マイコンテンプレート活用プロトタイピング開発(2)

マイコンテンプレートがプロトタイピング開発に適すシリーズ投稿第2回は、開発に活用流用できるソフトウェア=ライブラリの概要を示します。説明するライブラリが下記です。詳細説明が必要になった時は、それに応じて追記するので、今回は概要を示します。

  1. Arduinoシールド付属C++ライブラリ
  2. SW4STM32付属デモソフト
  3. STM32CubeMX:初期化Cコード生成ツール
  4. HAL:Hardware Abstraction LayerとBSP:Board Support Package
  5. Middleware Components:ミドルウェア:FatFs
  6. STMicroelectronicsアプリケーションノート
  7. STMicroelectronics Communityやネット情報

ソフトウェアは、ドライバーやミドルウェアなど階層構造や使い方に応じて色々な呼び方がありますが、本投稿では、開発に使える可能性のあるソフトウェアや情報を、全てライブラリと呼びます。つまり、開発者自らが開発するソフトウェアと、その開発に使えるライブラリの2つに大別して説明します。

開発着手時は、各ライブラリ概要をおおよそ把握し、自分で開発するソフトのイメージが捉えられれば十分です。後はそのイメージをソフトの形にしてテンプレートに追加すれば、プロトタイピング開発完成です。

1.Arduinoシールド付属C++ライブラリ

Arduinoは、オープンソースハードウェアのシングルボードコントローラです。Arduinoコネクタにシールド基板を実装すれば、誰でも簡単に機能追加できるのがウリです。もちろんハード制御に必須なソフトウェア=ライブラリもシールド基板とともに提供されます。

TFTシールド基板ライブラリは、ArduinoのAPIを利用しC++で記述(左下:shieldtest参照)されています。Arduino IDEにこのライブラリを追加しさえすれば簡単に基板の動作確認ができ、ソース変更も容易です。しかし、これを対象マイコン用に変更するのは、簡単ではありません。API変更とC++が問題です。

Adafruit TFT shieldtest Sketch running
Adafruit TFT shieldtest Sketch running

2.SW4STM32付属デモソフト

SW4STM32には、TFTシールド基板のデモソフトが付属しています。UM1787にデモファームウェアが紹介されており、利用や変更、修正など開発者が自由に使って良いライブラリです。

TFT Shield Demonstration running (Source:UM1787)
TFT Shield Demonstration running (Source:UM1787)

但しこのデモソフトは、デモの表示画像やテキストの変更は簡単でも、一部機能の切出しや新機能の追加、例えばUART入出力処理の追加などは容易ではありません。また、最新の開発ツールSTM32CubeMXベースで開発されたのもでもなく、エキスパートが自作したものです。

このデモソフトのような既存ファームウェアがあっても、そのまま流用活用しにくいというのは、MCUソフトウェア開発ではよくある話です。既存ファームウェアやライブラリの解析に手間と時間がかかるため、新たな環境で新たなソフトウェアを開発したほうが早く済むこともよくあります。

ナゼか? それは、流用性や資産とすることを念頭に置いてソフト開発をしないからです。MCU処理能力の低さやメモリ量の少なさが主な原因ですが、これらは今後改善されます。MCUソフトも流用性を重視し、ソフトウェア資産、部品化を考慮した開発が今後必要です。

3.STM32CubeMX:初期化Cコード生成ツール

STM32CubeMXは、STM32シリーズの全MCUに対して、GUIでパラメタを設定しさえすれば周辺回路の初期化Cコードを自動生成するツールです。また、SW4STM32を含め全IDE(TrueSTUDO、MDK-ARM、EWARM)で共通に使えるなど守備範囲も広く「STM32ソフトウェア開発の要」です。

UM1718に解説があります。このUM1718のTutorial 2に、MCUはSTM32F4ですが、本開発に使えるSTM32CubeMXの設定方法があります。

関連投稿:STM32CubeMX設定については、コチラの投稿も参照してください。

4.HAL:Hardware Abstraction LayerとBSP:Board Support Package

HALは、文字通りハードウェア隠蔽機能を提供する階層です。CortexコアといえどM0/M0+/M3/M4などハードウェアは異なります。この異なるハードにも関わらずHALが同じAPIを上位層に提供するので、性能不足などでコア変更が生じても同じソフトが流用できる訳です。UM1749に詳しく解説されています。

BSPは、このHALのAPIを組み合わせた評価ボード特有機能のマクロ関数です。評価ボードを制御系にそのまま利用する時に便利です。

HALやBSPを使うとオーバーヘッドも生じます。しかし、流用性向上のメリットの方が大きいと思います。

関連投稿:HALのオーバーヘッドは、コチラの投稿の、“STM32CubeMXの2種ドライバライブラリ”を参照してください。

5.Middleware Components:ミドルウェア:FatFs

FatFsは、MCU向けの汎用FATシステムモジュールでフリーソフトウェアです。MCUハードには依存しないので、どのマイコンでも使えるのが特徴です。FatFs APIを使うと、SDカードなどのファイルシステムに簡単にアクセスできます。

STM32CubeMXでは、MiddleWaresのFatFs、User-definedに☑を入れると使えようになります。

STM32CubeMX MiddleWare FatFs
STM32CubeMX MiddleWare FatFs

6.STMicroelectronicsアプリケーションノート

UM1721は、“Developing Applications on STM32Cube with FatFs”と本開発にはピッタリの内容です。3.3にサンプルソフトがあります。これは、FatFsを使って開発したソフトの単体テストに使えます。

7.STMicroelectronics Communityやネット情報

STMicroelectronics Communityなどのベンダーコミュニティは、開発者同士の情報交換、質問の場です。各ベンダーは、提供ツールのバグ情報や更新方針などもこのコミュニティーから収集していますので、時々閲覧すると参考になります。開発でつまずいた時など解決方法が見つかることもあります。

また、検索エンジンでは様々なネット情報が得られます。最新情報などを取集すると、開発動向の把握も可能でしょう。

開発ソフトウェア構成とイメージ

今回のソフトウェア開発に役立つライブラリ概要を示しました。

直ぐにソースコードを書きたい気持ちを少し我慢して、ほんの少し事前調査をすると、視野が広がり使えそうなライブラリの見当もつきます。使えるモノを流用すれば、より重要箇所に集中できます(前回投稿の「選択と集中」ができます)。

本開発は、SPIシールド基板で追加する3機能毎にSTM32CubeMXを用いてソフト開発し、テンプレートへ追加します。また、流用性を上げるため追加機能毎にファイル化し、単体機能の追加削除も容易な構成とします。これをまとめたのが前回投稿の開発方針図です(再掲します)。

