技術者と世界平和

2022年最後の投稿、つまり、週番号が追加されたMint 21.1 MATE Week 52の金曜投稿です。

Mint 21.1 MATEはカレンダに週番号が追加
Mint 21.1 MATEはカレンダに週番号が追加

ロシアのウクライナ侵略から始まった2022年は、世界平和と技術者の関連性を強く感じました。Rapidusなどの半導体新会社設立や、クリエイタ的エンジニア米中対立も根底には平和への危機感があると思います。

技術者の役割も、セキュリティやフィッシング詐欺など攻撃対策の比重が増すかもしれません。インターネットでさえ、グローバルオープンからブロック化の兆しが見えます。IoT MCUやMPU/CPU、Windowsなどの技術者開発基盤もまた、セキュリティがトリガになり発展しそうです。

個人的には、ケアレスミスの多い年でした。何らかの追加対策(?!)が必要と感じています。

さて、本年も本ブログ、および、弊社テンプレートをご利用頂きありがとうございました。
また、各位から頂いた様々なアドバイス、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

皆様、よいお年をお迎えください。



次世代ネットワークIOWN(アイオン)

What's IWON(出展:NTTサイト)
What’s IOWN(出展:NTTサイト)

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、2030年実現を目指すNTTの次世代ネットワークです。

IOWN技術

大容量、低遅延の光伝送路。ネットワーク遅延や揺らぎ無し。データドリブン将来社会のデータ量や消費電力増加を解決。キーテクノロジが「光電融合デバイス」、などなど実現技術に興味がある方は、コチラの記事で解ります。

IOWNサービス

IOWNが提供するサービスの一例が、コチラの遠隔医療記事です。IOWNは、ネットワーク本来の目的、離れた場所との距離を感じさせない通信を提供します。

既存ネットワークで遅延や揺らぎが生じるのは、電気信号と光信号の変換回数が多いためです。電気に比べ減衰が少ない光伝送と、光と電気を融合した光電融合デバイス、これらにより電気と光の変換回数を減らし、IOWNのオールフォトニックス・ネットワーク(APN)を実現します。

APNは、低消費電力で大容量、高品質、低遅延で揺らぎの無い理想的な伝送サービスを提供します。

さらに、WirelessのIOWNは、宇宙空間や海中でも接続します。低軌道人工衛星を用いた宇宙RAN(Radio Access Network)や、地上IoT端末と衛星を接続する宇宙センシング、さらに、海中での高速無線通信による水中ドローンなども2030年頃のIOWN 4.0で可能になります。

早くもAMDは、宇宙空間でAI処理ができる宇宙グレードSoCの信頼性評価を完了しました。

宇宙統合コンピューティング・ネットワーク(出展:SKY Perfect JSATサイト)
宇宙統合コンピューティング・ネットワーク(出展:SKY Perfect JSATサイト)

TRONプロジェクトリーダ:坂村健氏も注目

2022年11月25日の記事では、TRONプロジェクトリーダ:坂村健氏が、多くのIoTセンサを組込んだスマートホームなどのICTインフラに、電力効率100倍、伝送容量125倍、レイテンシ200分の1のIOWNが大きなインパクトを与えると語ったことが記載されています。

スマートホームでこれほど高速、大容量の公衆ネットワークが安価に使えると、個人のPCストレージは、もはや全てクラウド上に置くことも可能な気もします。

IWON特徴(出展:NTTサイト)
IOWN特徴(出展:NTTサイト)

IOWNと2030年

2030年まであと8年。リモートワークや移動時、遠距離でも低電力、大容量、低遅延、遅延揺らぎ無しの通信ニーズは、今後益々高まります。

IOWNが、これらニーズを満たし現状ネットワークの様々なボトルネックを解消した新たなサービスの実現、開発インフラになりそうです。IoT MCU開発者もまた、IOWNと2030年に向けた進化が必要です。

関連投稿:2030年のエンジニア



組込み開発 基本のキ:暗号技術の仕組み

組込み開発 基本のキ:暗号技術の仕組み
組込み開発 基本のキ:暗号技術の仕組み

デイビッド・ウォン著、⾼橋 聡 訳、⽇経クロステックの4記事:暗号技術の要旨をまとめました。

組込み開発と暗号技術

暗号技術は、数学が基礎です。暗号を使えば、秘密が守られることを科学的に立証する必要があるからです。しかし、暗号を使う立場の組込み開発者は、数式よりも、暗号の仕組み理解の方が重要です。

仕組み中心の暗号技術解説記事が、下記⽇経クロステック4記事です。組込み開発 基本のキ、暗号仕組み理解に丁度良いと思います。各記事の要旨を抜粋します。

内容 発行日
秘密鍵の仕組み 2022年7月7日
ケルクホフスの原理 2022年7月8日
公開鍵暗号の仕組み 2022年7月12日
RSAデジタル署名 2022年7月13日

