Windows11 25H2年次更新の詳細

79Microsoftは、7月のWin11 24H2月例更新KB5062553を配布しました。この月例更新を使って、今秋リリース予定のWin11 25H2年次更新を詳しく説明します。

7月のWin11 24H2月例更新

今月のWin11 24H2の月例更新KB5062553を、前投稿Win11 25H2年次更新の図を使って示したのが下図です。上側が今月の月例更新、下側がリリース予定のWin11 25H2年次更新です。

Win11 24H2の月例更新(上)とWin11 25H2の更新プロセス(下)比較
Win11 24H2の月例更新(上)とWin11 25H2の更新プロセス(下)比較

月例更新は、KB5062553が有効状態でWin11 24H2へインストールされ、再起動後にWin11 24H2 OSビルド番号が26100.4652へ更新されます。

一方Win11 25H2年次更新の場合は、通常の月例更新時に、25H2新機能が何回かに分けて無効(Disabled)状態で事前に分散配布され、今秋正式リリースの再起動後にこれら配布済み新機能を有効(Enabled)へ変える手間が増えます。しかし、更新プロセスは、実績ある月例更新と全く同じです。

事前分散配布の目的は、Win11 25H2新機能の一回全配布に比べ、年次更新時のダウンロード時間を短くできることです。

Win11 25H2Win11 24H2OSビルド番号は、同じ26100番台で、OSコア共有です。従って、Win11 25H2は、24H2と同じくらい既知の問題が解消された安全・安定なOSとしてインストールされ、アプリ互換性問題も少ないと思います。

Win11 25H2年次更新の特徴

  1. Win11 25H2年次更新は、月例のWin11 24H2更新と同一プロセス
  2. Win11 25H2 OSビルド番号は、26100番台で24H2とOSコア共有
  3. Win11 25H2新機能は、月例更新に事前分散配布され年次更新時間は短い
  4. 今秋25H2リリースまでに、未だ残るWin11 24H2既知の問題は解決

以上から、簡単・安全・安心なWin11 25H2年次更新ができると、Microsoftブログは強調しています。

筆者も、Win10OSビルド:19045)からWin11OSビルド:22621)へ年次更新した時のようなOS起因のトラブル多発は、Win11 25H2では避けられると思います(関連投稿:Win11 OSビルド番号)。

SummaryWin11 25H2年次更新詳細

今秋リリース予定のWin11 25H2年次更新を、今月のWin11 24H2月例更新KB5062553を使って詳しく説明しました。

Win11 25H2新機能は、月例更新時に事前分散配布のため年次更新時間は短く、24H2既知問題は解決済みの安心・安全・簡単なWin11 25H2年次更新になりそうです。

AfterwordWin11 25H22大使命

多くのWin10ユーザ取込みが、Win11 25H2の使命の1つです。このため、OSビルド差が少ないマイナ更新でOS安定性とアプリ互換性を増し、実績ある月例更新プロセスを使い分散配布、年次更新時間も短くします。Win10ユーザへのMicrosoft配慮を感じます。

もう1つの使命が、Win11 25H2新機能によるAI PCユーザの拡大です。AIエージェントCopilotと各種Microsoftツール連携は、更に強力になるでしょう。AI PCが、先行するAIスマホのように進化するか、はたまた、開発者向けの別方向に進化するか、興味津々です。


Windows 11 25H2今秋リリース

628日、MicrosoftブログWindows11 25H2の今秋リリースを発表しました。現行Win11 24H2からの更新方法に特徴があるWin11 25H2を説明します。

Win11 25H2更新方法

Windows 11 25H2更新プロセス(Microsoftブログに加筆)
Windows 11 25H2更新プロセス(Microsoftブログに加筆)

注意が必要なのは、上図が示すWin11 25H2の更新は、Win11 24H2が起点という事です。Win11 23H2でもWin10でもありません。従って、Win11 24H2でないPCは、コチラの関連投稿で示した手動Win11 24H2更新しておく事は必須です。

Win11 25H2は、Win11 24H2OSコア共有です。そこで、Microsoftは、月例24H2の更新プロセス中に今回の年次25H2更新を混合する方法を採用しました。

具体的には、25H2新機能は、無効フラグ状態で月例24H2更新に含まれ、25H2リリースと同時にこの無効フラグを有効にします。その後再起動すれば、新しいWin11 25H2となる訳です。先述のMicrosoftブログは、この移行容易性を強調しています。

