2018年12月4日、STマイクロエレクトロニクス(以下STM)の公式ブログで新汎用MCU STM32G0、Cortex-M0+/64MHzを発表しました。以下の特徴があります。
※汎用=メインストリームと本稿では考えます。
新汎用STM32G0、Cortex-M0+/64MHz、メインストリーム90nmの特徴
- 「メインストリーム初の90nmプロセスMCU」:従来メインストリームSTM32F0は180nmプロセス
- 「ハイブリッド」:STM32L4(90nmプロセス)の低消費電力とSTM32F0のメインストリームの両方をハイブリッド
- 「モアIO」:64ピンパッケージSTM32F071比較でIOピン9本増加、48ピンでもIOピン7本増加
- 「単一電源供給」:PCBパターン設計が容易
- 「セキュリティハード内蔵/非内蔵」:128/256ビットAES、セキュアブート、乱数発生器、Memory Protection Unit (MPU)
- 「USB-C」: IPによりUSB-Type-C可能
- 「NUCLEO-G071RB board」:低価格評価ボード提供中、「STM32G081B-EVAL board」:$382
STM32G0オンライントレーニング
データシートよりも解りやすいSTM32G0オンライントレーニング資料が多数あります(要ログイン)。
例えば、以下のような興味深い情報が得られます。各数ページの英文スライド形式ですので、STM32G0以外のMCUを使用中の方でも、チョットした空き時間に読めます。
- STM32G0 Series Presentation:内蔵ハードウェアによりValue/Access/Access & Encryptionの3種製品特徴
- ARM Cortex-M0+ (Core):Cortex-M0とM0+の差、Memory Protection Unit 説明
- Safety:安全基準とその実現方法
- Random Number Generator (RNG):アナログノイズに基づいた32ビット乱数発生
- STM32G0 Boards:NUCLEO-G071RB board解説
STM32CubeMX V5.0.0
STM32G0のコード生成は、STM32CubeMX V5.0.0からサポートされました。
V4までと同じSW4STM32、TrueSTUDIO、両方のIDEで使えます。STM32CubeMX V5が提供するMCUファームパッケージで、本ブログ関連を抜粋したのが下表です。
対象MCU firmware(評価ボード、STM32G0ボード暫定) | 最新Version |
STM32F1(STM32F103RB、Cortex-M3/64MHz) | V1.7.0 |
STM32F0(STM32F072RB、Cortex-M0/48MHz) | V1.9.0 |
STM32G0(V5で新設、STM32G071RB、Cortex-M0+/64MHz) | V1.0.0 |
STM32Fxテンプレートでも使用中のHAL(Hardware Abstraction Layer)ライブラリでコード生成すれば、STM32F1、STM32F0とSTM32G0間で、流用/応用が容易なソフトウェア開発ができると思います。
まとめ
新発売のSTM32G0は、90nmプロセス初のメインストリーム汎用MCUです。一般的に製造プロセスを微細化すれば、動作クロックが高速になり電力消費も低下します。さらに、STM32G0は、Cortex-M0より性能が向上したCortex-M0+コアの採用により、Cortex-M3のSTM32F1クラスに並ぶ高性能と超低消費電力動作をハイブリッドした新汎用MCUと言えます。
周辺回路では、IoTで懸念されるセキュリティ対策をハードウェアで実施、IOピン数増加、PCB化容易、USB-Type Cインタフェース提供など、各種IoTエッジMCU要求を満たす十分な魅力を持つMCUです。
競合するライバルMCUは、Cortex-M0+のNXP S32K116/S32K118(2018/7発売)などが考えられます。
関連投稿:NXP新汎用MCU S32K1