秘密鍵の仕組み

誰にでも読める平文を、暗号文へ変換する時に使う鍵が、秘密鍵。暗号文を元の平文へ復号する時も「同じ秘密鍵」を使う。

この送受双方の同じ秘密鍵利用が、対称秘密鍵暗号方式。送受参加者が多いと、鍵が漏洩するなど実用性低下の欠点もあるが、古代より使われてきた。

ケルクホフス原理

暗号/複合時に用いるアルゴリズムは、一般に公開しても良い。例えば、ウェブページ閲覧時のAES(Advanced Encryption Standard:⾼度暗号化標準)など。

公開アルゴリズムのセキュリティを保証する手段が、秘密鍵。

公開鍵暗号の仕組み

送受それぞれ「別の秘密鍵」と、「公開できる鍵」の2種類を使うと、送信側の秘密鍵が受信側で計算可能。これが、「非対称」の公開鍵暗号方式で、対称秘密鍵暗号方式の欠点を解消。

記事の公開図形と秘密鍵の計算例が解りやすい。

但し非対称公開鍵暗号方式は、第3者による公開鍵すり替えが可能なので、信頼性の問題は解決されない。

RSAデジタル署名

信頼性問題を解決するのが、デジタル署名。公開鍵を使って、送信者の署名が本物か偽物が検証可能。RSA以外にもデジタル署名方式あり。

このデジタル署名と非対称公開鍵暗号方式の両方を使うのが、現代の暗号化アルゴリズム全体像。

まとめ:仕組み理解でセキュリティ進化へ順応

暗号技術の仕組み理解でセキュリティ進化へ順応
暗号技術の仕組み理解でセキュリティ進化へ順応

インターネットに接続するIoT MCUには、通信セキュリティ対策は不可欠です。MCU開発側からすれば、当該セキュリティライブラリを、開発ソフトウェア/ハードウェアへ組込めば完了と思いがちです。

しかしながら、セキュリティ対策には、終わりがありません。新攻撃に対し、新たな暗号方式が登場します。MCU開発者が、複雑・高度化する暗号技術へ対応し、セキュリティ進化に追随するには、その仕組み理解は欠かせません。

本稿は、現代暗号化アルゴリズム、非対称公開鍵暗号方式とデジタル署名を説明しました。古代からの暗号技術は、インターネット出現により高度で複雑化しました。要旨の抜粋で判り難い箇所は、元記事も参照してください。

組込み開発 基本のキ:暗号技術の仕組みを理解し、IoT MCUセキュリティ進化へ順応しましょう。

組込み開発 基本のキ 過去投稿

組込み開発 基本のキ:組込み処理
組込み開発 基本のキ:RTOS vs. ベアメタル

日本開発者の視野

昨年2021年のMCUサプライヤトップ5が、2022年6月21日のTech+記事に示されました。

2021年MCUサプライヤシェア(出展:記事)
2021年MCUサプライヤシェア(出展:記事)

NXP、STマイクロ、Infineon(旧Cypress)など弊社ブログもカバーする欧州3サプライヤが強く、米国マイクロチップ2位、日本ルネサス3位、これら上位5社で82.1%のMCUシェアを独占します。

記事によると、トップ5独占率は、増加中だそうです。

半導体は国家

今年2022年2月に始まったロジアのウクライナ侵略が、半導体ビジネスにどう影響するかのMassa POP Izumida氏の考察が、コチラの記事にあります。

記事を引用すると、“限られた企業のみが先端半導体製品や製造装置を作れ、半導体が戦略物資、国家の運命を左右する”、つまり「半導体は国家なり」です。納得できますね。

日本開発者は多様性

激変する半導体ビジネスで日本人開発者が生き残るには、得意の協調性だけでなく、多様性が必要だと思います。変化しつつある状況を把握し、「個人レベル」で少し先を見据えた行動指針を持つことです。

半導体は国家の著者:Izumida氏が、ARM、RISC-Vのプロセサ潮流を考察しています。MCUの少し先を考えるのにも役立つと思います。もちろん、1指針だけでなく、第2第3の予備指針を持つことも良いでしょう。※本ブログ2021年最後の傾向と対策:日本低下でも、Izumida氏の記事が読めます。

ポイントは、多様性実現へ開発視野を広くしておくことです。

MCU開発中は、視野狭窄に陥りがちです。対策は、開発中に狭まった視野を、意識して自ら時々広げる習慣を持つことです。激変半導体業界でMCU開発者自身のサスティナビリティ(持続可能性)検討は、納期を守ることと同じぐらい重要な事だと思います。

2022ウクライナ侵略影響

ロシアでは、Windows 10とWindows 11ダウンロードが遮断されました。

欧米のウクライナ侵略への報復は、テクノロジーへも及び始めました。Windows以外にも様々な欧米製ツールが、製品開発には必要です。例え半導体を製造できても、その半導体を使う新製品が開発できなければ、本末転倒です。

テクノロジー遮断は、開発者のやる気や元気を無くすのに効果的です。

今回の侵略影響を注視している中国や欧米各国自身も、テクノロジー鎖国化・保守化傾向へバイアスが掛かる気がします。また、より強い開発者育成にも積極的になるでしょう。逆に、1998年以来、約24年ぶりの円安影響を受ける日本企業は、開発者育成などの人的先行投資は、後回し傾向がより強まると思います。

侵略は、極東アジアG7参加国日本が、ビジネスや金融など多くの点で「西側欧米各国とは異質の国であること」を、際立たせる結果を生んでいます。

まとめ

日本国内は、災害級の酷暑です。熱中症対策エアコン、節電対策、コロナ対策マスク、これら3対応が上手くできるでしょうか?

