ChromeのCoPilot追加方法とメリット

ブラウザ拡張機能を使ってChromeMicrosoft CoPilotを追加する方法を示します。

ChromeのみでCoPilotGemini両方が使える、LibreOfficeからMicrosoft OfficeAIアシスタントが使える、LinuxMacユーザがCoPilotを使えるメリットがあります。

AIコンシェルジェとAIアシスタント

Google GeminiAIコンシェルジェ使用例がTV CM(1:15)中です。

人気商業設備や地図に強いGoogleは、この分野へAI機能を投入し「AIコンシェルジェ」のGemini普及に積極的です。

一方、Officeで圧倒的なシェアを誇るMicrosoftは、要約(0:30)など文書作成を助ける「AIアシスタント」のCoPilot普及を狙っています。

これらAI機能は、今後誰もが普通に使うAIサービスになると思います。但し、Google/Microsoft共に顧客囲い込みのため、自社ブラウザEdge/Chromeからのサービスとして提供中です。

ブラウザ拡張機能

CoPilot Extensions For Chromeは、ブラウザマーケット世界シェア67%を超えるChromeに、Microsoft CoPilotを追加する拡張機能です。

Chromeに追加」クリックでインストール後、Chrome左上の「拡張機能アイコン」をクリック、インストールしたCoPilot拡張機能横の「ピン」をクリックすると、ツールバーにCoPilotアイコンが固定できます。

Microsoft EdgeのCopilot機能をChomeブラウザへ追加する方法
Microsoft EdgeのCoPilot機能をChomeブラウザへ追加する方法

 

固定したCoPilotアイコンをクリックすると、Microsoft Edgeと同様にChromeからCoPilotが使えます。但し、利用時Microsoftアカウントは必要です。

従ってEdgeChrome2つのプラウザを使用中の方は、この拡張機能はムダに思いえるかもしれません。が、そうでもありません。

現在AI処理は、殆どをクラウド側で行います。ブラウザ経由で吸い上げたユーザ情報を基にクラウドAIが推論します。2つのブラウザを使い分けるよりも、Chromeだけを使う方が、より精度の高いAI推論が期待できるのがその理由です。

また、この拡張方法は、Windows以外のLinuxMacユーザが、Chromeブラウザから話題のMicrosoft AI CoPilot機能を使えるメリットもあります。

LibreOffice最新版24.8.4

Windows/Mac/Linuxマルチプラットフォーム動作で無償のLibreOffice最新版24.8.4が、昨年1219日リリースされました。

公式YouTubeチャネルに多くの使用例があるように、OfficeCoPilotAIアシスタント機能をセットにし、Office+CoPilot(Windows)シェア拡大がMicrosoftの狙いです。

ところが、この文書作成AIアシスタント機能は、LibreOfficeからも使えます。前章のChromeに追加したCoPilotを活用すれば良いのです。

勿論OfficeCoPilotの方が便利です。CoPilot出力がMicrosoft Officeの独自ファイル形式docx/xlsx/pptxだからです。ただこのファイル形式は、LibreOfficeで読書き可能です。

従って、ファイル形式にさえ注意すれば、Officeと同様のCoPilot AIアシスタント機能を、ChromeCoPilot経由でLibreOfficeから利用できます。

SummaryChromeMicrosoft CoPilotを追加する方法とメリット

CoPilot Externtion for Chrome
CoPilot Externtion for Chrome

 

拡張機能を使ってシェア6割を超えるGoogle Chromeブラウザへ、Microsoft AI CoPilot機能を追加する方法と、下記メリットを示しました。

  • ChromeのみでAIコンシェルジェ:GeminiAIアシスタント:CoPilot両方を使える
  • 上記Chrome経由でOffice AIアシスタントCoPilot機能をLibreOfficeでも使える
  • 上記Chrome経由でLinuxMacユーザがMicrosoft CoPilotを使える

Afterword:今年10月はWindows 10/Windows 11 23H2サービス終了

2025年はPCハード/ソフトのAIによる変革期です。10Win10/Win11 23H2サービス終了を機に、従来Win PCから新たにLinuxMacへ乗換え検討中の方も多いでしょう。そんな方に役立つ情報も、Windowsカテゴリに投稿していきます。

本稿は、Microsoft CoPilotGoogle Chromeから使うTipsでした。本年もよろしくお願い致します。


Windows 11 24H2アップグレード回避注意点

Windows 11 24H2アップグレードを止め、Win11 23H2に維持する時の注意点を示します。弊社4PCは、LAN接続トラブルのため20253月末までWin11 23H2運用を決めました。しかし、各PCへ、Microsoftからしばしば鬱陶しいWin11 24H2アップグレード催促があります。

しつこいWin11 24H2アップグレード催促

年末にWin11 24H2アップグレード通知が来る方も多いでしょう。Win11 23H2維持かWin11 24H2アップグレードかは、ユーザが選択可能です。しかし、その選択は間違い易いので注意が必要です。

Win11 23H2は、Win10と同一OSコアで、従来ソフトウェア/アプリと互換性を維持したWin11です。一方、Win11 24H2は、言わばAI対応Copilot+ PC用次期Win12βテスト版、OSコアもWin10から大幅変更したため何かとトラブルが多いWin11です(詳細Win11 24H2目的とWin12参照)。

しかも、多くのAI機能は、Copilot+ PC仕様以上でないと動作しません

弊社はWin11 23H2維持のために、コチラのグループボリシー設定でアップグレードを無効化しました。しかし設定後、数日すると再び下図Win11 24H2アップグレード催促メッセージが出力されます。つまり、手動アップグレード無効化は、Win11 24H2催促回数が減るだけの効果です。

しつこい24H2アップグレード催促メッセージ
しつこい24H2アップグレード催促メッセージ

但し、24H2ダウンロードとインストールをクリックしない、または、オプションの更新プログラムで24H2を選択しなければ、勝手にWin11 24H2へ更新されることはありません。

逆に、どちらかを間違って選択すると、Win11 24H2アップグレードが始まります。間違い易いのは、他の更新プログラムが多数ある場合です。

Win11 23H2セキュリティ更新は通常どおり配布

筆者が、前章の手動アップグレード無効化で気になったのは、手動で固定化したWin11 23H2へ果たして通常どおりWindowsセキュリティ更新が配布されるかでした。

これは、1211日のセキュリティ更新が、固定Win11 23H2へも配布されましたので問題ありません。

つまり、前章のWin11 24H2催促プログラムと、通常のWin11 23H2セキュリティ更新プログラムが多数ある時に、間違わずに23H2を選択すれば、ユーザが望む間はWin11 23H2として運用できます。

