AIとの付き合い方

クラウドAIから出力を引出す手段が、ChatGPTなどの対話AIアシスタントです。このChatGPTへの「ありがとう」や「お願いします」という礼儀正しい言葉使いが、クラウド電力の巨大な消費に繋がるという421Gigazine記事は、面白いです。AI普及に伴い、人工知能との付き合い方を考える必要がありそうです。

Gigazine記事のクラウドAI要約

「Gigazine記事要約を箇条書きにまとめて」と、MicrosoftブラウザEdgeの対話AIアシスタント:Copilotへ入力し、そのクラウドAI出力が下記です(Copilot利用方法は、コチラの投稿 3章参)。

  • OpenAIのサム・アルトマンCEOは、ChatGPTに「お願いします」や「ありがとう」といった礼儀正しい言葉を使うことで、数十億円規模のクラウド電力消費が発生している可能性があると認めた。
  • この発言は、あるX(旧Twitter)ユーザの「AIへの礼儀が電気代にどう影響するのか」という投稿が発端。
  • Microsoftデザインマネージャーは、AIへの礼儀正しい接し方が良い結果をもたらすと述べ、AIとの対話におけるエチケットの重要性を強調
  • アメリカ調査では、多くの人がAIに対して礼儀正しく接しており、その理由として「正しい行動だから」と考える人が多いことが判明。
  • クラウドAI動作には大量リソースが必要で、AIデータセンター消費電力が世界の2%を占める
AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う
AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う

要するに、接し方次第で得られる出力が左右されるという人間臭い性格(性能)をAIも持つようです。

災害時のクラウドAI活用

2025422日の日経ビジネス記事も、Gigazine記事同様に興味深いです。筆者自身が要約すると、

  • 20202月、横浜港停泊中のクルーズ船:ダイヤモンド・プリンセス内で、CODID-19の集団感染発生。船内隔離の乗員・乗客との意思疎通のため、セットアップ済みスマホ2000台と充電器を船内配布。
  • この意思疎通の経験を活かし、災害時の人手不足を補うクラウドAI電話対応サービス:AiCallへと発展し、情報収集や被災地医療搬送などに活用中。

災害時のクラウドAI活用サービスは、今後急増すると思います。もちろん、これらサービスは、通常時でも当たり前のように活用されるでしょう。

エッジ(端末)AI動向

421日、Win11 Devビルド16120.3872(プレビューテスト版)で、エッジAIClick to Doへ、テキストや画像をAIが読取り、例えば、テキスト解説、画像背景のぼかしなどを、エッジAIへ簡単に依頼できる機能が追加されました。

このようなAI PCNPUを活かしたエッジAIサービスも、クラウドAI同様、急増するでしょう。

SummaryAIとの付き合い方

人間がAIとの付き合い方を考える時期になった
人間がAIとの付き合い方を考える時期になった

日本の人口減少や災害時対策として、人手を補うクラウドAIサービスの導入・活用は必然です。また、AI PCNPUを使ったエッジAIサービスも今後急増するでしょう。

但し、サービスを利用するユーザ:人間側には、相手がAIか人かの判断は難しい状況です。現在NHKニュースは、「(人間)アナウンサーに代わりましてAIがお伝えします」と注釈を付けますが、この注釈無しでは差は判りません。

おそらく、AI側は、AIか人かを区別できないように進化するでしょう。AIの進化速度は驚異的ですので、人間側は、AI進化に合わせた柔軟性も必要です。

多様化・急増するAIサービスに対し、人間側がAIとの付き合い方を考える時期になったと言えそうです。

Afterword:筆者のAI付き合い方

当面筆者は、AIを「親しい友人」として付き合おうと考えています。礼儀はわきまえ、かつ、過度な丁寧さも不要です。エッジNPUに様々なクラウドAIサービスに応じた丁度良い丁寧さをプログラミングできれば、なおBetterとも考えています。


生成AIデータセンタとIOWN

サーバやネットワーク機器を安全に管理運用する施設がデータセンタです。世界規模の生成AI需要急増に対し、米)大手AI企業の日本国内へのデータセンタ新設が話題です。2024年4月21日その背景が、欧米に比べ日本のプライバシー規制の緩さだとTV放送がありました。

筆者は、地震国日本にAI関連投資が盛んな理由は、地理的に離れたデータセンタ間を、低遅延接続できるIOWNがあるからだと思います。このリアルタイムネットワークAI処理の要、IOWNを説明します。