政府やマスコミは、「優先度を付けて」と言います。“優先度”は、各個人で異なります。しかし、日本人は、本来個人主体で決めるべき優先度を、他人と比べ決める傾向が強い民族です。先ず、他人ありきです。日本国内では、これでも良いでしょう。

しかしながら日本開発者は、世界の中で生きていきます。

異質の日本、視野を世界へと広くし、自分で自分を育成していくしか生き残り方法はない状況だと分析します。いかがでしょうか?

日本開発者の英語対策(7月3日追記)

2022年6月29日、経済産業省所管の日本IT国家戦略を技術面・人材面から支援する独立行政法人:情報処理推進機構IPAが、セキュリティエンジニア向け英語教材2点を発行しました。MCU開発者にも役立つ資料ですので紹介します。

英語Reading

セキュリティエンジニアのためのEnglish Reading、これは、英文読解力や英文情報収集力を高めるTips集で、「楽に」「上手く」英文を読む方法が記載されています。

セキュティ英単語集、こちらは、ポイントとなる頻出330英単語の、和訳を示しています。

どちらも形容詞の “セキュリティ” が付いていますが、普通のエンジニア向け資料です(というか、セキュリティ関連のAcronyms:略語集ではありません)。

両資料に目を通しておくと、「あらゆる英文」から効率的、効果的に情報収集が出来そうです!

英語Listening

2022年6月29日、日本ニューズウィークに中学英語をしっかりモノにすれば必ず話せるが掲載されました。英会話の大前提、「大事なことは最初」、「説明や細かいことは後」、が判ります。

英会話の冒頭部分に集中してListeningすれば、おおよその内容が把握できそうです!

日本開発者の英語

日本開発者の英語ハードル
日本開発者の英語ハードル

英語Readingやウェビナー英語Listeningは、日本人開発者最初のハードルです。しかし、ハードルは倒したとしても、早く走れればOKです。上記の資料、記事は、ハードルの倒し方、上手く早く走るテクニックを解りやすく示しています。

日本人開発者の視野を世界へ広くするには、英語ReadingとListeningは必須です。

クラウド環境進歩で、AI自動翻訳なども期待できますが、ピュアな世界情報に触れるには、原文(英語)から直接内容を理解する方が、脳にとっても良いハズです。

残りの英語Writingは、PCやクラウドの自動翻訳をどんどん使っても良さそうです!

あとがき

最初のEnglish Reading資料にあるように、英語情報は、12億人のため、日本語情報の1.2憶人の10倍です。デマや誤報などの内容妥当性にも注意が必要とあります。納得できます。

人口減少の日本と英語圏との知的情報差は、今後さらに広がります😭。

第2言語、技術者スキルとしての英語、必要性は高まるばかりです。少し長めですが貴重な “日本語表記” の資料、是非目を通してください。

好奇心とMCU開発

好奇心とMCU開発
好奇心とMCU開発

何を楽しい、面白いと感じるかは、人それぞれです。しかしながらMCU開発者の方々は、ソフトウェアやハードウエアを、自分で研究開発することに面白さや好奇心を持つ点は共通だと思います。

MCU開発は、地味です。普通の人からは、動作して当然と見られがち、しかし、その開発には努力や苦労も必要です。MCU開発者は、それら努力を他者へ説明はしません。
専門家へのキャリアアップには、避けては通れないからです。

特に日本のMCU開発者は、他者がどのように自分を見るかを気にし、しかも、同調意識も強いので、面白さを感じる感性を忘れ、自信喪失などに陥るかもしれません。

そんな時は、スマホを生んだSteve Jobs氏の、“Stay hungry, stay foolish” を思い出してください。

“Stay hungry, stay foolish”

様々な日本語訳、その意味解説があります。筆者は、Jobsは、他者の視線や動向より自分の好奇心を忘れるな、と言っているように思います。

2007年発表スマートフォン:iPhoneは、“Stay hungry, stay foolish”のJobsだから生み出せた製品です。

COVID-19、ウクライナ危機

終息が見えないCOVID-19やウクライナ危機による新しい世界秩序は、半導体製造/流通、MCU/PCセキュリティなどMCU開発者が関係する事柄にも多大な影響を与えそうです。今後数年間は、環境激変の予感がします。

既成概念やトレンド、これまでの市場予測なども大きく変わる可能性もあります。アンテナ感度を、個人レベルでも上げて対処しましょう。

MCU開発は楽しい?

