AI PC選定6ポイント

AI PC(Copilot+ PC)構成
AI PC(Copilot+ PC)構成

結局、前投稿で示したWindows 10EOS対策は、AI PCCopilot+ PC)新規購入か、または、現行PCのままWin12発表後にAI PC購入検討か、の2択です。タイミングが異なるもののCopilot+ PC購入に変わりありません。

そこで、EOSまで残り4か月以下となった6月時点のAI PCCopilot+ PC)選定ポントをまとめました。

※最新情報による2月版AI PC選定ポイントの追加版です。

Summary6月版AI PC選定6ポイント

本稿はCopilot+ PC選定ポイントを6項目にまとめ、その根拠を表形式で示します。

選定ポイント 具体例と根拠
1. Copilot+ PC準拠のAI CPU 秒あたり40TOPS以上(40兆以上の整数演算能力)AI処理専用プロセサ:NPU内蔵AI CPUCopilot+ PC準拠条件。

QualcommSnapdragon ARM64 CPUAMDRyzen AI Max/300シリーズ、IntelCore Ultra 200VシリーズがAI CPUに該当中。

資料:40TOPS以上のCPU、日経XTECH2025/06/05

2. MicrosoftエッジAIサービス
(リコールなど)
リコールなどMicrosoftエッジAIサービスは、様々なものがある。高度な個人情報保護も必要なため、従来の外付けTPM 2.0を、AI CPU内蔵Microsoft Plutonセキュリティプロセサに置換えて対応中。

エッジAIサービスは、当初Snapdragon ARM64 CPUのみへ提供されたが、AMD/Intel AI CPUへも遅れて提供開始。

資料:リコール検索、日経XTECH2025/05/09

3. ユーザエッジAIサービス
AIアシスタント、RAMUMA
AIアシスタント実現ローカルLLM(大規模言語モデル)がユーザエッジAIサービスに有力。Google GeminiMicrosoft CopilotなどのクラウドAIサービス比、情報漏洩リスクが低いのが特徴。

高度AIアシスタントは、Microsoft Surface Pro/Laptop16G RAMは不足。64GB程度必要で、かつ、CPU/GPU/NPURAM領域共有UMAUnified Memory Architecture)が高速処理に適す。AMD社、Apple社のAI CPUUMA採用中

資料:ミニPC 4種比較投稿2025/05/16
生成AIローカルPC検証(前編、後編)、TechTarget2025/05/1305/20
Mac採用のUMA採用のUMA、日経XTECH2025/06/16

4. AI CPU合計TOPSTDP
  • Ryzen AI Max+ 395Ryzen AI 9 HX 370共にNPU単体性能は50TOPS
  • Max+ 395は、CPU/GPU/NPU合計126TOPSTDP45-120W
  • HX 370は、CPU/GPU/NPU合計80TOPSTDP15-54W

エッジAI高速処理にはNPUだけでなくAI CPU合計TOPSが効くHX370は低TDPUSB 65W PD給電も容易。Max+ 395は高TDPのためPD給電困難。

資料:AI CPUとAI MCU投稿Afterword2025/04/11

5. AI Windows優位性 クラウドAI Google GeminiMicrosoft Copilot比較では、ブラウザEdgeCopilotの親和性・操作性がChrome Geminiより勝る。

Apple MacよりもAI Windows機能提供が早い。また、MCPModel Context ProtocolWindows導入WinアプリのAIエージェント対応もMac比速い。

資料:AIエージェントの魅力投稿2025/06/16
Apple WWDC25 keynote
Alternative Blog2025/06/16

6. 複数AI PC間エッジAI同期
(ノートAI PCとミニAI PC価格)
複数AI PC間エッジAI同期方法は不明。つまり、同じAIアシスタントを複数AI PCに跨って使えるかは不明のまま。AIスマホのようにモバイル性に優れるノートAI PC 1台所有なら解決するがが、デスクトップAI PCならエッジAI同期は不可避。

ミニAI PCなら移動も可能なため、同一AI CPU搭載ノートAI PCとミニAI PCを比較した結果、ミニAI PC本体はノートAI PC比、3040%安価入手が判明。

資料:Ryzen AI Max+ 395ノートAI PCとミニAI PC比較投稿2025/05/23

Afterword 1:次期AI PCWindows?

