Amazon、IoTマイコンへFreeRTOS提供

Amazon:アマゾンがFreeRTOSをカーネルにして、IoT端末とのクラウド接続、セキュリティ確保、将来的にOTA:Over The Airによるアップデート機能をライブラリで提供というニュースが入りました。

嬉しいのは、「FreeRTOS」と「OTA機能がRTOSで提供」されることです。

Amazon FreeRTOS

IoT端末とクラウドを接続するには、IoT通信プロトコルが必要です。BLE:Bluetooth Low EnergyやThreadが有力ですが、国内外の網側事情が異なるため、実質的なIoTプロトコル実装は間違いなく大変です。

もしこのIoT通信機能が、最大手アマゾンの無償ライブラリで提供され、マイコンUARTと同様にIoT Communication APIを使え、しかもセキュリティ対策済みであるならば、IoT端末は爆発的に普及するでしょう。普及の足かせとなっているIoT通信とセキュリティ問題が解決されるからです。

Amazon FreeRTOS
Amazon FreeRTOS利用イメージ (出典:記事、AWS)

現在Amazon FreeRTOSのハードウエアパートナーは、テキサス・インスツルメンツ:TI、マイクロチップ、NXP、STマイクロエレクトロニクスの4社で、NXPは、LPC54018 IoT Module、STMは、STM32L4 Discovery Kit IoT Node評価ボードでサポートするそうです。

NXP、STMいずれもかなり高性能MCU評価ボードを使っていますが、これは高機能IoTエンド端末(≒簡易スマホ)を想定しているからだと思います。FreeRTOSカーネルなので、ROM/RAMが少ない低価格IoTエンド端末にも実装できるハズです。

弊社ブログでも紹介してきたFreeRTOS自身は、様々なベンダの低価格MCUにも実装実績があります。

残念ながら弊社のFreeRTOSサンプルソフトは、NXPのLPCXpresso824-MAX上で完全動作しているとは言えませんが、近いうちにSTMのSTM32F103RB(Cortex-M3:64MHz、ROM/RAM:128KB/20KB)で再チャレンジし、新たにFreeRTOS版のテンプレートを開発できないか検討中です。

OTA機能

出荷後の組込みソフトを更新したいことは良くあります。但し、Windows更新でも失敗があるように、技術的にハイリスクで、また更新費用を顧客が負担してくれないこと(ノーリターン)も多いので、悩ましい事柄です。

Amazon FreeRTOSのOTAがRTOS関連のみか、または、RTOSにとってのアプリ、つまり開発ソフトも含むかは不明ですが、たとえRTOSのみであってもOTAが提供されれば好都合です。セキュリティ起因の不具合解消に役立つからです。

従来のベアメタル開発でもOTA関連の資料は、英語版で難解な記事はあります。しかし、私の場合は、結局現地でIDE書き換えの経験が多いです。リクスを少しでも下げたいのもあります。RTOSが機能提供してくれれば、責任転嫁(?)ですが助かります。

弊社FreeRTOSへの取組み

IoTクラウドサービスは、アマゾンのAmazon Web Services IoT:「AWS IoT」が先行し、マイクロソフトの「Azure IoT」、これらを追いかけるグーグルの「Weave」とアップルの「HomeKit」、その後ろにARMの「mbed Cloud」という状況だそうです。アマゾンは最先端を走っているのです。

先行アマゾンが2017年末に発表したAmazon FreeRTOSの詳細は不明ですが、IoT MCUのRTOSにFreeRTOSが有力であるのは、確実になりそうです。

FreeRTOSソフト開発の場合、タスク自体は簡単で単純な初期設定+無限ループ構成です。タスク同期やタスク通信にRTOS APIが使えれば、それ程難しくはないと(今は)考えています。この考え方が、タスクが増えたりプライオリティを変えたりしても正しいか、間違っているかは、実践経験あるのみです。

個人で実践できるFreeRTOS動作環境の構築が、弊社FreeRTOS版テンプレートの目標となりそうです。

レスポンシブサイトと説明資料

HappyTechサイトを年内完成目標に、レスポンシブ対応:Responsive Web Designへ改良します。

数年前にサイトを開発した時は、1ページ表示が流行っていたので、これに倣って(ならって)開発しました。しかし、スマホやタブレットなどのモバイルデバイスが増え状況が変わりました。

サイト内容のコンテンツ追加・削除もしにくい構成でしたので、流行のレスポンシブサイトに変更します。

Responsive Web Design
Responsive Web Design

レスポンシブテンプレートを探す

手っ取り早くレスポンシブサイトを開発する方法は、ネットに溢れるレスポンシブテンプレートを利用することです。

私は、HTML5 UPというサイトのテンプレートを利用しました。テンプレート説明資料はありませんので、開発には、多少のHTML、CSSの解読技術とベース知識が必要です。

レスポンシブテンプレートメリット

記載内容はそのままに、ユーザが使う画面大小に合わせて自動的に表示レイアウトを変えるのがレスポンシブサイトです。ご覧のブログはWordPressを使っていますので、利用テーマをレスポンシブ版に変えればそれで出来上がりますが、サイトの場合は、自分でHTMLとCSSを使って作り直す必要があります。

