4月はマイコンIDE関連のブログ記事を3件記載しました。まとめにEclipseベースのマイコンIDEを概説します。
統合開発環境:Integrated Development Environment, IDE
ソフトウエアを開発するには、ソースを記述する「エディタ」、記述ソースをターゲットコードへ変換する「コンパイラ」、コードをターゲットへダウンロードしデバッグする「デバッガ」…など色々なツールが必要です。これらツールをひとまとめにパックしたのが、統合開発環境:IDEです。
Eclipse
Eclipse(「イクリプス」または「エクリプス」)は、IBMによって開発された統合開発環境の一つ。高機能ながらオープンソースであり、Javaをはじめとするいくつかの言語に対応(Wikipediaより抜粋)。
オープンソース、OS非依存、多言語対応、プラグインによる機能追加などの特徴を持つEclipseは、マイコン開発のみならず様々な「ソフト開発環境のフレームワーク」として世界中に普及しています。
V4.5が現在の最新版で、コードネームはMars(火星)。今後のリリース予定が下表です。
バージョン | リリース日 | コードネーム | コードネームの由来 |
4.4 | 2014/06/25 | Luna | 月を意味。 |
4.5 | 2015/06/24 | Mars | 火星を意味。 |
4.6 | 2016/06予定 | Neon | 元素の一つ、ネオンを意味。 |
4.7 | 2017/06予定 | Oxygen | 元素の一つ、酸素を意味。 |
多様性と差別化、OS非依存
多種多様なマイコンをベンダ各社は供給中です。
EclipseベースのIDEは、フレームワークはそのままで、自社の多様なマイコン毎に異なる「APIコード生成ツール」や「コンパイラ」の、その部分のみをプラグインで追加/交換できますので、マイコンベンダにとって好都合です。
さらに、他社との差別化機能になるプラグインの開発に労力を集中できます。APIコード生成ツールでは、NXP(旧Freescale)のProcessor ExpertやCypressのGenerate Application、ルネサスのコード生成などがその例です。
MCUコアがARM Cortex-M0/M0+で同じでもマイコンの周辺回路は各社異なります。この異なる周辺回路を活かすAPIコード生成ツールとその使いやすさが差別化ポイントです。
また、WindowsやiOSへも使えるOS非依存性も開発者に歓迎されています。
e2 studioの例
以上のことを知ったうえでEclipseベースのIDEの1つルネサスのe2 studioのソフトウエア構成図を見ると、内容がよく理解できます。
マイコンIDEの主流はEclipseベースのIDEですが、マイコンIDE早期習得のコツ、ポイントのページで示したように、IDEで本質的に差が生じるのは「マイコン機種依存のAPI生成ツール」とした根拠をここでは示しました。