2025Windowsセキュリティ更新スケジュール

さて、2025年のWindowsセキュリティ更新スケジュール、いわゆるPatch Tuesday発表されました。日本では、水曜午前3時頃から配布開始されます。

Win11 23H2Win10サポート終了は、20251014日です。この日までにWin11 24H2アップグレードが必須ですのでご注意ください。

2025年予定 Pacific Standard Time (US) 日本時間午前3
1 14日(火曜) 15日(水曜)
2 11日(火曜) 12日(水曜)
3 11日(火曜) 12日(水曜)
4 8日(火曜) 9日(水曜)
5 13日(火曜) 14日(水曜)
6 10月(火曜) 11日(水曜)
7 8日(火曜) 9日(水曜)
8 12日(火曜) 13日(水曜)
9 9日(火曜) 10日(水曜)
10 14日(火曜)

Win11 23H2/Win10サポート終了

15日(水曜)
11 11日(火曜) 12日(水曜)
12 9日(火曜) 10日(水曜)

SummaryWindows 11 23H2維持注意点

Windows 11 24H2アップグレードを止め、Win11 23H2として維持する時の注意点を示しました。

Win11 23H2として維持運用するには、煩わしく出力されるWin11 24H2催促プログラムと、Patch Tuesdayに配布されるWin11 23H2セキュリティ更新プログラムを、間違わずに選択しインストールすることです。

Afterword:来週27日は投稿休み、次回13

今年の金曜投稿は、本稿が最後です。次回は、202513日(金)に投稿します。

皆様、今年も本ブログをご覧頂きありがとうございました。良いお年をお迎えください。


Windows 11 24H2目的とWindows 12

2024年も残すところ2週間。MCU開発者の筆者には、開発基盤Windows 11変化に困惑した年でした。

ソフトウェア開発者の主業務:コーティングは全体の僅か25%程度、これ以外の75%は資料作成やリサーチに費やされるそうです。ハードウェア開発者の主業務:回路設計も同様でしょう。これら全業務にWin11変化が深く関わります。

前投稿で弊社4PC20253月末までWin11 23H2固定に決めたので、年度末までの開発は安定OS環境で行えます(固定後も更新プログラム等は適用されます)。

今年のWin11変化を振返り、次期Win12へのOS大転換期を俯瞰します。

Windows 11シェア低迷要因

WIndows 11(青)と10(紫)のシェア推移(出典:statcount)
WIndows 11(青)と10(紫)のシェア推移(出典:statcount)

202411月のWindowsシェア推移です。Win11は、全体シェアの35%以下、最新Win11 24H2リリースの10月以降、僅かにシェア低下が判ります。逆にWin10は、202510月サービス終了にも関わらず、未だ60%を超えるシェアを維持しています。

Microsoft初の個人向けWin10セキュリティ延長サポートの影響があるのかもしれません。それでも現行Win11のユーザ不人気度を端的に示しています。

この要因は2つ。1つ目が、専門家が強調するようなWin10比、Win11に生産性向上や目新しいUXが無いこと、2つ目がWin11アップグレード要件のTPM必要性がユーザに認識されていないこと、です。

Win11 24H2の(暗黙の)目的は、次期Win12リリース時、上記Win11低迷の2要因を繰返さないことです。

MicrosoftはユーザにWin11アップグレードTPM要件が届かず、今でもその必要性をレポート中。

Windows 11不人気の打開策:生成AI

PCとインターネットが結びつき、マスコミ広告からクラウド広告へと変化しました。クラウド広告は、ユーザ利用のブラウザ経由で提供されます。

ブラウザ検索時、ユーザ情報がクラウドへ吸い上げられ、その結果、ユーザが嗜好する広告が自動的にブラウザへ表示されます。不特定多数のマスコミ広告に比べ、効率的な広告とユーザ利便性が得られます。

このようにインターネットとブラウザ広告が、PC普及に多大な貢献をしました。このインターネットと同様、生成AIWin11不人気の打開策とMicrosoftは考えています。

PCと生成AIが結びつくと、ブラウザを使わなくてもPC上で直接広告が可能です。これで更に高い広告効果、ユーザ利便性向上が期待できます。つまり、ブラウザ広告に代わるAI PC広告です。

WIndows 11不人気の打開策、生成AI
WIndows 11不人気の打開策、生成AI

また生成AIは、ユーザPC操作と結びつくAIアシスタント/コンシェルジェのような新PCサービスも可能にします。一例が、Copilot Visionです。AIアシスタントにより、ユーザは高いPC生産性や新しいUXが得られます。同時に、パーソナルで効率的な消費活動もできます。

但し、実際にAIを利用するには、Win10までの古いPCでは困難です。高性能なNPU/GPU/CPU/高速メモリは必須です。Microsoft Copilot+ PCは、このAI利用の最低限ハードウェア仕様を示したものです。

AIは、ユーザと共に移動するノートPCと相性が良いため、Copilot+ PCはノートPCを最初のターゲットにしました。最低1日のバッテリー駆動能力と軽量薄型化が目標です。

ユーザは、パーソナルAIが利用可能なモバイル軽量薄型Copilot+ ノートPCを使って、高生産性と新UXを実感し、クレカ情報保護/更新などの消費活動からユーザ情報保護重要性も認識します。

つまり生成AIPCへ追加することで、前章で示したWin10からWin11シェア推移が進まなかった2つの失敗要因を同時に解消できる訳です。

Win11 24H2 は次期Win12のプレビュー(βテスト)OS

AIで大転換期を迎えたWindows 11とCopilot+ PC(出典:Microsoft)
AIで大転換期を迎えたWindows 11とCopilot+ PC(出典:Microsoft)

生成AI用のPCハードウェアがCopilot+ PCです。

そのOSは、Win11 24H2で追加中の様々なAI機能、例えば、Recallやフォトアプリ超解像化などが単独・単体で動作します。しかし、次期Win12搭載のAIアシスタントは、これらAI機能を臨機応変に組合せ、ユーザがより使い易いAIサービスへ統合し提供します。

また、Win11 24H2は、Copilot+ PCが求めるバッテリー駆動能力向上や、TPMより強固なユーザ情報保護を行う新セキュリティプロセサプラトン動作のため、Win10から継承してきたWin11 23H2Niコアを、Win11 24H2で新しいGermaniumコアへ変更しました。

過去OSコア変更のアップグレートは、多くのトラブルが発生していました。Win11 24H4は、段階的配布とセーフガードで発生率を下げていますが、トラブルが多いことに変わりはありません。

このようにWin11 24H2は、色々なAI単体機能をユーザで試すこと、古いPCハードウェアではAI処理やセキュリティに限界があり新しいハードウェアが必要なこと、Win12アップグレードトラブルを減らすこと、これらが目的です。実質的には、次期Win12のプレビュー(βテスト)OSです。

Win11 24H2シェアは低くてもそのユーザは先進ツールを好むのでテストできるでしょう。これは、製品版で実質βテストを行う程のWindows大転換期の証とも言えます。

Win11 24H2市場テストの結果、AIサービスとして統合したユーザパーソナルなアシスタント/コンシェルジェが使える新OSとして登場するのが次期Win12です。もちろん、Copilot+ PC以上のハードウェアとセキュリティプロセサプラトンが、ユーザにも認識されアップグレード要件になります。

