生成AI未来予測

AIが人間よりも賢くなるシンギュラリティ、2045年問題
AIが人間よりも賢くなるシンギュラリティ、2045年問題

生成AIの未来予測が良く判る記事を紹介します。弊社は、AIをMCUセキュリティコンサルタントへ活用したいと考えています。この記事のAI自動化が、活用できる確信を与えました。

2つの未来予測

AI未来予測は、2つあります。1つが、今の生成AIはバブルで幻滅期へ入る。もう1つが、生成AIはこのまま加速し、社会を激変、シンギュラリティへ入る。この2つを、発表レポートに基づいて論点整理したのが紹介記事です。

弊社は、後者予測のAI加速、シンギュラリティ実現を信じますので、以下この予測要点をまとめます。

生成AI知能レベルと2027年シンギュラリティ実現

生成AI知能レベル、シンギュラリティ、AI自動化
生成AI知能レベル、シンギュラリティ、AI自動化

記事内の今年6月発表Situation Awarenessレポートが、生成AI知能レベルをまとめています。

2019年:未就学児童
2020年:小学生
2023年:優秀な高校生
2024年:大学生(現在AI知能レベル)
2025か26年:大学院生
2027年:汎用人工知能(AGI)レベルとなりシンギュラリティ実現

※AGI(Artificial General Intelligence)は、人間の考え方、知識の「一部を機能化」した現在のAIの親玉に相当し、人間と同等か最大でも10倍程度の知能レベル。

この予測は、レポート著者Leopold Aschenbrenner⽒個⼈の⾒解ではなくAI研究者、業界の主流意⾒だそうです。今年5月の関連投稿、2045年予測よりもかなり早いです!

この予測の前提は、電力やAI半導体、AI研究者、つまりAI資源が十分に揃うことで、GOMAなどの大手AIプレーヤもAI進化へ注力中のため、Aschenbrenner⽒は2027年末AGI誕生に自信を持っています。

さらに、ソフトバンクはコチラの関連投稿で、AGIの10年後に更に高度なASI:Artificial Super Intelligenceへレベルアップすると予測しています。

AI自動化の仕組み

AGI実現を待つまでもなくAI自身が自分を改良・進化させるAI自動化は、今のAI技術でも可能だというレポートをSakana AI発表しました。そのAI自動化の仕組み(実現ステップ)です。

AI自動化の仕組み(実現ステップ)
AI自動化の仕組み(実現ステップ)
  1. アイデア⽣成:与えられたコードとタスク説明に基づいて、新しい研究アイデアを⽣成。
    ※アイデア⽣成は、⽣成AIの得意分野。
  2. 新規性チェック:そのアイデアに新規性があるかをAIが検索機能を使って調査。
  3. 実験実⾏:他に同様の論⽂が⾒当たらない場合は、そのアイデアを使った実験計画を立案。計画通りにコードを書いて、結果を確認。このような実験を繰返す。
  4. 結果の可視化と論⽂執筆:図表を作り論⽂⽣成。
  5. 論⽂レビューと改善:AIが書いた論⽂をAIが読み返し改善点提案、それを基にAIが論⽂を書き直す。

凄い仕組みです。このAI自動化による論文が既にあるそうです。現在は論文中の図表をAIが正確に読めない課題もありますが、この課題は確実に克服されるそうです。

弊社は、AI自動化によりAIをMCUセキュリティコンサルタントへ利用できると確信しました。セキュリティ全般知識とMCUセキュリティ開発の費用対効果、必要な開発レベル、開発期間などを問い合わせると、自動化AI MCUコンサルタントが、上記ステップを使って回答を出力します。

各ステップの結果を参照することで、AI回答ハルシネーション対策や信憑性確認もできると思います。

Summary:生成AI未来予測

ビジネスのAI利用は賛否あります。生成AI未来予測記事は、賛否両論の主張を整理しています。弊社は、AI進化予測の内容をまとめました。

  • 生成AI知能レベルは、電力、AI半導体、AI研究者が十分に揃い、GOMAなどAIプレーヤのおかげで進化し、2027年にAGIとなり人間知能を超えるシンギュラリティになる。
  • AIが自分自身を改良・進化させるAI自動化は、現在のAI知能レベルでも可能で、既に自動化により数件の論文を生成済み。図表の正確な読取りに課題もあるが、克服される。

Afterword:AI利用で激変するPC作業

生成AI革命がGAFAMからGOMAへ変える
生成AI革命がGAFAMからGOMAへ変える

GOMAの一角Microsoftは、AI(Copilot)のビジネスOffice文書作成にも積極的です。例えば、コチラの記事です。紹介されたCopilot機能は、文書生産性や共同作業性の向上に直結します。もはや文書作成時のCopilot利用は、当たり前で、それをいかに上手く使うかが焦点です。

AIに対する一種のアレルギーは、GeminiのGoogleサービス拡張機能やApple IntelligenceなどのAIスマホ普及により減少し、ユーザは、PCへも更なるAI機能追加を要求すると思います。

AIは、もはやInternetと同レベルの情報機器必須機能へ変化・進化しつつあるのです。


安く早いGPT-4o

AI対人間インタフェース性能を向上するGPT-4o
AI対人間インタフェース性能を向上するGPT-4o

2024年5月13日、GOMA(Google、OpenAI、Microsoft、Anthropic)の一角、OpenAIが、GPT-4o(オー)を発表しました。オーは、omni、ラテン語のすべてを意味し、テキスト、音声、画像、映像の入力すべてに統合対応します。従来ChatGPTよりも安く、早い生成AI入出力処理が可能です。

