PSoC 4とPRoC BLE概要

アプリケーションの広い範囲を、一般的なマイコンよりも少ないデバイスでカバーできる」、これがCypressのPSoCです。

  • PSoC:     Programmable System-On-Chip
  • PRoC:     Programmable Radio-On-Chip
  • MCU:      Micro Controller Unit
  • BLE:        Bluetooth Low Energy

PSoCの特徴

一般的なマイコン:MCUは、制御コアとADCやUARTなどのアプリケーションに必要なコンポーネントがセットになったデバイスです。必要なコンポーネントが無い、または不足する場合には、制御コアとコンポーネントの選択肢が記載されたセレクションガイドからアプリに合うMCUを選びます。
つまり、元々アプリケーション起因なので、MCUのアプリ適用範囲は限定的です。

一方、PSoCのコンポーネントは、コンポーネント単体でプログラマブルです。1つのコンポーネントで複数の異なる機能を実現でき、これはデジタル回路だけでなく、アナログ回路のコンポーネントも同じです。また、コンポーネント間接続も、プログラマブルです。これら機能は、動作中でも変えることができるリコンフィグラブルです。

PSoC 4ブロック図(データシートより抜粋)
PSoC 4ブロック図(データシートより抜粋)

PSoCを「カメレオンIC」とトラ技2013年7月特集で呼んだのは、制御コア以外のアナログ/デジタルコンポーネントがこのように状況に応じて変わるからです。
ゆえにPSoCは、MCUよりもアプリケーションの対応自由度が高いのです。

PSoC 4デバイス価格調査

プログラマブルなコンポーネントを持つPSoCはMCUより高価です。制御コアをARM Cortex-M0/M0+とした時のPSoCとMCU価格差をDigikeyで調査した結果が下表です(※ほぼ同じスペックの比較)。

ベンダ
型式
 

CYPRESSCY8C4245AXI-483

 

NXPLPC1114FBD48/302

 

FREESCALEMKL05Z32VLF4

制御コア Cortex-M0 Cortex-M0+
コア最大速度 48MHz 50 MHz 48 MHz
ROM/RAM 32kB/4kB
デジタルコンポーネント 4SPI, 2I2C, 4UART 2SPI, I2C, UART SPI, I2C, UART
アナログコンポーネント 12b ADC, 2OP AMP, 4CMP 10b ADC 12b ADC、12b DAC
GPIO 36 42 41
パッケージ 44-TQFP 48-LQFP 48-LQFP
2015/9 Digikey価格 526 414 339

 

アプリへの柔軟性や部品の共用化へデバイスコストアップをどれだけ許容するか、マイコン選定時の永久課題です。個人的には、面白い機能盛りだくさんのPSoC 4を活用したいと思います。

PSoC 4 BLE動画

PSoC 4に、IoTセンサマイコンのトレンド、Bluetooth 4.1のBLEコンポーネントを追加したのがPSoC 4 BLEです。BLE Pioneer Kitの動画(英語)で、IoTマイコンPSoC 4 BLEの動作や特徴が解ります。

BLE機能を一体化したPSoC 4 BLEやPRoC BLE(後述)と、MCUにBLEを外付けにするアプローチ、どちらが優れているかは検討が必要です。しかし、一体による小型化、iPhone/AndroidやパソコンとのBluetooth通信確認済みのアンテナ、しかも各国の規格認証済みであるなど魅力があると思います。

本ブログの対象Cypressデバイス:
PSoC 4、PSoC 4 BLE、PRoC BLE

制御コアが8051のPSoC 3、ARM Cortex-M3のPSoC 5もありますが、本ブログは、制御コアに8/16ビットマイコンの置き換え市場を狙うCortex-M0を使った以下3デバイスを対象とします。

  1. PSoC 4
  2. PSoC 4 BLE
  3. PRoC BLE

PRoC BLEは、普通のMCUで使うADCやUARTのコンポーネントに、BLEコンポーネントを追加したIoT MCU市場へ殴り込みをかけるCypressデバイスで、アナログコンポーネントブロッグが無いデバイスです(前回記事のブロック図参照)。
今日現在DigiKeyで未販売ですので価格は不明ですが、PSoC 4 BLEよりはかなり安くなると思います。