行動の源は好奇心です。“Stay hungry, stay foolish”、 自分の好奇心は自ら満たし、MCU開発を楽しみましょう。

本稿の目的は、新年度:4月からMCU開発を新に始める方々へのアドバイスと、好奇心に逆らえず、Windows 11要件を満たさないPCをアップグレードした顛末を次週投稿予定という、前振りです😅。

クラウドベースMCU開発(個人編)

クラウドベースMCU開発お役立ちリンク
クラウドベースMCU開発お役立ちリンク

ARMが、2021年10月19日、IoT関連製品の開発期間を平均5年から最大2年間短縮できるクラウドベース開発環境「Arm Total Solution for IoT」発表という記事(EE Times Japan)は、以下の点で興味深いです。

・IoT製品化に平均5年もかかるのか?

・ハードウェア完成を待ちソフトウェア開発着手するのか?

但し、クラウドがMCU開発に効果的で、GitHubなどのクラウドリンクが今後増えることは、疑う余地がありません。そこで、すきま時間に個人レベルで役立つクラウドMCUリンクを3点示します。

すきま時間お役立ちクラウドMCU開発リンク

クリエイティブなMCUハードウェア/ソフトウェア開発中は、集中時間と空間が必要です。COVID-19の影響で、開発場所や通勤環境に変化はあるものの、ちょっとした待ち時間や出先での2~3分程度のすきま時間は相変わらず存在します。

個人レベルのIoT MCU開発支援が目的の弊社は、このような短いすきま時間にスマホやタブレットを使って、MCU情報を収集、閲覧するのに便利なリンクを紹介します。

すきま時間にMCU関連情報を閲覧することにより、集中時間に凝り固まった開発視点を新たな視点に変える、最新情報を収集するなどが目的です。

STマイクロMCU技術ノート

STマイクロMCU技術ノートの一部(PDF内容は濃く全てのMCU開発で役立つTips満載)
STマイクロMCU技術ノートの一部(PDF内容は濃く全てのMCU開発で役立つTips満載)

STマイクロのSTM32/STM8シリーズ別に検索できる日本語MCU開発Tips満載リンクです。ログインが必須ですが、わずか数ページで説明されたダウンロードPDF内容は濃く、STユーザに限らず全てのMCU開発者に役立つTipsが得られます。

EDN Japan Q&Aで学ぶマイコン講座

EDN Japan Q&Aで学ぶマイコン講座の一部
EDN Japan Q&Aで学ぶマイコン講座の一部

EDN JapanのMCU情報リンクです。Q&Aで学ぶマイコン講座は、最初の1ページでMCU初心者、中級者からの質問に対する回答要点が示されています。2ページ以降で回答詳細を説明するスタイルですので、短時間での内容把握に適しています。

Digi-Keyブログ

Digi-Keyブログの一部(日本語タイトルは翻訳された記事を示す)
Digi-Keyブログの一部(日本語タイトルは翻訳された記事を示す)

日本語タイトルで日本語へ翻訳されたブログ記事が判るリンクです。大手サプライヤーの英語ブログですのでMCUだけでなく、幅広いデバイス情報が得られます。すきま時間でも読めるように記事は短く纏まっています。最新MCU情報やハードウェア開発者向け情報が多いのも特徴です。

IoT製品とプロトタイプ開発

EE Timesの2021年10月8日、半導体製品ライフサイクルの長さと製造中止対策の記事に、20年前、1990年代の事業分野別の製品開発リードタイムとライフサイクル変化が示されています。

事業分野別の開発リードタイムと製品のライフサイクル変化(出展:記事)
事業分野別の開発リードタイムと製品のライフサイクル変化(出展:記事)

1998年の値ですが、重電機器を除く製品開発時間(リードタイム)が2.3年以内という数値は、現在でも納得できます(0.5年程度のプロトタイプ開発時間は含んでいない実開発時間だと思います)。

MCUベンダ各社は、10年間のMCU供給保証を毎年更新します。つまり、2021年更新ならば、2031年迄の10年間は販売MCUの供給を保証するということです。

但し、セキュリティが重視されるIoT製品では、最新セキュリティハード/ソフト内蔵IoT MCUによる製品化をエンドユーザは望みます。SoC:System on a Chipによる製造プロセス進化により、IoT関連製品の開発期間は、再開発も含めると1998年よりも更に短くなる可能性もあります。

前章リンク情報を活用し、最新セキュリティ内蔵MCU状況、セキュリティ機能のOTA更新可能性、開発製品がエンドユーザのセキュリティニーズと開発コストを満たすか、などを個人でも常時把握・評価し、万一、開発製品の成功見込みが少なくなった場合には、MCU見直しなども必要でしょう。

