最新ミニPC

ノートPCからモニタと内蔵バッテリを外した構成のミニPCには、2タイプがあります。各タイプの違いと、同一CPURyzen AI 9 HX 370搭載の最新ミニPC 2機種、2025年版Mac miniを紹介します。

Ryzen AI 9 HX 370

Ryzen AI 9 HX 370は、Ryzen AI 300シリーズの最上位1個下のCPUです。37日投稿の弊社選択CPURyzen AI 7 350よりもCPU/GPU強化でNPUは同じ50TOPS版です。

Ryzen AI 300 Cores /
Threads
Boost5 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI 9 HX 375

 12C/24T Up to 5.1  / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 890M  15-54 W  50 

Ryzen AI 9 HX 370

 12C/24T Up to 5.1 / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 890M  15-54 W  50 

Ryzen AI 9 365

 10C/20T Up to 5.0 / 2.0 GHz  24 MB  Radeon 880M  15-54W  50 

Ryzen AI 7 350

8C/16T Up to 5.0 / 2.0 GHz 24 MB Radeon 860M 15-54W 50

Ryzen AI 5 340

6C/12T Up to 4.8 / 2.0 GHz 22 MB Radeon 840M 15-54W 50

このRyzen AI 9 HX 370搭載の最新ミニPC 2機種の試用レポートが、AI X1 ProEVO-X1です。どちらも、弊社が求める外付けNPU追加可能なOCuLink付きで、14万円前後です(同一CPU搭載ノートPCより約30%安)。

通常使いのミニAI PCとしては、十分な性能です(詳細は上記試用レポート参)。この2機種は、電源内蔵型とACアダプタ外付け型の2タイプのミニPCですので特徴を説明します。

電源内蔵型とACアダプタ外付け型ミニPC

ノートPCからモニタと内蔵バッテリを外し、その代わりに大型モニタ裏側にあるVESA規格マウントへも設置できる小さな筐体へ入れたPCが、ミニPCです。大型モニタを好む筆者のような年配開発者には、モニタ裏にPC本体を設置でき、別途設置場所が不要なので便利です。

モニタ裏のVASAマウント設置のミニPC
モニタ裏のVASAマウント設置のミニPC

このミニPCは、「電源内蔵型」と「ACアダプタ外付け型」の2タイプがあります。

電源内蔵型ミニPCは、ACケーブルを本体へ接続すればセッティング完了の利点があります。しかし、外付け型と比べ電源を内蔵した分AI X1 PRO本体が約1.4㎏と重くなります。VESAマウント耐重量に注意が必要です。

一方、ACアダプタ型ミニPCは、ノートPCでよく見かける外付けアダプタから電源を供給します。EVO-X1120Wと容量の大きいACアダプタが付属しますが、PC本体は590gと軽いので、VESAマウント設置や移動に有利です。

電源内蔵型ミニPCとACアダプタ外付け型ミニPCの背面と付属ケーブルなど(出典:試用レポート)
電源内蔵型ミニPCとACアダプタ外付け型ミニPCの背面と付属ケーブルなど(出典:試用レポート)

ミニPCもノートPCと同様、少し無理すればカバンに入れて持ち運び可能なサイズです。また、本稿のRyzen AI 300シリーズTDP15-54Wと低いため、本体持ち出しの時、USB PDからの給電も可能です。

これが更に高性能なRyzen AI MaxシリーズになるとTDP45-120Wとなり、USB PD給電は難しくなります。高いTDPほど高性能ですが、消費電力も大きくなり内蔵バッテリが無いミニPCの電源供給は難しくなります(AI MaxとAI 300の比較は、コチラの投稿1章参)。

以上から、現状のNPUGPU内蔵AI CPUをミニPCで使う時は、USB PD給電もできるRyzen AI 300シリーズCPUTDP 54W以下が適すと筆者は思います。