Win11で失敗したWin12アップグレード要件がユーザにはっきり認識され、しかもユーザパーソナル情報に基づいた各種AIアシストがあるので使い易く大人気OSとなるでしょう。

SummaryWin11 23H224H2Win12へのOS大転換

Windows 11 23H2、24H2、Windows 12へのOS大転換期
Windows 11 23H2、24H2、Windows 12へのOS大転換期

OS大転換期のWindowsをまとめます。

Win11 23H2Win10ハードウェアへTPM 2.0セキュリティ追加のOSWin10ユーザに、TPM必要性、生産性向上、新しいUX(ユーザ体験)が認められず202411月末時点でWin11シェア35%以下の不人気OS

Win11 24H2:生成AI対応の次期Win12βテストOSAI活用は、Win10ハードウェアの大幅強化、新プラトンセキュリティプロセサ実装のMicrosoft Copilot+ PCが最低要件。AI対応Win12アップグレード前に、Win10までの古いPCハードウェア買換え促進も目的。

Win122025年秋Win10サービス終了前後に、AIサービス対応Win12リリース。

Win12は、AIサービスを使い従来比、確実にユーザが判るPC生産性向上、新UXが得られる。しかし、AI活用にはCopilot+ PC以上のハードウェア必須。さらに強固なプラトンセキュリティプロセサによるユーザ情報保護Win10/11無償アップグレート要件。

AfterwordWin12は筆者推定だがAI大転換は変わらず

Win11 23H2/24H2は、事実に基づいて記述しています。が、Win12は、あくまでユーザ筆者の推定です。PCハード/ソフトも含め、世の中、AIによる大転換期です。古い物に固執するつもりはありませんが、MCU開発に悪影響がないことを願っています。

仮にAIを使わない(使いたくない)ユーザは、Win11 24H2サービス終了の202610月までは従来PCで業務ができます。AIにより主業務(コーティング/回路設計)の25%と付随業務75%が、どの程度改善されるかにもよりますが、付随業務比率のAI改善を筆者は期待しています。


Windows 11 24H2アップグレード延期

12月になってWindows11 24H2更新が降ってきた
12月になってWindows11 24H2更新が降ってきた

今年101日にWindows 11 24H2段階的配布が始まって2か月、セーフガードが解除されたためか、ようやく弊社PCにも今週Win11 24H2が降ってきました。

しかしながら弊社は、来年3月末までは弊社4PC全てをWin11 23H2で運用することにしました。本稿は、その理由と今後の24H2アップグレード策を示します。

先行手動アップグレードWin11 24H2で試運用

Rufus 4.6を使って1台のWin11 23H2 PCを、Win11 24H2へ先行手動アップグレードし、主要アプリ互換性BitLockerによるデバイス暗号化注意点が判りました。但し、これらは、Win11 24H2単独運用の結果です。

先行アップグレードしたPCは、主として定期データバックアップ用です。弊社は、このバックアップアプリにFreeFileSyncを使っています。4PCは、プライベートLAN接続です。

Win11 24H2アップグレード後、Win11 23H2同士では何の問題も無かった他PCへのLAN接続ができず、定期データバックアップが出来なくなりました。

つまり、Win11 24H2単独運用では問題が無いものの、複数PCLAN接続に関しては、トラブル発生です。筆者はWindowsネットワークトラブルが、解決しにくいことを経験上知っています。

Win11 24H2先行アップグレート後、2回の月例修正パッチも適用しましたが、LANトラブルは未解決です。

Win11 24H2ネットワークトラブル

12月に入って“Windows 11 24H2 ネットワーク トラブル”でネット検索したところ、1000万件以上がヒットしました。12月の1週間以内に限っても5000件以上のヒットがあり、Win11 24H2 LANトラブルは多発のようです。

検索対策によると、Win11 24H2自身のセキュリティ強化が原因のようです。

Windowsネットワークトラブルはケースバイケース、前述のように解決困難で数件の掲載策を実施しましたが未解決です。

Win11 24H2修正パッチで新バグ発生

コチラの記事によると、Win11 24H2修正パッチ自体が、新たなバグを生むようです。

この原因は、Win11 24H2コアが、旧Win11/10Nickelコアから、新しいGermaniumコアへ変わったからだと思います。過去のWindowsも同様にOSコア変更時は、トラブル連発でした。

さらに、Win11 24H2は、次期Windows 12AI PC)への移行やWin10までの古いPCハードウェアの買換えを促進する役目も担っています。

既に多くのエッジAI PC機能がWin11 24H2に実装中です。しかし、エッジAIを実用に使うには、高性能NPUGPU/CPU、高速メモリが必要で新しいCopilot+ PC購入が必要になると思います。

また、TPM 2.0に代わる新たなセキュリティデバイス:Microsoft Plutonプロセッサが、安全なネットワーク接続に必須になるかもしれません。検索結果のように、TPM 2.0実装PC間でもWin11 24H2 LANトラブルが多発しているからです。

SummaryWindows 11 24H2アップグレード延期理由と対策

先行手動アップグレードWin11 24H210月から12月の2か月試運用の結果、以下が判りました。

  • Win11 24H2単独運用はアプリ互換性OKBitLockerに注意すれば問題なし。
  • Win11 24H2と旧Win11 23H2LAN接続でトラブル継続中。
  • 23H2比、Win11 24H2自身のセキュリティ強化がネットワークトラブル原因か。
  • Win11 24H2修正パッチで新たなバグ発生あり。

これらWin11 24H2トラブル多発の背景は、従来Win11/Win10からのOSコア変更、次期Win12AI PC)への新機能追加にあると推測します。

安全策として、弊社4PCWin11 24H2アップグレードを20253月末まで延期し、それまでは全PCWin11 23H2運用とします。

Win11 24H2多発トラブルが、20253月末までに収束を期待。

Win11 23H2サービス終了202510月半年前の4月に、Win11 24H2トラブル状況を再確認し、Rufus 4.6によるWin11 24H2アップグレードを対策とします。

AfterwordOCuLinkによる外付けGPU追加

OCuLink(データ転送速度最大64GbpsPCI Express 4.0対応)というThunderboltUSB 3よりも高速なインタフェースを使うと外付けGPU追加ができます。ミニPC採用中の新しいインタフェースで、エッジAI能力追加が可能です。

エッジAIとクラウドAI両処理でAIアシスタントを実務に使うには、それなりのハードウェアやインタフェース/回線速度が必要でしょう。高画質でYouTubeを見るには、高性能GPU/モニタと高速ネットワークの全てが必須なのと同じです。どれが欠けてもボトルネックが生じ、期待の高画質再生はできません!