IoTセキュリティのライフサイクルは変動的で、かつ、IoT製品の市場獲得に支配的です。短い開発時間中であっても、状況に応じてMCUを変更することは、製品の成功と失敗に直結します。

弊社MCUテンプレートを使ったプロトタイプ開発は、このような激変IoT製品開発のMCU評価に適しています。制御系MCUと被制御系を分離、低コスト、少ない手間でプロトタイプを早期に開発し、プロトタイプ実機によりIoT製品のMCU評価、適正判断ができるからです。

もちろん、最初に示したバーチャルなArm Total Solution for IoTとの併用も有効です。セキュリティ重視IoT製品開発の成功には、IoT MCU選択と開発期間の短さがポイントです。

半導体・デジタル産業とホノルル便パイロット

経産省が2021年6月4日に発表した「半導体・デジタル産業戦略」について、専門家の評価は悲観的です。

我々IoT MCU開発者は、ホノルル便パイロットを見習い、対応策を持つべきだと思います。

経産省半導体・デジタル戦略の評価

今こそ日本の大手電機各社は半導体技術の重要性に気付くべき、EE Times Japan、2021年6月15日

日本の半導体戦略は“絵に描いた餅”、TechFactory、2021年6月16日

日本の半導体ブームは“偽物”、再生には学校教育の改革が必要だ、EE Times Japan、2021年6月22日

専門家が日本政府や経産省の方針を批判するのは、コロナ対策と同様、当然です。また下記、英)Financial Times評価を紹介した記事からも、専門家評価と同様、概ね懐疑的であることが判ります。

半導体製造業の日本の取組みに対する海外メディア評価、Gigazine、2021年7月6日

この戦略結果として生じる半導体・デジタル産業の市場変化の影響を直接受けるのは、我々IoT MCU開発者です。しかも、結果がでるまでの時間は、ますます短くなっています。この分野が、自動車や次世代通信などを含む「全ての産業の要」だからです。

経産省戦略資料は、コチラからダウンロードできます。概要・概略だけでも相当な量があり、対象がMCU技術者ならまだしも、マネジメントや一般技術者が、本当に要点を把握できるか、筆者でも疑問に感じます。

ホノルル便緊急事態対策

かつて護送船団方式ともいわれた日本産業の舵取りは、成功もありますが失敗も多いです。同調圧力に弱い日本人には、この方式が向いていたのかもしれません。

問題は、舵取りの結果生じる市場変化に、どう対応するかです。

対応策ヒントの1つになるのが下記記事です。

太平洋の真ん中でエンジン停止したらどうなるか、東洋経済、2021年6月27日

パイロットは、太平洋上での緊急事態対応のため、60分毎に東京/ミッドウェー/ホノルルの天候情報を集め、燃料残量や対地速度などの機体状況を確認し、180分以内に着陸できる空港を検討するのです。しかも、この緊急事態は、パイロットが入社し定年退職するまでに一度も経験することの無い0.024%の発生確率でもです。

ホノルル便パイロットの緊急事態対応(出展:記事)
ホノルル便パイロットの緊急事態対応(出展:記事)

この東京~ホノルル便エンジン停止などの緊急事態発生確率に比べると、半導体・デジタル産業の国による舵取り失敗確率は、高いと思います。

我々MCU開発者も、ホノルル便パイロット並みとはいかなくても、せめて開発が一段落付く毎に、最新IoT MCU状況を確認し対応を検討することは重要です。一段落が付いた時は、開発に使ったMCUの利点欠点を把握直後なので、他MCUとの比較も精度良くできるからです。

この検討結果をどのように反映するかは、開発者次第です。

お勧めは、もしもの時の「第2候補IoT MCU案:Plan Bを、開発者個人で持つこと」です。Plan Bは、たとえ同じARM Cortex-Mコア利用であっても、ベンダ毎に手間やAPIが異なるIoT MCU開発に、心理的余裕を与えます。Non ARMコア利用ならなおさらです。

個人でなら、同調圧力に関係なく、自分の開発経験や勘を使ってPlan Bを検討できます。

まとめ

2021年6月経産省が発表した半導体・デジタル産業戦略の専門家評価は、悲観的です。国の舵取りが失敗した例は、過去の電機や半導体企業の衰退が物語っています。巨額投資と市場シェアの両方が必要な半導体・デジタル分野は、既に弱体化した国内企業の巻返しにも期待はできません。

舵取り失敗確率は、現役ホノルル便パイロットが、太平洋上で緊急事態に出会う確率よりも高いでしょう。

最先端デバイスを利用するIoT MCU開発者の対応策の1つは、開発が一段落付く毎に、最新半導体・デジタル市場を確認し、もしもの時の第2 IoT MCU利用案:Plan Bを開発者個人で持つことです。

個人で安価にPlan Bを持つため、評価ボード動作確認済み各種マイコンテンプレートはお役に立てると思います。関連投稿:半導体不足とMCU開発案に、Plan B構成案もあります。

WebシミュレータのRL78/G23開発

今年4月に発表されたばかりのルネサスIoT向き新汎用RL78/G23が、RL78 Webシミュレータを使うと手間暇かけずに開発できます。このWebシミュレータの使い方と、RL78/G23シミュレーション結果を示します。

IoT新汎用RL78/G23特徴は、コチラの関連投稿を参照してください。

RL78 Webシミュレータとは?