2025年版Mac mini

本稿で説明したWindowsミニPCのレファレンスモデルは、下図筐体サイズ比較から恐らくApple社の「2023年版Mac mini」です。
※2025年3月28日更新:EVO-X1の大きさが間違っていました。お詫びして訂正いたします。

Windows ミニPCレファレンスモデルのMac miniとの比較(左:AI X1 PRO、中央:Mac mini、左:EVO-X1)
Windows ミニPCレファレンスモデルのMac miniとの比較(左:AI X1 PRO、中央:Mac mini、左:EVO-X1)

2025年版最新Mac mini搭載CPUM4 Pro/M4 MaxTechanaLye社の解析レポートは、とても興味深いので紹介します。驚いたのは、2025年版Mac mini体積や重量が、2023年版比、約40%削減したことです。レポートは、その理由を以下と解析しています。

  • トータル開発力:CPUのみでなく周辺チップセットも開発するトータルPC開発
  • 基板設計力:3nm製造プロセスなど最新半導体や部品特性を見極めた最適基板設計
  • IP利用:最大限Intellectual Property活用し部品共通化などによる高速効率開発

これらのApple技術の結果、「2025年版Mac mini」本体は、手のひらサイズで小型軽量です。

2025年版Mac mini
2025年版Mac mini

AIエージェントに関してはGoogleMicrosoft比、出遅れ感がありますが、寄せ集めWindows PCの一歩先行くApple Mac miniは、エッジAI向き低消費電力で小型高性能PCです。

Win10/11サービス終了やAI普及を機に、Win PCからApple PCへ替えるのも合理的だと思います。

Summary:最新ミニPC

Ryzen AI 9 HX 370搭載最新ミニPC2タイプ、電源内蔵型:AI X1 PROACアダプタ外付け型:EVO-X1を紹介し、特性を解説しました。

電源内蔵型は、PCセッティングが簡単ですが本体重量が重くなります。外付け型は、軽量本体なのでVESAマウント設置や移動が容易です。

どちらのミニPCも搭載CPU TDP15-54Wのため、本体単体の外部持ち出し時、USB PD給電も可能です。より大きなTDP CPU搭載PCの場合は、本体へのUSB PD給電は難しくなります。

従って、可搬性や給電性も考慮すると、Ryzen AI 300シリーズのTDP 54W以下がミニPCに最適なAI CPUだと思います。

ミニPCはRyzen AI 300シリーズCPUのTDP<54Wが適す
ミニPCはRyzen AI 300シリーズCPUのTDP<54Wが適す

2025年版AppleM4搭載Mac miniは、上記最新ミニPCよりも小型軽量で電力効率も良い先進Apple開発デバイスを使っています。Win10/11サービス終了やAI普及を機に、Win PCからMac miniへ替えるのは合理的です。


最新Ryzen AI MaxとNPU懸念記事

Ryzen Al Max+はCPU GPU NPU SoC統合型
Ryzen Al Max+はCPU GPU NPU SoC統合型

AMDAI CPU搭載のOCuLink付きミニPCが、弊社次期AI PC候補です。AMD最新AI CPURyzen AI Max+ 395発表と、NPU関連の懸念記事がありましたので紹介します。

Ryzen AI Max+ 395

製品発表毎に新しいAI CPU名が加わります。そこで、最新AI CPU状況を知り、新旧CPU変化を把握しておくと、AI PC購入時にCPU選択の幅が生まれます。

AMDMicrosoft Copilot+ PC準拠のAI CPU第一弾として昨年発表したのが、Ryzen AI 300シリーズです。そして今年1月、300シリーズの上位モデルで第2Copilot+ PC向けCPUが、Ryzen AI Maxシリーズです。

Ryzen AI Max Cores /
Threads
Boost2 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI Max+ 395