Summary:安く早いGPT-4o

GPT-4o特徴、OpenAI発表の要約などが堀江貴文氏のYouTube動画(6分31秒)で判ります。
前半2分40秒までが、「本物の人間、堀江氏」解説、後半は、GPT-4oを使ってOpenAI発表を要約し、それを「AIで生成した堀江氏」が説明しています。

既存ChatGPTや競合他社比、利用料金が50%安く、音声と画像理解が速いのが統合対応GPT-4oの特徴です。例えば、音声応答は人間と同じ会話速度、笑い声や感情表現画像も出力できます。

Mac版アプリも同時発表、Windows版は、今年後半リリース予定です。

対人間インタフェース性能向上

AIを人が上手く使うコツは、AIへの質問力です。上手い質問ができれば、所望の回答が得られます。ただ現在、AI自身が急変化しています。この過渡期のAIに合わせた質問のコツを人が掴むのは大変です。

そこで、人間同士の対面会話と同じようにAI側が対応できれば、より簡単に質問ができます。AI側が人に近づくからです。また、対人間インタフェース性能向上によりAI自身の学習速度も更に上がります。

安く早いGPT-4o の特徴が活かせるのは、このAI対人間インタフェースの部分です。

例えクラウドAI利用時でも、GPT-4oは、人と同じレスポンス速度で会話し、人の画像を認識、笑うなどAI感情表現も出力します。堀江氏動画(2分5秒頃)で語られた、GPT-4oとぬいぐるみを使った子供や老人のAI話し相手のフロントエンドとして十分使えます。

つまり、AI入出力を、より人間らしく効率的にできる能力をGPT-4oは持っています。

筆者としては、PC向けだけでなく、エッジAI MCU/MPU向けアプリも欲しいです。
※AIとAIデータを引出すChatGPTなどの役割は、コチラの投稿1章参照。

シンギュラリティ

AIが人間よりも賢くなるシンギュラリティ、2045年問題
AIが人間よりも賢くなるシンギュラリティ、2045年問題

AIが人間よりも賢くなる時を、シンギュラリティ(日本語は技術的特異点)と言います。AIの世界的権威:Ray Kurzweil氏が、2005年の著書でシンギュラリティを2045年と予測したため、2045年問題とも呼ばれます。

筆者は、GPT-4oにより、AIがシンギュラリティに一歩近づいたと思います。最近AI関連の話題は、食傷ぎみですが、GPT-4o出現は、予測よりも早くシンギュラリティになる可能性を秘めています。

GoogleやAnthropicのGPT-4o対抗ChatGPT、MicrosoftのGPT-4o対応Copilot、OpenAIの次期GPT-5がどれ程の能力を持つか想像もできません。ただGOMA各社が、AI開発を加速中なのは確かです。

また、進化中のAIが、次世代半導体も牽引しています。GOMAだけでなく、半導体製造、電力、通信各社もAIが動向を左右しています。生成AI革命といわれるゆえんです。
※生成AIと電力、通信会社の関係は、コチラの投稿参照。

Afterword:MCUソフトウェア開発史と似ている?

現在のMCUソフトウェアは、ベンダHAL(Hardware Abstraction Layer)APIを利用した開発です。数十年前のMCU毎に異なるハードウェアドライバを自作し、アプリ担当に自作APIを提供していた頃とは別世界です。

レベルは違いますが、AI進化もこのMCU開発史に似ています。数年後には、人工知能活用開発が普通になるかもしれません。今、AI進化過程を実感できる我々は、幸せだとも思います。

MCU開発者が、PC利用や開発方法を根本から変える可能性があるAI状況を知ることは必然です。根本変化、別世界に対応できるよう状況を把握しておきましょう。


AIのCPUとMCUへの影響

AIのPC CPUへの影響
AIのPC CPUへの影響

2024年は、AIがPCへ急激な変化を与えそうです。そこで、 AIによる PCハードウェアの変化トレンドを調べました。これら変化は、組込みハードウェアのMCUへも影響すると思うからです。

CPU、GPU、NPUとは? MCUとの違いは?

超簡単にCPU、GPU、NPUを整理します。ついでに、DSPとMCUも加えます。

CPU(Central Processing Unit):パソコンの「汎用演算」装置。PCの頭脳。
GPU(Graphic Processing Unit):「グラフィック演算」専用装置。
NPU(Neural Processing Unit):GPU内の「AI関連演算」専用装置。
DSP(Digital Signal Processor):積和演算等「リアルタイム信号演算」専用装置。
MCU(Micro Controller Unit):組込みシステム「汎用演算」装置。ADC等周辺回路内蔵。

CPU~DSPまでが、PC向け演算装置、組込み向けの演算装置がMCUです。

MCUとPC向け装置の最も異なる点は、MCUは、ADC(Analog Digital Convertor)やメモリなどの周辺回路と汎用演算回路を一体化し小型装置にした点です。

GPU/NPU/DSPは、汎用CPU処理の一部を専用ハードウェアで高速処理します。CPUの代わりにこれら専用ハードウェアが処理するため、PC全体の処理速度が速くなります。

このようにPCハードウェアは、汎用CPUの高速化と汎用処理を補う専用ハードウェアにより進化を続けてきました。

NPUが行うAI関連演算は、Web会議の背景ぼかし、複数言語への同時翻訳、通話のノイズ除去などの処理です。これらは、GPUでも可能ですが、更なる高速処理が可能です。