* * *

PSoCの特徴と3つのブログ対象デバイスについて示しました。これらデバイスは、制御コアがCortex-M0のため、普通のMCU開発者なら試しに使ってみる障壁は少ないと思います。
今後は開発キット、PSoC 4 Pioneer KitBLE Pioneer Kitを使って、デバイスの具体的な使い方、一般的なMCUとの開発の違いなどを記載する予定です。

LPCXpresso v7.9.2とLPCOpen v2.19リリース

2015/09/14、LPCXpresso v7.9.2がリリースされました。

この新LPCXpressoのデフォルトインストール先、C:\nxp\LPCXpresso_7.9.2_493\lpcxpresso\Examples\LPCOpen
にLPCOpenの新バージョンv2.19 2015/09/01も同時にインストールされます。

残念ながらこのLPCOpen v2.19も、前版v2.15積み残しのGPIO_APIバグ、uinit8_tを修正してunit32_tを使うが解決されていません。従って、LPC824テンプレートも“開発待ち”を続けます。

NXPのFreescale買収は、2015年末完了予定で進行中です。マイコン部門のみを比較すると、NXPよりもFreescaleの方が大きいそうで、今回の積み残しはこれが反映されたのかもしれません。LPCXpressoとLPCOpenの組合せは、他社と比較しても使いやすいIDEなだけに残念です。

一方、FreescaleのKinetis Design Studio 3.0.0 IDEもEclipseのUpdateはありますが、メジャーバージョンアップはありません。

NXP、Freescaleともに2015年末に向けて忙しいのでしょう。両社のARM Cortex-M0+/M0マイコン状況は、様子がはっきりするまで待ったほうが良い、というのが現段階の判断です。そこで、先に取上げた、Cypress PSoC 4/PRoCの調査を次回報告する予定です。

IoT向けマイコン動向とマイコンテンプレート

IoT構成デバイス、特に数億~数十億とも予想される莫大な出荷数のマイコンに対して、ネットワークやセキュリティなどのIoT向け機能を強化した新マイコンがベンダ各社から登場しています。

Runesas Synergy

この新マイコンの1つ、ルネサスSynergyの“セキュリティ強化ポイント”と“開発アプローチ”に関する2種ホワイトペーパーが9月9日公開されました。ティーザー広告手法でしょうか? Synergyは、2015年末に詳細発表予定です。

セキュリティの方は、私はイマイチ解らないのですが、開発アプローチのペーパーを読むとSynergyが、ARM Cortex-MコアでEclipseベースのe2 studioThreadX RTOSを使うらしいことが解ります。

狙いは、ルネサスが、System Codeと呼ぶドライバーやミドルウエア、RTOSなどをパッケージで提供することで、開発者労力をアプリケーションに集中させ、トータル開発時間を削減することです。

CS+のコード生成にReal Time OSを付けた、または、Visual StudioのWindowsデスクトップアプリ開発環境に近いイメージでしょうか? 私は、NVICによるイベントドリブンプログラム派ですので、OSが小規模マイコンのオーバーヘッドにならないか気がかりです。

開発キットかスターターキットの購入&登録でSystem Codeパッケージを全て使用できるそうです。

Cypress PSoC4/PRoC BLE

Cypressでは、PSoC4は、“IC: Integrated Circuit”の位置づけ、PRoC BLEは、プログラマブルRadio機能のBLE: Bluetooth Low Energyを追加した“マイコン”と言うそうです。PSoC4にBLEを追加し2015年発売のPSoC4 BLEPRoC BLEともにCortex-M0コアを使いBluetooth 4.1モジュールが実装済みのパッケージです。

確かにPSoC4 BLEは、Cypress独自のプログラマブルなアナログモジュールやデジタルモジュールにBLEモジュールが追加されています。一方、PRoC BLEは、見慣れたADCやPWMにBLEが載っており、アンテナパターンと2個のL、C追加のみでBluetooth マイコンが低コストで実現できそうです。

PRoCブロック図とBluetoothアンテナパターン(データシートより抜粋)
PRoCブロック図とBluetoothアンテナパターン(データシートより抜粋)

