AI機能搭載の最新MCUを一覧表にまとめました。人物検出や機器異常検出などのAIアルゴリズム処理には、従来Cortex-M7クラスの高性能MPU(Micro Processor Unit)が必要でした。MPU比、低コストで低消費電力なAI MCUによるエッジAIメリットを示します。
Summary:AI MCUまとめ
ベンダ | AI MCU、コア | AI特徴、AIアプリケーション | AI開発ツール |
STマイクロ | STM32シリーズ Cortex-M0+他コア対応 |
コア対応機械学習ライブラリ生成 ポンプ異常検出 |
NanoEdge AI Studio(専用) |
NXP | MCX Nシリーズ Cortex-M33 x2(+NPU) |
AI専用NPU処理 顔検出 |
MCUXpresso IDE(汎用) |
ルネサス | RAファミリ Cortex-M85(+Helium) |
汎用ベクタ演算Helium処理 人物検知/モータ故障検出 |
Reality AI(専用) |
「マイコンでAI」、STマイクロNXPルネサスが競演、2023年5月12日、MONOist記事をまとめたのが上表です。
記事によると、MCU大手3ベンダが、第7回AI・人工知能EXPO(春)2023年5月10~12日、東京ビックサイト会場で、表掲載AI MCUを使って、エッジAI実働デモ展示を行っています。
ChatGPTなどAI利用が一般化し始めました。組込み分野のMCUへもAI搭載の高機能化が始まります。
AI MCUアプローチ
STマイクロは、ソフトウェアでのAI処理、NXPは、専用ハードウェアNPU(Neural Processing Unit)でのAI処理、ルネサスは、汎用ベクタ演算ハードウェアHeliumによるAI処理と、3社3様のAI MCUアプローチです。
また、AI処理開発に、ソフトウェアアプローチのSTマイクロは、STM32コアに応じた専用機械学習ライブラリ生成ツール:NanoEdge AI Studioを使用、同じハードウェアアプローチですが、NXPは、汎用MCUXpresso IDEを使用、ルネサスは、専用Reality AIツール使用、などAI開発ツールも異なります。
NanoEdge AI Studioは、MCU開発者にAI専門知識が無くてもMCUコア性能に合わせたAI実装ができるそうです。
エッジAI MCUアプリケーションとメリット
各社のAI実働デモから、上図のような人物・顔検出と機器異常検出が、エッジAI MCUのターゲットアプリケーションのようです(関連投稿:RAファミリ最新情報)。
これらAI処理にMPUは使わず、小パッケージ、低コストの本稿AI MCUを使い、家電や機器内の既存MCUを置換えることで「装置構成はそのままに様々なAI機能を追加実装できる」これが、AI MCUのメリット、更に革命と言われる理由です。
Afterword:新たなMCU開発方法
実装AI機能により、求められるAI MCUコア性能もCortex-M0+からCortex-M85など様々です。それでも、MPUやGPU(Graphics Processing Unit)利用よりは、低コストエッジAIが実現できそうです。
従来MCUの置換えメリットだけでなく、AI MCUを使った新しい装置開発も面白いと思います。
各社AI MCUは、セキュリティ対応も強化されています。AI、IoTセキュリティ、RTOS…などなど、従来のCortex-M系ベアメタルMCU開発に加え、多くの新知識と追加開発がAI MCUに必要です。正直、食傷気味です😣。
従って、専門知識が無くてもAI実装できるツールなどは、大歓迎です。新しいMCUには、各種ツール活用の新しい開発方法を、拘りなく使える柔軟性も必要です(関連投稿:新しいMCUハード、ソフトの学び方)。
ツールを使っているうちに、専門知識や関連知識は、自ずと身についてくるハズです。