Development policy
初期設定生成ツール:STM32CubeMXや、評価ボード開発支援ライブラリを活用しテンプレートへ機能追加

MCUのライバル

プレッシャーをかけるつもりはありませんが、競合他社のMCUだけがライバルではありません。

ArduinoコントローラやRaspberry Pi 3などのMPUは、後発の利点を活かし、ソフトウェア/ハードウェア開発が、誰でも早く簡単にできる工夫が施されています。どちらも低価格で開発環境が整います。MCU開発者の方は、是非どちらか試して、MCUに比べ開発の簡単さを実感してください。

MCU Rivals_R1
MCUのライバルは、競合他社だけでなく、ArduinoコントローラやRaspberry Pi 3などもある。

制御系

特徴

開発障壁

ソフトウェア流用性

MCU

低消費電力
アナログ/デジタル周辺機能豊富

高い

低い

Arduino/Genuino

オープンソースハードウェア基板
豊富なシールド基板で機能追加が容易

低い

高い

Raspberry Pi 3 B/B+

OS搭載シングルボードコンピュータ
動画再生や複雑な技術計算も可能

とても低い

高い

最新Arduinoの動きとしては、SonyのSPERSENSEなどがあります。また、Raspberry Pi 3 B+では、コア速度やLAN高速化、PoEなどのIoTに向けた性能向上も図られています。

MCU評価ボードにArduinoコネクタの採用が増えたのは、豊富なシールドハードの簡単追加が目的です。また、ARM CMSISもMCUソフト流用性を高める方策の1つです。

関連投稿:ARM CMSISの目標については、コチラの投稿の、“CMSIS”を参照してください。

CMSIS実用化に伴い、MCUソフトウェア開発者も、個人レベルでソフト資産化と各種ライブラリ活用技術を身につけないと、先行するArduinoやRaspberry Piへ顧客が逃げてしまいます。

逆に、ArduinoやRaspberry Piのソフトウェアやライブラリを積極的にMCUへ流用するアプローチも(簡単にできれば)良いと思います。

いずれにしても、MCUソフトウェア開発は、既存ライブラリや様々な資産をより活用して、開発効率化を上げることが必要でしょう。

マイコンテンプレート活用プロトタイピング開発(1)

Adafruit 1.8 Color TFT Shield with microSD and Joystick
Adafruit 1.8 Color TFT Shield with microSD and Joystick (Source: Adafruit)

前投稿で、プロトタイピング開発に、マイコンテンプレートが適すと説明しました。その理由は、テンプレートの既に出来上がった汎用処理へ、顧客要求機能を追加しさえすれば、早期に顧客ソフトウェア開発がほぼ完成するためです。つまり、顧客仕様の開発に、より集中できるのです。

働き方改革と、今後も増える仕事量、このバランスを開発者が保つには、選択と集中です。
集中すべきは顧客独自仕様、それ以外は既存資産をより流用活用するテクニックを身につけることです。

具体的にこのこと説明するため、今回から数回に分けて、マイコンテンプレートと評価ボードに、上図Arduino SPI接続シールド基板を追加する開発例を使って、プロトタイピング開発にテンプレートが適すことを説明します。

テンプレート活用開発例の前提条件

途中、別内容の投稿もありますので、3カ月程度の期間で7~10件程度のシリーズ投稿を予定しております。

STM32F072RB/Cortex-M0コアを用いますが、STM32FxテンプレートのCortex-M3コア/STM32F103RBでも同様です。また、投稿カテゴリーはSTM32マイコンですが、他マイコンのテンプレートを使用中、検討中の方も参考にしてください。

様々なシールド基板がある中で、SPI接続シールドを選択した理由は、マイコンでも従来のGPIOによるLCD表示から、よりリッチなSPI:Serial Parallel InterfaceによるカラーLCD表示に変わりつつあることが背景です。詳細は、コチラの投稿を参照してください。

Arduino SPI接続シールド基板構成

Adafruitの1.8“カラーTFTシールド(128×160ドット)、microSDカードスロットとジョイスティック搭載基板(3,680円)は、秋月電子から入手できます。

Shield Fabrication Print
3ハードウェア機能を追加するSPIシールド基板 (Source:Adafruit)

このシールド基板は、TFT液晶出力、SDカードのデータ入出力、Joystickでの5SW入力、これら3機能を、マイコン評価ボードArduinoコネクタに装着するだけでハードウェアの追加ができます。

そこで、テンプレートへシールド3機能のソフトウェアを追加していきます。これにより、Joystickのみ、SDカードのみ、あるいは全機能の追加などいろいろなバリエーションの開発例を説明します。

サンプルソフト、レファレンスソフト構成と開発方針

本開発に使えるサンプルソフトや既存ライブラリを一覧にし、開発方針を図示しました。

Development policy
初期設定生成ツール:STM32CubeMXや、評価ボード開発支援ライブラリを活用しテンプレートへ機能追加

Arduinoのシールド基板には、C++ライブラリが付属していますが、これはArduinoでの動作が前提なので、マイコンにはそのまま使えません。

上手いことに開発環境SW4STM32には、使用するArduino SPI接続シールド基板のデモサンプルソフトが付属しています。但し、このデモソフトは、エキスパートが自作したExamples and Demosなので、部分的に機能を切出そうとすると、解析や変更に手間取ります。

せっかく初期設定生成ツール:STM32CubeMXや、評価ボード開発支援ライブラリのBSP:Board Support Packageがあるのですから、これらツールやライブラリを活用しない手は無いでしょう。
そこで、図示したようにデモソフトは、レファレンスとして活用し、極力STM32CubeMXやBSPを使ってエキスパート自作ソフトと同じものを、初心者でも開発できることを開発方針とします。

シリーズ投稿の予定内容

実際に着手しないと投稿内容は確定しませんが、一応の目安として、下記内容の投稿を目標、予定しています。

第1回、シールド基板、サンプルソフト、レファレンスソフト構成と開発方針(←今回の投稿)
第2回、BSP、FatFs、STM32CubeMX、デモソフト、アプリケーションノートなどの活用/流用可能ソフトウェア概要
第3回、Joystick機能のテンプレート追加:Joystickのみ追加希望の方は、ココまでで開発できることを目標にします。
第4回、SDカードリード/ライト機能のテンプレート追加:SDカードのみ追加希望の方は、ココまでで開発できることを目標にします。
第5回、TFT表示機能のテンプレート追加:TFT表示のみ追加希望の方は、ココまでで開発できることを目標にします。
第6回、SPIシールドテンプレート構成:シールド3機能全てを追加する場合のテンプレート構想
第7回、SPIシールドテンプレート開発:シールド基板活用のTipsなどの資料も含むテンプレート化を目指します。