AI PCのIntel Core Ultra

Intel Core Ultra Processors
Intel Core Ultra Processors

Intelは、AI処理のハイブリッド化が進むと考えているようです。

つまり、ネットワーク側データセンターやGPUのみを使ったAI処理ではなく、PCやスマホなどのエッジ側CPU/GPU/NPUも協力、ネットワークとエッジがハイブリッドにAI処理を行います。

これを実現するエッジ側PCが、Intel Core Ultra搭載AI PCだと発表しました。同記事でIntelは、2025年末までに1億台のNPU内蔵新CPU:Core Ultra搭載AI PCになる、とも宣言しています。

AI有効性が認識されれば、停滞気味のPC買換え需要は一気に加速するでしょう。また、AIハイブリッド化は、急増するAIリアルタイム処理の観点からも好都合です。

GPU+NPU内蔵AMD Ryzen 8000G

AMD Ryzen 8000G Series Processors
AMD Ryzen 8000G Series Processors

2月発表のAMD Ryzen 8000Gは、従来比内蔵GPU強化とNPU(Ryzen AI)内蔵の新CPUです。CPU単体でも、フルハイビジョン(1920×1080、1080p)ゲームが十分楽しめる性能を持つそうです。

コストパフォーマンスに優れるAMD CPUユーザの筆者も、Ryzen 8000Gは気になります。ビジネス用途としても、従来CPUと同じ消費電力(TDP=65W)でGPU+NPU高性能化、AIと高画質対応の新CPUは注目しています。

AI革命によるPCハードウェア変化

AI普及は、PCハードウェアに対し以下の変化トレンドを与えると思います。

・NPU内蔵CPU化
・エッジAIリアルタイム処理化
・低消費電力化

現状のままAIが普及すれば、世界の電力不足は避けられない、エッジ側はもとより、ネットワーク側でも更なる低電力化が必要との認識は、NTTのIOWNが広めました(関連投稿:IOWN、NTT)光電融合技術)。

現状のままでは2030年に世界総電力10パーセント程度をデータセンターが占める(出典:NTT STORY)
現状のままでは2030年に世界総電力10パーセント程度をデータセンターが占める(出典:NTT STORY)

AIがもたらす便利さ、効率性、生産性向上は、「⽣成AI⾰命」と呼ばれます。生成AIとの直接ユーザインタフェースでもあるPCは、ハード/ソフト含め大きく変わるのは明らかです。

Summary:AIのCPUとMCUへの影響

前章にAIによるPC CPU変化をまとめました。

本ブログ対象のMCU/IoT MCUへのAI影響は、簡単に言うと「PC変化の後追い」です。しかし、生成AI革命が、PC後追い時間差を、従来比より少なくすると思います。

AIによるMCU/IoT MCU急変トレンドをまとめると以下です。

・Tiny AIエッジ処理(アプリ例:ポンプ異常検出、顔認識、人物検出、故障検出など)
・超低消費電力動作

MCUは、小型低価格化のためNPU内蔵、または、ソフトウェアでエッジAI処理を行います。小型なAIのためTiny AIとも呼ばれます。アプリ例から、AIハイブリッドのPCより、エッジMCU AI処理比率が高い気がします。

また、数十億ものMCU数が必要なIoT MCUは、1個1個のハード/ソフトの超低消費電力動作が必要になります。

これら動向に対し、MCU開発者は、自ら生成AIを活用し、短納期開発に備えておくべきでしょう。

関連投稿:ハードウェアまたはソフトウェアMCU AI機能とアプリ例、MCU AI現状、生成AI活用スキル

Afterword:慌てず、騒がず、遅れず準備

生成AI革命は、顧客のAIアレルギーを無くし、MCU開発者には、これまでと全く異なる異次元の短期開発や手法を求めるかもしれません。CPUやMCUへの新技術導入もより早くなりそうです。

人間開発者は、慌てず騒がず、しかし、変化にも遅れずに追随が必要です。そのためにも、動向を常に把握し、的確な対応準備を心がけましょう。


業界激震:Microsoft 365顧客にAmazon

買い切り型Officeは2026年全サービス終了、サブスクリプション型Office 365(=Microsoft 365)移行が必要と先日投稿しました。これ関連のAmazonがMicrosoft 365顧客になるというクラウド業界激震ニュースが、Business Insiderで10月19日報じられました。

クラウド業界激震:AmazonがMicrosoft 365を巨額契約
クラウド業界激震:AmazonがMicrosoft 365を巨額契約

契約規模

AmazonのMicrosoft 365購入は、100万ライセンス以上、5年間で10億ドル(=1490憶円)を超える規模です。Amazon社員、顧客実務担当者の両方が、このMicrosoft 365を使います。巨額契約です。

契約要因は生成AI

詳細記事は、ImpressクラウドWatchに掲載されています。概要が以下です。

クラウド版Microsoft 365は、Amazon社員のPCへWord/Excel/PowerPoint/Outlookなどの最新Officeツール、Teamsなどの会議ツール、大容量クラウドストレージOneDriveを提供します。Microsoftは、これらツールへ生成AIを活かした機能追加を頻繁に行っています。最新例は、Microsoft EdgeのAI画像生成です。

Amazonが自社会議ツール:Chime、オンラインストレージ:WorkDocsから、競合他社Microsoft 365への変更要因の1つが、生成AIです。AI活用で、更なる生産性向上が見込まれるからだと思います。

