AI基本のキ:Gemini Notebook発表の考察

NoteboolLMからGemini Notebookへリブランディング
NoteboolLMからGemini Notebookへリブランディング

以前の投稿:AI基本のキ:GeminiとNotebookLM、Copilotでは、GoogleMicrosoftAIサービスの基本的な違いについて解説しました。2026716日、Google AIに大きな動きがありました。Google提供のリサーチ支援ツール「NotebookLM」が、「Gemini Notebook」へと名称変更(リブランディング)されたのです。

本稿は、このリブランドに伴う進化と、同じタイミングで発表されたGeminiモデル自体の最新アップデートについて整理し、「激しく早いAI進化に対し、我々ユーザはどう対応すべきか」という観点で考察します。

NotebookLMから「Gemini Notebook」への進化

716日、GoogleNotebookLMを「Gemini Notebook」に改名しました。これは単なる名前の付け替えではなく、独立していたNotebookLMを、Geminiブランド中核のGoogle AIエコシステム:Gemini Notebookへと格上げしたことを意味しています。

Gemini Notebookの主な進化点が以下です。

  1. 読むAIから実行するAIへ:

従来NotebookLMの主な機能は、資料の要約や対話(読解)でした。新機能として「コード実行機能」が追加されました。各ノートブックに安全なクラウドコンピュータ環境が割り当てられ、AIが資料に基づいてPythonコードを記述・実行し、複雑なデータ集計や統計分析を行うことが可能になりました。

  1. AIエコシステムとの完全連携:

Geminiアプリ内から直接ノートブックを作成・アクセスできるようになり、双方向でシームレスに同期されます。今後は、Google検索の「AIモード」からも直接利用できるようになる予定です。

  1. 特徴は不変

ユーザが読み込ませた資料のみを情報源とする「ソースグラウンディング(根拠に基づく回答)」という最大の特長は、そのまま引き継がれてます。

Geminiモデル自体の劇的進化

前章Gemini Notebookの裏側で動作するAIモデル自体も、驚異的なスピードで進化を続けています。2026722日には、高速・低コスト帯の最新モデル「Gemini 3.6 Flash」と「Gemini 3.5 Flash-Lite」が登場しました。

Gemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Lite追加のGeminiに相談画面例
Gemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Lite追加のGeminiに相談画面例
  1. 17%の効率化と値下げ:

Gemini 3.6 Flashは、前世代の3.5 Flashと比較して出力の無駄を17%削減しつつ、トークン単価も引き下げられました(引き続き無料トークンもあります)。

  1. 精度の向上:

コード修正の正確さ(DeepSWE)は37%から49%へ、PC操作の代行能力(OSWorld-Verified)も78.4%から83%へと大きく向上しています。AIエージェントの進化です。

  1. ユーザインターフェース:

実際の「Geminiに相談」画面例(上図)を見ると、用途に合わせて「3.6 Flash(あらゆる場面でサポート)」や3.5 Flash-Lite(すばやく回答)」などを簡単に切り替えて利用できるようになっています。

AI進化に翻弄されないユーザ対応の考察

これほどまでに激しく早いAIの進化に対し、我々ユーザはどう向き合うべきでしょうか? 筆者は、AIツールの根底特性(ポイント)を理解していれば、新機能が登場しても迷わないと思います。

  1. 目的と情報源を明確にする:

ネット全体の広範な知識が必要なら「Gemini」、手元の資料を深く分析・整理したいなら「Gemini Notebook」という使い分けの基本は変わりません。リブランドによってこの境界はよりスムーズになりましたが、何に基づいてAIに回答させるかを明確にし、使い分けることが重要です。

  1. AIアシストを使いこなす:

新しく加わったコード実行機能や、AIが自律的に推論するAIエージェント機能は、ユーザの生産性を大きく引き上げます。それでも、AI提案や回答の採否を決めるのは、ユーザ自身を忘れないことです。

  1. 変化を恐れずAIツールを試す:

「名前が変わった」「モデルが新しくなった」というニュースに圧倒されるのではなく、先ずはツールに触ってみることです。Gemini Notebookのように、過去のデータはそのまま引き継がれ、操作感も改善されているケースがほとんどです。

SummaryAI基本のキ:Gemini Notebook発表の考察

AIの導入や進化を脅威と感じることは不要です。AIは、ユーザ課題解決の1手段に過ぎないからです。

Gemini Notebookという強力な「実行可能リサーチ拠点」を手に入れた今、ユーザはこれまで以上に高度なアウトプットを短時間で生み出せる環境にいます。AIモデルの低コスト化・高効率化(Gemini 3.6 Flashなど)により、Google AIエコシステムはより身近な存在になりました。

重要なのは、最新のAI情報を追いかけるのではなく、「今の自分にとってどのツール・機能が有効かを見極め、俯瞰的にポイントを押さえ柔軟にAIを活用する姿勢」だと思います。使ってみないとツールの良し悪しは判らないものです。



生成AI革命インパクト

生成AI革命は、GAFAMと呼ばれる現在のIT企業勢力図を変えそうです。米)The Atlantic分析では、新勢力は、GOMA。2024年2月16日のプレジデント オンライン記事が、「Google+Anthropic」対「Microsoft+OpenAI」と解説しています。