PSoC4 BLEとPRoC BLEの両方をBaseboardに載せ換えて開発できるお得なBluetooth Low Energy (BLE) Pioneer Kitは、チップワン、DigikeyやMouser、Cypressから購入できます。また、秋月電子でBLEなしのPSoC4 Prototyping Kitが600円、PSoC4 Pioneer Kitが3000円で購入できます。

※Cypress主催の“ハンズオン トレーニング ワークショップ:PSoC4およびBLEシステム設計入門”に参加すると、2015年9月現在、PSoC4 Pioneer KitとBluetooth Low Energy (BLE) Pioneer Kitが無料で入手できます。

マイコンテンプレートの今後

2015年末完了予定のNXPによるFreescale買収後は、両社のCortex-M0+/M0ラインアップも変わる可能性があります。私は、Cortex-M0+マイコンの統合を予想しており、この結果、現在4種提供中の弊社マイコンテンプレートも減るかもしれません。

対策と言っては失礼ですが、Cortex-M0搭載でBluetoothも使えるCypress PRoC BLEかPSoC4 BLEのテンプレートラインアップ追加を検討中です。ブログにPSoC4/PRoCマイコンカテゴリーを追加し今後経過を掲載します。

Runesas Synergyはもう少し様子を観察する必要があります。

LPCXpresso 7.9.0リリース

LPCXpressoが7.9.0にアップデートされました。
弊社Windows 10 Pro/Home(64ビット版)ともに動作確認しました。

リリースノートによると、Windows 10がサポートされ、Windows XPの動作テストを停止するそうです。

LPC8xx向けのLPCOpenは、12日現在、v2.15のままですので、LPC824対応テンプレート開発も一時停止を継続します。

 

マイコンIDE習得のポイント

Windows 10 Home Update制御

販売中のマイコンテンプレート説明資料は、テンプレートについて重点的に説明しています。しかし、ご購入者様から頂く質問には、テンプレート動作環境、つまりマイコンIDEに関するものも多くあります。
今回は、このマイコンIDE使い方のコツ、ポイントを説明します。

Windows 10発売を機に、皆さんは今新しいOSの機能や利用方法を習得中だと思います。マイコンIDEと、このWindows 10を関連付け解説を試みます。

マイコンIDEは、OSと考えるべし

Windows 10、旧Windows 7や8と比べると、新ハードウエアやネットワーク、セキュリティ対応に機能満載です。多くの設定項目がありますが、最初はデフォルト設定で動かすのが良いでしょう。慣れてくれば、設定をいろいろに変えて、自分好みにカスタマイズもできます。

マイコンIDEも同じです。IDEは、多くのマイコン機種、使用言語、デバッグ方法に対応できるよう多くの選択肢:プロパティを持ちます。ユーザマニュアルにも、多くのページを使ってプロパティの説明があります。しかし、IDEを使う時に、これら多くのプロパティを、全部知るのは無理ですし不要です。

Windowsと同じく最初はデフォルトで使用し、徐々にカスタマイズするのがIDEやOSなどの環境ソフトの使い方です。

初心者にとって、デフォルト設定でIDEが使えればありがたいのですが、多くのIDEは、中級~上級者へも対応する、いわば「初心者と中級者以上の二兎を追う方式」のため、多少のカスタム設定が必須です。
このカスタム設定が最も少ないのが、IDEベンダ提供の標準評価ボードを使ったマイコン開発時です。弊社テンプレートが、この評価ボードで動作確認しているのもこのためです。

  • マイコンIDEのプロパティ設定が多いのは、しょうがない。
  • カスタムプロパティ設定の少ないIDE+標準評価ボードが、マイコン初心者には適す。

マイコンIDEの使い方ポイント

使用するマイコン、開発言語(C/C++ または アセンブラなど)、IDE(コンパイラやデバッガなどの開発環境)は選定済みとします。この時のIDE設定手順が下記です。3段階から構成されます。