このように、現在のGPIO LCDを使ったテンプレート応用例Baseboardテンプレートに加えて、最終回にはSPIシールドテンプレートとして発売できれば完成です。ご期待ください。

Yano E plus 2018.5にHappyTech掲載

シンクタンクの矢野経済研究所様の月刊誌Yano E pulsの2018.5、注目市場フォーカス:MCU(マイコン)市場の6-7に、弊社HappyTechが掲載されました。MCUの現状、2021年までの市場予測、ベンダー各社動向などがまとめられたレポートです。お近くに冊子がある場合には、ご覧ください。

Eclipse IDEベース統合開発環境のプロジェクトImport、Renameの方法

統合開発環境のデファクトスタンダードがEclipse IDE。本ブログ対象ベンダのNXP)MCUXpresso IDE、ルネサス)e2studio、Cypress)PSoC Creator、STM)SW4STM32など全てこのEclipse IDEをベースとした統合開発環境です。

ベンダやマイコンが変わっても殆ど同じ操作でエディットやデバッグができるので、慣れが早く、本来のソフトウェア開発に集中できます。但し、オープンソース開発なので、毎年機能追加や変更があり、2018年は6月にバージョン4.8、コードネームPhoton(光子の意味)への改版が予定されています。

本投稿は、2017年版Eclipse IDEバージョン4.7、Oxygenベースの各社IDEプロジェクトインポート、リネームの方法を説明します。
弊社マイコンテンプレートを使ってソフトウェア開発をする時、これらの操作を知っているとテンプレート:ひな型活用のプロジェクト開発がより簡単です。

IDEの例としてSW4STM32を用います。IDEは、Workspace:ワークスペースと呼ぶフォルダ単位で機能します。ワークスペース内には複数プロジェクトが存在でき、2重起動ができます。

プロジェクトImport

マイコンテンプレートは、テンプレートの具体的な応用例にシンプルテンプレートプロジェクトやBaseboardテンプレートプロジェクトをArchives形式で提供します。Archives形式は、配布に都合が良くEclipse IDEの標準方法ですので、IDEダイアログに従って操作すれば「複数の方法」でプロジェクトインポートができます。

このArchiveプロジェクトの「最も簡単」なワークスペースへのインポート方法が下記です。

  • Windowsで、Archiveを適当な場所で解凍 → 事前に作成したIDEワークスペースへ解凍フォルダ毎コピー
  • IDEで、File>Import>General>Existing Projects into Workspace実行 → インポートProjects選択
Import Existing Projects into Workspace
Import Existing Projects into Workspace。プロジェクトをインポートする方法は、マルチプラットフォーム対応のEclipse IDEの場合、複数ある。

IDEで直接Archivesプロジェクトを解凍しワークスペースへインポートすることもできますが、フォルダ選択などのダイアログ操作は面倒です。マルチプラットフォーム対応のEclipse IDEたるゆえんですが、WindowsかmacOSの上で使うのであれば、この方法が簡単です。

プロジェクト名Rename

※Rename後、Renameプロジェクトの再ビルドが失敗する場合があります。Rename前に、ワークスペース毎バックアップするなどの事前対策を実施後、Renameを実行してください。

ワークスペースに複数プロジェクトが存在するには、別々のプロジェクト名が必要です。例えば、シンプルテンプレートを使って開発したプロジェクトが既にあるワークスペースへ、もう一度シンプルテンプレートを使って新たなプロジェクトを追加作成する場合を考えます。

開発したプロジェクト名は、SimpleTemplateのままです。これをRenameしないと新たにシンプルテンプレートをインポートできません。この時は、開発したプロジェクト選択後、右ボタンクリックで表示されるメニューからRenameを選択し、別プロジェクト名に変更します。

Rename Project Name
Rename Project Name。元々のEclipse IDE守備範囲外のファイル名は、手動リネームが必要。

注意点は、この操作でプロジェクト名変更をIDEは認識しますが、IDE以外のツールで作成したファイル名などは、そのままとなる点です。図はSTM)SW4STM32の場合です。Debugフィルダ下の.cfg/ioc/pdf/txtの4ファイルがそれらです。これらファイルは、手動でのRenameが必要です。これを怠るとRenameしたプロジェクトの再ビルドやデバッグが失敗します。

これら手動Renameが必要なファイルは、各社のAPI生成ツールなどに関連したファイルで、他社IDEでも同様です。元々のEclipse IDE守備範囲外のこれらファイルは、プロジェクト名Rename時、手動Renameが必要ですので注意してください。

Rename後、再ビルドが成功することを確認してください。再ビルドが失敗する場合には、プロジェクトフォルダ毎コピー&ペーストを実行し、ペースト時にRenameしたい別プロジェクト名を設定する方法でRenameを試してください。

別プロジェクトファイルのコピー、ペースト

別プロジェクトファイルを当該プロジェクトへコピー、ペーストする方法は、同じワークスペース内であれば簡単です。ファイル選択後、コピー:Ctrl+Cとペースト:Ctrl+Vでできます。

ワークスペースが異なる場合は、IDEの2重起動を使うとファイル選択ミスがありません。

IDEは、起動中でももう1つ同時起動が可能です。IDE起動時に、異なるワークスペース選択をすれば、コピー対象プロジェクトのファイルをIDEで目視しながら選択できます。もちろん、Windowsエクスプローラでファイルを直接選択しペーストも可能ですが、普段IDEで見慣れたファイル表示で選択する方がミスは少ないです。同一ファイル名の上書き前の確認も行います。

エクスプローラでファイル表示をすると、普段IDEで見慣れないファイルなども見られます。これらが選択のミスを生みます。IDEは、必要最低限のファイルのみ表示しているのです。

IDE画面のリセット

デバッグやコンソールなど複数Perspectiveを表示するIDE画面は、時に隠したPerspectiveを表示したくなります。PerspectiveをIDE初期状態に戻すのが、Window>Perspective>Reset Perspectiveです。

Reset Window Perspective
Reset Window Perspective。IDEの初期状態ウインド表示に簡単に戻せる。

この方法を知っていると、使わないPerspectiveを気軽に非表示にできるので、画面の有効活用ができます。

まとめ

Eclipse IDEベースの各社開発環境で知っていると便利な使い方をまとめます。

  • プロジェクトインポート:IDEのExisting Projects into Workspaceを使うと簡単
  • プロジェクト名リネーム:自動リネームはEclipse IDE関連のみ。API生成ツール関連ファイルは手動リネーム要。
  • 別プロジェクトファイルのコピー&ペースト:IDE2重起動を使い、ファイル選択ミスを防ぐ
  • IDE画面リセット:利用頻度の低いPerspectiveを非表示にし、画面有効活用
Eclipse Base IDE Project Import and Rename
Eclipse Base IDE Project Import and Rename

