Windows 11シェア低下

世界のWindows 10シェアは増加傾向で、2024年4月に70%を超え、逆にWindows 11シェアは、2024年2月に史上最高の28.16%となったが、4月には25.65%へ低下しました。その背景を考えました。

Windows 10(紫)とWindows 11(青)シェア推移(出典:statcounterに加筆)
Windows 10(紫)とWindows 11(青)シェア推移(出典:statcounterに加筆)

Win11伸び悩み根本原因

Win11シェア伸び悩み解説記事は、2つ理由を挙げています。

  1. Win11のAndroidアプリ廃止
  2. スタートメニュー広告表示

ブラウザは、検索履歴からユーザが興味を持つ広告を表示します。Win11スタートメニューは、何を基準に広告するか不明(おそらくエッジAI NPU)ですが、スタートメニューフィールドの広告は、邪魔です。

筆者は、Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォーム動作アプリが増えたこともWin11伸び悩みの一因だと思います。例えば、大手MCU開発ツールは、クロスプラットフォーム動作です。Windowsに固執する必要はありません。

一方、Win10シェアが増えたのは、Win11を離れたユーザが、使い慣れたOSへ戻ったからだと思います。例えば、Win11タスクバーは、上下位置のみ配置できますが、Win10は上下左右に配置可能で、自由度が高いです。

このようにOS操作性は、Win10比、Win11は明らかに劣化しました。Win10とOSコアが同じなのに操作性が劣化したWin11を、積極的に使う理由が無いのです(Win11 TPM 2.0の役目は、Afterword参照)。

但し、Win10サポート終了は、2025年10月14日、残り18か月です。この18か月中に次の新OSへの準備が必要です。

新OS検討項目

Windows 10の次の新OS3候補
Windows 10の次の新OS3候補

Win10サポート終了後の新OS選択肢は、Windows、MacOS、Linuxなどがあります。

検討事項は、現在使用中のアプリが新OSへ移行できるか否か、移行できない場合は、代替アプリが新OSに有るか無いかです。

※次期Win11 24H2は、OSコアが現行Win11から変わります。当然、アプリ移行リスクはありますが、本稿では問題なく移行できると仮定します。

一番気になるアプリは、やはりMicrosoft Officeでしょう。Officeは、MacOSでも動作しますが、Linuxは非動作です。代替アプリは、無償LibreOffice、またはWeb文書作成ツール(Web Office、Google Doc/Sheets)などです。

残念ながらWeb文書作成ツールは、デスクトップアプリ比、機能的に劣る傾向があり簡単な修正や閲覧向きです。また、MacOS/Linuxには、Windowsアプリを仮想的に動作させるアプリ(Wine、VirtualBox)などもありますが、現状Windowsアプリ全てが完全に動作するとも限りません。

新OSは、Microsoft Office最重視で考えると、WindowsまたはMacOS、次点がLinux+代替LibreOfficeとなります。

アプリケーションファースト

ちなみに、2024年5月2日、無償LibreOffice最新版の定期1ヵ月更新があり、LibreOffice 24.2.3となりました。LibreOfficeは、Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォーム動作のアプリです。

従って、文書作成ツールLibreOfficeをMicrosoft Officeと同じように使えれば、先に挙げたMCU開発ツールと同様、OSは何でも選択可能です。

筆者は、MCU開発者ですので、MCU開発ツールと文書作成ツールの2つが最重要アプリです。

そこで、OSにLinux Mintを選択すれば、慣れたWindows操作に近いLinux環境が、調達コスト0で構築できます(関連記事:ドイツ自治体、Microsoft OfficeからLinuxとLibreOfficeへ移行)。

弊社が現在Win11インストール条件を満たさない最古参PCを使ってLinux Mint+LibreOffice+MCU開発ツールをテスト中なのは、Windows OS代替としてのLinux環境に慣れるためです。

Windows/MacOS/Linuxクロスプラットフォームアプリは、今後増えると思います。また、Windows仮想化アプリの性能向上も期待できます。アプリケーションファーストでOSを選択できる日も近いと思います。

Summary:Windows 11シェア低下の3背景

世界のWindowsシェア(2024年4月)
世界のWindowsシェア(2024年4月)

2024年4月現在、70%超のWin10世界シェアに対し、Win11シェアは25.65%と伸びていません。その背景を3つにまとめました。

  1. スタートメニュー広告表示やタスクバー上下位置などWin10比、Win11の操作性劣化
  2. MacOSやLinuxのWindowsアプリ仮想収容に対し、Win11のAndroidアプリ廃止
  3. クロスプラットフォームアプリ増加によるアプリケーションファーストOS選択が浸透中

Afterword:TPM 2.0役目とエッジAI

ネットカフェPCのOSは、日本ではWin11アップグレード要件TPM 2.0装備の最新PCでもWin10を使います。セキュリティ強化Win11 TPMと既存Win10操作性を比較し「セキュリティよりも操作性に軍配が上がった」からです。

もしWin11がWin10と同じ操作性でセキュリティ強化だけなら、ネットカフェPCは、順調にWin11へ移行していたと思います。次期Win11 24H2は、エッジAIを強化しPC生産性や操作性を向上させる可能性があります。

ネットカフェPCが、エッジAI強化Win11 24H2へ移行するか、または、Win10をサポート終了まで現状維持するのかは、観察が必要です。

Microsoft方針が、以下なら見通しも明るいと思いますが…。

  1. Win11操作性をWin10へ戻し、同時にAI強化を行う(Win11 24H2)
  2. Windows操作性を、AIが全て自動設定する(Win12 ?)

要するに、「他OSに無いWindows機能が、強化AIだ」とユーザに認識してもらうことが、今後のWindowsシェア伸長に必須なのです。Microsoft は、WindowsとエッジAI(Copilot)統合を狙うかもしれません。

さて、アプリケーションファーストのOS選択は、ネット検索をお好みのブラウザで行うのと似ています。ネット情報は同じでも、特徴がブラウザ毎に異なるため、効率的な結果取得に差が出るからです。

例えば、2024年4月現在日本ブラウザシェアは、1位Crome 57.6%、2位Safari 21.09%、3位Edge 14.98%、4位Firefox 3.3%、筆者が好きな広告非表示Braveは、圏外などです。

このような国別、地域別の様々なシェアを示してくれるのが、statcounterです。動向予測に便利です。