様々なAIサービスがWin11 24H2へ追加中です。しかし、次期AI PCWin12)はこれらが統合され、より使い易いAIアシスタントになると思います。例えば、前投稿最後のイラスト「プレタポルテのMPU開発とオーダーメイドのMCU開発」は、Edge Copilotを使って筆者自ら作成しました。

従来PCからAI PCへ変わる2025年
従来PCからAI PCへ変わる2025年

しかし、投稿文作成中に、Copilotが自発的にこのイラストを使ってはどうですか?などアシスタントアドバイスがあれば、もっと簡単で効率的に記事が作成できます。エッジAI能力は、いくらあっても無駄にはならないと思います。

Afterword2Win11 24H2アップグレート延期方法

Win11 23H2からWin11 24H2自動アップグレートを4ヶ月間止める方法は、いろいろあります。弊社は、コチラWindows 11対策オプション2、グループボリシーから無効化する方法を用いました。



Raspberry Pi Pico 2 W発表

Raspberry Pi Pico 2 WとPico 2
Raspberry Pi Pico 2 WとPico 2

2024年11月25日、英国ラズパイ財団は8月9日発表のRaspberry Pi Pico 2(5$)へ、2.4GHz Wi-FiとBluetooth 5.2無線モジュールを追加したRaspberry Pi Pico 2 W(7$)を発表しました。 

弊社は、MCU開発者向けMPUにPico 2が適すと考え、その背景やハードウェアソフトウェア開発環境を投稿しました。EE Times記事によると今回の無線機能追加Pico 2 Wに加え、2025年には更に機能追加したPico 2シリーズへと展開されるそうです。

Raspberry Pi Pico 2 WとPico 2

Pico 2 Wは、Cortex-AなどのMPU/SBC定番MPUコアを、セキュリティ強化Cortex-M33コアへ変えたPico 2へ無線モジュールを加え、僅か7米ドルで発売されます(日本国内発売、価格未定)。

Cortex-M33は、セキュアブートTrustZoneなど既に多くのセキュリティ強化MCUに採用中です。Pico 2 W/Pico 2はMPUですが、MCUで実績のあるCortex-M33を搭載し、僅か7$/5$です。

つまり、価格面でもMCUに十分対抗でき、しかも、機能拡張性も備えた新世代MPU製品が、Raspberry Pi Pico 2 WとPico 2です。

MPU:Raspberry Pi Pico 2 W/Pico 2とMCU比較

MPUのRaspberry Pi Pico 2とCortex-M33 MCUの特徴的な仕様比較が下表です。MCUは、Pico 2と同じコアを使うルネサス)RA6E1を用いました。

Raspberry Pi Pico 2 ルネサスRA6E1
制御コア  Cortex-M33 (150MHz) Cortex-M33 (200MHz)
内蔵Flash 4MB  ≦1MB
内蔵RAM 520KB 256KB
内蔵周辺回路 2xUART、2xSPI、2xI2C、24xPWM、USB 1.1、12xPIO 6xSCI、12bit ADC/DAC、2xSPI、2xI2C、24xPWM、USB 2.0…etc.

MPUのRaspberry Pi Pico 2は、その機能追加に主としてオープンソースソフト/ハードを用います。このため十分なFlash/RAM容量を内蔵しています。内蔵周辺回路はMCU比、少数です。

一方、MCUのRA6E1は、ADC/DACなどMPUに比べ豊富な周辺回路を内蔵していますがFlash/RAM容量はMPU比小さく、機能追加はユーザ開発専用ソフトウェアが主です。

つまり、機能拡張性に優れるMPUと、価格重視MCUの特徴が仕様に現れています。

従来MPUは、MCUに比べかなり高価でした。しかし、Raspberry Pi Pico 2 W/Pico 2は、同クラスのMCUと同じ低価格にもかかわらず機能拡張性にも富んでいます。

Raspberry Pi Pico 2 Wは、Pico 2と同じ基本構成で、IoT向き無線モジュールを追加した新世代MPUです。

顧客はMPUでもMCUでも構わない

開発依頼元の顧客は、Cortex-M33のセキュアブートやTrustZoneなどのセキュリティ機能さえ持てば、制御系がMPUでもMCUでも構いません。ポイントは、トータルコストとその開発期間です。

最終的な顧客要求の実現に対し、オープンソースソフト/ハードの購入/活用で開発期間短縮も狙えるMPU Raspberry Pi Pico 2 W/Pico 2でアプローチするか、それとも、始めから豊富な周辺回路を持つMCUの専用ソフトウェアでアプローチするか、どちらを選ぶかは、我々開発者に任されています。

MPU/MCU、どちらのアプローチでもコストと期間を見積もれる二刀流開発者が求められます。

Summary:機能拡張低価格MPUと価格重視MCUの二刀流開発者

セキュリティ強化Cortex-M33コア搭載のRaspberry Pi Pico 2(5$)へ、無線モジュール追加Raspberry Pi Pico 2 W(7$)が発表されました。

IoT制御系は、Raspberry Pi Pico 2/Pico 2 Wのような機能拡張に優れ低価格な新世代MPUを使ったオープンソースハード/ソフト開発か、または、価格重視の従来MCU専用ソフトウェア開発か、両アプローチコストと開発期間を見積もれる二刀流開発者が求められます。

Afterword:プレタポルテのMPUとオーダーメイドのMCU

プレタポルテのMPU開発とオーダーメイドのMCU開発
プレタポルテのMPU開発とオーダーメイドのMCU開発

MPUはプレタポルテ、MCUはオーダーメイドに例えると解り易いと思います。

既製オープンソースハード/ソフトに少し手を加え顧客要求に合わせるのがMPU、専用ソフトウェアで顧客要求を満たすのがMCUだからです。どちらのアプローチを選択するか顧客と相談するには、MPU/MCUの二刀流開発が必要です。

英国ラズパイ財団は、Cortex-M33コアPico 2のシリーズ展開を狙っています。IoTにセキュアブートやTrustZoneが必須と考えているからです。Cortex-M33が今後のIoT開発ねらい目になりそうです。



7個Writer Guide図で判るLibreOffice Writer使い方

Writer Guideの図で判るLibreOfficeの使い方
Writer Guideの図で判るLibreOfficeの使い方

11月4日、LibreOffice 24.8.3と、この最新24.8のWriter Guideがリリースされました。下記Writer Guide掲載図、7個を使ってLibreOfficeの使い方を説明します。

LibreOffice 24.8.3 最新版(Fresh)

LibreOfficeは、Microsoft Officeと高い互換性があるマルチプラットフォーム無償PC文書作成ツールです。約3か月毎に更新される安定版(Still)と約1か月毎に更新される最新版(Fresh)の2種があります。LibreOffice 24.8.3は、最新版の方です。

LibreOffice 24.8 Writer(Microsoft Word相当)のガイドブックWriter Guide (英語版PDF、全504ページ)をパラパラめくっていたら、次章からの掲載図だけでLibreOffice Writer(以下Writer)の使い方が説明できそうな気がしました。