マイコンテンプレート活用の最初の段階が、テンプレートプロジェクトのワークスペースへのインポートです。これらインポートしたテンプレートへ変更を加え、開発プロジェクトにします。

この開発プロジェクト名をリネームし、同じワークスペースへ、再びテンプレートプロジェクトをインポートします。ワークスペース内は、リネームした色々な既成開発プロジェクトから成り、様々なプロトタイピング開発へも応用できるでしょう。

ワークスペースが異なるファイル操作には、IDE2重起動でファイル選択のミスを防ぎます。

これらのTipsを知っていれば、既存資産を流用、活用し、本来のソフトウェアに集中しミスなくプロトタイピング開発ができます。

汎用マイコンかアプリケーション特化マイコンか

大別するとマイコン:MCUには、汎用マイコンとアプリケーション特化マイコンの2種類があります。

弊社は、下記理由から汎用マイコン:General Purpose MCUを主として扱います。

  1. 対象ユーザとマイコンが多い
  2. 低価格で入手性の良い評価ボードが多い → オリジナルハードウェア開発にも役立つ
  3. 無償開発環境:IDEでもマイコンソフトウェア開発ができる
  4. 応用範囲が広い汎用マイコン開発の方が、顧客、開発者双方にとって有益である

汎用マイコンとは何か?に対しては、マイコンベンダ各社サイトのGeneral PurposeのMCUを指します。一方、アプリケーション特化マイコンとは、モータ制御、ワイヤレス制御、5V耐性などが代表的です。

かつては5Vマイコンが普通でしたが、現在は3.3V動作以下です。その結果、5V耐性がアプリケーション特化マイコンにカテゴライズされました。このように、時代や多数派に合わせて汎用の定義は変わります。高度なセキュリティや無線通信が必須のIoTマイコンも、いずれこの汎用マイコンにカテゴライズされると思います。

本投稿は、4番目の理由の追風となる記事を見つけたので紹介します。

汎用マイコンの動向記事

  1. “G”と”L”で考える発展途上の産業エレクトロニクス市場、2018年3月13日、EE Times Japan
  2. 産業FAは「汎用」「多数」の時代に、国産マイコンが変化を支える、2018年2月5日、TechFactory

最初の記事の”G”は、Global、”L”は、Localを意味します。マイコンベンダも、マイコンを使うユーザも、どのマイコンを使うかは暗中模索で混迷しているが、いずれはLocalからGlobalへ移行すると筆者は考察しています。

2の記事は、産業用FAが専用、少量装置から、AI:人工知能を利用した汎用、多数装置の時代に入ったと分析し、ルネサスRZ/AシリーズにAI機能を組込んでこの時代変化に対応すると宣言しています(関連投稿のSTMはコチラ、ルネサスはコチラを参照)。

どちらの記事も、アプリケーション特化マイコンより汎用マイコンの方が、より多く利用されると予想しています。マイコンベンダにとっても、汎用品で大量生産ができ供給コストも下げられます。

お勧めはプロトタイピング開発

FPGAにソフトウェアIPを組込み、より柔軟制御を目指したことや、高分解能ADCマイコンで精密測定などの開発も行いましたが、技術的に得るものは多くても開発時間が予定より長くなり、結局収支は赤字だった経験があります。

パソコンCPUと同様、汎用マイコン処理能力やセンサ能力も半導体製造技術とともに年々向上します。特に処理能力が必要なIoTマイコンは、コア動作速度を上げる、ディアルコアを採用するなど、ここ数年で急激に向上しています(PSoC6は、Cortex-M0+ 100MH動作、Cortex-M4 150MHz動作)。

弊社も今後の組込開発は、汎用マイコンを使い、より早く低コストで装置化する方が、顧客、開発側双方にとって有益だと考えます。開発期間が長いと、その間により高性能マイコンが発売されたりするからです。つまり、プロトタイピング開発をお勧めします。

プロトタイピング開発した装置が仮に能力不足であった場合は、その不足部分のみに改良を加える方がリスクも低く、確実に目的を達成できます。プロトタイピングの意味は、この能力不足部分を明確にし、低コスト低リスクで成功への道筋を探すことも含まれています。

汎用マイコンテンプレート

開発の立ち上げを早くすることがプロトタイプ開発の第1歩です。弊社マイコンテンプレートは、

  • 汎用マイコンの評価ボード上で動作確認済み
  • 複数サンプルソフトウェアをそのまま使った時分割の並列処理可能
  • 開発のつまずきを防ぐ豊富なTips満載のテンプレート説明資料添付

などの特徴があります。汎用マイコンテンプレートを活用し、効率的なプロトタイピング開発ができます。

NXP LPC111xテンプレートV2改版

ARMコア制御の入門マイコンとして適しているNXP LPC1114/5マイコンのテンプレートを改版しました。

このLPC111xテンプレートV2は、従来テンプレートの必須機能のみを実装したTiny(小さな)テンプレートの適用、最新開発環境MCUXpresso IDE(v10.1.1_606)での動作確認が改版目的です。

近日中に旧LPC111xテンプレートご購入者様で、無料アップグレード対象者様には、お知らせとLPC111xテンプレートV2の無償配布を行います。暫くお待ちください。

LPC1114とLPC1115の違い

NXP LPC111xテンプレートの対象マイコンは、ARM Cortex-M0コア50MHz動作のLPC1114(ROM/RAM=32KB/8KB)とLPC1115(ROM/RAM=64KB/8KB)です。

以前の投稿で紹介したNXPマイコンの推薦開発環境をLPC1114/5でフィルタしたものが下図です。

LPC1114 and LPC1115 Recommended Software
LPC1114 and LPC1115 Recommended Software

※赤線は、評価ボード搭載マイコン、青線は、単体購入可能マイコン

NXPのLPC1100シリーズは、LPC1110/11/12/13/14/15の6種の型番と、同じ型番でも低消費電力の技術進化によりLPC1100/1100L/1100XLの3つの世代があるので複雑です(通常→L→XLでより低消費電力)。