基本部分が出来上がったHTML5 UPテンプレートに、修正を加え動作を確認しながら、短期にサイトを開発できるのがテンプレート利用のメリットです。

マイコンテンプレートメリット

このメリットは、弊社マイコンテンプレートでも全く同じです。

サイト開発と同様、マイコンも動き出すまでに手間がかかります。また、動き出した後も、修正や変更が生じます。テンプレートを使うと、この動き出しまでの時間を、殆ど0に短縮できます。

マイコンAD変換:ADCを例に説明します。

ADCは、サンプルソフトも多く使い方も良く知られています。しかし、実際にセンサを接続して動作させると、複数回ADCの平均を計測値とするか、あるいは、1回のADCを計測値とするかは、アプリにより異なります。

通常は、ノイズ対策として平均値を用いる場合が多いです。それでも、測定間隔や何回の計算で平均を求めるかについては、センサとマイコンを接続し、実際に動作させカット&トライ:試行錯誤で決めるのがBestです。

この試行錯誤に適したソース構成が初めから出来上がっていれば、試行も容易でスパゲッティーコード(!?)にもなりません。

つまり、立ち上げを早くし、実動作に近い環境でプログラミングでき、しかもスパゲッティー化を避けられるのがマイコンテンプレートのメリットです。

マイコンテンプレート説明資料

説明資料があると、テンプレート修正や変更が容易になります。テンプレート開発者の考え方、指針が解るからです。最近のソースコードは、数行に渡るほどの多くの英語コメントが付いていますが、コメント文だけでは、これら考え方、指針は表現できません。

説明資料が無い場合は、どこを修正・変更すれば良いがが不明で、この場所を探すのに余分な時間が必要になります。マイコンソースコードは、その傾向が特に強く修正や変更で直にスパゲッティーコードになります。

標準的な決まりが多くあるHTMLやCSSと異なり、マイコンソースは比較的自由に記述できるからです。その結果たとえ同じ職場でも、他人が開発したマイコンソースは解読が難しいのが現状です。標準的な知識レベルがバラバラなのも原因の1つでしょう。デサインレビューの結果が反映され難いのです。

そこで、マイコンテンプレートには説明資料を添付し、標準的と思う私の考え方や開発指針を多く記載しています。テンプレートソースコードにも豊富な(冗長な!?)日本語コメントが付いています。

勿論、これら考え方や指針は、あくまでご購入者様のテンプレート理解が目的で、押付けではありません。テンプレート版権は、ご購入者様個人に帰属しますので、ご自分の考え方を反映した改良も自由です。

ご購入者様のご質問にも丁寧にお答えします。

マイコンテンプレートは、初心者~中級者向けです。しかし、全ての方のレベルに合わせた説明は、不可能です。それぞれの方でご質問は、異なります。広いレベルの方に参考になると思ったご質問に関しては、テンプレート改版時、説明資料へ付け加えています。

以上の方針で、マイコンテンプレート説明資料やソースコードを作成しています。

マイコンテンプレートご購入者は、または購入検討中の方であっても、いつでも、どのようなご質問でも、大歓迎です。お気軽にinfo@happytech.jpまでお寄せください。

SPI/I2Cバスの特徴と最新表示デバイス

IoT MCUは、従来の2×16文字のLCDから、SPIバス接続でよりリッチな表示ができるものへと変わりつつあると前投稿で述べました。

SPIバスは、従来MCUでも実装しています。ただし、多くの場合I2Cとポート共用で、センサやEEPROMとI2C接続するサンプルソフトが多数派でした。IoT MCUでは、センサ接続とリッチ表示を同時にサポートするので、I2C/SPIポートを2個以上装備するMCUが多くなりました。

本稿は、SPI/I2Cバスの特徴と、SPI接続の最新表示デバイスを示します。

SPIバスとI2Cバスの特徴

SPI Bus vs. I2C Bus (Source: Wikipedia)
SPI Bus vs. I2C Bus (Source: Wikipedia)

SPI(3線式)とI2C(2線式)は、どちらも制御ボード内で使うシリアル通信インタフェースです。少ない線数で複数デバイスを接続できますので、制御ピン数を少なくしたいMCUには適しています。
※SPI:Serial Peripheral Interface
※I2C:Inter-Integrated Circuit

仕様の解説などは、ネット内に数多くありますので省略します。

前投稿のNXP Swiss Army Knife Multi toolのWebinarで示されたSPIとI2Cの特徴に、MCU使用例を加筆したのが下表です。

SPI vs. I2C (Source: NXP Swiss Army Knife Multi tool Webinar)
  SPIバス I2Cバス
長所

・高速

・5V/3.3V デバイス混在可能

・2線でバス接続可能
短所

・デバイス毎にチップセレクト必要

・4動作モードがあるためバス接続時面倒

・低速

・同一Vddでデバイスプルアップ

使用例 リッチ液晶ディスプレイ, SD/MMCカードなど EEPROM, 加速度センサ, 気圧センサなど

※NXPは、当初I2Cバスで液晶ディスプレイ接続を試みたが、結局SPIバス接続になったそうです。Webinarだと、アプリケーションノートに記載されないこのような貴重な情報が入手できます。