データセンタ間IOWN接続遅延

光電融合デバイスによるNTT IOWN APN(オールフォトニックス・ネットワーク)は、従来比電力効率100倍、伝送容量125倍、エンドエンド遅延1/200が目標です(関連投稿はコチラ)。

IOWN特徴(出展:NTTサイト)
IOWN特徴(出展:NTTサイト)

2024年4月12日、NTTは、IOWN APNの英国と米国でのデータセンタ間接続実証結果を発表しました。

英国、米国のIOWN APN実証実験(出典:NTTサイト)
英国、米国のIOWN APN実証実験(出典:NTTサイト)
400Gbps通信 データセンタファイバー距離(km) 遅延時間(ms) 遅延揺らぎ(μs)
London、UK 89 0.893 0.035
Ashburn、US 4 0.062 0.045

同一施設データセンタ間遅延規定<2ms

同じ施設、場所の複数データセンタ間の接続遅延は、2ms以内の規定があります。

従って、IOWN APN実証結果の遅延1ms以下、揺らぎ1μ秒以下は、例えデータセンタ設置場所が離れていても、規定2ms以内を満たし、同一施設データセンタとして機能することが判ります。

また、IOWN APN回線は、ダークファイバー新設無しで波長追加により提供できることも特徴です。APN提供までの時間短縮が可能だからです。

※ダークファイバーとは、敷設光ファイバーのうち、未使用で光信号が稼働していない(ダークな)芯線。

つまり、地理的に分散したデータセンタ間をAPNで接続しておけば、地震や過負荷トラブル発生時でも当該データセンタの負荷をAPNで別の場所へ移動できます。そして、あたかも同一施設のデータセンタのように稼働を続けられます。

データセンタ信頼性向上に役立つIOWN APNは、地震国日本ならではのネットワーク技術です(関連記事:NTT光ファイバー分岐・合流に世界初成功)。

NTTは、これら特徴や欧米でのAPN実証実験により、光電融合デバイスネットワークIOWN APNを、生成AIデータセンタや金融分野向けのワールドワイドインフラとして普及を狙っています。

郊外データセンタと市中カメラのAPN接続

大都市圏における郊外型データセンタによるAI分析(出典:NTTサイト)
大都市圏における郊外型データセンタによるAI分析(出典:NTTサイト)

また、NTTは2024年2月20日、武蔵野市データセンタと横須賀市設置カメラ間の100kmをIOWN APNで接続し、郊外データセンタで市中カメラのリアルタイムAI分析実験を行いました。

これは、超高速ネットワークを活かしたリアルタイムクラウドAI処理例です。但し、超高速ネットワーク回線が十分安くなった時の話です。未だ高価なIOWN1.0ですが、IOWN4.0で現状インターネット並み価格になった後の話です。

それまでは、クラウド側よりもエッジ側でAI処理を行うアプローチが、AI処理遅延、電力消費の点から現実的だと思います(関連投稿:エッジAI導入アプローチ)。

日本への欧米AI投資

OpenAI Japan 始動(出典:OpenAI Japan)
OpenAI Japan 始動(出典:OpenAI Japan)

AI関連投資は、データセンタだけではありません。

2024年4月15日、米OpenAIは、アジア初のOpenAI Japan始動を発表しました。日本語最適化GPT-4カスタムモデルの提供を開始するそうです。2024年4月10日、米Microsoftも、日本へAI研究所など今後2年間で29億ドルの投資を発表済みです。

もちろん日本側AI投資も盛んです。例えば、4月19日、KDDI の1000億円、4月23日、ソフトバンクの1500億円投資などです。

いずれの投資も、高信頼ネットワークインフラ技術IOWNが日本にあるからです。

Summary:生成AIデータセンタとIOWN

生成AIやインターネット金融の要であるデータセンタは、災害やセキュリティ事故などのリクスに強いことが必要です(日本データセンタより)。

世界規模の生成AI需要急増に対し、地震国日本で米)AIデータセンタ新設やAI関連投資が盛んな背景は以下です。

  1. 欧米よりも緩い日本のプライバシー規制
  2. データセンタ地理的分散配備を可能とする低遅延NTT IOWN APN接続

Afterword:次回投稿5月10日(金)

来週5月3日(金)は、ゴールデンウイーク中のため休みを頂き、5月10日(金)に次回投稿します。