但し本ブログは、個人でも入手性が良く低価格、良い評価ボードもあるマイコンが対象です。このふるいにかけると、フィルタの下線を付けたLPC1114/302、消費電力LPC1100L搭載のNXP評価ボードLPCXpresso1114(秋月電子2000円)、デバイス単体では、DIP28ピンパッケージLPC1114/102、消費電力LPC1100L(400円)とSOP28ピンパッケージLPC1114/102、消費電力LPC1100L(190円)の3種類がそれぞれ秋月電子より購入できるので対象となります。
※LPC1114/102は、どちらもRAM=4KBで評価ボード搭載のLPC1114/302の8KBの半分に注意

LPC1115は、LPC1114のROMを2倍の64KBにし、電力消費を第3世代に進化させたマイコンです。NXP評価ボードのLPCXpresso1115には、LPC1115/303、消費電力LPC1100XLが搭載されています。
※型番/xxxの最後の数字が消費電力を示し、1が通常、2がL、3がXLを意味します。

LPCXpresso1115の入手性はあまり良くありません。しかし、開発環境MCUXpresso IDEでAvailable boardsに現れる評価ボードはLPCXpresso1115とLPCXpresso11C24のみで、LPCXpresso1114はありません。

MCUXpresso IDE Available Boards
MCUXpresso IDE Available Boards

従って、入手性が良いLPCXpresso1114評価ボードで新プロジェクトを作るには、評価ボードからでなく、Preinstalled MCUsからLPC1114/302を選択する必要があります。

LPCXpresso1114のMCUXpresso新規プロジェクト作成方法

Select LPC1114/302
Select LPC1114/302

Preinstalled MCUsから評価ボード搭載のLPC1114/302選択後>Next>LPCOpen – C Project>Project name追記と進み、Import…をクリックします。

Click Import...
Click Import…

ArchiveでLPCOpenからlpcopen_v2_00a_lpcxpresso_nxp_lpcxpresso_11c24.zipを選択しNextをクリックします。

Import lpcopen_v2_00a_lpcxpresso_nxp_lpcxpresso_11c24.zip
Import lpcopen_v2_00a_lpcxpresso_nxp_lpcxpresso_11c24.zip

使用ライブラリにlpc_chip_11cxx_libとnxp_lpcxpresso_11c24_board_libを選択後、ダイアログに従っていけば評価ボードLPCXpresso1114/302上に新プロジェクトが作成できます。

LPCXpresso1114とLPCXpresso1115評価ボードの回路図は全く同じです。違いは、搭載ターゲットマイコンのみでIO割付も同じ、PLC-Linkと呼ぶ評価ボード付属デバッガも同じです。またImportして使用するライブラリも同じです。

ならば、Available boards のLPCXpresso1115を選択して新プロジェクトを作成し、LPC1114評価ボードへダウンロードも可能だと思われるかもしれません。しかし、これはデバッガ接続時にエラーが発生します。

MCUXpressoの右下にターゲットマイコンNXP LPC1114/302が示されており、これ以外へはデバッガ接続ができない仕組みになっています。

Target NXP LPC1114/302
Target NXP LPC1114/302

このため、同一ソースコード、使用ライブラリも同じであっても、ターゲット毎にプロジェクト作成が必要です。逆に、LPC1114評価ボードで動作確認したソースコードでライブラリも同じなら、ターゲットさえ変えれば、LPC1115評価ボードでも動作すると言えます。違いは、ROM容量のみだからです。

評価ボード搭載のLPC1115/303とLPC1114/302の機能差はROM容量以外にもありますが、LPC111xテンプレートの応用例は、この差が生じる機能は使用しておりません。

従って、テンプレート応用例のシンプルテンプレート/Baseboardテンプレートを、LPC1114評価ボード、LPC1115評価ボードそれぞれに提供します。LPC111xテンプレートProject Explorerの様子が下図です。

LPC111xTemplate Project Explorer
LPC111xTemplate Project Explorer

LPC1100シリーズの位置づけと開発環境の良さ

NXP ARMコアエントリレベルのLPCマイコンラインナップを、LPC Cortex-M microcontrollers — Discover the differenceより抜粋しました。

LPC1100 Series (Source:LPC Cortex-M microcontrollers — Discover the difference)
LPC1100 Series (Source:LPC Cortex-M microcontrollers — Discover the difference)

LPC1100シリーズは、最も基本的で適用範囲も広いCortex-M0コアマイコンです。電力効率は、LPC800シリーズのCortex-M0+に及びませんが、低電力技術の進化でCortex-M0+に近い低電力動作も可能です。Cortex-M0とM0+の機能差は、コチラの投稿も参照してください。

また、LPCOpenライブラリもLPC8xxに比べ安定(≒バグ無し)しています。DIPやSOPパッケージの入手が容易で低価格、手実装も可能です。LPCXpresso1114/5評価ボードとLPC111xテンプレートを使えば、ARM Cortex-M0マイコンの早期習得とプロトタイピング開発ができると思います。

評価ボードの半分は、切り離して単体デバッガとしても使えます。デバッガとターゲットの接続は、ARMコア標準のSWDインタフェースなので、LPCマイコン以外の他社ARMコアにも使うことができます。100mAまでの電力供給と、実質4本の接続でデバッグとオブジェクトダウンロードが可能です。

LPC111xテンプレートV2のまとめ

改版したNXP LPC111xマイコンテンプレートV2構成を示します。

テンプレート名 対象マイコン(ベンダ/コア) テンプレート応用例 評価ボード:動作確認ハードウェア
LPC111xテンプレートV2(LPCOpen v2.00a利用) LPC1114(NXP/Cortex-M0) ・シンプルテンプレート
・Baseboardテンプレート
LPCXpresso1114(LPC1114/302)
+ Baseboard
LPC1115(NXP/Cortex-M0) ・シンプルテンプレート
・Baseboardテンプレート
LPCXpresso1115(LPC1115/303)
+ Baseboard

ARM Cortex-M0コアのLPC1114/302(ROM/RAM=32KB/8KB)実装のLPCXpresso1114評価ボードは、低価格で入手性良く、開発環境MCUXpressoも他社EclipseベースIDEと比べ使い勝手良く、ライブラリも安定しています。また、評価ボードとBaseboardを接続すれば、色々な周辺回路制御も手軽に学べます。

今回の改版でテンプレート本体は、より解り易く、利用し易くなりました。テンプレートを使うと、複数のサンプルソフトをそのまま流用した並列処理が簡単に実現できます。

テンプレートの特徴や仕様は、LPC111xテンプレートサイトを、使い方などはサイトのテンプレート関連情報を参照してください。

ARMコア制御の入門用として適しているLPC111xテンプレートとLPC1114評価ボードは、Cortex-M0の習得、プロトタイピング開発のお勧めキットです。

NXP LPC8xxテンプレートV2.5改版

小ROM/RAM向けに従来マイコンテンプレートの必須機能のみを実装したTiny(小さな)テンプレートは、テンプレート本体処理が解り易いと好評です。ルネサスRL78/G10やSTM32Fxテンプレートには既に適用済みで、販売各マイコンテンプレートの改版を機に、順次この好評なTinyテンプレートへ変更したいと考えています。