SPI接続の最新表示デバイス

検討の結果NXPは、128×64ドット1.3“のOLED: Organic LED(有機LED)ディスプレイをMicro SDカードとSPIバス接続しています(前回投稿Swiss Army Knife Multi tool Block図参照)。
※有機LEDは、輝度や視野角、消費電力などの面で優れた特性を持つLEDです。

SPI OLED Display
SPI OLED Display

*  *  *

一方CypressのCY8CKIT-062-BLE Webinarでは、264×176ドットのE-INKディスプレイシールドが使われました。E-INKディスプレイは、電源OFFでも表示が残る画期的な表示デバイスです。しかもシールド基板なので、Arduinoコネクタを持つMCU評価ボードへの装着も可能です。

E-INK Display Shield
E-INK Display Shield

記載インタフェース信号名から、このE-INKディスプレイもSPI接続であることが解ります。

SPI E-INK Display
SPI E-INK Display (Source: PSoC® 6 BLE Pioneer Kit Guide, Doc. # 002-17040 Rev. *B, Table 1-3)

CY8CKIT-062-BLEは、このE-INKディスプレイのシールド基板付きで8,600円(Digi Key調べ)で入手可能なのでお得です。

しかし、E-INKディスプレイの制御方法が、PSoC Creatorの専用ライブラリ経由で、PSoC MCUファミリで使うには(多分)問題ありませんが、他社評価ボードでこのシールドを使う時は、専用ライブラリの詳細解析などが必要になると思います。

まとめ

SPIバスとI2Cバスの特徴と、SPI接続の最新表示デバイスを2つ示しました。

MCU評価ボードで使われた有機LEDディスプレイやE-INKディスプレイには、I2Cよりも高速なSPIバスが接続に使われています。

有機LEDディスプレイは、輝度や視野角、消費電力などの面で従来LEDディスプレイよりも優れています。

E-INKディスプレイシールドは、電源OFFでも表示が残りArduinoコネクタを持つ他社評価ボードにも装着可能ですが、Cypress制御ライブラリの解析が必要になります。

そこで、SPIバス接続を使ったArduinoシールド基板で、リッチ表示可能、サンプルソフトなどの情報多数、入手性が良く低価格、という条件で調べたところ、Adafruit(エイダフルート)の1.8“カラーTFTシールド(128×160ドット)、microSDカードスロットとジョイスティック搭載(秋月電子3,680円)を見つけました。

1.8" TFT Shield Schematic
1.8″ TFT Shield Schematic

TFT コントローラICのST7735Rのデータシートも開示されていますので、OLEDやE-INKシールドよりも使いやすいと思います。

しかも、メニュー表示した画面に、付属ジョイスティックを使ってユーザが処理選択することもできるので、お勧めのSPI接続表示シールド基板です。

マイコンデータシートの見かた(その2)

現役STマイクロエレクトロニクスの「メーカエンジニアの立場」から記載された、ユーザ質問の多かった事項を中心にマイコンデータシートの見かたを解説する記事(連載2回目)を紹介します。

全3回の連載記事内容

第1回:凡例、絶対最大定格、一般動作条件、電源電圧立上り/立下り(2017年10月1日投稿済み
第2回:消費電流、低消費電力モードからの復帰時間、発振回路特性(← 今回の投稿)
第3回:フラッシュメモリ特性、ラッチアップ/EMS/EMI/ESD、汎用IO、リセット回路

記事タイトル:データシート数値の “裏の条件” とは

先入観を与える前に、記事を読んでください。消費電流、復帰時間、発振回路特性の留意点が記述されています。記事タイトルの “裏の条件” とは何でしょうか?

私は、データシート数値は、理想的動作環境のマイコン単体の最高数値、これが裏の条件と理解しています。
例えば、車の性能を燃費で比較する方は、普通の運転では絶対に達成できないカタログ燃費で車を評価します。マイコンも同じです。データシート数値は、このカタログ燃費相当だと思います。

カタログ燃費(出典:日本自動車工業会)
カタログ燃費(出典:日本自動車工業会)

実際は、この最高数値にマージンを入れて考える必要があります。どの程度のマージンを入れるかが問題で、安全側評価ならデューティ50%、つまり性能半分位が良いと思います。

但し、これもマイコン単体の話で、マイコン:MCUと電源、発信器や必須周辺回路を含めた制御系で考えると、どの程度マージンを入れるかは複雑怪奇になります。

そこで、ベンダ開発の評価ボードを手本とする考え、つまり、10月1日投稿で示した評価ボードをハードウエアテンプレートとして用いる考え方を、私は提案しています。

10月15日記事のように、評価ボードでもWi-Fi起動時電流に電源部品の余裕が(短時間ですが)少ないものもありますが、大方のベンダ評価ボードは、実用に耐えられる厳選部品が実装済みです。そこで、プロトタイピング時には、この評価ボードで制御系を作り、実装部品のマージンが十分かを評価するのです。

マージンが足りない場合には、同じ評価ボードへ、より高性能な部品を載せ替えるなどの対策が簡単にできます。制御される側もこのようなモジュールで開発しておけば、モジュール単位の設計、変更が可能です。

ソフトウエアも同様です。評価ボードを使えば、少なくとも最低限のソフト動作環境は整いますので、プロトタイピングのソフトをなるべく早く開発し、動作マージンを確認しておきましょう。

