Wordには、名刺、カレンダー、パンフレットなどアプリ毎のテンプレートが用意されています。マイコンテンプレート開発時に悩むのが、どのようなアプリを意識してテンプレートを作るかです。できるだけオールマイティなテンプレートが目標です。
今回は、弊社マイコンテンプレートの骨格について説明します。
テンプレートの骨格
弊社マイコンテンプレートは、
(1)無償IDEのプログラムサイズ
(2)時分割の処理起動
(3)RAMでの関数間パラメタ渡し
(4)UARTメニュードリブン
の4つの骨格を持ちます。
(1)無償IDEのプログラムサイズ:弊社テンプレートは、IDE無償版で開発できるプログラムサイズを対象とします。これは、この程度が個人や少人数で開発/デバッグできる限界と考えるからです。これ以上大きくなると、開発/デバッグが指数的に困難となり、開発を収束させるために、例えばリアルタイムOSなどの別手段が必要になります。
最近は、無償版でも256KB程度の十分大きなサイズも開発できるようになりました。これは、IDEツールが高機能になり、API関数の自動生成や、既存ライブラリを簡単に使えるためです。これらIDE生成関数は、バグなしの完成品ですが、個人でカスタムメイドできるサイズは、今も昔もあまり変わらないと思います。経験的に無償IDEで開発できるサイズがこの上限サイズです。
(2)時分割の処理起動:マイコンは、CPUと周辺回路が「ハード的に並列動作」します。従ってCPUソフトを、周辺回路起動と処理完了確認の2つで関数化すると、複数の周辺回路を簡単に並列動作させることができます。起動から処理完了までの処理時間は、周辺回路毎に予想できますので、その間に別処理、例えばSleepをすれば電力効率もアップします。これらの処理を時分割で起動するのが弊社テンプレートです。
(3)RAMでの関数間パラメタ渡し:カスタムメイド関数のパラメタは、内蔵RAMを使って外部と入出力します。これで関数単体デバッグが簡単になります。RAM値をデバッガで確認/修正すれば、関数動作が把握できるからです。さらに、関数の中身が未完成の時でも、入出力値をRAMに設定しさえすれば、結合デバッグができるメリットもあります。
(4)UARTメニュードリブン:シリアルポートUARTを持たないマイコンはありません。Wi-FiやBluetoothモジュールをこのUARTへ接続すれば、ワイヤレス制御もできます。シリアル-USB変換ケーブルでマイコンとPCを接続し、メニュー形式で処理を選択するメニュードリブンをテンプレートに採用する理由は、2つあります。1つが、この「UARTが必ずあり、応用範囲が広い点」です。
もう1つが、メニュードリブンで開発すると「処理の移植が容易な点」です。テンプレート利用者は、メニューで示された処理のうち、必要な処理のみを簡単にテンプレートソースから見つけることができます。所望処理がUART受信コマンド解析関数から始まるからです。
そして、発見した関数(または関連関数)を、丸ごとご自身のソースへコピーすれば、動作させることができます。テンプレートは、多くの場合、この処理単位でファイル化していますので、ファイルを丸ごとコピーしさえすれば、必要な処理をテンプレートから抜き出すことも可能です。
評価ボードで実動作確認
入手性が良く低価格な評価ボードで、これらの骨格をもつテンプレートをボードへ実装し、動作確認を行い、詳細な説明資料付きで販売します。説明資料付きのテンプレートと評価ボードの組合せは、効率的に対象マイコンを習得でき、新規アプリ開発と評価に役立ちます。
販売テンプレートと開発テンプレート
現在、2種のテンプレートを販売中で、2種を年末までに開発、発売予定です。開発経過などを本ブログに記載しますので、ご参照ください。価格は、各1000円(税込)/1コピーです。
テンプレート名 | ベンダ | マイコン | 動作確認評価ボード |
RL78/G1xテンプレート Ver3 | ルネサス | RL78/G1x (32MHz) |
・RL78/G13 Stick ・RL78/G14 Stick ・QB-R5F100LE-TB ・QB-R5F104LE-TB ・BB-RL78G13-64 (弊社推薦ボード) |
LPC8xxテンプレート | NXP | LPC81x Cortex-M0+ (30MHz) |
・LPCXpresso LPC812 + mX-BaseBoard |
LPC1114テンプレート | NXP | LPC1114/5 Cortex-M0 (50MHz) |
・LPCXpresso LPC1114 + mX-BaseBoard |
Kinetis/Eテンプレート(開発中) | freescale | Kinetis Eシリーズ Cortex-M0+ (40MHz) |
・FRDM-KE02Z40M + mX-BaseBoard |