マイコンIDE設定手順
マイコンIDE設定手順

IDEへ使用マイコンとデバッガなどの環境ツール設定が、最初の段階です。ここでは、Rapid Application Development: RADツールを使用するか否かなども選択肢になります。MCU:マイコン本体クロック設定と周辺回路の設定が、次の第2段階です。最後が、IDEが出力したスケルトンソースへ、ユーザソースを追加し、ビルド&ボードデバッグを繰り返し行い、アプリケーションを完成させます。

ポイント1:IDE生成スケルトン理解

直ぐにユーザソースを追記したい気持ちは解ります。しかし、使用するRADツールに応じてIDEが生成するスケルトンが異なることがよくあります。例えば、FreescaleのKinetis Design Studioの場合、RADツールにProcessor Expertを選ぶ場合と、Kinetis Software Development Kitを選ぶ場合とでは、スケルトンが異なります。ルネサスのCS+でも、コード生成の有無でスケルトンは全く異なります。

先ず、IDEが生成する「スケルトン動作を把握することが最重要」です。このために、RAD選択肢を変えることも必要でしょう。殆どのIDEの場合、第2段階のMCUクロックは、デフォルトで安全動作周波数に設定済みです。従って、周辺回路なしでも生成されたスケルトンコードでボードデバッグができます。

スケルトン動作把握とは、「マイコン電源投入後、順番にどの処理を行い、main()を呼出しているか、次に、割込み処理の記述はどこで行っているかを知ること」です。

main()呼出しまでの処理(スタートアップ処理)は、MCU動作クロックを変更する場合などを除けば、大体把握できればOKです。また、マイコン機種による違いも少ないです。

一方、割込み処理記述は、使用マイコンやIDEにより様々です。経験的に、IDEと標準評価ボードの組合せで用いる記述方法が、解りやすさや柔軟性に優れます。素直に、この方法でユーザ処理を追加することをお勧めします。

  • IDE生成スケルトンは、使用RADツールにより異なる。
  • 生成スケルトンの動作を把握することが最重要。

ポイント2:デバッガ接続

最初は、MCUクロックはデフォルト設定、周辺回路なし、スケルトンコードのみでビルドします。このビルドは、IDE生成分のみですので100%成功するハズです。

問題は、デバッガ接続です。

IDEがサポートするデバッガは、通常4~6種類もあります。デバッガに応じてさらに詳細設定が必要ですので大変です。ここは、ユーザマニュアルの「対応デバッガ部分のみ」を注意深く読んで、設定する必要があります。ユーザマニュアルが分厚いのは、このように対応種類が多いためです。使用するデバッガのみに絞って読めば、恐れるに足りません。

IDEとデバッガを接続後、ビルド出力をボードへダウンロードし、デバッガで動作確認します。何もユーザ処理を追加していない時の動作、例えばスタートアップ処理後のRAMクリア状態などが確認できます。

ユーザ処理は追加していませんが、これでIDEの処理全体を一通り試すことができます。

  • IDEとデバッガ接続は、ユーザマニュアルの対応部分を拾い読み。
  • 最初のビルドは、スケルトンコードのみでデバッガ接続しIDE全体処理を体験。

ポイント3:サンプルソフトAPI利用例を活用

スケルトンは、骨組みです。この骨組みに、ユーザ処理を追記すれば、アプリケーションが完成します。

骨組みには、IDEが使用周辺回路に応じてライブラリを生成します。このライブラリへのインタフェースがAPIです。IDEの役割は、APIの中身を作ることです。

ユーザソースは、このAPIの使用順序を記述するのみと考えても良いです。少し前までは、このライブラリもユーザが開発していました。しかし最近は、ライブラリはベンダが提供します。ベンダ提供ライブラリを使えば、ユーザソースは、API使用順序のみですので、移植性やメインテナンスも楽です。

APIの使用法は、これも分厚いAPIレファンスマニュアルに記述されています。しかし、真面目にこれを読む前にサンプルソフトを参照します。典型的な周辺回路APIの使い方、これがサンプルソフトです。サンプルに出てくるAPIのみをレファレンスマニュアルでチェックすれば十分です。サンプルソフトの選び方は、コチラを参照ください。