AmazonのMicrosoft 365移行は、2024年前半完了の予定です。

CUI、GUIに次ぐPCインタフェース:AI Copilot

PC生産性を下げるのは、CUI/GUI(キャラクタ/グラフィカル ユーザインタフェース)の煩わしい操作です。これを自然言語対応のAI Copilotで代用すれば、生産性は向上します。AI Copilotが、CUI/GUIの次の新しいPCインタフェースと言われるゆえんです。

CUI/GUIベースのPCヘルプは、使い物になりません。これがAIベースヘルプに変れば、最終目的への最短操作や処理を、自動的に行う事も可能になるでしょう。

例えば、会議議事録生成や、長い文書の要約・校正などです。既に一部AIが使われているこれら機能を、もっと手軽に、しかも高精度に活用できれば、ユーザ能力をより高度な処理へ使えます。

Summary:AmazonのMicrosoft 365移行が当然と考えるユーザ進化

AI激震を受ける側か、AI起因テクノロジ変化に追随できる側か
AI激震を受ける側か、AI起因テクノロジ変化に追随できる側か

高精度なAI訓練は、一国の消費電力を超える可能性もあるという記事があります。対策に、電力効率100倍の次世代ネットワークIWONや、生成AI対応済みCPUなども発表されています。

AIは、現在のテクノロジ全てに影響を与え、変化を起こす可能性があります。クラウド業界激震ニュースAmazonのMicrosoft 365移行は、AIによるテクノロジ変化の1つと言えます。

エンドユーザは、今後現れるAI起因テクノロジ激変を注意深く観察し、今回のAmazon Microsoft 365移行が当然と考える側への進化が必要です。

さもないと、AI時代遅れとなり、激震を常に受ける側になりかねません。

Afterword:AI苦手意識薄れる

AIのFuzzyさや、勝手にデータを利用されるのは嫌だ、という感覚がありました。

しかし、最近の技術資料にAI記述の無いものはありません。MCUとAI投稿で書いたように、仕組みよりその効果を活かせれば良い、と思うようになりつつあります。

また、目的取得手段として最初にAIを使うのも時短効果があります。短縮時間をより高度な思考へ繋げれば良いからです。

AIに洗脳された訳ではありません。しかし、筆者のAI苦手意識がだんだん薄れていくこの頃です。


MCU AIトレーニング資料

STマイクロの日本語トレーニング資料(組込みAI編)
STマイクロの日本語トレーニング資料(組込みAI編)

STマイクロの日本語トレーニングサイト内に、9個の組込みAI資料を見つけたので紹介します。日本語のMCU AI資料は嬉しいです。STマイクロへのログインが必要ですが、どなたでも閲覧(PDFダウンロード)可能です。

MCU AIトレーニング資料8個の内容

トレーニング資料8個の内容です。1~8の内容に加えて10月3日に行われたウェビナー資料:コンピュータ・ビジョン編の計9個MCU AI資料が公開中です。

MCU AIトレーニング資料8個の内容
MCU AIトレーニング資料8個の内容

AI解説(Page 2)記載の8トレーニング資料の説明範囲:「AI基本概念には触れるが、AI、深層学習、Pythonプログラミングの詳細解説はしない」は、Edge AI/MLツールを利用しMCU開発を行う者に最適な内容だと思います(MCU AI現状と対策、1章:Edge MCI AI課題数参照)。

1~8資料は、読者のお好きな時間に読んでください。

本稿は、9個目のウェビナー資料:コンピュータ・ビジョン編から筆者印象に残った点をピックアップします。

コンピュータ・ビジョン編もくじ

コンピュータ・ビジョン編もくじ
コンピュータ・ビジョン編もくじ

ピックアップしたコンピュータ・ビジョン編のもくじです。コンピュータ・ビジョンとは、MCUが、AIを使って画像、動画、その他入力データから目的とする情報を抽出する手法です。

印象点が以下です。

  • Edge AI/ML MCU(Tiny ML Devices)は、2030年に25億台と予測(P4)
  • Edge AI/ML MCUは、クラウド接続無しで低レイテンシ(P9)
  • STM32MCUのAI開発ツールは、STM32Cube.AIとNanoEdgeStudioの2種類あり(P12)
  • 主要STM32汎用MCUは、AI開発ツール2種類両方が使える(P13)
  • STM32Cube.AIは、深層学習アプリケーションを簡単実現(P18)
    • ※NanoEdgeStudioは、前回投稿に記載中
    • ※深層学習とは、ニューラルネットワークによる機械学習手法

つまり、MCU開発者は、2030年の数年前までに、ソフトウェアで他社差別化できるEdge AI/ML(組込みAI)知識獲得と開発が必要と言えます。

Summary:STM32Cube.AIとNanoEdgeStudio差は継続調査

Edge AI/ML MCUが、クラウド接続不要でスタンドアロン動作であることは、大歓迎です。RTOSや高度セキュリティTrustZoneなどのネットワーク技術の必要性が低いからです。

従って、Edge AI/ML MCU開発は、ベアメタル開発の延長線上にあると言えます。25億台/2030年予測の内、Edge AI/ML MCU比率がどの程度かは不明です。しかし、RTOS/TrustZone MCU比率より多いことを筆者は期待します。

前回投稿のMCU AI開発ツール:NanoEdgeStudioと本稿のSTM32Cube.AIの特性差が何かは、現在不明です。もう少しAI/ML知識を獲得すれば、判ってくると思います。継続調査項目とします。

Afterword:判り難さは、馴染み無い用語起因

RTOS/TrustZone MCUよりもEdge AI/ML MCUの方が開発簡単とは言いません。

しかし、ベアメタル開発に近いのはEdge AI/ML MCU開発です。IoT MCUに必須なRTOS/TrustZoneは、AI/MLよりも馴染みが薄い用語が多く、しかも開発にその詳細理解も必須です。

一方、AI/MLは、AI解説編が示すようにAI/ML詳細理解よりMCU AIツールの効率的活用で十分開発できそうなことも理由です。

※望むらくは、AI/ML同様、RTOS/TrustZone開発支援ツールがあると嬉しいですね!