16C/32T Up to 5.1 /3.0 GHz 80MB Radeon 8060S 45-120W 50

Ryzen AI Max 390

12C/24T Up to 5.0 / 3.2 GHz 76MB Radeon 8050S 45-120W 50

Ryzen AI Max 385

8C/16T Up to 5.0 / 3.6 GHz 40MB Radeon 8050S 45-120W 50

Ryzen AI Max+ PRO 395

16C/32T Up to 5.1 / 3.0 GHz 80MB Radeon 8060S 45-120W 50

Ryzen AI Max PRO 390

12C/24T Up to 5.0 / 3.2 GHz 76MB Radeon 8050S 45-120W 50

Ryzen AI Max PRO 385

8C/16T Up to 5.0 / 3.6 GHz 40MB Radeon 8050S 45-120W 50

Ryzen AI Max PRO 380

6C/12T Up to 4.9 / 3.6 GHz 22MB Radeon 8040S 45-120W 50

Pro付きはビジネスモデルで、メモリデータ暗号化などセキュリティを強化しています。

Ryzen AI 300 Cores /
Threads
Boost5 / Base
Frequency
Cache Graphics Model TDP NPU
TOPS

Ryzen AI 7 350

8C/16T Up to 5.0 / 2.0 GHz 24 MB Radeon 860M 15-54W 50

Ryzen AI 5 340

6C/12T Up to 4.8 / 2.0 GHz 22 MB Radeon 840M 15-54W 50

Ryzen AI 7 PRO 350

8C/16T Up to 5.0 / 2.0 GHz 24 MB Radeon 860M 15-54W 50

Ryzen AI 5 PRO 340

6C/12T Up to 4.8 / 2.0 GHz 22 MB Radeon 840M 15-54W 50

1弾の300から第2弾のMaxへは、主に内蔵GPUを強化しています。内蔵NPUは同等ですが、CPU+GPU+NPUのトータルAI処理性能は向上しています。

CPUGPU強化は、従来AMD製品と同じです。但し、今回NPU単体性能が向上していない点を懸念しています。

AI PCアプリ共通実行の仕組み

AI PC性能はCPU、メモリ、ディスク、通信、NPUとGPUで評価できる(出典:窓の杜)
AI PC性能はCPU、メモリ、ディスク、通信、NPUとGPUで評価できる(出典:窓の杜)

最新AI PCNPU性能が、現状維持となった懸念記事が下記です。

  1. NPU対応アプリなのにNPUが使えない、窓の杜、2025228
  2. AI PCのNPUは眠ったまま、TechTarget、2025年3月1日

どちらも、現在Copilot+ PC準拠QualcommSnapdragon CPU内蔵NPUで動作するAIアプリが、少ないことを指摘しています。

1は、NPU対応アプリでもNPU未使用の動作例が多々あり、その原因は、Intel/AMD/Qualcomm各社のNPUハードウェアが異なるためと分析しています。そしてこの対策に、GPU Direct3D相当のAIアプリを共通実行する仕組みを挙げています(GPU Direct3DAfterword参照)。

つまり、NPUハードウェア差を吸収するAIアプリ共通実行の仕組みが現在無いため、各社Copilot+ PCで共に動作するAIアプリが少ないのです。当然、弊社前投稿AIキラーアプリも現れません。

いわば、ローカルPCに高性能NPUを持っていても、宝の持ち腐れ状態です。

今回AMDが、NPU性能向上を図らなかったのは、AIアプリ共通実行の仕組みが無いこと、AIキラーアプリが無いこと、これらにより敢えてAI処理のNPU性能向上リスクや価格高騰は避けたのだと筆者は思います。

逆に、AI PC普及の鍵は、AIアプリ共通実行の仕組みだと言えそうです。

Summary:最新Ryzen AI MaxNPU懸念記事

20251月発表のCopilot+ PC準拠AMD最新Ryzen AI Maxシリーズは、旧Ryzen AI 300シリーズのCPUGPU強化版です。しかし、NPU性能は同じ50TOPSのままです。