完成・出荷時には、ソフトへ様々な機能が後追加されるので、プロトタイピング時はハード同様デューティ50%、つまりROM/RAMの残りに50%位は残しておくと安心です。

ソフトウエアのプロトタイピング開発には、弊社マイコンテンプレートが最適です。

連載第2回範囲のMCUハードウエアまとめ

  • 水晶振動子のMCUクロック供給は、発振波形が正弦波に近いため貫通電流が増え消費電流大となる。
  • 未使用GPIO端子は、外来ノイズ対策に10k~100kプルアップorダウンし、電位固定が望ましい。
  • データシート低消費電力復帰時間がクロックサイクル規定の場合はそのまま使え、㎲規定の場合は参考値。
  • 外付け水晶振動子の利用時は、ベンダ推薦部品を使う。
  • 内蔵発振回路の利用時に、MCU温度変化やリフローによる機械的応力による周波数変動が無視できない場合は、周波数トリミングソフトを組込む。
  • PLL動作最低/最高周波数の設定ミスは多いが、マージンがありそのまま動作するので注意。

マイコンデータシートの見かた(その1)

現役STマイクロエレクトロニクスの「メーカエンジニアの立場」から記載された、ユーザ質問の多かった事項を中心にSTM32マイコンデータシートの見かたを解説する記事(連載1回目)を紹介します。

全3回の連載記事内容

予定されている第2回、第3回の解説内容が下記です。

第1回:凡例、絶対最大定格、一般動作条件、電源電圧立上り/立下り(← 今回の記事)
第2回:消費電流、低消費電力モードからの復帰時間、発振回路特性
第3回:フラッシュメモリ特性、ラッチアップ/EMS/EMI/ESD、汎用IO、リセット回路

今回の第1回を読むと、データシートの読み誤り易いポイントが説明されており、興味深いです。ハードウエアに興味がある、または、ハードも自分で設計するソフトウエア開発者は、読むことをお勧めします。

マイコンハード開発を数回経験すると、おおよその感触とデータシートの見る箇所が解ってきます。私も新人の頃は、網羅されたデータシートの、”どこの何を見れば良いかが判らず”困惑したものでした。

ハードウエアテンプレートは評価ボードがお勧め

私は、使用するマイコンの評価ボードを、ハードウエアのテンプレートとして使います。
例えば、STM32F072RB(=NUCLEO STM32F072RB)は、配線パターン(=gerber files)や使用部品リスト(=BOM)もサイトに公開されています。

これらのデータは、「短納期を要求される開発者の立場」なら、網羅的記載のデータシートよりも、効率よく回路設計をする手助けとなります。

データシートを見ることは、間違いなく重要です。

しかし、具体的にハードウエア設計をする時は、評価ボードのような既に設計済みの「ブツ」を参考にしながら、なぜこの部分はこうなっているのか?などの疑問を持ってデータシートを見る方が、効率が良く、しかも、分厚いデータシートのポイントを理解するのにも役立ちます。

アナログとデジタル電源の1点接地や、パスコン実装位置などは、文字で注意書きをいくらされても解り難くいものです。この点、実物は、文字に勝ります。

ソフトウエアテンプレートはマイコンテンプレートがお勧め

ソフトウエア開発は、マイコンテンプレートの宣伝をするな!と思われた、勘のいい読者の方は、コチラのサイトを参照してください。

サンプルソフトは、”メーカ立場での提供ブツですが、”開発者の立場からの実物として、STM32ファミリ、サイプレスPSoC、NXPのLPC8xx/LPC111x/Kinetis、ルネサスRL78/G1xの各種マイコンテンプレートを、ソフトウエア開発者様向けに提供中です。

連載第1回範囲のハードウエアまとめ

第1回記事の範囲で、マイコンハード開発ノウハウをまとめると、以下になります。

  • マイコン外部接続ハード駆動能力は、I2C、USART、数点のLED直接駆動可能端子を除いては極小で基本的には直接駆動はしない。
  • 外部接続ハードの駆動と接続方法は、Baseboard(mbed – Xpresso Baseboard)や、各種Arduinoシールドを参考にする。
  • マイコン電源は、評価ボードのパターン、実装部品も含めてまねる。
  • 開発製品版の未使用(空き)端子処理は悩ましいが、ソフトはデフォルト、ハードはソルダーブリッジ経由で接地。

私は、今後の連載を読んで、未使用(空き)端子処理の見識などを深めたいと思っています。

STM32Fxテンプレート発売

2016年MCUシェア第5位のSTマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics、本社スイス)のSTM32F0:Cortex-M0とSTM32F1:Cortex-M3向けのテンプレートを開発しましたので、販売開始します。従来テンプレートと同額の1000円(税込)です。

STM32Fxテンプレートの特徴

STM32Fxテンプレート構成
STM32Fxテンプレート構成
  • Cortex-M0とCortex-M3両コア動作のテンプレート
  • 移植性、可読性が高いHALドライバを使ったので、他コアへの流用、応用性も高い
  • カウントダウンループを使ったCortex-M系コードテクニックで開発