評価ボードやIDE無しに、Webブラウザだけで対象MCUのアプリケーションを開発でき、その消費電流が判ります。バッテリー寿命予測などに好都合です。

対象MCUは、RL78/G1xシリーズでしたが、早くもG1x後継MCUのIoT向き新汎用RL78/G23が追加されました。ログイン必須ですが、無料で利用できます。

また、Webシミュレータ上で開発したソフトウェアは、CS+やe2 studioとも互換性があるので、そのまま実際のIDE/評価ボードへエクスポートして使うこともできます。

つまり、初期費用ゼロでRL78/G23が開発でき、その開発資産も活かせます。コロナ過の今こそ役立つツールと言えます。

競合他社32ビットCortex-M0+クラスのeclipseベースIDEにも、消費電流シミュレータが付属しています。RL78/G13比、30%低消費電力化したRL78/G23の低い消費電流と比較可能です。

RL78/G23 Webシミュレーション結果

RL78/G23の評価ボード:Fast Prototyping Boardを使って、基本的なA/D変換アプリケーションをシミュレーションする例で、Webシミュレータの使い方を示します。

MCU Simulator Online (Web IDE)

Webシミュレータ初期画面のアプリケーションから選択メニューのA/D変換機能をクリックし、対象デバイスRL78/G23のMCU Simulator Online起動をクリックします。ガイドツアー利用有無を聞いてきますが、後回しOKです。

Webシミュレータ初期画面からA/D変換機能をクリックした画面
Webシミュレータ初期画面からA/D変換機能をクリックした画面

RL78/G23 Fast Prototyping Board上で、A/D変換アプリケーション(サンプルアプリケーション)がインポートされたMCU Simulator Online画面が表示されます。

RL78/G23 A/D変換アプリケーションのMCU Simulation Online画面(Web IDE)
RL78/G23 A/D変換アプリケーションのMCU Simulation Online画面(Web IDE)

ビルド、リセットや実行などアプリケーション開発に最低限必要となるボタンが用意されたWeb IDEがMCU Simulator Onlineです。

ビルドをクリックするとConsole窓にビルド結果が表示されます。オリジナルサンプルアプリケーションのまま無変更なので、ビルドは成功します。

RL78/G23 Fast Prototyping Board

左端Boardクリックで、RL78/G23 Fast Prototyping Boardが表示されます。アプリケーション動作確認に必要な外部部品:ポテンショメータは、P22/ANI2に接続済みです。

RL78/G23 A/D変換アプリケーションのFasr Prototyping Board画面
RL78/G23 A/D変換アプリケーションのFasr Prototyping Board画面

実行をクリックすると、ポテンショメータのスライドバーに連動して、赤7セグ表示(変数値表示パネル)が変わります。これが、アプリケーション実行時のFast Prototyping Board動作状態です。

RL78/G23 A/D変換アプリケーション消費電流

左端Reportクリックで、アプリケーション動作時の消費電流シミュレーション波形と平均値が表示されます。ピーク時3mA、平均600μA程度でA/D変換を実行することが判ります。

RL78/G23 A/D変換アプリケーションの消費電流画面
RL78/G23 A/D変換アプリケーションの消費電流画面

Webシミュレータ終了

Webシミュレータで、RL78/G23とA/D変換アプリケーションを選んでビルド、評価ボードで動作確認、消費電流シミュレーション波形とその平均値を得るまで、わずか2~3分です(ガイドツアーは除く)。

実機で同じことを行えば、半日~1日は掛かります。しかも、実際のIDE設定や評価ボードとの接続、測定装置準備など全てが上手く出来た上での話です。実機ではこの段階で、つまずきを経験した方も多いでしょう。

手間暇かけずにWebシミュレータ上でRL78/G23開発を試すことができることがお解り頂けたと思います。

また、Web IDEでサンプルアプリケーションに変更を加えステップ実行、SWやLEDなどの外部部品をBoardへ追加することもできます。詳しくは、左下Info.クリックで表示されるガイドツアー、オリジナルプロジェクト作成を試すクリックで判ります。

ガイドツアー開始画面
ガイドツアー開始画面

Webシミュレータ終了は、MCU Simulator Online右上ハンバーガーメニューのサインアウトクリックです。プロジェクトは、90日間自動保存されますので、途中から開発継続することも容易です。

Web Simulator Online終了ダイアログ
Web Simulator Online終了ダイアログ

まとめ

RL78 Webシミュレータは、ブラウザだけを使って、誰でも簡単に初期費用ゼロでRL78/G1x/G2x開発が試せます。予め多くのサンプルアプリケーションがWeb IDEに用意済みで、仮想評価ボード上でアプリケーション動作確認、消費電流波形、平均消費電流計算が、僅か数分でシミュレーションできます。