AMDNPU性能向上を避けた理由は、現在、AIアプリ共通実行の仕組みが無く、かつ、AIキラーアプリも無いためです。

今年10月のWin10/11 24H2サービス終了前までに、GPU Direct3D相当のIntel/AMD/Qualcomm各社NPUハードウェア差を吸収し、AI PCアプリが共通動作する仕組みは、最低限必要でしょう。これがAI PC普及の鍵です。

AfterwordGPU Direct3D役割

Direct3D_Abstract_Layerの役割(出典:ウィキペディア)
Direct3D_Abstract_Layerの役割(出典:ウィキペディア)

Direct3Dは、グラフィックアプリとグラフィックハードウェア間を抽象化し、ハードが異なってもアプリに対し同じAPIを提供する仕組み。機能的には同じGDIGraphics Device Interfaceよりも高性能。Direct3Dのお陰で、PCが異なっても同じグラフィックアプリが動作。

本稿の標準AI PCアプリ共通動作の仕組みとは、このGPU Direct3DNPU版です。

Afterword2:ミニPC CPU選択肢

最新Ryzen AI Max+ 395搭載ASUSゲーミングノートPCROG Flow Z13 (2025) GZ302(約38万円、OCuLink無し)は、コチラの記事で評価されています。

世代が古いCPU搭載が多いミニPCの場合は、同じNPU性能を持ち価格も安いRyzen AI 300シリーズの可搬性不要Pro無しモデル(前表の緑ライン)のRyzen AI 7 350を中心に弊社は選択しようかと考えています。


Copilot+ PC CPU 25年1月現状

20251月時点のCopilot+ PC対応ノートPC搭載Intel x AMD x Qualcomm 3社の現状が良く判るPart1Part2Part3記事を見つけました。

図表が多く判り易いのですが、長文なので前投稿Chrome追加Copilotを使って要約し、Intel x AMD x QualcommAI CPU比較表にまとめました。

SummaryIntel x AMD x Qualcomm AI CPU比較表(20251月編)

高性能AMD、中庸Intel32GB SoCメモリ)、低電力+最新AI動作Qualcommが表に現れています。

20246Copilot+ PC発表直後のMicrosoft Surface Pro40万円に比べれば、20万円前後でAI PC製品価格もこなれてきました。

弊社採用予定ミニPCCPUで考えると、AMD優位は変わらずです。Armネイティブ動作の高度AIアプリベンチマークが、Qualcomm圧勝なら再考ですが、251月時点では見極め困難なためです。

251月現在

Intel
Core Ultra 200

AMD
(Ryzen AI 300)

Qualcomm
(Snapdragon Elite)

CPUSoC

Core Ultra 7 258V Ryzen AI 9 HX 375 Snapdragon X Elite X1E-78-100

x86/x64互換

互換 互換 非互換(Armベース)

NPU

47TOPS 55TOPS 45TOPS

製品実装メモリ

32GBオンチップ 32GBオンボード 16GBオンボード

バッテリー維持

20時間(64Wh 21時間(68Wh) 26時間(59Wh
バッテリー駆動時間圧勝

ベンチマーク

シングルスレッド優位
(
ビジネスアプリ互角)
マルチスレッド圧勝
(
ビジネスアプリ互角)
スコアやや低下だが大勢影響小
(Arm
ネイティブアプリ小)

高度AI機能

未動作 未動作 リアルタイム翻訳など動作

CPU特徴

低発熱性に優れる 性能追及ユーザー向け 長時間バッテリー動作に優れる
  • Copilot+ PC要件を満たすHP(ヒューレットパッカード)14インチノート3製品実装AI CPUを比較
  • 製品差別化のためIntel>AMD>Qualcomm価格差あるが同一価格帯PC
  • x86/x64互換Intel/AMDと非互換Qualcommベンチマーク比較は目安。高度AIアプリはQualcommのみ動作中(24年11月アップデートでIntel/AMDも動作とMicrosoft発表あるが未動作)。
  • 202412Arm対応アプリ一覧はコチラ
  • 2025年後半に次期Lunar LakePanther Lake投入をIntel発表