LPC8xxテンプレートV2.5は、Tinyテンプレートの適用、対象マイコンの追加、シールドテンプレートの開発予告、この3つを目的に改版しました。

RL78/G10(ROM/RAM=4KB/512B または 2KB/256B)とLPC810(ROM/RAM=4KB/1KB)

小ROM/RAMで本ブログ対象のマイコンは、ルネサスRL78/G10とNXPのLPC810です。
※RL78/G10へ適用済みのTinyテンプレートは、コチラの投稿を参照してください。

16ビットのルネサスS1コアRL78/G10と違い、LPC810は僅か8ピンDIPパッケージですが、中身は32ビットARM Cortex-M0+コアですので、RL78/G1xのように500B以下でテンプレート実装はできません。

テンプレート本体は同じ単純なC言語ですが、機能させるための必須ライブラリ量が、ルネサス独自開発S1コアとARM Cortex-M0+コアでは大きく異なるからです。

そこで、LPC810テンプレートに限り前回投稿のコンパイラ最適化を“最適化なし(O0)”から“1段階最適化(O1)”へ変更したところLPCOpenライブラリv2.15利用debug configuration時、ROM=2460B、RAM=12Bに収めることができました(テンプレート応用例としてWDT:ウオッチドックタイマ制御は実装)。

LPC810 Template by LPCOpen v2.15 (Optimize -O1)
LPC810 Template by LPCOpen v2.15 (Optimize -O1)

残りのROM1.6KB、RAM1KBへユーザ処理を追加すればアプリケーション開発が可能です。この残り量でも、最適化(O1)の結果、結構なユーザ処理を記述できます。

LPC810は、入手性の良いNXP評価ボードがありません。そこでLPC810テンプレートのみは、上記1段最適化でコンパイル成功したLPC810テンプレートプロジェクトを提供します。LPC810独自開発ボードへの実装方法は、前回投稿を参照してください。

LPCOpenライブラリv2.15採用理由

LPC8xxテンプレートV2.5では、LPCOpenライブラリv2.15(2015/01/08)を用いました。主な採用理由は、2つです。勿論これ以外の開発環境は、最新版MCUXpresso IDE(v10.1.1_606)、Windows 10(1709)です。

  1. LPCOpenライブラリv2.15の方が、同じソースコードでもコンパイル出力が小さい
  2. 原因不明のリンカーエラーが発生する時がある

先に示したLPC810ソースコードでLPCOpenライブラリのみv2.19に変更した最適化結果が、ROM=3024B、RAM=16Bです。

LPC810 Template by LPCOpen v2.19 (Optimize -O1)
LPC810 Template by LPCOpen v2.19 (Optimize -O1)

また、v2.19では、v2.15でコンパイル成功するソースコードでも、下記原因不明のリンカーエラーが発生することがあります。

LPCOpen v2.19 Linker Error
LPCOpen v2.19 Linker Error

LPCOpenライブラリv2.19起因のこの1/2の現象は、同じソースコードでv2.15と比較しないと判明しません。

LPC8xxマイコン開発でつまずいている開発者の方は、是非LPCOpenライブラリv2.15で確かめてください。※LPCOpenライブラリは、v3系が最新版ですが、v2.9からのバグは継続していると思います。

LPC824(ROM/RAM=32KB/8KB)テンプレート応用例はシンプルテンプレート

LPC824は、十分なROM/RAM=32KB/8KBがありますので、MCUXpressoデフォルトの“コンパイラ最適化なし(O0)”でテンプレート実装ができます。

テンプレート応用例として、NXPのLPCXpresso824-MAX評価ボード実装の3色LEDとユーザSWで動作するシンプルテンプレートを提供します。Baseboardテンプレートは、LPCOpenライブラリバグのため、今回は提供を見合わせます。
※LPC824のLPCOpenライブラリバグに関してはコチラの投稿を参照してください。

LPCXpresso824-MAXは、Arduinoシールドコネクタを実装しています。ここへ今後のマイコン開発で必要性が高いSPIインタフェースのシールドを使ったテンプレート応用例の方が、Baseboardで応用例を示すより実用的だと考えています。これが、今回LPC824をシンプルテンプレートのみで見切り発車的に発売するもう1つの理由です。シールドテンプレートは、次版で提供予定です。

NXP LPC8xxマイコンテンプレートV2.5のまとめ

V2.5改版のLPC8xxマイコンテンプレート構成一覧を示します。

テンプレート名 対象マイコン(ベンダ/コア) テンプレート応用例 評価ボード:動作確認ハードウェア
LPC8xxテンプレートV2.5
(LPCOpen v2.15利用)
LPC810(NXP/Cortex-M0+) WDT実装(1段最適化プロジェクト) なし(テンプレートプロジェクト提供)
LPC812(NXP/Cortex-M0+) シンプルテンプレート
Baseboardテンプレート
LPCXpresso812
+ Baseboard
LPC824(NXP/Cortex-M0+) シンプルテンプレート
(シールドテンプレート※次版予定)
LPCXpresso824-MAX
(+SPIシールドテンプレート※次版予定)

前版V2.1と比べると、以下の特徴があります。※V2.2~2.4は、欠番です。念のため…。

  • 対象マイコンにLPC810とLPC824が加わり、LPC8xxテンプレートらしくなった(テンプレート本体はLPC8xxで共通)
  • テンプレート本体処理が解り易く、ご購入者様の応用や変更が容易となった
  • LPC824はテンプレート応用例がシンプルテンプレートのみだが、LPCXpresso824-MAX評価ボード単独で全ての動作確認可能
  • 今後LPCXpresso824-MAXのようなArduinoシールドコネクタ付き評価ボードは、SPIインタフェースシールドで機能拡張予定(従来はBaseboard機能拡張)

あとがき

マイコン内蔵周辺回路とGPIOをマトリクススイッチで接続するLPC8xxシリーズマイコンの狙いは、8/16ビットマイコンのARM32ビット置換え市場です。

そのためか、または前述のLPCOpenライブラリバグのためかは不明ですが、LPCOpenライブラリ利用よりもレジスタ直接アクセス方式のCode Bundleライブラリ利用がNXP推薦(SDK)です。

