STマイクロエレクトロニクスの統合開発環境:STM32CubeIDEがv1.3.0に更新されました(2月28日、更新自動通知メールにて把握)。デフォルト設定のWindows版STM32CubeIDEは、エディタで追記した日本語コメントに文字化けが発生します。これは、昨年投稿したSTM32CubeIDE v1.1.0やv1.2.0と同じで、最新版でも解決されません。
そこで、対策にデフォルト設定を2か所変え、日本語文字化け解決を確認しました。また、Linux Debian版STM32CubeIDEとSW4STM32は、最新環境でもデフォルトで文字化けが無いことも確認しました。
Windows版STM32CubeIDE日本語文字化け発生箇所
2019年4月新登場STマイクロエレクトロニクス統合開発環境:STM32CubeIDE-Winの日本語コメント文字化けは、
- SW4STM32プロジェクトのSTM32CubeIDEインポート後
- プラグイン版STM32CubeMXでのコード再生成時
に、エディタでソースコードに追記した日本語コメントに文字化けが発生します。
※Windows版は、Windows 10 Pro 1909の話です。
STM32CubeIDE-Win v1.3.0日本語文字化け対策
数回のメジャー更新を経て登場後約1年のv1.3.0でも、この文字化けはデフォルトのままでは未解決です。そこで、ネット検索したところ、コチラの対策を得ました。
STM32CubeIDEのデフォルト設定を、2か所変更します。
- フォント設定を、デフォルトConsolasからメイリオなどの日本語文字セットへ変更(ワークスペース毎)
- Text file encoding設定を、デフォルトUTF-8からShift-JISへ変更(プロジェクト毎)
※1は、STM32CubeIDEのWindowタブ>Preferenceダイアログ検索窓へ”font”入力>Colors and Font選択>C/C++選択>Editor選択>C/C++ Editor Text Fontを選択し、Edit…クリックで左図表示
※2は、プロジェクト選択>Propertiesクリックで右図表示
右図のようにプルダウンメニューにShift-JIS選択肢が無い時は、Shift-JISと直接入力し、Apply and Closeをクリックします。
1はワークスペース毎、2はプロジェクト毎に設定が必要です。
これら2か所の変更で、SW4STM32プロジェクトインポート後とSTM32CubeMXコード再生成時、どちらもエディタ追記日本語コメント文字化けは解決できました。
以上で、従来のSW4STM32から新しいSTM32CubeIDEへ、日本語コメント文字化け無しにSTM32MCU開発環境を移行できます。
STM32CubeIDE特徴
STM32CubeIDEは、コード生成ツール:STM32CubeMX、開発デバイスファームウェア(弊社ならFW_F0/F1/G0/G4)全てを1パッケージ化し、全て最新版のみを提供する特徴があります。投稿時のSTM32CubeIDE v1.3.0が下図です。
簡単に言うと、開発ソフトウェアが全てSTM32CubeIDEへプラグインされた形式です。
STM32CubeIDE起動時、またはCheck for Updatesにより、IDEを含めた各プラグイン更新を確認し、常に最新開発環境となります(悪名高いWindows Updateに似ているような…😅)。
これは、プラグイン版STM32CubeMX v5.6.0に、旧ファームウェア選択機能が無いことからも解ります。
例えば、顧客先で稼働中ソフトウェアへ変更を加えるなど旧ファームウェアのまま開発希望の場合は、スタンドアロン版STM32CubeMX v5.6.0を使えば、右図のように旧ファームウェア選択も可能です(関連投稿:v1.2.0の開発環境更新リスク、ファームウェア更新リスク回避策の章に背景説明があります)。
純正STM32Cubeツール
STM32MCUソフトウェア開発に使えるIDEは、下図中央のようにIAR:Embedded Workbench、ARM:Keil、AC6:SW4STM32、etc.などサードパーティ製も数多くあります。しかし、純正STM32CubeツールのSTM32CubeIDEが、STマイクロエレクトロニクス一押しの統合開発環境だと思います。
もちろん、従来からあるSW4STM32もまだ現役(Active)です。ST Communityには、今も多くのSW4STM32事例があります。
そこで、Windows版STM32CubeIDE以外の、SW4STM32とLinux Debian版STM32CubeIDEの現状を調べました。
STM32CubeIDE-DEB
64ビット版のみですが、STM32CubeIDE v1.3.0のLinux Debian版インストーラが、Windows版STM32CubeIDEと同じ純正ソフトウェア入手サイトにあります。
筆者は、DebianよりもMintが好きなので、STM32CubeIDE-DEBをLinux Mint 19.3 MATE (64-bit)へインストールし、デフォルト設定でも日本語文字化け無し、評価ボードで正常動作することを確認しました。
Mintへのインストール方法が下記です。途中で長いライセンス同意を求められます。
chmod +x st-stm32cubeide_1.3.0….sh
sudo ./st-stm32cubeide_1.3.0….sh、または、sudo bash st-stm32cubeide_1.3.0….sh
※NXP:MCUXpresso IDE v11.1.0のInstallation Guide, Appendix A – Linux Installationを参考にしました。
STM32CubeMXやデバイスファームウェアは、Windows版と同様全てプラグインです。Linux版SW4STM32既成プロジェクトが手元に無いのでインポートは試せませんが、問題無いと思います。
リリースノート:RN0114のLinux動作テスト環境にMintは有りません。自己責任でNXP:MCUXpresso IDE v11.1.0 Linux版ともども、Mint上でSTM32CubeIDE-DEBが正常動作したことをお知らせします。
SW4STM32とスタンドアロン版STM32CubeMX v5.6.0
SW4STM32とスタンドアロン版STM32CubeMX v5.6.0で開発環境を構築する場合は、デフォルトでも日本語文字化けは発生しません。従来環境に慣れた方は、SW4STM32もそのまま使えると思います。
お知らせ:STM32FxテンプレートとSTM32G0xテンプレート改版予定
STM32CubeIDE-Win v1.3.0に加えた本稿2か所変更が、次版以降のSTM32CubeIDEにも必要かは判りません。ただ、いまさらShift-JIS設定?という気はします。WindowsでShift-JIS継続利用の弊害は、コチラの記事がよく解ります。
しかし、懸案であった日本語コメント文字化けが解決、新登場後1年経過しv1.3.0となったこのタイミングで、従来SW4STM32から新しいSTM32CubeIDEへ開発環境を乗換えるのもチャンスだと思います。SW4STM32更新頻度が減ったことや、他の純正STM32Cubeツールとの相性良さも期待できるからです。
そこで、SW4STM32で開発・販売したSTM32FxテンプレートとSTM32G0xテンプレートを、STM32CubeIDE-Winを使って再開発に着手し、新にVersion 2として販売する予定です。進行状況などは、本ブログでお知らせします。