Webシミュレータで開発したソフトウェアは、CS+やe2 studioへエクスポートできます。実機開発前、または、開発中であっても並行利用によりRL78/G1x/G2x開発に役立つツールです。

汎用RL78/G1x後継となったIoT向き新汎用RL78/G23のFast Prototyping Board上で、A/D変換アプリケーションシミュレーション例を示し、Webシミュレータ使用法、平均600μA低消費電流計算結果を得ました。

組込みMCU開発お勧めブログ

組込み開発全般に参考となる英語ブログを紹介します。特にRTOS関連記事は、内容が濃く纏まっていて、実践開発時の示唆に富んでいます。

JACOB's Blog
JACOB’s Blog

RTOSカテゴリー

組込み開発コンサルティングも行うBeningo Embedded社は、高信頼の組込みシステム構築と低コスト・短時間での製品市場投入を目標としています。この目標に沿って、複雑な組込み開発概念を、シンプルに解り易く解説しているのが、同社ブログです。

特に、RTOSカテゴリーは、FreeRTOS開発方法を整理する時、参考になります。最新RTOSの3投稿をリストアップしたのが下記です。

2021年5月4日、A Simple, Scalable RTOS Initialization Design Pattern
2020年11月19日、3 Common Challenges Facing RTOS Application Developers
2020年10月29日、5 Tips for Developing an RTOS Application Software Architecture

Data flow diagram for a smart thermostat(出展:JACOB'S Blog)
Data flow diagram for a smart thermostat(出展:JACOB’S Blog)

開発中の弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、「ベアメタル開発経験者が、FreeRTOS基礎固めと、基本的FreeRTOSアプリケーション着手時のテンプレートに使えること」が目的です。従って、必ずしも上記お勧めブログ指針に沿ったものではなく、むしろ、ベアメタル開発者視点でFreeRTOSを説明しています。

弊社テンプレートを活用し、FreeRTOSを理解・習得した後には、より実践的なRTOS開発者視点で効率的にアプリケーションを開発したいと思う方もいるでしょう。もちろん、弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートからスタートすることを弊社は推薦しています。

しかし、Windows上でアプリケーション開発する時は、初めからWindows作法やGUIを前提として着手するように、RTOS上でMCUアプリケーションを開発する時も、従来のベアメタル開発に固執せず、RTOSオリエンテッドな手法で着手するのも1方法です(ベアメタル経験が少ないWindows/Linux世代には、親和性が高い方法かもしれません)。

推薦ブログは、この要望を満たすRTOS手法が豊富に掲載されています。

また、上記RTOS関連3ブログを(掲載図を「見るだけでも良い」ので)読んで、ピンとこなければ、RTOS理解不足であると自己判断、つまり、リトマス試験紙としても活用できます。

問題整理と再構築能力

ベアメタル開発経験者が、RTOSを使ってMCUアプリケーション開発をするには、従来のBareMetal/Serial or Sequential動作からRTOS/Parallel動作へ、考え方を変えなければなりません。弊社FreeRTOSアプリケーションテンプレートは、この考え方を変えるための橋渡しに最適なツールです。

橋を渡りきった場所が、RTOSの世界です。RTOS環境での組込み開発問題を整理し、シンプルに解決策を示すには、知識や経験だけでなく、問題再構築能力が必要です。JACOB’S Blogをご覧ください。RTOSに限らず組込み関連全般の卓越した問題再構築能力は、掲載図を見るだけでも良く解りますよ😄。

IoT新汎用RL78/G23調査

ルネサスエレクトロニクスが、2021年4月13日、新世代の汎用MCU RL78/G23を発表しました。RL78/G23は、弊社RL78/G1xテンプレートデバイスRL78/G13やRL78/G14の製造プロセスを改良し、IoT向き機能を強化した汎用MCUです。

新しいRL78/G23と従来RL78/G13を比較し、ルネサスIoT Edge MCU機能強化点と評価ボードを調べました。

新汎用RL78/G2xシリーズ位置づけ

汎用RL78MCU変遷(出展:RL78 ファミリパンフレットに加筆)
汎用RL78MCU変遷(出展:RL78 ファミリパンフレットに加筆)

ルネサスRL78ファミリパンフレット2021.04のp1記載RL78ロードマップから汎用MCUファミリを抜粋し、加筆したのが上図です。RL78/G23は、RL78/G13とG14性能の大部分をカバーした新しい汎用MCUであることが判ります(縦軸:性能、横軸:年代、橙色囲み:テンプレート対象RL78/G1xシリーズ)。

新汎用RL78/G23は、従来汎用RL78/G1xシリーズへIoTエッジ向き機能(製造プロセス、Snoozeモード・シーケンサ、高速オンチップオシレータ高速起動、中速オンチップオシレータ搭載など)を追加し、RL78/G1xシリーズと互換性があります。