従来テンプレートは、ARM Cortex-M0/M0+とルネサスS1/S2/S3コアが対象でした。

つまり、8/16ビットMCUの置換えを狙ったCortex-M0/M0+と、RL78汎用MCUへテンプレートを供給していました。しかし、IoTの通信処理や要求セキュリティを考慮すると、より高性能なMCUも視野に入れた方が良いと感じていました。また、Cortex-M3デバイスの低価格化も期待できます。

初めてCortex-M3のSTM32F103RB:NUCLEO-F103RBへもベアメタルのテンプレートを開発したのは、以上のような背景、理由です。

ST提供のHAL:Hardware Abstraction Layerドライバは、移植性、可読性が高く、Cortex-M0/M3両対応のテンプレートも簡単に開発できました。Cortex-M3よりもさらに高性能なMCUが、ベアメタル開発を行うかは疑問ですが、HALを使ったので適用できると思います。

動作確認評価ボードは、STM32F072RB:Cortex-M0/48MHzとSTM32F103RB:Cortex-M3/64MHzですので、これはあくまで私見、見込みですが…、HALドライバならば問題なく適用できるハズです。

HALドライバ作成にSTM32CubeMXを使うと、異なるコア動作速度(M0:48MHz、M3:64MHz)でも、同じ周辺回路ならば、同じHAL APIが使えます。

今日現在、このSTM32CubeMX周辺回路のGUI設定に関する詳しい資料が見当たりません。そこで、テンプレート添付資料では、テンプレートのSTM32CubeMX設定方法や、SW4STM32開発ヒントやTipsなど開発に役立つ情報を満載しています。初めての方でもSTM32MCUの開発障壁を低く出来ます。

また、本テンプレートをプロトタイピング開発に使って、MCU性能の過不足を評価するのも便利です。ボードレベルでピンコンパチなSTM32 NUCLEO評価ボードですので、評価ボード単位の載せ替え/交換も可能です。

さらに、デクリメントループを使ってループ終了を行っているなど、Cortex-M系のコード作成にも注意を払いました。

*  *  *

マイコンテンプレートサイトへ、STM32Fxテンプレートを掲載します(9月2日追記:サイト更新完了しました)。
添付資料のP1~P3、もくじの内容を掲載しております。P1~P3は、資料ダウンロードが可能です。STM32Fxテンプレートをご購入の上、是非、ご活用ください。

ARM Cortex-M3低価格化への期待

ARM Cortex-M3の設計開始時ライセンス費用がCortex-M0同様、無償化されることが発表されました。

これにより、新たに商品化されるCortex-M3コアを使ったMCU価格が下がる可能性があります。Cortex-M0(ARMv6-M)を100%とする性能比較をみると、Cortex-M3(ARMv7-M)の性能向上比が大きいことが判ります。

Performance of Cortex-M
Performance of Cortex-M

RTOSやIoT通信などのMCU環境の変化を考慮すると、コストパフォーマンスに優れたCortex-M3を次期MCU選択肢に、より入れやすくなります。

STM32F0ソフトをF1変更時のHAL利用効果

STM32ソフト開発に、HAL:Hardware Abstraction Layerライブラリを使えば、文字通りARMコアを抽象化したソフトが作れます。コード生成ツールSTM32CubeMXが、HALをデフォルトで使うのもこの理由からです(HALとLLライブラリについては、6月5日記事も参考にしてください)。

そこで、STM32CubeMXのHAL出力とF0:Cortex-M0評価ボードSTM32F072RB(48MHz)で動作するSTM32Fxシンプルテンプレートを、F1:Cortex-M3評価ボードSTM32F103RB(64MHz)へ載せ替えた時のソースコード変更箇所を示し、HALを使ってARMコアを抽象化した結果、ソースコードのどこが共通化でき、どこが異なるのかを具体的に示し、HALの利用効果を評価します。

※STM32Fxシンプルテンプレート仕様は、前回記事参照。
※STM32F072RBとSTM32F103RBは、ARMコアのみが異なる評価ボードで、実装済みの緑LEDとユーザ青SWも同一GPIOピンを使用しているので、STM32F0:Cortex-M0からSTM32F1:Cortex-M3へのソフト載せ替え評価に最適。

STM32FxシンプルテンプレートのSTM32F0からSTM32F1へのソースコード変更箇所

(1)HALライブラリのインクルード

結果から言うと、ARMコア抽象化機能を持つHALライブラリを使えばユーザが追記したソースコードは、大部分を共通にできます。
しかしHALライブラリ自身は、ARMコアにより異なります。このため、HALライブラリをインクルードするソースコードの箇所は、下記のようにstm32f0xx_hal.hからstm32f1xx_hal.hへ変更が必要です。

HALライブラリインクルード:STM32F0(左)とSTM32F1(右)
HALライブラリインクルード:STM32F0(左)とSTM32F1(右)

(2)割込み:NVICプログラマーズモデル

Cortex-M0/M0+は、割込み最大数32、優先度レベル4、一方Cortex-M3は、割込み最大数240、優先度レベル8~256とコアで異なるモデルですので、割込み関連ヘッダファイルの変更が必要です。

NVICプログラマーズモデル:STM32F0(右)とSTM32F1(左)
NVICプログラマーズモデル:STM32F0(右)とSTM32F1(左)

