旧Freescaleの「Kinetisマイコン」と、元NXPの「LPCマイコン」の2つが統合した新生NXPのARMコアMCUラインナップは、2018年3月現在、KinetisとLPCの2つに別れてサイトに掲載中 です。
NXP ARMCortex-M MCUs Site
従来ユーザには、この方が使いやすいと思います。しかし、同じCortex-Mコアでも2種類あり、困惑するユーザもいるのではと思っていました。そんな時、”Kinteis”と”LPC”を統合したNXPのCortex-Mコア資料を見つけたので示します。
その資料は、BRKINLPCPWRMCU REV 1(Oct. 2017) とREV 0(Oct. 2016) です。資料から「Kinetisマイコン」と「LPCマイコン」を横断的に概観します。
NXP Cortex-MコアMCUシリーズ構成
BRKINLPCPWRMCU REV1 (Oct. 2017)のP8とP9をブログ掲載用に縦長に加工、加筆したのが下図です。
MCU Solutions for Every Design (Source: 2017)
Kinetisは、V/K/E/L/EAの5シリーズ、LPCは、800/1100/54000の3シリーズから構成されています。各シリーズの特徴(オレンジ字)と概要(黒字)、それらを示すアイコンが解り易く記載されています。
KinetisとLPCの用途別構成
BRKINLPCPWRMCU REV0 (Oct. 2016)のP4、汎用/アプリケーション向けなど用途によるKinetisとLPCの分類が下図です。
Kinetis and LPC MCUs Offer a Range of Options (Source: 2016)
2016年資料の方が、Kinetis、LPCともに、2017年資料より細かなMCUシリーズが解ります。
2017年と2016年資料比較
2016年資料はKinetisとLPCマイコンの両方が同居する分野もあり、整理統合するのでは?との疑念をユーザに抱かせます。例えば、General PurposeでCost-Effective and Small Form Factor分野には、LPC81x/82xとKinetis KL02/03/05の両方があります。同じ用途に、ほぼ同じ3種類のMCUを供給するのは新生NXPにとって非効率のハズです。
この疑念を抱かないように改版したのが、2017年資料かもしれません。但し、2017年でもLPC1500/1700/4000シリーズや一部のKinetisシリーズが掲載されていないのが気になります。効率化の第一歩かもしれません。
”なぜアメリカ政府はBroadcomのQualcomm買収を阻⽌したのか︖ ”というGIGAZINE記事を読むと、理由は仮にBroadcomがQualcomを買収した場合、Broadcom負債の返済のため、短期的な収益性を重視し5Gや6Gなどの次世代通信規格の開発競争でQualcommが果たすべき長期的な研究開発を切り捨てる可能性があるためだそうです。
買収を免れたQualcomによるNXP買収が完了すれば、この非効率な同居マイコン部分にメスが入るかもしれません。STMicroelectronicsは、STM32マイコンに対して2018年から10年間の供給を保証 しています。NXPも同様のマイコン製品longevity:寿命アナウンスが欲しいです。