Windows12発表遅れの考察

2025519日のBuild 2025Microsoftは、AIエージェント向け標準プロトコルのMCPModel Context Protocol)にWindows 11が対応したと発表しました。

このMCPを簡単に説明し、次期Win12の発表が遅れている原因を考察しました。

SummaryWin12発表遅れ考察

AI PCプラットフォームには、AIエージェント向け標準プロトコルMCPは必須です。次期Win12は、この新しいMCPプラットフォームの構築に加え、MCP AIアプリと従来AIサービスの共存、従来アプリの動作を満たすことが求められるでしょう。

つまり、OS自身の構築に加え、上記大規模Winアプリ構造変化にアプリ開発者対応が必須です。これが、Win12発表が遅れている根本原因だと筆者は思います。

MCPModel Context Protocol)とは

3月末投稿Win11 24H2は、従来PCハードウェアとNPUを持つ新しいAI PCハードウェアの両方をサポートする「ハードウェア移行期OS」で、次期Win12は、移行後のAI PC専用OSへ進化と予想しました。

AIエージェント向け標準プロトコル:MCPとは、このAI PCプラットフォームの必須機能です。

AI PCのローカルAIエージェントは、ユーザの要求を複数アプリやファイルシステムと連携しながら処理します。この連携には、AIエージェントとアプリ双方が標準化されたMCPに対応していることが重要です。

これはオンプレミスのサーバー/クライアントに例えると判り易いと思います。端末アプリやファイルシステムは、MCPサーバーとしてその機能を提供し、クライアントのAIエージェントがそれら機能を呼び出すことでエージェント処理が進みます。

AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)
AIエージェント向け標準プロトコルMCPの仕組み(出典:Wikipedia)

発表されたWin11MCP対応は、従来アプリと新しいMCP AIアプリの両方に対応した「AIアプリ移行期のOS」発表でもあった訳です。もちろん、Win12未発表のため、敢えて従来Win11の名前(Win11 25H2 ?)を使ったと筆者は思います。

今後のWindowsは、MCPプラットフォーム上でのAIアプリ/既存アプリ動作を目指すでしょう。そしてその実現の道のりが、遠く険しいことは、開発者なら判ると思います。

既存AIサービスのMCP影響

例えばClick to Doは、「既存のAIサービス」です。Win11 24H2と特定アプリ連携のため「独自な方法」を用いています。新しい「標準MCP」は、Click to Doのより柔軟で高度なWin機能や他アプリとの連携を可能にします。

つまり、既存AIサービスも、標準MCP活用で更に高度化できる訳です。

Microsoftは、現在一部のパートナー向けにMCPプレビュー版を公開し、フィードバックを募っています。Win12リリース前にAIアプリ関連の問題を洗い出すためです。

既存AIサービスも、MCPの影響は大きいと思います。

次期Win123種アプリ対応

Win12AI OSであることは間違いないでしょう。開発者のみならず一般ユーザでも、AI OS搭載PCを一度使うと、従来のAI無しのPCには戻れないからです。これは、AIスマホと同じです。

例えば、コチラの記事AIエージェント:computer useや、GoogleAI検索などです。AI活用で、従来比、高いPC生産性が期待できます。AIは、それほどPCの使い方、ユーザ生活様式を変える力を持っています。

次期Win12が、AI MCP専用OSか、AI MCPアプリと従来AIサービス混在を許容する新旧AIアプリ対応OSか、あるいは、これらに従来アプリも加えた3種アプリ対応OSかは、今のところ判りません。

筆者は、WindowsユーザのAI化は、Win10/Win11 23H2サービス終了の10月以降、急速に進むと予想します。正式なWin11 24H2対応には、NPUを持つ新しいAI PCハードウェア購入がMicrosoft推薦の王道だからです。

AI PC普及スピードが速ければ、複雑な3種アプリ対応は避け、シンプルなAI MCP専用Win12も有りだと思います(MCP AIアプリの豊富提供が前提ですが…)。

  • MCPは、ARM64搭載Prismのようなエミュレーションツールでは対応できないと思います。
  • 非正式なWin11 24H2アップグレード成功の弊社PCは、Afterword参照。