この意味でSTマイクロの組込みAI日本語資料は、MCU開発者に非常に役立ちます。是非一読(何度も読むこと)をお勧めします。馴染み無いAI/ML用語が、だんだん身近なります!

10月2日発表のWindows AI/CopilotもMCU AI/ML普及の追い風になるハズです。


MCU AI現状と対策

今秋リリースWindows 11 23H2は、AIによる作業支援:Copilot機能が追加される予定です。AIがより身近になるでしょう。

AIは、MCU開発へも押し寄せつつあります。ルネサス、STマイクロのEdge MCU AI現状と対策を示します。

MCU開発者に押しよせるAI/MLの風
MCU開発者に押しよせるAI/MLの風

Edge MCU AIとWindows AIの課題数

1: MCU開発へAIをどのように実装するか、2: 実装したAIをどのようにMCU製品メリットへ変えるか、そして、3: Edge MCU AI製品をどのように顧客に活用してもらうか、MCU開発者は、これら課題解決が必要です。

一方、Windows AIは、3:相当 のPCユーザとしてどのようにWindows AIを活用するかが課題です。

Edge MCU AIは、使うだけでなく開発も必要ですので課題の数が異なります。MCUベンダ各社は、AI MCUツールを発表しています。

本稿は、特に1:AIのMCU実装についてルネサス、STマイクロの現状とMCUソフトウェア開発者の対策を示します。

ルネサス:Reality AI Toolをe2 studioへ統合

2023年9月21日、ルネサスは、Edge AI専用ツール:Reality AIを、既存MCU開発環境:e2 studioへ統合しました。これにより、AIプロジェクトとe2 studio間のデータ共有が可能となり、開発効率が上がります。

動画はコチラ

STマイクロ:NanoEdge AI Studio

NanoEdge AI Studio Workflow(出展:NANOEDGE AI STUDIO V3)
NanoEdge AI Studio Workflow(出展:NANOEDGE AI STUDIO V3)

2023年8月3日、STマイクロは、Edge AI 専用ツール:NanoEdge AI StudioとST開発ボードを使って簡単・迅速にAI/ML:Machine Learning関連データを収集・検証し、機械学習アルゴリズムをわずか数ステップで生成できると発表しました。

動画はコチラ

AI/ML必然性

既存MCU開発環境へEdge AIツール出力をライブラリとして取込むことは、ルネサス/STマイクロ共に簡単です。

しかし、非力なMCUに最適なAI出力ライブラリを得ることが簡単か否かは、現在、筆者は分かりません。多分、この判断には、多少なりともAI/ML知識が必要になるでしょう。

AI/ML担当者とEdge MCU担当者、2人いれば問題は少ないです。しかし、Edge MCU開発者が両者を兼務することが、既存MCU IDEへAIツール統合の流れとマッチすることから必然だと思います。

ハードウェアとソフトウェア担当が別れるように、AI/MLとMCUソフトウェア担当が分離することを筆者は想定しにくいです。

Summary:急増Edge MCU AI対策

Edge MCU AI製品とAIなしのMCU製品を比較したSTマイクロの動画(7:34)は、興味深いです(リンク先下方に動画あり)。AI実装有無が、MCU製品の差別化要因になることを示しています。

また、Windows AI:Copilot機能の普及は、MCU製品顧客へも大きな影響を与えると思います。PCでのAI活用事例が多くなり、AIメリットを認識する顧客が増えるからです。

MCU開発者は、Windows AI普及に合わせて増加するであろうEdge AI/ML知識も備えておく必要があります。MCUベンダ各社は、Edge AI/MLセミナを活発化します。是非参加して、基礎知識を獲得しましょう!


AI MCU

AI機能搭載の最新MCUを一覧表にまとめました。人物検出や機器異常検出などのAIアルゴリズム処理には、従来Cortex-M7クラスの高性能MPU(Micro Processor Unit)が必要でした。MPU比、低コストで低消費電力なAI MCUによるエッジAIメリットを示します。

Summary:AI MCUまとめ

AI機能搭載の最新MCU一覧
ベンダ AI MCU、コア AI特徴、AIアプリケーション AI開発ツール
STマイクロ STM32シリーズ
Cortex-M0+他コア対応
コア対応機械学習ライブラリ生成
ポンプ異常検出
NanoEdge AI Studio(専用)
NXP MCX Nシリーズ
Cortex-M33 x2(+NPU)
AI専用NPU処理
顔検出
MCUXpresso IDE(汎用)
ルネサス RAファミリ
Cortex-M85(+Helium)
汎用ベクタ演算Helium処理
人物検知/モータ故障検出
Reality AI(専用)

マイコンでAI」、STマイクロNXPルネサスが競演、2023年5月12日、MONOist記事をまとめたのが上表です。

記事によると、MCU大手3ベンダが、第7回AI・人工知能EXPO(春)2023年5月10~12日、東京ビックサイト会場で、表掲載AI MCUを使って、エッジAI実働デモ展示を行っています。

