2019年7月23日STM公式ブログでSTLINK-V3デバッグ/プローブが発表されました。
STLINK-V3は、従来からのST-LINK/V2-1の性能向上と機能追加をしたSTM32/STM8マイコン用の新しいデバッグ/プログラミングインタフェースです。
左側の最新STM32G474(Cortex-M4、512KB Flash)評価ボードはSTLINK-V3、LL API専用テンプレートで使った右側STM32G071(Cortex-M0+、128KB Flash)評価ボードはST-LINK/V2-1インタフェースを使っています。
両インタフェースの主な相違点、いつどのような時にSTLINK-V3を使うのかを説明します。
STLINK-V3/SET、STLINK-V3/MINI
STLINK-V3デバッガ/プログラマは、3種類のボードから構成されます。
STLINK-V3SET基本ボード:MB1441と機能拡張ボード:MB1440、これらボードを収納するケース、基板むき出しのSTLINK-V3MINIです。STLINK-V3MINIは3Dプリンタレファレンスファイルを使ってユーザ独自ケースが作成可能です。
STLINK-V3SETは、MB1441とMB1440、ケース込みで$35、STLINK-V3MINIは、$9.75で販売中です。
STLINK-V3とST-LINK/V2-1の主な相違点
仕様 | STLINK-V3 | ST-LINK/V2-1 |
USBスピード | 480 Mbps(理論値) | 12M bps |
Drag & Dropブログラミング | 可能 | 可能 |
Single Wire Debug(SWD) | サポート | サポート |
JTAG | サポート | なし |
Bridge SPI | サポート(MB1440) | なし |
Bridge I2C | サポート(MB1440) | なし |
Bridge CAN | サポート(MB1440) | なし |
Bridge GPIOs | サポート(MB1440) | なし |
STDC14 | サポート(VCP付き) | なし |
※VCP:Virtual COM Port
PC接続のUSB速度が最大480Mbpsと高速となり、STM32G474のような512KBもの大容量Flashでも高速に書込みが可能です。
また、機能拡張ボード:MB1440では、従来からあるUARTブリッジ機能に加え、SPI/I2C/CAN/GPIOのブリッジ機能も使え、PC上で各インタフェースのデバッグ等に活かせます。
STLINK-V3ターゲット接続インタフェース:STDC14
これらSTLINK-V3SET/MINIボードの基本機能(SWD、JTAG、Virtual COM Port)とターゲットMCUボードを繋ぐ仕様がSTDC14です(ハーフピッチ14ピンケーブル)。
STDC14コネクタをターゲットMCUボードに実装しておけば、STLINK-V3SETかSTLINK-V3MINIを使ってターゲットMCUのデバッグやプログラミングがST-LINK/V2-1よりも高速、効率的にできます。
VCP:Virtual COM Port
従来のST-LINK/V2-1でもVirtual COM Portは使えました。例えば、STM32G071評価ボードでは、ST-LINK/V2-1のVCP機能を使ってSTM32G071RBのLPUART1とPCとを接続し、評価ボードに追加配線なしでSTM32G071RB動作確認や操作ができています。
PC上でTera Termなどのターミナルソフトを使えば簡単手軽にターゲットMCU動作確認ができるVCPが、新しいSTLINK-V3接続インタフェースSTDC14に含まれるので、VCPの重要性は益々高まると思います。