CuteSuite+のスタートアップ・ガイド編と最少パラメタ設定値

RL78ファミリCubeSuite+のスタートアップ・ガイド編が、2012628日に発行されました。初心者には、煩雑で、肝心の箇所がコチラを参照して、となっているので判りにくいと思います。マニュアル作りは、対象読者の設定がとても難しいです。特に、全ての機能を統合するIDEなどは、その最たるものでしょう。本ブログは、初級~中級者を対象としています。

そこで、この読者向けに、CubeSuite+の設定で、コレダケをすれば動作OKというものを5個リストアップします。いずれも太字の箇所が設定箇所です。

CubeSuite最少設定値
CubeSuite最少設定値

ターゲットボードは、201277日現在、RL78 G13/G14用のRSKは開発中で入手できませんので、RL78G13 スタータキットStick RL78G13-STICKを想定しました。設定値の内容は、マニュアルを参照してください。

統合開発環境:IDEは、開発ツールの全ての設定を、GUIで変えられることを目的としています。本来はデフォルトのままで、変更必要がないパラメタから、絶対に設定が必要なパラメタまで、これらが全て操作できるので煩雑になります。いろいろIDEを使った経験から、CubeSuite+は、ツールチップ表示やパラメタの解説が下段に表示されることなど、よくできた部類に入ります。

HEWが更新

Hewのバージョン詳細情報
Hewのバージョン詳細情報

約1年間更新が無かったHEWが、2012年5月16日、4.09.00から4.09.01へ更新されました。ルネサスサポート情報 は、2012/06/27にメールで届きました。

早速リリースノートをザット読みましたが、どこが変更されたかが判りません。バージョン番号からして、マイナーなバグ取りと解釈します。Vista/Windows7の標準権限での使用問題に関して、回避策などが記載されておりますが、更新した結果、旧ワークスペースもWindows7で問題なく動作しました。

効果的なRAMの利用方法

効果的なRAMの使い方を2つ解説します。CALLTテーブルsreg変数です。使い方は、CALLTの場合は、通常の関数宣言の前にcalltを、sreg変数は、通常の変数宣言の前にsregを、修飾子のように付けるだけです。例えば、下記です。

callt static void          MainFuncCaller(void);  // CALLTで高速化

sreg unsigned char    CntTau02Int = 0x00U;   // sreg変数で高速化

図3―2 メモリ空間の利用
ユーザーズマニュアル RL78,78K0Rコーディング編 「図3―2 メモリ空間の利用」より抜粋

ユーザーズマニュアル RL78,78K0Rコーディング編 「図3―2 メモリ空間の利用」を観ると、CALLTテーブルと、sreg変数という用途のアドレスがあることが判ります。CALLTテーブルは、通常の関数CALLよりも高速に呼ぶためのテーブル領域です。呼出し回数が多い関数や、高速起動したい関数に好適です。sreg変数は、通常よりも高速アクセスできるショート・ダイレクト・アドレッシング領域内の変数のことで、これもアクセス頻度が高い変数に向いています。その他にも、いろいろな用途の領域がありますが、これら2つは利用効果が高く、副作用も無いので、安心して使えます。

CALLTテーブルもsreg変数も、CubeSuite+のビルド・ツールのパラメタを設定すると、ツールが自動で選んだ関数/変数に適用できます。しかし、デフォルトでは未使用設定ですし、ツール更新のたびに再設定するのは、忘れるなどのミスを招きます。プログラマが、関数と変数を選んで、これらの高速化の修飾を明示的につける方が良いでしょう。注意点は、利用できるサイズが64/148バイトと小さいので、CubeSuite+のビルド・ツール、変数/関数配置オプションのROM/RAM使用量を表示する(デフォルト:いいえ)を、“はい”に設定して、常に使用量を把握しておくことです。

 

Windows8 Release PreviewとHEW Version 4.09.00.007

R8C/25の開発ツール、HEW Version 4.09.00.007が1年以上バージョンアップしていないことは、以前のプログでも書きました。このHEWの動作環境は、64ビット版Window7です。5月31日にWindows8 RPがリリースされましたので、この新しい64ビット版Windows8 RPで、現状のR8C/25 HEWが動作するかをレポートします。

結果は、デスクトップアプリとして何の問題もなくWindows8 RP上で動作しました。Windows8 Release Preview とCustomer Previewとの違いは、より製品版に近いこと、画面描写がカッコ良くなったことなどです。詳細は、いろいろ記事がでるでしょうから、そちらを参照して頂くとして、ここでは、HEWがWindows8 RP上で、どのように動作するかにフォーカスしてレポートします。

