サイトアイコン IoT MCUのHappyTech

Kinetis Design StudioとCodeWarrior

Kinetis Eテンプレート開発は、順調とは言えません。理由は、IDEとProcessor Expertです。今回はIDEについて説明します。

Kinetis専用IDE: Kinetis Design Studio

freescaleのIDEは、商用CodeWarrior: CWがあります。無償128KB制限は、Kinetis Eマイコン開発(ROM≦64KB)には問題なしです。しかし、CWで開発できるKinetisは、現版サポートのみで打ち切られ、今後リリースされる全てのKinetisシリーズマイコンは、Kinetis専用IDE: Kinetis Design Studio: KDSでサポートされると発表されました。

KDSは、無償でROM制限がありません。全てのKinetis K/L/W/M/Eマイコン開発ができ、技術サポートは、KDSコニュニティで受けられます。IDEサイズもCWよりも小さいので高速動作します。

KDS1.1.1の現状

CWと色々な個所で異なります。IDE画面の例を示します。

CW(左)とKDS(右)のProjects View差

左のCWプロジェクトビューは、ファイル毎のビルト結果が表示されますが、右のKDSプロジェクトビューには、これがありませんので、プロブレムビューでのチェックが必要です。CWは、さすがに商用IDEなので、細かいところにも配慮があり、使い易くできています。

また、テンプレートに応用できるサンプルソフトも、CW、KDS両方を探しても今のところ1個しか発見できません。Kinetisソフトウエア開発キット(SDK)もKinetis E以外の5種ハードサポートのみで、Hardware Abstraction Layer(HAL)対応なので、流用も結構面倒です。HALについては、Processor Expertの時に別途説明する予定です。

CWに比べ利用できる資料は、最小限です。これが、上級者ならともかく、普通の開発者には、とまどうところです。

CWプロジェクトのKDSへの変換

CWプロジェクトは、KDSへそのまま使えません。KDS最大の問題点です。説明が少ないポーティングガイドがありますが、ポーティング時、多くのエラーが発生し、上手く変換できないこともあります。ヘルプが役に立たないのは、いつものことです。しかし、無いよりは、CWのように豊富にあった方が良いです。

つまり、数あるCWサンプルを利用する場合や、上級者以外が使うには、CWに比べ現版KDS1.1.1は障壁が高いのです。これが、KDSリリースから半年しかたってないためか、それとも、Kinetisシリーズ+KDSに商用CWとは別戦略があるためかは、判りません。

 

いずれにせよ、誰もが使えるKinetis Eテンプレートを開発するには、現状ではCWとKDSの両方を使う必要があります。テンプレート販売時には、ご購入者様がKDSで動作することが必要となるからです。殆ど同じプロジェクト作成に2つのIDEを使って、ゼロベースで作成が必要なこと、これが開発を遅らせる原因です。

モバイルバージョンを終了