ChatGPTなどAI利用が一般化し始めました。組込み分野のMCUへもAI搭載の高機能化が始まります。

AI MCUアプローチ

STマイクロは、ソフトウェアでのAI処理、NXPは、専用ハードウェアNPU(Neural Processing Unit)でのAI処理、ルネサスは、汎用ベクタ演算ハードウェアHeliumによるAI処理と、3社3様のAI MCUアプローチです。

また、AI処理開発に、ソフトウェアアプローチのSTマイクロは、STM32コアに応じた専用機械学習ライブラリ生成ツール:NanoEdge AI Studioを使用、同じハードウェアアプローチですが、NXPは、汎用MCUXpresso IDEを使用、ルネサスは、専用Reality AIツール使用、などAI開発ツールも異なります。

NanoEdge AI Studioは、MCU開発者にAI専門知識が無くてもMCUコア性能に合わせたAI実装ができるそうです。

エッジAI MCUアプリケーションとメリット

Cortex-M85搭載RAファミリによるAI人物検出デモ(出展:ルネサス)
Cortex-M85搭載RAファミリによるAI人物検出デモ(出展:ルネサス)

各社のAI実働デモから、上図のような人物・顔検出と機器異常検出が、エッジAI MCUのターゲットアプリケーションのようです(関連投稿:RAファミリ最新情報)。

これらAI処理にMPUは使わず、小パッケージ、低コストの本稿AI MCUを使い、家電や機器内の既存MCUを置換えることで「装置構成はそのままに様々なAI機能を追加実装できる」これが、AI MCUのメリット、更に革命と言われる理由です。

Afterword:新たなMCU開発方法

実装AI機能により、求められるAI MCUコア性能もCortex-M0+からCortex-M85など様々です。それでも、MPUやGPU(Graphics Processing Unit)利用よりは、低コストエッジAIが実現できそうです。

従来MCUの置換えメリットだけでなく、AI MCUを使った新しい装置開発も面白いと思います。

各社AI MCUは、セキュリティ対応も強化されています。AI、IoTセキュリティ、RTOS…などなど、従来のCortex-M系ベアメタルMCU開発に加え、多くの新知識と追加開発がAI MCUに必要です。正直、食傷気味です😣。

従って、専門知識が無くてもAI実装できるツールなどは、大歓迎です。新しいMCUには、各種ツール活用の新しい開発方法を、拘りなく使える柔軟性も必要です(関連投稿:新しいMCUハードソフトの学び方)。

ツールを使っているうちに、専門知識や関連知識は、自ずと身についてくるハズです。



情報の受け手と情報量

ChatGPT懸念の情報が多い昨今です。一方、ChatGPT期待情報もあります。8対2ぐらいの割合でしょうか?

これらChatGPT騒動を例に、情報の受け手と情報量について筆者の思うところを記載します。

Summary:ポイントは適切な受け手想定と情報量

受け手に伝わって、初めて情報と言えます。送り手は、信頼性を高めるため、付加資料や文献出所などの情報量を加えます。

意味ある情報と受け手が判断するには、送り手の「受け手感度の想定と適切な情報量」が大切です。送受双方の感度が上手く合致し、かつ、適切な情報量(ページ数)の時に、人のあいだに意味ある情報として伝わると思います。

注)本稿では、意識、観点、主観など個人判断の基準となる感性全般を「感度」と記述します。

開発依頼者へMCU情報開示する際は、依頼者感度を想定、適切な量の資料作成が必須
開発依頼者へMCU情報開示する際は、依頼者感度を想定、適切な量の資料作成が必須

この伝わり方は、MCU開発者と開発依頼者間でも同じです。

MCU開発者が、依頼者へ情報提供する際は、依頼者感度を想定し、何を、どの程度伝えるか、適切な量の資料を作成すべきと思います。

受け手への情報量

ChatGPT騒動の記事には、技術的な参考資料や文献出所を記事途中に多く掲載するものもあります。

しかし、受け手が、一度に理解できる情報量や集中できる時間は、有限です。実例や簡潔な説明の方が、忙しい受け手や素人には、判り易いのも事実です。受け手の感度を想定した「情報量(ページ数)は、内容と同じぐらい重要」です。

つまり、過多な情報量は、受け手の内容理解の妨げになることもある訳です。

例えば、上司への報告書。忙しい上司から「報告書は1枚以内で提出」と言われた方も多いと思います。ページ数が多いと、上司は、初めから読まないことを暗に示しています。

最終章の「AIで記事を要約する(β)」ボタンでAIが自動生成する要約は、この人間特性も十分認識したうえで、適切な量の要約を作成します。

情報過多は、受け手の内容理解の妨げとなる
情報過多は、受け手の内容理解の妨げとなる

ChatGPT懸念情報

  • ChatGPTの安易な利用は禁物、2023年5月9日、日経XTECH
  • ChatGPTに懸念の声(英原文)、CIO Dive、2023年5月1日、IT Media(和訳)

ネガティブな情報の方が、ポジティブな情報よりもネット拡散し易く、印象に残り易いのかもしれません。ChatGPTのような革新的技術、AI関連技術に関しては、ネガティブ情報が圧倒的に多い気がします。

記事の書き手=送り手は、読者=受け手に読んでもらうことが目的です。ネガティブ記事タイトルの方が、読者や閲覧数が多い場合は、当然、ネガティブ記事が増えます。

ChatGPT期待情報

  • ChatGPTで人はもっと創造的になる、2023年5月9日、日経ビジネス

最近は、「AIで記事を要約する(β)」ボタンがある記事が増えました(実例、最終章参)。このボタンをクリックすると、記事内容が判り易く、しかも、適切な情報量で要約されます。