Microsoft Wordの代わりにWriterを使うか検討中の方には、7個の図だけでWriterの使い方が判る手軽な方法です。

Writer Guide P19 Figure 1

Writerメインウインドのアイコン名称です。Wordと同じ(似た)アイコンが使われていますので、その動作は判ると思います。

テキストは、空白部分へ追記します。

テキストへの操作が、画面上側のメニュー/標準/フォーマットツールバー、右側のサイドバーの2か所です。下側はステータスバーで、テキスト文字数やページ表示レイアウトを示します。

図1 LibreOffice Writerメインウィンドウ名称
図1 LibreOffice Writerメインウィンドウ名称

Writer Guide P25 Figure 7と8

下側ステータスバーの説明です。筆者のWordは、日本語文字数が正確にカウントされませんが、Writerは、文字数が正確に表示されます。要約作成時に重宝します。

図7と8 LibreOfficeステータスバー
図7と8 LibreOfficeステータスバー

Writer Guide P92 Figure 66

右側サイドバーの段落体裁を整えるプロパティツールバー名称です。これもアイコンでその動作が判ると思います。

図66 LibreOfficeパラグラフパネルとサイドバー
図66 LibreOfficeパラグラフパネルとサイドバー

Writer Guide P71 Figure 81

右側サイドバーの文字体裁を整えるプロパティツールバー名称です。

図81 LibreOfficeサイドバーの文字パネル
図81 LibreOfficeサイドバーの文字パネル

Writer Guide P253 Figure 253

テキストに簡単に追加できる矢印ギャラリーです。ドラックアンドドロップで選択図形がテキスト内へ挿入できます。

図253 LibreOfficeサイドバーのギャラリー
図253 LibreOfficeサイドバーのギャラリー

Writer Guide P276 Figure 276

最近本ブログで良く使うフォントワークのギャラリーです。例えば、下図Simpleを選択しテキスト内に配置、クリックするとSimpleが任意文字へ変更できます。

図276 挿入(I)>フォントワーク選択
図276 挿入(I)>フォントワーク選択

Writer Guide P488 Figure 486

図486 LibreOfficeのツールバー選択
図486 LibreOfficeのツールバー選択

ツールバーは全7種あります。プレビューで概ねの形が判りますのでお好きなツールバーを選んでください。

お勧めは、テキスト画面が広く使える上から3番目の標準シングルツールバーです。Apply to Allを選択するとWriter以外のDrawなども同じツールバーが適用されます。

Summary:7個Writer Guide図で判るLibreOffice Writer使い方

無償LibreOffice 24.8.3最新版(Fresh)Writerの使い方を、ガイドブックWriter Guide (英語版PDF、全504ページ)の掲載図7個を使って説明しました。操作アイコンはMicrosoft Wordと殆ど同じです。

LibreOffice利用時、画面にアイコンが多く注意散漫になるかもしれません。しかし、最初はテキスト作成、次が本稿掲載図の操作(太字や段落調整など)と分けて考えると、どなたでもWriter文書を簡単に作成できます。

詳細なWriter操作や作図ツールのDrawなども知りたい方は、弊社LibreOfficeカテゴリをご覧ください。

Afterword:Microsoft Officeサポート期間

買い切り型Microsoft Officeサポート期間は下記です。Office代替にLibreOfficeはいかがでしょうか?

買い切り型 メインサポート終了 延長サポート終了
Office 2019(2018年9月提供開始) 2023年10月10日 2025年10月14日(Office 2016)
Office 2021(2021年10月提供開始) 2026年10月13日 延長サポート無し
Office 2024(2024年10月提供開始) 2029年10月1日 延長サポート無し



半導体の宿命と対策

今回は技術的な話から離れ、半導体とその製品開発者の宿命と対策を考えます。

Summary:半導体の宿命と対策

半導体と関連開発者の宿命と対策
半導体と関連開発者の宿命と対策

半導体は経済と安全保障に強く関わる戦略物資です。経営・投資家には、巨額が稼げる分野、政治家には権力の見せ所の集票手段となりえます。

先端技術だけでなくこのような様々な側面を持つため、半導体製品開発者は、状況変化への柔軟性と視野を広く保ち、開発デバイスの高騰や入手不能などの状況に備え、常にPlan B対策を持つことをお勧めします。

半導体の成長

日本で「産業のコメ(米)」とも呼ばれる半導体は、自国の国内経済と安全保障に強く関わる戦略物資です。下記ピックアップ記事が物語っています。

世界半導体市場の推移(出典:SIA、データ元:WSTS)
世界半導体市場の推移(出典:SIA、データ元:WSTS)

2024年9月、世界半導体売上高が、前年同月比23.2%増の553億米ドルで過去最高を更新しました(11月7日、EE Times Japan記事)。グロス変化ですが、国別や地域別の増減割合も示されています。

車載ソフトウェア市場規模推移・予測(領域別)出所:矢野経済研究所
車載ソフトウェア市場規模推移・予測(領域別)出所:矢野経済研究所

2024年10月9日、矢野経済研究所は、日本国内車載ソフトウェアの制御系と車載IT系比率とその2030年までの日本市場が、1兆円に迫る規模の拡大予測を発表しました(10月22日、MONOist記事)。

※制御系:車載ADAS(先進運転支援システム)関連。
※車載IT系:CASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)関連。

交通事故ゼロ社会イメージ(出典:トヨタ,NTT)
交通事故ゼロ社会イメージ(出典:トヨタ,NTT)

2024年10月31日、トヨタとNTTは、ヒト、モビリティ、インフラが三位一体で協調し、交通事故ゼロ実現に向けたAI・通信基盤構築に向け2030年度までに両社折版で5000億円投資を発表しました(11月1日、MONOist記事)。

これらの記事は、半導体製造・販売の売上高は過去最高に上昇中で、その半導体を大量に使う車載技術なども順調に拡大、2030年頃には、AI活用の新しいサービスへ発展することを示しています。つまり、半導体成長は前途洋々、関連投資や得られる利益も巨額です。

天気予報で言えば快晴です。経営者や投資家にとっては、半導体関連分野は魅力的でしょう。

半導体と政治

前章記事は、いずれも今秋の日米欧政治状況が大きく変わる前に発表されたものです。来年2025年は、この政治状況が大きく変わります。果たしてこれら予測や見込みが、このまま維持・継続されるでしょうか?