※STM32Fxシンプルテンプレートは、SysTick割込み以外はポーリングを使っています。GPIO割込みは、未使用です。この箇所は、デモソフトのGPIO割込み利用部分が参考になるため、テンプレートにそのまま流用した結果、変更が必要になった箇所です。

テンプレートへGPIO割込み処理を追加し、更にARMコアを変更する場合には、このNVICプログラマーズモデルの違いで変更が必要になります。

*  *  *

HALライブラリを使った結果、上記2か所以外のユーザソース、ヘッダファイルは、STM32F0とF1のMCUで共通化できました。共通ソースコードの一部を示します。動作クロックが48MHzと64MHzと異なりますが、同じHAL API:HAL_UART_Transmit()によりUART2送受信(19200bps 8-Non-1)ができています。

HAL_UART_Transmit()によるUART2送信
HAL_UART_Transmit()によるUART2送信

Cortex-M3のSTM32F103RB(64MHz)動作STM32Fxシンプルテンプレートファイル構成が下記です。

Simplate Template for STM32F1 Project Explorer
Simplate Template for STM32F1 Project Explorer

弊社が追加したソースファイルやヘッダファイルは、Pascal形式でファイル名を付けますので、図示のように赤で色分けしなくても一目でSTM32CubeMX生成ファイルとの区別ができます。

STM32CubeMX生成ファイルのHALライブラリインクルード部分は、STM32CubeMXが当該HALライブラリ(stm32f1xx_hal.h)を、また割込みは、当該NVICプログラマーズデモルに応じたソースを「上書きで」生成しますので、コア載せ替えによる修正箇所は、弊社追加ソースファイルとヘッダファイルに限定できます。

この限定ファイル(1)と(2)の個所のみを変更すれば、STM32F0ソースコードをF1へそのまま使えます。HALライブラリ利用によるソース/ヘッダの共通化効果は、非常に高いと言えるでしょう。

弊社ソースファイル、ヘッダファイルの変更箇所は、#ifdefプリプロセッサを使って、コアによる差分箇所を1つへまとめることも可能です。リリース版では、これを採用したいと考えています。HALライブラリ利用により、ARMコアに依存しないSTM32Fxテンプレート構想(x=0 or 1)が実現します。

STM32デモソフトから見える問題点

STM32Fxシンプルテンプレート

前回記事で予告しました、弊社マイコンテンプレートを使い、STM32評価ボードのデモソフトへUART-USB通信機能を追加しました(下記仕様参照)。

デモソフトのSW押下げの代わりに、評価ボードとパソコン間のUART-USB通信コマンドでLED点滅速度を変えます。これをマイコンテンプレートのSTM32F0マイコンへのシンプルな応用例という意味で、STM32Fxシンプルテンプレートとします(年内に既存マイコンテンプレートと同様、Baseboardテンプレートと合わせSTM32Fxマイコンテンプレートとして1000円で販売予定)。

STM32Fxシンプルテンプレート仕様
・動作確認評価ボード:STM32F072RB(Cortex-M0)
・LED出力:評価ボード実装 緑LED LD2点滅速度をUART-USBコマンドで変更
・SW入力:評価ボード実装 青ユーザSW(ソフトチャタリング対策済み)PushをUART-USBで表示
・UART-USB通信:TeraTermなどのターミナルソフトへメッセージ入出力(19200bps 8-Non-1)
・低電力動作:Sleep処理
・使用ライブラリ:HAL

STM32Fx Simple-Template Overview
STM32Fx Simple-Template Overview

STM32評価ボードデモソフトから見えるサンプルソフトの問題点

STM32評価ボードのデモソフトは、マイコンサンプルソフトの問題点を示しています。この問題点は、マイコンサンプルソフト全般に言えます。

サンプルソフトの問題点とは、1つの機能を、初期設定と無限ループを使って説明する点です。この方法は、初心者が単独機能を理解する際には、動作が解り易く、優れています。

しかし、実際のアプリケーションでは、複数の機能が並列的に動作するのが普通です。実アプリケーションの[複数並列(的)動作]と、サンプルソフトの[無限ループ単独動作]とのギャップが大きいことが、マイコン初心者にとっての大きな障壁です。

結論から言うと、サンプルソフトの解り易さに貢献している無限ループの時間消費(浪費)が問題です。

デモソフトの具体例

具体的にSTM32評価ボードのデモソフトで説明します。無限ループ内のLED点滅処理が下図です。

Sample Software Infinite Loop Trouble
Sample Software Infinite Loop Trouble

LED点滅速度は、SW割込みのCallback関数で変えます。このサンプルソフトは、LED出力とSW入力が並列動作しています(サンプルソフトとしては、SW割込みを使う点で珍しい例)。

LED点滅処理を繰り返すのが、無限ループの目的です。1ループのLED処理は、500/100/50ms毎に1回トグルを実行し、その他の時間は、HAL_Delayで時間消費(浪費)です。殆どのサンプルソフトは、この構成です。

つまり、

典型的サンプルソフト ➡[単独処理+時間浪費]の繰り返し

これにより1つの機能を説明する構成です。この方法は、説明の受け側にとっては、解り易いものです。単独処理の中身は、ポーリングが多いのも特徴です。ポーリング結果で、別処理へジャンプするなどします。