Afterword:弊社PC Win11 24H2アップグレード完了

弊社Win11 23H2保持4 PCを、5月ゴールデンウイーク以降、1週間に1台のペースでRufus 4.7を使ってWin11 24H2手動アップグレートしました。前回の24H2アップグレード時に発生したLANPC接続トラブルも、何の対処も無しに解決されています。これで、Win11 24H2サービス終了2026年秋まで弊社従来4 PCの1年延命が完了しました。

MCP発表でWin12発表も間もなくの気もします。しかし、開発者フィードバック次第で24H2サービス終了延長、または、Win11 25H2もあり得ます。


AIとの付き合い方

クラウドAIから出力を引出す手段が、ChatGPTなどの対話AIアシスタントです。このChatGPTへの「ありがとう」や「お願いします」という礼儀正しい言葉使いが、クラウド電力の巨大な消費に繋がるという421Gigazine記事は、面白いです。AI普及に伴い、人工知能との付き合い方を考える必要がありそうです。

Gigazine記事のクラウドAI要約

「Gigazine記事要約を箇条書きにまとめて」と、MicrosoftブラウザEdgeの対話AIアシスタント:Copilotへ入力し、そのクラウドAI出力が下記です(Copilot利用方法は、コチラの投稿 3章参)。

  • OpenAIのサム・アルトマンCEOは、ChatGPTに「お願いします」や「ありがとう」といった礼儀正しい言葉を使うことで、数十億円規模のクラウド電力消費が発生している可能性があると認めた。
  • この発言は、あるX(旧Twitter)ユーザの「AIへの礼儀が電気代にどう影響するのか」という投稿が発端。
  • Microsoftデザインマネージャーは、AIへの礼儀正しい接し方が良い結果をもたらすと述べ、AIとの対話におけるエチケットの重要性を強調
  • アメリカ調査では、多くの人がAIに対して礼儀正しく接しており、その理由として「正しい行動だから」と考える人が多いことが判明。
  • クラウドAI動作には大量リソースが必要で、AIデータセンター消費電力が世界の2%を占める
AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う
AI高速化目的でEdge NPUとCloud AIで処理を分け合う

要するに、接し方次第で得られる出力が左右されるという人間臭い性格(性能)をAIも持つようです。

災害時のクラウドAI活用

2025422日の日経ビジネス記事も、Gigazine記事同様に興味深いです。筆者自身が要約すると、

  • 20202月、横浜港停泊中のクルーズ船:ダイヤモンド・プリンセス内で、CODID-19の集団感染発生。船内隔離の乗員・乗客との意思疎通のため、セットアップ済みスマホ2000台と充電器を船内配布。
  • この意思疎通の経験を活かし、災害時の人手不足を補うクラウドAI電話対応サービス:AiCallへと発展し、情報収集や被災地医療搬送などに活用中。

災害時のクラウドAI活用サービスは、今後急増すると思います。もちろん、これらサービスは、通常時でも当たり前のように活用されるでしょう。

エッジ(端末)AI動向

421日、Win11 Devビルド16120.3872(プレビューテスト版)で、エッジAIClick to Doへ、テキストや画像をAIが読取り、例えば、テキスト解説、画像背景のぼかしなどを、エッジAIへ簡単に依頼できる機能が追加されました。

このようなAI PCNPUを活かしたエッジAIサービスも、クラウドAI同様、急増するでしょう。

SummaryAIとの付き合い方

人間がAIとの付き合い方を考える時期になった
人間がAIとの付き合い方を考える時期になった

日本の人口減少や災害時対策として、人手を補うクラウドAIサービスの導入・活用は必然です。また、AI PCNPUを使ったエッジAIサービスも今後急増するでしょう。

但し、サービスを利用するユーザ:人間側には、相手がAIか人かの判断は難しい状況です。現在NHKニュースは、「(人間)アナウンサーに代わりましてAIがお伝えします」と注釈を付けますが、この注釈無しでは差は判りません。

おそらく、AI側は、AIか人かを区別できないように進化するでしょう。AIの進化速度は驚異的ですので、人間側は、AI進化に合わせた柔軟性も必要です。

多様化・急増するAIサービスに対し、人間側がAIとの付き合い方を考える時期になったと言えそうです。

Afterword:筆者のAI付き合い方

当面筆者は、AIを「親しい友人」として付き合おうと考えています。礼儀はわきまえ、かつ、過度な丁寧さも不要です。エッジNPUに様々なクラウドAIサービスに応じた丁度良い丁寧さをプログラミングできれば、なおBetterとも考えています。