選挙によって選ばれる政治家は、自分の選挙区に視野・関心が集中しがちです。半導体産業は、地域経済と結びつきが強く、工場誘致に巨額資金や地域ネゴシエーションなども必要なため、政治の力(権力)の見せ所、恰好な集票手段です。

半導体は、先端技術だけでなくこのような政治側面も持つ産業です。戦略物資半導体の宿命です。

従って、日米欧政治状況変化後の来年2025年以降、各国半導体やサプライチェーンがどう変化するかは不透明で予測しづらいでしょう。100%の快晴確率では無い訳です。

開発者の対策

半導体を使う製品開発者は、快晴確率が100%で無いことを念頭に置く必要があります。例えば、台風の発生により場所により豪雨に変わることもある訳です。

台風やCOVID-19のような緊急事態の結果、開発デバイスの高騰や入手不能などの状況に変わることもあり得ます。これらに備え、代替デバイスを考慮しておくなどPlan Bを持ちましょう。例えば、MCUなら第2第3のMCUを考え、万一のMCU交換に対応できるハードウェア構成、例えば、制御系を標準インタフェースのArduinoで交換可能にするなどです。

また、様々な状況変化に対する柔軟性も必要です。これは、半導体関係者全てに言えることです。

半導体の製品開発者は、日頃から視野を広く持ち柔軟性を鍛えることが必要です。


MCUとMPU二刀流開発#2

Visual Studio Codeを使ったRaspberry Pi Pico 2 MPU開発
Visual Studio Codeを使ったRaspberry Pi Pico 2 MPU開発

TrustZone対応Cortex-M33コアに変わったRaspberry Pi Pico 2のMCU開発者向けPico 2開発の2回目は、Visual Studio Code(VSC)でソフトウェア開発環境を構築し、最初のプロジェクトを作成します(二刀流開発背景やハードウェアは投稿#1参照)。

※MCU開発者向けPico 2開発とは、MCU開発者の視点でRaspberry Pi Pico 2 MPU開発を記述。
※本稿はMCU開発で使うEclipse IDEとVSCを比較。
※MCUは価格追及型、MPU/SBCは機能拡張型。

Visual Studio Code(VSC)

Visual Studio Codeインストール直後
Visual Studio Codeインストール直後

VSCは、Microsoftが開発したマルチプラットフォーム・多言語対応の新しいコードエディタです。上図英語版エディタへ、拡張機能をインストールして使います。

カスタマイズ性が高く人気の開発ツールです。MCU開発デファクトスタンダードのEclipse IDE代替としても普及し始めています。

MCUとMPUの二刀流開発者は、Eclipse IDEとVSCの2つの統合開発環境を使えることが必要です。そこで、Pico 2 MPU開発環境のVSCを構築します。

先に結論を言うと、見た目は違いますがVSCはMCU統合開発環境Eclipse IDEと殆ど同じ操作です。Eclipse IDEコマンドやViewがVSCにもありますので同じ感覚で操作できます。

※本稿のEclipse IDEとは、例えばブログ掲載中のNXP)MCUXpresso、ST)STM32CubeIDE、ルネサス)e2 studioなどのこと。どれもEclipse IDEをベースにAPI生成ツールが実装済みのMCU開発環境。

Pico 2 MPU開発環境のVSC構築

1. PC(Win/Mac/Linux)へVSCインストール(デフォルト設定でOK)
2. 拡張機能:Japanese Language Packのインストール(お好み言語インストール可能)
3. 拡張機能:Raspberry Pi Picoのインストール(Pico 1/2/W全て共通)

拡張機能のJapanese Language PackとRaspberry Pi Picoのインストール
拡張機能のJapanese Language PackとRaspberry Pi Picoのインストール

拡張機能は、左ツールバー上から5番目の拡張機能アイコンをクリックし、検索窓にキーワード、例えばJapaneseやPicoを入力して選びます。様々な拡張機能候補が表示されますので、概要などを見て適す機能を選びます。インストールをクリックすればVSCへのインストール完了です。

VSCは、結構な頻度で更新されます。左ツールバー一番下の歯車アイコンクリックで更新確認ができます。インストール済みの拡張機能も、歯車アイコンで様々な設定ができますが、デフォルト設定で問題は無いと思います。

このようにVSCは、英語版汎用エディタを開発者がカスタマイズして使います。一方、MCU開発は、デファクトスタンダードEclipse IDEをMCUベンダがカスタマイズし専用化したものを使います。一長一短がありますが、Pico 2 MPUだけでなく幅広い開発にも使えるVSCは人気上昇中です。

Pico 2 MPUのVSC開発準備

拡張機能の日本語表示は、VSC再起動後に有効になります。日本語に変わらない時は、View>Command Palletをクリックし、検索窓にJapaneseなどを入力すると、表示切替えコマンドが判りますので手動切替えができます。

Pico拡張機能インストール後、左ツールバーにMPUアイコンが現れます。これをクリックし、New C/C++ Projectをクリックした画面が、下図です。

拡張機能Raspberry Pi Picoインスト後、New C/C++プロジェクトクリック画面
拡張機能Raspberry Pi Picoインスト後、New C/C++プロジェクトクリック画面

MCU開発者にはお馴染みの開発プロジェクト名やデバッガ設定ができます。面白いのが、RISC-Vコアが選択できる点です。実はPico 2は、Cortex-M33とRISC-Vのディアルコア(!) MPUです。しかし、どちらか一方のみが開発に使えます。本稿は、Cortex-M33を使います。

Featuresは、追加ライブラリです。Pico 2は、機能拡張型MPUですので、SPI/I2Cなどのインタフェース経由でボード機能を拡張するためのライブラリです。

Pico 2サンプルプロジェクト作成

前章のNew C/C++ Project画面で、プロジェクト名や標準入出力(printf)の接続先UART0/USBを選択後、Createクリックで新規プロジェクトが作成できます。しかし本稿は、MCU開発者にお馴染みのサンプルコードから最初のプロジェクトを作成します。

New Project From Exampleでblink_simpleを選択
New Project From Exampleでblink_simpleを選択

New C/C++ Projectの3つ下New Project From Exampleをクリックし、Name欄にblink_simple、Board typeはPico 2を選択します。Locationに適当な保存先を入力し、これ以外はデフォルトでCreateをクリックするとサンプルコード:blink_simple.cが作成されます。

※Name右横▼から様々なサンプルコード選択可能。

最初はDownloading SDK and Toolchainなどがあるため、作成時間がかなりかかります。画面右下のステータスで状況が判ります。また、「作成者を信頼しますか」などの質問が来ることもあります。暫く待っていると、下記blink_simple.cが現れます。

Pico2サンプルプロジェクトblink_simple
Pico2サンプルプロジェクトblink_simple

gpio初期設定後に無限ループを実行し、この中でgpio出力のledを点滅します。MCUのLチカサンプルと同じ構成です。

Pico 2サンプルプロジェクトビルド&デバッグ

下段Compileクリックでビルドされ、サンプルなので成功結果がターミナルViewに示されます。Eclipse IDEと同じ画面構成です。

この後、#1投稿で購入したRaspberry Pi Pico 2、DebugProbeを下図のようにPCとUSB接続します。本サンプルは、UART0は使いませんが接続していても問題ありません。

