Ryzen AI 400登場

Ryzen AI 300シリーズ完成度を高めたマナーチェンジ(リフレッシュ版)Ruzen AI 400シリーズ(出典:記事)
Ryzen AI 300シリーズ完成度を高めたマナーチェンジ(リフレッシュ版)Ruzen AI 400シリーズ(出典:記事)

現在ミニPC搭載APUで最強のRyzen AI 300シリーズ後継機:Ryzen AI 400シリーズが、2026年初めに投入されるそうです(GAZ:Log、2025/11/20)。新しいRyzen AI 400シリーズ特徴を現行300シリーズと比較し、AMD競合他社のIntel/Qualcomm APU動向を示します。

Ryzen AI 300 (Strix Point) vs Ryzen AI 400 (Gorgon Point)

GAZ:Log記事から現行Ryzen AI 300シリーズ(Strix Point)と、次期400シリーズ(Gorgon Point)の主な違いを整理しました。

特徴

Ryzen AI 300

Ryzen AI 400

変化点・解説

モデル例

Ryzen AI 9 HX 370

Ryzen AI 9 HX 470

命名規則は継続。数字が100番台上昇。

CPUコア

12コア / 24スレッド

12コア / 24スレッド

コア構成変更なし。Zen 5アーキテクチャ据え置き。

最大クロック

5.10 GHz

5.25 GHz

400シリーズ最大の変更点。 150MHzクロックアップ。

GPU

Radeon 890M (16CU)

Radeon 890M (16CU)

ユニット数は同じ。GPUクロックも向上する可能性大。

NPU

XDNA 2 (50 TOPS)

XDNA 2 (推測)

資料に言及なしだが、アーキテクチャ変更がないため据え置き濃厚。

位置付け

新世代 (Zen 5)

リフレッシュ (Zen 5)

次世代「Zen 6 (Medusa Point)」までの繋ぎ役。

ミニPC搭載APUの最大クロック数アップは、諸刃の剣です。

  • 利点:シングルスレッド性能向上、キビキビした動作が期待できる。

  • 懸念:同じアーキテクチャや製造プロセスのままクロックだけ上げると、発熱と消費電力の増加をもたらす。冷却余裕の少ないミニPC筐体は、ファンノイズが大きくなり、サーマルスロットリング発生リスク増加。

以上から、Ryzen AI 400シリーズ位置付けは、Ryzen AI 300シリーズの進化版というより、完成度を高めたマナーチェンジ(リフレッシュ版)と位置付けました。

AMD競合他社動向

202511月現在、競合他社も次世代チップ投入準備を進めています。Ryzen AI 400はこれらに対する防衛的な製品です。Intel/Qualcomm動向とAMDとの差分でまとめます。

IntelPanther Lake (Core Ultra 300シリーズ相当)

Ryzen AI 400の真のライバルが同じくx64コアを供給するIntelです。

  • Intel動向:現行のLunar Lake (Core Ultra 200V) は省電力に特化していました。次期 Panther Lake Intel 18Aという新しい製造プロセスを採用し、パフォーマンスと電力効率の両方を大幅に引き上げると予測されます(2026年初頭登場見込み)。

  • AMDとの差分:

    • Intel (Panther Lake):プロセス微細化による「刷新」。ワットパフォーマンス大幅向上が期待。

    • AMD (Ryzen AI 400): 既存技術の「熟成」。安定性は高いが、電力効率の劇的な改善は見込みにくい。

QualcommSnapdragon X2 Elite

  • Qualcomm動向:初代X EliteWindows on ArmARM64コア)市場を切り開いた。2世代目X2 Eliteは、弱点だったシングルスレッド性能や互換性のさらなる改善を狙う。

  • AMDとの差分:

    • Qualcomm: バッテリー持ちとAI性能で勝負。ただし、ゲームや古いアプリの互換性では依然としてx86AMD/Intel)に分がある。

    • AMD:ゲーム性能(iGPU)と既存アプリ完全互換性が強み。ミニPCをメイン機として使うなら、AMD/Intelの方が全体的にトラブル少。

ミニPC購入時の判断基準

  1. Ryzen AI 300搭載機が安くなれば「買い」

    • Ryzen AI 400はクロックが少し上がっただけのマイナーチェンジ版。実性能差は体感で数%程度にとどまる。逆に言えば、型落ちとなるRyzen AI 300シリーズ(Ryzen Al Max+ 395等)のミニPCがセールにかかれば、コスパ最強の選択肢になる。

  2. 冷却性能の重視

    • Ryzen AI 400搭載ミニPCが出た場合、筐体の冷却設計が非常に重要になる。クロック上昇分を冷やしきれる大型ファンや金属筐体採用のモデルを選ばないと、性能を発揮できない可能性がある。

  3. APU革新を待つなら2026年後半以降

    • 本当の意味での次世代性能(Zen 6アーキテクチャのMedusa Point)や、Intelの逆襲(Panther Lake)を待ちたい場合は、Ryzen AI 400は見送りが賢明。

SummaryRyzen AI 400シリーズ登場

Ryzen AI 400は、手堅いアップデートですがミニPCにとっては熱対策が課題になるかもしれないモデルと言えます。

GAZ:Log記事ではベンチマークスコアが現行より低い結果が出ています。これはES (Engineering Sample)ゆえの調整不足と考えられます。製品版は順当に性能アップするでしょう。しかし、劇的な変化は期待しない方が良さそうです。

APUAI性能を活かすアプリが少ない現状にマッチし、最強APU Ryzen AI 300シリーズのマナーチェンジ(リフレッシュ版)がRyzen AI 400シリーズです。