また、関連投稿でMCU分野FSPについてBingで質問したところ、正確で適切量のAI回答が得られました。

上記の使い方では、ChatGPTやAIは有益だと思います。ChatGPTを使うことでより創造的な時間が得られるという日経ビジネス記事に、筆者は賛同します。

ChatGPT利用は個人判断

厚生労働省は、2023年3月13日以降、COVID-19対策マスク着用の考え方を個人判断へ変えました。

国家機関がわざわざ個人判断を指示すること自体、欧米人は、奇妙に感じると思います。日本人特有の同調意識、他人と同じ感度を指向するからです。

マスク着用同様、ChatGPT利用も個人判断とすべきと思います。

ChatGPTやAI利用は個人判断とすべき
ChatGPTやAI利用は個人判断とすべき

判断のための情報収集は必要ですが、主体は個人、自分です。先ず、自分、つまり受け手のChatGPTやAIの使い方や感度を決めた上で、巷に溢れるChatGPTの情報を取集しないと、書き手、送り手の意見に左右されるだけになります。

筆者は、IoT MCU開発に使えるか否かという感度でChatGPT情報を収集しその結果、不明確なIoT MCU用語の質問に、ChatGPT利用は使えると判断しました。

Afterword:Bard日本語対応開始

2023年5月11日、Googleは会話型AIサービス、Bardの日本語対応を開始しました。これで、メジャーブラウザ、Microsoft Edge BingとGoogle Chrome Bard共に日本語でのAI回答の利用が容易になりました。

AIが適切な情報量で記事を要約するボタン
AIが適切な情報量で記事を要約するボタン

上記開始記事内に「AIで記事を要約する(β)」ボタンもあります(一回のみボタン押下げ可能)。各自で試してみてください。

本稿Summary内容が、具体的にご理解頂けると思います。

なお、BingとBardのAI回答の違いについては、コチラの記事が参考になります。



MCU開発に適すChatGPTの使い方

人間の質問に対し、AIが自然な回答を生成するChatGPT
人間の質問に対し、AIが自然な回答を生成するChatGPT

ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer)は、米)OpenAIが2022年11月に公開したAIチャットポットのことで、「生成可能な事前学習済み変換器」という意味です。人間の質問に対し、AIが自然な回答を生成します(Wikipediaより)。

MCU開発に、ChatGPTをどう活かすかについて私見を示します。

要約:MCU開発に適すChatGPTの使い方

  1. ChatGPTはMCU説明不足内容への質問、回答に使える
  2. ChatGPTは常に進化し続けるAIツールだが、MCUプログラミング適用は時期尚早
  3. AIが人類能力を超える予想の2045年シンギュラリティ前後ならMCU開発へ一部使える可能性あり

MCU製品開発の成功には、知識と経験が必要です。知識獲得の効率的ツールとして、現状のChatGPTは使えると思います。但し、AI回答をMCUプログラミングへ適用するには、現在はAIが未成熟です。

AIが十分に成熟し、人類能力を超えるSingularity(シンギュラリティ:技術的特異点、2045年と予想)近辺になれば、MCU開発へも使えるツールになる可能性はあると思います。

但し、AIがシンギュラリティを迎えても、開発MCU製品の顧客要求とMCU結合チューニングは、人間MCU開発者の経験が必須です。

ブラウザ検索との違い

知識獲得方法は、ブラウザ検索が一般的です。ブラウザ検索とChatGPTの違いを端的に説明しているのが、コチラのCNET Japan記事の冒頭部分です。

ブラウザ検索は、キーワードを入力し、関連性が高いサイトをリスト出力します。MCU開発者は、各サイトを閲覧し、その結果、知識を得ます。

一方、ChatGPTは、質問内容を入力し、AIが質問内容を分析後、大量のサイト情報から最も相応しいと「AIが思う回答」を自動生成します。

つまり、MCU開発者が、色々なサイトを閲覧する手間を省いて所望知識が得られる訳です。但し、AI生成回答が正しいか否かは、判りません。

そこで、Microsoft Bingを使って、ルネサスFSP(Flexible Software Package)を質問した時のAI生成回答を示します。注)FSPは、前投稿参照。

Microsoft Bingを使ってFSPを質問したChatGPT回答例
Microsoft Bingを使ってFSPを質問したChatGPT回答例

結構、的を射た回答をしていると思います。また、詳細情報に、関連サイトリンクもありますので、AI回答の正確さを質問者が検証することも可能です。

さらに、AIが想定する追加質問例もあります。現在Bing質問数は、1日に2000の上限がありますが、ブラウザ検索よりも効率的に、MCU説明不足内容を質問でき、回答を得ることができます。

注)ブラウザ検索では、複数サイトから得る情報の多様性があります。この多様性をノイズと考えるか否か、筆者個人は、多様性あり&最終回答を自分で考える方を好みます。

ChatGPTとMicrosoft Bing、Google Bard

ChatGPTもバージョンアップし最新版GPT-4は、大量の文章、大量の高性能コンピューターチップを使う巨大AIモデルです。OpenAI)CEO:サム・アルトマン氏は、AIのさらなる発展に新しい開発手法が必要だと語っています。

最新GPT-4を無料で使えるのが、前章のMicrosoft Bing、待機リスト登録で使えるのがGoogle Bardです。Bardは、現在日本語非対応のようです。