Win11 25H2 Pro/Homeのサービス期間は、リリース後2年間。つまり、2027年秋までWin11 25H2を使えます。従来PC40TOPS以上NPU実装のAI PC両方対応のWin11 25H2です。

※両方対応のWin11AI専用Win12については、コチラの関連投稿を参照。

Win12発表なし背景

筆者は、今秋Win12発表を予想していましたが、結果は、Win11 25H2への年次更新でした。

その背景は、コチラの関連投稿で説明したWindowsAIエージェント向け標準プロトコルMCPModel Context Protocol)対応による開発者インパクトの大きさ、下図Win11シェア低迷シェア低迷などがあります。

WIndows 11(青)と10(紫)の2025年6月シェア(出典:statcount)
WIndows 11(青)と10(紫)の2025年6月シェア(出典:statcount)

Win10Win11の世界シェアは、未だ同程度です。Microsoftが思う程Win11移行は進んでいません。やむを得ず今年10月にEOSEnd Of Support)を迎えるWin10ユーザ向けに、セキュリティ延長サポートを実施する程です。

また、Win11シェア内の従来PC比が高く、この状態のままNPU必須のAI専用Win12をリリースした場合、ユーザのWindows離れを招く恐れもあります。

つまり、次期Win12の前に、Win10ユーザ取込みとWin11シェア拡大を目的に、従来PCAI PC両サポートのWin11 25H2リリースに至ったのだと思います。

Win11 25H2メリット

Win11シェア低迷は、Win10Win11の差の少なさです。専門家が強調するWin11メリットを、一般ユーザが感じられないのです。当初、最後のWindowsとしたWin10完成度の高さが原因です。

しかし、競合他社AppleGoogle比、AI関連で先行(と筆者が感じる)Microsoftが、このままAI戦略を続ければ、一般ユーザでも従来PCAI PCの差を実感できます。OfficeツールやブラウザEdgeMicrosoft AIアシスタントCopilotとのシームレスな連携強化によりAI活用メリットが誰でも簡単に判るからです。

クラウドが先行しているAI活用ですが、より強固なセキュリティのローカル(エッジ)AI利用やWin10で満足だったPCゲーマーのAI利用も増加します。Win11 25H2サービス期間中に、全ユーザにAI有用性が浸透すれば、次期AI Win12移行もスムースになるでしょう。

また、AI PC新規購入予定ユーザにとっても、クラウド/ローカルAIサービスをどの程度利用するかを冷静に判断できる期間となります。現在は高価なAI PC価格も低下するでしょう。

今年2025年から2029年の4年間でAGI(汎用人工知能)が実現するとの見解もあります(前投稿参照)。仮にAGI実現の場合、Win12要求仕様も変わる可能性があります。Win11 25H2サービス終了の2027年秋までは、AIが急成長する期間でもあります。

AI激変にはAI専用Win12より新旧サポートWin11 25H2の方が、幅広く対処できる可能性もあります。

SummaryWin11 25H2今秋リリース

Microsoftは、Windows11 25H2今秋リリースを発表しました。Win11 25H2Win11 24H2は、OSコア共有のため、月例の24H2更新時に25H2新機能を無効状態で含めて配布し、25H2リリースと同時に有効にする移行容易性が特徴です。

このWin11 25H2混合配布が、どの月例でどの程度行われるかは不明です。しかし、Win11 24H2が開始点ですので、Win11 25H2に移行するには全PCWin11 24H2化が必須です。

AfterwordRufus 4.7から4.9へ更新

Win11 24H2手動更新ツールRufusが、4.9へ更新されました。4.9更新は、4.8Windows ISOイメージ解析高速化に加え、バグ修正などです。Rufus 4.7のWin11 24H2手動更新方法が、4.9でもそのまま使えると思います。


Windows12発表遅れの考察

2025519日のBuild 2025Microsoftは、AIエージェント向け標準プロトコルのMCPModel Context Protocol)にWindows 11が対応したと発表しました。

このMCPを簡単に説明し、次期Win12の発表が遅れている原因を考察しました。

SummaryWin12発表遅れ考察

AI PCプラットフォームには、AIエージェント向け標準プロトコルMCPは必須です。次期Win12は、この新しいMCPプラットフォームの構築に加え、MCP AIアプリと従来AIサービスの共存、従来アプリの動作を満たすことが求められるでしょう。