テンプレート本体は、利用ライブラリに依存しないC言語開発ですので、どのライブラリを利用しても適用可能です。しかし弊社は、他のCortex-Mシリーズコアと同様、LPC8xxシリーズもLPCOpenライブラリ利用が本来の開発姿だと思いLPCOpenライブラリのバグが取れるのを昨年から待っていました。

今回LPC8xxテンプレートV2.5への改版に際し、このバグ解消を待つよりも、LPC810とLPC824への対象マイコンを増やすこと、高速なSPIインタフェース利用テンプレートの開発予告の方が重要だと判断しました。

ベンダ提供のマイコン評価ボードは、Arduinoシールドコネクタ付きが一般的になりました。弊社も従来のBaseboard応用例よりも、SPIシールドを利用したテンプレート応用例の提供へ移行します。SPIインタフェースの重要性はマイコン技術動向(SPI/I2C)コチラの投稿を参照ください。

近日中にLPC8xxテンプレートご購入者様で、無料アップグレード対象者様には、お知らせとLPC8xxテンプレートV2.5の無償配布を行います。暫くお待ちください。

マイコンソフトウェア開発の基礎知識と開発方法、配布開始

1月末に3回に分けて投稿した「マイコンソフトウェア開発の基礎知識と開発方法」を1つのpdf資料にまとめました。弊社マイコンテンプレートサイトのアプリケーション開発手順のページから、どなたでも無料ダウンロードが可能です。

Sample Software First and MCU Template
Sample Software First and MCU Template

この資料は、Sample Software Firstについて説明しています。マイコンテンプレートを使ったアプリケーション開発手順と合わせて読んで頂くと、マイコンソフトウェアの開発方法がより解り易くなると思います。

今後、ご購入頂いたマイコンテンプレートの付属資料としてこの資料も添付する予定です。

マイコンテンプレート購入検討中の方、既に購入された方でも、ご活用ください。

マイコンデータシートの見かた(最終回)

現役STマイクロエレクトロニクスの「メーカエンジニアの立場」から記載された、ユーザ質問の多かった事項を中心にマイコンデータシートの見かたを解説する記事(連載3回目)の最終回を紹介します。

全3回の連載記事内容

第1回:凡例、絶対最大定格、一般動作条件、電源電圧立上り/立下り(2017年10月1日投稿済み
第2回:消費電流、低消費電力モードからの復帰時間、発振回路特性(2017年10月29日投稿済み
第3回:フラッシュメモリ特性、ラッチアップ/EMS/EMI/ESD、汎用IO、リセット回路(←今回の投稿)

マイコンデータシートの見かた

3回分割のマイコン個別機能データシートの見かた、最終回ではSPIとADCの記載データ見かたが当初予定に追加されました。SPIは、接続デバイスがASICやFPGAの場合の注意点、ADCは、アナログ回路なので消費電流が大きくなる点に注意すべきだと記載されています。

当然のことですがデータシートは、データ値の羅列です。従って、そのデータ値の意味と解釈の仕方は、例えば記事図9の赤囲みコメントで付記されたようにすべきです。しかし、普通は残念ながら赤囲みコメントは、データシートには付いていません。

サンプル&ホールドタイプのA-Dコンバーターの電気的特性
サンプル&ホールドタイプのA-Dコンバーターの電気的特性(記事、図9より)

従って、この赤囲みコメントが自然に頭に浮かぶような勉強、半導体の基礎知識がマイコンを使うには必要で、その知識を背景にデータ値を読むことを記事は求めています。

連載3回範囲のデータシート見かたまとめ

  • フラッシュメモリは、高温使用時、データ保持年数が短くなる。データシート記載値は、MCU内部書込み/消去時間であり、書込み開始~終了までの作業時間ではない。書き換えビットが増えると消費電流も増える。
  • EMS/EMI/ESDは、MCUを実装した基板や使用環境に依存。データシート記載値は、MCU「単体の能力」。
  • 汎用IOは、電源電圧を下げると端子駆動能力も下がり、立上り/立下り時間が長くなる。しかし、STM32MCUは、駆動能力をレジスタで設定できるので遅くなることを抑えることができる。
  • MCUリセット回路設計時は、フィルタリング信号幅のグレーゾーンを避けることが必須。
  • SPIは、接続デバイスがASICやFPGAの場合、十分なタイミングマージンが必要。
  • ADCは、アナログ回路のバイアス電流のため消費電流が大きくなる。また電流変動で変換誤差が増える。

全て学んだ後の開発着手では遅い!

開発者に求められるのは、「開発したもの」です。

そして、多くの場合、短い期限付きです。問題は、この期限内で、なにがしかの結果、成果を出さなければ、開発者としてはNGなことです。しかし、成果を出すには勉強、知識も必要です。

初心者は、この勉強、知識の入力時間と、成果の出力時間の配分が上手くありません。ベテランになると知識も増えますが、入出力の時間配分が上手く、結局何らかの成果も生みます。特に開発者は、全行程の自己マネジメント(時間配分)にも注意を払う必要があります。

例を挙げると、夏休みの自由課題を何にし、休み中にどのように仕上げるか、です。もし提出物が無ければ、課題に取り組んでいないのと(殆ど)同じです。

残業時間制約も厳しく、開発者にとっての作業環境は厳しくなる一方です。弊社マイコンテンプレートとMCUベンダ評価ボードとの組合せは、開発者が求められる出力を早期に生み出すツールになると思います。

レスポンシブサイトと説明資料

HappyTechサイトを年内完成目標に、レスポンシブ対応:Responsive Web Designへ改良します。

数年前にサイトを開発した時は、1ページ表示が流行っていたので、これに倣って(ならって)開発しました。しかし、スマホやタブレットなどのモバイルデバイスが増え状況が変わりました。

サイト内容のコンテンツ追加・削除もしにくい構成でしたので、流行のレスポンシブサイトに変更します。

Responsive Web Design
Responsive Web Design

レスポンシブテンプレートを探す

手っ取り早くレスポンシブサイトを開発する方法は、ネットに溢れるレスポンシブテンプレートを利用することです。

私は、HTML5 UPというサイトのテンプレートを利用しました。テンプレート説明資料はありませんので、開発には、多少のHTML、CSSの解読技術とベース知識が必要です。

レスポンシブテンプレートメリット

記載内容はそのままに、ユーザが使う画面大小に合わせて自動的に表示レイアウトを変えるのがレスポンシブサイトです。ご覧のブログはWordPressを使っていますので、利用テーマをレスポンシブ版に変えればそれで出来上がりますが、サイトの場合は、自分でHTMLとCSSを使って作り直す必要があります。