別処理の無限ループへの追加

STM32評価ボードのデモソフトは、割込みでSW入力の別処理を追加しています。しかし、無限ループへ、割込み以外で別処理を追加するのは困難です。なぜなら、[単独処理+時間浪費]へ別処理を追加するには、時間浪費の時間を変えるしか手がないからです。

時間浪費の時間を変えたとします。すると、[単独処理+追加処理+変更した時間浪費]となり、既に存在したLED点滅処理の点滅間隔が変わる可能性が生じます。

つまり、処理追加により既存処理へも影響が及ぶのです。厳密には、割込みでも既存処理へ影響が及びますが、その影響は極わずかです。

処理追加で既存処理に影響が及ぶので、追加前の既存処理単独でのデバッグが無駄になります。デバッグの積み重ねができないのです。

それならば、いつも割込みで処理を追加すれば良いかというと、そうでもありません。

割込み処理は、ポーリングに比べデバッグが難しくなります。また、割込み処理のサンプルソフトは、ポーリングに比べ少数です。

サンプルソフトは、単独動作の説明に重点を置いたポーリング動作のものが多数で、実アプリケーション開発へ、そのままでは使いにくい構成、構造になっていることがお判りになったと思います。

弊社マイコンテンプレートの対策

デモソフトのLED点滅処理に着目したのが、弊社マイコンテンプレートです。500ms、100ms、50ms毎に1回処理し、その他の時間は、別処理、低電力処理(Sleep処理)を時分割で処理します。

つまり、

弊社マイコンテンプレート ➡ ①[単独処理]終わり
____________ ➡ ②[別処理]終わり
____________ ➡ ③[低電力処理]終わり
____________  ①~③の繰り返し

簡単に言うと、時分割の無限ループランチャーです(起動される①側からみると、単独で無限ループ内にあるのと同じ、②、③も同様)。複数処理を起動する仕組みをテンプレート自体が持っているとも言えます。

RTOS: Real Time Operating systemを使うと複数処理起動が簡単です。しかし、RTOS理解のオーバーヘッドが必要です。弊社マイコンテンプレートは、簡易的に処理を並列に起動します。

起動される側の処理は繰り返し起動されますので、ポーリング動作のサンプルソフトの多くがそのまま流用できます。数多くあるポーリングサンプルソフトを活用、流用してアプリケーションの早期開発ができるのが、弊社マイコンテンプレートの特徴です。

また、STM32Fxシンプルテンプレート仕様から解るように、実アプリケーションに最低限必要な、低電力処理、LED出力、SW入力、UART-USB通信の各処理は既にシンプルテンプレートに実装済みです。

このシンプルテンプレートへ実用アプリで必要となる処理を追加しさえすれば、直ぐに最終段階アプリとなる構成になっています。プロトタイピング開発に適し、実アプリケーションとサンプルソフトとのギャップを小さくします。

もちろん処理を追加や削除しても、既存処理への影響が小さいので、デバッグの積み重ねもできます。

STM32CubeMX生成ファイルのユーザ処理追記箇所

STM32CubeMXが生成するプロジェクトと自動生成ファイルのユーザ処理追記箇所を解説します。STM32マイコンのソフト開発は、この出力ファイルへ、ユーザ処理コードを追記して完成しますので、どのファイルのどこに追記すれば良いかを知ることが重要です。

前回記事でSTM32CubeMXの使用ライブラリにHAL: Hardware Abstraction Layerを選びました。UM1718の5章に、HAL単独、LL単独とHAL/LL混合の各ライブラリ使用時のSTM32CubeMX生成ファイル詳細説明があります。本ブログ記事は、このHAL単独版に相当します。

STM32CubeMXの設定条件

STM32CubeMXは、設定により出力プロジェクトの生成ファイルが様々に異なりますので、STM32マイコンテンプレート開発で使う下記条件でコード生成します。

前提条件

評価ボード:STM32F072RB(ARM Cortex-M0)
3ウイザード:Pinout、Clock Configurationは評価ボードデフォルト設定、ConfigurationはEXTI line 4 to 15 interruptsに☑設定
使用ライブラリ:HAL

STM32CubeMX Code Generation
STM32CubeMX Code Generation

出力プロジェクトとユーザ処理追記が必要なファイル

STM32CubeMXの出力プロジェクトのうち、ユーザ処理を追記する必要があるファイルは、Inc(ヘッダーファイル)とSrc(ソースファイル)にあります。これらInc/Srcフォルダ内のファイル概要とユーザコード追記箇所の有無一覧が下記です。

USER CODE Add in for STM32CubeMX Project
フォルダ>ファイル 概要 ユーザ処理追記箇所 STM32CubeMX再生成時
Src main.c main処理(動作クロックとHAL初期設定生成コード含む) あり
ユーザ処理以外上書き
stm32f0xx_it.c 割込み処理(EXIT1 4_15) あり(自動割付済み)
stm32f0xx_hal_msp.c HAL MSP処理とエラー処理 あり(可能性は低い)
system_stm32f0xx.c システムクロック設定 なし
Inc main.h IOピンのラベル定義 あり(Pinoutウイザード設定分のみ) 完全上書き
stm32f0xx_it.h 割込み定義 なし
stm32f0xx_hal_conf.h HAL構成定義 なし