生成AI革命によるIT企業、半導体産業、MCUベンダへのインパクト記事をまとめました(生成AI革命はAfterword1参照)。

※2月23日金曜が天皇誕生日で休日のため、木曜先行投稿します。

Summary:生成AI革命インパクト

生成AI革命は、企業、産業、生活など全てにインパクトを与えそうです。例えば、人々のネット利用は、従来の検索型からChatGPTと生成AIによる会話型へ変わるでしょう。会話型に慣れると、検索型へは戻れないからです(検索/会話型はAfterword2参照)。

このようにChatGPTと生成AIは、人間へ優れたAIとのインタフェースを与えます。しかも、AI進化・学習スピードは、人間の比ではありません。

企業サービス利用者は、このAIを上手く使えるか否か、つまり、AI活用性が重要な選択肢になるでしょう。

一方、サービス提供企業は、利用者のAI活用欲求を満たさないと、企業衰退の可能性があることを本稿の各記事は示しています。

GAFAMからGOMAへ

生成AI革命がGAFAMからGOMAへ変える
生成AI革命がGAFAMからGOMAへ変える

GOMAは、Google、OpenAI、Microsoft、Anthropicの頭文字です。

米)Anthropicは、2021年設立のAIスタートアップ企業で、当時OpenAI研究担当副社長ダリオ・アモディ氏らが、MicrosoftとOpenAI協業方向の違いから退き設立した会社です。そして、Anthropicの協業先は、Googleです。

GAFAMからGOMAへ変わる理由は、AIの開発・運営費用が、従来の検索型コストの10倍かかるからです。このコストを賄いつつも、AIがどの程度利益を生み出すかは、現状不透明です。

このリスクを承知の上でAIを牽引できるのは、検索大手2社、GoogleとMicrosoftだけです。その結果、The Atlanticは、GAFAMからGOMAへ変わると分析しています。

ChatGPTに無償/有償版があり、生成AIのGPTモデルもGPT-3.5/GPT-4など選択肢が出てきたのは、10倍コストが背景にあります。

Microsoft)Copilot対Google)GeminiのAI活用コストパフォーマンス競争が始まりました。

半導体産業インパクト

半導体産業を根本から変える規模のAI半導体開発計画
半導体産業を根本から変える規模のAI半導体開発計画

米)OpenAI CEO解任/復帰劇があったSam Altman氏は、2024年2月12日~14日、アラブ首長国連邦)ドバイのThe World Governments Summit 2024で、GPT-4の次世代モデルGPT-5に言及しました。

さらにSam Altman氏は、日本GDPの約2倍、最大7兆ドル規模の「AI半導体開発計画」を画策中だそうです。

これは、半導体産業を根本から変える規模の計画です。

IntelやAMDもAI専用プロセサ:NPU内蔵CPUを相次いで新発売し、GAFAM各社も、独自AI向けプロセサを開発中です。生成AI革命には、大量のAI半導体が必要になるのでしょう。

2023年売上が約5270億ドル、2030年には、約1兆ドル見込みの世界半導体売上は、AI関連で占められるかもしれません。

MCUベンダインパクト

自動運転(出典:政府広報オンライン)
自動運転(出典:政府広報オンライン)

半導体生産を担うMCUベンダも、最近、組織再編ニュースが多いです。例えば、STマイクロルネサスなどです。その背景を推測しました。

産業向けMCUに比べ好調な車載向けMCUは、制御系と車載IT系の大きく2に分かれSDV(Software Defined Vehicle)を進化させつつあります。車載IT系は、AIとの親和性が高く、自動運転などのAI化は、MCUベンダ製品系列を大きく変える可能性があります。

MCUベンダの組織再編は、生成AI革命による変化の前兆かもしれません。

Afterword1:生成AI革命とは?

ChatGPTと生成AIの出現は、生成AI革命と呼ばれます。それは、ブラウザ経由(CopilotまたはGemini)で、人間対人間のように会話でAIへ質問し、結果(回答)を引出すことができ、しかも、全分野でAIが回答できるからです。まさに革命的です!

関連投稿:生成AI活用スキル

Microsoft Copilot対Google Gemini
Microsoft Copilot対Google Gemini

Afterword2:検索型から会話型へ

ネット利用は、従来、検索が大部分でした。Google)ChromeやMicrosoft)Edgeなどのブラウザは、「キーワード」入力に対する検索出力の正確さ・速さを競いました。

しかし、利用者が本当に知りたいのは、ブラウザ検索出力では無く、検索出力を分析した結果です。この分析は、利用者自身が行いました。つまり、検索型で「結果」を得る方法は、下記でした。

キーワード入力→検索出力の利用者分析→結果

ところが、ChatGPTと生成AIは、初めから利用者が知りたいことを「質問」としてネットへ入力できます。ネットで会話しながら追加質問もできます。会話型で「結果」を得る方法は、下記です。

質問入力→結果

検索型よりも知りたい結果が、直接得られます。ネット利用が検索型から会話型へ進化し、AIとの会話に慣れると検索型へ戻れない理由です。