前章CNET Japan記事に、BingとBardのAI回答の違いが分析されています。

MCUコーディングの適用

上手く質問すれば、ChatGPTから、AIコーディング回答が得られます。しかし、それをそのまま実開発へ使えるかについては、いずれのサイトも現在懐疑的です。

筆者も、同じ考えです。

特に、MCUプログラミング(コーディング)は、他のPCソフトウェア開発やクラウドソフトウェア開発に比べ地味で、MCU開発者も少数派です。

ChatGPT活用コーディングは、今後益々盛んになるでしょう。その結果、ネットに、多数派ソフトウェア開発者の成功/失敗事例が多く掲載されます。AIは、これら事例を学習します。

これら多数派の事例をAIが十分学習した後、我々少数派MCUソフトウェア開発へ適用しても遅くはないと思います。その理由が、次章です。

AIコーディング進化時のMCU開発者経験とスキル

AIコーティング進化時のMCU開発者経験とスキル
AIコーディング進化時のMCU開発者経験とスキル

仮にChatGPTが、そのままMCU開発に使えるコーディングを正確に出力したとします。実はこれは、現在のMCUベンダ提供のサンプルコードに相当します。

つまり、ChatGPTの進化を待つまでもなく、現在でも単機能の正確動作コードは得られる訳です。ここが、多数派ソフトウェア環境と、MCUソフトウェアの大きく異なる点です。

MCUソフトウェアは、単体動作サンプルコードを、ベンダが多数提供済みです。

MCUソフトウェア開発者は、これら単体サンプルコードを、顧客要求やMCU性能に見合うように複数組合せ、期間内に上手く動作するよう製品化するのが、主な業務内容です。

例えば、低コストで性能制約も多いMCUを使い、単体コードの優先度設定や割込み処理設定を行い、複数コードを結合動作させるチューニングです。IoT MCUならば、RTOS対応やセキュリティ関連がチューニングに加わり、さらに複雑化します。

チューニングの幅は、顧客要求や適用MCU、製品の展開予定などにより大きく変わります。MCU開発者には、これら変化に即応できる開発経験やスキルが求められます。

例えシンギュラリティになっても、開発MCUの製品化、顧客要求とMCU結合チューニングは、AI任せにはできない「人間MCU開発者の腕の見せ所」になると思います。

つまり、この腕を磨いて人間MCU開発者も進化しましょう、と筆者は言いたい訳です。



STM32 Innovation Day 2021の歩き方

メタバース会場Mapとメニュー
メタバース会場Mapとメニュー

11月10日(水)から本投稿日12日(金)17時まで開催中のSTマイクロエレクトロニクス主催、オンライン・コンファレンスとAI、Security&Cloud、Ecosystem展示会場の歩き方を説明します。インターネット仮想空間:メタバースの移動方法です。

メタバース会場Mapと移動方法

ログインし会場入り口はこちらをクリックすると、表示されるのが最初の図、左下が会場Map、右上がメニューです。

Map内●が、現在位置:会場入り口、が、移動可能な6位置を示します。図中央の位置の移動や視点を変える方法は、Google Mapと同じ要領です。左下の+-△▽などでも移動可能です。メニューは、移動ショートカットです。

つまり、STM32 Innovation Day 2021会場が、インターネット上の仮想空間(メタバース:後述)で実現され、このメタバース内をGoogle Mapの方法を使って自由に移動するしくみです。

コンファレンスとバーチャル展示会

メタバース内は、ライブ配信のコンファレンスと、期間中いつでも入れる5か所のバーチャル展示会の2つから構成されます。

毎日13:00から17:00までのライブ配信コンファレンスは、日程の時のみコンファレンス内容が視聴可能です。一方、バーチャル展示会は、開催期間中は、24時間いつでも視聴ができます。

追記:各種資料(※基調講演および一部セッションを除く)は、11月30日(火)17:00までダウンロード可能なので、イベント開催期間中に参加できなかった方や、もう一度ご覧になりたい方は、利用できるそうです!

バーチャル展示会内操作

Product展示会の操作
Product展示会の操作

Product位置へ移動した例が上図です。「製品・デモ」をクリックすると、パネル内容に関する日本語説明員による動画、開発ボード説明やダウンロード資料などが入手できます。

つまり、現実の展示会と同じです。残り4か所の展示会へのGoogle Map移動が少し面倒ですが、各展示会とも同じ構成ですので楽しめます。位置移動は、ブラウザの戻る(履歴)や「MAP」クリックの方が簡単です。

アンケート回答でボードが当たるかも?

右下「退出する」クリックで示されるアンケートに答えると、大量370名に当たる開発ボードプレゼントキャンペーンが実施中です。もちろん、これら開発ボードは、前章の5展示会でその詳細が確認できます。ブラウザ履歴で展示会へ戻り、応募ボード内容を再確認するのも良いでしょう。

メタバース

メタバースとは、メタ (meta-) とユニバース (universe) の合成語です(Wikipediaより)。今回のSTM32 Innovation Day 2021では、アバターは使いませんが、今後は、自分のアバターと会場説明員アバターが登場し、技術解説や質問・回答を行うなど、現実世界をより仮想化した展示会やコンファレンスへ発展するかもしれません。

COVID-19の影響で、人の密集を避ける会議やイベントは、メタバースやアバター活用がトレンドです。一部ゲーマー向けだった高性能GPU搭載PCが、ビジネス分野へも普及するきっかけになります。PCやスマホ超高性能化が、MicrosoftやMeta(旧Facebook)の狙いでしょう。