Incフォルダのmain.hユーザ追記部分は、Pinoutウイザードでピン名を追加した分のみです。つまり、ウイザード出力があるだけで実質ユーザ追記は不要です。STM32CubeMXで再度コード生成した場合は、ヘッダーファイルは全て上書きされます。

従って、再生成してもユーザ追記コードが残るのは「あり」で示した、main.c、stm32f0xx_it.c、stm43f0xx_hal_msp.cのSrcフォルダ内の3ファイルです。

このうちstm43f0xx_hal_msp.cは、HALライブラリのMSP: MCU Support Package処理(≒ハード抽象化)やエラー処理ファイルですので、通常はユーザが追記する可能性は低いと思います。

結局、ユーザ処理の追記が必要なファイルは、Srcフォルダのmain.cとstm32f0xx_it.c(割込み処理)の2ファイルです。

ユーザ追記コード(割込み処理)

先ず、割込み処理を説明します。

HALライブラリを使うと、割込みの前処理(割込み要因フラグ確認、フラグリセット、ユーザ処理関数callback)は、全てSTM32CubeMXが自動生成する割込みハンドラが行います。但し、この割込みハンドラ名には、HAL_という接頭語が付いていて、コアの割込みハンドラ名と異なるため、コア割込みハンドラと生成割込みハンドラの対応付けが必要です。

このハンドラ名称の対応付けを行うのが、stm32f0xx_it.cです。評価ボードのデモソフト(STM32マイコン統合開発環境参照の5)動作検証参照)の例で示すと、stm32f0xx_it.cの下記部分です。但し、この割付は、ConfigurationウイザードでEXTI line 4 to 15 interruptsに☑設定した結果、自動割付済みです。つまり、ここもウイザード出力結果が反映されていて、実質ユーザ追記が不要です。

stm32f0xx_it.cのユーザ追記箇所
stm32f0xx_it.c

ハンドラがコールするユーザ処理関数は、Callback以外がハンドラ名と同じHAL_GPIO_EXIT_Callback()という関数名というSTM独自の決まりがあります。このCallback関数は、main.c内にあり下記部分です。

main.c
main.cのユーザ追記箇所

まとめると、割込み処理は

EXTI4_15_IRQHandler()は、    コアの割込みハンドラ(startup_stm32f072xb.sに記述)
HAL_GPIO_EXTI_IRQHandler()は、  STM32CubeMX自動生成の割込みハンドラでHAL_GPIO_EXTI_Callback()をコールバック
HAL_GPIO_EXTI_Callback()は、   ユーザが追記する割込み処理でmain.cに処理内容を追記

という3段構成なので、最終的にユーザが追記する割込み処理の箇所は、Callback()の中身つまりmain.cのみです。

ユーザ追記コード(割込み処理以外)

当然main.cは、割込み処理以外にも、様々なユーザ処理を追記します。STM32CubeMXが自動生成する「ナマ(生)のmain.c」を以下に示します。

main.c souce
main.c souce(折り畳み済み)

ユーザ追記箇所を解り易くするために、ソースを折りたたんでいます。先に示した割込み処理HAL_GPIO_EXTI_Callback()の追記箇所は、ソース構造から、USER CODE BEGIN 4の個所であることが判ります。

/* USER CODE BEGIN xyz */から/* USER CODE END xyz */のコメント間にユーザ処理を追記すれば、STM32CubeMXで再生成しても追記部分は、そのまま残ります。

USER CODE xyzのコメントを読んで、追記が必要なユーザ処理を追加していきます。但し、GPIOやシステム動作クロックの初期設定は、STM32CubeMXが自動生成済みですので、更なる追記は、本当にユーザ処理の部分のみということが判ります。デモの場合なら、LED2の点滅速度変更処理LED2_Blink()のみです。

以上をまとめると、STM32CubeMXが自動生成するプロジェクトとファイルへは、

  • 3ウイザードさえ間違わずに設定すれば、main.cのみの最小限ユーザ追記でアプリ完成
  • たとえウイザード設定に間違えても修正し再生成すれば、USER CODE xyzへ追記したユーザコードは保持され安心

STM32CubeMX自動生成の活かし方

プログラムサイズが大きい場合には、全てのユーザ追加ソースを1つのmain.cファイルに記述するのは現実的ではありません。しかし、単機能のサンプルソフト程度であれば、STM32CubeMXが自動生成するmain.cへユーザ処理を追記してもさほど可読性は悪くなりません。

STM32CubeMXは、STM32マイコンソフトを効率的に開発するツールです。なるべく小さく単機能ソフトをSTM32CubeMXで開発し、単体でバグが取れた後に、各機能を結合して目的のソフトへ仕上げるのが、STM32CubeMX自動生成出力を活かす方法です。

この活かす方法を使って次回は、評価ボードUART入出力をUSB経由でパソコンと繋げるUART-USB(VirtualUART)機能と、評価ボードデモの2つを結合し、パソコンコマンドでボードのLED点滅速度を変えるソフト開発の話をする予定です。これは実は、STM32マイコンのシンプルテンプレートに相当します。ご期待ください。

※固定ページ(本ブログの上部タブリンク)を、CurieからSTM32Fxマイコン開発へ全面変更いたしました。