比較表作成手順

Copilotを利用した本稿AI CPU比較表の作成手順が以下です。

Part1からPart3は、PCの製品紹介も兼ねているので図表が多く判り易い資料です。従って、それぞれをPDF A4出力し結合すると、全46ページにもなります。内容が濃いので、一読をお勧めします。

さて、長文のため結合PDF1500字程度要約をCopilotへ依頼しました。Copilotは、僅か数秒で1673文字の要約を出力しました。要約出力は、とても良い出来です(AfterwordCopilot要約添付)。

Copilot利用AI CPU比較作成手順
Copilot利用AI CPU比較作成手順

筆者がこのCopilot要約を使って結合PDFを再読し、Intel x AMD x QualcommAI CPU性能比較のためにピックアップしたのが、最初の表です。

※「製品ではなくCPU比較表にまとめて」とCopilotへ要求すれば、もっと簡単に答えが得られたかもしれません。しかし、そこまでAI任せにせず、筆者自身が要約を元に最新AI CPU状況を把握した結果を表化しました。

AfterwordCopilot生成要約

このPDFは、IntelAMDQualcomm3つのプラットフォームを搭載した14AI PCの比較を行っています。以下はその要約です。

### 概要

2024年の大きなトピックである「AI PC」に焦点を当て、Microsoftが定義する「Copilot+ PC」の要件を満たす3つのプラットフォーム(IntelAMDQualcomm)を比較しています。これらのPCは、Windows 11で新たに追加された機能を利用可能です。

### 比較対象のモデル

  • **Intel**: HP OmniBook Ultra Flip 14-fh(Core Ultra 7 258V搭載)
  • **AMD**: HP OmniBook Ultra 14-fd(Ryzen AI 9 HX 375搭載)
  • **Qualcomm**: HP OmniBook X 14-fe(Snapdragon X Elite X1E-78-100搭載)

### スペックと特徴

  • **Intelモデル**: 14型有機ELディスプレイ(2880×1800ピクセル)、最大400ニトの高輝度、タッチ操作とペン対応、Thunderbolt 4対応のUSB Type-C端子3基、約900万画素のWebカメラ、クアッドスピーカー、重量約1.34kg。
  • **AMDモデル**: 14型液晶ディスプレイ(2240×1400ピクセル)、最大300ニトの輝度、タッチ操作対応、Thunderbolt 4対応のUSB Type-C端子2基、USB Standard-A端子1基、約900万画素のWebカメラ、クアッドスピーカー、重量約1.57kg。
  • **Qualcommモデル**: 14型液晶ディスプレイ(2240×1400ピクセル)、最大300ニトの輝度、タッチ操作対応、USB4対応のUSB Type-C端子1基、USB 3.2 Gen 2対応のUSB Type-C端子1基、USB Standard-A端子1基、約500万画素のWebカメラ、デュアルスピーカー、重量約1.34kg。

### ベンチマークテスト結果

  • **CINEBENCH 2024**: マルチスレッド性能ではAMDモデルが突出したスコアを記録。シングルスレッド性能ではIntelモデルが優位。
  • **Geekbench 6**: CPUテストではAMDモデルが強く、GPUテストでも優位。
  • **CrystalDiskMark 8.0.6**: ストレージ性能はQualcommモデルがやや劣るが、他の2モデルは公称パフォーマンスを発揮。
  • **3DMark**: IntelモデルとAMDモデルがほぼ互角だが、若干Intelモデルが優勢。
  • **PCMark 10**: 総合的な性能ではAMDモデルが強く、特にクリエイティブ系のテストで優位。

### バッテリー駆動時間と動作音

  • **バッテリー駆動時間**: Qualcommモデルが最も長く、次いでAMDモデル、Intelモデルの順。
  • **動作音**: 高負荷時にはIntelモデルが最も静音で、QualcommモデルとAMDモデルは動作音が大きい。