多くのWin10 PCがそのまま残りWin11移行が進まなかった主因は、Win10Win11差分の少なさです。Microsoftはこの教訓を活かし、Win11 24H2以降のWindowsWin12)へ、従来と明確な差を生むNPU利用AI機能を搭載しました。AIを使いたいユーザは、NPUを持つCopilot+ PCの購入を必須とした訳です。

現在のAI機能は、主にクラウドから提供中です。このクラウドAIを上手く使うためにもエッジAIは必要です。例えばクラウドAI出力を上手く引き出すプロンプトのエッジAI生成などです。

近づくAI全盛時代に、ユーザのエッジAI利用能力は不可欠です。エッジ/クラウドAI共に他社(Google/Apple)リード中は、Microsoft Windowsだと思います。Office(Microsoft 365)ツールのAI機能強化も、Windowsの強力な追い風です。

Afterword 2:エッジAI用途

上記クラウドAIのプロンプトエッジAI生成に加え、OS操作方法やエッジAIによるPC会話相手生成など、一般ユーザもエッジAIの恩恵は計り知れません。さらに、様々な新しい開発方法AIが提供します。開発者にも、新しいCopilot+ PC購入に見合う生産性向上は十分見込めると思います。

個人的にはAIは、インターネット以来の大変革をユーザへ与えると思います。Copilot+ PCAI活用を始めてはいかがでしょう。


AIエージェントの魅力

AIエージェントとRPARobotic Process Automationを説明します。どちらもPC作業効率の向上に役立つツールです。実績あるRPAAI PC普及で急増予想のAIエージェントを比較しました。

RPARobotic Process Automation

RPAは、PCユーザのキーボード入力、マウス操作などの処理をソフトウェアロボットが模倣し、これらを予め定義された手順に従い自動反復処理するツールです。事前に定義されていない事象発生時は、処理を停止します。

例えば、以下のような定型業務に向いています。

  • システムログイン処理
  • メールの構造化データ抽出とデータベースへの入力
  • 請求書のような定型フォーマット文書の処理
  • レガシーシステムのレコード更新

多くの導入実績があり、日本ではUiPathBizRobo!などが有名です。

AIエージェント

AIを活用し、PCユーザの代わりに外部ツールと連携し処理を実行するソフトウェアで、学習、適応能力を持つため、様々な状況変化にも対応可能です(Afterword1参照)。

以下のような業務に向いています。参考資料:AI時代の自動化を考察【前編】、【中編

  • SNS投稿の感情分析
  • 動的な顧客対応
  • 人間らしい文章生成
  • 非構造化データの要約と洞察抽出

クラウドAIとエッジ(ローカル)AI、どちらのAIエージェントも活用できます。

開発者のAIエージェント活用能力

AI PC普及で開発者必須能力にAIエージェント活用が加わる
AI PC普及で開発者必須能力にAIエージェント活用が加わる

AIエージェントの標準プロトコル:MCPModel Context Protocol)が、PCアプリ大規模構造変化を招くためWin12発表が遅れていると前回投稿で考察しました。

MCP登場前のアプリユーザは、人間でした。しかし、MCPにより、新しいAIエージェントが人間ユーザに加わります。アプリは、人間/AI両方対応のMCPサーバー/クライアント型へ構造が変化します(Afterword1参照)。

アプリが全てMCP対応に変われば、人間よりも超高速で膨大なデータに基づいた学習・判断もできるAIエージェントを、人間が使わないとは考えられません。

もちろん、RAG(検索拡張⽣成)などのAIハルシネーション対策は必須です。しかし、人間同士でもウソは無くなりません。どのようにAIエージェントソフトウェアを利用するかは、人間側の課題です。

MCP登場後は、開発者の必須能力の1つに上手くAIエージェントを利用できることが加わると言えます。

SummaryAIエージェントの魅力

過去の紙と鉛筆利用の開発が、現在のOfficeCADなど各種PCツール利用開発へと変わりました。将来は、新しいAIエージェント利用のPC開発へと進化します。つまり、開発者必須能力に上手くAIエージェントを活用できることが加わります。

過渡期にあるAIエージェントの習得方法は、人それぞれでしょう。言えるのは、新しいAIエージェントが、従来ツールに無い人間的魅力を持つツール(Afterword2参照)ということです。AIエージェントへ慣れていきましょう。

Afterword1:変化対応のAIエージェントソフトウェア

AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)
AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)

RPAのような従来ソフトウェアは、記述処理だけをそのまま処理します。不定義事象発生時は、エラー処理が起動、通常は動作停止する融通の利かない代物です。

一方、MCPアプリ対応AIエージェントクライアントソフトウェアは、色々なアプリ機能をMCPサーバーとして利用します。例えアプリに変更/修正が加わっても提供機能が不変であればそのまま使い続けます。また、様々なアプリを学習・評価し、最も適したアプリなども選べます。標準プロトコルMCPのお陰です。

Afterword2:人間的ツールAIエージェント

AIエージェントはとても人間的です。開発者だけでなく、一般PCユーザの相談や悩みのパーソナルアドバイザとしても活用可能です。初期化も容易なソフトウェアですので、過度な対人関係が不要の付き合いができます。人工知能のお陰です。


