年2回のWindows 10大型更新、Windows 10最新バージョン20H2がリリースされました。Windows Updateを待たずにユーザ主体で最新のWindows 10大型更新を実行する方法と、そのメリット/デメリットを示します。
まとめ
準備 | MediaCreationTool20H2.exeダウンロード | 0.5時間 ※Pro/64bitは8GBでOK |
USB/DVDインストールメディア作成 | ||
旧Windows 10バックアップ(更新失敗リカバリ対策) | ※環境依存で省略 | |
更新 | 旧Windows 10起動状態で作成USBのsetup.exe実行 | 1~3時間(PC依存) ※この間クリック1回 |
新Windows 10へ引き継ぐもの選択後インストールクリック | ||
新Windows 10の大型更新自動完了 |
旧Windows 10バージョン2004のアプリケーションとユーザデータの両方を保持したまま、新Windows 10バージョン20H2を上書きインストールする方法です。メリットとデメリットが以下です。
メリット | いつ始まるか判らない新Windows 10大型更新をユーザ主体で開始 |
タイミングの良いバックアップを取るので、良いところからリカバリ | |
アプリとユーザデータ両方保持で、新Windows 10でも即開発継続 | |
USBは複数PC更新に使え、新Windows 10トラブル回復ツールにもなる | |
デメリット | レジストリはデフォルト値へ戻る。ユーザ変更時は再設定が必要。 |
Windows 10上書きインストール準備
Windows 10大型更新がリリースされると、同時にMicrosoft公式ツール:MediaCreationTool20H2も発表されます。
MediaCreationTool20H2は、Windows 10新規/再インストールに必要な全ファイルをUSBやDVDへ保存するツールです。Windows ProとHome、64ビット版と32ビット版の各バージョンを保存できますが、Windows Pro/64ビット版のみなら8GB容量のUSBで十分です。
ツールダウンロードとUSBメディア作成時間は、ダウンロードリンク速度に依存しますが、約30分です。
作成したUSBは、複数PCの大型更新に使えます。また、Windows 10起動トラブル、例えばスタートアップ修復やコマンドプロンプト処理などの回復ツールとしても動作します。
以上がWindows 10上書きインストール開始前の最低限の準備です。
但し、今回に限らずWindows 10の大型更新には、多くの不具合報告があります。使用中のPCが大型更新で不具合に遭遇しても、不具合前へリカバリできるシステムバックアップも、更新前のユーザ側準備としては必須です。
バックアップツールは、有償/無償含め様々です。バックアップだけでなく、リカバリができる確認もお勧めします。リカバリ本番で失敗する例は、世の中にたくさんあります。バックアップ所要時間は、使うツールやご利用環境に依存しますので、省略しています。
バックアップのもう1つの重要事項は、タイミングです。開発が一段落したなど、バックアップに適し、ユーザや開発者が安心しているタイミングがあります。ユーザの都合が良いタイミングでバックアップを確実にとり、かつ、Windows 10大型更新を迎えれば、たとえトラブルにあっても冷静に対処できます。
Windows 10上書きインストール更新
Windows 10上書きインストールの最重要事項は、旧Windows 10起動状態で作成したUSB/DVDのsetup.exeを実行することです。以下、Windows Pro/64ビット版USBを例に説明します。
旧Windows 10起動後に準備で作成したUSBを装着し、setup.exeをクリックします。すると、最新の更新プログラムダウンロードが始まり、インストール準備完了へ画面が変わります。
「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」がデフォルトになっています。これが、旧Windows 10アプリケーションとユーザデータの両方を保持のまま、新Windows 10を上書きインストールする設定です。
引き継ぐもの変更をクリックすると、アプリ、または、個人用ファイルのみ、どちらもなしなども選択可能です。どちらもなしの場合が、クリーンインストールに相当します。
上書きインストール中、このインストール準備完了画面のインストールのみがクリック個所です。インストールクリック後は、何の操作も不要です。PCが勝手に何回か再起動し、新Windows 10バージョン20H2の初期画面が表示され大型更新完了です。
更新開始から完了までの所要時間は、PC(ネットワーク速度やPC性能)に依存します。おおよそ1時間から3時間程度です。この間のクリックは1回だけです。クリック後は読書や運動などでもして気楽に新Windows 10初期画面を待てば良いでしょう。
Windows 10上書きインストールメリット/デメリット
Windows 10上書きインストールの最大メリットは、ユーザ主体でWindows 10大型更新を開始できること、同時に、更新失敗に備えたシステムバックアップが取れることです。
どちらもWindows任せ、つまりWindows Updateで自動開始にすると、ユーザや開発者が不安定な時や思わぬタイミングで更新を開始し、バックアップを忘れる、適切なバックアップが取れないなど、本来なら起こるはずが無いユーザ起因のトラブルにも遭遇する可能性がでてきます。
新Windows 10バージョン20H2は、旧Windows 10バージョン2002の小変更版と言われます。小変更なら尚更早く更新完了し、Windows 10最新バージョン20H2による安定したPC運用を望みたいと筆者は思います。但しMicrosoftは、Windows 10バージョン20H2のUpdate配布を遅らせるとの2020/10/23情報もあります。
Windows 10のライフサイクルは、わずか1.5年です。この間半年毎に2回大型更新があり、たとえ各回の更新を延期しても、1.5年後には必ず大型更新が必須です(ライフサイクルは、関連投稿:WindowsとLinux Mintの大型更新比較を参照してください)。
Windows 10起因の大型更新トラブル遭遇確率は、ユーザ主体開始でも自動開始でも大差ないと思います。むしろユーザ主体上書きインストールの方が、ユーザ起因トラブルがない分、トータルの大型更新トラブル確率は低くなるかもしれません。
※本稿は、大型更新トラブルの原因を、Windows 10起因とユーザ起因、これら2つに分けて考えています。
上書きインストールのデメリットは、上書きなのでWindows 10レジストリがデフォルト値に戻ることです。デフォルト値は、MicrosoftがWindows 10運用上、最も安全と考える値です。しかし例えば、ネットワークのパスワード保護共有を有効→無効にユーザが変更している場合などは、再設定が必要です。
ご利用中のPCで、メリット/デメリットを天秤にかけ、本方法適用をご自身でご判断ください。
なお弊社は、本稿のWindows 10上書きインストール更新方法で、メインPC/ノートPC/バックアップPC:3台のWindows 10バージョン1909→2002→20H2の過去3回の大型更新を、運よく(?)成功した実績があります。