  • IDEは、スケルトンと、使用周辺回路に応じたAPIを生成。
  • サンプルソフトを参照し、典型的なAPIの使い方を学ぶ。

まとめ

多くのプロパティがあり、付属マニュアルも厚いので取っ付きにくいマイコンIDEですが、ここで示した方法を用いれば、早く効果的にIDEを習得できます。

具体的な話が少ないので、皆様のお叱りを受けそうですが、少しでもご参考になれば幸いです。

* * *

Windowsには、様々なTipsがあります。各マイコンIDEのTipsも少なからずありますが、ここでは個々のIDEによる違いは無視して説明しました。実は、IDEで差が生じるのはRADです。RADに対しては、初心者の方は、少し力を入れてマニュアルを読む必要があるかもしれません。
但し、これも必要な周辺回路の箇所のみを拾読みすれば、事足ります。分厚いマニュアルは、読む箇所を間違わないように、拾読みで対処しましょう。

Windows 10 Home UpdateコントールTips

マイコンIDEで具体例が無かった代わりのTipsです。
Windows 10 HomeでOS Updateをユーザが制御できない問題に対し、フリーソフト: Winaero Tweakerが役立つかもしれません。Technical Preview対応ですが、製品版にも使えそうです。

Windows 10 Home Update Control
Windows 10 Home Update Control

NXPのFreescale買収、株主承認取得

NXPによるFreescaleの買収に進展があり、7月2日株主承認が得られました。後は、規制当局の承認を得て、予定通り今年の終わりまでに完了するようです。

気になる両社のCortex-M0/M0+マイコンの今後については、未だ不明確です。
個人的には、統合開発環境IDEは、NXPのLPCXpresso、Rapid Application Development : RADツールは、FreescaleのProcessor Expertが好みなので、折衷的なIDEができると嬉しいです。両社同じEclipseベースIDEですが、異なります。

ルネサスの新マイコン:Renesas Synergy MCUも、EclipseベースIDE(E2Studio?)でARM Cortex-M0+/M3/M4コアと予想しています。この新マイコンの詳細発表は2015年4Qで、NXP買収完了とほぼ同じタイミングです。

LPC824のSWM設定手順

SWM:スイッチ マトリクスは、LPC8xxに特徴的な機能です。
このSWMを上手く使うこと、これがLPC8xx使いこなしポイントです。パッケージの物理ピン数が少なくても、多くの周辺回路の入出力を割付けることができ、また、その自由度が高いことが普通のマイコンとの一番の違いです。

このSWM設定手順を、LPC824を例に、解説します。LPC812は、以前の記事を参照してください。

周辺回路とパッケージ物理ピンを割付けるSWM

デフォルトピン、固定ピン、可動ピン

パッケージ物理ピンにSWMで設定可能なピンは、デフォルトピン、固定ピン、可動ピンがあります。

固定ピン一覧:Fixed Pins List

SWM Fixed Pins List(swm_8xx.hより抜粋)
SWM Fixed Pins List(swm_8xx.hより抜粋)

RESETなどの専用ピンの物理ピン位置は、SWMでも変更できません。これら専用ピンは、「固定ピン」と呼ばれ「SWM_FIXED_機能」で示されます。例えば、SWM_FIXED_ADC1は、ADCチャネル1の固定ピンで、LPCXpresso824-MAX評価ボードならば、#23:PIO0_6ピンです。

#23ピンは、データシートでは“PIO0_6/ADC_1/VDDCMP”の名称がついています。PIO0_6は、GPIOを示します。全てのGPIOは、デフォルトで「入力方向の固定ピン」です。SWMでこれらGPIOの有効/無効が設定でき、デフォルトでは、「全て有効」になっています。

つまり、#23ピン:“PIO0_6/ADC_1/VDDCMP”に対してデフォルト時は、GPIO入力のPIO0_6として機能します。このピンをADC1として使うには、SWM_FIXED_ADC1固定ピンの有効化処理が必要です。

デフォルトピン一覧:LPC824M201JHI33

LPCXpresso824-MAX評価ボード実装パッケージ:LPC824M201JHI33の、デフォルトピン割付けが下記です。

LPC824M201JHI33パッケージデフォルトピン割付け
LPC824M201JHI33のデフォルトピン割付け(SWMツールより抜粋)