RL78/G23のIoT Edge MCU機能強化点

RL78/G23は、RL78/G1x比、主に下記機能が強化されています。

  • Snoozeモード・シーケンサ搭載
  • RL78/G13比、30%低消費電力化
  • IoTエッジMCUセキュリティ強化

Snoozeモード・シーケンサ

Snoozeモード・シーケンサ(SMS)は、Snooze中のMCUを起動することなく、演算、分岐、周辺回路制御の順次処理が可能なMCU内蔵ハードウェアです。SMSはMCUよりも動作電流が少ないため、低電力動作になります。

Snoozeモード・シーケンサによる低電力動作効果(出展:ルネサスRL78ファミリ)
Snoozeモード・シーケンサによる低電力動作効果(出展:ルネサスRL78ファミリ)

従来のRL78/G13も、低電力動作用Snoozeモード(上図)を持っていました。Snoozeモード・シーケンサ(下図)は、周辺回路制御(Analog/Port settings)や、データ・トランスファー・コントローラ(DTC)の直接起動(USRT transmission)など、従来MCUの代わりに、予め設定した最大32個のシーケンシャル処理実行が可能です。

このSMSを活用すると、点線部分のMCU動作が不要となり、従来のRL78/G13よりも更に低電力処理が可能です。

30%低消費電力化

RL78/G13比、30%少ない低消費電力動作のRL78/G23(出展:ルネサスサイト)
RL78/G13比、30%少ない低消費電力動作のRL78/G23(出展:ルネサスサイト)

前述のSMSや新製造プロセスなどにより、RL78/G13(64KB)比、30%の低消費電力化を達成しています。ROM容量が128KBと2倍での比較になる理由は、次章セキュリティ強化で説明します。

なお、RL78/G23最高動作周波数は32MHzで、従来RL78/G13と同じです。

IoTセキュリティ強化

RL78/G23新追加のSecure update and secure boot(出展:ルネサスRL78ファミリ)

IoTエッジMCUセキュリティ強化のため、RL78/G23には、RL78/G1xには無かったセキュア・ブートとセキュア・アップデート機能が実装されています。セキュア・アップデートには、実行中ROM領域に加え、書換え用ROM保存領域も必要になるため、従来比2倍のROM容量が必要です。

2倍詳細は、関連投稿:STM32G0/G4のRoot of Trust (1)~(3)、または、セキュア・ファームウェア更新:タグなどを参照してください。

RL78/G23 Fast Prototyping Board

RL78/G23 Fast Prototyping Board(出展:ユーザーズマニュアル)
RL78/G23 Fast Prototyping Board(出展:ユーザーズマニュアル)

従来のルネサス評価ボード(QB-R5F100LE-TBなど)は、開発時、別途E1/E2エミュレータが必須でした。新しいRL78/G23(32MHz、64ピン、ROM/128KB、RAM/16KB) Fast Prototyping Board(2590円)は、USB-シリアル変換器が搭載され、USB経由でデバッグとプログラミングが可能です。

RL78/G23 Fast Prototyping Board(出展:ユーザーズマニュアル)
RL78/G23 Fast Prototyping Board(出展:ユーザーズマニュアル)

従って、micro USBケーブルでPCと接続しさえすれば、エミュレータ無しでもプロトタイプ開発に着手できます。また、Arduinoコネクタも実装済みで、各種Arduinoシールドをスタック装着できる評価ボード形状になりました。

まとめ

RL78/G23は、RL78/G13互換性を重視し、IoTエッジ向き低電力性とセキュリティを強化した新世代の16ビット汎用MCUです。

エミュレータ不要でArduinoコネクタ実装済みRL78/G23評価ボード(32MHz、ROM/128KB、RAM/16KB)は、制御系載せ替えモジュール化が可能となり、競合他社MCUとの比較も容易です。

載せ替え制御系モジュールの詳細は、コチラの関連投稿3章:半導体不足時のMCU開発対策案を参照してください。

あとがき

久しぶりのRL78マイコンカテゴリ投稿でした。32ビットARM Cortex-M0+コア対抗のため、低消費電力化と評価ボード改善を図ったのが、RL78/G2xシリーズ第一弾:RL78/G23です。

その特徴を活かすには、新追加Snoozeモード・シーケンサ活用、つまり、ルネサスSxコア動作の休止に磨きをかけたソフトウェア開発(従来ソフトの一部SMSハード化)が必須です。

これは、Cortex-Mxコア低消費電力アプローチ:より高周波数の動作+コア休止時間幅拡大とは、方向性が異なると感じました。ルネサスは、RL78/G1x顧客サーベイの結果、製造プロセス進化アドバンテージを、高周波数動作よりも、SMS追加や2倍メモリ増量へ配分したのでしょう。

このSMSを、ルネサス供給中のCortex-MxコアMCUへも搭載すると、差別化できるかもしれません。