つまり、OS自身の構築に加え、上記大規模Winアプリ構造変化にアプリ開発者対応が必須です。これが、Win12発表が遅れている根本原因だと筆者は思います。

MCPModel Context Protocol)とは

3月末投稿Win11 24H2は、従来PCハードウェアとNPUを持つ新しいAI PCハードウェアの両方をサポートする「ハードウェア移行期OS」で、次期Win12は、移行後のAI PC専用OSへ進化と予想しました。

AIエージェント向け標準プロトコル:MCPとは、このAI PCプラットフォームの必須機能です。

AI PCのローカルAIエージェントは、ユーザの要求を複数アプリやファイルシステムと連携しながら処理します。この連携には、AIエージェントとアプリ双方が標準化されたMCPに対応していることが重要です。

これはオンプレミスのサーバー/クライアントに例えると判り易いと思います。端末アプリやファイルシステムは、MCPサーバーとしてその機能を提供し、クライアントのAIエージェントがそれら機能を呼び出すことでエージェント処理が進みます。

AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)
AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)

発表されたWin11MCP対応は、従来アプリと新しいMCP AIアプリの両方に対応した「AIアプリ移行期のOS」発表でもあった訳です。もちろん、Win12未発表のため、敢えて従来Win11の名前(Win11 25H2 ?)を使ったと筆者は思います。

今後のWindowsは、MCPプラットフォーム上でのAIアプリ/既存アプリ動作を目指すでしょう。そしてその実現の道のりが、遠く険しいことは、開発者なら判ると思います。

既存AIサービスのMCP影響

例えばClick to Doは、「既存のAIサービス」です。Win11 24H2と特定アプリ連携のため「独自な方法」を用いています。新しい「標準MCP」は、Click to Doのより柔軟で高度なWin機能や他アプリとの連携を可能にします。

つまり、既存AIサービスも、標準MCP活用で更に高度化できる訳です。

Microsoftは、現在一部のパートナー向けにMCPプレビュー版を公開し、フィードバックを募っています。Win12リリース前にAIアプリ関連の問題を洗い出すためです。

既存AIサービスも、MCPの影響は大きいと思います。

次期Win123種アプリ対応

Win12AI OSであることは間違いないでしょう。開発者のみならず一般ユーザでも、AI OS搭載PCを一度使うと、従来のAI無しのPCには戻れないからです。これは、AIスマホと同じです。

例えば、コチラの記事AIエージェント:computer useや、GoogleAI検索などです。AI活用で、従来比、高いPC生産性が期待できます。AIは、それほどPCの使い方、ユーザ生活様式を変える力を持っています。

次期Win12が、AI MCP専用OSか、AI MCPアプリと従来AIサービス混在を許容する新旧AIアプリ対応OSか、あるいは、これらに従来アプリも加えた3種アプリ対応OSかは、今のところ判りません。

筆者は、WindowsユーザのAI化は、Win10/Win11 23H2サービス終了の10月以降、急速に進むと予想します。正式なWin11 24H2対応には、NPUを持つ新しいAI PCハードウェア購入がMicrosoft推薦の王道だからです。

AI PC普及スピードが速ければ、複雑な3種アプリ対応は避け、シンプルなAI MCP専用Win12も有りだと思います(MCP AIアプリの豊富提供が前提ですが…)。

  • MCPは、ARM64搭載Prismのようなエミュレーションツールでは対応できないと思います。
  • 非正式なWin11 24H2アップグレード成功の弊社PCは、Afterword参照。

Afterword:弊社PC Win11 24H2アップグレード完了

弊社Win11 23H2保持4 PCを、5月ゴールデンウイーク以降、1週間に1台のペースでRufus 4.7を使ってWin11 24H2手動アップグレートしました。前回の24H2アップグレード時に発生したLANPC接続トラブルも、何の対処も無しに解決されています。これで、Win11 24H2サービス終了2026年秋まで弊社従来4 PCの1年延命が完了しました。

MCP発表でWin12発表も間もなくの気もします。しかし、開発者フィードバック次第で24H2サービス終了延長、または、Win11 25H2もあり得ます。