### 発熱と放熱性能

  • **発熱**: IntelモデルとAMDモデルはヒンジ部からキーボード中央部にかけて熱を帯びるが、パームレスト部までは伝わらない。Qualcommモデルはボディー左奥が中心に発熱。

### AI体験

  • **Qualcommモデル**: Arm版Windows 11が先行しており、イメージスケッチやリアルタイム翻訳字幕などの高度なAI機能を提供。
  • **IntelモデルとAMDモデル**: 近日中に同様のAI機能が実装予定。

### 結論

それぞれのモデルは異なる特徴を持ち、用途に応じて選択が可能です。Intelモデルは省スペース性と低発熱性に優れ、AMDモデルは高性能を求めるユーザーに適しており、Qualcommモデルは長時間駆動とコストパフォーマンスに優れています。

Copilot+ PC CPU 24年7月現状

Copilot+ PC CPUまとめ(24-06編)の続編です。7月16日、Intel/AMD/ArmのCopilot+ PC CPU状況が判るPC Watch記事が掲載されました。この記事をメインに、ノートPC向けCopilot+ PC CPUの24年7月現状をまとめます。

Edge Copilot記事要約

上記記事をEdgeで開き、右上Copilotアイコンクリックとページ概要を生成するで生成した概要が下記です(厳密会話スタイル)。

Ryzen AI 300シリーズの特徴: AMDの新しいRyzen AI 300シリーズは、50TOPSの性能を持つXDNA 2アーキテクチャを採用し、他の競合製品を上回る性能を実現しています。

異種混合CPU: Ryzen AI 300は、Zen 5とZen 5cの異種混合CPUを搭載し、高性能と低消費電力を両立しています。

Block FP16: 新しい浮動小数点精度であるBlock FP16に対応し、INT8と同等の性能を持ちながらFP16の正確性を提供します。

将来の展望: AMDは今後もRyzen AI 300シリーズの性能向上を目指し、次世代製品の開発を進めています。

筆者記事要約

記事要約としては、前章で良いのでしょう。若干判り難いので、いつものように筆者が要約します。

記事筆者:笠原 一輝氏作成のCopilot+ PC向けSoC仕様が下記です。

Copilot+ PC向けSoc仕様(出典:PC Watch記事)
Copilot+ PC向けSoc仕様(出典:PC Watch記事)

Qualcomm Snapdragon Xが、Copilot+ PCとして発売中のArmコア搭載CPUです。

NPU単体は、7月発売AMD Ryzen AI 300が50TOPS、3Q24発売予定Intel Lunar Lakeが48TOPS(SoC全体はNPU48+CPU5+GPU67=120TOPS)と、先行Armの45TOPSよりも後発の強みを活かし勝っています。

但し、TOPS測定が、各社同一単位FP16/INT8評価か、NPU単体での消費電力はどの程度か等、不明な点も多く、±2TOPS程度は誤差範囲で3社横並びと筆者は思います。

AMD Ryzen AI 300搭載Copilot+ PC 8月発売

HP OmniBook Ultra 14(出典:www.engadget.com)
HP OmniBook Ultra 14(出典:www.engadget.com)

2024年8月に、現在最高NPU性能Ryzen AI 300搭載のCopilot+ PC要件を満たすノートPC:HP OmniBook Ultra 14が発売されます(日本円で23万円から)。しかし、まだCopilot+ PCとは呼ばずにAI PCと呼んでほしいそうです。

その理由は、Armアーキテクチャではなく、x86アーキテクチャだからです。Copilot+ PC CPUリストに今は入ってないからでしょう。

つまり、AI処理本体Windows Copilot Runtimeがネイティブ動作では無く、Armエミュレーション実行です。逆に、従来アプリx86/x64互換性は、Arm CPUに比べ問題が少ないと言えます。

