違わずに簡単入手が可能です。また、プロトタイプの仕様が変更になっても、クラウド上で「クイック」に対応できます。

さらに、RTOS開発では、AWSやAzureの接続先、TrustZone利用有無、OTA更新有無など製品化の選択肢がベアメタル開発に比べより多くなります。

注)AWS:Amazon Web ServicesはFreeRTOS、Azure:MicrosoftクラウドはAzure RTOS利用。OTA:Over The Airは、IoT製品ソフトウェア更新をクラウド経由で行うこと。

クラウド上で、これら接続先や利用有無に応じた必須ライブラリを自動的にZipパッケージ化してくれれば、ローカル開発環境の準備ミスも防げます。

クイックコネクトスタジオは、プロトタイプサンプルコードの新しい入手方法になると期待できそうです。

RAベアメタルテンプレート販売中

RAベアメタルテンプレートのP1
RAベアメタルテンプレートのP1

ローカル環境でのFSP利用RAファミリベアメタル開発は、弊社RAベアメタルテンプレート(税込1000円)をお勧めします。RAファミリの低価格で入手性も良いFPB-RA6E1FPB-RA4E1評価ボードと、Baseboardで動作確認済みです。

添付資料には、RAファミリ開発の鍵となるFSPの使い方やe2 studioのTipsも掲載済み、FSPサンプルコードを活用できる実務直結テンプレートです。

RAファミリ開発の早期習得ができ、添付資料P1~P3は、テンプレートサイトから無料ダウンロードも可能です。

ご購入、お待ちしております。



RAファミリFSP v4.3.0公開

お知らせ:3月31日金曜投稿はお休み

虫歯治療
虫歯治療

3月31日の金曜投稿は、虫歯治療のため休みます🤒。先週投稿と同じ内容です。

RAファミリFSP v4.3.0公開

RAファミリ向け最新FSP v4.3.0同梱e2 studio 2023-01
RAファミリ向け最新FSP v4.3.0同梱e2 studio 2023-01

2023年3月19日、RAファミリ最新FSP v4.3.0同梱e2 studio 2023-01が公開されました。1月16日公開の他のルネサスMCUファミリ向けe2 studio 2023-01公開から2ヶ月遅れです。

過去のRAファミリFSP更新と異なる点を説明します。

FSP v4.3.0新規インストール

過去のRAファミリFSP更新は、最新e2 studio内に複数のFSPが同居できました。例えば、1つ前のe2 studio 2022-10では、FSP version 4.2.0~3.6.0が同居しており、選択可能でした。

今回のFSP v4.3.0は、新規e2 studio 2023-01フォルダへFSP v4.3.0が新規インストールされます。従って、FSP v4.3.0は、この新規e2studio_v2023-01_fsp_v4.3.0フォルダから起動されます。

FSP v4.3.0新規インストールe2 studio 2023-01
FSP v4.3.0新規インストールe2 studio 2023-01

高密度モニタ125%~175%スケーリングのツールバー表示改善

高密度モニタとは、4K(3840×2160)など解像度が高いモニタのことで、最近流行中です。フルHD(1920×1080)に比べ、縦横2倍の表示が可能です。

但し、4K解像度では、Windows表示テキストが小さすぎて見にくいため、125%~175%の拡大表示へ変更し利用するのが一般的です。e2 studio 2023-01では、このスケーリング変更時のe2 studioツールバー表示が改善されました。

高解像度モニタ活用中の方なら表示変更が判るでしょう。筆者は、100%表示の愛好家ですので、具体的な改善内容は、残念ながら判りません。

関連投稿

MCU開発に適すモニタ解像度(1920×1080~3K)。
MCU開発に適すモニタサイズ(メインモニタ:24~27型、ノートPC:16型)。

まとめ

FSP v4.3.0同梱e2 studio 2023-01デフォルトインストール
FSP v4.3.0同梱e2 studio 2023-01デフォルトインストール

最新FSP v4.3.0同梱e2 studio 2023-01デフォルトインストールが、新規FSPインストールに変わり、これが高解像度モニタ用のツールバー起因なのかは、筆者のPC環境では判りません。

しかし、新規インストールの方が、過去開発環境をそのまま維持できるメリットもあります。デメリットは、ディスク容量など軽微です。

流行のPC環境に伴ってMCU開発環境も変化します。より効率的MCU開発環境へのステップアップ更新と考えます。


8/16ビットMCU置換えを狙う32ビットMCU

半導体不足が続いています。対策として、8/16ビットMCU置換えを狙った、汎用低コストの新しい32ビットMCUを2種紹介します。

STマイクロ:STM32C0シリーズ

STマイクロ、2023年1月12日、低価格なSTM32C0シリーズ(Cortex-M0+:48MHz、Flash:16K/32K、RAM:6K/12K)を発表。

STM32C0とSTM32G0の位置づけ(出展:STMサイト)
STM32C0とSTM32G0の位置づけ(出展:STMサイト)

ルネサス:RA2グループ

ルネサス、2021年10月13日、省スペース低消費電力向けにRA2E2グループ(Cortex-M23:48MHz、Flash:64K、RAM:8K)を、RA2シリーズへ追加。

RA2E2評価ボードのMCU基板アートワーク
RA2E2評価ボードのMCU基板アートワーク

8/16ビットMCU置換え最新32ビットMCU特徴

  • 少数ピン/小型パッケージ
  • 小容量Flash/RAM
  • 低消費電力
  • 低価格(8/16ビットMCUと同等)

8/16ビットMCU置換えを狙う32ビットMCU特徴です。置換え32ビットMCUと言えば、古くからNXP:LPC800シリーズが有名なので、本稿は省略しました。

動作周波数が高くても、Sleepなどの超低消費電力動作時間も長く、実働消費電力は驚くほど小さくなります。また、古い8/16ビットMCUよりも入手性に優れます。

置換え32ビットMCUメリット

旧MCU開発は、周辺回路ドライバなども自主開発することが多く、ドライバとアプリケーションの境界も開発者毎にバラバラでした。最新MCU開発は、ドライバはベンダHAL API生成ツールが自動生成します。

その結果、開発者は、アプリケーション開発に集中でき、ソフトウェア開発費も安くなります。

※HAL API:MCUハードウェアに依存しない(Hardware Abstraction Layer)API。シリーズ/グループが異なっても開発アプリケーション流用が容易。

既に実装済みの旧8/16ビットMCU機能を最新32ビットMCUへ置換える時も、この最新MCU開発環境が使えるため、効率的なソフトウェア開発が可能です。更に、置換えだけでなく、新機能追加、IoTやセキュリティなど高機能アップグレートも容易です。

最新汎用32ビットMCUは、半導体不足にも有効です。紹介したSTマイクロ、ルネサスいずれも、上位MCUへの置換えが可能な基板アートワークができるピン配置を採用しています。

つまり、IoT時代に合わせた開発スキルやソフトウェア発展性があり、基板ハードウェア持続性も期待できるなど、8/16ビットMCU置換え汎用32ビットMCU採用には、多くのメリットがあります。

STM32G0テンプレート、RAベアメタルテンプレート

STM32C0シリーズ開発には、STM32G0Xテンプレート、RA2グループ開発には、RAベアメタルテンプレートがお役に立てます。