Windows 11 24H2アップグレード延期

12月になってWindows11 24H2更新が降ってきた
12月になってWindows11 24H2更新が降ってきた

今年101日にWindows 11 24H2段階的配布が始まって2か月、セーフガードが解除されたためか、ようやく弊社PCにも今週Win11 24H2が降ってきました。

しかしながら弊社は、来年3月末までは弊社4PC全てをWin11 23H2で運用することにしました。本稿は、その理由と今後の24H2アップグレード策を示します。

先行手動アップグレードWin11 24H2で試運用

Rufus 4.6を使って1台のWin11 23H2 PCを、Win11 24H2へ先行手動アップグレードし、主要アプリ互換性BitLockerによるデバイス暗号化注意点が判りました。但し、これらは、Win11 24H2単独運用の結果です。

先行アップグレードしたPCは、主として定期データバックアップ用です。弊社は、このバックアップアプリにFreeFileSyncを使っています。4PCは、プライベートLAN接続です。

Win11 24H2アップグレード後、Win11 23H2同士では何の問題も無かった他PCへのLAN接続ができず、定期データバックアップが出来なくなりました。

つまり、Win11 24H2単独運用では問題が無いものの、複数PCLAN接続に関しては、トラブル発生です。筆者はWindowsネットワークトラブルが、解決しにくいことを経験上知っています。

Win11 24H2先行アップグレート後、2回の月例修正パッチも適用しましたが、LANトラブルは未解決です。

Win11 24H2ネットワークトラブル

12月に入って“Windows 11 24H2 ネットワーク トラブル”でネット検索したところ、1000万件以上がヒットしました。12月の1週間以内に限っても5000件以上のヒットがあり、Win11 24H2 LANトラブルは多発のようです。

検索対策によると、Win11 24H2自身のセキュリティ強化が原因のようです。

Windowsネットワークトラブルはケースバイケース、前述のように解決困難で数件の掲載策を実施しましたが未解決です。

Win11 24H2修正パッチで新バグ発生

コチラの記事によると、Win11 24H2修正パッチ自体が、新たなバグを生むようです。

この原因は、Win11 24H2コアが、旧Win11/10Nickelコアから、新しいGermaniumコアへ変わったからだと思います。過去のWindowsも同様にOSコア変更時は、トラブル連発でした。

さらに、Win11 24H2は、次期Windows 12AI PC)への移行やWin10までの古いPCハードウェアの買換えを促進する役目も担っています。

既に多くのエッジAI PC機能がWin11 24H2に実装中です。しかし、エッジAIを実用に使うには、高性能NPUGPU/CPU、高速メモリが必要で新しいCopilot+ PC購入が必要になると思います。

また、TPM 2.0に代わる新たなセキュリティデバイス:Microsoft Plutonプロセッサが、安全なネットワーク接続に必須になるかもしれません。検索結果のように、TPM 2.0実装PC間でもWin11 24H2 LANトラブルが多発しているからです。

SummaryWindows 11 24H2アップグレード延期理由と対策

先行手動アップグレードWin11 24H210月から12月の2か月試運用の結果、以下が判りました。

  • Win11 24H2単独運用はアプリ互換性OKBitLockerに注意すれば問題なし。
  • Win11 24H2と旧Win11 23H2LAN接続でトラブル継続中。
  • 23H2比、Win11 24H2自身のセキュリティ強化がネットワークトラブル原因か。
  • Win11 24H2修正パッチで新たなバグ発生あり。

これらWin11 24H2トラブル多発の背景は、従来Win11/Win10からのOSコア変更、次期Win12AI PC)への新機能追加にあると推測します。

安全策として、弊社4PCWin11 24H2アップグレードを20253月末まで延期し、それまでは全PCWin11 23H2運用とします。

Win11 24H2多発トラブルが、20253月末までに収束を期待。

Win11 23H2サービス終了202510月半年前の4月に、Win11 24H2トラブル状況を再確認し、Rufus 4.6によるWin11 24H2アップグレードを対策とします。

AfterwordOCuLinkによる外付けGPU追加

OCuLink(データ転送速度最大64GbpsPCI Express 4.0対応)というThunderboltUSB 3よりも高速なインタフェースを使うと外付けGPU追加ができます。ミニPC採用中の新しいインタフェースで、エッジAI能力追加が可能です。

エッジAIとクラウドAI両処理でAIアシスタントを実務に使うには、それなりのハードウェアやインタフェース/回線速度が必要でしょう。高画質でYouTubeを見るには、高性能GPU/モニタと高速ネットワークの全てが必須なのと同じです。どれが欠けてもボトルネックが生じ、期待の高画質再生はできません!