Rapsberry Pi Pico 2とDebugProbeのPC接続
Rapsberry Pi Pico 2とDebugProbeのPC接続

左ツールバー上から4番目の実行とデバッグ(Ctrl+Shift+D)アイコンをクリックすると、オブジェクトがPico 2へダウンロードされ、変数などが確認できるデバッグ画面に変わります。また、Eclipse IDEデバッグでよく使う続行(F5)やステップインなどのデバッグツールバーも表示されます。これらを使ってデバッグします。

blink_simple以外にも、様々なサンプルプロジェクトがあります。これらでPico 2 MPU理解が進みます。

Summary:MCU開発者のPico 2開発#2

最新MPU Cortex-M33コアRaspberry Pi Pico 2を使い、MCU開発者案件をMPUへも広げること、Eclipse IDE代替可能性のあるVisual Studio Code(VSC)習得を狙った投稿2回目は、以下VSC基本操作を示しました。

  • Pico 2 MPU開発環境VSC構築と開発準備
  • Pico 2サンプルプロジェクトビルドとデバッグ

統合開発環境としてのVSC操作やプロジェクト作成手順は、当然ですがMCU開発環境Eclipse IDEと殆ど同じです。但し、コマンド配置やファイル操作は、専用Eclipse IDEに一日の長があると思います。

VSCメリットは、今後期待されるAI活用プログラミングとの連携が良いことです。生成AI牽引GOMAの一角を占めるMicrosoft製だからです。

VSC基本操作を文章で書いたので長文になりました。端的に言えば、VSC操作は、MCU開発で使うEclipse IDEと同じです。Eclipse IDEで使うアイコンやコマンドはVSC画面内にあります。Pico 2サンプルを数個試せば、VSCにも慣れると思います。

Afterword:Pico 2ピン配置

サンプルコード利用時に役立つRaspberry Pi Pico 2:RP2350ピン配置を示します。本稿blink_simpleサンプルledは、GP25と判ります。また、豊富なSPI/I2Cインタフェースを使ってPico 2 MPUの機能拡張を行うのも判ります。

Rapsberry Pi Pico 2(RP2350)のピン配置
Rapsberry Pi Pico 2(RP2350)のピン配置



 

MCUとMPU二刀流開発#1

Rapsberry Pi Pico2開発環境
Rapsberry Pi Pico2開発環境

今年8月9日、英国ラズパイ財団が新しいRaspberry Pi Pico 2(以下Pico 2)を発表しました。Pico 2は、MCU開発者向けMPUです。従来MPU/SBCが採用していたCortex-Aなどの定番MPUコアから、セキュリティTrustZone対応Cortex-M33コアに変わったからです。そこで、MCU開発者向けPico 2開発の連載を始めます。

この連載で筆者を含めたMCU開発者は、最新MPU(Pico 2)のMCU的開発とVisual Studio Code(VSC)習得ができます。狙いは、開発の幅をMCUからMPUへも広げること、Eclipse IDE代替可能性もあるVSC習得の2つです。

※MCU的開発とは、例えばPico 2(RP2350、Cortex-M33 or RISC-V/150MHz、Flash/4MB、RAM/520KB)とMCUでお馴染みの表記をするなど「MCU開発者の視点でMPUを開発」ということです。

Summary:MCU開発者のPico 2開発#1

最新MPU Cortex-M33コアRaspberry Pi Pico 2を使い、MCU開発者案件のMPUへの拡幅、Eclipse IDE代替VSC習得を狙った投稿の1回目を示しました。

投稿#1内容が以下で、投稿背景とPico 2開発ハードウェアを示しています。

・MCU側からみたMPU開発の差
・MCU開発者が最新Raspberry Pi Pico 2 MPUを使うメリット
・Pico 2 MPU開発ハードウェア入手先情報
・TrustZone Cortex-M33 MCU/MPU二刀流開発の勧め

次回は、Pico 2開発ソフトウェアのVSC構築を投稿予定です。本投稿は、今後不定期に続けます。

※MCU(Micro Controller Unit)とMPU/SBC(Micro Processor Unit/Single Board Computer)の差を極簡単に言うと、MCUは価格追及型、一方、MPU/SBCは機能拡張型です(詳細は関連投稿参照)。

MPUとMCU開発差

同じCortex-M33コアでもMCU開発者とMPU開発者は異なるアプローチ
同じCortex-M33コアでもMCU開発者とMPU開発者は異なるアプローチ

MCU開発者なら当たり前の事でも、MPU側から見ると違う事柄が、コチラの記事前半で良く判ります。記事からピックアップした具体例が下記です。

・MPUは、ネイティブコード以外の開発もある
・サンプルコードは、全MPUペリフェラルをカバーしていない
・オンチップデバッグ無しのMPUボードもありJTAG/SWDの馴染みが薄い

一方、新しいPico 2が、MCU開発者に向いている理由が下記です。

・MCU開発者に馴染みがあるTrustZone対応Cortex-M33コアMPU
・MCU標準開発環境Eclipse IDE代替可能性のあるVSCが開発環境
・Windows/Macで開発できPico 2ボードとDebug Probe価格も低い
・Cortex-M33とRISC-Vのコア切替えもでき発展性に優れる
・Pico 2でオープンソースソフト/ハード開発を体験できる

つまり、MCU開発者の知識や経験を活かし、新しいPico 2 MPU開発ができます。その結果、低い障壁でMPU開発が始められます。

また、業務とは別の自分のキャリアアップにも役立つと思います(二刀流開発の勧め章参)。

Pico 2 MPU開発ハードウェア入手先

最初の図のPico 2とDebugProbeの2つが、購入するハードウェアです。

新しいPico 2は、従来比、1.5~2倍の高性能と省電力性が特徴です。DebugProbeは、専用ケースに入っており接続ケーブルも付属で使い易いです。

秋月電子通商やスイッチサイエンスなどから購入できます。秋月の方が低価格ですが、取扱数量が少ないとサイト記述があります。

・Raspberry Pi Pico 2:秋月電子スイッチサイエンス
・Raspberry Pi DebugProbe:秋月電子スイッチサイエンス

Pico 2開発環境Visual Studio Code

前述の記事後半に、Pico 2開発環境のVSC構築方法と、従来MPUで自作したデバッガー(Picoprobe)を使ったLチカプログラミングが記述されています。

但し、本連載は市販DebugProbeを使います。また、VSC構築は、次回投稿します。先行してPico 2開発環境を構築したい方は、記事を参考にしてください。

Cortex-M33 MCU/MPU二刀流開発の勧め

MCUとMPUの二刀流でTrustZone Cortex-M33を開発
MCUとMPUの二刀流でTrustZone Cortex-M33を開発

今から10年後、2034年の日本とエンジニアの記事は興味深いです。

日本の人口減少と共にエンジニアに求められるスキルも変わり、「高度なスキルに加え、より早く開発業務をこなす能力も求められる」という趣旨です。

本稿のPico 2 MPU開発もこの記事の趣旨がベースになっています。つまり、MCU比、MPU開発は、オープンソースソフト/ハードへの対応が良く、早い業務開発に向いています。