Windows12発表遅れの考察

2025519日のBuild 2025Microsoftは、AIエージェント向け標準プロトコルのMCPModel Context Protocol)にWindows 11が対応したと発表しました。

このMCPを簡単に説明し、次期Win12の発表が遅れている原因を考察しました。

SummaryWin12発表遅れ考察

AI PCプラットフォームには、AIエージェント向け標準プロトコルMCPは必須です。次期Win12は、この新しいMCPプラットフォームの構築に加え、MCP AIアプリと従来AIサービスの共存、従来アプリの動作を満たすことが求められるでしょう。

つまり、OS自身の構築に加え、上記大規模Winアプリ構造変化にアプリ開発者対応が必須です。これが、Win12発表が遅れている根本原因だと筆者は思います。

MCPModel Context Protocol)とは

3月末投稿Win11 24H2は、従来PCハードウェアとNPUを持つ新しいAI PCハードウェアの両方をサポートする「ハードウェア移行期OS」で、次期Win12は、移行後のAI PC専用OSへ進化と予想しました。

AIエージェント向け標準プロトコル:MCPとは、このAI PCプラットフォームの必須機能です。

AI PCのローカルAIエージェントは、ユーザの要求を複数アプリやファイルシステムと連携しながら処理します。この連携には、AIエージェントとアプリ双方が標準化されたMCPに対応していることが重要です。

これはオンプレミスのサーバー/クライアントに例えると判り易いと思います。端末アプリやファイルシステムは、MCPサーバーとしてその機能を提供し、クライアントのAIエージェントがそれら機能を呼び出すことでエージェント処理が進みます。

AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)
AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)

発表されたWin11MCP対応は、従来アプリと新しいMCP AIアプリの両方に対応した「AIアプリ移行期のOS」発表でもあった訳です。もちろん、Win12未発表のため、敢えて従来Win11の名前(Win11 25H2 ?)を使ったと筆者は思います。

今後のWindowsは、MCPプラットフォーム上でのAIアプリ/既存アプリ動作を目指すでしょう。そしてその実現の道のりが、遠く険しいことは、開発者なら判ると思います。

既存AIサービスのMCP影響

例えばClick to Doは、「既存のAIサービス」です。Win11 24H2と特定アプリ連携のため「独自な方法」を用いています。新しい「標準MCP」は、Click to Doのより柔軟で高度なWin機能や他アプリとの連携を可能にします。

つまり、既存AIサービスも、標準MCP活用で更に高度化できる訳です。

Microsoftは、現在一部のパートナー向けにMCPプレビュー版を公開し、フィードバックを募っています。Win12リリース前にAIアプリ関連の問題を洗い出すためです。

既存AIサービスも、MCPの影響は大きいと思います。

次期Win123種アプリ対応

Win12AI OSであることは間違いないでしょう。開発者のみならず一般ユーザでも、AI OS搭載PCを一度使うと、従来のAI無しのPCには戻れないからです。これは、AIスマホと同じです。

例えば、コチラの記事AIエージェント:computer useや、GoogleAI検索などです。AI活用で、従来比、高いPC生産性が期待できます。AIは、それほどPCの使い方、ユーザ生活様式を変える力を持っています。

次期Win12が、AI MCP専用OSか、AI MCPアプリと従来AIサービス混在を許容する新旧AIアプリ対応OSか、あるいは、これらに従来アプリも加えた3種アプリ対応OSかは、今のところ判りません。

筆者は、WindowsユーザのAI化は、Win10/Win11 23H2サービス終了の10月以降、急速に進むと予想します。正式なWin11 24H2対応には、NPUを持つ新しいAI PCハードウェア購入がMicrosoft推薦の王道だからです。

AI PC普及スピードが速ければ、複雑な3種アプリ対応は避け、シンプルなAI MCP専用Win12も有りだと思います(MCP AIアプリの豊富提供が前提ですが…)。

  • MCPは、ARM64搭載Prismのようなエミュレーションツールでは対応できないと思います。
  • 非正式なWin11 24H2アップグレード成功の弊社PCは、Afterword参照。

Afterword:弊社PC Win11 24H2アップグレード完了

弊社Win11 23H2保持4 PCを、5月ゴールデンウイーク以降、1週間に1台のペースでRufus 4.7を使ってWin11 24H2手動アップグレートしました。前回の24H2アップグレード時に発生したLANPC接続トラブルも、何の対処も無しに解決されています。これで、Win11 24H2サービス終了2026年秋まで弊社従来4 PCの1年延命が完了しました。

MCP発表でWin12発表も間もなくの気もします。しかし、開発者フィードバック次第で24H2サービス終了延長、または、Win11 25H2もあり得ます。