NXPは、2018年3月2日Bluetooth 5/Thread/Zigbee 3.0サポートのコンシューマ/産業IoT向けセキュリティ強化ARMディアルコア(M4とM0+)搭載のKinetis K32W0x MCUを発表しました。
この新製品は、以前投稿したCypressのPSoC 6:Cortex-M4とCortex-M0+のディアルコア、セキュリティ強化、BLE 5サポートのCypress PSoC 6によく似た製品です。
Cypressに続きNXPもARMディアルコアを採用したことで、強固なセキュリティが必須のIoTマイコンは、シングルコアよりもディアルコア搭載が標準になりそうです。IoTマイコンのセキュリティ関連情報を調査し対処方法を検討します。
PSoC Creator 4.2
PSoC 6搭載評価ボードCY8CKIT-062-BLEのPSoC Creator動画では、デュアルコアのIDEでの扱い方やデバッグ方法などがいまいち不明でしたが、最新版PSoC Creator 4.2(2018年2月13日)で正式にPSoC 6がサポートされました。コアにより別々のフォルダにソースコードを作成し、デバッガはどちらかの一方のコアに接続します。
各コアの役割や機能配分が明確でないと、シングルコアよりもデバッグが大変になりそうです。
色々なセキュリティ強化方法
今年初めから騒がれた投機実行機能の脆弱性起因の対策は、まだ収束していません。Cortex-M系コアはこの脆弱性に関してはセーフでしたが、後追いが宿命のセキュリティ対策には終わりがありません。組込みマイコンにも、常時アップデートができるOTA:Over The Air更新機能が必須になるかもしれません。
Windows更新でも失敗があることを考えると、このOTA機能はリスクが高く、マイコン処理能力や導入コストもかなり必要です。
一方Maximは、セキュア認証専用ICを1ドル未満で提供することを発表しました。言わばMCU固有の指紋を使うことで安価にセキュリティ強化が可能です。評価キットも用意されています。
NXPもA71CHで同様のICと開発キットを用意しています。
少し古い資料ですが2012年11月発表の、“つながる時代のセキュリティ、チップと組み込みOSの連携で守る”を読むと、セキュアブート、効率的な暗号化、仮想化を使ったデータ保護サブシステムをセキュアに分離する技術など、半導体チップで提供されるセキュリティ機能を最大限に活用すべきだとの指針が示されています。
MCUセキュリティ対策の費用対効果
2年から数年でハードウェアが更新される個人情報満載のスマホやユーザ自身がセキュリティ対策を行うパソコンと、組込みマイコン:MCUのセキュリティ対策は、守るべき情報内容、管理運営方法が大きく異なります。
IoTマイコンのソフトウェアやハードウェア開発能力だけでなく、導入するセキュリティ対策の費用対効果を見極めるスキルも必要になりそうです。本命がハッカー次第で変わるなど、セキュリティは厄介で面倒な技術です。