Windows8スタート画面とデスクトップHEW画面

Windows8スタート画面                                 デクストップHEW画面(チャーム出現時)

HEWをWindows8 RPへインストールすると、スタート画面のタイルに、普段はあまり使わない全アプリのタイルが自動的に登録されます。これは、わずらわしいので、不要なタイルを右クリックし、「スタート画面からピン止めを外す」を実行し、必要最低限のタイルのみにすることをお勧めします。私は、HEWタイルのみにしました。

HEWタイルをクリックすると、デスクトップ画面に切り替わり、アプリが起動します。通常のアプリは、Windows7画面からスタートボタンを消したこのデスクトップ画面で動作します。マウスを右端に持ってくると、チャームと呼ばれる黒い縦帯の「検索」…「設定」の簡易ランチャーと、時計が自動的に表示されます。右端までの長いソースコードは記述すると、このチャームとバッティングするので、程ほどの長さのコード記述が良いでしょう。その他は、特にWindows7との差は感じませんでした。

製品版とほとんど同じと言われるWindows8 Release PreviewでHEWが動作しましたので、タイルやチャームに気を付ければ、Windows8移行は問題なしと思われます。

Windows8 Release PreviewとCubeSuite+ V1.02.00

CubeSuite+ V1.02.00の動作環境は、ユーザーズマニュアル起動編によると、32ビット版XP、32/64ビット版Windows7です。5月31日にWindows8 RPがリリースされましたので、この新環境の64ビット版Windows8 RPで、CubeSuite+ V10.02.00が動作するかをレポートします。

結果は、デスクトップアプリとして何の問題もなくWindows8 RP上で動作しました。Windows8 Release PreviewとCustomer Previewとの違いは、より製品版に近いこと、画面描写がカッコ良くなったことなどです。詳細は、いろいろ記事がでるでしょうから、そちらを参照して頂くとして、ここでは、CubeSuite+がWindows8 RP上で、どのように動作するかにフォーカスしてレポートします。

Windows8 スタート画面とデスクトップCubeSuite+画面

Windows8スタート画面                                 デスクトップCubeSuite+画面(チャーム出現時)

CubeSuite+をWindows8 RPへインストールすると、スタート画面のタイルに、普段はあまり使わない全アプリのタイルが自動的に登録されます。これは、わずらわしいので、不要タイルを右クリックして、「スタート画面からピン止めを外す」を実行し、必要最低限のタイルのみにすることをお勧めします。私は、CubeSuite+タイルのみにしました。

CubeSuite+タイルをクリックすると、デスクトップ画面に切り替わり、アプリが起動します。通常のアプリは、Windows7画面からスタートボタンを消したこのデスクトップ画面で動作します。マウスを右端に持ってくると、チャームと呼ばれる黒い縦帯の「検索」…「設定」の簡易ランチャーと、時計が自動的に表示されます。右端までの長いソースコードは記述すると、このチャームとバッティングするので、程ほどの長さのコード記述が良いでしょう。その他は、特にWindows7との差は感じませんでした。

製品版とほとんど同じと言われるWindows8 Release PreviewでCubeSuite+が動作しましたので、タイルやチャームに気を付ければ、Windows8移行は問題なしと思われます。

開発ツールのバージョンアップ時は、バックアップ必須

CubeSuite+が、V1.01.00からV1.02.00へバージョンアップされました。オートアップデータや、HEWプロジェクトを、CubeSuite+へ変換する機能などが追加されました。

開発ツールのバージョンアップ時には、障害が付き物です。今回も、旧版では何の問題もなく動作していたターゲットボードへ、新版出力をダウンロードすると、何やら怪しげな致命的エラーが発生しました。原因は調査中です。

この原因を追究して復旧する作業と、開発を続ける作業は、全く別物です。開発が切迫している時などは、割り切りが必要です。この適切な割り切りが冷静にできるが否かが、経験者と初心者の一番の違いでしょう。R8C/25のブログで書いたように、ツールが安定している事は、全ての開発者にとって、精神的にも製品にもプラスに働きます。しばらくは、旧版に戻して開発を続けるつもりです。

開発者のみなさん、バージョンアップの際には、リカバリできるようにくれぐれもバックアップを忘れずに!

