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PSoC 4100S CapSenseの使い方(その3後半)

Cypress PSoC 4 MCU内蔵タッチセンサ:第4世代CapSenseの使い方、3回目後半は、CapSenseのプログラミングです。ソフトウェア開発者にとって一番面白い箇所です。

参照情報:AN85951 PSoC® 4 CapSense® Design Guide.pdf(日本語版)

CapSenseプログラミング理解はサンプルソースコードが最適

AN85951のCapSenseの設計フロー:P9をご覧ください。本稿テーマのCapSenseプログラミングは、8. Firmware Designに相当します(9. はPSoC Creatorの一般的な使い方でCapSenseとは無関係)。

これまでのPSoC 4100S CapSenseの使い方に関する一連の投稿は、1~7の内容を抜粋し、かつ、ソフトウェア開発者向けに説明してきました(従って、本ブログで不明な点は、1~7を参照頂ければ、より理解できます)。

8. Firmware Designドキュメントは、P10に示されています。PSoC Creatorサンプルプロジェクトをクリックすると、P45の4.1.4 サンプルプロジェクトと4.2 ハードウェアキットへジャンプします(コンポーネントデータシートは、第4世代より古いCapSenseのこと)。

さて、このジャンプが意味するのは、「CapSenseプログラミングは、サンプルプロジェクトを読みなさい」ということです。

実際に動作するサンプルプロジェクトのソースコードを見れば、文章で細々プログラミングを説明するよりも一目瞭然ということです。

筆者も、これに完全に同意します。やはりソースコードが、一番良いプログラミング教科書です。…と書くと、これで本稿が終わりますので、少々解説を加えます。

CapSenseプログラミング解析

4.2 ハードウェアキットの開発キット3列目が(名称が違いますが)本開発の評価ボード:CY8CKIT-145-40XX PSoC 4000S CapSense Prototyping Kit です。

このサンプルプロジェクト:CE210709_CapSense_Linear_Slider_and_Buttonsのmain.cの一部を抜粋します。

評価ボードサンプルソースコードの一部抜粋

初期設定:CapSense_Start()後、無限ループ内でCapSenseの3状態(SENSER_SCAN → WAIT_FOR_COMPLETE→ PROCESS_DATA)遷移を繰返します。default : breakがあるので、さらに別状態の可能性もあります。が、ここでは無視します。
※ENABLE_TUNERは、次回EZ_I2Cで示すCapSenseリアルタイムモニタ機能です。今回は無視してください。

注目すべきは、WAIT_FOR_COMPLETE状態のCySysPmSleep()です。

つまり、CapSenseスキャン開始と終了の間は、CPU:Cortex-M0+はスリープしているのです。この間にCPUで別処理をすることも可能です。スキャンとスリープCPUの割込み起動は、CapSenseコンポーネントが行います。

まとめると、ソースコードから以下が解ります。

・コンポーネント初期設定は、コンポーネント名_Start
・コンポーネントAPIは、コンポーネント名_処理内容
※CapSense以外の全てのコンポーネントでも上記2つは同じ
・CapSenseスキャン開始~終了間のハードウェア処理時間が長いため、CPUをスリープにするのが低電力化に良い。スリープ起動にCapSense割込みを使用。
・PSoC 4000S無限ループは、for(;;)の書き方

基本動作CapSense API

サンプルプロジェクトソースコードで使ったCapSense APIは、全部で6個です。

・CapSense_Start()
・CapSense_IsBusy()
・CapSense_ScanAllWidgets()
・CapSense_ProcessAllWidgets()

LED_Control()で、スライド・バー位置やパッドタッチに応じてLED制御を行うため2個使っています。

・CapSense_GetCentroidPos()
・CapSense_IsWidgetActive()

CapSenseコンポーネントデータシートには、CapSense APIが上記以外にも数多くあります。これらを使うとよりきめ細かな制御も可能です。興味ある方は、参照してください。

CapSenseファームウェアの注意書き

AN89548の6.1 ファームウェアP108~P110に以下の注意書きがあります。
※PSoC MCUでは、他社が言うソフトウェアのことをファームウェアと言います。

“CapSenseハードウェアは高感度アナログシステムなので、CPU並列動作によるデバイス電流の急激な変化は、CapSense検出能力に影響を与える可能性がある。CapSenseを、近接センサやオーバーレイ素材が厚い場合など高感度が必要な場合は、以下のブロッキングスキャンを使うこと。”

ブロッキングスキャンのソースコード(出典:AN89548)

ブロッキングスキャンとは、サンプルプロジェクトで示した状態遷移を止め、CapSense処理中は別処理を禁止するスキャンです。CapSenseのみにデバイス能力を使いますので、高感度ですがスキャン中の低電力化もしません。

“CapSenseといえども低消費電力設計が望ましいが、PSoC 4000デバイス(←Sなしに注意)は、CapSenseスキャン中のスリープは勧められない。” (以上の、” … “ が、6.1の注意書き)。

第4世代CapSense利用PSoC 4000S/4100Sテンプレート開発方針

本開発は、第4世代CapSense内蔵のPSoC 4000S(←S付き)とPSoC 4100Sデバイスが対象です。

従って、サンプルプロジェクトで示した「CapSenseスキャン中スリープ有り」の方法で開発し、高感度が必要な時は、ブロッキングスキャンを検討するアプローチで良いでしょう。

トラ技付録基板のPSoC 4100Sは、PSoC 4000Sに比べ内蔵アナログコンポーネントが豊富です(PSoC4100SとPSoC 4000Sの主な特徴差は、その1比較表参照)。

AN89548の注意書きから、CapSenseコンポーネントスキャン中の電流変動は禁物なので、欲張って他のアナログコンポーネントとデバイスを共用するのは、時分割処理すれば別ですが、CapSenseの性能を引出すのは大変そうな気がします。

この意味で、内蔵アナログ機能の少ないPSoC 4000SをCapSense専用デバイスとして使うのは、開発のスジは良いと思います。

一般的にCapSenseやADCなどのアナログ機能は、ノイズに敏感で動作中の電流変動にも性能を左右されます。また、トラ技2019年5月号P128、ACアダプタのノイズに注意の章記述から、トラ技付録基板利用時は、供給電源の品質も高いものを使うことが重要です。

以上のことから、CapSenseと別のアナログ機能を利用する時は、並列動作は避け、時分割処理の方がリスクも少ないと思います。

弊社テンプレートは、時分割処理動作です。従って、アナログ単独動作時とほぼ同じ性能を多重時でも出せます。

CapSenseの使い方(その3後半:CapSenseプログラミング)まとめ

PSoC 4000S/4100S内蔵第4世代CapSenseコンポーネントのプログラミング要点を示しました。

  1. CapSense基本動作プログラミング理解に、評価ボードサンプルプロジェクトソースコードは最適。
  2. CapSense基本動作なら、スキャン開始と終了の間、CPUスリープで低電力動作可能。
  3. 高感度CapSenseが必要なら、スキャン中別処理禁止のブロッキングスキャンを検討。
  4. CapSenseプログラミングは、他コンポーネントとの並列動作より時分割処理の方がリスクは少ない。
  5. CapSense基本動作で使うCapSense APIは、6個。さらに多くのCapSense APIあり。
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