様々なAIサービスがWin11 24H2へ追加中です。しかし、次期AI PCWin12)はこれらが統合され、より使い易いAIアシスタントになると思います。例えば、前投稿最後のイラスト「プレタポルテのMPU開発とオーダーメイドのMCU開発」は、Edge Copilotを使って筆者自ら作成しました。

従来PCからAI PCへ変わる2025年
従来PCからAI PCへ変わる2025年

しかし、投稿文作成中に、Copilotが自発的にこのイラストを使ってはどうですか?などアシスタントアドバイスがあれば、もっと簡単で効率的に記事が作成できます。エッジAI能力は、いくらあっても無駄にはならないと思います。

Afterword2Win11 24H2アップグレート延期方法

Win11 23H2からWin11 24H2自動アップグレートを4ヶ月間止める方法は、いろいろあります。弊社は、コチラWindows 11対策オプション2、グループボリシーから無効化する方法を用いました。



AI Windowsの選び方

Intel、AMDにArmが加わり三つ巴のAI Windowsハードウェア
Intel、AMDにArmが加わり三つ巴のAI Windowsハードウェア

Windowsハードウェア大転換期の今、次期PC購入に備えAI Windowsの選び方をまとめました。

Windows 10サポート終了の2025年10月14 日まで残り約1年。24年8月シェア64%のWin10次期OSは、未だシェア32%のWin11です(シェアはstatcounterより)。
また、24年6月Microsoft発表Copilot+ PCのCPUは、従来のIntel/AMDから新しいArmコアへ変わりました。

Win11低迷理由

敢えてWin10をWin11へアップグレードするメリットが少ない、これがWin11低迷理由です。

例えば、Win11アップグレード要件のTPM 2.0は、新しいPCハードウェアなら実装済みでWin10でも動作します。つまり、セキュリティ面は、Win10でもWin11と同等です。

また、Win11とWin10は同じOSコアでアプリ移植性は高いにも係わらず、未だにウェビナーやセミナ環境にWin10を推薦する場合が多いです。つまり、ビジネス面や運用面でも、Win11不人気です。

ネットカフェでも4月以降Win11 PCが増えてきました。このWin11とWin10の両環境で比較しても、タスクバーやメニュー、外観などのWin11操作性がWin10比、特に優れているとは思えません。

Win11は、上記のようにMicrosoft期待に反し、ユーザに受け入られずシェア低迷となっています。

Windows Armコア理由

Win11低迷に対するMicrosoft打開策が、新しいWin12提供ではなく6月発表のCopilot+ PCです。

PCのエッジAI実行には、GPUよりも電力効率の良いAI処理専用NPU(Nural Processing Unit)が必要です。また、ライバルApple社がいち早く導入したArm CPUコアは、特にノートPCのバッテリー駆動時間を、従来Intel/AMD比、長くします。

この2点からMicrosoftは、従来Intel/AMD CPUのx86/x64アーキテクチャから、新しいArmアーキテクチャへ変え、かつ、40TOPS(Tera Operations Per Second)以上の処理能力NPUをCopilot+ PCのハードウェア要件としました。これらは、ノートPCをエッジAI PCメインターゲットとした変更です。

つまり、パーソナルなAIとの親和性が高いノートPC CPUを、Appleで好評な低電力動作Armコアとし、同時にCopilotという名が示すように、常にユーザの真横でNPU AI処理を実行する新しいAI Windowsハードウェアを規定した訳です。

Copilot+ PCとAI PC

新しいCopilot+ PCの第 11 世代surface Pro、32 GB RAM、1 TB SSD、¥394,680 (税込)(出典:Microsoft)
新しいCopilot+ PCの第 11 世代surface Pro、32 GB RAM、1 TB SSD、¥394,680 (税込)(出典:Microsoft)

新しいArmコア搭載Windowsが、Qualcomm社Snapdragon X Elite搭載ノートPCです。これが、Microsoft公認Copilot+ PCハードウェアの第一弾です。

一方、従来Intel/AMD CPUを採用してきたPCメーカは、Intel/AMD CPU搭載で40TOPS以上のNPUを持つPCを、(暫定と思いますが)AI PCと呼びます。CPUのみMicrosoft公認Copilot+ PCのArmコアとは異なりますが、エッジAI処理を十分にこなせるAI向きPCという意味です。

※Microsoftは24年11月よりIntel/AMD CPUでもCopilot+ PC機能が使えるアップデート提供予定

従来のWindowsアプリは、x86/x64動作です。従って、Intel/AMDのAI PCは、従来アプリがネイティブ動作する安心感があります。Armコアでは従来アプリを、Prismというエミュレーションで実行します。

