MCU開発者とAI

MCUベンダ各社のエッジAIニュースが、昨年末から2025年の今年にかけて多く見られました。その背景を考えます。

2030年までのAI半導体市場予測

コチラの記事は、2030年までの半導体市場予測と、AIが人間の知能を超える2029年のシンギュラリティ実現を示しています(関連投稿:生成AI未来予測は2027年シンギュラリティ予測)。

生成AI知能レベル、シンギュラリティ、AI自動化
生成AI知能レベル、シンギュラリティ、AI自動化

従来の半導体は、2年毎に2倍になるムーアの法則で成長してきました。しかし、AIにより新たな形で成長し、Auroraというスーパーコンピュータを例に、AI半導体は、16倍に急増すると予測しています。その結果、シンギュラリティが、2029年に到来する可能性を述べています。

また、クルマとサーバ/データセンタのAI半導体が、2025年から2030年の半導体を牽引すると結論しています。これらは、主にクラウド側AI半導体の話です。

最新MCUベンダAIニュース

MCUベンダが担当するエッジ側のAI関連最新ニュース3つが以下です。

  • STマイクロ:エッジAI開発向け従来比600倍性能NPU搭載STM32N6シリーズ発表
  • ルネサス:ホンダとSVD2000TOPS20TOPS/Wを目指すR-Car X5シリーズ開発契約締結
  • NXP:エッジAI機能開発ソフトへeIQ AIソフトウェア追加

どれも、前章クラウド側AI半導体に呼応するMCUベンダのAI取組みです。その背景は、5年後の2030年までに急速発展するクラウド側AIサービスへの追随です。

AI性能2,000 TOPS、20 TOPS/W実現のHonda 0 シリーズ専用SoC開発(出典:ホンダサイト)
AI性能2,000 TOPS、20 TOPS/W実現のHonda 0 シリーズ専用SoC開発(出典:ホンダサイト)

ソフトウェア実装はAI、最上流工程は実装経験の人間

コチラの記事は、クラウドAIと機械学習が進化すると、プログラミングの殆どはAIが担うと結論しています。但し、起点となる「ここをソフトウェア化するという意思」はAIで代替できないため、実装経験のある開発者が必要と付け加えています。

映画ターミネーターのようにシンギュラリティでAIが意思を持つか、本当は分かりません。しかし、ソフトウェア実装をAIが担当すれば、MCU開発者の実務負荷が減ることは明らかです。

SummaryMCU開発者の備え

様々な予測を示しました。しかし、あくまで予測で、地震予知同様、未来は分かりません。

重要なのは、備えです。2025年の今すべきことは、MCUソフトウェア開発などの経験です。

開発経験は、成功でも失敗でもAI全盛時代に活かせる人間固有資産です。ハルシネーション対策に、AIの実装が正しいか、使い物になるかなどを最終的な判断は、経験豊かなMCU開発者が担当するでしょう。

MCUソフトウェアAI自動化は、機械学習データが少ないためPCMPUに比べ遅いです。この遅さを活かしMCU開発実経験を積みましょう(関連投稿:生成AI活用スキルAIMCUへの影響)。

Afterword:エッジAI期待サービス

さて筆者は、エッジAIにセキュリティ確保とルーティンワーク自動化を期待します。Windowsセキュリティ更新やブラウザ更新など、PCセキュリティ保全処理は全てAI任せ、いつでもどこでも安心安全PCを直ぐに使いたいです。

また、重要メール抽出や金曜投稿ネタ候補提案など、気兼ねなくAI任せたいタスクも数多くあります。エッジAI MCUで実現できれば嬉しいですね!