RL78/G13のRAMの使い方

R8C/25比、2倍に増えたRL78/G13の4KB RAMの使用方針を示します。RAMは、

  • 関数間のインタフェースRAM
  • 関数/ライブラリの内部変数
  • スタック

として使います。スタックと関数/ライブラリの内部変数は、コンパイラが勝手にRAMへ割り付けます。プログラマは、それらの使用量を知っていれば十分です。関数間のインタフェースRAMとは、自作する関数どうしの入出力変数の入れ物です。

関数は、void main(void)のように、入出力変数が無いものもありますが、一般的には、入力変数を、プログラムで処理し、その結果を出力変数へ変換します。この出力変数が、期待値と異なる場合、プログラムを変えたり、入力変数を変えたりします。この作業が、関数の単体デバッグです。

全ての入出力変数をインタフェースRAMで定義すると、この関数単体デバッグが、格段に簡単になります。RL78/G13の開発ツールCubeSuite+は、RAM値の表示と、その変更がツール上で簡単にできるからです。昔のRAM容量が少ないマイコンを知っているプログラマは、この方法に抵抗があるかもしれません。しかし、今のマイコンには、大容量RAMが内蔵されています。RAMをケチらずに使ってデバッグ効率を上げるのが、最新マイコンに適したRAM使用方法です。

私は、R8C/25(2KB RAM)と開発ツールHEWでもこの方法を使っていますが、これまでRAM容量の不足を感じたことはありません。また、RL78/G13では、アクセス頻度が高い変数を、ショート・ダイレクト・アドレッシング:sreg領域(147バイト)へ配置すると、通常RAMよりもさらに高速動作が可能です。デバッグの容易性と、高速化、この2つを同時にかなえる方法と言えるでしょう。

1関数のソースの長さは、お使いのモニタの縦の長さ以下、が良いでしょう。関数をモニタで表示した時に、初めから終わりまでが、一目で見えるからです。誰かにデザインレビューをお願いする時や、自分でデバッグする時も、この程度のソース長が適当です。プログラムを書いていて、ソースが長くなったら、この目安を守るように、入出力変数を見直して関数化すると良いでしょう。

RL78/G13のソフト構造

ソフト構造は、タイムシェアリングとイベントドリブンの2つに大別できます。

タイムシェアリング構造のメリットは、初級~中級レベルの相手に説明した時の、相手の判りやすさと、デバッグが容易なことです。イベントドリブンは、デバッグ時にイベントを発生させることが困難なことが多いので、初心者向きではありません。RL78の大容量のROM/RAMを効果的に使うと、シンプル機能の関数でタスク作成が可能となります。

タイムシェアリングソフトは、イニシャル処理、電源断処理、起動処理、UART1処理の4処理から構成します。この構成でテンプレートを作成します。このテンプレートに、タスクを組込み、ソフトを作り上げます。

RL78/G13ソフト構造
RL78/G13ソフト構造

タスク組込みの時に検討するのは、タスクの処理時間精度と、どの起動処理で起動するかの2点のみです。 

R8C/25開発環境は安定期

R8C/25の開発環境、無償HEW最新バージョンは、V.6.00 Release 00、2011年4月5日登録です。つまり2012年4月25日現在、1年以上更新されていません。最新マイコンのRL78などは、半年ごとに開発環境が更新されます。私の使っているバージョンは、V.5.45 Release 01ですが、HEW付属のAuto Updateを使って更新チェックを行っても、この最新版へ更新されません。

これは、R8C/25の開発環境が安定していることを示します。組込み開発では、この開発環境が安定していると精神的に安心できます。バグ存在範囲が、自作ソース内に限定されるからです。

R8C/25は、最新マイコンではありませんが、この点はメリットです。製品要求能力に対して、パフォーマンスとコストが合えば、有力な選択肢となります。

CubeSuite+「コード生成」の使い方

開発環境CubeSuite+の「コード生成」を使うと、周辺機能変更やマイコン機種変更が生じても追加コードをそのまま使え、しかも、初期設定も自動生成します。そこで、このコード生成の使い方を解説します。

CubeSuite+コード生成出力
CubeSuite+コード生成出力

ポイント1:出力ソースの、/* Start user code… */から/* End user code… */間にのみ、追加コードを記述すること。それ以外は、周辺機能パラメタ変更や機種変更時、「コード生成」が自動生成し、上書きするからです。

ポイント2:5か所ある、/* Start user code… */から/* End user code… */使い方ガイドラインは、

  • ①:#pragama指令を追加するエリア(通常、ほとんど無いでしょう)
  • ②:追加関数のプロトタイプ宣言エリア(コード生成出力の関数プロトタイプは、周辺名.hで宣言済み)
  • ③:定数、グローバル変数、追加関数の記述エリア(このエリア内なら、自由に記述可能です)
  • ④:コード生成出力関数に追加記述するエリア(関数名は自動生成されるので、追加分の中身を記述)
  • ⑤:機能は③と同じ(③と⑤のどちらか一方を使う方が良いでしょう)

どこに何を記述すべきかのガイドラインがあると、ソース解読が判りやすくなります。