Windowsアプリの観点からCopilot+ PCとAI PCを区別すると、

Copilot+ PC:新しいパーソナルAI処理アプリをネイティブ実行できバッテリー持ちも良いが、従来アプリ互換性に関しては、エミュレーション実行のため一抹の不安あり。

AI PC:従来アプリ互換性は高いが、AI処理アプリが非ネイティブ動作など消費電力はCopilot+ PC比、不利。

PCメーカが、ArmコアのCopilot+ PCと並列にIntel/AMDのAI PCも発売するのは、従来アプリ互換性を重視するビジネスユーザのためです。

大転換AI Windowsハードウェア選択肢

さて、様々な理由でWin10を使い続けたユーザでも、サポート終了で次OSにWin11を選ばざるを得ない状況が近づいています。また、AI利用を望むユーザは、AI Windowsハードウェアを何にするかが、大転換期で微妙な時期です。選択肢は3つあります。

選択肢1:既存Windowsハードウェアを流用し、Win11アップグレード。
選択肢2:新規Intel/AMD CPUと40TOPS以上NPUハードウェアで、Win11アップグレード。
選択肢3:新規ArmコアCPUと40TOPS以上NPUハードウェアで、Win11アップグレード。

選択肢1は、エッジAI活用に不向き、選択肢2は、Arm比、トータル電力消費で劣る、選択肢3は、既存アプリ互換性に懸念、などの特徴があります。

AI Windowsへの期待

高度な迷惑メール自動振分けと、MCUセキュリティアシスタントをAI Windowsへ期待
高度な迷惑メール自動振分けと、MCUセキュリティアシスタントをAI Windowsへ期待

様々なビジネス/パーソナル用途に、AI活用が期待されておりWindows生産性も確実に向上します。

筆者がAI Windowsに期待するのは、高度な迷惑メール自動振分けと、MCUセキュリティアシスタントです。どちらも最新セキュリティ関連の専門知識とクラウド検索が必要で、AI向きだと思います。

※高度迷惑メール自動振分けとは、メーラに(おまけで)付属している振分け機能よりも専門的で的確、高度に迷惑メールを判定、削除できるアドインAI機能等を想定。
※MCUセキュリティアシスタントとは、最新セキュリティ知識を持ち、そのMCU開発費や要求スキルも概算できるAIコンサルタントを想定(詳細、前稿参照)。

もちろん、MCU開発環境として従来WindowsアプリのEclipse IDE動作互換性も重要です。但し、最新MCU開発環境に、MicrosoftのVisual Studio Code(VSC)を使う可能性も出てきました。Eclipse IDEとVSC、両方のAI PC(Copilot+ PC)互換性は、今後調査予定です。

Summary:AI Windowsの選び方

従来Intel/AMDに加え、消費電力重視の新しいArmコアCPUとAI専用NPU実装ハードウェアの3つ巴戦がWindowsハードウェア大転換期の発端です。

Win10サポート終了対策や新しいAI Windowsを選ぶ時は、大転換期ハードウェアの特徴を掴んでおく必要があります。

AI Windowsハードウェア
(24年9月時点)
既存PC
従来ハードウェア流用
AI PC
新規Intel/AMD&NPU
Copilot+ PC
新規Armコア&NPU
エッジAI活用 Passing(GPU依存) Excellent Excellent
AI PCアプリ消費電力 Poor Good Excellent
既存アプリ互換性 Excellent Excellent Good(Prism依存)
トータル消費電力 Poor Good Excellent

Copilot+ PCは、ノートPC向けのため終日使用可能なトータル消費電力重視です。

筆者は、可搬性やバッテリーの持ちよりも、テスクトップでのAI処理能力やコスパを重視します。そこで、次期AI Windowsハードウェアは、AMD社Ryzen AI 300 CPU(50TOPS NPU内蔵)程度のミニPCが最有力と考えています。

Afterword:相対評価から数値評価へ

大転換期AI Windowsの3種ハード相対評価を行いました。実際にAI処理を行うと、どの程度バッテリー消費が変わるかが、コチラの記事にあります。AI機能は、Microsoft提供中の「Windows Studio Effect」(ビデオ通話エフェクト)などで数値変化が判ります。

専門家によるAI PC評価は、今後増えるでしょう。これら数値評価も参考に、次期Windowsハード選定の予定です。ちなみに、ハード価格は、既存PC<AI PC<Copilot+ PCです。

なお、もう1つのAI Windows選定留意点として、Win11 TPM2.0同様、Win12では、Microsoft Pluton Securityプロセッサがアップグレード要件になる可能性も指摘しておきます。いわば、Win12セキュリティのRoot of Trust相当になると思うからです。