3種類のAPIライブラリ
LPC8xxマイコンプログラミングのAPIライブラリは3種類あります。以前記事のLPCOpenとLPCClose、加えてLPC8xx内蔵ROMでI2CやUARTのAPIを提供中なので3種類です。
API提供ライブラリ | 状況(2014年3月現在) |
LPCOpen:Lpc_chip_8xx_lib | I2C関連のi2c_8xx.cは、clock enable/disableのみ、他は未実装(V2.01版) |
LPCClose:Lpc800_driver_lib | 全API提供中(2012/12/18版) |
内蔵ROM | UARTは、デバイス最高動作速度の30MHzで動作せず |
2014年3月現在の各ライブラリ状況を示します。個人的に、LPC8xxテンプレートには、「LPCOpen」を使いたいと考えてきました。しかし、最大動作速度30MHzでのテンプレートには、「LPCClose」を使わざるを得ないようです。少ピンLPC8xxの活用には、I2Cインタフェースが重要ですが、LPCOpenライブラリI2C関連は未完成だからです。
私の推測ですが、ROM APIでLPCOpenのi2c_8xx.c未完成部分の代用ができますので、i2c_8xx.cはこのままの状態で落ち着く可能性があります。この場合の問題は、LPC8xx最高速度30MHzでROM APIが動作しない点です。
解決策は2つ。1つは、テンプレート30MHz動作をあきらめ、ROM APIが動作する最高速度24MHzに変更すること、もう1つがLPCOpenの代わりにLPCCloseを使うこと、です。世界標準のLPC8xxは、まだ新しいマイコンなので、状況が変わるまでしばらくは我慢も必要です。
API利用のマイコンプログラミング
開発中のLPC8xxテンプレートは、LPCOpenからLPCCloseへ使用API変更の可能性が出てきました。2つのライブラリを同時に使用することも考えましたが、ソースが煩雑になりますし、気持ちも悪いので止めます。
そこで、使用ライブラリの変更やライブラリ自身のバージョンアップに耐えられるプラグラミングについて検討します。その結果、2つの方法でAPI関数にアクセスします。
API利用方法 | 説明 | 使用例 | API変更時 |
直接型 | ユーザソースからAPI関数を直接コール | クロック設定など | エディタ一括変更 |
間接型 | ユーザ前処理関数内でAPI関数をコール | I2C、UARTなど | 前処理関数内のみ |
「直接型」は、ユーザソースにAPI関数をそのまま記述する、本来なら一般的な方法です。これに対して、「間接型」は、APIコールの前に何らかの関連処理や前処理が必要な場合で、この処理を1か所に纏めユーザ関数化します。つまり、利用側のユーザソース→纏めたユーザ関数→API関数の順番にアクセスします。今回のような使用APIの種類変更時には、この関連処理を纏めたユーザ関数内のみの変更で済みます。直接型の変更は、エディタの一括変更などで対策します。
例を示します。I2Cマスタ送信API関数は、データの中身は無視して、送信バイト数分を、I2Cバスに送信します。一方、API利用側は、EEPROMとセンサデバイスなどでは、リード/ライトアドレス長が2バイト/1バイトと異なるので、それぞれ別のデータフォーマットを持ちます。そこで、このデバイス毎のデータとAPIフォーマット変換を前処理にして関数化します。I2C送信は、全てこの前処理関数を経由してI2Cマスタ送信APIを利用します。その結果、API変更の対策は、前処理関数内に閉じ込められます。
この方針でAPIを利用すれば、使用APIの変更やAPIバージョンアップに対しても、ユーザソースの変更箇所を集中させ、かつ、簡単に変更できます。