基本部分が出来上がったHTML5 UPテンプレートに、修正を加え動作を確認しながら、短期にサイトを開発できるのがテンプレート利用のメリットです。

マイコンテンプレートメリット

このメリットは、弊社マイコンテンプレートでも全く同じです。

サイト開発と同様、マイコンも動き出すまでに手間がかかります。また、動き出した後も、修正や変更が生じます。テンプレートを使うと、この動き出しまでの時間を、殆ど0に短縮できます。

マイコンAD変換:ADCを例に説明します。

ADCは、サンプルソフトも多く使い方も良く知られています。しかし、実際にセンサを接続して動作させると、複数回ADCの平均を計測値とするか、あるいは、1回のADCを計測値とするかは、アプリにより異なります。

通常は、ノイズ対策として平均値を用いる場合が多いです。それでも、測定間隔や何回の計算で平均を求めるかについては、センサとマイコンを接続し、実際に動作させカット&トライ:試行錯誤で決めるのがBestです。

この試行錯誤に適したソース構成が初めから出来上がっていれば、試行も容易でスパゲッティーコード(!?)にもなりません。

つまり、立ち上げを早くし、実動作に近い環境でプログラミングでき、しかもスパゲッティー化を避けられるのがマイコンテンプレートのメリットです。

マイコンテンプレート説明資料

説明資料があると、テンプレート修正や変更が容易になります。テンプレート開発者の考え方、指針が解るからです。最近のソースコードは、数行に渡るほどの多くの英語コメントが付いていますが、コメント文だけでは、これら考え方、指針は表現できません。

説明資料が無い場合は、どこを修正・変更すれば良いがが不明で、この場所を探すのに余分な時間が必要になります。マイコンソースコードは、その傾向が特に強く修正や変更で直にスパゲッティーコードになります。

標準的な決まりが多くあるHTMLやCSSと異なり、マイコンソースは比較的自由に記述できるからです。その結果たとえ同じ職場でも、他人が開発したマイコンソースは解読が難しいのが現状です。標準的な知識レベルがバラバラなのも原因の1つでしょう。デサインレビューの結果が反映され難いのです。

そこで、マイコンテンプレートには説明資料を添付し、標準的と思う私の考え方や開発指針を多く記載しています。テンプレートソースコードにも豊富な(冗長な!?)日本語コメントが付いています。

勿論、これら考え方や指針は、あくまでご購入者様のテンプレート理解が目的で、押付けではありません。テンプレート版権は、ご購入者様個人に帰属しますので、ご自分の考え方を反映した改良も自由です。

ご購入者様のご質問にも丁寧にお答えします。

マイコンテンプレートは、初心者~中級者向けです。しかし、全ての方のレベルに合わせた説明は、不可能です。それぞれの方でご質問は、異なります。広いレベルの方に参考になると思ったご質問に関しては、テンプレート改版時、説明資料へ付け加えています。

以上の方針で、マイコンテンプレート説明資料やソースコードを作成しています。

マイコンテンプレートご購入者は、または購入検討中の方であっても、いつでも、どのようなご質問でも、大歓迎です。お気軽にinfo@happytech.jpまでお寄せください。

マイコンデータシートの見かた(その2)

現役STマイクロエレクトロニクスの「メーカエンジニアの立場」から記載された、ユーザ質問の多かった事項を中心にマイコンデータシートの見かたを解説する記事(連載2回目)を紹介します。

全3回の連載記事内容

第1回:凡例、絶対最大定格、一般動作条件、電源電圧立上り/立下り(2017年10月1日投稿済み
第2回:消費電流、低消費電力モードからの復帰時間、発振回路特性(← 今回の投稿)
第3回:フラッシュメモリ特性、ラッチアップ/EMS/EMI/ESD、汎用IO、リセット回路

記事タイトル:データシート数値の “裏の条件” とは

先入観を与える前に、記事を読んでください。消費電流、復帰時間、発振回路特性の留意点が記述されています。記事タイトルの “裏の条件” とは何でしょうか?

私は、データシート数値は、理想的動作環境のマイコン単体の最高数値、これが裏の条件と理解しています。
例えば、車の性能を燃費で比較する方は、普通の運転では絶対に達成できないカタログ燃費で車を評価します。マイコンも同じです。データシート数値は、このカタログ燃費相当だと思います。

カタログ燃費(出典:日本自動車工業会)
カタログ燃費(出典:日本自動車工業会)

実際は、この最高数値にマージンを入れて考える必要があります。どの程度のマージンを入れるかが問題で、安全側評価ならデューティ50%、つまり性能半分位が良いと思います。

但し、これもマイコン単体の話で、マイコン:MCUと電源、発信器や必須周辺回路を含めた制御系で考えると、どの程度マージンを入れるかは複雑怪奇になります。

そこで、ベンダ開発の評価ボードを手本とする考え、つまり、10月1日投稿で示した評価ボードをハードウエアテンプレートとして用いる考え方を、私は提案しています。

10月15日記事のように、評価ボードでもWi-Fi起動時電流に電源部品の余裕が(短時間ですが)少ないものもありますが、大方のベンダ評価ボードは、実用に耐えられる厳選部品が実装済みです。そこで、プロトタイピング時には、この評価ボードで制御系を作り、実装部品のマージンが十分かを評価するのです。

マージンが足りない場合には、同じ評価ボードへ、より高性能な部品を載せ替えるなどの対策が簡単にできます。制御される側もこのようなモジュールで開発しておけば、モジュール単位の設計、変更が可能です。

ソフトウエアも同様です。評価ボードを使えば、少なくとも最低限のソフト動作環境は整いますので、プロトタイピングのソフトをなるべく早く開発し、動作マージンを確認しておきましょう。

完成・出荷時には、ソフトへ様々な機能が後追加されるので、プロトタイピング時はハード同様デューティ50%、つまりROM/RAMの残りに50%位は残しておくと安心です。

ソフトウエアのプロトタイピング開発には、弊社マイコンテンプレートが最適です。

連載第2回範囲のデータシートの見かたまとめ

  • 水晶振動子のMCUクロック供給は、発振波形が正弦波に近いため貫通電流が増え消費電流大となる。
  • 未使用GPIO端子は、外来ノイズ対策に10k~100kプルアップorダウンし、電位固定が望ましい。
  • データシート低消費電力復帰時間がクロックサイクル規定の場合はそのまま使え、㎲規定の場合は参考値。
  • 外付け水晶振動子の利用時は、ベンダ推薦部品を使う。
  • 内蔵発振回路の利用時に、MCU温度変化やリフローによる機械的応力による周波数変動が無視できない場合は、周波数トリミングソフトを組込む。
  • PLL動作最低/最高周波数の設定ミスは多いが、マージンがありそのまま動作するので注意。