※従来アプリの1つEclipse IDEをベースとするMCU開発ツールも、Win10→Win11アップグレート時、MCUベンダが暫く旧Win10利用を勧める場合がありました。但し、筆者はx86/x64アプリ互換トラブルに遭遇した経験はありません。

筆者推定ですがSoC全体でNPU50+CPU5=55TOPSです。Windows Copilot RuntimeネイティブArm PCと、非ネイティブx86/x64 PCで、AI処理にどの程度差がでるか気になります。Windows専門家評価を待ちたいです。

Intel Lunar Lakeメモリ上限32GB

Intel Lunar Lakeパッケージ(出典:ASCII記事)
Intel Lunar Lakeパッケージ(出典:ASCII記事)

2024年7月15日、ASCII記事に、Intel Lunar LakeのSoC搭載DRAM上限が32GBで増設できない理由が示されています。記事筆者:大原 雄介氏は、この上限は、次期CPU:Arrow Lakeまで続くと推定しています。

Microsoft Copilot+ PCのメモリ要件は、16GB以上の「DDR5/LPDDR5」です。普及しているDDR4 RAMよりも高速/高価格なDDR5を活かしきれず、かつ上限があるDRAMオンチップ化は、SoC全体の低電力を重視したとは言え、裏目に出たようです。

32GB RAM上限とDDR5高速を活かせないLunar Lakeが、AI PC処理に及ぼす影響も、Windows専門家評価を待ちたいです。

Summary:Copilot+ PC CPU 24年7月現状

2024年7月時点のArm/AMD/Intel Copilot+ PC(AI PC)向けCPUを一覧表にしました。

24年7月AI PC CPU ターゲット NPU単体性能 備考 発売
Intel)Lunar Lake ノートPC 48TOPS 40%SoC電力削減
Max. 32GB RAMオンチップ
24年3Q
AMD)Ryzen AI 300 ノートPC 50TOPS TDP28W 8月発売
Arm)Snapdragon X ノートPC 45TOPS Copilot Runtimeネイティブ対応 発売中

発売中Arm CPU単体NPUの45TOPSに対し、後発AMD Ryzen AI 300 CPUは50TOPS、Intel Lunar Lakeは48TOPSと数値ではAMD/Intelが勝ります。

しかし、Windows Copilot RuntimeによるAI処理をネイティブ処理するArm CPUと、エミュレーション処理するx86/x64 Intel/AMD CPUで、AI処理にどの程度差が出るか、Lunar LakeのMax. 32GB RAM上限と速度が、どの程度AI処理に影響するか、さらに、Arm CPUの従来x86/x64ビジネスアプリ互換性なども専門家評価を待ちたいです。

※ゲームアプリに関しては、前投稿(2章)で、互換性問題なしの結果が出ています。

先行Arm CPUに、後発AMD/Intel CPUがやっと追いつき、AI PC性能に大差無し、と筆者は思います。

Afterword:後発AMDとIntelのSoC考え方

AMD Ryzen AI 300パッケージ(出典:PC Watch記事)
AMD Ryzen AI 300パッケージ(出典:PC Watch記事)

最初のPC Watch記事に、Armアーキテクチャを追いかける後発AMDのCopilot+ PC SoCの考え方が示されています。AMDは、「先ず性能が最優先事項、その次が電力効率など」という考え方です。

一方、Intelは、「電力効率を最優先」し、DRAMをSoCに組込んだのでしょう。しかし、その副作用が、4章ASCII記事の内容です。

人類が避けられない技術進化がAI PCです。筆者は、パーソナルAIアシスタント(AIエージェント)PCに期待しています。

AI処理を実用可能レベルで高速実行するには、PCハードウェア選び、端的に言えばCPUが肝心なのは、前投稿でも示しました。AMDとIntelのCopilot+ PC SoCの考え方の違い、現状CPUと次期Arm/AMD/Intel CPU動向などにも注意しながら、新Windows PC CPU選択が必要だと思います。