可動ピン一覧:Movable Pins List

SWM Movable Pins List(swm_8xx.hより抜粋)
SWM Movable Pins List(swm_8xx.hより抜粋)

USART、SPI、 SCT、I2Cなどの通信機能やアナログコンパレータ出力などは、パッケージの物理ピン割付けをSWMで設定します。これらは、「可動ピン」と呼ばれ、「SWM_機能」で示されます。これら可動ピンは、割付ける固定ピン機能が無効になっている場合にのみ、そこへ可動ピンを割り当てることができます。

可動ピン種類が多く、割当て可能なピン位置も多いので、パッケージの少ないピンを状況に応じて有効に活用できます。

LPC824使用ピン設定手順

以上から、LPC824のピン設定手順は下記になります。

LPC824ピン設定手順
LPC824ピン設定手順

LPCXpresso824-MAX評価ボード実例

評価ボード実装済みの3色LEDに対してGPIO出力へ設定した例です。Chip_XYZ()は、LPCOpenライブラリ提供のAPIです。

ボード実装済みLEDのGPIO出力設定
ボード実装済みLEDのGPIO出力設定(board.cより抜粋)

可動ピン:UART1のTXD_OとRDX_Iを、P0_7とP0_18へ設定した例です。UART1は、評価ボードUSB経由のVirtual COMとして機能します。

可動ピン:UART1機能の設定
可動ピン:UART1機能の設定(board.cより抜粋)

WebベースのSWMツール

パッケージピンと周辺回路の接続をGUIで設定し、これ対応のSWMソースコードを出力するWebツールがあります。前述のピン設定手順は、ピン毎に設定が必要ですが、一括でSWMを設定するソースが生成されます。

割付け済み機能のみが、GUIパッケージピンに表示されるので重宝します。ピンリストなども出力可能です。

※個人的には、このツールと逆方向、つまり、ソフト設定に応じたパッケージ割付けを自動出力する検証ツールがあればと思いますが…。

Web SWMツールのGUI設定とソース出力例
Web SWMツールのGUI設定とソース出力例

LPC8xxテンプレートの対応

SWM出力ソースは、一括設定のため可読性が低くなります。弊社LPC8xxテンプレートは、LED出力やSW入力などの機能毎にソース分けて作成し、必要に応じて組合せて使います。そこで、このツールは使わずに、LPCXpresso824-MAX実例と同様、それぞれのソースで「必要ピン設定のみを行う」方法を採用しています。

* * *

LPC824対応のLPC8xxテンプレートは、2015年4Eを目標に開発してまいりました。しかし、LPCOpenライブラリv2.15、2015/01/08のGPIOのAPIに不具合がありますので、テンプレート開発を「一時停止」し、ライブラリ不具合の改版後に再開いたします。
LPC824対応テンプレートのリリース時期などは、今後掲載予定です。

マイコンテンプレートのサイト立上げのお知らせ

マイコンテンプレート関連の情報を、1ページにまとめた専用サイトを2つ立上げました。

ブログは、マイコンテンプレートの開発情報や開発経緯、Tipsなどを時系列で記載します。
ブログを最後まで読んでいただく手間を省くため、重要内容を抽出し再編しました。
紆余曲折の検討結果が、最新版テンプレートの状況になり、専用サイトにまとめられたと考えてください。

マイコンテンプレートサイト

マイコンテンプレート専用サイト
マイコンテンプレート専用サイト

記載マイコンテンプレートは、下記です。

  • Cortex-M0/LPC111xテンプレート
  • Cortex-M0+/LPC8xxテンプレート
  • S2/S3コア RL78/G1xテンプレート
  • Cortex-M0+/Kinetis Eテンプレート

サイトの「もくじ」をクリックすると、記載位置へジャンプします。スマホなどの小さい画面でも観やすいように、解像度の高いテンプレート動作中写真も掲載しております。

アプリケーション開発手順サイト

マイコンアプリケーション開発手順サイト
マイコンアプリケーション開発手順サイト

マイコンアプリケーションの開発手順を1ページにまとめました。
マイコンテンプレートを使ってアプリを開発する時の、10手順と、2補足を掲載しています。