IoTに必須のセキュリティ機能を持つTrustZone Cortex-M33を、高度スキルを活かしたMCU、オープンソースソフト/ハードを活かしたMPU、どちらでも開発できれば、顧客要求を満たすエンジニアになれます。

顧客にとって実現手段はMCUでもMPUでも構わない、開発期間とトータルコストが問題です。この問題を解ける開発者、TrustZone対応Cortex-M33のMCUとMPU二刀流開発者が目標です(ワールドチャンピオンドジャースの大谷翔平氏のように)。

Afterword:Pico 2オープンソースハード/ソフト例

MPU/SBC(小さいコンピュータ)の拡張性を支えるオープンソースハード/ソフトは、市場に数多くあります。これらを上手く使えば、MCU比、早く大規模な開発に役立ちます。ここでは、3例を挙げます。

・AI強化:Raspberry Pi AI Kit、13TOPS NPU追加。
・表示デバイス追加:Tiny2350、カラー液晶追加。
・SSD追加:Raspberry Pi SSD Kit、256GB/512GB追加。

極簡単に言うと、機能を拡張したい時は、これらRaspberry対応のオープンソースハード/ソフトを探し、それをPico 2へ組込めばOKです。正にコンピュータへボード追加のイメージです。多くの機能ボードとボードを動かすソフトが、低コストで入手できますので、MCU比、短期間で簡単に機能拡張できるのが、MPUのPico 2です。


Rufus 4.6でWindows 11 24H2アップグレード成功

2024年10月21日、Rufus 4.6がリリースされました。Rufus 4.5改版の結果、Microsoft公式のCPUリストに掲載が無い古いCPUでもWindows 11 24H2へアップグレードできました。

ダウンロードリンク タイプ プラットフォーム サイズ 日付
rufus-4.6.exe 標準 Windows x64 1.5 MB 2024.10.21
rufus-4.6p.exe Portable Windows x64 1.5 MB 2024.10.21
rufus-4.6_x86.exe 標準 Windows x86 1.6 MB 2024.10.21
rufus-4.6_arm64.exe 標準 Windows ARM64 5.1 MB 2024.10.21

Win11 24H2をWin11 23H2へリカバリし再度Rufus 4.6トライ

CPU要件を回避すべくRufus 4.6が開発中であることは、GitHubに掲載されていました。弊社は、代々Rufusを使ってWin11アップグレードを行ってきたので、今秋の24H2もRufus 4.6でトライします。

そこで、10月11日投稿Afterword章の方法で先行手動Win11 24H2アップグレードしたPCを、元のWin11 23H2へリカバリし、これにRufus 4.6で24H2へ手動アップグレードできるかを試します。

Windows 11 24H2からWindows 11 23H2へリカバリ、Rufus 4.6を試す
Windows 11 24H2からWindows 11 23H2へリカバリ、Rufus 4.6を試す

Rufus 4.6のWin11 24H2アップグレード方法

Rufus 4.6実行ファイルは、リンク先からダウンロードするだけです。PCインストールは不要です。

Rufus 4.6を使ったWin11 24H2アップグレード方法が下表です。Win11 23H2起動状態で24H2インストールUSB setup実行に注意するぐらいで、あとは簡単、ネット速度やPCにも依りますが、準備・更新ともに約1時間で完了します(準備1:23H2バックアップ除く、詳しくは、過去投稿参照)。

Rufus 4.6のWindows 11 24H2手動アップグレード方法
準備
  1. Win11 23H2バックアップ(更新失敗リカバリ対策)
  2. Win11 24H2ディスクイメージダウンロード
  3. Rufusを実行しWin 11 24H2インストールUSB作成
更新
  1. Win11 23H2起動状態でインストールUSB setup実行
  2. Win11セットアップダイアログに従い数回クリック
  3. Win11 24H2大型更新完了

準備3のUSB作成中に表示されるダイアログが、アップグレード要件回避チェックボックスです。Rufus 4.5と全く同じダイアログですが、4.6は古いCPU要件も回避します。これによりRufus 4.5ではNGであったWin11 24H2手動アップグレードは、Rufus 4.6で成功、当該PCの正常動作を確認しました。

Rufus 4.6のアップグレード要件回避チェックボックス
Rufus 4.6のアップグレード要件回避チェックボックス

Rufus 4.6により、Microsoftの段階的ロールアウトを待つことなく、ユーザの好きなタイミングでWin11 24H2アップグレードができます。

Rufus 4.6解説

Rufus 4.6の解説が、コチラの記事にあります。Microsoftが今後導入すると予想される厳しい要件に対しRufus将来性などの懸念が示されています。

しかし、Windows存続・活用にRufusは必須ツール、これが弊社認識です。ウイルスとワクチンに似ています。もちろん、Rufusがワクチンです。

Win11 24H2既知の問題

Win11 24H2アップグレードの既知の問題とMicrosoft対処がコチラの記事にまとめられています。要するに、これら問題が解決するまでは、手動アップグレードは避けた方がBetterということです。

但し、これは元々アップグレード要件を満たす普通のWin11 23H2 PCでの話です。

Win10や古いCPUのWin11 PCにとっては、来年2025年10月のWin10/Win11 23H2サービス終了までに、何もしなければ当該PCの廃棄/Lunix Mint載せ替え/新PC購入などの選択に迫られます。

これら切迫PCに対し、Rufus 4.6はWin11 24H2アップグレードを可能にします。その結果、Win11 24H2サービス期間の2026年10月までの2年間Windowsを使い続けられること、これが何よりも大きいと思います。この延命期間に当該PCの今後を検討できるからです。

PCは、単なる筆記具の置換えから、生成AIを使ったAIアシスタント活用のAI PCへの大変革期です。延命期間と大変革期が重なる次期PCの選び方は、コチラの投稿を参照してください。

Summary:Windows 11 24H2 Rufus 4.6アップグレード成功

Rufus 4.6でWindows 11 24H2アップグレード成功
Rufus 4.6でWindows 11 24H2アップグレード成功

Rufus 4.6を使うと、Microsoft公式IntelAMDリストに掲載無しの古いCPUでも、Windows 11 24H2へ簡単にアップグレードでき、その後、安定動作も確認しました。

24H2アップグレードで得た2026年10月までの2年のサービス期間中に、当該PCをAI PCとして使えるかなど次期PC検討ができます。

Afterword:例年比多いWin11 24H2トラブルとARM64

Win11 24H2既知の問題以外にも、多くのアップデートトラブルが散見されます。原因は、OSコア変更でしょうか、少なくとも弊社利用アプリ互換性は問題無しでした。AI PC大変化期の始まりでMicrosoft対応部門は、トラブルが収束するどころか未だに発散気味、大変でしょう。

また、Rufus 4.6ダウンロードリンクのx86/x64とARM64実行ファイルサイズ差も気になります。処理フローチャートは同じハズ、これ程差が生じる原因も知りたいです。